影のない四十日間 下

影のない四十日間 下

小説・文芸
1,100円 (税込)

5pt

3.6

トナカイ所有者殺害の前日、カウトケイノの博物館から世界的に貴重なサーミの太鼓が盗まれるという事件が起きていた。実は殺された男は数少ないサーミの太鼓のつくり手でもあった。二つの事件に関連はあるのか。クレメットとニーナは盗まれた太鼓のルートをたどる。寄付主はかつてフランス人探検家がこの地を訪れた際に同行して、サーミ人のガイドから件(くだん)の太鼓をもらったというのだ。七十年以上前のその探検では、ひとりの隊員が亡くなっていた。一年の内四十日間太陽が昇らない極北の地で、トナカイ警察コンビが悲しみに満ちた事件の真相に迫る。

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〈トナカイ警察〉シリーズ の一覧

1~4巻配信中 1巻へ 最新刊へ
1~4件目 / 4件
  • 影のない四十日間 上
    1,100円 (税込)
    クレメットとニーナは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドにまたがるサーミ人居住地でトナカイ関連の事件を扱うトナカイ警察の警察官。二人が配置されたノルウェーのカウトケイノで、サーミ人のトナカイ所有者マッティスが殺された。直前にクレメットたちが、隣人からの苦情を受けて彼のもとを訪れたばかりだった。トナカイ所有者同士のトラブルが原因なのか? サーミ人を排斥しようとする勢力、サーミ人の権利を主張する勢力、様々な思惑が入り乱れるなか彼らは捜査を進めるが……。フランス批評家賞など23の賞を受賞した傑作ミステリ。
  • 影のない四十日間 下
    1,100円 (税込)
    トナカイ所有者殺害の前日、カウトケイノの博物館から世界的に貴重なサーミの太鼓が盗まれるという事件が起きていた。実は殺された男は数少ないサーミの太鼓のつくり手でもあった。二つの事件に関連はあるのか。クレメットとニーナは盗まれた太鼓のルートをたどる。寄付主はかつてフランス人探検家がこの地を訪れた際に同行して、サーミ人のガイドから件(くだん)の太鼓をもらったというのだ。七十年以上前のその探検では、ひとりの隊員が亡くなっていた。一年の内四十日間太陽が昇らない極北の地で、トナカイ警察コンビが悲しみに満ちた事件の真相に迫る。
  • 白夜に沈む死 上
    1,200円 (税込)
    石油景気に沸く沿岸の町ハンメルフェスト。町に侵入するトナカイをめぐりトナカイ所有者と住人とのトラブルが絶えない。そんななかトナカイ所有者の青年が、本土から島の餌場にトナカイを移動させている最中に狼湾(ヴアリギスンド)で事故死した。数日後、同じ湾で市長が死体で見つかる。偶然かそれとも? 腑に落ちないものを感じたトナカイ警察のクレメットとニーナだったが、青年が死亡した日にクレメットの叔父が撮った写真に怪しげな動きの人影が写っていた。日の沈まない夏の北極圏、北欧三国にまたがり活躍する特殊警察所属の警察官コンビが事件を追う。
  • 白夜に沈む死 下
    1,200円 (税込)
    油田の開発に各国の石油会社が群がり、利権と欲望が渦巻く町ハンメルフェスト。石油産業のダイバーは危険と背中合わせだが、信じられないくらいの高給が支払われる花形の職業だ。亡くなったサーミ人のトナカイ所有者の幼馴染は、腕利きのダイバーだった。伝統と利権に引き裂かれるサーミの人々。トナカイ所有者、かつて石油会社に関わっていた市長に続き、スウェーデンとアメリカの石油会社の代表者二名が減圧室の事故で悲惨な死を遂げるに至り、クレメットとニーナは一連の出来事のつながりを疑い始める。数多くの賞を受賞したシリーズ第2弾。

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影のない四十日間 下 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    舞台は北欧の先住民族のサーミ人が暮らしてきた地域のサプミ。そこでトナカイ警官をしているクレメット。サーミ人の神聖な太鼓が盗まれる事件とトナカイ所有者が殺害される事件が起きる。四十日間の極夜が終わったばかりの極寒のサプミ。閉鎖的な町と伝統を重んじた人たちの暮らしも興味深く読めるし、トナカイの密猟などを取り締まるトナカイ警察の特殊さも面白い。シリーズ二作目発売になったのでそちらにも期待。

    0
    2023年01月24日

    Posted by ブクログ

    北欧ミステリーは色々読んできたが、中でもかなり異色のミステリー。
    舞台は極北の地。サーミ人の文化や歴史、トナカイ所有者たちの生活にトナカイ警察など…聞き慣れない内容ばかりで、小説としての内容だけでなく新しい文化を知る意味でも楽しめた。
    久山葉子さんの訳も読みやすい。

    0
    2022年03月09日

    Posted by ブクログ

     フランス人の書いた北欧ミステリー。そう言ってよいのかどうか? いずれにせよ、内容は、都会とは遠く離れた場所に展開する辺境エンターテインメントである。しかもそんじょそこらの中途半端な辺境ではなく、北極に一番近く、地の果てもいいところ。白夜とは真逆となる<黒昼?>。無論そんな言葉は作中にはない。しかし一年に四十日間も全く太陽が顔を見せない季節が地球上にあるなんて! 地軸の傾きが作った宇宙の奇跡としか言いようがない。そんな四十日間の長い夜が明ける瞬間に幕を開けるのがこの物語である。多くの人々が極寒の暗闇で日の出を待つシーンで! どうです、神秘的でしょう?

     しかも初日は日照時間は4時間ほど。日が経つにつれ日照時間が伸びてゆく。日が変わる毎に日照時間が小題に記されるのも本作の特徴。太陽は地平近くを横に移動して四時間後にはまたすぐに沈んでしまうのだそうで日照時間は実に重要。むしろそんな場所でそんな時を経験してみたいくらいだ。

     ともあれ、そんな季節に起こってしまうトナカイ牧場殺人事件。調べるはトナカイ警察。トナカイ業を営む多くはサーミ人という少数民族。日本ではアイヌ人、もしくはいわばイヌイットなどの海洋民族を想起させられる。いずれも人種差別や迫害を免れない先住民族共通の国家的課題を抱えている状況もしっかり描かれてゆく。差別を日常的に口にする警察官の存在が鼻につくが、それはきっとリアルなことでもあるのだろう。

     長い夜。極寒。差別。そういった逆境を背景に、描かれた警察小説が、本書なのである。警察小説と言っても、本書の主人公クレメットとニーナが所属するのはトナカイ警察。トナカイ猟に関わる事件を専門とするので、一般の捜査陣よりはワンランク下に見られているようである。本作では、トナカイ業経営者の殺人事件を彼らは特別に担当する。また同時に村の博物館ではやはり先住民族の史的文化財とも言える太鼓の盗難事件が発生し、二つの事件の関連が疑われる。

     ノルウェイ、フィンランド、スウェーデンが国境を接する北欧の最北端を舞台に、二人の若いトナカイ警察と、彼らを取り巻く一般警察、役場、さらには利権を企んで集まってくる有象無象の輩、性犯罪の常習犯である地質学者などが入り乱れる中、静かなはずの北辺の地が一気にざわめく。

     穏やかならざる犯罪の気配に連続して巻き込まれゆく極光の雪原を舞台に、零下40度を軽く超える極寒の地で、二人の捜査が展開される。クレメットは先住民族の血が流れ、ニーナは南ノルウェイの出身でこの地へは配属され初めて足を踏み入れたばかりの新任である。

     ちなみに、作者は『ル・モンド』紙の北欧特派員としてストックホルムに在住しているフランス人であるそうだ。ゆえに本書はフランス語圏で出された北欧舞台のミステリー。いわゆる北欧ミステリー特有のエンタメ性というよりは、サーミ人という知られざる北方民族の存在、また彼らに対する差別、金鉱・ウラン鉱の発掘のために自然を虐げようとする先進国の文化的暴力、悪徳企業による自然破壊への怒り等もろもろをモチーフとした社会小説的側面が強い善良な作品であるように思われる。ストーリーの面白さやリーダビリティは、北欧エンタメの快適さには遠く及ばない。

     それでも、武骨ながら独自の題材に迫ってみせる作者の気概がストレートに伝わる意欲作として評価したい上、さらなるこの地を舞台にした続編にも個人的には期待したく思う。少なくともワイルドな地の果てが大好きなぼくにとっては、心惹かれる個性的な一作であった。

    0
    2022年01月27日

    Posted by ブクログ

    寒い時期に極寒の本を読むなんてと自嘲していたが、下巻になりテンポの早い展開に圧倒的に面白くなった。悪い奴がここまでやるかと呆れる程ずる賢く、悪の権化として書かれていて、早く捕まえて欲しくてならなかった。物哀しい幕引きだったが、自分なら絶対に選ばない作品だと思うから紹介して下さった方に感謝したい。

    0
    2022年01月11日

    Posted by ブクログ

    CL 2022.5.6-2022.5.11
    今まで読んだ北欧ミステリの中でもひときわ異彩を放つ。サーミ人の生活や、彼らへの差別、邪悪な人たちの言動に怒りがわく。

    日本から見た北欧は、高度な社会モデルを築いている福祉国家というイメージが強いが、原住民を虐げたうえに成り立っていることをはじめて知った。
    本来サプミはひとつなのに勝手に国境を作られて、サーミ人はそれに苦しめられたんだ。

    とても読み応えのある作品だった。
    登場人物それぞれの心が沁みるように伝わってくる。
    ただ、文章がややぎこちないのが残念だった。

    0
    2022年05月11日

    Posted by ブクログ

    下巻は民俗学に地質学、更に環境問題も絡み合う盛り沢山の内容。その所為か、些かまとまりに欠ける印象は否めない。蘊蓄が多過ぎて決してテンポは良くないが、終盤に入ると一気に畳み掛けてくる。気骨のある孤高のサーミ人・アスラクの悲哀に思わず胸が痛んだ。今年中に続編が刊行されるようだが、こんな場面で中途半端に幕を閉じられると流石に読まざるを得ない。残念だったのは、謎解きのキーでもある太鼓のイラストが作中に挿入されていなかったこと。私の想像力が乏しく、皆が太鼓の絵柄について議論するシーンは全く画が浮かばなかったので…。

    0
    2022年03月19日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    (上巻より)

    とにかく、その生活や文化に目を奪われて、
    殺人と盗難の謎の方がどうもおろそかになる。
    ヨイクの名手クレメットの叔父とか、
    癖の強い地質学者とか、
    いかにもやられるために登場した若い地質学者とか、
    登場人物も多いし。
    特に後半は、金鉱探しと復讐の攻防がメインになって、
    事件のことは忘れがちになってしまった。

    一応事件は解決して、
    クレメットと北極圏の夜に消えたアクラスの関係もわかったが、
    ニーナにパリで何があったのかとか、
    二人の過去が気になる。

    0
    2023年07月09日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    広大な自然とそこに秘め備えられた資源がもたらす可能性に吸い寄せられる人間の強欲。
    その対立に揉まれつつルールの中で正しき方へ進もうとする体制側の人間。
    読んでいくうちに思った。
    この構図は北欧版ジョー・ピケット(by C・J・ボックス)。

    ただ、ジョーほどには惹き寄せ力が薄いのが残念な主人公クレメット。
    外から見える姿はサーミの血を誇りに、かつての頼りなさを都会での経験値を積むことで払拭し、サプミの地に凱旋。毅然と職務に邁進する男。
    その実内面には女性に対するトラウマとの折り合いつけられなさが溢れかえっていて、よく言えばリアル、悪く言うと幻滅。
    ジョーにも似たようなとこはあるけど、一本通った芯がある。それがあまり感じられなかったのが惜しいところ。

    さて、物語の方は盗まれた太鼓の所在が明らかになってからは冒険色強め。
    太鼓に描かれたシンボルの解釈をめぐり広げられる想像の翼は、「幻の地を求めて」的な話が好きな人には堪らないのかもしれない。

    割と序盤の方からオープンにされる黒幕がどんな意外な関係性を秘めているのかと期待したが、うーん。
    40日間の影のない期間からの次第に長くなる日照時間も序盤こそ雰囲気作りに寄与したが、全体としてそこまで象徴性を発揮できていないような気が。

    少し前の作品かと思っていたら2021年発刊で意外と最近の作品だった。
    しかも北欧の地を舞台にはしているが、フランスの作家さんとのことで驚きでもあり、あーなるほどでもある。
    次作は白夜を扱った作品とのこと。

    0
    2025年05月17日

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