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株式会社タイムカプセル社 新版 十年前からやってきた使者 (喜多川泰シリーズ)
【プレゼントにおすすめ】著書累計115万部! ベストセラー作家 喜多川泰がおくる、あなたの再出発を応援する物語と“クリスマスの奇跡” <人生は、いつでも、何度でも、どこからでも、やり直せる。> 45歳で仕事も家族も失った英雄は、株式会社タイムカプセル社という一風変わった会社で働くことになる。 未来の自分に向けて書いた手紙を、数年〜数十年後に配達することを事業とする会社だ。 配属されたのは<特別配達困難者対策室>。 仕事内容は、さまざまな事情で配達不能になった人たちに直接手紙を届けにいくというものだった。 英雄は上司の海人とタッグを組み、2週間のうちに5通の手紙を届けるという任務につく。 大阪、北海道、東京、そしてニューヨーク。 各地で手紙の受取人と出会い、それぞれの人生に触れていく中で、英雄は自分の本当の気持ちに気づいていく―― ▼幅広い年代の方から、感動の声が続々と届いています! すごく感動しました。喜多川さんの本ははじめてでしたが、大好きになりました。(10代女性) 良いことも悪いこともすべてがムダなことなんかなく、1人1人の人生において大切なすばらしいものであると実感しました。(20代女性) 会社の先輩から薦められ、喜多川さんの本を読み始めました。本当にすてきで励まされる本です。(30代女性) とても感動しました。過去の私の選んできた道が、ひとつでも違えば、今の私はいないんだとわかり、過去に経験したつらいことすべてが必要だったし、良かったことに思えました。(40代女性) 現状にあきらめず、自分を信じて、前に進む気持ちになれました。書ききれないくらいの言葉が心に響き、元気が出ました。(40代男性) 電車の中で読んでいたのですが、本の世界に入り込んでしまって乗り過ごしそうになりました。あっという間に読めた反面、読後の深い余韻にはまってしまいました。(40代男性) 過去の自分が今の自分に希望の光を与えるんだということ、自分でも行動しなくちゃと心が動かされました。感動でした。(50代男性) 何度も涙しました。忘れかけていた思いを思い出し、人生のやり直しのきっかけをありがとうございました。(60代女性) 喜多川 泰(きたがわ・やすし) 1970年生まれ。愛媛県出身。東京学芸大学卒。 2005年『賢者の書』(ディスカヴァー)にて作家活動を開始。『君と会えたから……』『手紙屋』『運転者』(以上すべてディスカヴァー)など続々とベストセラーを発表する。 2013年には『「また必ず会おう」と誰もが言った。』(サンマーク出版)が映画化され全国一斉ロードショー。他にも『ソバニイルヨ』(幻冬舎)、『書斎の鍵』(現代書林)など、意欲的に作品を発表。その活躍は国内にとどまらず、海外でも人気を博す。 ※本書は二〇一五年に弊社より刊行された『株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者』に加筆・再編集したものです。 -
二重らせんのスイッチ
俺は犯人なのか――。 強盗殺人容疑で逮捕された、桐谷雅樹。 証拠は全て雅樹の犯行を示す! 最注目の著者が描く、"冤罪"ミステリー。 「桐谷雅樹。殺人の容疑で逮捕する。午前八時十一分」 2015年2月、桐谷雅樹の“日常"は脆くも崩れた。 渋谷区松濤の高級住宅地で飲食店経営者が殺害され、現金およそ二千万円を奪われる事件が起きた。凶器が購入された量販店の防犯カメラに映っていたのは、まぎれもなく自分自身の姿。 犯行現場から検出されたDNA型は雅樹のものと一致する。紙で切ったはずの手の傷跡、現場付近で寄せられた目撃証言……。すべては雅樹による犯行を示唆していた。 やはり俺が犯人なのか――自らの記憶、精神をも疑いはじめた矢先、雅樹の不在証明が偶然にも立証される。 しかし、待ち受けていたのはさらなる苦難だった――。 -
お化けのそばづえ
おれのせいで人が死ぬ。それでも生きたかった――。 生まれてこの方、須磨軒人(すま・のきひと)に安心できる場所はなかった。 どこにいてもお化けに苛まれる。人に憑りつき、人を殺す“真っ黒なお化け”に。 そのために友達もできず、お化けに対して理解を示そうともしない父親とも縁を切るはめに。 しかし、結婚し、家族を持った軒人はもう逃げるわけにはいかない。 なぜ自分にばかりお化けが出てくるのか? 父は本当にお化けが見えなかったのか? お化けとは一体何なのか? 謎を抱えたまま、軒人はある霊能者を頼ることになるが――。 ――次はおれが、殺される。 Twitterで話題の新星が放つ本格オカルトホラー。 -
永遠の家
推理小説?シリアス?ユーモア? 虚構に潜む陰の真実。独特の語り口が読むものを霧の彼方へと誘いこむ。 芸術の破壊と再創造をめざすスペイン文学の奇才が綴る〈虚空への新たな跳躍〉を試みる腹話術師の悲しくも可笑しい幻想的連作短編集。 【目次】 ぼくには敵がいた 別の怪物 お払い箱 底流 古い連れ合い ぼくが願っている死に方 カルメン 展望台の塔 お話の効果 師のもとを訪れる 下着のままの逃走 永遠の家 解説 【著者】 エンリーケ・ビラ=マタス 1948年バルセロナ生まれ。1985年『ポータブル文学小史』がヨーロッパ諸国で翻訳され、2000年『バートルビーと仲間たち』、次いで2003年『パリに終わりはこない』で世界的に評価される。 木村榮一 1943 年、大阪市生まれ。神戸市外国語大学名誉教授。著書に『ラテンアメリカ十大小説』ほか、訳書にバルガス= リョサ『緑の家』、コルタサル『遊戯の終わり』、リャマサーレス『黄色い雨』ほか。 野村竜仁 1967 年、群馬県生まれ。現在、神戸市外国語大学イスパニア学科教授。おもな訳書に、ビオイ=カサーレス『 パウリーナの思い出に』(共訳)、セルバンテス『戯曲集』(共訳)がある。 -
逆転 シェイクスピア四大悲劇
「オセロ」「マクベス」「ハムレット」「リア王」 愛と裏切りの果て、逆転劇を演じたのはあの脇役だった! これぞまったく新しい解釈と展望による21世紀のシェイクスピアだ。 ――縄田一男氏(文芸評論家)絶賛! 世界の古典文学に人気時代小説家が新たな風を吹き込む四つの物語 「オセロ」―将軍を破滅に追い込んだ男の妻を意外な訪問者が…!?(「イヤーゴの女房」) 「マクベス」―魔女の予言に心を囚われた武将の眼には短剣が…。(「魔女中の魔女」) 「ハムレット」―抜擢した新人女優の拙い演技を見て演出家は…(「幕間 オフィーリア狂乱」) 「リア王」-最愛の娘の一言が父王とと王国の運命を一変させた―(「リアを継ぐ者」) -
今日よりもマシな明日 文学芸能論
「群像」誌上に発表し、話題となった傑作文芸批評をまとめた試みの作家論集。 序論 町田康論 いとうせいこう論 西加奈子論 ほか小山田圭吾、みうらじゅんにも言及。 「自分ならざる者を精一杯に生きる」 “今日よりも少しはマシな明日を迎えるために” ――《芸能》の核心は、この「ウソ/本当」の二分法を貫く、一生懸命で心を込めたいとなみに宿っている。このような意味において、小説もまた《芸能》のいち形態である、と言える。小説もまた、音楽や映画や漫画といった他の表現と同様、ここにはない喜びを、悲しみを、憎しみを、愛しさを現前化しようとする。 小説とは、わたしたちが生きる日常とはまったく異なる出来事が上演される場所だ。作中人物たちはゆたかな世界を演出すべく、小説の舞台を動きまわり、読者の気を引こうとする。そして、彼らの行動を追い、彼らに感情移入さえする読者は、ほんのつかのま、読書行為を通じて、普段の自分とは違う何者かになる。もしかしたら、読むまえと読んだあととでは、世界が一変しているかもしれない。すぐれた《芸能》とはおうおうにして、そういうものだ。 大事なことは、《芸能》の世界が少なからず、現実の世界なり社会なりと異なっている、ということだ。逆に言えば、現実の社会を追認するような《芸能》は物足りない。退屈な社会を生きるわたしたちが、ほんのひとときでも、《芸能》に触れて日常から抜け出す。その逸脱による解放的な喜びこそ、明日以降を生きるための活力となるのだ。 いち生活者の僕は、だからこそ、小説を読む。だからこそ、音楽を聴く。明日以降の生活を少しでもマシなものにするために。――(本書序論より抜粋) -
石を黙らせて
名も知らない女性の人生を、尊厳を傷つけた。 過去の強姦を告白し、婚約者と家族から断絶された男は、 謝罪のために事件を公表し、被害者探しを思い立つ。 せめて罰を受けさせてくれ 罪とはなにか。その罪に許しはあるのか。 『死にたくなったら電話して』の著者が突きつける、このうえなく深い問い。 「謝るというのはある種傲慢な行為であって、自分の本来の気持ちばかりがどうしても滲み出てくる。 それを含めて書いているのが巧みだと思った」 高山羽根子 「性被害については、どうしても被害を受けた女性側が語る立場に置かれることが多い。男性側がポロッと発語することで露わになってしまうもの、発語した瞬間に生じる社会との摩擦といったものがちゃんと書かれている点を最大限に評価したい」 倉本さおり 「この作品には、出来事を終わらせないことの倫理観はあった」 矢野利裕 -
飛び込み台の女王
「飛び込み台の女王」カルラは,ナージャの親友にしてあこがれの選手だった.たった一度の失敗が,すべてを変えてしまうまでは――.激しい変貌をとげる十代,エリート選手として飛込競技に打ち込む二人の少女は,周囲からの期待とプレッシャーにさらされながら,かけがえのない友情を育んでいく.ドイツ児童文学賞受賞作. -
オルレアンの魔女
「オルレアンの魔女」が甦り、監獄の島で惨劇の幕が上がる! 地下道、鉄仮面の女、孤島、魔女伝説……映画祭の町にセレブが集うとき、連続殺人の幕が上がる。数学的論理で謎を解く刑事とソプラノ歌手が辿り着く、現代史の闇。――中川右介(評論家)推薦! 映画の都、監獄島、そして魔女の街へと駆け巡る探偵行! パリ・オペラ座新作公演の主役に抜擢された天羽七音美。原作者レジーヌ・ブラパンがこだわる「黒髪のジャンヌ・ダルク」像にぴったりなのだという。演出家ジャック・ロランの依頼で、七音美は宣伝のためカンヌへ渡る。その頃、パリでは娼婦が丸刈りにされ殺される事件が起こっていた。被害者はカンヌのホテルの部屋番号と「オルレアンの魔女」という謎の言葉が記されたメモを握っていた。捜査にあたる刑事エミールもカンヌへ飛び、そして舞台は忌わしき伝説の残る「監獄島」へ。果たしてオルレアンの魔女とは…… 装画・佳嶋 -目次- Ⅰ東京 Ⅱパリ Ⅲカンヌ Ⅳ監獄の島 Ⅴ修道院の島 Ⅵオルレアン Ⅶカンヌ -
七転びなのに八起きできるわけ
すべてのことわざには謎(ミステリー)がある!―― 「《七転び八起き》だと数が合わないんじゃない?」「《棚からぼた餅》が発生する傾きは?」「《へそが茶を沸かす》ための条件とは?」「《二階から目薬》で殺人は可能?」「《捕らぬ狸の皮算用》の見積もり額は?」「《穴があったら入りたい》ときの穴の深さって?」――普段、何げなく口にしていることわざや故事成語・慣用句だが、いざその言葉の表す意味を〈検証〉してみると、謎や矛盾に満ちたものだったり、現実にはありえないシチュエーションだったりするものがいかに多いことか。さらに、誤解に基づく事象を語源としている場合もあり、かならずしも〈真実〉をついているとは言い切れないものばかりなのである。 こうした「ことばの謎」の数々を前に、ミステリ作家・浅暮三文が立ち上がる! 時に論理的、時に妄想を爆発させて展開、単なる語源的解説にとどまらない自由な発想を駆使した、言葉にまつわる「イグノーベル」的考察を存分に楽しめる超絶エッセイ!! -
「ウルトラマン」の飛翔
●放送開始50年! 今こそ歴史的事実に迫る。 ●驚きをもたらす決定的ドキュメンタリー。 ●かつてない綿密な考証で定説に挑む!! 「こういうことだったのか…!!」証言と各種資料を丁寧に照合し、ヒーロー誕生の軌跡を再現する。 戦後日本最大のヒーロー「ウルトラマン」は、ちょうど50年前、 1966年7月17日放送の第1話「ウルトラ作戦第一号」でブラウン管にその姿を現した。 銀色に輝く巨大宇宙人という前代未聞のアイディアにたどり着くまで、 金城哲夫をはじめスタッフは文字通り産みの苦しみを味わった。 そして誕生したヒーローの物語は、才能溢れる若者達の情熱によって、驚くべき発展を遂げていく。 各メディアで絶賛された『「ウルトラQ」の誕生』の著者が、 いよいよ本丸「ウルトラマン」誕生の軌跡を追うドキュメンタリー第2弾。 証言と史料をつきあわせ、かつてなく丁寧に、限界まで歴史的事実に迫る。 こうしてウルトラマンは飛び立った。 【伝説から歴史へ。】 ・TBS版「WoO」とは何か? ・第1話誕生までの遠い道のり ・作家・金城哲夫の目覚め ・39話で終了したのはなぜか? -
「ウルトラQ」の誕生
・誕生50周年! 名作誕生の軌跡を追う、初の本格的ドキュメンタリー ・綿密な取材と緻密な考察で定説を覆す画期的な一冊! 「WOO」はなぜ実現しなかったのか? 映画界とテレビ界の当時の状況は? なぜ「怪獣路線」に変わったのか? 企画室長・金城哲夫の苦闘と成果とは?「特撮」に留まらぬ視点から圧倒的筆力で描く決定版!! ……ちょうど50年前、1966年1月2日、第1話「ゴメスを倒せ! 」の放送から始まった『ウルトラQ』は、テレビ史を変える画期的なシリーズだった。だが、名作誕生までの道のりは決して平坦でなかった。 スタッフは前代未聞の番組を作るため、文字通り暗中模索であった。 そして、番組成立の背景には、テレビの隆盛と映画の衰退という二つの歴史的潮流があった…。 テレビ草創期を活写した2冊(『円谷一 ウルトラQと“テレビ映画"の時代』『飯島敏宏 「ウルトラマン」から「金曜日の妻たちへ」』)の著者が、「特撮」に留まらぬ広い視点から描く画期的ドキュメンタリー。かつてない徹底取材で歴史的事実に限界まで迫る。 いま「伝説」は「歴史」になる! -
宋の検屍官 中国法医学事件簿
北宋―遼、西夏の外圧に苦しみながら都市文化が繚乱とした時代、検屍の技術・制度は当時の世界最高水準に達していたという。 八代皇帝の御代、政和七年(1117)四月半ばの朝。首都開封一の盛り場、桑家界隈の芝脚小屋海棠棚で、人気女役者楊安奴の死体が発見された。外傷はなく病死とも考えにくいが、赤子を朶んでいたことから、愛憎の末の殺しとも見られる。 捜査検屍を担当する方淵之が死因解明に苦慮するうち、部下の丘千五が紅い油傘を死体に翳すと、なんと鳩尾に傷跡が浮かんできた…(第1話 紅油傘) 首都開封と水都蘇州を舞台に、愛と殺意の果てを描く七幅の絵巻! 戸川乱歩賞受賞の異才が放つ傑作中国医学ミステリー、待望の電子化。 -
真っ白い殺人鬼
「ねえ、秘密のアプリって知ってる?」 いつものように教室の片隅にいると、楽しそうな女子たちの噂話が聞こえてきた。 【過去を自由に変えられる】という夢のようなアプリ。 みんな噂話だとわかっているけど「あったらどうする?」と話題が絶えない。 もし僕だったらどんな過去を変えるだろう? きっと「僕を『普通』の人間にして下さい」こう願うかな……。 次の日、いつものように登校すると――友人の三宮春乃が消えてしまっていた。 何故だかみんな春乃のことを憶えてないようだ。まるで元からいなかったみたいに。 「誰かが“アプリ”を使って、この世から春乃が存在した過去を消した?」 ――秘密のアプリは夢なんか与えない。その日から噂は現実となり、僕たちの『普通』は壊れていった。 -
QUEEN スカイマーシャル 兼清涼真
公安警察の頂点『ZERO』、 国際テロに対抗する『外事警察』 日本から米国に向かういずれかの旅客機に不審者<QUEEN>が乗り込み危険行為 を行う可能性が高い、という情報を得た警視庁。警備部特務班の兼清、上司の矢 島、2名のスカイマーシャルが14時羽田発ニューヨーク行きの<さくら212便> に搭乗することになった。だが兼清の警戒を嘲笑うように、離陸から1時間半 後、一般客には存在や場所が知られていないクルーバンクで遺体が発見される。 いったい何者が、どうやって……? そして、スカイマーシャル・兼清涼真の孤独な戦いが始まる……。 飛行中の機内でテロを排除する特務警察“スカイマーシャル”の現実を描ききる、ノンストップ・エンターテインメント。 -
EV
深刻な地球温暖化の前に、欧米では遅くとも2035年までにエンジン車の新車販売が規制される。つまり新車販売は電気のみで動く車に限られるのだ。加えて中国が2030年をめどに、国内の新車販売をすべて環境対応車に変更するという。このような世界情勢を前にしても、既存産業への配慮と圧力から日本政府は有効な手を打てずにいた。経産省の自動車課に籍を置く瀬戸崎啓介は焦りを募らせる。このままでは、日本の自動車関連就業人口534万人のうち多くが路頭に迷う可能性がある。だが、いったいどうすればいいのか……?電気自動車への全面移行に遅れた日本に、起死回生の一手はあるのか?『首都感染』で新型コロナ感染拡大を予言した著者が描く、〝日本経済、予言の書〟解禁! -
存在しない時間の中で
世界各国から百名以上の研究者や大学院生が集まり、宇宙の始まりや仕組みなどの疑問に答えるべく日夜研究に取り組んでいる天文数物研究機関。ある日、若手研究者たちが主宰するセミナーに謎の青年が現れ、ホワイトボード23枚に及ぶ数式を書き残して姿を消した。誰も見たこともないその数式には、人類の宇宙観を一変させかねない秘密が隠されていた。つまりその数式は、この宇宙、そして世界の設計図を描いた<何ものか>が存在する可能性を示唆していたのだ。悪戯のように思えるこの不可思議な出来事は、日本だけなく世界中23もの研究機関で発生していた。にわかに<神の存在>に沸き立つ世界。ほどなく人類は、<神の存在>にアクセスしようと試みる。そして、その日から現実は大きく変わることになる――。『嫌われ松子の一生』『百年法』の著者が、生きることの根源的な意味を問う〝いま読むべき物語〟の誕生。 「この世界は何ものかが創ったものだ」と証明されてしまったら、あなたはどうしますか? -
共犯者
お前は、誰を守ろうとしてるんだ? 迷走する警察。暴走する世論。壊れゆく家族。 ひとつの殺人事件が、隠された過去の真相を炙り出していく。 その罪は赦されるか。愛と憎しみの衝撃サスペンスミステリー。 岐阜県の山中で顔面を激しく損壊された男性の遺体が発見された。取材に赴いた週刊誌記者の宮治は、警察が何かを隠していると疑う。隣県にはひとつ歳下の弟・夏樹が住んでいた。久々に弟の部屋に立ち寄った宮治は、その言動に不信感を抱く。弟が事件になんらか関わっているのかもしれない。報道の使命を貫くか、家族を守るか、宮治は揺れ動くが……。 カバーイラスト/三部けい -
天路
国と国、言葉と言葉の〈間〉を旅する作家がたどりついた、世界の臨界点。記憶と言葉が響きあう越境文学の達成。 アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴く。 一千年の祈りの地でたどる、死と再生の旅。 30年前から日本に暮らすアメリカ国籍の「かれ」は、故国の母の死を受けいれられぬまま、漢民族の友人とともにチベット高原を旅する。「世界の屋上」と呼ばれるその土地は、一千年来、ひたすら生と死に思いをめぐらせてきた人々の文化が息づく場所だった。異質な言葉との出会いを通して、死と再生の旅を描く読売文学賞作家の最新連作小説。 ・収録作「西の蔵の声」評より―― 「喪失の痛みからの回復をこうやって異質な言葉との出会いを通して描くことができるというのは、ほんとにすごい。リービさんの名人芸」松浦理英子氏(群像2019年3月号創作合評) 「エクソフォニーをさまよい続ける作者の、母の死との対峙と開眼の瞬間が描かれている小説であり、非常に感銘を受けた」鴻巣友季子氏(同上) 「言語だけを携えて、作者は世界に立ち向かっていく。この作品は一人の人間の中に沸き起こる複数の言語と文化、過去と現在の共振として読まれるべきように思う」 ――磯﨑憲一郎氏(朝日新聞2019年1月30日文芸時評) -
W☆ING流れ星伝説 星屑たちのプロレス純情青春録
1991年8月7日、後楽園ホール。 のちにプロレス史にその名を刻むインディー団体、「世界格闘技連合 W☆ING」がTAKE-OFF(離陸)した。 だが、わずか3シリーズをもって団体は分裂。 茨城清志は新たな団体、「W☆INGプロモーション」を設立へと動く。 大半のスタッフ、選手と共に同年12月10日、「SKY HIGH AGAIN」を後楽園ホールで開催する。 資金は持ち出し、リングは全日本女子プロレスから10万円で借りるなど、"ないない尽くし"の再旗揚げ戦。 茨城は破格のギャラを払ってミル・マスカラスを招聘。 満員にはならなかったものの、なんとか再スタートを切ることに成功した。 W☆INGのリングに集まった男たちは、誰もが世間的には無名だった。 メジャー団体の選手のようなめぐまれた体格や身体能力がはなかった。 だが、プロレスに憧れ、愛する気持ちだけは誰にも負けていない。 それは、団体の運営を担うフロントの男たちも同様だった。 どうしたら、リングで輝けるのか。どうしたら、世間にW☆INGを知ってもらえるのか。 その煩悶の中、男たちは汗と血と涙を流しながら、きらめきを求めて過激なデスマッチへと身を投じていく。 夜空に一瞬、輝く流れ星のごとく――。 齋藤彰俊、松永光弘、金村ゆきひろ、菊澤光信(元W☆ING練習生)、茨城清志元代表、大宝拓治元リングアナウンサー、畑山和寛元レフェリー、ロッシー小川(当時、全日本女子プロレス広報部長)他。 当事者たちが語る、W☆INGの立ち上げから、崩壊に至るまでの2年7か月。 給料さえほとんど出ない中、男たちはなぜ血を流し、その闘いに観客は熱狂したのか。 当時、週刊プロレスの担当記者としてW☆INGを追い続けた小島和宏記者が描き出す、「世界で最も過激な団体」30年目の真実。 ★茨城清志「そんなこと言われてもさ、俺だって別に好きこのんでデスマッチやインディー団体をやっていたんじゃないんだよ。俺だって、本当はさ、プロレス団体をやるんだったら新日本や全日本みたいなプロレスをやりたかったよ! 」 ★齋藤彰俊「僕が(大迫和義・世界格闘技連合W☆ING元社長に)聞かされたのは近々、コカ・コーラがスポンサーについてくれる、という話。そして、マイク・タイソンを招聘するプランもある、と」 ★松永光弘「せっかく、こうやって一冊の本にまとまるのであれば、それこそ表紙に大きく書いてしまってもいいですよ。『W☆ING崩壊のA級戦犯は松永光弘だ! 』と。実際、そうじゃないですか? 私がW☆INGを潰したんですよ! 」 ★金村ゆきひろ「だって修行期間みたいなもんじゃないですか? 他の団体だったら、入門してから1年から2年はデビューすらできないわけで、お金をもらうという発想すらなかったし。(中略)家庭がある人は別として、会社に金がないんだから、それを求めるのはちょっとどうなの?って思ってました」 ★大宝拓治「よく初期のW☆INGは迷走していたとか言われるんですけど、僕に言わせれば、まったく迷走なんてしていないんですよ。旗揚げシリーズからずっと『コンビニみたいなプロレス団体』という目線で見てもらえれば、なんにもブレていないことはわかってもらえると思うんです」 ★畑山和寛「現地で営業するためにかかるお金を自力でなんとかするしかない。当時はまだ攻略要素のあるパチンコ台が結構、あったんですよ。(中略)その勝ち分で現地でのガソリン代や食費はなんとか工面できましたね。毎回、勝てるとは限らないので、ホテル代でお金を遣ってしまうのは怖くて車中泊は続けていましたけど」 -
月の淀む処
消えた死体、謎めく大量の骨壺…… 怪しいのは、住民全員。 マンションで連鎖する狂気の事件の真相は……!? 注目の気鋭による戦慄のホラーミステリー! 築40年のマンション・パートリア淀ヶ月に引っ越してきたフリーライターの紗季。ある日、敷地内で行われていた不気味な盆踊りに遭遇する。 祭りに乱入した女が連行されるのを目撃した彼女は、隣の部屋に住む雑誌記者の真帆子と共に調査をはじめるが……。 住人たちの持つ奇妙な風習、連続して起こる行方不明事件、徐々に明らかになる驚愕の事実とは……!? 【目次】 プロローグ 第一章 泣く女 第二章 消える男 第三章 替わる男 第四章 描く女 エピローグ -
ツタンカーメンの心臓
古代エジプト神、東京に降臨! エジプト考古学史上最大の謎―― ツタンカーメンの死の真相が解き明かされる!? 聖東大学古代エジプト調査室の嘱託研究員・小栗陽は、ツタンカーメンに関連する発掘調査の誘いを受けエジプトへ向かった。先輩の日下美羽と共に桐生蘭子准教授の指揮のもと調査を開始した矢先、遺跡から大量の首なしミイラが発掘され、さらにミイラの内臓を収める容器「カノポス」が見つかった。謎を秘めたカノポスをめぐり、小栗と美羽に危機が迫る! 聖東大学古代エジプト研究室で起こった惨劇から二年――前作『黒いピラミッド』(第25回日本ホラー小説大賞大賞受賞)を超える衝撃が走り抜ける! 古代文明の謎に迫る、ホラー・アドベンチャー! -
傷口はきみの姿をしている
クラスメイトと適度な距離を保ち、深く関わりすぎないよう気をつけながら穏やかで平和な日々を過ごす高校生、卯月遥臣。そんな遥臣のクラスに美しい少女、鷹宮螢が転校してきた。 「ボクは、深く関わる相手は自分で選ぶことにしてる。だから、わざわざ気を遣って話しかけてこなくていいよ」 螢の人を寄せつけない転校の挨拶に、遥臣はクラスの雰囲気が壊れることを不安に思い、そして期待した――。 遥臣が人との深い繋がりを避けてきた理由とは? 螢に惹かれる理由とはなんなのか。 どこにでもいる普通の高校生たち、彼らが抱える秘密とは――。 心に傷を持った思春期の少年少女たちの青春群像劇。 -
わたしはイザベル
イザベルは母親からいつも「うそつき」だと言われ,虐げられてきた.成長してからも自分が正しく振る舞っているのかわからない.生きるための苦闘を続けるイザベルがやがて見出したのは,両親から否定されつづけた言葉の才能だった.繊細な心理描写をまじえ,ティーンエイジャーの自立と「毒親」からの決別を描く成長小説. -
アンチ
アンチはテルアビブに住む14歳.反抗期.気に入らないことがあると,すぐにお腹のなかで「ハラネズミ」が暴れ出す.おじさんが自殺して絶望のどん底にいる時に,アンチの心をとらえたのは,ヒップホップだった.やがてみるみるラップが上達したアンチは,魅力的な少女,リサとクルーを結成し,ラップの大会に挑む. -
ファットガールをめぐる13の物語
人が自分の体を生きることの居心地のわるさを描き出した、注目の作家モナ・アワドのデビュー作。 宇宙はわたしたちに冷たい。理由はわかっている。 インディーズ音楽とファッションをこよなく愛す主人公のエリザベス。特別な人生は望んでおらず、ただ普通にしあわせになりたいだけ。けれど高校でも大学でも、バイトをしても派遣社員となっても、結婚しても離婚しても、太っていても痩せていても、体のサイズへの意識が途絶えることはない。自分と同じ失敗をさせまいとする母親、友だちのメル、音楽を介してつながったトム、職場の女性たち……。彼らとの関係のなかで、傷つけ、傷つけられ、他者と自分を愛する方法を探してもがく。 【目次】 宇宙にさからう時 最大のファン 全身写真 そんなことなら わたしの嫌いなあの子 それって欲張り 母にとってのセクシーな人 Fit4U あの子はなんでもしてくれる フォン・ファステンバーグとわたし カリビアン・セラピー アディション・エル 海のむこう 謝辞 訳者解説 【著者】 モナ・アワド 1978年カナダのモントリオール生まれ、ボストン在住。ブラウン大学、エディンバラ大学、デンヴァー大学で創作と英文学を学ぶ。現在はシラキューズ大学で創作を教えている。デビュー作品集『ファットガールをめぐる13の物語』に続くポップでキュートな怪作Bunny(2019年、未邦訳)は、The Ladies of Horror Fictionベスト作品賞受賞。2021年8月に第3作All's Well が刊行予定。 加藤有佳織 慶應義塾大学文学部准教授。アメリカやカナダの文学、世界各地のカッパ(的な存在)に関心がある。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)、翻訳にトミー・オレンジ『ゼアゼア』(五月書房新社、2020年)。 日野原慶 大東文化大学にてアメリカ文学を教えている。「身体」「自然」「環境」「廃棄」「排泄」などに関心があり、それらにつながる現代のアメリカ小説や、ノンフィクション作品(とくに自然や環境をテーマにしたネイチャーライティングや、病や体をテーマにしたエッセイなど)を研究している。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)。 -
男性性の探究
ひとりの男性として自分は何が語れるだろうか? #MeToo運動をきっかけに覚えた、男性としての居心地の悪さ、動揺、そして目覚め。 フランスの哲学者・宗教社会者である著者が、男性支配の構造と、その解体を語る。 リオジエが問題視するのは、女性の身体に向けられる男性の視線である。歴史的・社会的・文化的に培われてきたこの眼差しが、女性を客体化(objectiver)し、もの(objet)として所有すること、資本として蓄積することを可能にしてきた。そのようにして男性優位の構造が形作られてきた。そこに問題の核心がある。(「訳者解説」より) -
半逆光
人を好きになってしまうことに、解などないのだ――。 恋愛小説の名手・谷村志穂が描く大本命不倫小説! 息子が就職して家を出たことを機に部屋を片付けていた香菜子。 クローゼットの奥にしまわれたPCを開き、夫のメールを見つけてしまう。 そこには、夫と女が親密に名前で呼び合い、 2人が子供のように育てていた猫が死んでしまったなど、 21年以上にわたるやりとりが書かれていた。 おかしい。21年前といえば、香菜子が必死に幼い息子を育てていた頃なのに。 夫と女の間に何があったのか。その後、彼女は「不倫小説の傑作」とも評価された 1冊の小説を出版していることが分かって――。 -
きみがいた世界は完璧でした、が
俺は出会ってしまった、理想の「エリナ」に――。ゲームオタクの大学生・日野は、偶然訪れたサバゲ―サークルの新歓で、中学時代に熱中していたゲームのヒロイン・エリナにそっくりな宮城絵茉(エマ)に恋をした。二度告白するも振られ、今後は彼女を遠く見守ることを決意するが、そんな折彼女に害をなすストーカー犯が現れる。はじめはSNSに彼女の悪口を書き込むだけだったが、次第にサークルの部室に盗撮写真をばらまいたりと行動をエスカレートさせる犯人に怒っていた日野は、彼女の涙を見てついに決意する。俺が絶対に犯人を見付けて懲らしめてやる――。調査のため部室に監視カメラを仕掛け、犯人と思しき男のいる大学に潜入したりと、次第に暴走していく日野はサークルで孤立するが、ついに犯人を発見。その正体は意外なもので――。憧れと狂気が交錯する、ノンストップ青春物語! -
こんな日もある 競馬徒然草
ツキにからかわれるのも、人生長い目で見れば悪いことではない。 年々歳々、馬とともに春夏秋冬をめぐり、移り変わる人と時代を見つめ続けた作家の足跡。 日本文学の巨星が三十余年にわたり書き継いだ名篇エッセイ、初書籍化。 編・解説:高橋源一郎 何年先のことになるやら、たとえばダービーの日のスタンドかテレビの前で、そういえばあの男、このダービーをもう知らないんだ、と生前の私のことをちらりと思い出す人がいるかもしれない、と今からそんなことを考えると、心細いようで、あんがい、慰められる気持ちになる。自分一個の生涯を超えて続く楽しみを持つことは、そしてその楽しみを共にする人たちがこれからも大勢いると考えられることは、自分の生涯が先へ先へ、はるか遠くまで送られて行く、リレーされて行くようで、ありがたいことだ。 (本文より) -
物語を歩く 「押絵と旅する男」他
江戸川乱歩の「押絵と旅する男」から 【取り憑かれた人間】をテーマとして抽出、 江戸川乱歩、松本清張、正岡子規作品を読み解く。 物語・俳句が伝えるものと、 生命をかけてそれを生み出す人間の心理に迫る。 引用するテキスト、題材は以下の通り。 「押絵と旅する男」(江戸川乱歩)、 「段碑」「石の骨」「真贋の森」(松本清張)、 浦上玉堂の芸術、松尾芭蕉、正岡子規の俳句と生涯。 多岐にわたる作品、関係者の物語を縦横無尽に巡り、 比較文学の醍醐味を味わう。 人は一途に何かを追い求め、命を燃焼させて、この世を去っていく。 江戸川乱歩、松本清張、松尾芭蕉、正岡子規らの 作品・人生を通して見る、取り憑かれた人間の悲哀と幸福。 ■目次 プロローグ 「押絵と旅する男」 ・「押絵と旅する男」の詳しいあらすじ ・「押絵と旅する男」の分析 第1部 松本清張の短編小説から ・「断碑」 ・第一章 「断碑」の詳しあらすじ ・第ニ章 藤森栄一と『二粒の籾』 ・第三章 「断碑」の分析 ・第四章 森本六爾と妻ミツギの軌跡 ・「石の骨」 ・第一章 「石の骨」の詳しいあらすじ ・第ニ章 「石の骨」の分析 ・第三章 『旧石器の狩人』 ・「真贋の森」 ・第一章 「真贋の森」の詳しいあらすじ ・第ニ章 「真贋の森」の分析 第2部 浦上玉堂 第3部 芭蕉物語 第4部 正岡子規の世界 エピローグ 俳句あれこれ ■著者 佐藤義隆(サトウヨシタカ) 1948年、父光儀、母タツの次男として、長崎県大村市に生まれる。 南山大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程修了。 元岐阜女子大学文化創造学部教授 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
羊は安らかに草を食み
認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆” があった―― 過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい―― アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅” に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。 大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。 八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実。 日本推理作家協会賞 『愚者の毒』 を超える、魂の戦慄! -
回想の太宰治
濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治――太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。淡々とした文にも人間太宰の赤裸な姿が躍如とする好著。 ◎「これは、凄い本に出会ったものであります。質も量も。明晰さも、たしかさも、怖ろしさも。科学者の随筆みたいな、美しい揺るぎのない日本語で、太宰治は凝視され、記憶され、保存される。この著者が、昭和の初期に、太宰の妻であり、ともに暮らし、子をなして、日々会話し、身の回りの世話をし、親戚や食卓や経済を共有していたかと思うと、トカトントン。そこらの男の何十倍も聡明だった女の記録であり、記録をよそおった文学であります。」<伊藤比呂美「解説」より> ※本書は、『回想の太宰治』(昭和58年6月 講談社文庫刊)を底本としましたが、「アヤの懐旧談」を削除し、『増補改訂版 回想の太宰治』(平成9年8月 人文書院刊)より、「蔵の前の渡り廊下」「南台寺」「父のこと、兄のこと」「『水中の友』」の4篇を収録しました。 -
キングコング・セオリー
「私はケイト・モスというより、キングコングみたいな女だ。誰も妻にしたり、一緒に子どもをつくったりしないタイプの女。常に自分自身でありすぎる女。そういう立場から私は話している」 ■概要 #MeToo運動をきっかけに再注目され、フランスで20万部のベストセラーとなったフェミニズムの名著がついに邦訳! 人気女性作家が17歳の時に経験したレイプ被害と、その後の個人売春の経験をもとに、性暴力、セックスワーク、ポルノグラフィについての独自の理論を展開するフェミニズム・エッセイ。自分自身を、男性でも女性でもないカオスな存在としての「キングコング」にかさね、ジェンダー規範にとらわれない女性の在り方を、力強く、小気味いい文体で模索していく。 -
デルタの羊
製作委員会、制作会社、ゲーム、配信、中国、テクノロジー、コロナ後…… これが日本のアニメの“リアル”! 「俺たちはあまりに善人だ」 「誰かが羊飼いにならなきゃ、日本アニメは地盤沈下していく」 アニメ製作プロデューサー・渡瀬智哉は、念願だったSF小説『アルカディアの翼』のテレビアニメ化に着手する。 しかし業界の抱える「課題」が次々と浮き彫りとなり、波乱の状況下、窮地に追い込まれる。 一方、フリーアニメーターの文月隼人は、ある理由から波紋を広げる “前代未聞のアニメ”への参加を決意するが……。 アニメに懸ける男たちの人生が交差するとき、【逆転のシナリオ】が始動する! -
笛吹川
生まれては殺される、その無慈悲な反復。 甲州武田家の盛衰と、農民一家の酸鼻な運命。 信玄の誕生から勝頼の死まで、武田家の盛衰とともに生きた、笛吹川沿いの農民一家六代にわたる物語。生まれては殺される、その無慈悲な反復を、説話と土俗的語りで鮮烈なイメージに昇華した文学史上の問題作。平野謙との<「笛吹川」論争>で、花田清輝をして「近代芸術を止揚する方法」と言わしめ、また後年、開高健をして「私のなかにある古い日本の血に点火しながらこの作品は現代そのもの」とも言わしめる。 町田康 一般の調節された言葉は、一族の多くの者がそのために殺害されたのにもかかわらず、それを、先祖代々お屋形様のおかげになって、と言い換えることができる。しかし、この小説の言葉は、そう言い換えてしまう人間の哀しみを描きつつ、それすらも無言の側に押し流してしまう。そして、その圧倒的で、どうしようもない事態は、始まりと終わりを持たず循環する。――<「解説」より> -
誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ
必死で 情けなくて まぬけな 愛すべき「私たち」 ネット古書店でエゴサをしていたら、サイン入り自作が売りに出されていることに気づいた作家「イ・ギホ」。しかも他の作家の本より格安、酷評のコメン付きだった。悶々として眠れぬ作家は、出品者に直接会おうとはるばるでかけるのだが……。(「チェ・ミジンはどこへ」) 夫殺害の嫌疑をかけられながら逮捕されなかった女が、十数年後、時効を3か月後に控えて自首した。一体なぜなのか。(「ずっと前に、キム・スッキは」) 「あるべき正しい姿」と「現実の自分」のはざまで揺れながら生きる「ふつうの人々」を、ユーモアと限りない愛情とともに描き出す。——韓国文学の旗手による傑作短編集 【もくじ】 チェ・ミジンはどこへ ナ・ジョンマン氏のちょっぴり下に曲がったブーム クォン・スンチャンと善良な人々 私を嫌悪することになるパク・チャンスへ ずっと前にキム・スッキは 誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ ハン・ジョンヒと僕 あとがき 訳者解説 -
来世の記憶
「あたしの前世は、はっきり言って最悪だった。あたしは、おっさんだった」地球爆発後の近未来。おっさんだったという記憶を持つ「あたし」の親友は、私が前世で殴り殺した妻だった。前世の記憶があるのは私だけ。自分の容姿も、自分が生きてきて得たものすべてが気に入らなかった私は、親友が前世の記憶を思い出すことを恐れている。(「前世の記憶」)「ああもうだめ」私は笑って首を振っている。「うそ、もっとがんばれるでしょ?」「だめ、限界、眠くて」寝ている間に終わった戦争。愛も命も希望も努力も、眠っている間に何もかもが終わっていた。(「眠りの館」)ほか、本書のための書き下ろしを加えた全20篇。その只事でない世界観、圧倒的な美しい文章と表現力により読者を異界へいざない、現実の恐怖へ突き落とす。これぞ世界文学レベルの日本文学。 -
森へ行きましょう
川上弘美さんの恋愛と結婚を描いた長編小説。一気読み必至の傑作です。 主人公は1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。このパラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。それは読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれませんし、留津とルツの恋人や夫も読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれません。 主人公の2人のように「いつかは通る道」を見失った世代の女性たちのゆくてには無数の岐路があり、選択がなされます。選ぶ。判断する。突き進む。後悔する。また選ぶ。進学、就職、仕事か結婚か、子供を生むか……そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、留津とルツの人生にもたらしたものとは、はたして―― 道は何本にも分かれて、つながっていて、いつの間にか迷って、帰れなくなって……だからこそ「人生という森は深く、愉悦に満ちている」。
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