前田隆弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夫をコロナで亡くしたおばが、コロナをうつされた夫の友人を恨む気持ちを整理できた話がグッと来た。
非常に大きな感情が超常現象かはたまた偶然の一件でスッと解消される瞬間。
大槻ケンヂ氏『くるぐる使い』を思い出した。
人間の感情は理屈を超える。
だから死後の世界観や宗教は完全にはなくならないのだろう。
著者がおばの心情を推測する描写がとても丁寧で紳士で謙虚。
「~~かもしれない。」連発であくまで推論であることを強調して「それでも~~」後の記述が説得力ある。
ワークショップの話はちょっと食べ物がおいしそう過ぎて話が入ってこなかった。
昔精神分析学を少しかじった自分の持論なのだけど、心って何でで -
Posted by ブクログ
これは、テーマが、いい。
著者が直面したひとの死、その前後を文章にしている。
ひと、、、親戚、友、関係者、町の人、、、様々。自死も。。
友の自死が軸になっている。
自分を変えるきっかけを与えてくれた友。
思えば私もいくつかの死に出会っている。
この歳になってそのペースが上がってきてしまった。
祖父母の死はまだ幼かったのであまりピンと来なかった。遠方でもあったし。
最初の一番ショックだった死はセキセイインコ。
小学生の時は正月でエサが買えず、、
中校生?のときは振り向いたときに蹴飛ばしてしまって、、、と。
泣いた。
次は父か。私が29の時、53歳の父は心筋梗塞で逝ってしまった。
バブルのピーク -
Posted by ブクログ
著者の周りに起こった死をテーマに、
喪失感を手放さずに向き合いながら生きていくことを描いた一冊。
死なれ"ちゃった"
の言葉のとおり、
共通して予見しないタイミングでの死が綴られる。
それも、身近な人〜見知らぬ人まで様々な関係性から見た『死』が描かれることで、死生観について考えさせられる。
私はまだこんなにもたくさんの死は体験していないので、
これから、人の死に目に触れる機会が増えていくのだろうなと思う。
印象的だったのは、
喪失を受け止める時間を持たないことは、
その人の存在がなかったかのように振る舞うことになるのだ、ということ。
喪失感があることは、その人が少し -
Posted by ブクログ
ネタバレ生と死はとなりあわせ
いつだってすぐ身近にあるのに
死への恐怖に気づかないふりをして
死なれちゃったことも忘れたふりをして
それは自分が生を全うするためでもあり
けど本書では死についてたくさん語り合っていて、少しも暗くなくて、辛いんだけど、苦しい思い出なんだけど
明るくて、つまり生きるパワーをもらえた
面白かったという感想は変なのかもしれないけど、いろんな人の死ぬ様はつまり生き様なので、読んでよかった
そして人と話すことって本当に大事だと、おしゃべりな自分には嬉しい肯定感を得た
覚え書き
あまり責任を感じすぎてしまうと、こっちがまいってしまうのて、時々思い出したり、時々忘れたりしながら、 -
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友人、父、祖母など親しい人、通りすがりの人、知り合ったばかりの人の死を描く。
親しい人を亡くしたばかりの人は読むのは辛いかもしれない。ちょっと落ち着いてから読むといいと思う。
若くして自死した親友の話も辛かったが、事故死した父の話も辛かった。まだ高校生の娘がいるのに、たった三万円しか貯金がなかった。たくさんあったはずのお金は、借用書も貰わず他人に貸していた。(実質的にはあげていた。)息子の大学の仕送りも妻のパート代から出させていた。それが死んでからわかるっていうのは。生きているうちにわかれば怒りのぶつけようもあるが。
しかし、それを恨みにしなかった家族は偉かったな。
若いときは人が死ぬという -
Posted by ブクログ
ネタバレ日曜日のお昼に届いて、同じ週の火曜日のお昼に読み終わった。
死生観について誰かと話すことはあまりないから、普段は不足してるその「求めていた対話」みたいなやつの擬似体験をさせてもらったし、著書の前田さん(まえさん)をはじめとする方々の本当に貴い人生について聞かせてもらえたし、とにかく素敵な本だった。
よかった章を振り返りたい、以下ネタバレです
・「世界の笑撃映像」みたいなものでやめてしまえる死があるかもしれない
・「あとは大丈夫です」。助かった、くさいので。
・よく貯金3万ではしゃげるな。
・2メートル超の鉄柵と2メートルおきの三角コーン
・10年遅れでかける言葉
・生き死にと「面倒くさ -
Posted by ブクログ
本の雑誌の2024年上半期ベストにランクインしていた本書。実際に経験した死別についてのエッセイ。
後輩のD君の出来事は大阪の話なので大学の雰囲気などが想像つきやすく、特に読んでいて辛かったです。
生き方について考えさせられました。
病気の友人に私もドキドキしながら連絡したことがあったので、気持ちを代弁してくれているようで、読んでいてうんうん、となりました。
著者の前田さんが聞き上手さんで、しかも本当にいい人なんだろうな、と思います。
人に会いたくなりました。人との繋がりは大切にしないと。
ちなみにファイナルキッスは絶対禁止です(笑)
文学フリマの存在を知らなかったので、知人を誘って早速行 -
Posted by ブクログ
大切な人の死に対して、心構えを持つことは可能だろうか。突然の場合はもちろん無理だけど、長患いだった場合はどうなのか。
私の大切な人の死の経験は「突然」に偏っているため想像でしかないのだけど、心構えを充分したつもりでも、やはり悲しみや後悔がまったくない死はないだろう、ということ。
この著者はおそらく、「死なれちゃった経験」が人よりも多い。
家族や友人など多くの人が経験する死だけでなく、偶然見かけた事故現場や、ついさっきまで一緒に仕事をしていた人が別れたあとに交通事故で亡くなってしまった…など、多くの人は経験しない内容も多い。
だからこそこの1冊ができたのだと思う。1冊になるくらい「死なれちゃっ