ぅぐあぁぁぁ……ハウゥゥ〜!
たまらん……。私もぎゅってしたい……。
小気味良いリズミカルな文体と、淡々とした描写の中にあるシュールかつコミカルな筆致がぐんぐん読ませます。
もう表紙(ハウ単体のデザイン)の段階で心臓撃ち抜かれてるんですが、予想しているよりもかわいいんだろうなと予想しておいて、その
...続きを読む予想を超えてかわいかった。
しかし、あらすじを読んでなかったもので、ストーリーが思わぬ方向に流れていって、ややびっくり。
まるで、かの直木賞受賞作「少年と犬」のような短編連作ワンコロードムービー。
道すがら、愛と癒しと赦しと救いを振りまきながら最愛の「とうちゃん」への帰還を目指すという。
辞書で「健気」って引いたら「犬のこと。例:多聞、ハウなど」って書いてるんじゃないかってくらい健気。
おバカでどうしようもないワンコでもかわいくて仕方ないのに、ハウのお利口さんぶりと健気さ。まさに神から遣わされしギフト。
震災の傷跡も少しだけ感じさせ、より「少年と犬」を思い出しました。
それにひきかえ、民夫パート。
オモシロとヤキモキががっぷりよつ。
そのうちヤキモキしすぎて「志村ー!後ろ後ろ!」のリズムで「民夫ー!生きてるー生きてる!」って叫ぶ(心の中で)
おそらく、その時、その瞬間、真にハウを求める者の腕の中がハウの居場所なんだっていうハッピーエンドなのかもしれないけど……だけれども……ハウの気持ちわーいっ!「とうちゃん」だけを心の支えに帰ってきたのにっ!
ハウは賢いからわかるんだろうね。「とうちゃん」はもう大丈夫って。この家族が今自分を必要としてるって。
でもなー。また「とうちゃん」と散歩させてあげてよ。また「とうちゃん」とテニスボールで遊ばせてあげてよ。本物の声で「ハウ」って呼んであげてよ。
あえて読者の欲求を100%満たすことはせずに、正しく着地したこのエンドは、ばっちり爪痕を残したので。多分作品としては成功。
ところで「サイトウヒロシ」って聞いたら、ルドルフの方の「斎藤洋」さんが先に思い浮かんでしまうけども、この「斎藤ひろし」さんは脚本家なんですね。けっこう大きな作品ばかり。凄まじくさくさく読めてしまったのは、やっぱり脳内で映像化がしやすいからなのでしょうか。