前田隆弘の作品一覧
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小説・文芸
Posted by ブクログ
夫をコロナで亡くしたおばが、コロナをうつされた夫の友人を恨む気持ちを整理できた話がグッと来た。
非常に大きな感情が超常現象かはたまた偶然の一件でスッと解消される瞬間。
大槻ケンヂ氏『くるぐる使い』を思い出した。
人間の感情は理屈を超える。
だから死後の世界観や宗教は完全にはなくならないのだろう。
著者がおばの心情を推測する描写がとても丁寧で紳士で謙虚。
「~~かもしれない。」連発であくまで推論であることを強調して「それでも~~」後の記述が説得力ある。
ワークショップの話はちょっと食べ物がおいしそう過ぎて話が入ってこなかった。
昔精神分析学を少しかじった自分の持論なのだけど、心って何でできているかというと他者の心の成分からできている。
多数の他者の心の成分が自己の心を支えている。
自分にとって大きい存在の他者の心が亡くなると、自己の心の一部が一気に崩れる。
身体に例えて言うと片腕もぎ取られたくらいのダメージが心にかかる。
外から見ても血は出ないし定量的に他者に伝えられないのが苦しいところ。
この本は心が崩れたぽっかりとした部分をかなり言語化できているのではないかと思った。
文学フリマは以前行ったことがあるが、こんな本を作ってる人もいたのかと感心した。
あの場って売ってる人のアピールの仕方と会場に来てる人の指向とのマッチングがとても難しいのではと思ってる。結構予習するとかサンプル読み込まないとなのでは。