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Posted by ブクログ
鋭利な刃物のような残酷さ、墨で塗りつぶしたように手の施しようが無い「黒さ」が、本書の至る所に散らばっている。
本書のタイトルから、甘くて切ない内容を期待して読み始めると、軽く怪我しそうなくらい、とにかく「鋭く」「黒い」。
短編より更に短い掌編小説が二十編以上詰まった本書は、恋愛というよりも女のサガが色濃く描かれている。女という生き物が持つ重くて暗くてどぎつい部分が、これでもかという程に。
各物語の、その短さ故にディティールがことごとく削られているからか、さらりと読めるどころか、一話一話が強烈で異様な読後感を放っている。全ての物語が、人物たちが、長編に出来そうなポテンシャルを備えているからだろう。
中でも「壊れゆく女」「罠」「計画」「電話」などは、もう殆どホラーのジャンルに入るかもしれない。「嘘つき」も同じく哀しい話だけれど、イソップ童話のような寓話的な教訓めいた印象もあって、個人的には結構好み。又、「幸福の代償」はかなりシビアで痛烈。不倫の行く末を経済的な現実として描かれている話は稀で、メッセージ性もある。
そして何より哀しくて痛々しいのは、彼ら・彼女らが、どこにでもいると思えてしまうからだ。「いそうだな」「ありそうだな」と思える話ばかり。更に付け加えると「いつの時代にも」。
意地悪かもしれないけど、恋愛に揺るぎない幻想を抱いている人にこそ勧めたい。
Posted by ブクログ
唯川さんの本を初めて手に取ったのは二十歳の頃だった。あれから十年、たくさん恋をした。でもちっとも上達しない…。唯川さんの描く女性たちの抱える闇に危うく引きずり込まれそうになる。
昔は単純に好きかそうじゃないか、それだけ考えれば良かった。いつの間にか、ただお互い好きなだけでは付き合えなくなって、慎重に選んだはずの相手にはときめかないし、年齢や周りの結婚に追い立てられて逃げ場がない。お別れする度、また1から誰かを探す道程にぞっとする。それでもずっと1人ではいられないから、立ち止まることはできない。この繰り返しに疲弊して皆結婚するのだろうか。いっそ出家すればこんな思いを2度としなくて済むのか。
いつか、今の苦しさも懐かしく振り返るようになるのだろうか。好きだから離れるしかなかった恋愛にも意味はあったと思えるように、全てを消化できるのか。
生まれ変われるなら来世は犬か男性がいいな。
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