オリヴィエ・トリュックのレビュー一覧
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ノルウェー北部。北極圏を舞台にした『影のない四十日間』に続くトナカイ警察シリーズ第二弾が登場した。個性という意味ではこれ以上ないほど珍しい舞台設定。観たこともない大自然の環境。入り組んだフィヨルドと沈まない太陽。辺境ゆえの捜査の困難さ。アイヌ民族やエスキモー同様、同和政策により絶やされようとしている先住民族サーミ人の血脈。あまりにも独自な材料を溢れるほど携えて、新鮮この上ないミステリーを展開してくれる圧巻のシリーズである。
前作では、太陽がまったく昇らない冬の四十日間を背景にしていたのが驚愕であった。本作では、春を迎えた同地域を舞台に、太陽が沈まない白夜の季節を背景にして、またまた物語世界の辺境性に興味を注がれることこの上ない。しかも石油開発景気に沸く海辺の小村を背景に、潜水夫という極めて特殊な作業に携わる男たちの宿命に焦点を当ててゆく物語。ページを開いた途端、強烈に引き込まれるのは、登場する人物たちの個性でもあり、石油景気という異常なまでの状況ゆえでもあろうか。
ノルウェー南部から派遣され、同じ国内でありながら極めて異質な日照時間や生活環境に圧倒されるニーナ。彼女とペアを組むトナカイ警察のクレメットはサーミ人の血を引く先輩警察官。二人の主役コンビは、スノーモービルで、氷が解けかけた危険な水辺や雪原を疾駆しつつ、辺境の仮野営設備の小屋を拠点に、日々を過ごす。あまりにワイルドな職場環境に圧倒されながら、彼らならではの活躍に胸躍らされるのが、本シリーズの個性でもある。
今回は、石油開発を背景にした海辺での事故を探るうちに、思いがけぬ過去の暗闇や亡霊の存在が浮き彫りにされてゆくという内容である。原作者がそもそもノルウェー駐在のフランス人ジャーナリストであるゆえに、彼の取材活動から浮上してきたであろう様々な事実が、作中でも生々しい。先住民のサーミ人は国境や私有地を持たず、トナカイを放牧させて暮らしてきたのだが、開発や同化政策が進むにつれ、土地の私有化や企業誘致が進む北辺の村では、古い歴史と新しい文明との利害が様々な形で衝突し合うようになった。
中でも石油開発が端緒に着いたばかりの近海では、巨大資本をバックにした企業と、町の政治家たち、先住民と新住民との文化的対立、その他ノルウェーが現実に山積みにしてきた問題が、様々な階層で浮き彫りになりつつあった。本書の凄みは、ミステリーとしての構造を確立させながら、知られざるノルウェー北部の現実を読者に突き付けてくるところである。登場人物たちの個性も素晴らしく、町そのものが良く活写されて見える点も好ましい。
我々は、ノルウェー南部育ちのヒロインであるニーナの眼を通して、改めてこの国の地理的、経済的、民族的問題を驚きや発見とともに体感してゆくことになる。ちなみに人口がノルウェー540.8万人、北海道が528.1万人。面積は、ノルウェーが385㎡、日本が378㎡。如何にノルウェーの人口密度が低いかがおわかりかと思う。一部が北極圏という特異な環境も大きく影響しているのだろう。
この国の北部。その暗夜と白夜と、二つを、作品で示してくれたこの作者。本書では潜水夫に課された驚くべき過酷な労働環境、後遺症などに関しても徐々に記述されてゆく。本書は、ジャーナリスト魂の十分にこもった、熱血作品でもある。作者の怒りや公平な視線を存分に感じながら、過去と現在を去来する壮大な物語と、二人のトナカイ警察たちのバイタリティ溢れる活躍とを、思い切り楽しんで頂きたいと思う。 -
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ノルウェー北部。北極圏を舞台にした『影のない四十日間』に続くトナカイ警察シリーズ第二弾が登場した。個性という意味ではこれ以上ないほど珍しい舞台設定。観たこともない大自然の環境。入り組んだフィヨルドと沈まない太陽。辺境ゆえの捜査の困難さ。アイヌ民族やエスキモー同様、同和政策により絶やされようとしている先住民族サーミ人の血脈。あまりにも独自な材料を溢れるほど携えて、新鮮この上ないミステリーを展開してくれる圧巻のシリーズである。
前作では、太陽がまったく昇らない冬の四十日間を背景にしていたのが驚愕であった。本作では、春を迎えた同地域を舞台に、太陽が沈まない白夜の季節を背景にして、またまた物語世界の辺境性に興味を注がれることこの上ない。しかも石油開発景気に沸く海辺の小村を背景に、潜水夫という極めて特殊な作業に携わる男たちの宿命に焦点を当ててゆく物語。ページを開いた途端、強烈に引き込まれるのは、登場する人物たちの個性でもあり、石油景気という異常なまでの状況ゆえでもあろうか。
ノルウェー南部から派遣され、同じ国内でありながら極めて異質な日照時間や生活環境に圧倒されるニーナ。彼女とペアを組むトナカイ警察のクレメットはサーミ人の血を引く先輩警察官。二人の主役コンビは、スノーモービルで、氷が解けかけた危険な水辺や雪原を疾駆しつつ、辺境の仮野営設備の小屋を拠点に、日々を過ごす。あまりにワイルドな職場環境に圧倒されながら、彼らならではの活躍に胸躍らされるのが、本シリーズの個性でもある。
今回は、石油開発を背景にした海辺での事故を探るうちに、思いがけぬ過去の暗闇や亡霊の存在が浮き彫りにされてゆくという内容である。原作者がそもそもノルウェー駐在のフランス人ジャーナリストであるゆえに、彼の取材活動から浮上してきたであろう様々な事実が、作中でも生々しい。先住民のサーミ人は国境や私有地を持たず、トナカイを放牧させて暮らしてきたのだが、開発や同化政策が進むにつれ、土地の私有化や企業誘致が進む北辺の村では、古い歴史と新しい文明との利害が様々な形で衝突し合うようになった。
中でも石油開発が端緒に着いたばかりの近海では、巨大資本をバックにした企業と、町の政治家たち、先住民と新住民との文化的対立、その他ノルウェーが現実に山積みにしてきた問題が、様々な階層で浮き彫りになりつつあった。本書の凄みは、ミステリーとしての構造を確立させながら、知られざるノルウェー北部の現実を読者に突き付けてくるところである。登場人物たちの個性も素晴らしく、町そのものが良く活写されて見える点も好ましい。
我々は、ノルウェー南部育ちのヒロインであるニーナの眼を通して、改めてこの国の地理的、経済的、民族的問題を驚きや発見とともに体感してゆくことになる。ちなみに人口がノルウェー540.8万人、北海道が528.1万人。面積は、ノルウェーが385㎡、日本が378㎡。如何にノルウェーの人口密度が低いかがおわかりかと思う。一部が北極圏という特異な環境も大きく影響しているのだろう。
この国の北部。その暗夜と白夜と、二つを、作品で示してくれたこの作者。本書では潜水夫に課された驚くべき過酷な労働環境、後遺症などに関しても徐々に記述されてゆく。本書は、ジャーナリスト魂の十分にこもった、熱血作品でもある。作者の怒りや公平な視線を存分に感じながら、過去と現在を去来する壮大な物語と、二人のトナカイ警察たちのバイタリティ溢れる活躍とを、思い切り楽しんで頂きたいと思う。 -
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ネタバレ(上巻より)
二作目のせいか、サーミ人の生活のインパクトが小さい。
前作で登場していた昔ながらに暮らすサーミ人、アクラスの存在がないからか。
それでも、愛する人に求婚する際、秘密の岩に供えるために、
去勢された雄ではなく、去勢されていない雄の角を手に入れようとする場面は、
その意味合いが理解できないが、いやできないがゆえにほほえましい。
全然本編とは関係ないが、
グロッキーが不正確で正しくは「グロッギー」だと知らなかったので
グロッギー、という言葉が出てくるたびに?となっていた。
恥ずかしながら。
事件の方は、酷い扱いだった潜水士たちの復讐だったというのがわかったが、
今一つすっきりしないままに終わってしまった気がする。
裏で糸を引いていた不動産仲介業者、人々の情報の収集家である
ティッカネンの存在感が強すぎたからか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネットで見かけて。
ヨーロッパの北の果て、
ノルウェーとスェーデンとフィンランドが接するところ。
先住民サーミ人のシャーマンが使っていた太鼓が博物館から盗まれる。
トナカイ警察のクレメットとニーナも捜査に駆り出され、
トナカイ所有者のところに聞き込みに言った直後に、その所有者が殺される。
先住民サーミ人が暮らしていた地域で活躍するトナカイ警察のクレメットとニーナ。
トナカイ警察は、トナカイの密漁や盗難、
決められた放牧地からトナカイの群れが出たり、
春の群れ分けでもめたりすると駆り出される。
クレメットが、
所有者が殺され残されたトナカイの群れを集めていく様子が、
興味深かった。
他にも、四十日間の極夜が終わった日は37分間しか日が差さないとか、
そのあと、昼が42分づつ長くなっていくとか、
トナカイの数を数えられるのを、銀行口座の残高を知られるように嫌がるとか、
煙草を買いに100キロぐらい平気で車を飛ばすとか、
サーミのシャーマンが太鼓を使うとか。
太鼓は最初にどういう形状なのか説明がなかったので、
よくわからずいわゆる大太鼓を小さくしたような、
胴の両方に革がはってあるようなものを思い浮かべてしまった。
しかも模様が描かれているのが、革の表面だっとは。
(下巻へ) -
Posted by ブクログ
フランス人の書いた北欧ミステリー。そう言ってよいのかどうか? いずれにせよ、内容は、都会とは遠く離れた場所に展開する辺境エンターテインメントである。しかもそんじょそこらの中途半端な辺境ではなく、北極に一番近く、地の果てもいいところ。白夜とは真逆となる<黒昼?>。無論そんな言葉は作中にはない。しかし一年に四十日間も全く太陽が顔を見せない季節が地球上にあるなんて! 地軸の傾きが作った宇宙の奇跡としか言いようがない。そんな四十日間の長い夜が明ける瞬間に幕を開けるのがこの物語である。多くの人々が極寒の暗闇で日の出を待つシーンで! どうです、神秘的でしょう?
しかも初日は日照時間は4時間ほど。日が経つにつれ日照時間が伸びてゆく。日が変わる毎に日照時間が小題に記されるのも本作の特徴。太陽は地平近くを横に移動して四時間後にはまたすぐに沈んでしまうのだそうで日照時間は実に重要。むしろそんな場所でそんな時を経験してみたいくらいだ。
ともあれ、そんな季節に起こってしまうトナカイ牧場殺人事件。調べるはトナカイ警察。トナカイ業を営む多くはサーミ人という少数民族。日本ではアイヌ人、もしくはいわばイヌイットなどの海洋民族を想起させられる。いずれも人種差別や迫害を免れない先住民族共通の国家的課題を抱えている状況もしっかり描かれてゆく。差別を日常的に口にする警察官の存在が鼻につくが、それはきっとリアルなことでもあるのだろう。
長い夜。極寒。差別。そういった逆境を背景に、描かれた警察小説が、本書なのである。警察小説と言っても、本書の主人公クレメットとニーナが所属するのはトナカイ警察。トナカイ猟に関わる事件を専門とするので、一般の捜査陣よりはワンランク下に見られているようである。本作では、トナカイ業経営者の殺人事件を彼らは特別に担当する。また同時に村の博物館ではやはり先住民族の史的文化財とも言える太鼓の盗難事件が発生し、二つの事件の関連が疑われる。
ノルウェイ、フィンランド、スウェーデンが国境を接する北欧の最北端を舞台に、二人の若いトナカイ警察と、彼らを取り巻く一般警察、役場、さらには利権を企んで集まってくる有象無象の輩、性犯罪の常習犯である地質学者などが入り乱れる中、静かなはずの北辺の地が一気にざわめく。
穏やかならざる犯罪の気配に連続して巻き込まれゆく極光の雪原を舞台に、零下40度を軽く超える極寒の地で、二人の捜査が展開される。クレメットは先住民族の血が流れ、ニーナは南ノルウェイの出身でこの地へは配属され初めて足を踏み入れたばかりの新任である。
ちなみに、作者は『ル・モンド』紙の北欧特派員としてストックホルムに在住しているフランス人であるそうだ。ゆえに本書はフランス語圏で出された北欧舞台のミステリー。いわゆる北欧ミステリー特有のエンタメ性というよりは、サーミ人という知られざる北方民族の存在、また彼らに対する差別、金鉱・ウラン鉱の発掘のために自然を虐げようとする先進国の文化的暴力、悪徳企業による自然破壊への怒り等もろもろをモチーフとした社会小説的側面が強い善良な作品であるように思われる。ストーリーの面白さやリーダビリティは、北欧エンタメの快適さには遠く及ばない。
それでも、武骨ながら独自の題材に迫ってみせる作者の気概がストレートに伝わる意欲作として評価したい上、さらなるこの地を舞台にした続編にも個人的には期待したく思う。少なくともワイルドな地の果てが大好きなぼくにとっては、心惹かれる個性的な一作であった。 -
Posted by ブクログ
フランス人の書いた北欧ミステリー。そう言ってよいのかどうか? いずれにせよ、内容は、都会とは遠く離れた場所に展開する辺境エンターテインメントである。しかもそんじょそこらの中途半端な辺境ではなく、北極に一番近く、地の果てもいいところ。白夜とは真逆となる<黒昼?>。無論そんな言葉は作中にはない。しかし一年に四十日間も全く太陽が顔を見せない季節が地球上にあるなんて! 地軸の傾きが作った宇宙の奇跡としか言いようがない。そんな四十日間の長い夜が明ける瞬間に幕を開けるのがこの物語である。多くの人々が極寒の暗闇で日の出を待つシーンで! どうです、神秘的でしょう?
しかも初日は日照時間は4時間ほど。日が経つにつれ日照時間が伸びてゆく。日が変わる毎に日照時間が小題に記されるのも本作の特徴。太陽は地平近くを横に移動して四時間後にはまたすぐに沈んでしまうのだそうで日照時間は実に重要。むしろそんな場所でそんな時を経験してみたいくらいだ。
ともあれ、そんな季節に起こってしまうトナカイ牧場殺人事件。調べるはトナカイ警察。トナカイ業を営む多くはサーミ人という少数民族。日本ではアイヌ人、もしくはいわばイヌイットなどの海洋民族を想起させられる。いずれも人種差別や迫害を免れない先住民族共通の国家的課題を抱えている状況もしっかり描かれてゆく。差別を日常的に口にする警察官の存在が鼻につくが、それはきっとリアルなことでもあるのだろう。
長い夜。極寒。差別。そういった逆境を背景に、描かれた警察小説が、本書なのである。警察小説と言っても、本書の主人公クレメットとニーナが所属するのはトナカイ警察。トナカイ猟に関わる事件を専門とするので、一般の捜査陣よりはワンランク下に見られているようである。本作では、トナカイ業経営者の殺人事件を彼らは特別に担当する。また同時に村の博物館ではやはり先住民族の史的文化財とも言える太鼓の盗難事件が発生し、二つの事件の関連が疑われる。
ノルウェイ、フィンランド、スウェーデンが国境を接する北欧の最北端を舞台に、二人の若いトナカイ警察と、彼らを取り巻く一般警察、役場、さらには利権を企んで集まってくる有象無象の輩、性犯罪の常習犯である地質学者などが入り乱れる中、静かなはずの北辺の地が一気にざわめく。
穏やかならざる犯罪の気配に連続して巻き込まれゆく極光の雪原を舞台に、零下40度を軽く超える極寒の地で、二人の捜査が展開される。クレメットは先住民族の血が流れ、ニーナは南ノルウェイの出身でこの地へは配属され初めて足を踏み入れたばかりの新任である。
ちなみに、作者は『ル・モンド』紙の北欧特派員としてストックホルムに在住しているフランス人であるそうだ。ゆえに本書はフランス語圏で出された北欧舞台のミステリー。いわゆる北欧ミステリー特有のエンタメ性というよりは、サーミ人という知られざる北方民族の存在、また彼らに対する差別、金鉱・ウラン鉱の発掘のために自然を虐げようとする先進国の文化的暴力、悪徳企業による自然破壊への怒り等もろもろをモチーフとした社会小説的側面が強い善良な作品であるように思われる。ストーリーの面白さやリーダビリティは、北欧エンタメの快適さには遠く及ばない。
それでも、武骨ながら独自の題材に迫ってみせる作者の気概がストレートに伝わる意欲作として評価したい上、さらなるこの地を舞台にした続編にも個人的には期待したく思う。少なくともワイルドな地の果てが大好きなぼくにとっては、心惹かれる個性的な一作であった。 -
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ネタバレ広大な自然とそこに秘め備えられた資源がもたらす可能性に吸い寄せられる人間の強欲。
その対立に揉まれつつルールの中で正しき方へ進もうとする体制側の人間。
読んでいくうちに思った。
この構図は北欧版ジョー・ピケット(by C・J・ボックス)。
ただ、ジョーほどには惹き寄せ力が薄いのが残念な主人公クレメット。
外から見える姿はサーミの血を誇りに、かつての頼りなさを都会での経験値を積むことで払拭し、サプミの地に凱旋。毅然と職務に邁進する男。
その実内面には女性に対するトラウマとの折り合いつけられなさが溢れかえっていて、よく言えばリアル、悪く言うと幻滅。
ジョーにも似たようなとこはあるけど、一本通った芯がある。それがあまり感じられなかったのが惜しいところ。
さて、物語の方は盗まれた太鼓の所在が明らかになってからは冒険色強め。
太鼓に描かれたシンボルの解釈をめぐり広げられる想像の翼は、「幻の地を求めて」的な話が好きな人には堪らないのかもしれない。
割と序盤の方からオープンにされる黒幕がどんな意外な関係性を秘めているのかと期待したが、うーん。
40日間の影のない期間からの次第に長くなる日照時間も序盤こそ雰囲気作りに寄与したが、全体としてそこまで象徴性を発揮できていないような気が。
少し前の作品かと思っていたら2021年発刊で意外と最近の作品だった。
しかも北欧の地を舞台にはしているが、フランスの作家さんとのことで驚きでもあり、あーなるほどでもある。
次作は白夜を扱った作品とのこと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ太陽が一切昇らない期間が40日間もある北欧サプミの地。
トナカイ放牧が生業としてあるこの地にて、トナカイ警察として、放牧者たちのいざこざを捌く(やれトナカイの群れが決められた範囲を越えて移動したがためにほかの群れと混じってしまっている、やれトナカイが盗まれたなどなど)クレメットとニーナ。
待ちに待った太陽がまた昇るその日、トナカイ放牧を担う土着民族サーミ人のマッティスが両耳を切り取られた状態で死体で発見される。
また、時をほぼ同じくしてサーミ人のアイデンティティ、差別受難の歴史のアイコンとも言えるサーミの太鼓が何者かに博物館から盗まれる事件も発生。
めったに事件らしい事件の起きないこの地にて立て続けに2件も。
儀式殺人かのような様相を見せる殺人事件と民族を象徴する民芸品の盗難、そりゃ関係ないわけないのだがどこに接点があるのかわからない。。
北欧の先住民族、土着生活を深くストーリーに絡ませるところが特徴的。
サーミ人とかラップ人とかの呼称はジョー・ネスボの作品で出てきたのを覚えているが、コタ(テントみたいな一時的な住処)とかグンピ(ググってもよくわからなかったけど、山小屋的なもの?)、ヨイク(伝統民謡)など見知らぬ用語が飛び交い濃密な民族色。
加えて0時間から次第に伸びていく日照時間というこの土地ならではの雰囲気固め。
ここにもう一声とばかりに意味深に織り込められた鉱物採掘の利権闘争(なのか?)が後半どう物語を盛り上げていくのか?ってとこでしょうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
ノルウェー北部北極圏に近いハンメルフェストが舞台。
若いトナカイ所有者が事故で溺死、そして数日後に市長も同じ場所で死体が見つかる。
トナカイ警察のクレメットとニーナが事件を追う。
・感想
続編らしいけどこの作品から読んでみたけど問題なし。
サーミ人については映画で観たこともあるからちょびっとだけ知ってた(サーミの血、という映画)
トナカイ放牧、トナカイ警察、北極圏の生活など初めて知ったことも多く、これがあるから海外翻訳小説は読むのが面白いんだよね。
どこの国にも近代化の波に勝てない風習があって、結局はそこに住んでる人が「何を求めるか」なんだと思う。
便利、簡便、インスタントなものが悪という訳では無い。
求めるもの、みてる景色、何を大事にするかの違いなんだろうな…。
上巻ではまだ起承転結の起承くらいなので謎だらけ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
連続不審死調査で浮かび上がる伝統と発展の問題、過去と現在の課題、油田開発による被害者たちの終ることのない苦しみ。
幼馴染(?)3人のサーミ人の思惑、未来への諦観や希望、過去を受け止めて進む道は?
・感想
ハッキリしないというかフンワリしてる文章で中々クセがあった。
ミステリー要素はあまり無かったけど北極圏での民族、生活、トナカイ放牧、文化、商業など社会問題を軸にした話でそっちの話は結構興味深く読んだ。
白夜での生活って想像付かないけど夜が3.4時間しかないって凄く辛そう…そりゃ鬱も多くなるよね。
幼馴染と言っても仲良くない3人だから道を違えてることになっても別に悲しいとかいう感情は無かったw
作品内の人間関係が大体淡白な印象。
でも伝統をどうやって守るかと言うのはどこも難しいよね
人間が今よりもっとと求め続ける限りは…。