オリヴィエ・トリュックのレビュー一覧

  • 影のない四十日間 上

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    ラップ人と言ってはいけない、サーミ人なんだって!
    極北地方に住む人たちの呼び方は。知らなかったぁ。
    何となくスカンジナビア半島の現在の住民はバイキングの子孫だから侵略者かもって思っていたけれど、日本におけるアイヌ人と同じ立場にサーミ人はなるらしい。
    サーミ人はノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアと国境を超えて住み、独自の文化を持つ。
    主人公はそのサーミ人のトナカイ警察官。
    トナカイ警察ってあるんだ!
    トナカイって放牧なんだ!
    知らない事ばかり。
    しっかりしたミステリだけど、背景がおもしろ過ぎて‼️

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    2024年05月03日
  • 白夜に沈む死 下

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     ノルウェー北部。北極圏を舞台にした『影のない四十日間』に続くトナカイ警察シリーズ第二弾が登場した。個性という意味ではこれ以上ないほど珍しい舞台設定。観たこともない大自然の環境。入り組んだフィヨルドと沈まない太陽。辺境ゆえの捜査の困難さ。アイヌ民族やエスキモー同様、同和政策により絶やされようとしている先住民族サーミ人の血脈。あまりにも独自な材料を溢れるほど携えて、新鮮この上ないミステリーを展開してくれる圧巻のシリーズである。

     前作では、太陽がまったく昇らない冬の四十日間を背景にしていたのが驚愕であった。本作では、春を迎えた同地域を舞台に、太陽が沈まない白夜の季節を背景にして、またまた物語世

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    2023年02月14日
  • 白夜に沈む死 上

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     ノルウェー北部。北極圏を舞台にした『影のない四十日間』に続くトナカイ警察シリーズ第二弾が登場した。個性という意味ではこれ以上ないほど珍しい舞台設定。観たこともない大自然の環境。入り組んだフィヨルドと沈まない太陽。辺境ゆえの捜査の困難さ。アイヌ民族やエスキモー同様、同和政策により絶やされようとしている先住民族サーミ人の血脈。あまりにも独自な材料を溢れるほど携えて、新鮮この上ないミステリーを展開してくれる圧巻のシリーズである。

     前作では、太陽がまったく昇らない冬の四十日間を背景にしていたのが驚愕であった。本作では、春を迎えた同地域を舞台に、太陽が沈まない白夜の季節を背景にして、またまた物語世

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    2023年02月14日
  • 白夜に沈む死 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    二作目のせいか、サーミ人の生活のインパクトが小さい。
    前作で登場していた昔ながらに暮らすサーミ人、アクラスの存在がないからか。
    それでも、愛する人に求婚する際、秘密の岩に供えるために、
    去勢された雄ではなく、去勢されていない雄の角を手に入れようとする場面は、
    その意味合いが理解できないが、いやできないがゆえにほほえましい。

    全然本編とは関係ないが、
    グロッキーが不正確で正しくは「グロッギー」だと知らなかったので
    グロッギー、という言葉が出てくるたびに?となっていた。
    恥ずかしながら。

    事件の方は、酷い扱いだった潜水士たちの復讐だったというのがわかったが、
    今一つすっきりしな

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    2023年09月30日
  • 白夜に沈む死 上

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    ネタバレ

    「影のない四十日間」の続編。

    サーミ人たちの世界に加えて、
    海洋油田の開発に欠かせなかった潜水士の世界が舞台。
    春になり、トナカイの群れの移動を見守っている最中に、
    サーミ人の若者が死亡する。
    事故かとも思われたが、捜査をするトナカイ生活のニーナとクレメット。
    その後、油田で潤う市の市長が同じ場所で死体で発見される。

    ニーナは父も潜水士だったことから、
    離別している母親と父親と会いに行くことになる。
    一方クレメットは、前回同様、過去に因縁のあった男、
    トップクラスの潜水士ともめる。

    (下巻へ続く)

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    2023年09月30日
  • 影のない四十日間 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    とにかく、その生活や文化に目を奪われて、
    殺人と盗難の謎の方がどうもおろそかになる。
    ヨイクの名手クレメットの叔父とか、
    癖の強い地質学者とか、
    いかにもやられるために登場した若い地質学者とか、
    登場人物も多いし。
    特に後半は、金鉱探しと復讐の攻防がメインになって、
    事件のことは忘れがちになってしまった。

    一応事件は解決して、
    クレメットと北極圏の夜に消えたアクラスの関係もわかったが、
    ニーナにパリで何があったのかとか、
    二人の過去が気になる。

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    2023年07月09日
  • 影のない四十日間 上

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    ネタバレ

    ネットで見かけて。

    ヨーロッパの北の果て、
    ノルウェーとスェーデンとフィンランドが接するところ。
    先住民サーミ人のシャーマンが使っていた太鼓が博物館から盗まれる。
    トナカイ警察のクレメットとニーナも捜査に駆り出され、
    トナカイ所有者のところに聞き込みに言った直後に、その所有者が殺される。

    先住民サーミ人が暮らしていた地域で活躍するトナカイ警察のクレメットとニーナ。
    トナカイ警察は、トナカイの密漁や盗難、
    決められた放牧地からトナカイの群れが出たり、
    春の群れ分けでもめたりすると駆り出される。
    クレメットが、
    所有者が殺され残されたトナカイの群れを集めていく様子が、
    興味深かった。

    他にも

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    2023年07月09日
  • 白夜に沈む死 下

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    上巻では遅々として事件の捜査が進まなかったが、下巻では面白い様に展開していく。
    利権に群がる市民とサーミ人の伝統を重んじる精神世界の分断だけでなく、油田会社の手先となったダイバーの哀しい行末にも心が重くなった。

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    2023年02月26日
  • 影のない四十日間 下

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    舞台は北欧の先住民族のサーミ人が暮らしてきた地域のサプミ。そこでトナカイ警官をしているクレメット。サーミ人の神聖な太鼓が盗まれる事件とトナカイ所有者が殺害される事件が起きる。四十日間の極夜が終わったばかりの極寒のサプミ。閉鎖的な町と伝統を重んじた人たちの暮らしも興味深く読めるし、トナカイの密猟などを取り締まるトナカイ警察の特殊さも面白い。シリーズ二作目発売になったのでそちらにも期待。

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    2023年01月24日
  • 影のない四十日間 下

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    北欧ミステリーは色々読んできたが、中でもかなり異色のミステリー。
    舞台は極北の地。サーミ人の文化や歴史、トナカイ所有者たちの生活にトナカイ警察など…聞き慣れない内容ばかりで、小説としての内容だけでなく新しい文化を知る意味でも楽しめた。
    久山葉子さんの訳も読みやすい。

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    2022年03月09日
  • 影のない四十日間 下

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     フランス人の書いた北欧ミステリー。そう言ってよいのかどうか? いずれにせよ、内容は、都会とは遠く離れた場所に展開する辺境エンターテインメントである。しかもそんじょそこらの中途半端な辺境ではなく、北極に一番近く、地の果てもいいところ。白夜とは真逆となる<黒昼?>。無論そんな言葉は作中にはない。しかし一年に四十日間も全く太陽が顔を見せない季節が地球上にあるなんて! 地軸の傾きが作った宇宙の奇跡としか言いようがない。そんな四十日間の長い夜が明ける瞬間に幕を開けるのがこの物語である。多くの人々が極寒の暗闇で日の出を待つシーンで! どうです、神秘的でしょう?

     しかも初日は日照時間は4時間ほど。日が

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    2022年01月27日
  • 影のない四十日間 上

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     フランス人の書いた北欧ミステリー。そう言ってよいのかどうか? いずれにせよ、内容は、都会とは遠く離れた場所に展開する辺境エンターテインメントである。しかもそんじょそこらの中途半端な辺境ではなく、北極に一番近く、地の果てもいいところ。白夜とは真逆となる<黒昼?>。無論そんな言葉は作中にはない。しかし一年に四十日間も全く太陽が顔を見せない季節が地球上にあるなんて! 地軸の傾きが作った宇宙の奇跡としか言いようがない。そんな四十日間の長い夜が明ける瞬間に幕を開けるのがこの物語である。多くの人々が極寒の暗闇で日の出を待つシーンで! どうです、神秘的でしょう?

     しかも初日は日照時間は4時間ほど。日が

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    2022年01月27日
  • 影のない四十日間 下

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    寒い時期に極寒の本を読むなんてと自嘲していたが、下巻になりテンポの早い展開に圧倒的に面白くなった。悪い奴がここまでやるかと呆れる程ずる賢く、悪の権化として書かれていて、早く捕まえて欲しくてならなかった。物哀しい幕引きだったが、自分なら絶対に選ばない作品だと思うから紹介して下さった方に感謝したい。

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    2022年01月11日
  • 影のない四十日間 下

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    ネタバレ

    広大な自然とそこに秘め備えられた資源がもたらす可能性に吸い寄せられる人間の強欲。
    その対立に揉まれつつルールの中で正しき方へ進もうとする体制側の人間。
    読んでいくうちに思った。
    この構図は北欧版ジョー・ピケット(by C・J・ボックス)。

    ただ、ジョーほどには惹き寄せ力が薄いのが残念な主人公クレメット。
    外から見える姿はサーミの血を誇りに、かつての頼りなさを都会での経験値を積むことで払拭し、サプミの地に凱旋。毅然と職務に邁進する男。
    その実内面には女性に対するトラウマとの折り合いつけられなさが溢れかえっていて、よく言えばリアル、悪く言うと幻滅。
    ジョーにも似たようなとこはあるけど、一本通った

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    2025年05月17日
  • 影のない四十日間 上

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    ネタバレ

    太陽が一切昇らない期間が40日間もある北欧サプミの地。
    トナカイ放牧が生業としてあるこの地にて、トナカイ警察として、放牧者たちのいざこざを捌く(やれトナカイの群れが決められた範囲を越えて移動したがためにほかの群れと混じってしまっている、やれトナカイが盗まれたなどなど)クレメットとニーナ。

    待ちに待った太陽がまた昇るその日、トナカイ放牧を担う土着民族サーミ人のマッティスが両耳を切り取られた状態で死体で発見される。
    また、時をほぼ同じくしてサーミ人のアイデンティティ、差別受難の歴史のアイコンとも言えるサーミの太鼓が何者かに博物館から盗まれる事件も発生。

    めったに事件らしい事件の起きないこの地に

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    2025年05月11日
  • 白夜に沈む死 上

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    ネタバレ

    ・あらすじ

    ノルウェー北部北極圏に近いハンメルフェストが舞台。
    若いトナカイ所有者が事故で溺死、そして数日後に市長も同じ場所で死体が見つかる。
    トナカイ警察のクレメットとニーナが事件を追う。

    ・感想
    続編らしいけどこの作品から読んでみたけど問題なし。
    サーミ人については映画で観たこともあるからちょびっとだけ知ってた(サーミの血、という映画)
    トナカイ放牧、トナカイ警察、北極圏の生活など初めて知ったことも多く、これがあるから海外翻訳小説は読むのが面白いんだよね。

    どこの国にも近代化の波に勝てない風習があって、結局はそこに住んでる人が「何を求めるか」なんだと思う。
    便利、簡便、インスタントな

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    2024年03月02日
  • 白夜に沈む死 下

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    連続不審死調査で浮かび上がる伝統と発展の問題、過去と現在の課題、油田開発による被害者たちの終ることのない苦しみ。
    幼馴染(?)3人のサーミ人の思惑、未来への諦観や希望、過去を受け止めて進む道は?

    ・感想
    ハッキリしないというかフンワリしてる文章で中々クセがあった。
    ミステリー要素はあまり無かったけど北極圏での民族、生活、トナカイ放牧、文化、商業など社会問題を軸にした話でそっちの話は結構興味深く読んだ。
    白夜での生活って想像付かないけど夜が3.4時間しかないって凄く辛そう…そりゃ鬱も多くなるよね。
    幼馴染と言っても仲良くない3人だから道を違えてることになっても別に悲しいとかいう感情

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    2024年03月02日
  • 白夜に沈む死 下

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    上巻のゆったり感から180度の大展開。スピード感より次々と放たれる事実発掘・・ダイバーを中心とした多すぎる犠牲者の上に成り立った石油油田開発と石油管理局のあぶり出された実態、して市長の謎の死。

    同時進行するニーナと父母、三者の埋めようもない相克・・ニーナが求めた【今の父】との会話は・・さて。
    クレメットも叔父を絡める秘密が形を羅わしてくる。
    ラストの場面で恋人の舞踊を背景に姿を現したサーミ芸術、シンボルの意味は?

    解明の紐解きは読み手を否応なく50年前に連れ戻す~ペーデルセン・謎の人物ディヴァルゴ、だいばーから芸術家になったラウラの3人組。
    事の発端となった亡きエリックの妻アネリーの破壊行

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    2023年07月16日
  • 白夜に沈む死 上

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    ノルウェーのほぼ最北に位置する町を舞台にしたミステリー。油田開発を狙う企業とトナカイ所有者、新しく入植した町の住民とサーミ人との軋轢。ノルウェー南部から来た新人警官が先輩と共に立ち向かって行く、と言うシリーズ2作目。今更ながら地図を見て驚いた、これ程南北に長い国とは。下巻が楽しみ。

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    2023年02月21日
  • 影のない四十日間 上

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    北欧3カ国共通に「トナカイ警察」ってのがあるそうで。その人らが事件を追う作品。あらすじはよさげなんですけども、日本でいうとアイヌ的な差別が背後にありそう、なんだが、全然頭に内容が入ってくる前に、返却期限過ぎてしまった(相性絶対あるよね。久々にボラーニョでも読もうかなーと思って、絶対に確実に50年先も文庫化はしないと思うんだけど、じゃあ電車のあの落ち着かない環境で読めるかというと、多分自分には無理で、結局内容スカスカの本しか頭に入って来ないのに、そういうのをつかまえては、悪口言っていて、なんかヤンキーみたいだ。

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    2023年02月14日