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Posted by ブクログ
全6篇の短編集。
*仕舞い夏の海
海の表現がとても好きだと感じた。いつか行ってみたいと思った。
ラストで過去の女性ではなく、今の家族を選択した主人公に感動した。
*うちの猫は鼠を捕りません
BARのマスターの雰囲気がとてもよかった。ラストには驚愕した。
*夢女房
人はあまりにも簡単に変わってしまうんだなと感じた作品だった。自分も何かの切欠で大きな間違いを犯してしまうのではないかと恐怖した。
*お花見しましょ
'それほど親しくない'2人が1点の作文によって関係が変わっていくのがよかった。自分も親友のことを考えさせられ、また、花見に行きたいと思わせる作品だった。
*蛍女
元盗賊である坊主、我丈に不思議と惹かれた。山姥のような話だと感じた。これからは蛍に少し恐怖しそうだと思った。
*もう一度さようなら
『仕舞い夏の海』の姉妹編。ここでは、仕舞い夏の海での主人公達樹の娘が主人公。
作中での事故は東北の震災を思い出させた。突然に襲ってきた衝撃、もしかしたら死んでいたかもしれない状況で、他人を思いやる人々に心を打たれた。病床に着きながら、意識の中で事故にあった娘を助けようとすることに感動した。決して濃密に他者と結びつこうとしなかった男が、妻の死の予感に心を動かされた時、人って素敵だなと思った。
全編を通して、人というものを考えさせられたように思う。とても面白かった。
Posted by ブクログ
怖かったり、切なかったり、温かい気持ちになれたり、様々な感情を呼び起こされる短編集でした。海の美しさと青さを描く「仕舞い夏の海」は文章力の高さに惚れ惚れとしながら読みましたし、達樹の傍から茉莉がいなくなってしまう寂しさも伝わってきて、引き込まれました。「うちの猫は鼠を捕りません」では夢を見ているかのような気持ちにさせてくれる不思議なBARの雰囲気と、仲の良かった夫婦が引き裂かれていく様子を堪能することができました。「夢女房」では時代劇を見ているかのような気分で読むことができました。下駄を作る職人である矢八の妻を想う気持ちと、受けた恩に報いようとする姿には胸を打たれるものがありました。どうして和之介が矢八の妻をあやめてしまったのか、それだけがよくわかりませんでしたが、商人として生計を立てなければいけない緊迫感や使命感はよく伝わってきました。個人的に好きな短編は「お花見しましょ」です。仲が良かった友達が川で溺れてなくなってしまった悲しみと、その友達の体調が悪いと知っていながら釣りに誘ってしまった後悔の念がよく伝わってくるお話でした。それでいて、なかなか心の距離が近くならなかった優衣と最後は通じ合えたのも良かったです。一番恐ろしく、人の怨念というものを感じたのは「蛍女」でした。他人の命や金を奪うことになんの抵抗感も抱いていなかった我丈が、生き方や名を変えても怨念に苛まれ続けるという展開に、背筋が凍るような思いをしながら読むことができました。
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