【感想・ネタバレ】山川登美子 「明星」の歌人 現代日本のエッセイのレビュー

あらすじ

――山川登美子は、挽歌を詠むために生まれてきたような歌人だと思う。――その特性を、「三すじの挽歌」に焦点を合わせ、死を見つめ、自らの歌を詠み出す心の軌跡を濃やかに自在に辿る。深い思考が「通念」を超えて、「明星」の歌人・登美子を自立させ、日本の女歌の歴史の中に鮮やかに位置づける。豊かな感性が切り開く、独創的な登美子論。毎日芸術賞受賞作の名著。

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Posted by ブクログ

竹西寛子 「 山川登美子 」 明治時代の女性歌人の評伝


人生の紆余曲折を歌に変換している感じ。著者は 山川登美子を 死と直接向き合っている挽歌歌人とし、式子内親王の系譜として位置づけている


人生の紆余曲折
*上流階級に生まれ、厳格な女学校に通ったお嬢様
*与謝野鉄幹、与謝野晶子との愛憎
*結婚、夫の死を経て 女子大入学
*父の怒りと 女子大退学
*父の死や自分の死と向き合う日々


父と死別後、数ヶ月で自身も亡くなったとのこと
辞世の歌は印象的

父君に召されていなむとこしへの春あたたかに蓬莱のしま
*辞世の歌
*亡き父と蓬莱の島で共生を願う


名言「求める人に容易に逢えないのも人生なら、偶然に近い好機から自分でも思いがけない自己開発に進むのも人生」


君は空にさらば磯回の潮とならむ月に干て往ぬ道もあるべき
*夫と死別した妻の悲しみ
*潮の満干は月の満ち欠けと共にある〜現身で会えないなら磯回の潮となって空への道を辿りたい


引用が多かった歌
あたらしくひらきましたる詩の道に君が名讃え死なむとぞ思う

帰り来む御魂と聞かば凍る夜の千夜も御墓の石いだかまし

鳥籠をしづ枝にかけて永き日を桃の花かずかぞへてぞ見る

待つにあらず待たぬにあらぬ夕かげに人の御車ただなつかしむ

今の我に世なく神なくほとけなし運命(さだめ)するどき斧ふるひ来よ

山うづめ雪ぞ降りくるかがり火を百千(ももち)執らせて御墓まもらむ

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2021年12月14日

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