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Posted by ブクログ
文庫化されたので再読。デビュー作にして入門編。文章も内容も平易でとても読みやすい。
価値観の多様性、信じるものの有無、あらゆる前提がまんべんなく粉砕されているこのご時世。
すでに崩壊のカタルシスすら無効という世界において、円城塔さんの作品には純粋な「フィクションの愉しみ」がある。
でかい一発を知るがゆえ、人はさらに同等かそれ以上の一発を期待しすぎ、体力勝負で自分に負ける。歪んだ愛情を留保して、野次馬に身をやつし、レビューで★を減らす。知識による自家中毒でどこまでも人は堕ちて行き……、話が脱線してしまった。
空から人が降ってくる町、ファウルズ。主人公の仕事はバットとユニフォームを身につけて、降ってくる人をレスキューすること。
もちろん成功した前例などはなく、屁理屈のような物理学まで持ち出しては悶々としている主人公の姿が可笑しくてしょうがない。
しかし不思議と胸を打たれてしまうラスト。(バットだけに)
表題作は、自身の「書く」という行為への宣誓だと思うし、亡くなった伊藤計劃さんの遺稿を書き継ぐことになる男気にも重なる。
今、文学やフィクションを語るうえで、この作品を外すことは考えにくい。
Posted by ブクログ
表題作と「つぎの著者につづく」の2編を収録したもの。
1年に1度空から人が降ってくる町の話である「オブ・ザ・ベースボール」は円城塔としては意外にも読みやすい。
なんで人が降って来るのかとか、なんでその救助隊がバットで降ってくる人を打ち返すのかとか、それはそれとして、町のこと、人が降って来ること、主人公を含めた救助隊の活動のことなど面白く読める。
解説にもある通り円城塔入門と言える作品で、これはこれで難解だとは思うのだが、がっつり難解さを求めているならちょっと物足りなく感じるかも。
ただそれも大丈夫で、「つぎの著者につづく」が、「オブ・ザ・ベースボール」がなんだったのかと思うくらい難解な内容になっている。
語り手である私が批評家にR氏なる人物との類似性を指摘され、謎めいたR氏について語られるのだが、これが途中で一体誰のこと、何のことについて語られているのか???になってしまう。
多くの先行文学を参照している多数の注がより難解さを増しているようにも思える。
「つぎの著者につづく」はいつも通りに思えるが、珍しく読みやすく感じる「オブ・ザ・ベースボール」を読むだけでも価値がある一冊だと思う。
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