オリヴィエ・トリュックの作品一覧 「オリヴィエ・トリュック」の新着作品・人気作品や、最新のユーザーレビューをお届けします! 作者をフォローする フォローするとこの作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
ユーザーレビュー 影のない四十日間 上 オリヴィエ・トリュック / 久山葉子 ラップ人と言ってはいけない、サーミ人なんだって! 極北地方に住む人たちの呼び方は。知らなかったぁ。 何となくスカンジナビア半島の現在の住民はバイキングの子孫だから侵略者かもって思っていたけれど、日本におけるアイヌ人と同じ立場にサーミ人はなるらしい。 サーミ人はノルウェー、スウェーデン、フィンランド、...続きを読むロシアと国境を超えて住み、独自の文化を持つ。 主人公はそのサーミ人のトナカイ警察官。 トナカイ警察ってあるんだ! トナカイって放牧なんだ! 知らない事ばかり。 しっかりしたミステリだけど、背景がおもしろ過ぎて‼️ Posted by ブクログ 白夜に沈む死 下 オリヴィエ・トリュック / 久山葉子 ノルウェー北部。北極圏を舞台にした『影のない四十日間』に続くトナカイ警察シリーズ第二弾が登場した。個性という意味ではこれ以上ないほど珍しい舞台設定。観たこともない大自然の環境。入り組んだフィヨルドと沈まない太陽。辺境ゆえの捜査の困難さ。アイヌ民族やエスキモー同様、同和政策により絶やされようとしてい...続きを読むる先住民族サーミ人の血脈。あまりにも独自な材料を溢れるほど携えて、新鮮この上ないミステリーを展開してくれる圧巻のシリーズである。 前作では、太陽がまったく昇らない冬の四十日間を背景にしていたのが驚愕であった。本作では、春を迎えた同地域を舞台に、太陽が沈まない白夜の季節を背景にして、またまた物語世界の辺境性に興味を注がれることこの上ない。しかも石油開発景気に沸く海辺の小村を背景に、潜水夫という極めて特殊な作業に携わる男たちの宿命に焦点を当ててゆく物語。ページを開いた途端、強烈に引き込まれるのは、登場する人物たちの個性でもあり、石油景気という異常なまでの状況ゆえでもあろうか。 ノルウェー南部から派遣され、同じ国内でありながら極めて異質な日照時間や生活環境に圧倒されるニーナ。彼女とペアを組むトナカイ警察のクレメットはサーミ人の血を引く先輩警察官。二人の主役コンビは、スノーモービルで、氷が解けかけた危険な水辺や雪原を疾駆しつつ、辺境の仮野営設備の小屋を拠点に、日々を過ごす。あまりにワイルドな職場環境に圧倒されながら、彼らならではの活躍に胸躍らされるのが、本シリーズの個性でもある。 今回は、石油開発を背景にした海辺での事故を探るうちに、思いがけぬ過去の暗闇や亡霊の存在が浮き彫りにされてゆくという内容である。原作者がそもそもノルウェー駐在のフランス人ジャーナリストであるゆえに、彼の取材活動から浮上してきたであろう様々な事実が、作中でも生々しい。先住民のサーミ人は国境や私有地を持たず、トナカイを放牧させて暮らしてきたのだが、開発や同化政策が進むにつれ、土地の私有化や企業誘致が進む北辺の村では、古い歴史と新しい文明との利害が様々な形で衝突し合うようになった。 中でも石油開発が端緒に着いたばかりの近海では、巨大資本をバックにした企業と、町の政治家たち、先住民と新住民との文化的対立、その他ノルウェーが現実に山積みにしてきた問題が、様々な階層で浮き彫りになりつつあった。本書の凄みは、ミステリーとしての構造を確立させながら、知られざるノルウェー北部の現実を読者に突き付けてくるところである。登場人物たちの個性も素晴らしく、町そのものが良く活写されて見える点も好ましい。 我々は、ノルウェー南部育ちのヒロインであるニーナの眼を通して、改めてこの国の地理的、経済的、民族的問題を驚きや発見とともに体感してゆくことになる。ちなみに人口がノルウェー540.8万人、北海道が528.1万人。面積は、ノルウェーが385㎡、日本が378㎡。如何にノルウェーの人口密度が低いかがおわかりかと思う。一部が北極圏という特異な環境も大きく影響しているのだろう。 この国の北部。その暗夜と白夜と、二つを、作品で示してくれたこの作者。本書では潜水夫に課された驚くべき過酷な労働環境、後遺症などに関しても徐々に記述されてゆく。本書は、ジャーナリスト魂の十分にこもった、熱血作品でもある。作者の怒りや公平な視線を存分に感じながら、過去と現在を去来する壮大な物語と、二人のトナカイ警察たちのバイタリティ溢れる活躍とを、思い切り楽しんで頂きたいと思う。 Posted by ブクログ 白夜に沈む死 上 オリヴィエ・トリュック / 久山葉子 ノルウェー北部。北極圏を舞台にした『影のない四十日間』に続くトナカイ警察シリーズ第二弾が登場した。個性という意味ではこれ以上ないほど珍しい舞台設定。観たこともない大自然の環境。入り組んだフィヨルドと沈まない太陽。辺境ゆえの捜査の困難さ。アイヌ民族やエスキモー同様、同和政策により絶やされようとしてい...続きを読むる先住民族サーミ人の血脈。あまりにも独自な材料を溢れるほど携えて、新鮮この上ないミステリーを展開してくれる圧巻のシリーズである。 前作では、太陽がまったく昇らない冬の四十日間を背景にしていたのが驚愕であった。本作では、春を迎えた同地域を舞台に、太陽が沈まない白夜の季節を背景にして、またまた物語世界の辺境性に興味を注がれることこの上ない。しかも石油開発景気に沸く海辺の小村を背景に、潜水夫という極めて特殊な作業に携わる男たちの宿命に焦点を当ててゆく物語。ページを開いた途端、強烈に引き込まれるのは、登場する人物たちの個性でもあり、石油景気という異常なまでの状況ゆえでもあろうか。 ノルウェー南部から派遣され、同じ国内でありながら極めて異質な日照時間や生活環境に圧倒されるニーナ。彼女とペアを組むトナカイ警察のクレメットはサーミ人の血を引く先輩警察官。二人の主役コンビは、スノーモービルで、氷が解けかけた危険な水辺や雪原を疾駆しつつ、辺境の仮野営設備の小屋を拠点に、日々を過ごす。あまりにワイルドな職場環境に圧倒されながら、彼らならではの活躍に胸躍らされるのが、本シリーズの個性でもある。 今回は、石油開発を背景にした海辺での事故を探るうちに、思いがけぬ過去の暗闇や亡霊の存在が浮き彫りにされてゆくという内容である。原作者がそもそもノルウェー駐在のフランス人ジャーナリストであるゆえに、彼の取材活動から浮上してきたであろう様々な事実が、作中でも生々しい。先住民のサーミ人は国境や私有地を持たず、トナカイを放牧させて暮らしてきたのだが、開発や同化政策が進むにつれ、土地の私有化や企業誘致が進む北辺の村では、古い歴史と新しい文明との利害が様々な形で衝突し合うようになった。 中でも石油開発が端緒に着いたばかりの近海では、巨大資本をバックにした企業と、町の政治家たち、先住民と新住民との文化的対立、その他ノルウェーが現実に山積みにしてきた問題が、様々な階層で浮き彫りになりつつあった。本書の凄みは、ミステリーとしての構造を確立させながら、知られざるノルウェー北部の現実を読者に突き付けてくるところである。登場人物たちの個性も素晴らしく、町そのものが良く活写されて見える点も好ましい。 我々は、ノルウェー南部育ちのヒロインであるニーナの眼を通して、改めてこの国の地理的、経済的、民族的問題を驚きや発見とともに体感してゆくことになる。ちなみに人口がノルウェー540.8万人、北海道が528.1万人。面積は、ノルウェーが385㎡、日本が378㎡。如何にノルウェーの人口密度が低いかがおわかりかと思う。一部が北極圏という特異な環境も大きく影響しているのだろう。 この国の北部。その暗夜と白夜と、二つを、作品で示してくれたこの作者。本書では潜水夫に課された驚くべき過酷な労働環境、後遺症などに関しても徐々に記述されてゆく。本書は、ジャーナリスト魂の十分にこもった、熱血作品でもある。作者の怒りや公平な視線を存分に感じながら、過去と現在を去来する壮大な物語と、二人のトナカイ警察たちのバイタリティ溢れる活躍とを、思い切り楽しんで頂きたいと思う。 Posted by ブクログ 白夜に沈む死 下 オリヴィエ・トリュック / 久山葉子 (上巻より) 二作目のせいか、サーミ人の生活のインパクトが小さい。 前作で登場していた昔ながらに暮らすサーミ人、アクラスの存在がないからか。 それでも、愛する人に求婚する際、秘密の岩に供えるために、 去勢された雄ではなく、去勢されていない雄の角を手に入れようとする場面は、 その意味合いが理解できな...続きを読むいが、いやできないがゆえにほほえましい。 全然本編とは関係ないが、 グロッキーが不正確で正しくは「グロッギー」だと知らなかったので グロッギー、という言葉が出てくるたびに?となっていた。 恥ずかしながら。 事件の方は、酷い扱いだった潜水士たちの復讐だったというのがわかったが、 今一つすっきりしないままに終わってしまった気がする。 裏で糸を引いていた不動産仲介業者、人々の情報の収集家である ティッカネンの存在感が強すぎたからか。 Posted by ブクログ 白夜に沈む死 上 オリヴィエ・トリュック / 久山葉子 「影のない四十日間」の続編。 サーミ人たちの世界に加えて、 海洋油田の開発に欠かせなかった潜水士の世界が舞台。 春になり、トナカイの群れの移動を見守っている最中に、 サーミ人の若者が死亡する。 事故かとも思われたが、捜査をするトナカイ生活のニーナとクレメット。 その後、油田で潤う市の市長が同じ場所...続きを読むで死体で発見される。 ニーナは父も潜水士だったことから、 離別している母親と父親と会いに行くことになる。 一方クレメットは、前回同様、過去に因縁のあった男、 トップクラスの潜水士ともめる。 (下巻へ続く) Posted by ブクログ オリヴィエ・トリュックのレビューをもっと見る