小説 - 東京創元社作品一覧

  • 蹄鉄ころんだ
    3.8
    バラクラヴァ農業大学は、年に一度の馬の競技大会をひかえてわきかえっていた。鋤競争、裸馬レース、曲乗り、蹄鉄投げ……すべてにおいて常勝を誇っていた大学軍団に、今年は暗雲がたちこめる。何者かが不幸のおまじないとして馬房の蹄鉄をすべて上下さかさまに打ちつけたのが効いたのか、工芸店で金銀の強奪事件が発生、巨大で美しい雌豚ベリンダが誘拐され、殺人まで起きてしまう。これらのめちゃくちゃな情勢に直面したシャンディ教授は、無事に収拾をつけられるのか……? 豊かな笑いに彩られた謎解きが楽しめる快作、大好評シリーズ第2弾。
  • 帝都一の下宿屋
    3.2
    1巻1,731円 (税込)
    銀座は南紺屋町にある下宿屋「静修館」。若き大家の梨木桃介は無類の世話好きだ。家事万端を見事にこなし美味しい食事を作ってくれる桃介の元を追い出されるわけにはいかぬと、小説家の仙道湧水は我儘を封印して生活している。ある日、湧水は馴染みの記者から粗悪品の醤油を打っている店があるという噂を聞きつける。それは桃介とも縁の深い店だった。桃介の曇った顔は見たくない。湧水は探偵のごとく真相解明に乗り出すのだが――。明治の下宿屋を舞台に贈る、心あたたまるミステリ。
  • 帝都探偵大戦
    -
    半七、銭形平次、顎十郎ら捕物帖でおなじみの“名捜査官”が江戸を騒がす奇怪な謎を追う「黎明篇」。軍靴の足音響く東京で、ナチスが探す“輝くトラペゾヘドロン”を巡る国家的謀略に巻き込まれた法水麟太郎・帆村荘六らの活躍を描く「戦前篇」。空襲の傷が癒えぬ東京で、神津恭介が“あべこべ死体”に遭遇し、明智探偵事務所宛の依頼を受けた小林少年が奇禍に見舞われ、帝都を覆う巨大な陰謀に、警視庁捜査一課の名警部集団のほか、大阪など各都市からも強力な援軍が駆けつけ総力戦を挑む「戦後篇」。五十人の名探偵たちの活躍を描く空前絶後のパスティーシュ三編に、「黒い密室――続・薔薇荘殺人事件」を特別収録する。
  • 帝都大捜査網
    3.2
    昭和11年、夏。死体が発見されるたびに、なぜか刺し傷の数がひとつずつ減ってゆく。殺された男たちのあいだに交友関係などは一切見つからず、共通しているのは全員が多額の借金を背負っていたことのみ。警視庁特別捜査隊は奇妙な連続刺殺事件の謎を追い、帝都全体に捜査の網を広げてゆくが――。捜査隊隊長が目の当たりにした、事件の異様な構図とは? 『黒龍荘の惨劇』が話題を呼んだ時代推理の雄が満を持して放つ、全体像を最後まで掴ませない油断厳禁の長編推理!
  • 哲学者の密室
    4.3
    三つの事件を経て、矢吹駆に対する自分の感情を持て余していたナディア。そこに起こった新たな事件は、頭部を殴打され、背中に刺傷を負った死体が、誰も入ることのできぬはずの三重密室の中で発見される、という衝撃的なものであった。さらに、その謎を追う彼女の前に、第二次大戦中、コフカ収容所で起こった密室殺人事件が浮かび上がってくる。二つの事件の思想的背景には、二十世紀最大の哲学者のある謎が存在した。ナディアに請われ、得意の本質直観による推理で事件に立ち向かう矢吹駆の前には宿敵イリイチの影が……!? 現代本格探偵小説を生み出した大量死の謎をも解き明かす、シリーズ最高傑作の呼び声高い第4作。/解説=田中博
  • 鉄の枷
    4.4
    資産家の老婦人、マチルダ・ギレスピーは、血で濁った浴槽の中で死んでいた。睡眠薬を服用した上で手首を切るというのは、よくある自殺の手口である。だが、現場の異様な光景が、その解釈に疑問を投げかけていた。野菊や刺草で飾られた禍々しい中世の鉄の拘束具が、死者の頭に被せられていたのだ。これは何を意味するのだろうか? 事件を背景に語られていくのは、秘められたギレスピー家の物語とマチルダの知られざる生涯。デビューと同時に絶賛を集めたウォルターズが、更なる飛躍を遂げた第三長編。英国推理作家協会ゴールドダガー賞受賞作。
  • 鉄の門
    3.7
    十六年前に謎の死を遂げた親友ミルドレッドの夫である医師アンドルー・モローと再婚したルシールは、一見平穏なその生活の裏側で、アンドルーを溺愛する義妹や自分から距離を置く継子たちとの関係に悩み続けていた。そんなある冬の日、謎めいた男がモロー家を訪れ、ルシール宛の小箱を渡して立ち去った。その箱を開いた後、彼女は何も言い残さず、行方をくらましてしまう。なぜ彼女は姿を消したのか。その箱の中身はいったい何だったのか。心理ミステリの巧手ミラーの初期を代表する傑作、待望の新訳で復活。/解説=春日武彦
  • 掌の中の小鳥
    4.3
    1巻495円 (税込)
    たぶん僕は変わったのだ。四年前にはとてもできなかったことが,今の僕にはできる。――本書全体のプロローグといえる第一話「掌の中の小鳥」で真っ赤なワンピースの天使に出逢った主人公は,一緒に退屈なパーティを抜け出した。狂言誘拐の回想「桜月夜」で名前を教わり,御難続きのエピソード「自転車泥棒」や不思議な消失譚「できない相談」を通じて小さな事件に満ちた彼女の日常を知るにつれ,退屈と無縁になっていく自分に気づく。小粋なカクテルの店〈エッグ・スタンド〉を背景に描かれる,謎を湛えた物語の数々。巧みな伏線と登場人物の魅力に溢れたキュートなミステリ連作集。

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  • 手のひらアストラル
    3.6
    高校二年生の夏、私は自身の進むべき道が決められず悩んでいた。将来を見定め進路を決める友人たちの姿にますます焦る私の前に、次々と謎が現れる。三年生の生徒手帳を持ち歩く同級生。追試でもないのに一人だけ試験を受ける先輩。少年の言う「全部黄色い駅」とは? 真相に辿り着けない私が相談するのは、ひょんなことから知り合ったQ大大学院生の飛木さんだ。彼はその知識と論理的思考でどんな謎も解き明かしてみせる不思議な人だ。やがて夏が終わり、秋になる頃、私が見つけた進路の答えは――。福岡を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。
  • 手焼き煎餅の密室 美波の事件簿4
    3.7
    同じ中学に通う親友・直海の祖母の住む、浅草の家を訪問した倉西美波。落語の名人の妻だった彼女は、今でも弟子の面倒をみている。二人が訪ねたときも、ちょうど稽古の最中だった。突然の来訪も歓迎してくれた彼女は、お茶うけを出そうと台所へ向かうが、そこには近所の男の子が忍び込んでいた! 家主に見つかった少年はあわてて逃げようとするが、かなわないと見て、思いもよらぬ行動を……(表題作)。周りで起きる奇妙な事件の真相を、「水島のじいちゃん」は華麗に解き明かしていく。修矢編二作、美波・直海編二作に、書き下ろしのかのこ編一作を含む、ライトな本格ミステリ短編集。好評《美波の事件簿》シリーズ、前日譚。

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  • テロ
    4.1
    2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカースタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊急発進した空軍少佐が独断で旅客機を撃墜する。乗客164人を殺して7万人を救った彼は英雄か? 犯罪者か? 結論は一般人が審議に参加する参審裁判所に委ねられた。検察官の論告、弁護人の最終弁論ののちに、有罪と無罪、ふたとおりの判決が用意された衝撃の法廷劇。どちらの判決を下すかは、読んだあなたの決断次第。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』のシーラッハが放つ、世紀の問題作!
  • 天啓の殺意
    3.6
    柳生照彦から持ち込まれた犯人当てリレー小説――柳生の問題編に対し、タレント作家の尾道由起子に解決編を書いてもらい、その後に自分の解決編を載せる――要するに作家同士の知恵比べをしよう、という企画は順調に進行するかに見えたが……。問題編を渡したまま、柳生は逗留先から姿を消し、しかもその小説は半年前の実在事件を赤裸々に綴ったものだった。『散歩する死者』の全面改稿決定版! 著者あとがき=中町信

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  • 天国通り殺人事件
    3.0
    刑事時代、逃走する犯人の車輛の前に立ちはだかったことから、集団自殺するというネズミにちなんで“レミング”と呼ばれているヴァリシュ。ある日、カフェで見知らぬ男に絡まれる。店を出て路地に逃げ込むと、そこには白い手袋をつけピストルを握った男がいた。白手袋の男は、カフェから“レミング”を追ってきた男の頭を撃ち、“レミング”にピストルを渡して立ち去った。このままでは殺人犯にされてしまう! 真相を突き止めるため、“レミング”は被害者が勤めていた療養所に患者として潜入するが……。ブルグドルファー・ミステリ大賞受賞作。
  • 天国の破片
    4.0
    黒い革ジャンにジーンズ、そしてフルフェイスのヘルメットを身につけた男は、ナイフを突き出して言った。「金を出せ」。だが、その声はまだ幼い。――午前二時過ぎ、コンビニの店番をつとめていた元警官・阿南は、店に押し入った若い男に自分の蓄えから五十万円を用立ててやることで、強盗を思いとどまらせた。しかし数日後、阿南は他所のコンビニで起きた強盗傷害事件のことを知り、男の行方を追うため、またも私立探偵まがいの行動をとることになる。その中で出会う孤独な人々との交流、そして意外な真実。著者のライフワーク・シリーズ、第3弾。解説=村上貴史
  • 天使が開けた密室 美波の事件簿1
    3.4
    行方不明になった父親を捜すための資金稼ぎに、高校一年生のわたし・倉西美波は日々アルバイトに励んでいる。ある日、バイト先で桐の箱に入ったお皿を割ってしまって、いきなり六十万円の借金を負うことに。そんなとき「寝ているだけで一晩五千円」というとってもオイシイバイトを紹介してもらったものだから、一も二もなく飛びついてしまったけれど、そこでわたしを待っていたのは、死体!? しかも密室殺人事件の容疑者にまでされてしまって・・・・・・。デビュー作「天使が開けた密室」に短編「たった、二十九分の誘拐」を収録した清新な本格ミステリ。

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  • 天使のいる廃墟
    3.5
    住人たちが逃げ出し、二度と戻ってこなかったため廃墟になった村、パライソ・アルト。そこを訪れるのは、人生を諦め、命を絶とうと決めた人に限られる。逆立ちで現れた、うなじにコウモリのタトゥーがある少女。車に積んだ札束を燃やしたいと言う大物銀行家のような男。口を利かず、横笛の音色で受け答えする男。廃墟に住む「天使」は、彼らになぜパライソ・アルトにやってきたのか尋ね、生い立ちに耳を傾け、「向こう」への旅立ちを見送る。生と死、日常と非日常の狭間にたゆたう不思議な場所と、幻のような来訪者たち。詩人としても高く評価されているスペインの作家が贈る、美しく奇妙で、どこかあたたかな物語。
  • 天使の歌声
    3.1
    身体も顔も河馬に似ている弁護士に案内され、一登はまだ見ぬ父親に会うため秋庭邸を訪れた。そこで一登は言語能力を持たない弟に出会う。彼は言葉を話せない代わりに、聞くものの心を癒す特殊な能力を持つ〈天使の歌声〉を発することができた。訓練では決して到達し得ない、澄みきった神秘の歌声。その弟をめぐってある悲劇が起きる。そして六年後、一通の手紙によって、一登はふたたび秋庭邸を訪れた──。静かな探偵・嶺原克哉が、調査依頼を通して出合った六つの難事件。不思議な親子関係と複雑に入り組んだ謎、多重どんでん返しが魅力の、著者初のシリーズ連作集。

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  • 天使の帰郷
    3.8
    ルイジアナ州デイボーン。姿を消したマロリーをさがし、彼女の故郷を訪れたチャールズは、子供を抱いた天使の石像を見て驚いた。これは確かにマロリーの顔だ。17年前に惨殺された女医を悼んで刻まれた天使。腕の中の子供は、行方不明になった彼女の娘だという。一方、デイボーンでは、自閉症の青年が両手を負傷させられ、町の一角を占拠する宗教団体の教祖が殺された。そして、容疑者としてよそ者が勾留されているという。その名は、マロリー。誰にも一言も告げず、ひそかに帰郷した彼女の目的は? いま、石に鎖された天使が翼を広げる――過去の殺人を断罪するために! 鮮烈無比なヒロインの活躍を描くシリーズ第4弾!/解説=三橋暁
  • 背が高くて東大出
    3.6
    わたしが結婚し、そしてこの手で殺した男は、背が高くて東大出だった――高学歴かつ高収入、長身の彼とゴールインし、少女時代からの夢を叶えたわたし。ところが結婚生活はあまりに散文的で、理想と現実の逕庭は蔽うべくもない。台風の迫る山荘の一夜を経て、衝撃的な手記を綴ることになろうとは……表題作「背が高くて東大出」のほか、実体験に材を得、長編化もされた「日曜日は殺しの日」や、殺人の目撃者捜しが二転三転、意想外の結末にもつれこむ「死神はコーナーに待つ」など、短編集成五巻目となる本書には、七一年~七六年発表の十編を収める。/【収録作】背が高くて東大出/父子像/背面の悪魔/女子高生事件/死の色は紅/日曜日は殺しの日/三枚の千円札/死神はコーナーに待つ/札吹雪/誰が為に鐘は鳴る
  • 手/ヴァランダーの世界
    4.1
    田舎暮らしを願っていたヴァランダーに、同僚のマーティンソンが物件を紹介した。購入を考えたヴァランダーだったが、なんと家の裏庭で地面から人間の手の骨が突き出しているのを見つけてしまう。地面の下には骸骨と衣服の残りが埋まっていた。ヴァランダーは過去に遡って家の持ち主を調べ始める……。著者が書店キャンペーン用に書き下ろした、『霜の降りる前に』と『苦悩する男』の間に位置する中編「手」と、マンケル本人によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を網羅した「ヴァランダーの世界」を併録。シリーズファンなら絶対見逃せない一冊。/【目次】手/著者あとがき/ヴァランダーの世界/1 始まりと終わり、そしてその間になにがあったか?/2 クルト・ヴァランダーの物語/3 ヴァランダー、そして彼の家族と周辺の人々/4 人物索引/5 ヴァランダーの地理的世界/6 地名索引/7 ヴァランダーの好きなもの/8 文化索引/訳者あとがき
  • ディスリスペクトの迎撃
    3.5
    銀座の文壇バー『ミューズ』の常連客、サンゴ先生こと辻堂珊瑚朗。大御所ミステリー作家である彼は、ひとたび不思議な事件に遭遇すると、さりげなく推理を披露する、名探偵でもあったのだ! ライバル作家が持ち込んだ、チェスセットに仕掛けられた謎を解く「チェスセットの暗号」、サンゴ先生原作のドラマをめぐって起きた、奇想天外な“誘拐事件”の解決に乗り出す「ポー・トースターの誘拐」など、五つの事件を収録。『ミューズ』に勤めるボーイである「僕」の視点から、サンゴ先生の華麗な活躍を鮮やかに描く安楽椅子探偵ミステリー第2弾。
  • D坂の殺人事件
    3.9
    日本の推理小説界の礎を築き上げたのが江戸川乱歩であるのは異論のないところであろう。実作者としては「二銭銅貨」に始まる綺羅星の如き作品群を著わし、数多くのエッセイや論文によって内外の作家と作品を紹介し、かつまた<宝石>誌の編集などを通して、多くの新人作家を発掘、育成した。その巨人の短編小説の粋を収めたのが本巻である。 デビュー間もない時期に発表された「ニ癈人」を筆頭に、ご存じ明智小五郎が初めて登場した記念すべき短編「D坂の殺人事件」から、戦後の名品「防空壕」に至る全十編を、初出誌の挿絵を付してお届けする。

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  • デフ・ヴォイス
    4.3
    埼玉県警の元事務職員だった荒井尚人は再就職先が決まらず、アルバイトで深夜帯の警備員をする日々を送っていた。実は子供の頃からろうの家族と聴者との間で通訳を担ってきた荒井は、やむをえずその特技を活かして資格を取り、手話通訳士の仕事を始めることにする。荒井にとって手話とは、苦い思い出がつきまとうものだったのだが。そんなある日、警察時代に起きた殺人事件の被害者の息子が殺害される。かつて荒井が手話通訳をした犯人のろう者が、再び被疑者として浮かび上がってくるが……。手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第一弾を改訂版で贈る。/解説=中江有里
  • 慟哭は聴こえない
    4.4
    旧知のNPO法人「フェロウシップ」から、民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が荒井尚人に舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤務先を「雇用差別」で訴えているという。かつて勤めていた警察で似た立場を経験した荒井の脳裏に苦い記憶が蘇る「法廷のさざめき」。何森刑事と共に、急死したろう者の男性の素性を探る旅路を描く、シリーズ随一の名編と名高い「静かな男」など、コーダである手話通訳士・荒井が関わる四つの事件。社会的弱者や、ろう者の置かれた厳しい現実を丁寧な筆致であぶり出した〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第3弾。/解説=池上冬樹
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件
    NEW
    4.6
    小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。冬の巻ついに刊行。/解説=松浦正人
  • 【東京創元社無料読本】青崎有吾の挨拶
    無料あり
    3.4
    2015年3月、東京創元社は、第22回鮎川哲也賞受賞作にして、“平成のエラリー・クイーン”こと青崎有吾、衝撃のデビュー作『体育館の殺人』の文庫版を配信開始いたしました。作家・青崎有吾の魅力を、多くの皆様に楽しんでいただくため、『体育館の殺人』(文庫版)立読みを通常より増量したもの、短篇集『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』より一篇「もう一色選べる丼」、そしてデビュー当時から現在までを語った著者ロングインタビューをお届けいたします。
  • 【東京創元社無料読本】〈憧れの国〉へのガイドブック
    無料あり
    3.0
    1巻0円 (税込)
    2016年5月中旬、カルチャーセンターで出会った少女4人が、講座で起こる事件の謎に挑む、校外活動青春ミステリ『日曜は憧れの国』を刊行いたしました。その魅力を多くの皆様に楽しんでいただくため、『日曜は憧れの国』収録の「レフトオーバーズ」をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、著者のロングインタビューをあわせてお届けいたします。

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  • 【東京創元社無料読本】乾ルカからの招待 ここだけの『ミツハの一族』
    無料あり
    3.0
    1巻0円 (税込)
    2015年4月、大正時代の北海道を舞台に、水辺を守る一族を鋭く描いた著者渾身の連作ミステリ『ミツハの一族』を刊行いたしました。その魅力を、多くの皆様に楽しんでいただくため、『ミツハの一族』収録の短編「水面水鬼」をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、本作にも登場する北海道大学について語ったエッセイ「北海道大学とわたし」、メールインタビュー「ミツハを楽しむ十の質問」をあわせてお届けいたします。
  • 【東京創元社無料読本】スプリング・トレインが発車します。
    無料あり
    4.0
    春間近な2016年2月、福岡を舞台にした透明感溢れる青春ミステリ『放課後スプリング・トレイン』を刊行いたしました。その魅力を、多くの皆様に楽しんでいただくため、『放課後スプリング・トレイン』収録の表題作をまるごと一編立読み増量版として、また、より作品世界を楽しんでいただけるよう、メールインタビュー「『放課後スプリング・トレイン』について10のこと」をあわせてお届けいたします。

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  • 【東京創元社無料読本】ベストセレクション〈2015 Summer〉
    無料あり
    3.0
    『ビール、枝豆、ミステリ』は夏の新しい習慣! 今年もまた「ベストセレクションフェア」の季節になりました。今回のラインナップは読み継がれている東京創元社の定番中の定番をはじめ、これから新たな定番になる新作・話題作など目白押しです。本電子書籍は、フェアのガイドブックとしてお役立ていただけるよう、ベストセレクションフェア・ラインナップ作品の立読み版(電子書籍を配信している作品に限る)を収録しております。どうぞお楽しみください。/立読み版収録作品=『体育館の殺人』青崎有吾、『アヒルと鴨のコインロッカー』『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎、『聴き屋の芸術学部祭』市井豊、『夜の写本師』乾石智子、『配達あかずきん』大崎梢、『二度のお別れ』黒川博行、『青空の卵』坂木司、『模倣の殺意』中町信、『まもなく電車が出現します』似鳥鶏、『慟哭』貫井徳郎、『ハルさん』藤野恵美、『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン/野口百合子 訳、『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン/池央耿 訳、『シャドウ』道尾秀介、『盤上の夜』宮内悠介
  • TOKYO BLACKOUT
    3.7
    8月24日午後4時、東都電力熊谷支社の鉄塔保守要員1名殺害。午後7時、信濃幹線の鉄塔爆破。午後9時、東北連系線の鉄塔にヘリが衝突、倒壊。さらに鹿島火力発電所・新佐原間の鉄塔倒壊――しかしこれは、真夏の東京が遭遇した悪夢の、まだ序章に過ぎなかった。最後の希望が砕かれたとき、未曾有の大停電が首都を襲う! 目的達成のため暗躍する犯人たち、そして深刻なトラブルに必死に立ち向かう市井の人々の姿を鮮やかに描破した渾身の雄編。気鋭が大きな飛躍を遂げた超弩級のクライシス・ノヴェル!
  • 東京ホロウアウト
    3.9
    コロナ禍の中、オリンピック開催が間近に迫る東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と発生。さらには鉄道の線路が爆破され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの人々がひしめく東京は陸の孤島に――。この危機から東京を救うため、物流のプロ・長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる!/解説=大矢博子
  • 透明な一日
    5.0
    十四年前に発生した連続放火事件。その中で能勢幸春と竹島千鶴はそれぞれの母を失った。後に再会した二人は交際を始め、千鶴が妊娠、幸春は結婚の承諾を得るため千鶴の父・久信に会いに行くが、久信は交通事故で記憶障害──前向性健忘に陥り、事故以来六年もの間毎日同じ日を繰り返していた。対面の数日後、幸春の知人で放火事件の関係者でもあった木村泰典が、公園で頭から血を流して倒れているのを発見される。当初は強盗事件と思われたものの、悲劇はこれだけでは終わらなかった……。次第に疑心暗鬼に駆られてゆく幸春と千鶴の未来の行方は? 鬼才が放つ驚愕と感動のミステリ。

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  • 冬雷
    3.9
    大阪で鷹匠として働く夏目代助の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。しかし義弟の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになったのだ。葬儀に出ようと町に戻った代助は、人々の冷たい仕打ちに耐えながら事件の真相を探るが。第1回未来屋小説大賞を受賞した、長編ミステリ。/解説=千街晶之
  • 遠きに目ありて
    4.0
    1巻550円 (税込)
    成城署の捜査主任真名部警部は、とある縁である少年と知り合うことになった。岩井信一、年齢からいうと高校受験期ぐらいの少年である。彼は重度の脳性マヒだった。だが、親しくなるにつれて、この少年の予想外の聡明さに驚嘆するようになる。ある時、約束していた映画鑑賞を突発事件のためすっぽかしてしまったお詫びにと、その事件の経緯を話して聞かせたところ……!~ 安楽椅子探偵の歴史に新たな一ページを書き加えた連作推理短編の傑作であり、不可能犯罪や奇抜なアリバイ・トリック等を満載した、著者の本格推理分野での代表作と言えよう。

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  • 図書館の殺人
    4.1
    9月の朝、風ヶ丘図書館の開架エリアで死体が発見された。被害者は常連利用者の男子大学生。閉館中の館内に忍び込み、山田風太郎の『人間臨終図巻』で何者かに撲殺されたらしい。現場にはなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージが残されていた! 警察に呼び出された裏染天馬は独自の捜査を進め、一冊の本と一人の少女の存在に辿り着く。一方、風ヶ丘高校では期末テストにまつわる騒動が勃発。袴田柚乃たちは事件とテストの両方に振り回されることになり……。ロジカルな推理と、巧みなプロットで読者を魅了する〈裏染天馬シリーズ〉第4弾。/解説=佐々木敦
  • 図書室の怪 四編の奇怪な物語
    3.5
    中世史学者のジャック・トレガーデンは、オクスフォード大学時代の友人サイモンから、久々に連絡を受けた。サイモンが住むアシュコーム・アビーの図書室の蔵書目録の改訂を任せたいというのだ。稀覯本に目がないジャックはふたつ返事で引き受ける。だが、アシュコームに到着したジャックを迎えたのは、人が変わったようにやつれ、衰えた友人の姿だった。そこで彼に見せられた、彼の亡き妻の手記には騎士の幽霊を見た体験が書かれていた。表題作「図書室の怪」を始め4編を収録。ポオの研究家でもある著者が描く、クラシックな香り高い英国怪奇幻想譚。/【収録作】「図書室の怪」/「六月二十四日」/「グリーンマン」/「ゴルゴタの丘」
  • 年寄り工場の秘密 老人たちの生活と推理
    3.7
    高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉にちょっとした変化が起きた。長年暮らしていたトッツィが、近くにできた老人ホーム〈黄金の日々〉に引っ越したのだ。そして三週間がたち、〈カムデン〉に勇名を轟かすアンジェラとキャレドニアのもとを、そのトッツィが相談に訪れる。どうやら〈黄金の日々〉に幽霊が出るらしく、正体を見極めてほしいと言うのだ。かつて同じ屋根の下にいたよしみで……というよりは退屈しのぎが目的で、名物コンビふたりは体験入居を装い“潜入捜査”を開始するが、思わぬ大事件が待っていた!老人探偵団シリーズ第7弾。
  • 影のない四十日間 上
    3.6
    クレメットとニーナは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドにまたがるサーミ人居住地でトナカイ関連の事件を扱うトナカイ警察の警察官。二人が配置されたノルウェーのカウトケイノで、サーミ人のトナカイ所有者マッティスが殺された。直前にクレメットたちが、隣人からの苦情を受けて彼のもとを訪れたばかりだった。トナカイ所有者同士のトラブルが原因なのか? サーミ人を排斥しようとする勢力、サーミ人の権利を主張する勢力、様々な思惑が入り乱れるなか彼らは捜査を進めるが……。フランス批評家賞など23の賞を受賞した傑作ミステリ。
  • 友を待つ
    3.2
    1巻1,731円 (税込)
    「親しき仲にもスキャンダル」を信条とし、取材対象者へ独特の感性で切り込み数々のスクープを抜きまくってきた伝説の週刊誌記者が、女性宅への不法侵入と窃盗の容疑で逮捕された。窃盗容疑は否認するなか、取り調べ中に語った「友を待つ」という一言の真意とはなんなのか? その言葉の意味と彼の行動の目的を調べ始めた後輩記者たちは、十年前のある官僚との因縁に原因があることに気づく――。吉川英治文学新人賞受賞の『ミッドナイト・ジャーナル』に続く、傑作記者ミステリ。
  • とらすの子
    4.2
    1巻1,699円 (税込)
    「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったんです。中でもマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いてぎゅって抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その「許せない人」は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──。錯乱状態に陥った少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で突然、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様に出会ったことで、想像を絶する奈落へと突き落とされる──。『ほねがらみ』『異端の祝祭』がSNSで話題を攫ったホラー界の新星が描く、美しい異常。
  • トランプ殺人事件
    4.2
    部屋の周囲に陳列された夥しい数のカード。モザイク、アラベスク、非対称なコンポジション、銅版画風、水彩画風、テンペラ画風……彼女はその部屋の中で煙のように消え失せてしまった。――洋館の密室から消え、屍体となって発見されたブリッジ愛好家。彼女の死を巡って仕掛けられた魔術的な企みとは? 瞠目の達成点を示すゲーム三部作完結編。少年探偵・牧場智久、戦慄の事件。

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  • トリカゴ
    4.1
    1巻1,899円 (税込)
    蒲田署刑事課強行犯捜査係の森垣里穂子は、殺人未遂事件の捜査中に無戸籍者が隠れ住むコミュニティを発見する。そのコミュニティ、通称“ユートピア”のリーダーはリョウ、事件の容疑者ハナは彼の妹だったのだ。無戸籍者を取り巻く状況を知った里穂子は、捜査によって彼らが唯一安心して暮らせる場所を壊してしまうのではないかと苦悩する。だが、かつて日本中を震撼させた“鳥籠事件”との共通点に気づき……。辻堂ミステリの到達点、著者最高の力作!
  • トレント最後の事件
    4.0
    アメリカ実業界の巨人マンダースンが、イギリスにある別邸で頭を撃たれ殺害された。突然の死を受け、ウォール街はじめ世界の投機市場は大混乱に陥る。画家にして名探偵のトレントは懇意の新聞社主に依頼され、この事件を解決して記事にするべく、特派員として現地に赴いた。そこで彼は最重要容疑者である、被害者の美しき妻メイベルと出会うのだった。盟友チェスタトンに捧げられた本書は、独創的な大トリックを有し、恋愛の要素をミステリに持ちこみ成功している。推理小説を旧来の型より大きく前進させ、黄金時代の黎明を告げた記念碑的名作。/解説=杉江松恋
  • ドアの向こうに
    3.8
    1巻605円 (税込)
    《黒川博行警察小説コレクション》 頭部は腐乱、脚部はミイラ化、大阪東南部の橋梁工事現場で奇妙なバラバラ死体が発見された。後日、大阪北部で心中事件が発生。現場にはバラバラ事件の切抜き記事が――。“ブンと総長”でおなじみ、大阪府警捜査一課の文田巡査部長、総田部長刑事に、京都人の五十嵐刑事も加わって事件を追う。“本格ミステリ”の醍醐味に、大阪弁の会話が織り成す、軽妙なタッチも魅力な傑作!

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  • 慟哭
    4.0
    1巻660円 (税込)
    痛ましい幼女誘拐事件の続発。難航する捜査。その責めを負って冷徹な捜査一課長も窮地に立たされた。若手キャリアの課長をめぐる警察内部の不協和音,マスコミによる私生活追及。この緊迫した状況下で,新しい展開は始まった! サイドストーリイに,黒魔術を狂信する新興宗教の生態や現代の家族愛を鮮烈に描きつつ,人間内奥の悲痛な叫びを抽出したこの野心作は,北村薫氏をして,書き振りは《練達》,読み終えてみれば《仰天》,と驚嘆させた,巧緻この上ない本格推理。

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  • 慟哭は聴こえない
    4.1
    1巻1,629円 (税込)
    手話通訳士・荒井尚人は、結婚後も主夫業のかたわら通訳の仕事を続けていた。そんなある日、ろうの妊婦から産婦人科での通訳を依頼される。荒井の通訳は依頼者夫婦の信頼を得られたようだったが、翌日に緊急のSOSが入り――(「慟哭は聴こえない」)。旧知のNPO法人から、荒井に民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤め先を「雇用差別」で訴えているという。かつて似たような立場を経験した荒井の脳裏に、当時の苦い記憶が蘇る。法廷ではあくまで冷静に自分の務めを果たそうとするのだが――(「法廷のさざめき」)。コーダである手話通訳士・荒井尚人が関わる四つの事件を描く、温かいまなざしに満ちた連作ミステリ。『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』に連なるシリーズ最新作。
  • 動物園の鳥 ひきこもり探偵シリーズ3
    4.2
    1巻495円 (税込)
    春が近づくある日、鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。僕、坂木司のお得意先であり年上の友人でもある木村栄三郎さんと、高田安次朗さんだ。高田さんがボランティアとして働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻繁に発生しているという。野良猫の姿を見て心を痛めている、同じボランティアの女性のために、二人は鳥井のもとを訪れたのだった。さっそく動物園に向かった僕たちが掴んだ真実、そして鳥井のひきこもりの原因となった少年時代の出来事とのつながりとは――。果たして鳥井は外の世界に飛び立つことができるのか。シリーズ完結編。

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  • 毒入りチョコレート事件
    3.4
    ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、手掛りがわずかしかなく、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、新製品という触れ込みのチョコレートを試食したベンディックス夫妻。チョコレートには毒物が仕込まれており、夫人は死亡、ベンディックスは一命を取り留めた。しかし、そのチョコレートは知人のペンファーザー卿へ送られたもので、ベンディックスはそれを譲り受けただけだったのだ。会員たちは独自に調査を重ね、自慢の頭脳を駆使した推理を、一晩ずつ披露する――。誰がこの推理合戦に勝利するのか。本格ミステリ史上に燦然と輝く、傑作長編。

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  • 読書セラピスト
    3.6
    悩める人々に読むべき本を処方する、読書セラピーを始めたヴィンチェ。ある日、彼のスタジオの階下に住む婦人が失踪、状況証拠から夫が殺人の容疑をかけられる。読書家の彼女が残した本のリストからヴィンチェは真相を探る……。彼女はどこに消えたのか? 本当に夫に殺されたのか? 「失踪」「別の人生」「入れ替わり」といったテーマの読書歴のある彼女の真実は? シニカルで文学的で不思議な味わいのビブリオ・ミステリ。本書は、イタリアのミステリの賞・シェルバネンコ賞を受賞している。
  • ドミノ倒し
    3.3
    地方都市・月影市で探偵業を営む十村は、亡くなった元恋人の妹から「殺人事件の容疑者となっている男の無実を証明して欲しい」と依頼される。久しぶりの依頼に、十村は旧友の警察署長も巻き込んで、癖のある月影市の住人たちを相手に早速調査に着手する。しかし調査を進めていくうちに、過去に月影市で起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、さらに別の殺人事件との繋がりも浮かび上がる。ドミノ倒しのように真実を追えば追うほど異様に広がっていく事件。その真相に探偵が迫るとき、恐るべき結末が待ち受ける――。人間の歪みと捩れを浮き彫りにする、衝撃の長編ミステリ。/解説=三島政幸
  • 土曜はカフェ・チボリで
    3.5
    児童書の出版社で働く香衣は、とあるきっかけで“カフェ・チボリ”を訪れる。そこは土曜日しか営業せず、おまけに店主は高校生という不思議な店だった! 美味しいデンマーク料理とあたたかいもてなしにすっかりくつろぎながら、馴染みの客たちが語る、身の回りで起こった謎に耳を傾ける。それらは『マッチ売りの少女』や『みにくいあひるの子』など、アンデルセン童話を連想させる出来事ばかりで――。風変わりな店主・レンが優雅な仕種でマッチを擦ると、謎はたちまち解かれていく。忙しない日常にひと時の安らぎをもたらす、安楽椅子探偵譚。
  • ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選
    3.5
    ナポレオン戦争直後、パリへの途上で謎めいた美貌の伯爵夫人と出会った英国人青年が奇怪な犯罪と冒険に巻き込まれていく過程が、息もつかせぬサスペンスの連続のうちに語られる中篇「ドラゴン・ヴォランの部屋」。悪魔と取引した男の凄惨な最期を迫真の筆で描く「ロバート・アーダ卿の運命」。森から現れた黒衣の男に見初められた村娘の運命は……民間伝承の妖精譚に取材した「ローラ・シルヴァー・ベル」ほか全5篇を収録。M・R・ジェイムズ、セイヤーズが絶賛する〈謎と恐怖の巨匠〉レ・ファニュの傑作選。
  • ドロシイ殺し
    4.0
    普段は頭の切れる理系の大学院生なのに、夢の中では不思議の国の間抜けな“蜥蜴のビル”になってしまう青年・井森は、ある日の夢の中で、なぜか砂漠を彷徨っていた。干からびる寸前の彼を救ったのは、案山子とブリキの樵とライオンを連れた、ドロシイと名乗る少女だった。オズの国に住む彼女たちは、不思議の国へ帰る方法を探すビルをひとまずエメラルドの都へと連れていくことにする。だが、オズの国の支配者・オズマの誕生パーティーで盛り上がる宮殿内で殺人事件が発生し、井森が暮らす現実世界でも相似形をなす死亡事故が起きる。狂気の王国で起きる死の連鎖の恐るべき真相とは?/解説=小出和代
  • ナイフをひねれば
    3.8
    「われわれの契約は、これで終わりだ」彼が主人公のミステリを書くことに耐えかねて、わたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは探偵ダニエル・ホーソーンにこう告げた。翌週、ロンドンの劇場でわたしの戯曲『マインドゲーム』の公演が始まる。初日の夜、劇評家の酷評を目にして落胆するわたし。翌朝、その劇評家の死体が発見された。凶器はなんとわたしの短剣。かくして逮捕されたわたしにはわかっていた。自分を救ってくれるのは、あの男だけだと。〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズの新たな傑作!/解説=三橋曉
  • 内部の真実
    4.0
    本島人鉄工業者の邸の庭で起きた、日本軍人の決闘騒ぎ。一方は銃殺され、一方は頭部を殴られ意識不明の状態で発見された。最初は単純な事件と思われたが、現場に残された二挺の拳銃はどちらも指紋が拭われており、相手を殺したと目される男の側に落ちていた拳銃は弾が未装填だったことが判明する……。推理と恋と幻想が混然一体となった名匠の最高傑作。/解説=新保博久
  • 仲のいい死体 郷原部長刑事シリーズ3
    3.0
    1巻550円 (税込)
    山間の町のブドウ畑から突然噴き出た温泉。即席の野天風呂に連日数百人の人がやってくる一方で、温泉ホテル建設の話まで持ち上がり、町はちょっとした温泉ブームに沸いていた。そんな折、寺の境内で男女の変死体が発見される。一見したところ心中事件だが、温泉が湧いた土地を所有する美貌の未亡人が、冴えない妻子持ちの中年男と心中するとは思えない。東京からこの町に移住していた郷原部長は、まったく頼りにならない上司や部下たちと捜査を進めるが・・・・・・。ひとり奮闘する郷原部長は真相にたどり着けるのか? 著者の初期を代表する長編推理。

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  • 長い長い眠り 郷原部長刑事シリーズ2
    3.3
    1巻550円 (税込)
    明治神宮外苑近くの林で発見された男の死体。黒縁のメガネをかけ、鼻下に細いひげをたくわえた男の人相は、一見重役ふう。白いワイシャツにきちんとネクタイを締めてはいたが、なぜか下半身はパンツ一枚であった。郷原部長刑事をはじめとする四谷署の刑事課の面々は捜査を進めるが、被害者を中心とした男女の人間関係が判明するばかり。容疑者には事欠かないのに、肝腎の決め手に欠けるのだ。郷原部長の迷推理の行方は? ユーモラスな雰囲気のうちに、鮮やかな推理と悲喜交々の人間模様を巧みに描く逸品。シリーズ第二弾。

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  • 長い別れ
    4.5
    酔っぱらい男、テリー・レノックスと友人になった私立探偵フィリップ・マーロウ。大富豪の娘との夫婦関係が破綻したテリーは、なんとか彼女と元の鞘に収まったようだったが、ある日、突然現われ、メキシコまで送ってほしいとマーロウに頼んできた。そして彼を送り届けて戻ったマーロウは勾留されてしまう。テリーには妻殺しの嫌疑がかっていたのだった。彼は自殺、マーロウには、ギムレットを飲んですべて忘れてほしい、という手紙が届く……。男の友情を描いたチャンドラー畢生の大作を、これ以上望むべくもない名手渾身の翻訳で贈る新訳決定版。/解説=杉江松恋
  • 流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選
    4.3
    三度笠を被り長い楊枝をくわえた姿で、無宿渡世の旅を続ける木枯し紋次郎。己の腕だけを頼りに、人との関わりを避けて孤独に生きる紋次郎だが、否応なしに旅先で事件に巻き込まれてゆく。兄弟分の身代わりとして島送りになった紋次郎が、ある噂を聞きつけ島抜けして事の真相を追う「赦免花は散った」。瀕死の老商人の依頼で家出した息子を捜す「流れ舟は帰らず」。脱走した女郎たちとの逃避行の意外な顛末を綴る「笛が流れた雁坂峠」。ミステリと時代小説、両ジャンルにおける名手が描く、凄腕の旅人にして名探偵が活躍する珠玉の10編を収録。【収録作】「赦免花は散った」「流れ舟は帰らず」「女人講の闇を裂く」「大江戸の夜を走れ」「笛が流れた雁坂峠」「霧雨に二度哭いた」「鬼が一匹関わった」「旅立ちは三日後に」「桜が隠す嘘二つ」「明日も無宿の次男坊」/編者解説=末國善己
  • なぎなた
    3.2
    【倉知淳ノンシリーズ作品集成第一弾】死神を思わせる風貌の警部が、完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく――倒叙ミステリ「運命の銀輪」をはじめ、残虐な場面が映し出されているにもかかわらず観客席の闇の中で微笑を浮かべる女性の謎を追いかける「闇ニ笑フ」、米大統領選挙の熱狂の最中に発見されたひとつの死体の謎をファンタスティックな筆致で描く力作本格推理「幻の銃弾」など7編収録。たくらみに満ちたミステリ・ワールドを二分冊で刊行!【収録作】「運命の銀輪」「見られていたもの」「眠り猫、眠れ」「ナイフの三」「猫と死の街」「闇ニ笑フ」「幻の銃弾」/単行本版あとがき
  • なぜではなく、どんなふうに
    3.0
    大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。
  • 夏の沈黙
    3.3
    テレビのドキュメンタリー制作者のキャサリン。彼女は順風満帆の生活を送っていた。手がけた番組が賞を獲得、夫は優しく、出来がいいとはいえなかった息子も就職して独立。しかし、彼女のそんな人生は一瞬で暗転した──引っ越し先で手にした見覚えのない本を開いた瞬間に。『行きずりの人』というタイトルのその本の主人公は自分自身だ。しかもそれは、20年間隠しつづけてきたあの夏の秘密を暴こうとしている! デビュー作ながら刊行前に25ヶ国で出版が決定し、世界で旋風を巻き起こした驚異の長編ミステリ。/解説=三橋曉
  • 夏を殺す少女
    4.0
    酔った元小児科医がマンホールにはまって死亡。市会議員が山道を運転中にエアバッグが作動し、運転をあやまり死亡。どちらもつまらない案件のはずだった。事故の現場に、ひとりの娘の姿がなければ。片方の案件を担当していた先輩弁護士が、謎の死をとげていなければ。一見無関係な出来事の奥に潜むただならぬ気配。弁護士エヴェリーンはしだいに事件に深入りしていく。一方ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターは、病院での少女の不審死を調べていた。オーストリアの弁護士とドイツの刑事、ふたりの軌跡が出合うとき、事件がその恐るべき真の姿をあらわし始める。ドイツでセンセーションを巻き起こした、衝撃のミステリ登場。

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  • 夏を取り戻す
    4.2
    団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が立て続けに発生している。ついては事件解明に力を借りたい。そんな匿名の情報提供を受けたゴシップ誌『月刊ウラガワ』の新人編集者・猿渡は、フリー記者の佐々木とともに現場となった城野原団地での取材を開始した。状況から家出かいたずらであることは明らかだったが、猿渡らが失踪方法を調査する最中に、別の子供が教師に見張られた授業中の学校から忽然と姿を消してしまう。彼らはどのように失踪しているのか、そしてその目的とは――。子供たちの切実なる闘いを描いた傑作ミステリ。/【目次】プロローグ/第一章 失踪する子供たち/第二章 光の密室/第三章 春は戻らない/第四章 秋分の決戦/第五章 夏を取り戻す/第六章 冬が終わるまで/エピローグ/単行本版あとがき/解説=辻真先
  • 七つの海を照らす星
    4.1
    様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園では、少女にまつわる七つの怪異が言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。孤独な少女の心を支える“死から蘇った先輩”。行き止まりの階段から、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと“七人目”が囁く暗闇のトンネル……勤めて二年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王の力を借り、謎解きを通して子どもたちが直面する悩みを解決すべく奮闘する。過去と現在を繋ぐ六つの謎、そして七番目の謎が解かれる時明らかになるもう一つの真実とは。第18回鮎川哲也賞受賞作。/解説=宇田川拓也
  • ななつのこ
    4.1
    1巻440円 (税込)
    ファンレターとラブレターは、勢いで出すに限るのだ。――短大に通う十九歳の入江駒子は『ななつのこ』という本を衝動買いし、読了後すぐに作者へファンレターを書こうと思い立つ。先ごろ身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、思いがけなく「お手紙、楽しく拝読致しました」との返事が。さらには、件(くだん)の事件に対する、想像という名の“解決編”が添えられていた! 駒子が語る折節の出来事に打てば響くような絵解きを披露する作家佐伯綾乃、二人の文通めいたやりとりは次第に回を重ねて……。伸びやかな筆致で描かれた、第三回鮎川哲也賞受賞作。

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  • ななつのこものがたり
    3.8
    〈駒子シリーズ〉のヒロイン・入江駒子の愛読書『ななつのこ』が、素敵な絵本になりました! 本書の主人公は、ある村に住む「はやて」という男の子と、はやてが「あやめさん」と呼ぶきれいな女の人。はやてが村の出来事をあれこれ話すと、あやめさんは熱心に耳を傾け、はやてが「ふしぎでしょ?」と首を傾げたときには、「こういうことじゃないかしら」と謎解きをしてくれるのでした――。著者&装画家の名コンビが贈る、もうひとつの『ななつのこ』。/【目次】すいかおばけ/金色のねずみ/空の青/水色のチョウ/竹やぶ焼けた/ななつのこ/あした咲く花
  • 七つの棺
    3.2
    町内相撲の横綱は体育館の中で、引退した大富豪は書斎の中で、やくざの組長は核シェルターの中で、一本柳家の新郎は離れの中で、女性デザイナーはカプセルリフトの中で、それぞれ殺されていた。しかも現場は、どれもこれも密室状態!? 続発する不可能犯罪に挑むのは、関東平野の一隅にある町の警察署に勤務する黒星光、三十八歳、独身。密室の魅力に取り憑かれ、人生を踏み外しかけている迷警部は、いかに難事件、怪事件を解決するのか……? 奇才折原一の出発点となった記念すべき第一作品集の改訂増補版。/解説=山前譲
  • 7は秘密
    4.0
    「盗まれたんです。家族を」1846年の真冬。創設まもないニューヨーク市警の警官ティムは、黒人の血が混じった女性ルーシーから助けを求められる。妹と息子が悪辣な逃亡奴隷捕獲人に拉致されたのだ。ティムは兄ヴァレンタインの助けを得て彼女たちを助け出し、兄の家に匿った。だが翌々日の朝、その家で首にローブの紐が巻きついたルーシーの死体を発見してしまう。兄に嫌疑がかかることを恐れたティムは死体を移動し、犯人を追って捜査を開始する。弱者への暴力や黒人奴隷売買が横行する苛酷な時代に、青年警官はただ一人真実を求め奔走する。/解説=酒井貞道
  • 何が困るかって
    3.6
    小説でしか表現できない〈奇妙な味〉が横溢した、短いけど忘れがたい、不思議なお話を読んでみませんか?――子供じみた嫉妬から仕掛けられた「いじわるゲーム」の行方、夜更けの酒場で披露される「怖い話」の意外な結末、バスの車内で静かに熾烈に繰り広げられる「勝負」、あなたの日常を見守るけなげな「洗面台」の独白、「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”の物語――日常と非日常のあわいに見える18の情景をさまざまな筆致で描きだす、『青空の卵』や『和菓子のアン』の名手が贈る珠玉のショートストーリー集。巻末に「ホリデーが肉だと先生が困る」を特別併載。/解説=東雅夫
  • 何者
    4.0
    《何者》 夏の夜、宴の興も醒めやらぬ頃、陸軍少将邸に轟いた銃声。惣領息子が重傷を負い、書斎が荒らされ、敷地外へ続く足跡は古井戸でぷっつり。被害者の父親、許婚から老僕、来客に至るまでが怪しい素振りを……。乱歩作品の中でも一と言って二と下がらぬ本格仕立ての秀作。《暗黒星》 明智小五郎は焦燥に駆られていた。赤煉瓦の洋館に住む凄艶な美少年伊志田一郎の身が案じられてならない。その折も折「先生、早く来てください」とSOSが。インバネスを翻し、伊志田一家を順々に仕留めていく黒覆面の怪人は、名探偵をも病室に追いやって……。

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  • 滑らかな虹 上
    -
    1~2巻740~799円 (税込)
    柿埼先生に、手紙を書こうと思う。中学三年になる春、山坂百音は、かつて通っていた小学校の元教員・田児あやめにそう伝えた。その言葉通り百音は、三年半前に起きたできごとについて、五年三組の担任だった柿埼に向け当時の思い出を綴ってゆく。すべては彼の謎めいた提案から始まったのだ。「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」――『ニンテイ』と名づけられた、柿埼の考案した奇妙なゲーム。それが彼らの未来を大きく左右することを、このときは誰も予想していなかった。
  • ナンシーの謎の手紙
    4.0
    寒さで凍えそうな老いた郵便配達夫を見かねて、自宅であたたかいココアをふるまったナンシー。ところが親切があだとなり、玄関先に置いた配達中の手紙がまるごと盗まれてしまった。中にはロンドンからの謎の手紙や、父のカーソンあての書留も入っていた。ナンシーは手紙を取り戻すべく調査を開始する。一方盗まれた中にあった謎の手紙が、ナンシーと同姓同名の別人を捜しているとの内容だったことが判明。ふたつの謎をめぐり、おなじみベスとジョージの親友ふたりにボーイフレンドのネッドも加わって、ますます好調、少女探偵シリーズ第8弾。
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集
    3.7
    人間の裡に潜む不気味なものを抉り出し、独特の乾いた筆致で書き続けたシャーリイ・ジャクスンは、強烈な悪意がもたらす恐怖から奇妙なユーモアまで幅広い味わいの短編を手がけたことでも知られている。死後に発見された未出版作品と単行本未収録作を集成した作品集Just an Ordinary Dayより、現実と妄想のはざまで何ものかに追われ続ける女の不安と焦燥を描く「逢瀬」、魔術を扱った中世風暗黒ゴシック譚「城の主」、両親を失なった少女の奇妙な振るまいに困惑する主婦が語る「『はい』と一言」など、悪意と妄念、恐怖と哄笑が彩る23編にエッセイ5編を付す。本邦初訳作多数。/収録作=「序文 思い出せること」「スミス夫人の蜜月(バージョン1)」「スミス夫人の蜜月(バージョン2)――新妻殺害のミステリー」「よき妻」「ネズミ」「逢瀬」「お決まりの話題」「なんでもない日にピーナツを持って」「悪の可能性」「行方不明の少女」「偉大な声も静まりぬ」「夏の日の午後」「おつらいときには」「アンダースン夫人」「城の主」「店からのサービス」「貧しいおばあさん」「メルヴィル夫人の買い物」「レディとの旅」「『はい』と一言」「家」「喫煙室」「インディアンはテントで暮らす」「うちのおばあちゃんと猫たち」「男の子たちのパーティ」「不良少年」「車のせいかも」「S・B・フェアチャイルドの思い出」「カブスカウトのデンで一人きり」「エピローグ 名声」
  • にぎやかな眠り
    4.2
    特徴といえば農業大学があることくらいの田舎町バラクラヴァ。この町が活気づく季節――クリスマスが今年もやってきた。ふだんは静かな町全体がクリスマス仕様に彩られ、見物客の大群が押し寄せる季節が。毎年くりかえされる大騒ぎにうんざりしていた大学教授のシャンディは、とてつもなく派手なイルミネーションで自宅を飾りつけて妨害を試みるが、それが事件を招いてしまう。休暇の船旅を早めに切りあげた教授がわが家で目にしたのは、親友の妻の死体だった……! アガサ賞生涯功労賞作家の出世作となった、万人に愛された傑作シリーズ第1弾。/解説=浅羽莢子
  • にごりの月に誘われ
    3.9
    1巻1,899円 (税込)
    時代を先取りするカリスマ経営者として有名な、IT企業の会長・釜田芳人から直々に、自叙伝の代筆(ゴースト)の依頼を受けた上阪傑。余命6カ月だという釜田とは、かつて三冊の著作を代筆した後に支払いトラブルとなり、実に十一年ぶりの再会だった。病床にある釜田を訪ね、一日一時間の約束で取材を進めていくと、これまでどこにも明かしてこなかったエピソードが出てくるのみならず、今までの本の内容に嘘があったことがわかってくる――。この依頼の裏に果たして何があるのか……。吉川英治文学新人賞受賞者が、“出版界の闇”に鋭く切り込む、驚愕のミステリ。
  • 虹の涯
    3.0
    1巻1,799円 (税込)
    元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。/【目次】天地揺らぐ/蔵の中/分かれ道/幾山河
  • 日曜の午後はミステリ作家とお茶を
    3.6
    「事件を解決するのは警察だ。ぼくは話をつくるだけ」そう宣言しているミステリ作家のシャンクス。しかし実際は、彼はロマンス作家である妻のコーラと一緒にいくつもの謎や事件に遭遇し、推理を披露して見事解決に導いているのだ。取材を受けているときに犯罪の発生を見抜いたり、殺人容疑で捕まった友人のため真相を探ったり、犯人当てイベント中に起きた『マルタの鷹』初版本盗難事件に挑んだり、講演を依頼された大学で殺人事件に巻き込まれたり……。結婚20年余りになる作家夫妻の日常と謎解き。図書館司書の著者が贈る連作ミステリ短編集。/解説=大矢博子
  • 日曜の夜は出たくない
    3.8
    「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから。もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした童顔の小男こそ名探偵猫丸先輩その人である。いろんなところにひょっこり出没しては、おかしな謎を鮮やかに解き明かして去ってゆく、憎めない名探偵の最初の事件簿。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了し続ける正統派の本格推理作家、倉知淳が本格的なデビューを飾った連作集であり、最後には驚愕も待ち受けています。/解説=小野不由美/新版刊行によせて=倉知淳
  • 日曜は憧れの国
    3.4
    内気な中学二年生・千鶴は、母親の言いつけで四谷のカルチャーセンターの講座を受けることになる。退屈な日常が変わることを期待して料理教室に向かうと、明るく子供っぽい桃、ちゃっかりして現金な真紀、堅物な優等生の公子と出会う。四人は偶然にも同じ班となり、性格の違いからぎくしゃくしつつも、調理を進めていく。ところが、教室内で盗難事件が発生。顛末に納得がいかなかった四人は、真相を推理することに。性格も学校もばらばらな四人が、カルチャーセンターで遭遇する様々な事件の謎に挑む! 気鋭の著者が贈る、校外活動青春ミステリ。
  • 日記の手がかり
    3.5
    ナンシー、ベス、ジョージの仲良し三人組が、お祭りで出会った母子。父親が行方不明で生活も苦しいらしい。なんとか助けてあげられないものかと相談しつつの帰り道、三人は不審な火事に遭遇する。家人が留守らしい立派な屋敷が、爆発音とともに火の手につつまれたのだ。屋敷の裏手にまわったナンシーは、あわてて逃げだすひとりの男を目撃。謎の本を拾って、がぜん探偵心を刺激される。親友ふたりに、新たに知り合った気になる男の子ネッドも加わって、少女探偵ナンシーの捜査がはじまる。世界中で愛され続けているロングセラーシリーズ第7弾。

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  • 日本殺人事件
    3.0
    1巻605円 (税込)
    その国に辿り着いたわたしを出迎えてくれたのは、カンノン様のありがたい巨大な微笑だった――。人生を一からやり直すため、長年憧れ続けた日本へ赴いた私立探偵トウキョー・サム。そこは、伝統と現代が奇妙に交錯し、神とホトケ、そしてサムライ・スピリットがいまなお息づく神秘の国であった。異国の風物や習慣に驚嘆し、戸惑いながらも、真のサムライにならんと意気込むトウキョー・サム。そんなサムが遭遇した奇妙なセップク事件、茶室の密室、オイラン見立て連続殺人! 徹底した趣向とアクロバティックな論理の結実が、本格ミステリのさらなる可能性を切り拓いた、山口ミステリの真骨頂。日本推理作家協会賞受賞作。

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  • 二度死んだ女
    3.8
    その事件は意外なところから持ち込まれた。同じアパートに住む10歳の少年が、夏のキャンプで人間の頭蓋骨をみつけたのだ。ベックストレームを師とあおぐ少年は、頭蓋骨の右のこめかみに小さな穴が開いていて、銃弾らしきものが残っていることを見逃さなかった。頭蓋骨の主は20歳から40歳のアジア系の女性、死後数年が経過しているものと思われた。ところが、警察の調べが進むうちに同じDNAを持った女性が12年前にタイで死亡していたことが判明。果たして人は二度死ぬことができるのか? 規格外の刑事ベックストレーム・シリーズ第4弾。
  • 二度のお別れ
    3.7
    1巻495円 (税込)
    《黒川博行警察小説コレクション》 4月1日午前11時34分、三協銀行新大阪支店に強盗が侵入。400万円を奪い、客の一人をピストルで撃ったのち、彼を人質にして逃走した。大阪府警捜査一課は即刻追跡を開始したが、強奪金額を不服として犯人は人質の身代金1億円を要求、かくして犯人と捜査陣の知恵比べが始まる。名手の記念すべきデビュー作となった、シリーズ第1弾! ※本作品はKADOKAWA/角川書店、東京創元社、文藝春秋で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。

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  • 鈍い球音
    4.0
    1巻550円 (税込)
    万年最下位のプロ球団・東京ヒーローズをリーグ優勝に導いた桂監督が、ベレー帽とマスク、そしてトレードマークの虎ひげを残して、東京タワーの展望台から消えた。折しも日本シリーズ開幕直前。東日新聞社の若き無冠の帝王たちが極秘裏に謎を追う一方、球団はヘッドコーチを代理監督として対大阪ダイヤ戦に挑む。武運つたなく三立てを喫し後がないヒーローズを襲う、更なる打撃!事件の陰に潜む陰謀とは?手に汗握る野球ミステリの傑作!

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  • 二万人の目撃者
    3.0
    1巻110円 (税込)
    美しい琵琶湖を臨む高校の保健室に、雨貝先生はいた。「自殺と処理された親友の死をもう一度調べて欲しい」。わたしの願いに雨貝先生は優しく頷いてくれた。けれど身重の純奈を淀川に突き落とした男、人気ユーチューバーであるシイガの鉄壁のアリバイを証明するのは、二万人の視聴者だった……。第16回ミステリーズ!新人賞受賞作。/第16回ミステリーズ!新人賞選考経過、選評=大倉崇裕 大崎梢 米澤穂信/(本電子書籍は『ミステリーズ! vol.97』(2019年10月初版発行)に掲載の同作品を電子書籍化したものです。)
  • ニャン氏の事件簿
    3.4
    大学を休学し、家電配送のアルバイトなどをしながら、自分を見つめ直している佐多くん。夏の暑い最中、とあるお屋敷のシャンデリアのつけかえにいくと、休憩中に出くわしたのは、一匹の猫とそれに仕える秘書兼運転手だという男だった。アロイシャス・ニャン氏と紹介された品のいい猫は、その屋敷で起こった変死事件の謎を解き明かす?! って、猫がニャーニャーと鳴いているところを訳しているみたいだが本当なの? アルバイト先で、次々と不思議な出来事とニャン氏に出くわすことになった、佐多くんの右往左往の探偵譚を愛らしく描いた連作集。
  • ニャン氏の童心
    3.5
    田宮宴は中堅出版社の女性編集者。新人ではないものの、編集長や同僚、さらには担当作家の代理でお使いをさせられてばかりの日々だ。こんな仕事ぶりでいいのか、と自問自答するある日、偶然に迷い込んだ袋小路で、人が煙のように消えてしまった?! ――後日、宴は担当する童話作家のミーミ・ニャン吉先生の事務所で、秘書の丸山との打ち合わせの合間に、その不思議な出来事を話すことに。すると、タキシードを着たような黒地に白の賢そうな猫をかたわらに、丸山が意外な解釈を語り始めて……。愛すべきニャン氏の事件簿パート2、出来だニャ。
  • ニャン氏の憂鬱
    3.8
    製缶会社の総務部に勤めつつ、余暇にロックバンドで音楽活動をしている茶谷歩くん。ある日、大株主の実業家の秘書が来社した。音楽をやっている社員に会いたいと訪ねてきた、丸山と名乗る秘書はなぜか、黒白の猫を連れている!? 猫缶を開ける時の、“音楽的な響き”についての話が思わぬ方向にそれ、茶谷はかつて経験した、ヨウムが密室からいなくなった不思議な出来事について説明するはめになったが、嬉々としながら丸山と猫がまるで会話をするようにその謎を解いていき──。新たな仲間を加え、ニャン氏の事件簿、パート3は6編収録だニャ。
  • 人形遣い
    3.7
    ケルンで起きた連続猟奇殺人事件の被害者はいずれも腕や脚などの体の一部や内臓が失われていたため〈解体屋〉事件と名づけられた。捜査本部に呼ばれたのは、伝説的事件分析官アーベルと若き女性分析官クリストのふたり。アーベルは変わり者だが、きわめて有能、その分析手法は独特だった。まず遺体とふたりきりになり、遺体の声を聞くことから始めるのだ。クリストは戸惑い反発しながらも貪欲にすべてを学び取ろうとする。それぞれ心に傷を負った二人に相対する「人形遣い」と名乗る連続殺人犯とは何者か? ドイツミステリ界の大型新人デビュー作。
  • 人形遣いの影盗み
    4.0
    ある代議士夫人の影が盗まれた――。夫人は爪哇(ジヤワ)から来日したワヤンと呼ばれる影絵芝居一座の長に、影を盗られたと信じているという。この不可思議な事件の謎を解いて欲しい、義父母の頼みを断れず、高広は礼と調査を開始する。美しくも妖しい爪哇(ジヤワ)の魔術を調べていくうちに、事件に帝都を騒がす大怪盗、ロータスの気配が……(表題作)。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年を中心に、明治の世に生きる人々の姿を人情味豊かに描いた6篇を収録する作品集。〈帝都探偵絵図〉シリーズ第3弾。
  • 人形 デュ・モーリア傑作集
    3.5
    島から一歩も出ることなく、判で押したような平穏な毎日を送る人々を突然襲った狂乱の嵐「東風」。海辺で発見された謎の手記に記された、異常な愛の物語「人形」。上流階級の人々が通う教会の牧師の徹底した俗物ぶりを描いた「いざ、父なる神に」「天使ら、大天使らとともに」。独善的で被害妄想の女の半生を独白形式で綴る「笠貝」など、短編14編を収録。平凡な人々の心に潜む狂気を白日の下にさらし、人間の秘めた暗部を情け容赦なく目の前に突きつける。『レベッカ』『鳥』で知られるサスペンスの名手、デュ・モーリアの幻の初期短編傑作集。
  • 人形の部屋
    3.0
    ねえ、お父さん。この謎、解ける? きっかけはほんのちょっとした小さな謎。だが、八駒家の食卓にのぼると、それは一篇のミステリに姿を変える――家主の敬典は、旅行会社の有能なる社員から、専業主夫に転身。家事に追われながらも平和な日々を過ごしていたが、ある日、元先輩が可憐なフランス人形を持ちこんできた。それも、左足の先が粉々に砕けた人形を。なんとかしてくれと懇願され、持ち主まで怒鳴りこんできても、敬典はなぜか悠然とかまえている。そんな父に、中学生の娘つばさは憤慨するが、敬典の頭にはある推理が浮かんでいた……。父と娘が織りなす、温かなおうちミステリ。

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  • 人魚と金魚鉢
    4.0
    個性豊かなメンバーが集う、T大学芸術学部文芸サークル第三部〈ザ・フール〉。聴き屋体質にして名探偵の柏木君をはじめ、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生など、愉快な仲間達が遭遇する事件の数々。音楽学科の学生選抜コンサートの会場となるはずだった、大ホールのステージを泡だらけにした犯人は誰か? そしてその理由とは? 爽やかな余韻が残る表題作ほか、〈ザ・フール〉メンバーの熾烈なかくれんぼを描くシリーズ・キャラクター大活躍の「愚者は春に隠れる」など、全5編を収録。軽やかな連作ミステリ第2弾!/解説=宇田川拓也
  • 人魚は空に還る
    3.9
    「しずくは空に昇ってみたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まった見せ物小屋の人魚が、最後に口にした願いは観覧車へ乗ることだった。しかし観覧車の頂上で人魚はしゃぼん玉の泡のように消えてしまい――(表題作「人魚は空に還る」)。風のように身軽で変装の名人、そして鮮やかな盗みっぷりで世間を風靡する怪盗ロータス。予告状に示された次の狙いは大邸宅の主人が集めた洋画だった――(「怪盗ロータス」)。明治の世に生きる心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都物語。人情味あふれる五篇を収録したデビュー作品集。

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  • 人間の尊厳と八〇〇メートル
    3.1
    「俺と八〇〇メートル競走しないかい」。偶然こぢんまりとした酒場に入った“私”は、そこで初対面の謎めいた男に異様な“賭け”を持ちかけられる。男は人間の尊厳のために、競走をしなければならないと説くが──。あまりにも意外な結末を迎える、一夜の密室劇を描いた表題作ほか、極北の国々を旅する日本人青年が遭遇した二つの美しい謎「北欧二題」、完全犯罪を企む女を待ち受ける皮肉な結末「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」など、本格の気鋭が贈るバラエティ豊かなミステリの饗宴。第64回日本推理作家協会賞受賞作を含む、5篇の謎物語。

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  • 人間豹
    3.3
    床屋でも銭湯でも芝居小屋の桟敷でも、東京市内一円は人さえ寄れば人間豹の噂であった。怪しい眼光を宿し野獣の爪牙と猫属の舌を持つ殺人鬼、名を恩田という。カフェの女給弘子、レビューガールの江川蘭子と、二度までも相愛の名花を惨たらしく手折られた神谷芳雄は、明智小五郎の助勢を請う。しかし魔術師の怪技と邪門歪道に長けた恩田父子の連繋は百戦錬磨の名探偵をも翻弄し、やがて明智の身辺に魔手を伸ばしていく。股肱の少年助手小林、窈窕淑女たる愛妻文代を掌中に収め、得たり賢しと北叟笑む人間豹。怪奇というべく余りに怪奇、人智及ばぬ人獣の蛮行を、名探偵は阻止できるか?

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  • ぬいぐるみ警部の帰還
    3.3
    殺人現場にぽつんと遺されたぬいぐるみ。そのぬいぐるみは、いったい何を語る? イケメン警部・音無美紀の密かな楽しみは、ぬいぐるみを愛でること。遺されたぬいぐるみから優れた洞察力で、事件解決の手がかりを発見する――。そして、男勝りの言動の一方で音無にぞっこんの則竹女史。さらに実はミステリおたくの江角刑事や、若手の桂島刑事など、個性派キャラクターが脇を固める連作短編集。「お弁当ぐるぐる」(『赤い糸の呻き』所収)で初登場した、音無&則竹コンビが遭遇した不可能犯罪の数々。〈ぬいぐるみ警部〉シリーズ、記念すべき第1弾。解説=霞 流一
  • ネクスト・ギグ
    3.8
    逆光を浴びステージに登場したボーカルは、突如悲痛な叫び声をあげるとその場に頽れた。彼の胸には千枚通しが突き刺さっていた。衆人環視の中での不可解な変死により、ロックバンド〈赤い青〉は活動休止に追い込まれる。事件直前、カリスマ的なギタリストが演奏中に犯した、彼に似つかわしくない凡ミスは事件と何か関係があるのか? ライブハウスのスタッフである梨佳は、あの日なにが起こったのかを考え始める。やがて起きた第二の悲劇――ロックは、人を殺すのか? 無冠の大型新人による、感動の第一長編。/解説=有栖川有栖

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