アクリル

アクリル

小説・文芸
2,200円 (税込)

11pt

人はみな、「幸せな物語」のための材料でしかない。

YO!YO!学園の霧谷ビョルン永劫。
金髪の三つ編みを垂らしたヨーヨーバトラー。
それが僕の妻・美幸の「推し」だ。

付き合って3年、33歳で結婚した卓郎と美幸。
妊活を始めた矢先、卓郎の無精子症が発覚する。
子を持たずに幸せを手に入れようと約束した二人だったが、
ある日、美幸が「推し」の霧谷ビョルン永劫のアクリルスタンドを購入。
以降ビョルンのアクスタは、食卓に、枕元に、職場の打ち合わせに、旅先に、美幸が行くあらゆる場所に伴われるようになり・・・・・・。

「推し活」を通じて、現代人の孤独とグロテスクな欲望を容赦なく描く、
ノンストップ・アクスタ小説!

【著者略歴】
井上荒野(いのうえ・あれの)
1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を、08年『切羽へ』で第139回直木賞を、11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を、16年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞を、18年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。著書多数。

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アクリル のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    恐ろしい、理解できない。怖すぎる、そして二人とも愚かで可哀想すぎる。
    それをきっと分かっていながら、「自分は上にいる」「自分は見下す立場にいる」「自分は幸せだ」と思い込んで満足せざるを得ない状態なのが、あまりにも可哀想すぎる。
    この親元に産まれる赤ちゃんがあまりにも「不幸せ」すぎやしないか??
    赤ちゃんを何だと思ってるんだろう…

    推しのために仕事をおざなりにし、推しのために借金をし、推しのためにパパ活をする。
    そんな狂いに狂った妻を「許せる寛容な自分」に幸せを感じ、他者より優れていると信じる夫。
    愚かだと分かりつつも「推しのいる妻を許容しないと幸せでいられない」と認めているのも可哀想で、悲しいなと思った。
    というか離婚しなよ。なんでそこ許して「自分だから許せた」みたいに思い込んでやり過ごそうとする?
    たぶん自分の無精子症のせいで、そう思わないと心を守りきれなかったんじゃないかなぁ。
    倫理観ぶっ壊れてて二人とも人の親になっていい人種では無いと思うし、精神科にかかった方がいいんじゃないか…誰か助けてやってくれ…と思ってしまった。

    もはやホラー。
    推しのために仕事をして、推しのために自分の人生を生きるのではないのか………
    この夫婦は、「推しのため」という言葉をすべて免罪符にしている気がする。
    たぶんどっちも狂ってるんだろうな………うーーん、関わりたくない、本当に、こういう人たち。

    そもそも「何にも成れないから母親に成りたい」はあまりにも無責任すぎやしないか?
    推しキャラと同じ名前をつけたり、推しキャラに似ているとはしゃいだり、
    何かもう、この赤ちゃんの予後が悪くて悪くて。
    どうにかこの夫婦から逃れて幸せになってほしいとしか……

    恐ろしすぎる本だった。
    井上さんはアタリハズレが極端な印象だけど、個人的にこの胸糞悪さは大当たり。
    やはり一番怖いのは、こういう「普通」っぽいのに狂っている人間。

    私も推し活をしている人間なので、正しく生きようと思った。

    0
    2026年10月03日

    Posted by ブクログ

    前情報なしに読み始めたらあまりに面白くてびっくりした。
    なんて狂った話!
    推し活にすべてを捧げる妻とどう対処したらいいのか戸惑う夫。
    妻の思考回路が凄すぎて圧倒されたけど、予想外の展開でますますカオスな状態になる。
    読んでいて苛々もさせられるけど痛快な部分もあってなんとも不思議。

    0
    2026年08月21日

    Posted by ブクログ

    夫婦の事はその夫婦がお互い納得していたらそれで良いのでは、とそう思ってしまいました。ここまで極端ではないにしろ、このような思考、価値観、感覚のご夫妻って実際に存在していそうなのでリアルさを感じました。

    0
    2026年09月20日

    Posted by ブクログ

    様々な変化とともに変容していく愛や正しさ。人生という物語を生きていく中でいかに寛容や受容するかということ。
    固定観念や価値観の変化とは何となく少し違う。
    「推し」と「アクスタ」と「推しのアクスタ」は似て非なるものなのかもしれないというハナシ。
    不穏であり面白くもありました。

    0
    2026年09月06日

    Posted by ブクログ

    タイトルのアクリルから想像もしてなかった、思いっきりド直球なアクリル具合にびっくりしながら、ギリギリの不快感不安定さで物語が進む最高な一冊。一歩やりすぎると嫌悪でいっぱいになるところをギリギリで進めていくからさすが荒野さんだなと。すごく面白かったし、最後までゾワゾワした。

    0
    2026年08月31日

    Posted by ブクログ

    物語ねぇ。役者だと思わなきゃいけない人生なんて辛いじゃないの。そうやって納得するしかないということだものね。面白かったけど、夫婦どちらも共感ゼロ。

    0
    2026年08月22日

    Posted by ブクログ

    井上作品から真っ先に思い浮かぶのは不穏の文字。

    本作で描かれるのは、推しのアクリルスタンドをあらゆる場所へ持ち歩き、撮影する〈推し活〉に没頭する女性。

    一見するとポップで軽やかな物語のようだが、根底にはそこはかとない不穏な空気が流れていた。

    30代前半で結婚し妊活を始めた矢先に夫の無精子症が発覚する。
    子どもを持てない孤独を埋めるように推し活へ傾斜していく姿は、次第に常軌を逸していく。

    だが、彼女の行動に疑問を抱いていた夫までもが、やがて奇妙な変化を見せ始める。

    推し活を通して現代人の孤独と幸せの形を考えさせられた。

    0
    2026年08月15日

    Posted by ブクログ

    妻への愛情、そのために揺るがない(合間にあきれ、あきらめ、憤怒、哀愁ありますが)かたち。
    変な啓発本よりこれこそよね。

    0
    2026年07月29日

    Posted by ブクログ

    よくこんな身勝手な妻に我慢できるなぁ。無理だ、全然理解できない。そんな人と一緒に暮らすなんて苦痛でしかないわ。でも別れないってどういう心境なんだろう。

    0
    2026年10月02日

    Posted by ブクログ

    ある意味、今ここに在る日本版社会派ホラーだ。

    今流行りの推しやアクスタなど、若者文化についていけないと思いきや、これはあくまでも小道具、人間心理をこじらせて正当化する見事な返し、流石である。

    こんなこじれた人間模様も成立するのもまた不思議であり、新しい?発見でもあった。

    0
    2026年09月21日

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