国内小説作品一覧

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  • 空気枕ぶく先生太平記
    3.0
    出版界に生きる男たちの仁義なき闘い! 数多の非道な仕打ちにキレた編集者・木村彦六クンが、エロスとバイオレンスの大作家・空気枕ぶく先生の驚天動地の私生活を大暴露。印税のからくり、締切りの虚実、果ては愛人、趣味のSMのことまで……いやはや、いったいどこまでが真実!? どこからが虚構!? 各方面に累が及ぶこと必至の爆笑小説。
  • 慶応四年のハラキリ
    4.0
    慶応四年。堺。日の本の地を土足で汚した夷人にますらおの武士が発砲した。代償は籤引きで選ばれた4人の切腹だった。しかし、あの籤は怪しい。そもそも、命令された通りに発砲しただけではないか。釈然としない4人に、切腹の朝が迫る。日本一のみっともない死にざまの表題作など、ギャグとパロディとスラップスティックが冴える異色作品集。
  • 令嬢たちの世にも恐ろしい物語
    4.0
    国王ルイ14世の愛妾モンテスパン夫人は、輝く美貌で栄華を極めていた。そこへ女官見習いとして入ったマリアンヌは怪しい館への遣いを命じられ……。宮廷文化の花咲くパリを舞台に、女たちのどろどろとした愛と憎しみが呼び起こす名高い黒魔術事件。ギロチンで落ちたマリー・アントワネットの首が語る真実。行方不明の公爵令嬢になりすました孤児の運命。華麗にして甘美な殺人譚全四編。
  • 離婚まで
    4.3
    可奈子は、母の呪縛から逃れる為に上京、結婚。仕事と家庭を両立させ、無理解な夫にも優等生妻を続けてきた。子育てに追われる日々に舞い込んだ中学校の同窓会通知。三十年の時を経て、帰郷した彼女の胸に去来する苦い秘密――。人生半ばで過去を振り返った時、女の心に“なぜ、こんな結婚をしたのだろう”という思いが沸き上り……。人生のリセットを決意した女性の深層を描く自伝的作品。
  • 見知らぬ遊戯 鑑定医シャルル(鑑定医シャルル・シリーズ)
    3.8
    満月の夜、亜麻色の髪の被害者。遺留品は、焼いた胡桃と林檎。そして霧――これが、ノルマンディのレミ村で起きた強姦事件と、パリの連続殺人事件の共通点だった。女性憲兵隊員アニエスの要請に応え、分裂気質で人嫌いの鑑定医シャルルが、犯罪心理学を駆使して、犯人の心の暗闇に分け入る……。戦慄のサイコ・サスペンス、〈鑑定医シャルル・シリーズ〉第1弾。
  • ラビット病
    3.8
    天涯孤独で大金持ちのわがまま娘・ゆりと、横田基地に勤めるアメリカ軍人・ロバートは、何もかもまるっきり違っているけれど、心も体もぴったり馴染んだ恋人同士。怖がりで涙もろい純情青年のロバちゃんは、気分屋で素っ頓狂なゆりちゃんに翻弄されてばかり。周囲に呆れられてもへっちゃらで、いつもうさぎみたいに寄り添ってくっついている二人の日々を描いた、スイートでハッピーな連作集。
  • おはなしの日
    3.0
    なぜ私は母に疎まれるのだろうか。どうすれば愛されるのだろう――。親からの虐待を受けて、傷つく少女。その痛みと孤独を共有できたのは同じ境遇にある少年だけだった……。ひとりで生きるには幼すぎたあの頃。大人の理不尽な暴力に悲しみをつのらせ、未来は果てしなく遠かった。〈家庭〉という最も危険な場所で生きる少女たちの世界を静謐な文体で描き、心を深く衝く作品集。
  • 百円シンガー極楽天使
    -
    1巻495円 (税込)
    我々には知名度も人気もなんにもない、あるのは自己顕示欲と借金だけ!?  幕が上がった。スポットライトが私だけに注がれる。躰じゅうの細胞がにわかに蠢き出す。その日暮らしでおひねり命のドサ・シンガー、それが私。まっとうには生きられないけど、命がけでぶらぶらしてる。ときたま甘い夢も見たくなるけど、このデコボコ道も悪くない……。  芸能界の無法地帯といわれるドサ回りの世界を、歌に魅せられ、「夢」と「食うこと」とのせめぎ合いの中でたくましく生きぬくニセ演歌歌手・夏月リンカの、波瀾万丈の人生を描く、著者の自伝的長篇小説。「電子版あとがき」を収録。 ●末永直海(すえなが・なおみ) 1962年福岡県北九州市に生まれる。漫画家小林よしのりの秘書、ホステス、旅回り演歌歌手など数多くの職歴を経て、1996年デビュー作となる「薔薇の鬼ごっこ」で第三回蓮如賞優秀賞を受賞。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁の主催する海外輸出小説、昭和~平成の優れた日本文学27作品に選出され、アメリカ、イギリス、ロシアで翻訳刊行される。
  • 焚火の終わり 上
    3.9
    1~2巻495~550円 (税込)
    島根県の岬の町に住む美花は、茂樹の異母妹である。幼い頃、岬の家に行くのが茂樹は好きだった。いつも二人は焚火を楽しんだ。父が死に、母も他界した後、茂樹は母のノートから〈許すという刑罰〉との謎のメモを発見する。一方、美花の家には異様な写真が一枚残されていた。「美花は本当に自分の妹だろうか」出生の秘密を探るうち、さらに強まる二人の絆。それは恐ろしいほどの疼きとなった。
  • 不随の家
    -
    【第19回すばる文学賞受賞作】寝たきりになり、娘に介護を受けている老女・ツタはある朝、自らの排泄物まみれになって目を覚ました――。なし崩しに奪われる人間の尊厳。女としての苦しみと孤独。そして、死はツタに着実に忍び寄っていた……。ある「秘密」をめぐって、愛憎に揺れる親子の絆を通し、現代日本のすべての家族にひそむ「不随」の病を見事に描き出した傑作。
  • 想像ラジオ
    3.9
    深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。 野間文芸新人賞受賞。
  • ママカノ
    -
    1巻495円 (税込)
    43歳の私の前に現れた23歳の男……ママみたいな歳のカノジョだから、ママカノ  明日はいよいよ、ネットで知り合ったゾラと、リアルで会う日だ。「一日恋人」。思いつきの、ばかばかしい遊びに、彼は乗ってくれた……。  43歳独身、売れない女性作家ミオと、23歳の大学生の男の子ゾラ。ネット上での「一日恋人」の関係が本物の恋に変わった時、二人をめぐる世界も変わる。「電子版あとがき」を収録。 ●末永直海(すえなが・なおみ) 1962年福岡県北九州市に生まれる。漫画家小林よしのりの秘書、ホステス、旅回り演歌歌手など数多くの職歴を経て、1996年デビュー作となる「薔薇の鬼ごっこ」で第三回蓮如賞優秀賞を受賞。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁の主催する海外輸出小説、昭和~平成の優れた日本文学27作品に選出され、アメリカ、イギリス、ロシアで翻訳刊行される。
  • デパ地下★ガール
    -
    1巻495円 (税込)
    お菓子が好き、デパートが好き、あたしはきっと人の笑顔に会いたいんだ  天未(あまみ)りさこ、27歳。お菓子大好き、職業・デパートガール。仕事大好き、だけど夢は「寿退社」。そんな彼女の選んだお相手は?  女子のいちばんの関心事、「恋」と「スイーツ」をテーマに、怒涛の勢いでストーリーが展開する、爆笑&感涙必至のエンタテインメント小説。ケーキのようにスイートで、プリンのようにキュートな、直球勝負の恋とシゴトの物語。「電子版あとがき」を収録。 ●末永直海(すえなが・なおみ) 1962年福岡県北九州市に生まれる。漫画家小林よしのりの秘書、ホステス、旅回り演歌歌手など数多くの職歴を経て、1996年デビュー作となる「薔薇の鬼ごっこ」で第三回蓮如賞優秀賞を受賞。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁の主催する海外輸出小説、昭和~平成の優れた日本文学27作品に選出され、アメリカ、イギリス、ロシアで翻訳刊行される。
  • アプルアプリケ
    -
    1巻495円 (税込)
    初恋を忘れたすべての人に捧げる、新しい再生の物語  模型作りが仕事の夫との離婚を決意したハルカ。気持ちのすれ違いに疲れた彼女は、家の整理をしていて、昔書いた手紙を見つける。「髪を切りたくなかった私へ」。そして、中学校時代の恩師から電話が…。  つかの間の魔法が見せた、たった一度の物語。北九州で過ごした少女時代、淡い初恋の思い出は、冷めた現実を少しずつ変え始めて…。「電子版あとがき」を収録。 ●末永直海(すえなが・なおみ) 1962年福岡県北九州市に生まれる。漫画家小林よしのりの秘書、ホステス、旅回り演歌歌手など数多くの職歴を経て、1996年デビュー作となる「薔薇の鬼ごっこ」で第三回蓮如賞優秀賞を受賞。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁の主催する海外輸出小説、昭和~平成の優れた日本文学27作品に選出され、アメリカ、イギリス、ロシアで翻訳刊行される。
  • 浮かれ桜
    -
    1巻495円 (税込)
    チャラチャラしていて何が悪い!? 売れっ子イケメン俳優、芸能界の奇人たちが繰り広げる愛憎活劇 「抱かれたい男」人気投票、いつでも第1位。芸能界随一の人気俳優・北村冬馬は、女を殴る、蹴る、捨てるの“鬼畜”ぶりを発揮していた。だが、AV女優との腐れ縁の清算を謀ったときから、冬馬の周囲の男女関係が異様な交錯を見せ始めた。ライバル俳優、女帝タレント、美人女優らが狂喜乱舞の色悪(いろあく)小説決定版。「電子版あとがき」を収録。 ●末永直海(すえなが・なおみ) 1962年福岡県北九州市に生まれる。漫画家小林よしのりの秘書、ホステス、旅回り演歌歌手など数多くの職歴を経て、1996年デビュー作となる「薔薇の鬼ごっこ」で第三回蓮如賞優秀賞を受賞。2002年「百円シンガー極楽天使」が文化庁の主催する海外輸出小説、昭和~平成の優れた日本文学27作品に選出され、アメリカ、イギリス、ロシアで翻訳刊行される。
  • トマトケチャップの青春
    5.0
    彼は学校へ行かなくなった。食事も1日に1度、すべての料理にあふれるほどトマトケチャップをかけ、皿まで真っ赤にして食べる――。そんな彼がやがて結婚し、子供をつくり、流行作家になった。妻や子供との日常生活に、ふと昔の自分の姿を思い出す。深い思索の中に苦いユーモアをちりばめた私小説。
  • パーフェクトブライダル~円花の挙式活動
    -
    1巻495円 (税込)
    円花はリース会社の総合職。付き合って5年の彼は7才年下。結婚はタイミングとか強がっていながら、内心、年下の彼にプロポーズされるのを待っている乙女チックな性格。年齢のせいかプライドか、自分からは結婚なんて言い出せない。 ところが偶然のきっかけで、彼から念願のプロポーズが! 当初は素直に喜べなかったけど、結婚式の準備を通じてたくさんの人に祝福され、次第に幸福に満ちた花嫁になっていく。プロポーズから結婚式までの花嫁の奮闘を描いたストーリー。
  • 君のベッドで見る夢は
    -
    1巻495円 (税込)
    本名すら語ろうとしない謎の美女に振り回され、それでも想い続ける男  女がすべて。そんな男の前に現れた絶世の美女。目の前で急に倒れ、病院まで連れて行ってやるのだが、彼女の素性はいっさい謎に包まれていた。果たして彼女の正体は、愛人、殺人犯、麻薬の運び屋? 女の嘘と燃える想いに七転八倒する恋の結末は…。純愛サスペンス。 ●杉元伶一(すぎもと・れいいち) 1963年、埼玉県生まれ。早稲田大学社会科学部中退。大学在学中に『東京不動産キッズ』で小説現代新人賞を受賞。現代を鋭く切りとる才筆で文壇の注目を浴びる。著書に、映画化された『就職戦線異状なし』『スリープ・ウォーカー』(講談社)などの他、漫画原作として『国民クイズ』(太田出版)がある。
  • レモンサワー
    3.0
    1巻495円 (税込)
    伝説のミニコミ誌『酒とつまみ』創刊編集長による処女小説が待望の文庫化。高校時代に蒸発した父、女手ひとつで息子2人を育てた母。父への葛藤はやがて自らが親になることによって変化していく。酒エッセイの名手が描く昭和の父子の物語。
  • 空は終日曇らず
    4.0
    大企業「ニッポンバイク」の本社宣伝部でバリバリの企業戦士だった義明に出た突然の左遷辞令は、片田舎での一販売部員というものであった。いったい何があったのだ! でも負けはしないぞ。きっと立ち直ってみせる。翌日から展開された強引な販売作戦。著者の体験にもとづく異色のサラリーマン青春小説。
  • ペトロスの青い影
    -
    吠えない、人になつかないシベリアンハスキーの“パスカ”と一緒に、休火山“ペトロス”のふもとに、私は住んでいる。学園闘争から離れ、組合闘争に敗れ、妻と子にも去られた……。失ったものは何か? 得たものは何か? 愛犬“パスカ”との生活の中から、生きてゆく真の意味を模索する。
  • 高田馬場ラブソング
    3.5
    キャンパスを行く堀田紅美子、立花麗子、栗原芳絵の仲良し3人組。青春まっただ中の彼女たちの関心は、手ごたえのある大恋愛。なのに紅美子には中年男に好かれる背後霊でもついているのか、せまってくるのはオジさんばかり……。軽快でせつないトレンディコメディ。
  • 就職戦線異状なし
    -
    1巻495円 (税込)
    4人の大学生が繰り広げる就職大狂騒、「就職杯・内定獲得レース」を制するのは?  暴走する若さ、純情きわまる愚行の限りを尽くす大学生たちを襲う、実社会の試練“就職”。講談社、文藝春秋、新潮社からフジテレビ、NHKなど、大手マスコミ入社へ向けての大奮闘。高額初任給とやりがいのある仕事、恋愛まで、はたして就職戦線の勝利者となるのは誰か?  空前の売り手市場と言われたバブル期、就職活動に奔走する若者たちの姿を描いたユーモア青春小説。1991年に公開され大ヒットした同タイトル映画(金子修介監督・織田裕二主演)の原作が、ついに電子で復刊! ●杉元伶一(すぎもと・れいいち) 1963年、埼玉県生まれ。早稲田大学社会科学部中退。大学在学中に『東京不動産キッズ』で小説現代新人賞を受賞。現代を鋭く切りとる才筆で文壇の注目を浴びる。著書に、映画化された『就職戦線異状なし』『スリープ・ウォーカー』(講談社)などの他、漫画原作として『国民クイズ』(太田出版)がある。
  • 山手線のあやとり娘
    -
    1巻495円 (税込)
    電車の中で出会った無口な少女は何を伝えようとしているのか  赤いランドセルを背負った女の子が、山手線のなかでひとりであやとりをしていた。赤い毛糸でさまざまの形を作りながら、となりに坐ったぼくの方を横目でちらちらと見る。夜の九時過ぎ。ぼくは帰宅の途中だった。ふいに、女の子が「つり橋」を作って、ぼくの方に差しだした。両の手首と中指に糸を掛ける、二人あやとりの最初の形だ。(「山手線のあやとり娘」より)  短篇の名手が趣向を凝らして描く、世にも不思議な世界。傑作短篇集。 ・暴走バス ・山手線のあやとり娘 ・うそのにおい ・思い出のヴァギナ ・明日を思い出す ・二本足のンダ ・剃刀娘 ・むかし聴いた曲 ・夏の彼女 ・薔薇の館 ・祖父の物語 ・発作 ・改札口の女 ・隣人 ●中井紀夫(なかい・のりお) 1952年生まれ。武蔵大学人文学部卒業。ハヤカワSFコンテストを経てデビューし、短篇「山の上の交響楽」で星雲賞を受賞。主な著書に、『能なしワニ』シリーズ、『タルカス伝』シリーズ(ともに早川書房)、『漂着神都市』、『海霊伝』(ともに徳間書店)など著書多数。
  • ブリーフ、シャツ、福神漬
    -
    1巻495円 (税込)
    偶然はじまった物々交換はどんどんエスカレートしていって…  最初は雑誌だった。地下鉄駅の改札脇の手摺のうえに、週刊の漫画雑誌が置き去りにされているのを見つけて拾い、そのかわりに、勤め帰りの車内で読んできた夕刊紙をその場所に置いたのだ。  それからである。この地下鉄駅での物々交換が奇妙な形に発展しはじめたのは。ランニング・シャツなどの下着、スプーンやカップなどの食器、インスタントのラーメンやカレーなどの食品、さまざまなものが毎日置かれるようになっていった。(「ブリーフ、シャツ、福神漬」より)  短篇の名手が趣向を凝らして描く、世にも不思議な世界。傑作短篇集。 ・ブリーフ、シャツ、福神漬 ・とてもたくさんの数 ・ずどん! ・肌が合う ・不幸の伝説 ・ぼくのパロディ ・隣の電話 ・地図の地図 ・このあいだの話 ・満員電車 ・お尻をめぐる冒険 ・新聞が読めない ・空き地のイセエビ ・例の席 ・屋上のUFO ・名前を忘れた ・コーヒーと散歩 ●中井紀夫(なかい・のりお) 1952年生まれ。武蔵大学人文学部卒業。ハヤカワSFコンテストを経てデビューし、短篇「山の上の交響楽」で星雲賞を受賞。主な著書に、『能なしワニ』シリーズ、『タルカス伝』シリーズ(ともに早川書房)、『漂着神都市』、『海霊伝』(ともに徳間書店)など著書多数。
  • 東京ビー玉くらぶ
    -
    1巻495円 (税込)
    タイヤ公園で作戦会議、あくどい大人たちを知恵を使ってこらしめろ!  武蔵野の面影を残す東京の西はずれの街で、小学生の仲よし4人組がビー玉くらぶを結成した。のどかに見えるこの街にも、ずるい大人がたくさんいる。病気でもないのに入院して居座る猫患者、難癖をつけてはお金を払わぬごね屋、悪徳塾の経営者。街のダニはぼくたちが退治する!  ビー玉くらぶの面々は、ユーモアいっぱいの作戦で悪い大人をこらしめてゆく。正義感あふれる小学生の愉快な活躍を描く連作短篇小説。 ●山崎光夫(やまざき・みつお) 1947年福井市生まれ。作家。早稲田大学教育学部卒業。テレビ番組の構成、雑誌記者などを経て、1985年「安楽処方箋」で小説現代新人賞を受賞、同年短編「サイレント・サウスポー」で直木賞候補、1986年「詐病」「ジェンナーの遺言」が連続して直木賞候補となる。1998年『藪の中の家 芥川自死の謎を解く』で新田次郎文学賞受賞。医学を題材にした作品が多い。
  • 上海リリー
    -
    1巻495円 (税込)
    大戦前夜の上海、魔都に咲いた一輪の花……その数奇な生涯とは?  上海。魔都と呼ばれた街。密命を帯びた日本軍人と、ダンス・ホールに憧れる若者の二人は、デカダンの香り高い謎の美女・リリーに出逢った。スパイ、暗殺団の襲撃、国際政治の虚々実々の駆け引き。そして、遙かな時を隔てて明らかになる人間の真実…。エンターテインメントの巨匠が広大なスケールで描く冒険小説。 ●胡桃沢耕史(くるみざわ・こうし) 1925年東京生まれ。府立六中(現新宿高校)、拓殖大学卒。『近代説話』同人。昭和30年、『壮士再び帰らず』(筆名・清水正二郎)で第7回オール讀物新人賞、58年、『天山を越えて』で第36回推理作家協会賞、同年『黒パン俘虜記』で第89回直木賞を受賞。『翔んでる警視正』シリーズ、『旅人よ』、『ぼくの小さな祖国』、『女探偵アガサ奔る』、『ぶりっこ探偵』、『夕闇のパレスチナ』、『闘神』など著書多数。
  • 美晴さんランナウェイ
    3.3
    中学生・世宇子の家には、おばさんの美晴が居候している。27歳でけっこう美人なのに独身、時々バイトするだけのお気楽暮し。気ままな彼女は、男を家に連れ込んだり、やりたい放題。家族はその度に大混乱するが、その明るく、にくめない性格から彼女を許してしまう。そして、またある事件が……。携帯電話がなかった時代を舞台に贈るホーム・コメディの決定版。
  • 男は敵、女はもっと敵
    3.6
    映画好きが高じてフリーの宣伝マンをする藍子36歳。仕事は順調だが、W不倫の果てにフッた男が仕事場に現れ復縁をせまり……(『敵の女』)。22歳の真紀はデザイン会社で働く。今は仕事よりも来月入籍するバツイチのカレが大事。だが、その元妻と仕事をすることになり!?(『Aクラスの女』)。など、恋と仕事にまっすぐ生きる女たちをリアルに描いた連作短編集。
  • はなうた日和
    3.8
    定年間近の平凡な会社員・虹脇は、突然部下の美人OLから飲みに誘われる。手を握られながら「副社長を殴ってほしい」と頼まれて――。(「ハッピー・バースデイ」)。売れないアイドルのミドリは、今日もオタク相手に撮影会。しかしその帰り、子連れの元カレと再会し……(「五歳と十ヵ月」)。さえない日常の中にある、小さな幸せときらめきを描いた短編集。
  • 笑う招き猫
    3.5
    【第16回小説すばる新人賞受賞作】男と並んで愛誓うより、女と並んで笑いを取る、それが二人のしあわせなのだ! 駆け出しの漫才コンビ、『アカコとヒトミ』。超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けずに大失敗。おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り倒して大目玉。今はぜんぜんさえないけれど、いつかはきっと大舞台。体に浴びます大爆笑――。夢と笑いとパワーあふれる傑作青春小説。
  • 渋谷ルシファー
    4.1
    桜町は、いま渋谷・道玄坂でルシファーというバーをひらいている。そんな一夜…映子18歳が突如、訪れたことから、桜町みずから封印していた苦い出来事が強烈によみがえる。迷路にはまりこんだ青春、凄絶で不器用な愛と別れ――。さまざまな恋のありさまを、ブルースの旋律にのせて描く。
  • 虹列車・雛列車
    5.0
    青年よ、旅に出よ――。大学生の「僕」は、学園祭で講演に来た「花村」という作家にそそのかされて、北への独り旅に出かけた。旅先の下北半島で「僕」は様々な光景に出会い、成長していく。一方、作家である「私」は沖縄をさまよっている。ユタと出会い、色街を歩き、娼婦たちと関わり…。北へ、南へ、旅を続ける男たち。神宿る風景を素描し、「私小説」を擬態した傑作短編集。
  • 風に舞う
    4.5
    俺の求めているのは本物のブルースだ――。本当にやりたい音楽のために、売れ筋の人気バンドを解散し、ビル清掃のバイトで食いつなぐミュージシャン・武史。彼はある日、作家志望の生意気で美しい女子大生・操と出会う。決して妥協せず、理想を追いつづける苦悩の日々。そして烈しく求め合う愛の行方は……。芥川賞作家・花村萬月が凛々しく描く青春音楽小説の傑作。
  • 黄塵を駆ける(上)
    -
    1~2巻495円 (税込)
    日清戦争を間近にひかえた中国大陸を舞台に、若き日本男児たちの活躍を描く  明治薩長体制の管理を離れ、広大な中国の大地に雄飛した今野頑太ら若き壮士たちは、自らの理想を大陸に実現せんと血と汗を流す。一方、上海行の船上で知り合った天草の少女・お静は、頑太を慕いながらも、苛酷な運命にもてあそばれて娼館へ売られていった…。  アジア十億の民衆の平和と幸福を追い求め、日中の交流に全人生を捧げた男たち。その熱血ロマンを壮大なスケールで描いた、傑作冒険小説。 ●胡桃沢耕史(くるみざわ・こうし) 1925年東京生まれ。府立六中(現新宿高校)、拓殖大学卒。『近代説話』同人。昭和30年、『壮士再び帰らず』(筆名・清水正二郎)で第7回オール讀物新人賞、58年、『天山を越えて』で第36回推理作家協会賞、同年『黒パン俘虜記』で第89回直木賞を受賞。『翔んでる警視正』シリーズ、『旅人よ』、『ぼくの小さな祖国』、『女探偵アガサ奔る』、『ぶりっこ探偵』、『夕闇のパレスチナ』、『闘神』など著書多数。
  • オロロ畑でつかまえて
    3.5
    1~2巻495~605円 (税込)
    【第10回小説すばる新人賞受賞作】人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった! ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる――。ユーモア小説の傑作。
  • ベーコン
    3.6
    初めてだった。男から、そんな目で見つめられたのは――。家族を置いて家を出た母が死んだ。葬式で母の恋人と出会った「私」は、男の視線につき動かされ、彼の家へ通い始める。男が作ったベーコンを食べたとき、強い衝動に襲われ……表題作ほか、人の心の奥にひそむ濃密な愛と官能を、食べることに絡めて描いた短編集。単行本未収録の「トナカイサラミ」を含む、胸にせまる10の物語。
  • 忘却の河
    4.4
    初老の小企業社長・藤代と、その妻で十年間寝たきりのゆき、二人の娘・美佐子と香代子の、それぞれに苦悩多い人生――。忘却の河に流し得ぬような各様の過去が四人に暗影を投げかけており、痛切な愛の挫折、愛の不在がある。主人公は、終章で北陸の海辺にある賽の河原に罪のあがないを見出すのだが、宗教なき日本人の、愛と孤独への救いを追究した、密度の高い連作長編小説である。
  • 雪の花(小学館文庫)
    3.4
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 列車に飛び乗り、上京して40年。何もかもが夢のようにうまくいっていたバブル期の輝かしい栄光は過去のものとなり、経済的な困窮に陥った夫婦が、死を覚悟して帰郷する。人気のない故郷。真っ白な雪に埋もれた母校でふたりが見つけた希望とは?バブル崩壊、不景気、リストラ、経費削減など、社会の大きな流れの中で人生を左右される人々の苦悩の日々と切なさを描き、第3回ヤフー・ジャパン文学賞を受賞し、ドラマ化された表題作を収録。離婚で離ればなれになった親子の絆や仮面夫婦の成れの果てを綴った作品など、涙を誘うヒューマン・ノベル四篇。
  • 安全な卵の見分け方
    -
    1巻495円 (税込)
    『蒼穹のジャック』として配信していた作品に、補筆し改題したもの。本書は不幸にも牧場経営にしくじり負債をかかえながらも、「養鶏」で再起を図ろうと苦闘する男のノンフィクションとも言える物語である。借金取りに追われたり、交通事故にあったり、卵が売れなかったり等々様々なトラブルに見舞われながらもめげずに生きる姿は、作者の資質なのか意外に湿っぽくなく、ユーモアさえも感じられる。補筆箇所では、卵アレルギーの子を持つ親に喜ばれることで、化学添加物を一切使わない自家配合の飼料に自信を得て、タマゴ屋として力強く歩もうとする様子が描かれる。
  • ハミザベス
    3.8
    【第26回すばる文学賞受賞作】はたちの誕生日を前に、死んだと思っていた父が本当に死んだらしい。マンションを一部屋とハムスターを遺産として受け取った、まちる。母と暮らした家を出て、地上33階で静かに重ねる日常。元恋人の幼なじみや、父の同居人だった女性との不思議な関係と友情……。不器用なやさしさをユーモアでくるみ、流れる会話でつむぐ、新しい小説世界。注目作家のデビュー作ほか『豆姉妹』収録。
  • 永遠の放課後
    3.7
    大学生の「ぼく」は、中学の頃から親友の恋人・紗英に想いを寄せていた。しかし、親友を傷つけたくなくて、気持ちを告げることができない。そんな中、プロの歌手だった父譲りの才能を買われ、活動休止中の人気バンドのボーカルにスカウトされる。そして、ライブに紗英を招待した夜、恋は思わぬ方向へと動き始めた――。友情と恋。「ぼく」が最後に選んだものは? 胸を打つ青春小説。
  • 春画
    4.3
    母が逝き、「私」宛てに古びた春画が遺された。旅先の小さな島で、その奇妙な絵を眺めながら、後妻であった母の人生を想う――。親を見送り、子供たちは巣立ち、再び始まった夫婦二人きりの生活。家族が共に過ごした、かけがえのない日々をふり返り、流れゆく時のうつろいをつづる静かな私小説。
  • 菜の花物語
    3.8
    “春になれば……”みんなそんな想いを抱いて、吹きつけるそれぞれの人生の風の中にいた―。旅する空に、休息の夜に、喧噪の都会に、椎名誠のかたわらを通り過ぎていった女たち。遥か少年の日のおぼろ月夜に咲く、菜の花の記憶が、出会い別れた女たちとの思い出とクロスしてオトコのたしかな人生を浮き彫りにする。哀しくて、やがてアカルイ、11のしみじみ私小説。
  • 夜の朝顔
    3.8
    クラスメイトは6年間一緒。刺激のない田舎に住む小学生のセンリだが、気になることは山積みだ。身体の弱い妹への戸惑い。いじめられっ子への苛立ちと後ろめたさ。好きな男の子の話題で盛り上がる女子の輪に入れない自分。そして悔しさの中、初めて自覚した恋心――。子どもだって単純じゃない。思春期の入り口に至る少女の成長過程を繊細にすくいあげた、懐かしく、胸の痛みを誘う物語。
  • 恋と男と革命と
    -
    1巻495円 (税込)
    冒険小説の世界に新たな境地を拓いた傑作短編集  ロシア革命勃発の五年後、一九二二年の新生ソ連に密航した革命の闘士・高田平作は、モスクワで美しい人妻ニーナと出会い、激しい恋におちた。折りしも、たずね求めた友人がチタにいることを知った平作は、ニーナと再会を約束してシベリアへ。だが、彼を執拗に追う特務機関員米村憲兵大尉もその情報を得てチタへ向かっていた…。  表題作の他、全5作品の短篇小説を収録した傑作短編集。 ・恋と男と革命と ・野菊の島 ・蛮地の神 ・イルゼの旅 ・東から来た男 ●胡桃沢耕史(くるみざわ・こうし) 1925年東京生まれ。府立六中(現新宿高校)、拓殖大学卒。『近代説話』同人。昭和30年、『壮士再び帰らず』(筆名・清水正二郎)で第7回オール讀物新人賞、58年、『天山を越えて』で第36回推理作家協会賞、同年『黒パン俘虜記』で第89回直木賞を受賞。『翔んでる警視正』シリーズ、『旅人よ』、『ぼくの小さな祖国』、『女探偵アガサ奔る』、『ぶりっこ探偵』、『夕闇のパレスチナ』、『闘神』など著書多数。
  • 壮士、荒野を駆ける
    -
    1巻495円 (税込)
    中国大陸を舞台にした壮大なロマンあふれる物語  昭和八年六月、はてしなく広がるゴビ砂漠の中、西域に向かう東干(トンガン)の騎馬武装兵の一隊があった。その中に、妙齢な女性と醜男の兵士という日本人が一組。それが、中国辺境に日本勢力の楔をうち込むために、東干民族を率いる馬長英に嫁ぐ由利とその護衛の佐藤上等兵だった…。  軍の密命を帯びた日本人男女、その苛酷な三月余の旅を雄渾に描いた「東干」など、中国大陸に材をとった、中篇3作品を収録。 ・東干(トンガン) ・大別山日報(ターピエシヤンエルパオ) ・易水 ●胡桃沢耕史(くるみざわ・こうし) 1925年東京生まれ。府立六中(現新宿高校)、拓殖大学卒。『近代説話』同人。昭和30年、『壮士再び帰らず』(筆名・清水正二郎)で第7回オール讀物新人賞、58年、『天山を越えて』で第36回推理作家協会賞、同年『黒パン俘虜記』で第89回直木賞を受賞。『翔んでる警視正』シリーズ、『旅人よ』、『ぼくの小さな祖国』、『女探偵アガサ奔る』、『ぶりっこ探偵』、『夕闇のパレスチナ』、『闘神』など著書多数。
  • ぼくの小さな祖国
    -
    1巻495円 (税込)
    日系移民の末裔たちが繰り広げる南米の小国のクーデター  二派の武力抗争が続く南米の貧しい小国。老大統領を補佐するロドリゲス少佐は、国庫の外貨を奪い、大量の武器密輸入で一挙に反対派を壊滅するべく、大博打に出た。忠実につき従う混血のジョン。二人の武器密輸の道案内に立つ乞食(カポクロ)の少女カルメン。三人はともに日系移民の末裔であり、日本に見棄てられた民衆でもあった。彼らが忠誠を誓い手に入れようとする“祖国”とは?  第87回直木賞候補となった、移民史を問う衝撃の長篇作品。また、彼らそれぞれの生きざまと冒険の成り行きが独特な手法で語られ、小説構成上の実験が試みられている。 ●胡桃沢耕史(くるみざわ・こうし) 1925年東京生まれ。府立六中(現新宿高校)、拓殖大学卒。『近代説話』同人。昭和30年、『壮士再び帰らず』(筆名・清水正二郎)で第7回オール讀物新人賞、58年、『天山を越えて』で第36回推理作家協会賞、同年『黒パン俘虜記』で第89回直木賞を受賞。『翔んでる警視正』シリーズ、『旅人よ』、『ぼくの小さな祖国』、『女探偵アガサ奔る』、『ぶりっこ探偵』、『夕闇のパレスチナ』、『闘神』など著書多数。
  • 旅人よ ロン・コン〈母の河(メコン)で唄え〉
    -
    1巻495円 (税込)
    東南アジアから南米まで…旅する人たちのロマンを描いた傑作冒険小説  東南アジア旅行中に秘密仲買人に間違えられた深川の師匠・加納清吉郎は、日本語を話すユピンという女にラオス国境へ連れていかれるが、革命が起こり、メコン河を下る演芸船にかくれて危うく窮地を脱する。ユピンを連れて帰国した師匠は四年後、再びラオスを訪れるが、そこには思わぬ陥穽が仕掛けられていた…。(「ロン・コン」)  第85回直木賞候補となった本作は、「父ちゃんバイク」「ロン・コン」など珠玉の短篇が収録された作品集である。 ・ロン・コン〈母の河で唄え〉 ・ロン・コン PARTII〈母の河に眠れ〉 ・父ちゃんバイク ・花を浮かべて ・顫音(トレモロ) ・熱い冬 ●胡桃沢耕史(くるみざわ・こうし) 1925年東京生まれ。府立六中(現新宿高校)、拓殖大学卒。『近代説話』同人。昭和30年、『壮士再び帰らず』(筆名・清水正二郎)で第7回オール讀物新人賞、58年、『天山を越えて』で第36回推理作家協会賞、同年『黒パン俘虜記』で第89回直木賞を受賞。『翔んでる警視正』シリーズ、『旅人よ』、『ぼくの小さな祖国』、『女探偵アガサ奔る』、『ぶりっこ探偵』、『夕闇のパレスチナ』、『闘神』など著書多数。
  • ズームーデイズ(小学館文庫)
    3.6
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 妻ある「恋人」カシキとつきあっていた小説家の私は、恋も仕事もうまくいかない日々から抜け出すため、テレビ局で知り合った8歳年下の学生アルバイト、ズームーと暮らし始める。服装やヘアスタイルに細やかに気を配る繊細な心の持ち主であるズームーは、カシキでは得られない大きな安らぎと平穏を私にもたらす。しかしひとたびカシキから電話で呼び出されると、真夜中でもタクシーを飛ばしてすぐに会いに行ってしまう私。新直木賞作家が、辛い恋と安らかな恋の間で、激しく揺れ動く「厄介な私」を描いた甘美で愚かで危険な恋愛小説。
  • 湖畔亭
    5.0
    温泉地の老舗旅館に、ひょっこり現れた初老の小笠さん。悠々自適の湯治客と思ったら、ある日、湯番を買って出た。湯かげんはもとより、料理、笛に新内、なんでもイケて、物腰もやわらかく、にこっと笑えば名推理。難事件をつぎつぎ解決し、人助けに精を出す。そんな「小笠さん」の正体は……? たっぷりのお湯と美味とユーモアで、心の底から温まる連続小説。
  • 夏花
    -
    著者のもっとも多作だった時代の秀作を集めた短編集。鋭い感性と美貌ゆえに奔放に生きた女性が、自ら崩れていく薄幸な宿命を描いた「傍観者」「夏花」。青春の清冽で一途な恋愛を、谷間の自然の中に描いた「伊那の白梅」、「石の面」「かしわんば」「薄氷」「騎手」「失われた時間」「暗い舞踏会」の九編を収録。愛ゆえに数奇な運命をたどる男女を淡々と描いた名作選。
  • 三ノ宮炎上
    -
    “そのころ、わたしは三ノ宮ではいい顔だった”太平洋戦争敗戦直前の神戸・三ノ宮。荒廃して行く人々の間で時代にあらがい、野生の純粋さをもって満たされぬものの中をひたむきに生き抜く、美しい不良少女の姿と、戦災で燃え落ちる街への挽歌を奏でる表題作ほか、女性心理の妖しい美しさをリリカルに描く傑作九篇を収録。
  • 火の燃える海
    -
    海にきらめく不知火のように、燃えて消えていった愛のいたみ。戦前から戦後の14年間にめぐり会い、別れ、おし流されていった石見光二が、かつて有明みよ子の眼の中に見たものは激しい愛情に燃える火ではなかったか。男女の交情と流離を香り高く描く表題作ほか「ある旅行」「訪問者」「盛装」など十篇を収録。
  • 楼門
    -
    出世欲も捨て、名聞とも隔てられた男の孤独、倦怠、憂悶、諦念が、古都の楼門を冴え冴えと照らす白い月に浮かび上がり、凄絶な絵画のように描かれた「楼門」ほか、人生のさりげない側面を淡々とした筆致で描き、垣間見る一瞬に生の真実をとらえた「ある日曜日」「北国の春」など心に沁みる珠玉の十編を収録。
  • 白い牙
    -
    “わたしの憧憬。わたしの夢。わたしの悲願。わたしの生命。……”ガラスの破片のようなきらめきと危うさを持つ沙夷子の愛は、療養中の妻ある学究の徒・康之へはげしく傾斜する。乱脈な父母の生活、大人の愛欲の世界への嫌悪から、純粋で観念的に育ってゆく少女の愛のかたちを、リリックに描いて、幼い愛の終りを予見する。
  • 冬の月
    -
    過ぎ去った日々のきらめく記憶の断片、懐かしき伊豆の海、山……。数十年を経て相見える旧友との交情、ふたたび蘇って来る若き日の情熱。少年の頃の肉親や、新聞記者時代の体験から生まれた、著者のロマネスクな世界を淡く、涼やかに描きだす珠玉集。表題作のほか「土の絵」「ある交友」「明るい海」「海の欠片」「四角な石」など九編を収録。
  • 青葉の旅
    -
    愛別離苦――たまさかの出会いに垣間みる人生の断片、愛の余情を描き、男と女の哀しみとわびしさを浮き上らせる珠玉集。結婚20年を迎えた妻の哀愁にみちたひとり旅を描く表題作のほか「波の音」「良夜」「トランプ占い」「別れの旅」「冬の外套」「一年契約」「春の入り江」「城あと」の八編を収録。
  • 更紗夫人
    3.5
    五年前に夫を亡くし、更紗染にすがって生きてきた紀代。初の展示会は著名人が集い盛況だったが、新聞記者の丸尾に「更紗は道楽か」と問われ、紀代は自分の甘さや未熟さに気づく。年下だが頼れる丸尾に、紀代は好意を抱き始める。亡夫の友人、岩永も、彼女の作品をまとめ買いするなど陰で支えていたが、ある日――。ふたりの男性の間で揺れ惑う女心。切なく交錯する想いを描く、至高の恋愛小説。
  • 一滴の夏
    -
    故郷を捨てた二十歳の青年が、1年の放浪の後、洪水でめちゃめちゃになった故郷へ帰ってくる。荒廃した町を憑かれたように徘徊する彼の内部に、荒涼としたものに立ち向かう青春の意志が芽生える…。鬱屈した青春の煩悶を生き生きと描いた『一滴の夏』ほか『恋人』『隣人』『冬の皇帝』など、全7編を収録した秀作集。
  • 鳥たちの河口
    -
    河口の鳥の観察に熱中する失業中のカメラマンは、飛翔する鳥たちが、すでに自然の習性を失いつつあることに気づく。方向感覚が狂い、季節はずれに渡来する鳥たち。油でよごれた港辺に漂う鳥の死骸。荒廃する河口でおこる鳥たちの異変に、現代の不安と焦燥を的確に描く表題作はじめ、全5編収録の初期短編集。
  • 小銃
    -
    【第32回芥川賞受賞作収録】軍隊生活の失意のどん底で、望郷の思いをたくした小銃とのめぐり会いをユーモアをまじえて描いた表題作「小銃」。アメリカン・スクールを見学にでかける教員たちの集団に、戦後の戯画化された人間像を映し、植民地化された日本への諷刺をきかせた芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」など、独自の文学領域を開拓した著者の初期短篇9篇を収録。
  • 小町変相
    -
    女としての魅力を失いながら、ライバル梅乃の息子との愛欲に身を灼く女優・後宮麗子は、舞台と現実の世界の交錯する中で、終身、彼女への変わらぬ恋を誓う老国文学者・信楽の「小町変相」の脚本を手にする。謡曲「卒都婆小町」に材を取り、現実の情欲の世界と、妖しくゆらぐ女心の転変を古典と現代に重ね合わせてくりひろげる。
  • 円地文子の源氏物語 巻一(わたしの古典シリーズ)
    3.7
    1~3巻495~605円 (税込)
    紫式部の筆になる『源氏物語』は、光源氏の物語といってもいい。類いまれなる美貌と才能にめぐまれた光源氏は、古来、日本を代表する美男として、あまりにも有名である。帝の愛子として、誕生から成婚までの「桐壼」の巻から、空蝉に再会する「蓬生・関屋」の巻までを収録。起伏に富んだ光源氏の青春時代の明暗を描いて、現代語訳に生涯を賭けた著者の精髄ここに結実。
  • 雪燃え
    5.0
    茶道・綾小路流の若宗匠との出会いは、薄幸な萩乃の運命を大きく変えた。天性の美貌と才智を武器に、数かずの男性遍歴をかさね、野望は次第にふくらんでゆく……。嘘と虚栄の渦巻く茶の湯の世界を舞台に、艱難辛苦の末、ついに家元の後見人にまで昇りつめた一女性の哀歓を、流麗なタッチで綴る長編力作。
  • ソウルの位牌
    -
    【すばる文学賞受賞作】父の位牌と古ぼけた一枚の写真を手に、ソウルへと向かう。かつて海軍兵学校入学を志しその折り、父が朝鮮人であることを知って以来35年…。ソウルの街から大田から、叔父が叔母がいとこたちが集まってくる。写真の中の親類たちとの、温かく、懐かしい、初めての“再会”。「すばる文学賞」受賞の表題作ほか「海の向うの血」、「鉦」を収録。
  • マーシャに
    -
    1巻495円 (税込)
    ロンドンに留学中の版画家コウヘイは、ある日、図書館に勤める若く美しいマーシャと出会う。日本に妻子を持つコウヘイと、両親の離婚がトラウマになっているマーシャ。おずおずとした交際は、やがて激しい愛欲をともなった、のっぴきならない恋愛へと変貌する。行きどまりの恋の顛末を、繊細に、同時に赤裸々に描いた恋愛小説。
  • 玩具
    4.3
    【第53回芥川賞受賞作収録】寸暇を惜しんで、ひたすら小説を書き続ける売れない同人誌作家の夫。そして、その夫の心の動きに一喜一憂しながら、こまやかな愛情をふりそそぐが顧みられぬ妻。破局寸前にありながら、奇妙なバランスを保つ夫婦関係の機微を、質実で丹念に書き込んだ、第53回芥川賞受賞作品「玩具」他、著者独自の文学世界を構築する四篇を収録。
  • 女

    2.0
    “女”は可愛く、愛らしい。が時として底意地が悪く、また嫉妬深い――。かつて妻子ある教師と心中未遂事件を起こした東尋坊にいま、亡母の墓参りに夫と訪れた。何も知らない夫のひたむきな労りに心やすまるが、この安らぎもいつ崩れるか知れない。男と女の脆い結びつきを描く「蟹の爪」ほか、短篇五篇を収録。
  • 凍蝶
    -
    恋も諦め自己を捨て、ひたすら生き甲斐にしてきた弟の再婚が大恋愛の末と知り、打ちのめされたような虚無感に襲われる秋代(「凍蝶」)。旅先で思いがけなく再会した男の誘いを無視できず、同行の友人をまいてまでホテルで待つ男に電話する人妻菊子(「水仙」)。日常の中の非日常な出来事を、こまやかな洞察としなやかな筆致で描く珠玉の短編集。表題作他8編を収録。
  • 石の蝶
    -
    昭和初年、飢饉と恐慌のふき荒れた時代に、吉原で若い生命をすり減らしていった遊女・さよ。貧困から品物のように売買され、閉ざされた世界から一歩も外へは出られず、一年中一日の休みもなく客をとらされた遊女さよ。傷つきやすい魂と肉体を備えた一人の少女の屈辱と絶望の半生をヒューマンなタッチで描く長編野心作。
  • 火の車
    -
    「日本なんて、車で三、四時間もぶっとばせば海でも山でも行けるんだ。好きなところで暮らそうぜ」と身重の妻と乳呑み児とわずかな全財産を小型トラックに積み、新天地を求めて出かけた信次。しゃにむに生きる青春を軽妙な筆致で描く表題作「火の車」。ほかに「荒れた光景」「この陽ざかりに」の3編を収録。著者の青春時代の思いをもとにしたストーリー。
  • 途方にくれて
    -
    アメリカからヨーロッパ、そしてアジアと自由気ままにさまよっている“ヒゲ”に、ぼくは沖縄にむかう船の中で出会う…。金のない二人が陸に上がってありついた仕事は、怪しげなナイト・クラブのボーイ。ヘマとドジ、涙と汗、喧嘩と恋の日々に見いだしたものは…。途方にくれた青春の彷徨を、きびきびとした文体で捉えた表題作ほか、四編を収録した傑作集。
  • 星と月の夜
    -
    年老いたバーテンダーひとりの銀座のバーに、仲間のバーテンダーと若いホステスが連れ立って現れる。彼女を相手に二人の男は昔話をする。そして夜明けのホステスの部屋で、三人の間に不思議な優しい時間が流れる。(『星と月の夜』)夜の銀座、大学のキャンパス、公園、学生街の食堂……。さまざまな場所を舞台に男と女は出会い、愛し合い、別れ、そして傷つく。表題作ほか9篇の短編を収録。
  • 彼等(凜一シリーズ)
    4.1
    東京で受験生としての日々を送る凜一。京都の大学でフットボール部の主力選手として活躍する享介。遠く離れていてもこの思いは伝わっているはず―そう信じていた凜一だったが、京都を訪れた折りに、享介の意外な姿を見てしまう……。絡み合う周囲の人々の思惑、行き違いやためらいをのりこえて、ゆっくりと心は結ばれていく。二度とない、ふたりの季節を描く、好評シリーズ第3弾。
  • 碧空(凜一シリーズ)
    4.3
    高等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凜一は、遠く京都の大学へ入学しフットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、ひとり過ごしていた。そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、凜一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凜一。はなればなれになりながらもお互いを求める少年たちの思いの行方は……。好評シリーズ第2弾。
  • 白昼堂々(凜一シリーズ)
    4.0
    1976年初冬。由緒ある華道家元の若き跡継ぎである原岡凜一は、従姉・省子の男ともだちだったアメリカンフットボール部のエース氷川享介と出逢う。その邂逅が、やがて二人の運命を変えていくことに……。冬から春、やがて夏へと移ろう季節の中で、彼等の思いはどこへ向かうのか。凜一の希みは叶えられるのか。少年たちの切ない恋を描く好評シリーズ第1弾。
  • 鳩の栖
    3.9
    水琴窟という、庭先に水をまくと珠をころがすような安らかな音が鳴る仕掛け。操がそれを初めて知ったのは至剛の家の庭だった。孤独な転校生だった操を気遣ってくれた爽やかな少年至剛。しかし、快活そうに見えた彼には、避けがたい死が迫っていた。病床の至剛の求めるまま、操は庭の水琴窟を鳴らすのだが……。少年たちの孤独と淡い愛情、儚い命の凛々しさを描く表題作など珠玉の短編五編。
  • 上海少年
    4.1
    今日も波止場に大陸からの引揚船が着く。睦は独りそれを待っていた。あの海の向こうの都市で過ごした、失われた幸福な日々。生き別れになってしまった兄と阿媽(アマ)のことを想いながら――。そして、港町の一角に出来た華人の市場で、彼は懐かしい上海から来たという、不思議な男に出会う……。過ぎ去った時代に生きる、少年たちの姿を詩情豊かに描く作品集。
  • 普賢
    2.0
    【第4回芥川賞受賞作】頽廃と汚辱にみちた日々を無気力に生きる「わたし」の前に、長い間恋いこがれてきた旧友庵文蔵の妹ユカリが、特高警察に追われ、呪詛にみち、荒んだ姿であらわれる。戯作派といわれる著者が大胆に危機感を現出して、絶望からの再生を描く。第4回芥川賞を受けた表題作のほか、処女作「佳人」ほか「葦手」「秘仏」を収録した初期短編傑作集。
  • 天城峠
    4.0
    修善寺から下田行のバスに乗り、季節はずれで客もない温泉場をいくつも抜け、湯が島を越す……。若い頃、放埒がもとで妻子と別れた、芝居の裏方の録太郎は、若い役者啓三と一泊旅行。病弱の録太郎に若者のような明日はない。来し方行く末に想いを馳せながら、録太郎は最後の煙草に火をつけた……。表題作ほか池波文学の原点ともいうべき気迫に満ちた初期短編6編。
  • はるかな町
    5.0
    友達の姉さんへ寄せた淡い想い、夏期休暇の映画会、放課後の図書室、校庭のポプラの樹々……。過ぎ去った少年の日への懐かしみを、詩人、作家である著者が磨かれた感性で豊かに綴る青春の日の讃歌。“はるかな町”へあなたを誘う創作集。33編収録。
  • 砲撃のあとで
    3.6
    【第69回芥川賞受賞作】「少年は疾走していた。木々の葉の間を縫って光は斜めに射し、放射する幕のなかで狂ったような霧が踊っていた」。敗戦で秩序の破壊された大陸で、無法と死に追われる少年の目に、飢えと疾病に晒された世界が焼きつく。芥川賞受賞作「鶸」をはじめ「砲撃のあとで」「曠野」「竪笛」「流れのほとり」など、戦争の生々しい傷あとを描く連鎖状作品を集める。表題作含む14編を収録。
  • 臨3311に乗れ
    3.9
    戦後の荒廃と混乱の中で、資力もバックも、信用もないが、先見性と野武士的勇断を武器に、新しい世界に切り込んでいった男の集団。幾多の試練を持前の精神力と不可能を可能にする不撓不屈のバイタリティで克服し、ついに日本有数の旅行業社にまで発展させた男の野望と情熱を活写する実録企業小説。
  • 華麗なる疾走
    -
    モンテリ24時間レース。轟く排気音、爆走する高性能車。オイルが焼け、タイヤがきしむ。夜を徹して熱狂する観衆。呼び屋稼業に失敗し、逃げるように海外へ出た牧は、久しぶりに胸の高鳴りを憶えた。このレースを日本に……。その瞬間から、自己の再起と男の意地を賭けた一匹狼の闘いが始まった。
  • オレゴン夢十夜
    -
    「私」は日本人の女に絶望する。そして女を女たらしめている男にも絶望する。いたたまれず、憑かれたように飛行機に飛び乗り、はるかオレゴンの深い森に降り立つ。さあ、ここからなにが始まるか? 少女以来見続けてきた夢の実現か。あるいは、愛によって生きる人間らしい生き方の確認だろうか――。奔放に飛翔し、漂う自由な精神を力強く描く長編。
  • 来宮心中
    -
    “どうしても別れなきゃならなかったら、死んじゃいましょうか”人妻である房枝との恋が行き詰まった時、もし彼女が死のうというならば、自分が尻込みすることは許されない。若き日にフランス文学を学んだ著者が、その夢を日本の風土にとけこませ、浄瑠璃のように語り流す表題作ほか「黒髪」「逆杉」「停電の夜」「春の夜の出来事」など収録の珠玉作品集。
  • おとしばなし集
    -
    江戸戯作の深い造詣にささえられた、石川淳の軽妙な話体による“おとしばなし”と、世界名作のパロディ。おとしばなし堯舜・李白・和唐内・清盛・業平ほか。小公子・蜜蜂の冒険・乞食王子・家なき子ほか。小説の約束事に拘束されない、自由で楽しい小説集。
  • あひる飛びなさい
    -
    “商法の法は魔法の法や”と闇市から身を起こし、一大観光事業をめざす横田大造元兵曹──。“日本人の手で、日本の空を”を合い言葉に、国産飛行機誕生に一生を賭ける加茂井元技術中尉──。戦後の混乱期を舞台に、独自の道を歩む2人の男の奇妙な友情を、軽快かつユーモラスに描く感動作。
  • 軍艦ポルカ
    -
    パチンコが好きなのではない、軍国主義者では決してない。私が「軍艦マーチ」にこだわるのは、ただそれが何ものにもかえがたい青春の苦悩と歓喜そのものだからなのだ……。若い海軍士官時代を回想したユーモアあふれる表題作ほか、温かい善意に裏打ちされたエスプリが光る軽快な作品集。
  • ゆめぐに影法師
    -
    ガンで死んだ作家のキョーコ、交通事故死した通訳のヨーコ。二人の美人ユーレイが、生前果たせなかったアメリカへの旅へ。ヴァージニア、ニューヨーク、アルバカーキ、ニューイングランド、デンバーなど。それぞれの街の光、風、匂いを感じながら、若い二人が引き起こす愉快な出来事とは……。著者の新境地を拓くファンタスティックな物語。
  • 風と旅とオートバイ
    -
    1巻495円 (税込)
    自由を求めて走るだけが旅じゃない、自分を求めて走る心の旅もあるのだ 「オートバイ乗りは見慣れた風景のなかを走っているのに、どこか違う世界に迷いこんでしまったような感覚で、今日も自ら風を起こして風景のなかを走り抜けていく」「束の間、日常生活から離れ、独りの旅人になることで心の扉が開かれる」  本当の自分を求めて彼らが繰り返す小さな旅の終わりは、より大きな新たな旅の始まりなのだ…。心の旅をテーマにした珠玉の短篇12篇を収録。 ●斎藤純(さいとう・じゅん) 小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。
  • 産婦人科病棟
    3.5
    この春、高校を卒業した志賀有紀子。白百合産婦人科病院に就職、働きながら准看護学院に通っていた。妊娠7カ月の妊婦の掻爬に立会った。結果、患者は息をひきとった。「あんたたち、今夜のこと、絶対、誰にも言ってはなりませんよ」婦長は何回も念を押した。こんなこと黙っているなんて私できません、反論できない自分が、みじめだった。人間不信、医療不信を描く、衝撃のドキュメンタリー小説。
  • 看護婦物語
    5.0
    1~2巻495円 (税込)
    S大学病院看護婦舞川苑子は、看護学校を卒業して3年。脳神経外科の織田医師に恋したが、彼は苑子を捨て、同僚の看護婦と結婚した。失恋の痛手は大きく、病院をやめると、故郷の産婦人科病院に勤めた。「特異体質」の従妹の出産に関わるが、母子を死に追いやってしまう。愛する人を失い看護婦としての自信を失ってしまった苑子。――看護とは何か、人間とは何かを追求したドキュンタリー小説。
  • 嫉妬
    3.5
    夫に、女がいた……。エリートサラリーマンの夫とインターナショナル・スクールに通う娘に囲まれ、幸せな生活を送っていた麻衣。しかし、週末に家族で訪れた友人の海の別荘で、偶然ある事故に巻き込まれ、夫の浮気を知ることになる。その日を境に壊れたように夫を問い詰め始める麻衣。次々と明らかにされる秘密。女と男の激しくも、繊細な心の葛藤を描ききった表題作ほか3編を収録。
  • 傷

    3.0
    青春は、最も光り輝き、また絶望の時――。いったい私にとってヴァイオリンは何だったのか。恋人の焦燥と怒りで、左手を傷つけられた私に、皮肉にも亡き恩師ロゼーから名器グァルネリが贈られた。単身パリへ飛んだ私を待ち受けたのは、甘美な新しい恋だった――。女ごころの葛藤をきめ細かく描く!
  • 情事
    3.6
    【第2回(1978年)すばる文学賞受賞作】「自分が、若さを奪い取られつつあると感じるようになると、反対に、性愛に対する欲望と飢えが強まっていった。セックスを反吐が出るまでやりぬいてみたいという、剥き出しの欲望から一瞬たりとも心を外らすことができない期間があった」夏の終わり――夕暮が突然輝きを失い、若さへの不安が私を奔放な性に駆りたてる。情事をひたすら追求して、“すばる文学賞”を受賞した話題作。「誘惑」も併載。
  • 岸和田少年愚連隊
    3.8
    1~7巻495~605円 (税込)
    ここは大阪、岸和田の春木町。競輪場や競馬場が詰め込まれ、ヤヤコシイ大人たちがウヨウヨいる小さな町。とにかくケンカに負けることを嫌い、顔でも腫らして帰ってくれば、「勝つまでやめたらあかんど」と送り出される。そんな土地でチュンバは育った。とどのつまりはツレの小鉄とケンカに明け暮れる毎日に。恐れるものなど何もなく、肩で風を切っていたあの頃――。超人気シリーズ第1弾。
  • 風に顔をあげて
    5.0
    高校を卒業してから「プロのフリーター」を自称し、アルバイトで一人暮らししてきた風実(ふみ)。でも25歳になって、将来に不安を感じるように。そんな時、ゲイをカミングアウトした高校生の弟が実家から逃げてきた。さらに、プロボクサーを目指す恋人がケガでボクシングをやめると言い出して……あっちもこっちも問題山積みの風実の明日は? ままならない日々を頑張る女性に贈る、共感たっぷりの物語。
  • 復讐プランナー
    3.9
    中学校に入ってまもなく、突然いじめられる日々がはじまった雄哉と章司。怒りと悔しさに立ちすくむ二人の前に、「復讐計画を考えるんだ」と誘う不思議な先輩が現れた―。あさのあつこが贈る、生き抜くための青春小説。その後のプランナーたちの活躍を描いた、書き下ろし続篇「星空の下で」を特別収録。

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