オリヴィエ・トリュックのレビュー一覧

  • 影のない四十日間 下

    Posted by ブクログ

    CL 2022.5.6-2022.5.11
    今まで読んだ北欧ミステリの中でもひときわ異彩を放つ。サーミ人の生活や、彼らへの差別、邪悪な人たちの言動に怒りがわく。

    日本から見た北欧は、高度な社会モデルを築いている福祉国家というイメージが強いが、原住民を虐げたうえに成り立っていることをはじめて知った。
    本来サプミはひとつなのに勝手に国境を作られて、サーミ人はそれに苦しめられたんだ。

    とても読み応えのある作品だった。
    登場人物それぞれの心が沁みるように伝わってくる。
    ただ、文章がややぎこちないのが残念だった。

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    2022年05月11日
  • 影のない四十日間 上

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    CL 2022.5.4-2022.5.6
    北欧の原住民サーミ人というのをはじめて知った。
    それにしても差別、偏見が酷くて驚く。
    ブラッツェンはもはや犯罪者となんら変わらない。
    でも、次期署長候補なんだよね。なんとも納得のいかないことだわ。

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    2022年05月06日
  • 影のない四十日間 下

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    下巻は民俗学に地質学、更に環境問題も絡み合う盛り沢山の内容。その所為か、些かまとまりに欠ける印象は否めない。蘊蓄が多過ぎて決してテンポは良くないが、終盤に入ると一気に畳み掛けてくる。気骨のある孤高のサーミ人・アスラクの悲哀に思わず胸が痛んだ。今年中に続編が刊行されるようだが、こんな場面で中途半端に幕を閉じられると流石に読まざるを得ない。残念だったのは、謎解きのキーでもある太鼓のイラストが作中に挿入されていなかったこと。私の想像力が乏しく、皆が太鼓の絵柄について議論するシーンは全く画が浮かばなかったので…。

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    2022年03月19日
  • 影のない四十日間 上

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    先日NHKで放送されたテレビ番組(早春のヨーロッパ鉄道旅)にて、スウェーデンのラポニア地域に居住するサーミ人の暮らしぶりが紹介されていたので、作中の風習は割かしイメージし易かった。<トナカイ警察>とは随分と可愛らしいネーミングだが、調整役さながらの業務は必要以上に神経を擦り減らしそう。サーミの伝統的な太鼓の盗難事件に始まり、トナカイ放牧者の殺人事件、そこへ金鉱の在処を示した地質図が登場し、上巻の時点ではまだ着地点が見えない。派手さの欠片もない地味な作風だが、こういうの嫌いじゃないんですよね。続けて下巻へ。

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    2022年03月19日
  • 影のない四十日間 上

    Posted by ブクログ

    北欧の先住民族が住む地域を舞台にしたミステリ。トナカイ警察のクレメットと新人のニーナの2人が殺人事件とシャーマンの儀式に使う盗難事件の解決に挑んで行くと言う内容。本作を読むにあたり、サーミ人について調べたが、極寒の地でのサーミ人と北欧人の軋轢は根深いものらしく、それがそこかしこに描かれていて辛かった。

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    2022年01月11日