海外文学作品一覧

  • もつれた蜘蛛の巣
    4.1
    一族の誰もが欲しがる家宝の水差し。その相続を巡って、結婚や離婚、恋や駆け引きなど様々な思惑が複雑に交錯する。やがて水差しの魔力は一同をとんでもない事件へと導くが……モンゴメリ円熟期の傑作。
  • 戻ってきた娘
    3.8
    少女の成長を描くイタリアのベストセラー。 13歳の時にそれまで育った裕福な家庭から、実の親と兄妹が暮らす田舎の貧しい家庭に突然戻されてしまった「わたし」。大人の都合に翻弄され、あまりに違う環境に戸惑い、寄る辺の無さに悩みながらも、実の妹という理解者と共に成長し、やがて大人を乗り越えていこうとする少女の姿を描く感動作。イタリアで二大文学賞のひとつカンピエッロ賞を受賞、28か国に翻訳され、映画化も進行しているベストセラー。 (2021年3月発行作品)
  • モノから学びます 今日がもっと好きになる魔法
    完結
    4.0
    一人で暮らしはじめて、私はやっと私になれた 【「一日一章ずつ読んでる」「大好き」「読みおわるのが惜しい!」とSNSで感動の声!】 〈しゃもじ〉〈コーヒー〉〈アボカド〉…。身の回りにあるモノをみつめれば、自分をもっと好きになる。韓国で爆発的人気のイラスト〈モノ〉エッセイ! 【一日一章ずつ読んで下さい。何気ない毎日がきっとあなたも愛おしくなる。】 ・傷ついた人間関係は、古い〈玉ねぎ〉の皮を剥くように癒やす ・〈しゃもじ〉を水に濡らすたびに思い出す、亡き祖父の教え ・食べ終わった〈アボカド〉の種を育てるということ ・二度目の〈コーヒー〉は、その日の体調に合わせて ・友人へのおみやげは〈すいか〉の種の気配り ・誕生日プレゼントだった〈オリーブオイル〉と〈生理用品〉 ――貧しくても一人でも、日々の生活と向き合って、私はここ(ソウル)で生きていく。 自分を好きになるというのは決して簡単なことじゃないけれど 昨日の自分よりも今日の自分を もっと好きになりたいという強い気持ちがあるはず。 日々の変化をモノを通じて感じることができたら。 そんなふうに、明日に向かって生きていきたいのです。(「はじめに」より) 一人で暮らしはじめて、私はやっと私になれた。――しゃもじ、コーヒー、アボカド。身の回りのモノに耳を傾ければ、今日の自分がもっと好きになる。読めば優しい気持ちになれる、ソウル発の大人気イラストエッセイ。
  • 物語 西遊記
    -
    「水滸伝」「三国志演義」「金瓶梅」の四大奇書のひとつ。唐の僧玄奘、すなわち三蔵法師の紀行という史実をもとに創作された妖怪変化、奇想天外、千変万化の物語。軽妙洒脱な名訳で、孫悟空をはじめ脇役の活躍を活写。

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  • 物語 三国志
    -
    三世紀前半、魏、呉、蜀の三国が新たに興り中原に覇を争った……。日本の物語にない、かなたを思わせる厖大な世界を内蔵するところに着目すべきだとする訳者の読み込みが、新しい三国志として凝縮されている。

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  • 物語 水滸伝
    -
    「水滸伝」を直訳すれば「水辺物語」。梁山泊という湖水を背景にくりひろげられた数々の事件を描いたことから名付けられたが、宋江ほか36人が次から次に同じ志で集まっていく過程が時代を超えて人々を惹きつける。

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  • アルケミスト双書 物語のつむぎ方入門 〈プロット〉をおもしろくする25の方法
    -
    小説・映画・演劇など、物語をどのように構成すれば、読者の興味を引くかということに関して、基本的なセオリーがある。ストーリーテリングにおけるプロット(筋立て)は、その基本中の基本。本書ではプロの作家が、理論と具体的なプロットをつくる技術を紹介し、プロットをどのように操作すればドラマチックな効果が得られるかを伝える。作家を志す人がアイデアをしっかりとした作品に育てることを目的とした実践的な本。
  • モノクロの街の夜明けに
    4.0
    1989年,ルーマニア.独裁が続くこの街で,高校生のクリスティアンは密告者になった.自由を夢見る17歳は,東欧諸国の民主化を伝える海外ラジオに耳をすませ,任務を逆手にとって,世界に真実を知らせようとする――抑圧された人々の祈りが,ついに国を動かすとき.革命の希望と痛みを描く,渾身の歴史フィクション.

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  • ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
    3.8
    全米ベストセラー、人気若手作家による9・11文学の金字塔、ついに邦訳。9歳の少年オスカーは、ある鍵にぴったり合う錠前を見つけるために、ママには内緒でニューヨークじゅうを探しまわっている。その謎の鍵は、あの日に死んだパパのものだった……。全米が笑い、感動して、心の奥深くから癒された、時代の悲劇と再生の物語。ヴィジュアル・ライティングの手法で編まれる新しい読書体験も話題に。
  • ウォールデン 森の生活 上
    4.2
    わかりやすく、見やすく蘇った『森の生活』。 ヘンリー・D・ソローは、1800年代中期、ウォールデンの森の家で自然と共に2年2か月過ごし、内なる自然と外界の自然、そして人間社会を見つめて膨大な日記を記しました。その日記をもとに一冊に編み上げたのが本書です。邦訳は、古典の引用などから難解な書籍と言われていましたが、2004年に小学館から発売になった動物学者の今泉吉晴氏の訳本は、今泉氏自身が山小屋に30年暮らして、自然の側からの視点でソローの翻訳を続け、若々しく、読みやすく、示唆に富む内容になっています。今回の文庫では、さらに豊富な注釈を加筆。深く読み込みたい読者に対しても魅力ある内容となっています。新たに収録された写真と地図は、ソローの足跡(そくせき)をたどったH.グリーソンによるもの。ソローの文章と一緒に見ることで、ソローが感じていた自然を少しでも感じてほしいという訳者の意図によります。社会の産業化が進み始めた時代に、どのようにソローが自然の中を歩き、何を感じていたか。現代に生きる私たちも少しでも感じることができるのではないでしょうか。
  • 森の生活 (ウォールデン) 上
    3.9
    1~2巻858~924円 (税込)
    ソロー(一八一七―六二)は、ウォールデン湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て、自給自足の生活を始めた。湖水と森の四季の佇まい、動植物の生態、読書と思索――自然と共に生きた著者の生活記録であると同時に「どう生きるべきか」という根本問題を探求した最も今日的・普遍的なアメリカ文学の古典。湖とその周辺の写真多数を収める新訳。

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  • モルグ街で起こらなかったこと または起源の不在
    -
    1巻330円 (税込)
    第4回創元推理評論賞を受賞。探偵小説研究会会員でもある著者が、史上初の推理小説と言われる『モルグ街の殺人』の著者でもあるアメリカを代表する文豪、エドガー・アラン・ポオの作品に迫る評論!(必要上『モルグ街の殺人』『盗まれた手紙』の犯人やトリックに言及しておりますので、読まれる方はご留意ください)
  • 紋切型辞典
    3.3
    ここに編まれたおよそ1000の項目は、衣服、飲食物や動植物に関するもの、礼儀作法の規範、身体と病気についての俗説、芸術家、歴史的人物の逸話と彼らの評価など、多岐にわたる。フローベール(1821-80)はその記述に様々な手法を駆使して、当時流布していた偏見や言葉の惰性、硬直した紋切型の表現を揶揄し、諷刺してみせた。

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  • モンスターを書く
    -
    恐れるな、恐ろしくあれ 竜、サメ、ゾンビ、悪魔、吸血鬼、巨大生物…… 人々はなぜこんなにも「モンスター」に惹かれるのか―― H・P・ラヴクラフト歴史協会推薦! すべての迷える創作者たちに捧ぐ「人ならざるもの」を描くための導きの書 映画、ドラマ、小説、ラノベ、マンガ、ゲーム、TRPGなど、あらゆるジャンル作品に登場する「モンスター」なる異形のものども。本書は、モンスターという「リアルでないもの」を、「もっともらしく」表現するためのガイドブックである。 第一部では「モンスターとは何か」という根源的な問いから、それを恐ろしいと人が感じる要素や理由、悪役(ヴィラン)との違いについて明らかにする。第二部および第三部では、作品におけるモンスターの役割、モンスターを創造する際の実践的な手段、五感に訴えかけるような生き生きとした描写の方法、登場人物だけでなく読者にとっても恐ろしく、意味を持った登場の仕方など、創作活動における実践的な取り入れ方についてレクチャーしている。 また、各章末のコラムでは、既存の作品に登場してきた数々のモンスターをカテゴリごとに紹介。ゾンビや吸血鬼といった原初的なモンスター像から、超有名モンスター、サメや自然などの現実に存在するものをモンスターとして活かす方法、あるいは未確認生物や幽霊船、呪いのアイテムといった細部まで、実例を交えながら解説する。 ファンタジー、SF、ホラーといったジャンルの創作活動への最良のガイドブックであるとともに、H・P・ラヴクラフト歴史協会メンバーの著者の語る卓越したモンスター論としても読める、知的好奇心を駆り立てる一冊である。 ★H・P・ラヴクラフト歴史協会による序文 ★「クトゥルフ(クトゥルー)神話」の生みの親、H・P・ラヴクラフトの短編『名状しがたきもの』を解説つきで収録 ★あなた好みのモンスターを創造するための練習問題付
  • モンティチェロ 終末の町で
    NEW
    -
    鳴り響くアメリカ国歌、銃声。逃げ惑う住民が辿りついたのは元大統領邸宅(モンティチェロ)だった……。近未来アメリカを舞台に、トマス・ジェファーソンと奴隷の間に生まれた女性を先祖に持つ女子学生が、暴徒化した白人至上主義者から逃れ、因縁の場所で運命と対峙する表題作をはじめ、全6編を収録したデビュー作品集。 バージニア州シャーロッツビル周辺を主な舞台に、人種差別や経済格差の問題等、さまざまなテーマを内包する中編(表題作)1本と短編5本を収録。 本書は、全米批評家協会賞ジョン・レナード賞最終候補、ニューヨーク・タイムズ紙2021年ベストフィクション10冊に挙げられた。2022年リリアン・スミス図書賞受賞。 (原題 My Monticello)
  • モンテ=クリスト伯(1)
    4.6
    モレル父子商会の帆船の若い船長候補エドモン・ダンテスは、同僚のダングラールと恋敵のフェルナンの陰謀により、美女メルセデスとの婚約披露宴の席で逮捕され、無実の罪でイフ城の牢獄へ……。ナポレオン没落後の激動の社会を背景に、燃える正義感と鉄の意志で貫かれた男の波瀾の人生を描いて、万人の血を沸かす、大デュマ、不朽の名作の完訳決定版。
  • モンテ・クリスト伯 1
    4.3
    二百年の長い間、世界各国で圧倒的な人気をあつめてきた『巌窟王』の完訳。全7冊のうち第1冊。

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  • モンテ・クリスト伯(1)
    5.0
    青年エドモン・ダンテスは「ファラオン号」の次期船長の有力候補として、希望に胸ふくらましてマルセーユに帰港する。そこにはフィアンセが首を長くして彼の帰りを待っていた。だが、足取りも軽く父親とフィアンセのところへと急ぐダンテスの背後には、「ファラオン号」の会計士ダングラールの食い入るような憎悪のまなざしがあった。…ダンテスが知らずして託された手紙が陰謀の引き金をひく。ダンテスは無実の罪を着せられ、死の牢獄「シャトー・ディフ」に幽閉される。囚人三十四号としての十四年の獄中生活! だがダンテスはついにチャンスをとらえて脱獄する。まず知りたいのはフィアンセのこと、父のことだ。せめて獄中で知り合ったファリア神父から聞いたスパダの秘宝を手に入れることができれば…雄大な構想で展開する波瀾万丈の物語。 全5巻。
  • モンテーニュ 随想録
    4.0
    この思想家が特記されるのは「私は何を知っているか」という命題から出発し、予断、断定、差別、高慢を排し、そのため『随想録』は事柄を並置、対比することに徹し、エッセーという新しい叙述方法が生み出された。

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  • モーパッサン怪奇傑作集
    5.0
    目に見えるものをリアルに描き、その奥にある「目には見えないもの」を想像させる薄気味のわるい物語11編。超自然現象、異常な幻覚、狂気錯乱など、作者自身の実体験をへて生み出された「怖い話」の集成。
  • 【電子復刻版】モールバラ公爵のこと――チャーチル家の先祖
    -
    1巻1,320円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 今世紀イギリスの名宰相サー・ウィンストンの先祖、初代モールバラ公爵ジョン・チャーチルの毀誉あいなかばする生活を、人間臭く描き出す好読物。 待望の電子復刻版。
  • 夜間飛行
    4.0
    20世紀初頭の郵便飛行に携わる者は、「自分達が歴史を作る」という信念と誇りを持っていた! 南米大陸で、夜間郵便飛行という新事業に挑んだ男たち。ある夜、パタゴニア便を激しい嵐が襲う。生死の狭間で懸命に飛び続けるパイロットと、地上で司令に当たる冷徹にして不屈の社長の運命は――命を賭して任務を遂行しようとする者の孤高の姿と美しい風景を、自身も飛行士だった作家が詩情豊かに描く航空小説の傑作。
  • 夜間飛行
    4.3
    「わたしは作者にたいして、わたしにとってかなりの心理学的重要性を有するつぎの逆説的真理を明らかにしてくれたことをとくに感謝している。それは、人間の幸福は自由のなかにではなく、義務の受諾のなかにあるということだ。この書物の登場人物のひとりひとりは、おのれがなすべきこと、その危険な任務に、情熱的かつ全面的に身を捧げ、それを遂行したあとにはじめて、幸福の安らぎを見出す……」(アンドレ・ジッド 序文より)冷厳な態度で郵便飛行事業の完成をめざす支配人リヴィエールと、パタゴニアのサイクロンと格闘する飛行士ファビアン、それぞれの一夜を追いながら、緊迫した雰囲気のなかで夜間の郵便飛行開拓時代の叙事詩的神話を描いた本書は『星の王子さま』とならんで、サン=テグジュペリの名を世界中に知らしめた代表作である。南米ブエノス・アイレスの地に、主人公と同様、郵便飛行の支配人として赴任していた時期に執筆され、1931年度のフェミナ賞に輝いた。特別付録 ディディエ・ドーラ「『夜間飛行』に着想を与えた人物から見た」

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  • 山羊座物語
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 森や動物を守る妖精パーンは湖の妖精で美しいシュリンクスと深い恋に落ちる。 愛と試練の物語。
  • 優しさのヒマラヤ・トレッキング
    -
    ネパール出身の女性作家マンジュシュリ・タパの17編の短編を収載(原著「tilled earth」インド・ペンギン社刊より)。アメリカ人女性とネパール人男性の恋、土地を売った金を分け合う兄弟、結婚によって最良の友を失った男女、日の目をみない詩人とアメリカに渡りたい人気歌手……風習や言葉、生い立ちの違いと向き合いながら、居場所を探し求める人々を描いた物語。心の奥底に苛立ちや不満を抱えつつも真摯に生きる姿や、自分の国(おかれた場所、選んだ場所)に人生をささげる人々の姿は、何かを大切に想う気持ちが生きる力になるということを、私たちに気付かせてくれます。そして、この地上には、自分を必要とする場所があるのだと、信じたくなる一冊です。

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  • 野生のアイリス
    4.0
    2020年にノーベル文学賞を受賞した詩人、ルイーズ・グリュック。 日本で翻訳版のなかった女性詩人の代表作を対訳(英語の詩も掲載)でお読みいただけます。 原書『The Wild Iris』は1993年にピュリッツァー賞詩部門受賞。花をモチーフにした美しい作品集です。 翻訳は、詩人、エッセイスト、ウィートン大学英文学部准教授の野中美峰氏。 原作の世界観を極限まで再現した流麗な翻訳詩をお愉しみください。
  • 野性の叫び
    -
    「バック」は安定した飼い犬の境遇から一転して、橇(そり)引き犬としての過酷な生涯を背負わされる。つぎつぎに代わる主人たち、仲間の犬たちとの対決と交流と友情が、北米の凍てつく大地を舞台に展開する。そうしたなかでいつしか、「バック」は深い森の奥から聞こえてくる野性の呼び声を耳にする。放浪と苦難のうちに作家生活をすごしたアメリカの作家ジャック・ロンドンの「ユーコン物語」の代表作であり、動物文学の傑作。

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  • 野生の棕櫚
    4.0
    「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」 1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」) 1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」) 二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。 アメリカ南部を舞台に、実験的かつ斬新な小説群を、生涯書き継いだ巨人、ウィリアム・フォークナー。 本作は、「一つの作品の中で異なる二つのストーリーを交互に展開する」という小説構成の先駆となったことで知られる。原著刊行(1939)の直後、ボルヘスによってスペイン語訳され(1940)、その断片的かつ非直線的な時間進行の物語構成により混沌とした現実を表現する手法は、コルタサル、ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、その後のラテンアメリカ文学に巨大な霊感を与えた。 他方、現代日本の小説にも、大江健三郎(『「雨の木」を聴く女たち』)や村上春樹(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)、叙述トリックを用いたサスペンス小説(連城三紀彦は本作を生涯の10冊に挙げている)など、本作の影響は数多見受けられる。 また、ゴダール(『勝手にしやがれ』)、ジャームッシュ(『ミステリー・トレイン』)における言及で本作を知る映画ファンも多いだろう。 その意味では、文学のみならず20世紀カルチャーにおいて最大級の方法的インパクトを与えた、世界文学史上の重要作にして必読の傑作だといえる。 その本作を、『八月の光』『サンクチュアリ』『兵士の報酬』などの名訳によって定評のある、加島祥造訳にて復刊する。
  • 野性の呼び声
    4.0
    ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。苛酷な大自然を力のかぎり生きぬく犬たちの誇り高き生命の物語。20世紀初頭、アメリカで国民的な人気を博したジャック・ロンドンの出世作。
  • 病は気から
    3.0
    医者や薬剤師によって「自分は病気だと思いこまされている男」アルガンが主人公。若い後妻は財産目当てで、夫のすみやかな死を待っている。医者への痛烈な風刺をたっぷりと盛り込み、陽気な歌と踊りでふんだんに味付けした喜劇。国立劇場コメディ・フランセーズの上演回数は記録的で、見て面白いという点では、モリエール劇のなかでも屈指の芝居との評価が定まった傑作。
  • 闇の奥
    3.7
    アフリカの奥地に象牙採集をする人々の上に起こった事件を作者自身の体験にもとづいて書いた作品。『颱風』『青春』と共にコンラッドの中短篇の代表作であるが、作品の芸術的根強さにおいて他の二つを凌ぐ。ここには作者の原始に対する驚異と文明に対する呪詛とが熱病のような激しさであらわされている。

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  • 闇の奥
    5.0
    作者は船員時代にコンゴ川流域に出かけたが、そのときの経験が元になって書かれた作品。「闇の奥」とはアフリカ奥地の闇をさすが、同時に人の心の闇、文明の闇をも象徴していると思われる。コンラッドの代表作。

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  • 闇の脳科学 「完全な人間」をつくる
    4.4
    「脳に電気ショックを与えて、『完璧な人間』へとつくり変える」 現在の米脳科学界における一大トレンドであり、DARPA(米国防高等研究計画局)も莫大な予算のもと参戦する「脳深部刺激療法」。 「サイコパス」「依存症」「うつ病」「てんかん」「パーキンソン病」、そして「小児性愛」「性犯罪者」さえも矯正可能であるという夢のような治療法だ。 軍事転用すれば、冷酷な兵士を人工的に生み出せる。 しかし、闇に葬り去ったはずの禁断の治療法がふたたび甦ってしまった、と戦慄する人も多い。 というのも1950~60年代、マッドサイエンティスト疑惑のある天才脳神経外科医が、 倫理観の希薄な南部(ニューオリンズ)の大学で、思う存分に人体実験を敢行していたからだ。 患者の頭蓋骨に穴を空け、電極を差し込むことによって。しかも彼は、人類の進歩に貢献する英雄として、もてはやされていたのだという。 恐るべきことに彼は、同性愛者を異性愛者へつくり変えることに成功。 暴力行為が一瞬で消えた患者、上限のない幸福感に満たされる患者、メンタル疾患が消えた患者なども。過激化する人体実験。 その一方で、手術失敗で発生した廃人たちを隠し切れなくなりーー。 人間の本質=「脳」という臓器に変更を加えることは許されるのか?
  • 闇の牢獄
    3.3
    ストックホルムで起きた、サッカー審判員撲殺事件。地域警官のミカエラは捜査に参加、尋問のスペシャリストで心理学者のハンス・レッケと出会う。彼は鎮痛剤の依存症だった。独特の心理分析で捜査陣をかく乱するレッケだったが、ある日ミカエラが地下鉄に飛びこもうとした彼を救ったことをきっかけに、二人は被害者の裏の顔と、事件の奥に潜む外交機密に突き当たる。元ピアニストの経歴を持つレッケは、アフガニスタン移民である被害者の中に音楽の痕跡を見つけるが、そこには凄惨な過去が待ち構えていた。上流階級のレッケと移民のミカエラ。奇妙なコンビは時と国境を越え、真実に迫る――。
  • ヤンの戦争
    -
    第一次大戦中の知られざる物語、待望の翻訳出版。百年の時を経て明らかにされる、中国人青年たちへの差別と偏見。
  • ユ・ウォン
    3.7
    『アーモンド』を生んだ「チャンビ青少年文学賞」受賞作品! ――私を苦しめたのは、善意。 マンション火災事故の「奇跡の生存者」ユ・ウォン。 ユ・ウォンの姉は、幼い妹を布団で巻いて11階から投げ落とした後、帰らぬ人となった。 地上で彼女を受け止めたおじさんは、足に重い障害を負った。ユ・ウォンは奇跡の象徴として、おじさんは英雄として、一躍、時の人となった。 あれから12年。いまだに世間は「あの事件の子」という眼差しで彼女を見る。姉は神格化され、「英雄」のおじさんは家をたびたび訪ねてきてはお金を無心していく。 そんななか、ユ・ウォンは同じ高校に通うスヒョンと知り合う。自分とは正反対のスヒョンに影響され、初めて他人に心を開いていくが……。 誰にも言えない、生き残ったことの罪悪感、自己嫌悪、葛藤、矛盾―― 数々の痛みを乗り越え、自らの力で人生を取り戻そうとする少女の成長を、瑞々しく描いた感動作!
  • 誘拐されて
    -
    若者デーヴィッド・バルファは遺産相続の権利をもちながら、欲深な伯父の陰謀によって「誘拐され」、アメリカ植民地へ奴隷として売られそうになる。だが船は難破、たまたま知り合ったジャコバイト党員のアランとスコットランドの荒野をさまよう。そこは内乱の影を宿す危険極まりない場所だった。スコットランド出身の作家が描く「宝島」とならぶ冒険物の代表作。

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  • 夕霧花園
    4.3
    この記憶は いつまで わたしに残るのだろうか 天皇の庭師だったアリトモと、日本軍の強制収容所のトラウマを抱えるユンリン。 1950年代、英国統治時代のマラヤ連邦(現マレーシア)。日本庭園「夕霧」を介して、ふたりの人生が交錯する── 同名映画『夕霧花園』【トム・リン監督/リー・シンジエ(李心潔)、阿部寛出演】原作(2019年映画化、2021年7月24日~日本公開/DVD発売元:マクザム+太秦)。 マン・ブッカー賞最終候補に選ばれ、現代アジア文学で最も優れた小説に贈られるマン・アジア文学賞等を受賞。17ヵ国語に翻訳され、高い評価を受けている。 【あらすじ】 封印していた数々の記憶が、「夕霧」でふたたび流れ出す── 1980年代のマレーシア。 連邦裁判所判事の職を離れたテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を再訪する。 そこは、30数年前、日本庭園を愛する姉の慰霊のために、日本人庭師ナカムラ・アリトモに弟子入りした場所だった。 日本軍のマレー半島侵攻、戦後マラヤの「非常事態」を背景に、戦争で傷ついた人びとの思いが錯綜する。 【目次】 夕霧花園 著者による注釈 訳注 訳者解説 訳者あとがき
  • 郵便配達はいつも二度ベルを鳴らす
    -
    町から町へと放浪の暮らしを送るフランクは、ほとんど金もない状態でカリフォルニアの街道筋の安レストランにたどり着く。気のいいギリシア人店主はフランクを雇いたいともちかけ、フランクはそれに同意する。だが、フランクの目は店主のセクシーな女房を見逃しはしなかった。二人はほどなく共謀して店主殺害を企てる……アメリカン・ハードボイルドの代表傑作。

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  • 誘惑
    -
    「読ませる小説」の技術と良心をもち、人間の魂を描きつづけたイギリス文学の巨匠の短編集。「昼食」「蟻とコオロギ」「約束」「ルイーズ」「物知りさん」「察しの悪い女」の6短編と、モームの短編のなかでは最も長いものの一つ「誘惑」を収めた。
  • 雪の女王
    -
    1巻110円 (税込)
    貧しい女の子ゲルダは雪の女王にさらわれたカイを取り戻すために旅にでます。たくさんの試練を乗り越え、雪の女王のお城にたどり着きますが、カイは……。はたして雪の女王の魔法はとけるのでしょうか。アンデルセン童話。読みやすくするため現代の言葉に近づけました。
  • 弓を引く人
    4.0
    【『アルケミスト』の著者、パウロ・コエーリョが贈る「人生を実り豊かにする」教え】 この国で最高の弓の達人である哲也は、現在、小さな村の普通の大工として生きていたが、 ある日、遠い国から来た別の弓の達人から挑戦を受けた。 哲也はこの挑戦を受けることによって、その弓の達人だけでなく、村の少年にも弓の真髄を 教えるのであった――。 「矢は一本一本、異なる飛び方で飛翔する。  あなたは何千本という矢を射ることができるが、  その一本一本が異なる軌跡を描いて飛んでゆく。  それが弓の道なのだ。」 プロローグ 仲間たち 弓 矢 的 姿勢 矢の持ち方 弓の握り方 弓の引き方 的を見る 矢を放つ瞬間 繰り返し 的に向かって飛翔する矢を見る 弓も矢も的も持たない射手 エピローグ
  • 夢・アフォリズム・詩
    3.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 カフカが生涯書き続けた日記、手紙、ノートの中から、夢のメモ、箴言、詩を精選。人間カフカの凝縮された言葉の数々が、鋭利な刃物のように読者の日常を脅かす。小説ではない、もう一つのカフカを一冊に。
  • 夢の本
    3.5
    『ギルガメシュ』『聖書』『千夜一夜物語』『紅楼夢』から、ボードレール、ニーチェ、カフカなど113篇。無限、予言、鏡、虎、迷宮といったモチーフも楽しい夢のアンソロジー。
  • 夢見る恋は旅路の果てに
    -
    われを忘れる理想の愛はすぐそばにあった。 マンハッタンで書店を営むジェーンは、物心ついた頃から、姉サマンサにコンプレックスを抱き続けている。 幼い頃から本の虫だった自分とは異なり、姉は常に行動的であるうえ、すれ違う人たちを振り向かせるほどの美人なのだ。 ある日、ジェーンは書店にやってきたハンサムな男性ダニエルにひと目惚れし、 しかも本全般に詳しいことがわかり、ジェーンはさらに彼に惹かれていく。 一方、その様子を眺めていたジェーンとサマンサの親友ケイレブは激しく動揺する。 はたして、ジェーンの恋の行方は?
  • ユリシーズ航海記
    3.0
    1巻3,300円 (税込)
    天才翻訳家が遺した『ユリシーズ』に関する文章を集成。第12章の発犬伝をはじめ、1922年のパリ、音楽、競馬、13-18章の試訳など、ジョイスフルな言葉に満ちたファン待望の一冊。
  • ユートピアだより
    4.8
    目覚めると、そこは22世紀のロンドン――緑したたり、水は澄み、革命ののち人々が選びとった「仕事が喜びで、喜びが仕事になっているくらし」に、驚き戸惑いつつ触れてゆく「わたし」。社会主義者にして美術工芸家モリス(1834―96)のあらゆる実践と批判、理想と希望が紡ぎ出す物語。清新な訳文に、豊富な訳注を付す。(新訳)

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  • 「慵斎叢話」15世紀朝鮮奇譚の世界
    3.0
    <近くて遠い国>。韓国がそう言われるのは<日本に似て非なる>国だからであろう。であればこそ親しみやすい反面、食い違いが生じれば忽ち嫌韓感情を生んでしまう。その韓国とは、2002年のサッカーワールドカップ共催を契機に、俄かに「韓流ブーム」が沸き起こり、歴史ドラマが数多く紹介され好評を博した。それらの多くは秀作・力作ぞろいで、今でも人気は高いが、作品を通じて朝鮮時代や韓国文化が理解できるかと言われれば、「水戸黄門のドラマを見て江戸時代や日本のことを知ろうとする」のと変わりない。その国のことを理解するには、このようなドラマではなく、古典を通して逍遥するのも有効かもしれない。というのも、韓国文化の母体は朝鮮時代にあるからだ。その朝鮮時代に朱子学(儒教)を通じて国家建設を目指した「士大夫」と呼ばれる科挙合格官僚がいる。特に朝鮮前期に活躍した成俔の随筆「慵斎叢話」は当時の世相を知る最上の資料でもある。この「慵斎叢話」は宮中世界、歴史・文学、自然現象から巷の奇譚・笑話に至るまで多様な話があるが、本書では極めて人間臭い話題を中心に、男女のスキャンダル、破戒僧、呪詛・占い、宮廷秘話など、韓国の厳しい儒教社会に対する先入観を打ち破る奇異譚を紹介する。
  • 妖精の誕生 フェアリー神話学
    -
    「世界中のフェアリーの特徴を調べたい人は、トマス・カイトリーが書いたこの本を読むことからはじめるのがいちばん」と評される名著。フェアリーという概念の起源、説話の発生地、伝播の道筋など、ファンタジックな世界の入門書。

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  • 妖精メリュジーヌ伝説
    -
    ケルト的な妖精伝説がフランス中世の歴史と渾然となった壮大なロマン。美しい妖精とレモダンンは運命的な出会いの後結婚、十人の子どもをもうけるが、夫が妻の秘密を見てしまったため妖精は去り、子どもたちにも数奇な運命が待っていた。

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  • 妖精・幽霊短編小説集
    3.5
    ジョイス『ダブリナーズ』を同時期の妖精・幽霊作品と併読する短編集。19世紀末~20世紀初頭のリアルな超自然的世界が立ち現れる
  • 良き兵士シュベイク(上)
    -
    1~2巻880円 (税込)
    プラハで怪しげな犬の売買をして暮らしていたシュベイクは、オーストリア軍に召集されて前線に送られる。以前に兵役に服したときは「愚鈍」とレッテルをはられて除隊になったのだが、シュベイクははたして「愚鈍」なのか、それとも「知恵者」なのか。だが、シュベイクは上官の命令を忠実に実行することで、軍に多大な損害をあたえる。軍律の盲点をつく天才だったのだ。この長編は、第一次世界大戦時に被支配状態にあったチェコ人の一下級兵士がおこなった珍無類の抵抗と冒険をコミカルにえがき、諷刺・ユーモア文学の世界的傑作として名高い。シュベイクが常連だったことになっているプラハのレストラン兼酒場「ウ・カリハ(さかずき屋)」は、今も観光名所として知られる。

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  • よしきた、ジーヴス
    4.1
    お笑い街道ばく進中。英文学史上もっとも滑稽な数十ページといわれたキテレツ表彰式の章をを含む、天才ウッドハウスのナンバーワン長編。

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  • 四人の巨匠
    -
    二十歳前後ですでに詩人、翻訳家、劇作家として認められ、短篇小説でも成功したツヴァイクは、バルザック、ディケンズ、ドストエフスキーという三大小説家を対象としたユニークな評伝を発表した。それが本書収録の三編であるが、これに追加して第四編として、最晩年に書かれた「モンテーニュ」を含めてタイトルを「四人の巨匠」とした。モンテーニュの生きた時代と、彼の境遇、性格、考え方に多くの共通点を見出したツヴァイクは、彼を「自由なる人間」の友であると考え、この評伝を書き上げてまもなく自ら生命を絶った。
  • 世の中に悪い人はいない
    3.0
    「あなたを傷つけた人は、本当に悪い人だった?」 BTS(防弾少年団)J-HOPE氏が、ライブ配信で「今読んでいる本」と紹介して一躍話題に。 疲れた心を解きほぐす、40編の小さなエピソードをまとめた短編集がついに邦訳! 人生で誰にでもある、思うようにいかなかった「あのとき」のこと。 そんな思い出にも寄り添ってくれるような、 ちょっと不思議で、ときどきクスッと笑える、あたたかい一冊です。 <収録予定内容> 1章 世の中に悪い人はいない 2章 願いを聞いてあげる家 3章 猫の傷
  • 夜ふけに読みたい神秘なアイルランドのおとぎ話
    5.0
    人気の『夜ふけに読みたい数奇なアイルランドのおとぎ話』の続編。不屈の生き様を涙と笑いで語るフィン・マク・クウィル伝説に、時代を超えて愛されるアーサー・ラッカムの挿絵つき。
  • 夜ふけに読みたい動物たちのグリム童話
    -
    大人気「夜ふけに読みたいおとぎ話」最新巻はご存じ「グリム童話」。おなじみアーサー・ラッカムの美しい挿絵とともに、日本初訳作品や、ちょっぴり大人向けの残酷な物語を収録。
  • 夜ふけに読みたい 不思議なイギリスのおとぎ話
    3.4
    1巻1,672円 (税込)
    「ジャックと豆の木」「三匹の子豚」など、日本でもおなじみのおとぎ話を外国文学の翻訳で定評のある二人が新たに編集・翻訳。大人も子どもも声に出して読み楽しめる一冊。
  • 読切り三国志
    4.5
    1巻1,139円 (税込)
    1989年9月に筑摩書房より刊行され、92年10月に同社より文庫化された同名作品の新装版。 本著は金沢の「北國新聞」に1988年1月から12月までの一年間、毎日曜に計51回連載されたものがベースとなっている。 壮大な中国の歴史の中で、日本人に一番なじみの深い「三国志」に登場する絢爛豪華な英雄武将たちの生の軌跡を、 西晋の陳寿の正史「三国志」をもとに明の羅貫中の小説「三国演義」を織り交ぜながら描き出されたのが本書。 乱世をたくましく生き、戦い抜いた漢(おとこ)たちの波瀾万丈、痛快無比な生き様を、歯切れのよい名調子で語り尽くす!!! 『キーワードで読む「三国志」』『水滸縦横談』『史記・三国志英雄列伝』に続く、当社刊行の“井波中国古典文学シリーズ”の第4弾! 本文内容にあわせて図版を新たに加え、全話に掲載! ビジュアル的にもより深く広く「三国志」の世界を堪能できること必至!
  • 夜の樹
    -
    「夜の樹」は、1949年に出版されたカポーティの唯一の短編集で、「夢を売る女」「誕生日の子供たち」「最後の扉を閉めよう」「銀の酒壜」「ミリアム」「無頭の鷹」「私の言い分」「夜の樹」の8編からなる。多くは人間の深奥にひそむ欲望や夢をシュールに描いた作品であるが、「誕生日の子供たち」のような幼年期への郷愁から生れた自伝的色彩濃厚な心優しい作品も含まれている。

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  • 夜はやさし(上)
    4.0
    若き優秀な精神科医ディックは、富豪の美しい娘ニコルと出会う。医師と患者という垣根を越えて、恋に落ち、結婚した二人。富も名声も持ち、人を惹きつけて止まないこの夫婦は、多くの友人から敬われ慕われていた。二人の子に恵まれ結婚生活も順調に思われたリヴィエラでの夏、若き女優ローズマリーが現れディックに激しい恋をしたことから、彼らの運命が大きく揺さぶられ始める――。自伝的色彩を強く放つ、著者最大の長篇傑作。
  • 4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した
    4.3
    1940年にドイツ占領下のポーランドに生まれたマイケルは、 ゲットーや収容所暮らしを余儀なくされたのち、 わずか4歳でアウシュヴィッツに送られた。 なぜ、子どもが次々に殺されていった収容所で、 彼は6か月も生き延びられたのか? 悪や絶望がうずまく世界の中で、ひたむきに前を向いて 生きたマイケル一族の姿が胸を打つとともに、 家族の絆や、希望を失わずに生きることの大切さを あらためて教えてくれる良質なノンフィクション。
  • ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行
    -
    言語・文化・宗教のモザイク世界、ウクライナ・ロシアの諸都市の人々の暮らしと現実、1920年代の記録。 カフカと同じ時代を生きたオーストリアの文豪ヨーゼフ・ロートが、作家・記者の目で観た東欧諸都市の景観と人々の暮らしを独特のスタイルで書き綴った魅力あふれる紀行文で、未発表のまま残されていたウクライナとロシアの旅の報告から、珠玉の17篇を収録。 【目次】 一 東からの便り+D26:G26新流行 ウクライナ少数民族 リヴィウ 障害者の葬列 二 ロシアの風景 トコジラミと過ごした夜 レニングラード 三 ソビエトの現実 国境のネゴレロイエ モスクワの亡霊 ヴォルガ川をアストラハンまで アストラハンの不思議 カフカスの民族模様 ロシアの大通り アメリカを目指すロシア 女性と新しい性道徳と売春 教会、無神論、宗教政治 村に広がる町 世論と新聞と検閲 ロシアの神 あとがき 編集者あとがき 謝辞 【著者】 ヨーゼフ・ロート 1894年、東ガリシアのブロディに生まれる。1939年、亡命先のパリで死亡。1923年からドイツの代表紙「フランクフルト新聞」の特派員となり、ヨーロッパ各地を巡ってユニークな紀行文を書き送り、売れっ子ジャーナリストとなった。その傍ら創作にも手を染め、1930年の長編小説『ヨブ─ある平凡な男のロマン』は現代のヨブ記と称された。1932年にはかつての祖国ハプスブルク帝国の没落を哀惜の念を込めて描いた『ラデツキー行進曲』を発表し、小説家ロートの名をも不動のものにした。 ヤン・ビュルガー 1968年生まれ。文学研究科、小説家。文芸雑誌『リテラトゥーレン』編集者。2002年からは、マールバッハ所在のドイツ文学アーカイブにて従事。ハンス・へニー・ヤン、マックス・フリッシュおよびゴットフリート・ベンに関する著書の他に、『ネッカー川、ある文学旅行』がある。 長谷川圭 高知大学卒業後、ドイツのイエナ大学でドイツ語と英語の文法理論を専攻し、1999年に修士号取得。同大学での講師職を経たあと、翻訳家および日本語教師として独立。訳書に『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)、『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか』(集英社)、『「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』(角川書店)、『ポール・ゲティの大富豪になる方法』(パンローリング)、『メイク・ザット・チェンジ』(日曜社、共訳)などがある。
  • ヨーロッパ放浪記(上)
    -
    “旅人”トウェインの長編紀行 “A Tramp Abroad” の本邦初訳。1878年、百余年前のドイツを行くトウェイン、ある時には勇者ビスマルクを論じ、ワグナーを語り、ターナーを描く。下巻はスイス、イタリアを旅し、ヨーロッパを語る。

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  • ライフ・アフター・ライフ
    4.3
    1910年の大雪の晩、アーシュラ・ベレスフォード・トッドは生まれた。が、臍の緒が巻きついて息がなかった。医師は大雪のため到着が遅れ、間に合わなかった。しかし、アーシュラは、同じ晩に再び生まれなおす。今度は医師が間に合い、無事生を受ける。同様に、アーシュラは以後も、スペイン風邪で、海で溺れて、フューラーと呼ばれる男の暗殺を企てて、ロンドン大空襲で……、何度も何度も生まれては死亡する、やりなおしの繰り返し。かすかなデジャヴュをどこかで感じながら、幾度もの人生を生きるひとりの女性の物語。ウィットと慈しみに満ち、圧倒的な独創性に驚かされる比類なき傑作。コスタ賞受賞作。
  • ライン河 : 流域の文学と文化
    -
    1巻1,870円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 本書はギリシア・ローマの古典や近現代のドイツ・フランス文学・文化を水先案内人に、この河を下る試みである。
  • ラ・カテドラルでの対話 (上)
    4.5
    1~2巻1,386~1,452円 (税込)
    独裁者批判,ブルジョアジー批判,父と子の確執,同性愛――.居酒屋ラ・カテドラルにおける二人の人物の会話をとおして,独裁政権下ペルーの腐敗しきった社会の現実を描く初期の代表作.「これまでに書いたすべての作品の中から一冊だけ,火事場から救い出せるのだとしたら,私はこの作品を救い出すだろう」(バルガス=リョサ).(全二冊)

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  • 【電子復刻版】『楽園喪失』――思想としての空間
    -
    1巻1,320円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ミルトンのParadise Lost論である。話の順序を追いながら、文学作品の基本的枠組みとも言うべき時間と空間という角度から、詩全体を分析している。 待望の電子復刻版。
  • 楽園への道
    4.6
    ゴーギャンとその祖母で革命家のフローラ・トリスタン。飽くことなく自由への道を求め続けた二人の反逆者の激動の生涯を、異なる時空を見事につなぎながら壮大な物語として描いたノーベル賞作家の代表作。
  • ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯
    -
    1巻330円 (税込)
    本書は16世紀半ばにスペインで書かれ、当時大人気を博すとともに、その後のピカレスク小説の模範とされた。貧しい主人公ラーサロ少年は7人の俗人・聖人につぎつぎに仕えるが、だれひとり偽善の仮面の下に疑わしい品性を隠していない者はなかった。ピカレスク小説の主人公は、社会の下層にうごめき、あちこちと放浪に近い暮らしを送りながら自らの知恵と才覚で(ときに大いに反社会的な手まで使って)生きのびようと努力する人物である。

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  • ラジオナメンティ
    -
    ナンナは十六になった娘の身の振り方を決めてやるのに迷い、友達のアントニアに相談する。「修道女にするのがいいか」「さっさと結婚させるのがいいか」「娼婦にするのがいいか」というのだ。それというのも、ナンナ自身、この三つの暮らしをすべて経験してきたからで…ルネサンス期ローマの町のけた外れの淫乱ぶりを暴露するポルノの元祖。

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  • ラスト・コヨーテ【合本版】
    -
    このコンテンツは扶桑社刊【ハリー・ボッシュ・シリーズ(1)】「ナイトホークス(上)」「ナイトホークス(下)」の合本版になります。
  • ラスト・タイクーン
    3.0
    ハリウッドでその名を知らぬ者はいない大物プロデューサー、モンロー・スターの栄光と挫折、亡き妻の面影をもつ未亡人との情事。そして死を、ひとりの少女の視点を通して描く。フィツジェラルドは心臓発作に襲われ急逝するまで、自身の傑作『華麗なるギャツビー』を超えたいと本書に全力を傾けていた。遺された原稿と創作ノートから、本書がいかに素晴らしい作品となりえたかは想像に難くない。まさに未完の最高傑作である。
  • ラスト・バリア スーフィーの教え
    -
    ロンドンの骨董品店での偶然の出会いをきっかけに、トルコへ渡り自分自身を発見する旅に出る。自分の生活も仕事もすべてを整理して旅に集中し、内なる自分、出会いの必然性を知り、ついに真実に触れられると思った矢先――。 キリスト教もイスラム教も宗教に関係なく、超越的なものとつながる境地に達するまでを描く自伝的小説。 パウロ・コエーリョ『アルケミスト』やロンダ・バーン『ザ・シークレット』など、数々の名作を訳してきた山川亜希子氏が「文学的に美しく特に好きな本」と絶賛! 文庫化に際して新たに「四十年後」の章(訳しおろし)を追加しました。 原題:The Last Barrier 著者:Reshad Feild
  • ラティラハスヤ
    -
    性欲の衝動に苦しみ、性的に満足することのなかったひとりの婦人。ヴィヌヤダッタ王の宮廷に一糸まとわぬ姿で現れた彼女は、そこに仕えていた大仙コッコーカの手によってそれまで味わったことのない快楽と歓喜を得た。 抱擁の種類、キス(接吻)の方法、性交体位の説明から、人妻への接し方や、性器を増大させる方法まで。 コッコーカの説いたこの書『ラティラハスヤ―性愛秘義―』は、インドで12世紀ごろ成立し、『カーマスートラ』の姉妹編とも称される性愛の古典。 人生の目的は解説、正義、財物および性愛(カーマ)にあり! としたインド人による、性愛の技巧を徹底的に研究した成果が、1948年に発行された『ラティラハスヤ(性愛秘義)』を底本に現代仮名遣いで復活。
  • ラテンアメリカ文学入門 ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで
    4.2
    一九六〇~七〇年代に旋風を巻き起こし、世界に強い衝撃をもたらしたラテンアメリカ文学。その潮流はどのように生まれ、いかなる軌跡をたどったのか。ボルヘス、ガルシア・マルケス、バルガス・ジョサ、ボラーニョら作家の活動と作品はもとより、背景となる歴史、世相、出版社の販売戦略なども描き出す。世界的ブーム後の新世代の台頭にも迫った本書は、広大で肥沃な新しい世界へ読者を誘うだろう。ブックガイドにも最適。
  • ラテンアメリカ民話集
    3.8
    1巻1,012円 (税込)
    ラテンアメリカに広く分布し代表的なもの,日本の昔話に関係がありそうなものを中心に三七話を精選.それぞれの民話が世界の他地域でどのように変奏されているかなどについて,簡略適確な解説を付す.内容により,動物譚,本格民話,笑話,形式譚に分類.スペイン語文化圏であるアメリカ南西部旧メキシコ領で採話された民話も含めた.

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  • ラ・ロシュフコー箴言集
    4.0
    1巻1,067円 (税込)
    「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」――よく知られたこの一句が示すように、ラ・ロシュフコー(一六一三―八〇)の箴言は、愛・友情・勇気など美名の下にひそむ打算・自己愛という業を重い律動感のある一、二行の断言であばき、読者を挑発する。人間の真実を追求するフランス・モラリスト文学の最高峰。

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  • ラングドンシリーズ【12冊 合本版】 『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』『ロスト・シンボル』『インフェルノ』
    -
    『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』『ロスト・シンボル』『インフェルノ』。大ベストセラー作家ダン・ブラウンが新作を刊行するたびに世界中の話題をさらってきた、人気主人公、ラングドン教授シリーズ。宗教象徴学者・ラングドンが、次々襲いかかる巨大な謎と陰謀、世界の秘密に迫る! レオナルド・ダ・ヴィンチ、イルミナティ、フリーメーソン、そして……。今度の謎は何だ!? ※本電子書籍は、『天使と悪魔(上)(中)(下)』『ダ・ヴィンチ・コード(上)(中)(下)』『ロスト・シンボル(上)(中)(下)』『インフェルノ(上)(中)(下)』を1冊にまとめた合本版です。
  • ランナウェイ
    3.8
    瞠目の伏線回収。極上のサスペンス。 《一読して、「これは最先端の物語だ」と感じさせる。それが本作の、そしてまたハーラン・コーベン作品の素晴らしい強みだ》 《あらゆる問題が更新され続けるこの世界(中略)。そうした世界に注がれるハーラン・コーベンの眼差しは、ひとことで言うなら、限りなく「公正(フェア)」だ。あらゆる価値観が錯綜する現代において、最も挑戦的な態度の一つといっていい。》(作家・冲方丁氏の解説より) 薬物に溺れ失踪した娘を探す父。次々と標的を襲う殺し屋と同行する女。姿を消した資産家の息子を探す私立探偵。娘に薬物を与えた男。バラバラなピースがつながったとき、驚くべき忌まわしい事実が姿を現す。 フェアな目線と巧みな構成に唸り、怒濤の伏線回収に目を瞠る。そして衝撃過ぎる結末。米国屈指のヒットメーカーが放つ、極上のドメスティック・サスペンス。
  • ランボー『地獄の季節』詩人になりたいあなたへ
    3.0
    1巻1,320円 (税込)
    「言葉の意味は一瞬である。だが言葉の実在の輝きは永遠である」――天才詩人ランボーの『地獄の季節』は、いまなお最高の「現代詩入門」です。詩人になりたい人へ向けて、この「詩と格闘する詩人の物語」を鮮やかに再現します。詩人の心構え、詩的言語の独自性がまっすぐに伝わる本書で、あなたも実作への扉を開けてください。

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  • ランボーはなぜ詩を棄てたのか(インターナショナル新書)
    -
    フランス北東部の街、シャルルヴィルに生まれたアルチュール・ランボー。早くから詩の才能を発揮し、詩人のヴェルレーヌとも交流を持ったが、20歳のとき、ランボーは突然、詩作を放棄する。なぜ、ランボーは詩を棄てたのか? 著者、奥本大三郎による詩の新訳とともに紡ぐ、ランボー伝!
  • ラーマーヤナ(上)
    -
    古代インドのサンスクリット語による大叙事詩。詩聖ヴァールミーキの作と伝えられる。ガンジス川の中流に位置するコーサラ国の首都アヨーディヤーを統治するダシャラタ王は3人の妃によって4人の王子を得た。長男のラーマは魔類を滅ぼすためにヴィシュヌ神が人間に化身したものであった。王は長男ラーマに王位を譲ろうとしたが、継母のカイケーイーは、自分の産んだバラタを王位につけ、ラーマを14年間追放するよう王に迫る。ラーマはそれを知ると、自ら森に入った。妻のシーターと弟のラクシュマナも彼に従った。王が亡くなると、バラタはラーマを連れ戻しに行くが、拒絶されたので、ラーマのサンダルを玉座に置いて、王国を守りつつラーマの帰国を待った。ラーマはダンダカの森において有害な羅刹(らせつ)を退治したので、羅刹の王ラーヴァナは彼を憎み、かつシーターの美貌に魅了され、彼女を略奪して、自分の王宮に幽閉した。ラーマはラクシュマナと共にシーターを救出しに出かける。この救出劇の詳細がラーマーヤナの主筋である。途中、ラーマは猿王スグリーヴァの窮地を救ったので、神猿ハヌーマンをはじめとする猿軍の支援を得て、ラーヴァナの王宮がランカー島にあることをつきとめる。ラーマは猿軍とともにランカーに渡り、激戦につぐ激戦のすえ、ついにラーヴァナとその配下の悪魔たちを殺し、シーターを救出する。1年間ラーヴァナの王宮に幽閉されていたシーターは、身の貞潔を証明するために火神を念じながら火の中に入り、火神はシーターを抱きあげてその身の潔白を証言し、ラーマに手わたす。ラーマは彼女を伴ってアヨーディヤー市に凱旋し、王位についた。「ラーマーヤナ」はヒンドゥー教の聖典とされて後代の文学と思想に多大な影響を与え、インド国外でも、ジャワ、マレー、ミャンマー、タイなどの文化に強い影響を及ぼし、中央アジアから中国や日本にも説話として伝えられた。表紙絵はタイ、バンコクの「ワット・プラケオ(エメラルド寺院)」にある大壁画の一部である。
  • ラーマーヤナ(上)
    4.0
    「マハーバーラタ」と並ぶインドの誇る古典叙事詩にしてアジア人の心のふるさと、英雄ラーマの歌物語。原書の詩を散文に変え、読みやすくした童話風読み物。悪魔ラーバナを倒すため、神々が約束を交わして人間と猿の姿に降誕する。(下巻に続く)
  • リア王 七五調訳シェイクスピアシリーズ〈3〉
    -
    1巻495円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 悲劇の最高傑作『リア王』は、シェイクスピアが37歳ぐらいのときに書いた作品である。翻訳にはアーデン版『リア王』を用いた。亡き妻がロンドンで英文学を学んでいたときのテキストで、ここに彼女の貴重な多くの書き込みがあったからである。ところで、この作品を読んで、リア王の強い思い込みと激情に駆られて即断するという「愚かな罪」に対して「罰」が厳しすぎるのではと思われる方も多いのではないだろうか。ただ、現代においても親子の情は同じだ。信頼感と不信感、虚偽と正義のせめぎ合い、虚飾を取り去った人間の裸の姿、「見えていたときには見えず、見えなくなって初めて見える」人の世のこと、「どん底にいる」などと言える間はどん底ではないというギリシャの哲人が語るような人生哲学など、学ぶべきものが作品中に散りばめられている。訳していて気づかされたことは、主筋と副筋が微妙に絡み合っていて、強烈な一つの本体を形成していることであった。劇の途中で主人公のリア王がいなくなってしまい、それを補完するかのようにグロスターが代役の主人公のように登場し、リア王が最後に狂気となって現れるのだが、そこに至る過程をシェイクスピアはグロスターで描き出している。リア王の悲劇的効果を高めた道化の役も、リア王が消えている間は道化だけで登場させるわけにはいかないので、エドガーがしっかりと代役を務めている。ここにシェイクスピアの偉大さをまざまざと感じ取ることができた。
  • リア王
    3.7
    3人の娘の愛情を試そうとした老王リアは、末娘コーディーリアの真心を信じず、不実な長女と次女の甘言を軽信して裏切られる。狂乱の姿で世を呪い、あらしの荒野をさまようリア-疲れはてた父と娘の美しい再会と悲惨な結末。古代ブリテン史に材をとった、シェイクスピアの作品中最も壮大・残酷なこの悲劇を、意欲的な新訳で。

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  • リア王
    -
    純真な末娘より、甘言を信じ、長女と次女に国を譲ったリア王は、忘恩の娘達に追い出され、発狂し嵐の荒野をさ迷う。急を聞き、父を援けに出た末娘は、不運にも捕えられ殺される。理性をとり戻した王は、真実の愛情と虚偽を見分け出来なかった愚をくやみつつ息を引きとった。シェイクスピア全劇作品中、最高作と評価される一作。
  • リア王
    4.0
    とつぜん引退を宣言したリア王は、誰が王位継承にふさわしいか、娘たちの愛情をテストする。しかし結果はすべて、王の希望を打ち砕くものだった。最愛の三女コーディリアにまで裏切られたと思い込んだ王は、疑心暗鬼の果てに、心を深く病み、荒野をさまよう姿となる。戯曲を読む楽しみを追求しつつ、原作の気品と格調、ユーモア、激しい罵詈雑言などが忠実に再現された《安西シェークスピア》の第1弾。
  • リア王
    -
    老いを迎えたリアは三人の娘の「孝行の約束」の言葉によって、領地と権力の移譲をおこなおうとする。上の二人の娘は言葉をつくして父親への愛情を語る。だが、一番下の最愛の娘コーディリアは「親子の定めにしたがって愛します。それ以下でも以上でもありません」と謙虚に述べたことが高慢と受け取られ、領地もわけてもらえず、さびしくフランスへ去る。リアは上の二人の娘に面倒をみてもらうが、しだいに冷たくあしらわれ、ついには荒野をさまようようになる。シェイクスピア四大悲劇中でも最も激越・悲壮な悲劇中の悲劇。

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  • リア王 ――シェイクスピア全集(5)
    4.4
    老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固める。二人の姉は巧みな言葉で父を喜ばせるが、末娘コーディリアの率直な言葉にリアは激怒し、彼女を勘当、二人の姉にすべての権力・財産を譲ってしまう。ここから老王の悲劇は始まった。シェイクスピア四大悲劇の最高峰を第一人者による流麗の技で訳出。詳細を極めた脚注を付す。
  • りこうすぎた王子
    4.1
    洗礼式のお祝い会で,妖精に「おまえはりこうすぎる王子になるがいい!」といわれたプリジオ王子.りこうすぎるせいで,きらわれ者になってしまいました.ところがロザリンドひめと出会ったそのときから王子は一変,火をふく竜の退治にいどみます.迫力たっぷりの挿絵はロバート・ローソン.すみずみまでゆかいな物語です.

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  • リスからアリへの手紙
    4.0
    カタツムリ君、象さん、リス君、アリさん、熊君など、個性豊かなどうぶつたちが好きな食べ物や誕生日についてやりとりする。風に運ばれる手紙が伝える、オフビートで滋養に満ちた物語。
  • 理想の夫
    4.7
    ◆1895年ロンドン。将来有望な政治家ロバートと貞淑な妻ガートルードは、だれもがうらやむ理想の夫婦。そして、自由気ままな独身貴族アーサーは、ロバートの親友で、ガードルードとも昔馴染みの間柄だった。◆ある日、ロバートが催した夜会に、妖しい魅力のチェヴリー夫人が現れる。◆彼女は、ロバートが犯した不正の証拠をちらつかせ、ある投資事業に便宜を図るよう迫る。◆脅迫を拒めば、社会的地位も妻の愛も失ってしまうと苦悩するロバート。すべてを打ち明けられたアーサーは、親友を救うために、チェヴリー夫人と対決することを決意するが……。◆優雅な社交界の裏で繰り広げられる、華麗な嘘と激しい火花の散らし合い。果たして恋と陰謀の行方はいかに!? ◆ワイルドのテンポよい展開とウィットに富んだセリフが光る、人間ドラマの傑作。 ◆2022年2月、宝塚・星組で本作を原作とした「ザ・ジェントル・ライアー~英国式、紳士と淑女のゲーム」が、同2月、新国立劇場で本作「理想の夫」が上演される。これが本作の日本で初めての上演となる。
  • リチャード三世
    4.0
    15世紀後半のイギリス、ランカスター家とヨーク家の王位争奪を中心とする封建貴族間の内乱=薔薇戦争に取材した史劇。恐るべき残忍、知謀、豪胆-王位簒奪の野望を抱き、権謀術数の限りを尽くしたグロースター公リチャード(リチャード3世)は、しばしば名優たちの当たり役となった。1952-53年頃の作。

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  • リチャード3世
    -
    醜く生まれついたリチャードは、自分を呪い、世の中を呪い、あらゆる権謀術数を弄して、野心と復讐心にもえてつぎつぎと悪事を重ねる。妻を殺し、友を殺し、部下を殺し、幼い皇太子兄弟を殺し、国王にまでのぼりつめる。だがリチャードはつねに孤独である。彼のそばに現われては呪いの言葉を投げかける故ヘンリー六世王妃マーガレット、彼に肉親を殺され嘆きと悲しみのなかに沈む人びとの呪詛。近代的悪人像を描くシェイクスピア史劇の傑作。

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  • リッツォ家の愛の遺産(上)
    -
    ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーリスト初登場第1位獲得! 祖父母から受け継いだのは、無限の愛と幸せの集う場所。 NYの事業で大きな成功を収めたエイドリアン。だが彼女には、帰るべき「わが家」があった――。 エイドリアンには恐ろしい過去があった。 7歳のとき、生まれて初めて会った実の父に殺されかけたのだ。母ともみ合いになった父は階段から落ちて死亡、正当防衛を認められた母は、その後フィットネス・インストラクターとしてキャリアを築いてきた。 16歳になったエイドリアンは自らもエクササイズを考案、大学の仲間たちとDVDを発売して成功を収める。 その後、ニューヨークの地で事業を飛躍的に拡大させた彼女だったが、最愛の祖母の死を契機として、大きな人生の選択を迫られることになる。
  • リプリーをまねた少年
    4.0
    犯罪者にして自由人、トム・リプリーのもとにやってきた家出少年フランク。トムを慕う少年は、父親を殺した過去を告白する……二人の奇妙な絆を美しく描き切る、リプリー・シリーズ第四作。
  • 裏面:ある幻想的な物語
    3.5
    巨万の富を持つ謎の人物パテラが中央アジア辺境に建設した〈夢の国〉に招かれた画家は、ヨーロッパ中から集められた古い建物から成る奇妙な都に住む奇妙な人々と出会う。画家はこの街の住民となり、数々の奇怪な体験をするが、やがてパテラの支配に挑戦するアメリカ人の登場と時を同じくして、恐るべき災厄と混乱が都市を覆い始める。幻想絵画の巨匠クビーンが描くグロテスクな終末の地獄図。作者自筆の挿絵を収録。
  • 聊斎志異の怪
    -
    芥川龍之介や森歐外などが愛読した『聊斎志異』は、中国、清の蒲松齢が20年以上民間伝承を取材しまとめた、全16巻からなる世界最大の怪異小説集。本書では幽霊譚・動物奇談・妖怪譚を抄録し、現代語訳で紹介する
  • 猟人日記(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    狩猟家(猟人)の日記というスタイルを借りて、ロシアの美しい自然と、その中に営まれる人びとの苦衷にみちたさまざまな生活を、25編の物語としてリリシズム豊かに描いたツルゲーネフのデビュー作であり、生涯の代表作。

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