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何を食べて、何を飲む?
人生に寄り添う
愛おしい味がある
俳句結社「水軍」の同人である瑤子は、行くべきかためらっていた。
同じ結社で人たらしの拓郎から誘われた、自宅での食事会。
直前に取った1本の電話が、その意味を変えてしまったから……
(「鱚のフライと白ビール」)
それぞれの人生、それぞれの背景を持った、多様な登場人物たち。
当人たちが抱える“心のもや”が、
「ペアリング」を通して、少しだけポジティブへと変わっていく。
料理と飲み物、そして味わう2人。
2つの「ペアリング」をモチーフにした24編。
極上の掌編小説集を、ご賞味ください。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
一つ一つのエピソードは短いけれど、とても気が利いている。
人物の心の機微、そして食べ物の描写も際立って美味しそう。さすがとしか言いようがない。
誰かと食べる。同じものを食べながらも、考えていることは違うかもしれない。
顔を見合わせて「おいしい」「おいしい」と言い合えたら、1+1は3にも4にもなるだろう。
しかし、一人きりで好きな食べ物と向かい合うのもいい。食と私、オンリーワンとオンリーワン。
※昔の食の思い出で、つまらない定年後が変わるシニア夫婦
※食べ物に対する姿勢の違いでうまく行かない男女
※元は他人である配偶者との食
※父や母との思い出
※連れ合いやペットをうしなった空虚から、再び食べられるようになるまで・・・
俳句結社「水軍」の人たちの関係者が多く描かれる。
新しくリーダー的存在になった・広渡哲郎(ひろわたり てつろう)は、人たらしである。
元気のない人をそれとなく見抜いてみんなの輪の中に迎える、ということが自然にできる人。
来るものは拒まず去るもの追わずといった、飄々とした雰囲気もあったけれど、最後には一人の女性にとことん真心をぶつけた、というのが良かった。
最後は大団円、「水軍」の人たちと、哲郎の娘が所属する劇団「楡(にれ)」の人たちと・・・関係者でなくても何かのつながりがる人たちもみんな一緒に。
えーっと、この人はどの話に出て来た人だっけ?と、ページをめくり返すのも楽し。
イラストもとにかく美味しそうで、見ても読んでも幸せな一冊である。
Posted by ブクログ
美味しい料理とお酒は人の心を動かし何かを気づかせてくれる。
誰かと一緒に食べる料理が(もちろんお酒も)幸せを生んで心も満たしてくれると私が知ることができたのは結婚したからだった。結婚して、子供の頃は知らなかったことをたくさん知ることができた。
初めて読んだ井上荒野氏の小説は句会のメンバーを中心にした様々な状況の人物たちの人間模様を瑞々しく粒立ちのくっきりした言葉たちでこまやかに描写している作品なのだけど、物語というのはいつもミステリアス。最初に登場した人物があやしげで(同い年なのがムカつくし(笑。)思わず登場人物をいちいち書き出した。余韻のある描写はあとでちゃんとつながって出てくる。猫も登場する(もう虹の橋を渡っていた設定だけど)。イラストも美味しそうだし表紙の色がとても素敵。描かれたメニューで一番そそられたはフレッシュポルチーニのフライとピエモンテのバルベラ、このお店に行ってお店で食べたい。笹塚の小体な料理屋とバー「耳」が近所にあったら行ってみたい、きっと楽しめると思う。1+1は料理とお酒の1+1と一人の人間と一人の人間の関係の1+1、答えに正解はない。答えがいくつになるかは誰にもわからない。奥深いタイトル。若いころはやりきれない終わり方をする物語を好んでいたけど、歳を取ったせいかひとすじの光明がみえる前向きな終わり方をしてくれたほうが読後感が満ち足りた気がする。本作も短編ひとつひとつもそしてオーラスも希望が残る終わり方になっていて心地よい。
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