オリヴィエ・トリュックのレビュー一覧

  • 影のない四十日間 下
    下巻は民俗学に地質学、更に環境問題も絡み合う盛り沢山の内容。その所為か、些かまとまりに欠ける印象は否めない。蘊蓄が多過ぎて決してテンポは良くないが、終盤に入ると一気に畳み掛けてくる。気骨のある孤高のサーミ人・アスラクの悲哀に思わず胸が痛んだ。今年中に続編が刊行されるようだが、こんな場面で中途半端に幕...続きを読む
  • 影のない四十日間 上
    先日NHKで放送されたテレビ番組(早春のヨーロッパ鉄道旅)にて、スウェーデンのラポニア地域に居住するサーミ人の暮らしぶりが紹介されていたので、作中の風習は割かしイメージし易かった。<トナカイ警察>とは随分と可愛らしいネーミングだが、調整役さながらの業務は必要以上に神経を擦り減らしそう。サーミの伝統的...続きを読む
  • 影のない四十日間 上
    北欧の先住民族が住む地域を舞台にしたミステリ。トナカイ警察のクレメットと新人のニーナの2人が殺人事件とシャーマンの儀式に使う盗難事件の解決に挑んで行くと言う内容。本作を読むにあたり、サーミ人について調べたが、極寒の地でのサーミ人と北欧人の軋轢は根深いものらしく、それがそこかしこに描かれていて辛かった...続きを読む