感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルは宮島で陰暦6月17日に行われる管弦祭からとられているが、それは小説の末尾にのみ現れ、それまでの回想の物語に対する鎮魂歌となっている。小説全体は有紀子を一応の主人公としつつも、彼女の周縁のさまざまな人々の戦中、戦後史が編年体風にではなく、自由な時間軸の中で語られてゆく。特に戦前、被曝前の広島の地名が限りない愛着のもとで語られるが、そこに共感できれば(たとえ広島の地を知らなくても)しみじみとした物語として受け止めることができるだろう。これというプロットがないのだが、そこがまたこの小説の価値なのだ。
Posted by ブクログ
ずっと前から気になっていた作品。
選び抜かれたような日本語が心に響きます。
最後の章の幻想的な管絃祭の描写が悲しみを一層深くします。
大切な人と厳島神社、そして管絃祭を一緒に見に行こうと思います。