小説作品一覧
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3.7伝説の「さまよえるユダヤ人」を名乗るアハスヴェルが主宰する教団「光の子ら」を糾弾すべく準備を進めていたカルト宗教の研究者ウルフ・ハリガンは、ひょんなことから知り合った作家志望の青年マット・ダンカンの協力を得、二人は「光の寺院」で開かれる教団の集会に参加する。その集会の場で、全身に黄色い僧衣をまとった教祖アハスヴェルは、信者たちとともに「ナイン・タイムズ・ナイン」の呪いを唱え、ウルフの死を予言する。 その翌日、ハリガン家の家族とクロッケー場でゲームに興じていたマットがふとウルフのいる書斎を見ると、ウルフの机に身をかがめている黄色い僧衣を着た人物の姿が目に入る。窓は施錠されており、邸内の扉から書斎に入ろうとするものの、やはり鍵がかかっていて中に入れない。再び外に出て窓から中をのぞくと、ウルフは顔面を撃たれて床に倒れており、存在したはずの黄色い衣の人物は消え失せていた……。 この不可解な密室殺人の謎に直面したダンカンは、探偵小説嫌いのマーシャル警部補と共に「密室派の巨匠」ジョン・ディクスン・カーの《密室講義》を参照しながら推理・検討をするのだが、なんと《密室講義》のどの分類にも当て嵌まらないことが判明する。困惑する捜査陣を前に、難事件の経緯を知った尼僧アーシュラは、真相究明のために静かに祈りを捧げるのだった……。果たして異色の尼僧探偵の祈りが通じ、神をも畏れぬ密室犯罪の真相が看破されるのだろうか!? ジョン・ディクスン・カーに捧げられ、エドワード・D・ホックが主催する歴代密室ミステリ・ベストテンにも選出された、都市伝説的密室ミステリが新訳によって半世紀の時を経てここに甦る! 装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design)
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4.5英国王室御用達、笑いの大巨匠、あのウッドハウスの新シリーズ登場!! P・G・ウッドハウスの未知の傑作小説を続々と紹介。第1回は、百万長者のうえに容姿端麗、気立てもバツグンだけど、ちょっとおまぬけな青年紳士ボドキン君が主人公。豪華客船を舞台に、ワニを飼うお騒がせの人気赤毛女優、問題の多い変人客室乗務員、へーゼル色の瞳の女子ホッケー選手などなど、いつもの奇人と怪人たちが船上狭しと大活躍。最上質爆笑保証付きの至高の名作、本邦初訳。
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3.0《きみたちにわかるかな、なぜぼくが嘲りの嵐のなか、平然と、自分の魂を大皿に載せてモダンな食事の席へ運ぶのか》ラフマニノフの退屈から逃げ出したマヤコフスキーと友人ブルリュックが意気投合した記念すべき夜。声を上げたロシア未来派の旗手として、奇矯な言動で「社会の趣味をなぐる」青年マヤコフスキーが20歳で書き下ろした第一戯曲。演出・主演を詩人自身がつとめ、ルナパルク劇場をすずなりにした観衆に「穴だらけになるほど口笛で野次られた」とされる問題作。商業出版の道なく、わずか500部が友人ブルリュックの手で世に出た不穏な二幕物の悲劇がここに。
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4.3★★★★★ 「すみません」の大安売りはもうやめた! 72歳の殺し屋が、「モラハラ」「カスハラ」「介護は娘」……全部まとめてぶっとばす! ★★★★★ 口を開けば「すみません」、理不尽には「しょうがない」。 更年期に悩む52歳・榊冴子はパート先で舐められ、実家では介護要員にされかけ、冴えない日々を過ごしていた。 ある日、レジで迷惑客を撃退するド派手なジャージの老女に遭遇。山田グロリアという名の彼女の正体は、齢72にして凄腕の殺し屋だった! 「私、今からでも変われますか?」 束縛夫に軟禁された親友を救うため、冴子はグロリアに弟子入りを志願する――。 読後のスカッと絶対保証! 怒ることを諦めてきたあなたに読んでほしい、自分自身を取り戻すリベンジ・アクション!
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4.0相模湾沖で爆発炎上しながら全速航行する漁船が発見された。 このままでは沿岸に激突するーー阻止すべく、巡視船ひすいは緊急出航する。 あの漁船はどこから来たのか。なぜ海上で炎上したのか。操船しているのは誰なのか? それらの謎はすべて、かつて被災地で起きた悲劇とつながっていた。 痛ましい過去、おそましい罪。あらゆるものを奪い去り、再び沈黙する海。 無慈悲な天災の傷跡は、時に思わぬ刃となる。 無力でなにもできない自分が、いま何をすべきか。日本でただ一人の海上保安庁女性潜水士が問う“人間の業”。 「海蝶」シリーズ最新作! ※海猿にならい、海上保安庁の女性潜水士は「海蝶」と呼ばれる。
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3.7幾千年の時を超えて、あなたと恋をしている奇跡。 生き死にの極限に迫る、著者渾身の恋愛小説。 ひと月前に兄を亡くして天涯孤独の身となったわか子は、週に三日、空き家管理の仕事をすることになった。趣味の和歌を思い浮かべながら、何かが死んでいるような腐敗臭のする家で掃除をしていると、「なびかじな……」という藤原定家の和歌がきっかけとなって不意に景色が反転し、気を失ってしまう。目が覚めると、空き家の持ち主の河原さんと見たことのない青年がわか子を心配そうに見下ろしていた。それは時間のなかを旅してきたような、不思議な感覚で――。 雲=クラウド=記憶の保存庫 若さを失うことは、少しも寂しいことではないの―― 過去の恋を思い出しながら、わか子は『源氏物語』の朝顔の君に自身を重ねてみる。 前世か先祖か幻か、わか子のなかに眠っていた女たちの記憶が動き出す。 装画:栗田有佳 装幀:大久保伸子
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-文芸編集者2年目の瀬名あさひは、憧れの作家・御崎禅の担当となる。映画好きで意気投合するものの、彼は実は吸血鬼であり、人外の存在が起こした事件について、警察に協力していることがわかる。捜査より新作原稿を書いてもらいたいあさひだが、警視庁から様々な事件が持ち込まれる中、御崎禅がかつては人間であったこと、そしてそこに秘められた悲しい過去を知っていく……。 「憧れの作家は人間じゃありませんでした」1巻~4巻をノンストップで楽しめる合本版! ※本作品は『憧れの作家は人間じゃありませんでした』シリーズ全4巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
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-戦時下の若者たちが目の当たりにした奇跡。 山本一力氏・河﨑秋子氏推薦! 「彩り豊かな世にかぶさる戦争の黒い色。ひたむきに生きる人々の昭和時代小説だ」 ――山本一力氏 「演劇を愛する彼らが戦争を経ても手放さなかった『希望』に心震える」 ――河﨑秋子氏 関東大震災後の浅草。 太平洋戦争に向かいつつある世情。 それぞれ重い過去を背負って生きている冴子・ハジメ・卓三の三人は細々と演劇で口を糊している。 芸術芸能に対して、警察や軍部による検閲、大衆の冷たい視線がますます厳しくなる中、卓三が兵役に取られた上に、東京大空襲に巻き込まれるふたり。 戦後、奇跡的に生き残ったふたりは、卓三不在のまま、舞台の幕を上げられるのか? そして、GHQの嫌がらせに、どう抗うのか? 感動の戦争小説。
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3.8『侍女の物語』前夜のアトウッド 世界的作家アトウッドの初期短編集が待望の復刊。キャンパスで繰り広げられる奇妙な追跡劇(「火星から来た男」)、記者が陥る漂流の危機(「旅行記事」)、すれ違いから各々孤独を深める夫婦(「ケツァール」)、適性に悩む医者の卵がある少女に向ける感情(「訓練」)、下宿屋で巻き起こる異文化をめぐる騒ぎ(「ダンシング・ガールズ」)など――アトウッドのぞくぞくするような「巧さ」が詰まった七編を収録。あからさまにではなく、ほんの少しだけ垣間見せるというやり方で、日常に潜む違和や世界の綻びをアトウッドは示してみせる。 「ことに「キッチン・ドア」で描かれる、形のない、だがはっきりと肌で感じる破滅の予兆は、のちの『侍女の物語』や〈マッドアダム〉三部作のディストピア世界の前日譚と見ることもでき、世界のあちこちで不穏な狼煙の上がる二〇二五年に読むと、これを訳した当時よりずっと生々しい実感をともなって迫ってくる。およそ五十年前に書かれたにもかかわらず、これらの物語は少しも古びていない、どころか読むたびに「今」の物語として更新されつづける。そのことに何よりも驚きを感じる」(「復刊によせて」より)
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-20世紀的な「日常」を問い直し、ポスト・コロナの地平を探る、野心的な米文学論! コロナ・ウイルスが引き起こしたパンデミックによって、私たちはいま、従来の20世紀的な日常とはすこし異なる「非日常」の世界を生きている。 本書『非日常のアメリカ文学』は、コロナという人知を超えた災厄と対峙する知恵を、ヘンリー・ソロー、マーク・トウェイン、スコット・F・フィッツジェラルド、カート・ヴォネガットらの作品から、先住民作家ヴェルマ・ウォーリス、カリフォルニアのビッグ・サー文学作家やベイエリア現代詩の詩人、身体の日常/非日常を問うファット・リベレーション作家の諸作品まで、「非日常」という共通項を軸に探る。 本書が提案する「非日常」をアメリカ文学に探る試みは、単なる「アウトサイド」な文学の系譜をたどるばかりか、アウトサイドから日常を見直し、ひいては現代文明を問い直す視座をもたらすことになるだろう。コロナ禍とはつまるところ、これまでの文明社会の見直しが迫られた経験であったとはいえまいか。本書を通して、ポスト・コロナの地平を見通す視座を、十人のアメリカ文学研究者達が探る。
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3.3韓国社会の〝恨〟を描くゴシックスリラー 物語の舞台は、1950年代後半、朝鮮戦争の傷跡が生々しく残る、朝鮮初の西洋式「大仏ホテル」。朝鮮半島に外国人が押し寄せた時代に仁川に建てられた実在のホテルである。 アメリカ軍の無差別爆撃で家族を亡くしたチ・ヨンヒョンは仁川の港で泊まり客を大仏ホテルに案内する仕事をしていた。雇い主は同い歳のコ・ヨンジュだ。ヨンジュは苦労して英語を習得し、大仏ホテルの後身である中華楼での通訳を経て、再オープンした大仏ホテルの管理を任される一方で、アメリカ行きを虎視眈々と狙う。中華楼の料理人のルェ・イハンは、韓国人からヘイトの対象とされる華僑の一族のひとり。かつて栄華を誇った大仏ホテルも、今や中華楼三階の客室三室とホールだけの営業となった。悪霊に取り憑かれていると噂される大仏ホテルに、ある日、シャーリイ・ジャクスンがチェックイン。エミリー・ブロンテも姿を現し、運命の歯車が回りだす。 伝播する憎しみ、恨み、運命を変えたい人々、叶えたい想い……。スリリングな展開と繊細な心理描写によって、韓国社会の通奏底音である「恨(ハン)」を描ききり、最後は大きな感動に包まれる、著者の新境地。
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4.2父子二代の記憶へ漕ぎ出す 鮮烈な長篇デビュー作 台湾を代表する作家であり、世界的に注目を集める作家・呉明益の長篇デビュー作の待望の邦訳。のちに『自転車泥棒』や『歩道橋の魔術師』にもつながる原初の物語である。 台北で暮らすフリーライターの「ぼく」は、数十年に一度と言われる竹の開花を見るために陽明山に登るが、その日から睡眠のリズムに異常が起きていることに気づく。睡眠の異常に悩む「ぼく」の意識は、やがて太平洋戦争末期に神奈川県の高座海軍工廠に少年工として十三歳で渡り、日本軍の戦闘機製造に従事した父・三郎の人生を追憶していく。戦後の三郎は、海軍工廠で働いた影響から難聴を患いながらも、台北に建設された中華商場で修理工として寡黙に生活を送っていた。中華商場での思い出やそこでの父の姿を振り返りながら「ぼく」は睡眠の異常の原因を探るために日本へ行くことを決意し、沈黙の下に埋もれた三郎の過去を掘り起こしていく。三郎が暮らした海軍工廠の宿舎には、勤労動員された平岡君(三島由紀夫)もいて、三郎たちにギリシア神話や自作の物語を話して聞かせるなど兄のように慕われていたが、やがて彼らは玉音放送を聴くことになるのだった――。
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3.9死霊、異常心理、怪物、狂信—— 英国怪奇アンソロジーの定番作家、本邦初の短篇集。 古く平井呈一らに邦訳がなされ英国怪奇ものの一角をなすW・F・ハーヴィー。 鬼気迫る幽霊談、暗合と運命の交錯する奇譚から、精神の暗部を抉る不気味な物語まで、ときにブラック・ユーモアを漂わせて絶妙なアトモスフィアを醸しだす。 水木しげる漫画「むし暑い日」に翻案された「炎暑」、あるいは映画『五本指の野獣』の原作として後世のホラー映画に影響をもたらした「五本指のけだもの」等々、新訳が俟たれし異界への裂け目を顕わす作品をここに集成。 初訳3篇を含む新訳による珠玉のコレクション。 ✺初訳作品「ミス・アヴェナル」「追随者」「ピーター・レヴィシャム」
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5.0監視の目を盗み、ゾンダーコマンドによって撮影された四枚の写真から、アウシュヴィッツの真理に触れることはできるのか。
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-運命の激流、許されぬ恋、新訳決定版 19世紀半ば、セント・オグズの町はずれを流れるフロス河と、代々受け継がれてきた水車の周辺を庭にして、トムとマギーは育った。お転婆な妹を兄がからかい仲よく遊ぶ牧歌的な生活は、父がある裁判に負けたことから一変。マギーは質素な禁欲生活を送るようになるが、やがて兄の元学友で父の宿敵の息子フィリップや大好きな従妹の婚約者スティーヴンに出会ったことから、運命がさらに大きく動き出す……。 本書は、夏目漱石が読むべき英国女性作家に挙げ、プルーストやヴァージニア・ウルフなど後の欧米文学に大きな影響を与えた作家の、最も自伝的とされる作品である。マギーに投影される著者の膨大な教養は、既訳書では長い訳註つきで物語が分断される形で紹介されることが多かったが、本書では生き生きした描写、脚注なしでスムーズに読め、心に深く響く。激しく切ない愛の物語、新訳決定版。
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4.3ノーベル文学賞受賞作家による珠玉の短篇集 大切な人の死や自らの病、家族との不和など、痛みを抱え絶望の淵でうずくまる人間が一筋の光を見出し、ふたたび静かに歩みだす姿を描く。 『菜食主義者』でアジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞し、『すべての、白いものたちの』も同賞の最終候補になった韓国の作家ハン・ガン。本書は、作家が32歳から42歳という脂の乗った時期に発表された7篇を収録した、日本では初の短篇集。 「明るくなる前に」:かつて職場の先輩だったウニ姉さんは弟の死をきっかけに放浪の人になる。そんな彼女を案じていた私に3年前、思わぬ病が見つかる。1年ぶりに再会した彼女が、インドで見たというある光景を話してくれたとき、小説家の私の心は揺さぶられる――ウニ姉さんみたいな女性を書きたい、と。 「回復する人間」:あなたの左右の踝の骨の下には穴があいている。お灸で負った火傷が細菌感染を起こしたのだ。そもそもの発端は姉の葬儀で足をくじいたことだった。ずっと疎遠だった姉は1週間前に死んだ。あなたは自分に問いかける。どこで何を間違えたんだろう。2人のうちどちらが冷たい人間だったのか。 大切な人の死や自らの病気、家族との不和など、痛みを抱え絶望の淵でうずくまる人間が一筋の光を見出し、再び静かに歩み出す姿を描く。現代韓国屈指の作家による、魂を震わす7つの物語。 [目次] 明るくなる前に 回復する人間 エウロパ フンザ 青い石 左手 火とかげ
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-独裁者が恐怖政治を敷く西アフリカの新興国に、世界をゆるがすプラチナ鉱脈がある――。その情報を知ったイギリス大資本の会長ジェームズ卿は、ある陰謀を思いつく。ほどなくパリに住む傭兵シャノンのもとへ卿の使者が送られた。巨額の報酬と引きかえに提示された依頼は、軍事クーデーターをおこし、大統領を抹殺することだった。経済格差、東西の対立、独裁など、虚実交えて世界の情勢を見事に昇華させた巨匠フォーサイスの真骨頂。1981年に刊行された文庫に、新たに校正を加えた形で電子版のみ発売。 ※本作品は『戦争の犬たち』シリーズ全2巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
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4.6法治国家の欺瞞を暴くリーガルサスペンス! 駆け出し弁護士・川村志鶴のもとへ、突如、当番弁護の要請が入った。荒川河川敷で起こった女子中学生連続死体遺棄事件――遺体には証拠隠滅のため漂白剤がまかれ、冷酷な犯人像が推測された。容疑者には被害者の中学校に侵入し、逮捕された過去があったが、断じて犯行には関与していないと志鶴に訴える。警察による自白強要が疑われた。 志鶴が刑事司法を志した背景には、高校時代の友人のバイク事故死がある。自動車運転過失致死と処理されたが、彼女は冤罪を疑っている。そんな過去を持つ志鶴は、依頼人の潔白を晴らすため奔走する。 そこに立ちはだかるのは起訴有罪率が99・9%という現実だった。逮捕イコール犯人という世間の目。「人質司法」とも称される長時間勾留で有利に捜査を進めようとする警察・検察。共同弁護を務める先輩すら有罪前提の弁護方針を説き始めるなか、孤立無援の志鶴は依頼人を救い出すことはできるのか――? 構想・取材期間8年に及ぶ超弩級リーガルサスペンス。
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3.0絶望の青春──ジャック・ロンドン自伝的物語 20世紀初めのアメリカ西海岸オークランド。若い船乗りマーティン・イーデンは、裕福な中産階級の女性ルースに出会い、その美しさと知性に惹かれるとともに文学への関心に目覚める。生活をあらため、図書館の本を読み漁り、独学で文法と教養を身につけたマーティンは作家を志し、海上での体験談、小説や詩、評論を次々に書いて新聞や雑誌に送るが一向に売れず、人生の真実をとらえたと思った作品はルースにも理解されない。生活は困窮し、絶望にかられ文学を諦めかけたとき、彼の運命は一転する。 理想と現実の狭間で闘い続ける若者の孤独な栄光と悲劇を、自らの体験をもとに圧倒的な熱量で描くこの小説は、多くの作家や芸術家に影響を与え、読者の心を揺さぶり続けてきた。一世紀前の主人公の苦闘は、苛酷な格差社会の入口に立つ現代の若い読者にも切実に受け止められるだろう。
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4.0死者の身代わりの世代 吉田満『戦艦大和ノ最期』が刊行されて半世紀以上が経過した。同書は、吉川英治の勧めで僅か「一日を以て」書き上げられ、小林秀雄に見出されて『創文』創刊号に掲載されるも、占領軍によって発禁処分となった衝撃の初出から今日まで、絶えることなく読み継がれてきた戦争文学の不朽の名作である。 狭義の文芸の世界にとどまらず、組織人にとりわけ愛読されたのは著者の来歴が大きい。 吉田満は1923年生まれ。府立四中、東京高校、東京帝大法学部とエリートコースを歩むが、太平洋戦争末期、学徒出陣に伴い海軍に入隊。少尉として戦艦大和に乗り込み、大和を旗艦とする第二艦隊の沖縄特攻作戦、「天一号作戦」に参加し、奇跡の生還を果たす。この記録が『戦艦大和ノ最期』である。 戦後は日本銀行に入行。ニューヨーク事務所や人事課長といった要職に就き、考査役、政策委員会庶務部長、局長を経て、監事にまで登り詰めるが、この監事在職中に56歳で急逝した。 戦後、鶴見俊輔、江藤淳、加藤典洋らによって論じられてきた吉田。本書は「キリスト者」吉田に力点を置きながら新事実によって新たな吉田像を模索する試みである。戦中派の死生観の内奥へ。
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-【カルロス・ゴーン、衝撃の脱走後、初の著書】 日産の問題は、日本の問題。 カルロス・ゴーン事件が投げかけたのは、実は日本企業の本質を深く抉ったものだった。 日本の本質的な問題は太平洋戦争のときから何も変わっていないー。 なぜ日本企業は世界で勝てないのか? なぜ同盟関係は壊れてしまったのか? 本書で明かされる日産の陰謀・人質司法・サディズムな裁判官…。 「地獄にいた私は決行することにした。もし作戦が成功すれば人生を取り戻すことができる」 序章 第1章 一一月一九日 第2章 冷たい地獄のような小菅 第3章 "日本版"モスクワ裁判 第4章 なぜ? 第5章 譲歩 第6章 アライアンスのふたつのビジョン 第7章 龍と舞い、熊と踊る 第8章 アメリカン・ドリーム 第9章 なんとしてもグローバリゼーション 第10章 どうやって世界一になるか? 第11章 人的資本 第12章 偉大な経営者たちの市場 第13章 明日 エピローグ(現在のところは)
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-新堂冬樹が人間の狂気を描く『カリスマ』上中下巻が電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『カリスマ(上)』『カリスマ(中)』『カリスマ(下)』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 ■『カリスマ(上)』 妻の病を治したい、子供を一流中学に入学させたい……。人の弱みにつけこむ勧誘方法で、「神の郷」は設立から十年、二千人の教徒を有する宗教法人に成長した。教祖の神郷宝仙は、金銭欲や性欲などあらゆる欲望の滅失を説く一方、自身は三百五十億の金を教徒から毟り取り、六百人の女性教徒と関係を持つ。金や情欲に溺れる神郷の過去に何があったのか? ■『カリスマ(中)』 六欲滅失を誓うマントラ唱和、過去の罪を詰られる懺悔の行、全裸で赤子や動物になりきる自我滅失の行……。一日二十時間の修行を強いる神の郷の洗脳セミナー。参加者の一人、城山麗子は自殺した神郷の母親に似すぎていた。麗子を自分のものにすべく神郷は、心身困憊、意識が朦朧とする中で帰依心を抱き始めた彼女を出家させるよう幹部教徒に命じた。 ■『カリスマ(下)』 乱れる髪、墨を塗ったような隈、黄色く澱んだ白目。セミナーで変貌した麗子は息子にマントラ唱和を強要し、夫の信康に神の郷への金を無心した。信康は脱会カウンセラーに助けを求めて麗子の洗脳を何とか解くも、二人は神郷に拉致される……。信康はかつての家庭を取り戻せるのか。新興宗教の内幕を凄まじく抉った暗黒エンターテインメント!
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-宣伝でも素朴な感想文でもない、“読者の役にたつ書評” とはこれだ! 宣伝でも素朴な感想文でもない、本当に “読者の役にたつ書評” とはこれだ! 長年にわたり価値を失わない良書をしっかり紹介し、ベストセラーであろうとダメな本は徹底的に批判する── 辛口書評家が30年ちかくにわたり書き綴った膨大な書評より、経済、ビジネス、経営、政治、歴史、社会などの分野をここに集成! 【目次】 はじめに:書評について 第1章 経済 第2章 ピケティ/格差 第3章 ケインズ 第4章 クルーグマン 第5章 ファイナンス 第6章 経営 第7章 ビジネス 第8章 政治 第9章 歴史 第10章 思想・ノンフィクション おわりに 【著者】 山形浩生 1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。 大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。 著書に『新教養主義宣言』『たかがバロウズ本。』ほか。訳書にクルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、ピケティ『21世紀の資本』、スノーデン『スノーデン 独白:消せない記録』、ディック『ヴァリス』ほか。
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4.3「警察でも探偵でもない。検事だからこそ掴める真実を、私が暴いてみせる」 宗教団体〈サンクチュアリ〉の周囲で続く不可解な死。 事件の裏に隠された「もう一つの真相」を暴くため、若手検事の瑞穂は現場に向かう! ★★★★★ 連続殺人の生き残り、遺体を盗まれたアイドル、DV夫の妻子殺しーー。 犯人は確保した、はずだった。 地方研修を終えたばかりの検事・一色瑞穂は、東京地検で事件捜査に携わる刑事部本部係に着任する。司法修習生時代の教官で憧れの上司・高宮誠一郎の勅命で「複数の若い女性を殺害し、公判直前に証言を翻した」という被疑者を任される。唯一生き残った女性の聴取で目にしたのは新興宗教〈サンクチュアリ〉のシンボル・五芒星の跡。そして次々起こる殺人事件。危険を顧みず現場の最前線へ立ち向かう瑞穂は、やがて全国民を巻き込む「黒い計画」にたどり着く。 『人間狩り』でネット私刑を、『眠りの神』で安楽死を描いた社会派ミステリの実力派。 今度のテーマは「教義VS正義」!
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3.3第34回紫式部文学賞受賞 皆川博子 新たな代表作、誕生。 自らの道を求め交易商人を志した二人の少女の物語。 少年の日に夢見た「本物の文学」という幻に、今日、出逢ってしまいました。 パンドラの匣に残された最後の希望のような言葉の冒険。 ――穂村弘 記録に決して残らない「が、あったはず!」の歴史的瞬間。 虐げられし者たちが織り成す、魂の生存を賭けた「智」の連鎖。 時を超えて掘り出されるその昏き光彩、まさに圧巻! ――マライ・メントライン 1160年5月、バルト海交易の要衝ゴットランド島。 流れ着いた難破船の積荷をめぐり、生存者であるドイツ商人と島民の間で決闘裁判が行われることとなった。重傷を負った商人の代闘に立ったのは、15歳の少女ヘルガ。 義妹アグネが見守る中、裁判の幕が開き、運命が動き出す―― ドイツ商人が北へ進出し、ロシア・ノヴゴロドでは政争が頻発するなど動乱の時代を生きた人々を詩歌や戯曲形式も交えて紡ぐ、小説の新たな可能性を拓く傑作長篇!
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3.0世間のルールや価値観に、生まれながらのスペックに、 DNAやホルモンに制限される人生を、思考停止で受け入れちゃいないか? 芥川賞作家・羽田圭介が突き付ける問い。「その人生、自分の力で変えられますか?」 時代や場所が変われば変容するもの、アンコントロールな要素に左右される日常で、私たちは何を疑い、何を信じればいい――? 「タブー」蔓延る現代に放つ、衝撃の問題作! 【タブートラック】…改造車。世間の目を気にせず、禁忌を犯せるプライベートスペース。 世間が抱くクリーンなイメージを維持するために、押しつぶされそうになる俳優。 過去の失敗から、自らをコントロールすることに腐心する脚本家。 不祥事を起こした著名人をSNSで弾劾し、恵まれない人生の憂さ晴らしをする会社員。 親に黙って整形し、歌とビジュアルを武器に動画配信で荒稼ぎする女子高生。 タブーに縛られ、タブーに魅せられた人生が交錯する先に現れたのは、「理想」の世界か、それとも――?
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 一度だけ言うよ!きみを好き! SNSで恋愛の詩を執筆したり本人自身が撮る花々を投稿している中で読者ファンが集まり人気が出ました。ファンたちの熱望に応える為に厳選して一冊の詩集が出来上がりました。全くの素人ながら恋愛の詩にキュンキュンさせられたりドキドキさせられたり…。恋愛中の人たちもそうでない人たちもキュンキュンドキドキして頂けたら嬉しいです。 X(Twitter)、ブログで定期的に詩を配信している詩人。いくつかのアカウントを運営しており、トータルでのフォロワーは1万人を超える。 ※この商品は固定レイアウト型の電子書籍です。 ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※お使いの端末で無料サンプルをお試しいただいた上でのご購入をお願いいたします。 ※本書内容はカラーで制作されているため、カラー表示可能な端末での閲覧を推奨いたします
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-老小説家の父親の出生地、岐阜県各務原市での講演という体で小説は書き始められる。その講演では岐阜近辺出身の文人が次々に召喚され、文化的磁場としての岐阜について語られるかと思いきや、認知症が進行していく妻とのやり取りの場面が挿入される。老小説家が関心を持って接してきた遠い過去からごく最近までの文学者たちの言葉と、日常生活を営むことが困難になりつつある妻の言葉が折り重なるように記されつづけたその奥からぼんやりと見えてくるのは、齢八十代半ばに至り健康体とはいえない老小説家が、どうしようもなく疲労しつつも生きて書くことの闘いをやめようとしない姿である。
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4.5若手イケメン俳優の五十嵐海里(いがらし かいり)は、ねつ造スキャンダルで活動休止に追い込まれてしまう。 全てを失い、故郷の神戸に戻るが、家族の助けも借りられず……。 行くあてもなく絶望する中、彼は定食屋の夏神留二(なつがみ りゅうじ)に拾われる。 夏神の定食屋「ばんめし屋」は夜に開店し、始発が走るころに閉店する不思議な店。 そこで働くことになった海里だが、とんでもない客が現れて……。 幽霊すらも常連客な不思議なお店で、海里が出会ういろんな人々、そしておいしいごはんの数々。 美味しく切なくほっこりと、「ばんめし屋」開店! ※本電子書籍は「最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵」「最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華」「最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ」「最後の晩ごはん 刑事さんとハンバーグ」「最後の晩ごはん 師匠と弟子のオムライス」を5冊にまとめた合本版です。
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4.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この商品は、作品の内容を鑑み、固定レイアウト型で制作した電子書籍です。文字だけを拡大することができませんので、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できませんので、ご注意ください。また、お読みになる端末で無料サンプルをお試しいただいた上でのご購入をお願いいたします。※ジムは、両親や親族とトレーラーハウスで集団移動しながら暮らす“パヴィー”の少年。 アイルランドの小さな集落で、定住者である “バッファー”の学校に通いはじめるが、偏見や差別にさらされ、不良たちから理不尽な暴力を受ける。そんな中、ジムは周囲から浮いているバッファーの少女、キットと親しくなる。他人に流されず、芯の強いキットにジムは惹かれていくが、彼の病弱ないとこが不良たちに襲われる事件が起きてしまい──。苦しみや孤独を抱えた少年と少女の出会い、 揺れ動く気持ち。『ロンドン・アイの謎』 『すばやい澄んだ叫び』の著者による繊細な一編を、気鋭のイラストレーターが鮮烈な挿絵で彩った、心に響く物語!
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4.0集大成的恋愛小説、圧巻の千三百枚 二人の恋の炎は、すべてを焼きつくす。 京都と東京を舞台に描く、集大成的恋愛小説 「誰かを傷つけるのはこわいけど、傷つけなければ生まれない感情もある。」――綿矢りさ 京都に暮らす久乃(ひさの)は、中学校の入学式で出会った同級生の綸(りん)にひと目で惹かれ、二人は周囲の偏見にも負けず、手さぐりで愛をはぐくんでいく。 「名前なんか、どうでもいーやん。私は久乃が好き。久乃は私が好き。それで十分やろ」 しかしあることがきっかけで二人は決定的に引き裂かれる。 そして十数年後、東京の会社に勤める久乃は思いがけない形で綸に再会するのだった――。 綿矢りさ史上最長、圧巻の1300枚!
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4.0パリのアパルトマンでルーマニアからの亡命将校の射殺体が発見された。傍らに残されたDRACという血文字。その後、女性が全身の血を抜かれて殺される猟奇殺人が続き、〈吸血鬼(ヴァンピール)〉事件としてパリ市民を震えあがらせる。矢吹駆は事件の犯人が遺体に動物の徴(シーニュ)を残していることに着目する。ミノタウロス島での凄惨な事件のショックから精神的に不安定な日々を送るナディアは、この連続猟奇事件に巻き込まれていく。脱血と動物の徴(シーニュ)は何を意味するのか? 亡命将校射殺事件と〈吸血鬼(ヴァンピール)〉事件の接点は? 矢吹駆の現象学的推理が暴く驚愕の真相とは。/解説=中村大介
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3.9誰かが死ななきゃ分かんないの? 首相暗殺テロが相次いだあの頃、インターネット上にももう一つの爆弾が落とされていた。ブログに突如書き込まれた【宣戦布告】。そこでは、SNSで誹謗中傷をくり返す人々の名前や年齢、住所、職場、学校……あらゆる個人情報が晒された。 ひっそりと、音を立てずに爆発したその爆弾は時を経るごとに威力を増し、やがて83人の人生を次々と壊していった。 言葉が異次元の暴力になるこの時代。不倫を報じられ、SNSで苛烈な誹謗中傷にあったお笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。ほんの少し時を遡れば、伝説の歌姫・奥田美月は週刊誌のデタラメに踊らされ、人前から姿を消した。 彼らを追いつめたもの、それは――。
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4.3二〇一七年、フランス中部に位置する都市リモージュの新聞社に勤める事件記者ジャンゴ・レノールトは、亡き祖父マルセルの遺品整理のため、彼が晩年を暮らした寒村を訪れる。戦後、対独協力者として断罪された祖父は、一族から距離を置いてこの地に隠れ住んでいた。生前会うことがなかった祖父が遺したのは古書の山と、二十あまりの黒檀の小箱──そこに隠された意味とは何か? ジャンゴは西洋古典学を研究する大学院生ゾエ・ブノワの協力のもと、祖父が希求した真実を求め歴史の迷宮へと足を踏み入れる。〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が満を持して贈る、知的探究の喜びに満ちた長編ミステリ。
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4.6文芸業界の性、権力、暴力、愛。戦慄の長篇 性加害の告発が開けたパンドラの箱―― MeToo運動、マッチングアプリ、SNS……世界の急激な変化の中で溺れもがく人間たち。対立の果てに救いは訪れるのか? 「わかりあえないこと」のその先を描く、日本文学の最高到達点。 「変わりゆく世界を、共にサバイブしよう。」――金原ひとみ 文芸誌「叢雲(むらくも)」元編集長の木戸悠介、その息子で高校生の越山恵斗、編集部員の五松、五松が担当する小説家の長岡友梨奈、その恋人、別居中の夫、引きこもりの娘。ある女性がかつて木戸から性的搾取をされていたとネットで告発したことをきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の日常が絡みあい、うねり、予想もつかないクライマックスへ――。 性、権力、暴力、愛が渦巻く現代社会を描ききる、著者史上最長、圧巻の1000枚。 『蛇にピアス』から22年、金原ひとみの集大成にして最高傑作!
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4.0執筆から30年、“幻の長編小説”がついに書籍化! 囲碁の名人として、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康と、天下人三人の側近くに仕えた本因坊算砂(日海、本因坊の初代)を主人公に、新たな視点から信長を描く――。天下布武へと邁進する信長だったが、武田との激闘、一向一揆との泥沼の戦い、荒木村重の謀反など、難しい局面が続いていた。そうしたなか、若くして見いだされた日海は、囲碁を通して、信長にさまざまな献策を行なっていく。そして不穏な情勢の下、天正10年(1582)、毛利攻めへ向かうため、信長が京都・本能寺へ宿泊する。6月1日の夜(本能寺の変の前夜)、信長の御前で囲碁の対局をした日海。その対局で、万に一つもできず、不吉なことが起こる前兆ともいわれる「三コウ」が起こるのだが、それは……。官僚、政治家、万博のプロデューサーなど、多岐にわたる活躍とともに、数々のベストセラーを世に送り出した著者ならでは分析が冴えわたる一冊。
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4.1人の心は分かりませんが、 それは虫ですね――。 ときは江戸の中頃、薬種問屋の隠居の子として生まれた藤介は、父が建てた長屋を差配しながら茫洋と暮らしていた。八丁堀にほど近い長屋は治安も悪くなく、店子たちの身持ちも悪くない。ただ、店子の一人、久瀬棠庵は働くどころか家から出ない。年がら年中、夏でも冬でも、ずっと引き籠もっている。 「居るかい」 藤介がたびたび棠庵のもとを訪れるのは、生きてるかどうか確かめるため。そして、長屋のまわりで起こった奇怪な出来事について話すためだった。 祖父の死骸のそばで「私が殺した」と繰り返す孫娘(「馬癇」)、急に妻に近づかなくなり、日に日に衰えていく左官職人(「気癪」)、高級料亭で酒宴を催したあと死んだ四人の男(「脾臓虫」)、子を産めなくなる鍼を打たねば死ぬと言われた武家の娘(「鬼胎」)…… 「虫のせいですね」 棠庵の「診断」で事態は動き出す。 「前巷説百物語」に登場する本草学者・久瀬棠庵の若き日を切り取る連作奇譚集。
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1.0「慰安婦神話」を実証的に論破する! 韓国、日本、そして世界は、真実に基づかない運動に騙されてきた―― 【エピローグより】今まで慰安婦運動グループの研究者や運動家たちが主張してきたものは、架空の作り話というしかない。(略)彼らは、道を歩いて至り村の井戸で水を汲んでいたりした少女を、いきなり現れた官憲が父母も知らないうちに捕まえ連れていったと主張する。(略)しかし、そうしたことは、本書で論じてきたように全て事実ではない。 慰安婦は20万人いた? 幼い少女も動員? 官憲による強制連行? 慰安所では無報酬だった? 慰安婦を虐待、虐殺……? こうした「主張」は、全て事実ではない。
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3.9北欧、華文、韓国の次は……今もっとも熱い「インド・ミステリー」の傑作 手段を選ばず、お子さんを志望校に入れる。それが僕の仕事です―― 貧困の中からのしあがった青年ラメッシュがニューデリーで営むのは「教育コンサルタント」。依頼人を希望の大学に押し込むのが仕事だ。 今回の依頼は富裕な建設業者からで、息子ルディをインドの一流大学に入れてくれという。ルディはバカなドラ息子であり、手段は替え玉受験しかなかった。 受験は無事に終了するも、予想外の結末が待っていた。ラメッシュは全国トップの成績をあげてしまったのだ。インド最高の天才少年現る!とメディアは群がり、ラメッシュはマネージャーの地位に収まってカネを稼ぐが……。
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5.01巻2,400円 (税込)彼方は遠く、記憶になかったことばかり思われる 仰げば彼方は鏡のようにある。記憶になかったことばかり思われる。――「ラサンドーハ手稿」 蜃気楼のように現れる塔。ざぶんざぶんと波の音。へそから出てくるうなぎたち。母がクリーニング店に預けたもの。画家が描く瓜二つの妹たち。ある日、人類に備わった特殊能力…… 九人の実力派作家が紡ぐ幻想アンソロジー。 【目次】 ラサンドーハ手稿 高原英理 串 マーサ・ナカムラ うなぎ 大木芙沙子 マルギット・Kの鏡像 石沢麻依 茶会 沼田真佑 いぬ 坂崎かおる 開花 大濱普美子 ニトロシンドローム 吉村萬壱 天の岩戸ごっこ 谷崎由依
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3.7姉が弟の遺体を浄める。本来これは同性の仕事なのだが、姉は自分がやると主張した――。亡き弟の思い出を情感豊かに紡ぐ「浄め(グスル)」。アメリカの女の子として成長してきたアラブ系移民2世の“わたし”と、波乱の人生をおくった伯母の物語に、窓から飛び降りた女が女神と邂逅する幻想的な光景を織り込んだ「マナートの娘たち」。#MeToo運動以前の映画産業で、あるインターンの女性が受けたハラスメントを描き、問題提起する「懸命に努力するものだけが成功する」。新聞記事や手紙、メールの文章、リアリティー番組の台本やSNS投稿など虚実取り交ぜた多彩な媒体のコラージュで、フロリダで実際に起こったシリア・レバノン系移民夫婦のリンチ事件を核に、アメリカという国家に潜む暴力性や異質なものを排除しようとする人間の本質を浮かび上がらせる野心的な傑作「アリゲーター」。過酷な現実を生きる人々に寄り添い、多様な声を届けようとする全9篇。現代アメリカ文学の新鋭による鮮烈なデビュー短篇集!/【目次】浄め(グスル)/マナートの娘たち/失踪/懸命に努力するものだけが成功する/カナンの地で/アリゲーター/サメの夏/わたしたちはかつてシリア人だった/三幕構成による、ある女の子の物語/謝辞/訳者あとがき
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3.7青春時代にテレビのリアリティ番組に夢中になったメラニー。彼女は今や、サミーとキミーという兄妹の母となり、YouTubeで彼らの動画を公開し、何百万人もの視聴者を獲得している。サミーとキミーはキッズインフルエンサーとして有名になり、たくさんのスポンサーがついていた。しかしある日、かくれんぼの最中に六歳のキミーの姿が消えた。誘拐が疑われ脅迫状も届く。金目当てか? 成功者への嫉妬か? 怨恨か? 小児性愛者か? パリ司法警察局が捜査を開始し、メラニーと同世代の警察官で捜査記録官のクララも事件を精査しはじめる。クララもかつては、親に隠れてリアリティ番組を見ていた少女だった。ネット社会で翻弄される人たち……。そしてSNSネイティヴの子供たちの未来を知る人はまだいない……。SNS全盛の現代、子供たちを、そして人々を待ち受ける闇をミステリ的筆致で描いた恐ろしくも予言的な問題作。母親は言う。「我が家では、子供が王様なんです」と。
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3.32014年、イスラエルのネゲブ砂漠。秘密軍事施設には“将軍”の命令により、ただ一人の囚人Zが長年監禁されており、一人だけの看守に見張られている。ユダヤ系アメリカ人の学生からイスラエルの諜報員になり、自国の権力者に監禁されるに至った囚人Zの数奇な人生とは──。Zの存在を隠したまま何年も意識不明でベッドに横たわる将軍の回想、パレスチナ難民の青年の受難、パリで恋に落ちたZとウエイトレスのかつての逃避行。幾つかの物語が循環しつつ重なり合い、悲哀、諦観、希望を繰り返しもたらす不条理なパレスチナ紛争と、それに翻弄されながら生きる人々の姿を描き上げる。『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』がフランク・オコナー国際短編賞受賞、ピュリッツアー賞最終候補となった著者による傑作長編!
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-著者待望の第2歌集。 前作、『光と私語』(2019年)は、短歌界にとどまらず大きな話題となり、第54回造本装幀コンクール読者賞受賞、日本タイポグラフィ年鑑2020入選を達成。 現代における都市の浮遊感にいっそうの磨きをかけて書き綴る圧巻の歌群。 ――収録作品より―― 鈴の音がするのは鈴をつけた猫 見たことはないけどたぶん白 自販機はみな道の面を向いて立ちわたしの帰路を照らしてやまず 見晴らしの良いところまで歩くとき、上から見えてくるのも景色 歳月は、それからここにある力 誰かの締めた蛇口の固さ 終日をやることのない人間が座ったままで運ばれてゆく 多くの人が長い年月をかけて育んできたこの詩形で、優れた短歌や面白い歌集がこれだけ世間に溢れていても、いまだに自分しかできない表現の余地が残されている――(「あとがき」より) 装釘・本文レイアウト:山本浩貴+h(いぬのせなか座) 写真:篠田 優「Fragments of the place 2017-2019」
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4.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 総動員数13万人突破! 『行方不明展』の梨×株式会社闇×大森時生が手掛ける “恐怖心”をテーマにした話題の展覧会を完全書籍化。 書籍オリジナル展示1件に加え、綿矢りさ書き下ろしコラムを収録! 展示会パンフレットに収録された、ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)書き下ろしコラムも再収録。 誰しもの心にある“恐怖心”。それらが可視化された時、新たな恐怖が呼び起こされる。 怖いものって身近にある。身近にあるものは怖くなりうる。 ──ましろ爻(にじさんじ) この可視化できない霧を求めて、私は恐怖を求め続ける。とりあえず空気清浄機の側で本を読もうか。 ──綿矢りさ あなたに、我慢できないほど怖いものはありますか? ※収録内容の一部はフィクションです 「恐怖心」とは あるもの・ことに対して、その人が生理的に感じる恐れや不安。 単なる命の危険や苦痛を伴うものだけでなく、一見して恐怖の対象とは思えないものにも生じることがあります。これらの恐怖は、時に説明のつかない不合理さを伴います。 『恐怖心展』では、「先端」「閉所」「視線」といった、様々なものに対して抱く「恐怖心」をテーマにした展示物を収録しています。 これらを通して、あなたの恐怖心に向き合うきっかけになれば幸いです。
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5.0有罪判決を受け警察官を辞め、探偵の手伝いをするようになった麻生龍太郎。温泉芸者として流転の生活を送っているという元妻を探して、初雪がちらつくなか、麻生は新潟の山間の温泉町にやって来た。寂れた温泉街で聞き込みを始めた矢先、この町の有力者から資金を受けていたという男が失踪し、直後、宿の女将が何者かに殴られ重傷を負った。この町で何が起きているのか? そして、動揺する麻生の前に、妻を連れ去った男――山内練が現れた……。 『RIKO』、『聖なる黒夜』から連なる麻生龍太郎シリーズ、23年ぶりの長編刊行! 2026年12月頃、続編刊行予定。 著者作家生活30周年記念作品。
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3.8香港映画史上No.1ヒットとなった「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」待望の原作刊行! 1988年、香港。黒社会でその名を知られる義に厚い青年・陳洛軍(チャン・ロッグワン)は、香港を牛耳る大ボスから突然命を狙われた。舎弟たちを傷つけられ、母親を殺された洛軍は、復讐を誓って九龍城砦に足を踏み入れる。そこは大ボスも手を出そうとしない〈龍城幇〉の頭目・龍捲風(ロンギュンフォン)が支配する地だった──。彼はそこで黒社会に生きる信一(ソンヤッ)、十二少(サップイー)らと絆を深め、大ボスの打倒に向けて動き出す! 映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』原作。*「幇」の字は正しくは封に白に巾
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-文学・執筆空間・住まいの変遷がこの1冊でまるわかり! 古代の紫式部から、中世の鴨長明、近世の小泉八雲、明治時代の文豪たちや、現代のあさのあつこまで--。 リアルイラストで時代、作家ごとに住まいと暮らしの変遷を追える!建物だけでなく作品が書かれた時代背景を理解すれば、物語をよりいっそう楽しめること間違いなしです。 ▼こんな方におすすめ ・古代~現代の間取りや執筆空間・執筆道具の変遷が知りたい ・推し作家の生活空間や、作品が書かれた時代背景に没入したい ・自宅を仕事場とする作家の住まいをテレワーク空間の参考にしたい ・現在、保存/復元されている作家の住まいを訪れてみたい など ※建築知識2023年2月号「平安から令和時代まで 作家の住まいと暮らし詳説」の書籍化 特集時には掲載しきれなかった建物の図面や新規の事例を盛り込みパワーアップしました!
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-神という恐るべき謎に挑み続けた、北欧のノーベル賞作家ラーゲルクヴィスト。その孤高の作品群がここに全貌を現わす…! 神という恐るべき謎に挑み続けた、北欧のノーベル賞作家ラーゲルクヴィスト。その孤高の作品群がここに全貌を現わし、巡礼の果てに焼き尽くされた人間の罪が、聖なる地の澄明な風景としてよみがえる。20世紀の最重要作家を、「刑史」「こびと」の名訳で紹介した山口琢磨が、その渾身の力で遺した待望の翻訳が刊行されることは、ひとつの文学的事件である。(文芸評論家 富岡幸一郎) 【目次】 アハスヴェルスの死 海上の巡礼 聖地 マリアムネ ラーゲルクヴィスト著作目録〈山口琢磨編〉 あとがき〈中川美智子〉 【著者】 ペール・ファビアン・ラーゲルクヴィスト ペール・ファビアン・ラーゲルクヴィスト(Pär Fabian Lagerkvist) 1891年5月23日~1974年7月11日。スウェーデンの作家、詩人、劇作家、エッセイスト。スモーランド地方ヴェクショーに生まれ、伝統的なキリスト教信仰の環境下で育つ。生涯に亘って神と人間、善と悪という普遍的なテーマを追求し続けた。最も知られる小説「バラバ」は、1951年度ノーベル文学賞受賞の対象作品になった。1956年、本三部作の前編となる「巫女」を発表。 山口 琢磨 山口琢磨(やまぐち たくま) 1925年1月4日~2021年7月9日。旧制松江高等学校、東京大学第一工学部船舶工学科卒業。大学院進学後、療養生活中に独学でスウェーデン語をはじめとする4ヵ国語を習得。2010年、運輸界のノーベル賞といわれるエルマー・A・スペリー賞受賞。東京大学応援歌「ただ一つ」の作曲者。 訳書『ノーベル文学賞全集 11 フォークナー/ラーゲルクヴィスト』所収「刑吏」「こびと」(主婦の友社)他。
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5.0東京から福岡の山奥に移住し、猟師として生活している明神マリア。 猟友会の会長・吉中剛太郎と、ここ最近感じている山の違和感について話していた。なぜか、山から獣の気配が消え去っている――、と。 ある日の帰り道、マリアは森からかつてない強い気配を感じ、身構える。 それは、この五年の猟師経験で見たこともないような巨大な猪から発せられたものだった。 後にその正体は、江戸時代から言い伝えが残る金色の猪「イノガミ」だと、剛太郎に教えられる。 過疎に苦しむ村で、恐怖と葛藤を抱えながら自然と向き合う猟師たち、そして平穏な暮らしを願う村人たち。 伝説の猪との対峙の先に見えるものとは。 手に汗握る猟師と害獣の死闘を描く、著者初の現代小説! 【著者略歴】 矢野隆 やの・たかし 1976年福岡県生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。21年『戦百景 長篠の戦い』で第4回細谷正充賞、22年『琉球建国記』で第11回日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。他の著書に「戦百景」シリーズ、『覚悟せよ』『琉球建国記 尚円伝』『籠城忍 小田原の陣』『匣真演義 姫賊 僑燐伝』『籠城忍 上田城攻防戦』など多数。
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