下巻は民俗学に地質学、更に環境問題も絡み合う盛り沢山の内容。その所為か、些かまとまりに欠ける印象は否めない。蘊蓄が多過ぎて決してテンポは良くないが、終盤に入ると一気に畳み掛けてくる。気骨のある孤高のサーミ人・アスラクの悲哀に思わず胸が痛んだ。今年中に続編が刊行されるようだが、こんな場面で中途半端に幕を閉じられると流石に読まざるを得ない。残念だったのは、謎解きのキーでもある太鼓のイラストが作中に挿入されていなかったこと。私の想像力が乏しく、皆が太鼓の絵柄について議論するシーンは全く画が浮かばなかったので…。