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合本 武揚伝 決定版(上中下)
本書は21世紀に入って刊行された最も優れた歴史小説であり、一人の作家が生涯に一度書けるかどうかというほどの名作である。 ――縄田一男(日本経済新聞書評より) その個人史を書くことが、彼なり彼女なりの属する共同体の歴史を書くこととほぼ重なる、という人物がいる。榎本武揚も間違いなくそのひとりであった。自分はその武揚について、これだけ存分に書かせてもらえたのだ。小説家としてなんと幸福なことかと、いま感じている。 ――単行本『決定版 武揚伝』あとがきより 黒船来航に揺れる幕末。海軍伝習所を経てオランダに留学した榎本武揚は、幕臣としての務めを全うせんとするが、ついに幕府が崩壊。徳川艦隊を率いて蝦夷地へ向かった武揚は、箱館を攻略し自治州を樹立する。だが、新政府軍が海峡を突破。五稜郭に拠り奮戦するも、土方歳三は倒れ、武揚は……。 “時代の先覚者”の半生を描く畢生の歴史巨篇、改稿決定版! 全三巻(上中下)を合本。 -
猫ミス!
気まぐれでミステリアスな〈相棒〉をめぐる、豪華執筆陣による全8篇――新井素子×黒猫の独白、秋吉理香子×野良猫見守り隊、芦沢央×少年名探偵と仔猫、小松エメル×猫になりたがる妹、恒川光太郎×妖怪猫ケシヨウ、菅野雪虫×オッドアイと「死神」、長岡弘樹×高齢者とペットロス、そにしけんじ×探偵ニャンロックホームズ。いつでもどこからでも手軽に猫を愛でることができる、バラエティ豊かなアンソロジー。 ◆収録作と主な登場猫物◆ 新井素子「黒猫ナイトの冒険」(自称「名前は、ない」野良猫) 秋吉理香子「呪い」(白い野良猫のシロなど) 芦沢央「春の作り方」(黒と茶のサビ猫) 小松エメル「一心同体」(黄色い瞳の黒猫) 恒川光太郎「猫どろぼう猫」(水色の瞳のサバ虎) 菅野雪虫「オッドアイ」(虹彩異色症の白猫) 長岡弘樹「四月のジンクス」(シャム猫のハナ) そにしけんじ「猫探偵事務所」(助手のニャトソンくん) -
キムラ食堂のメニュー
各地の飲食店主や職人の取材を続けるかたわら、お酒のミニコミ『のんべえ春秋』を発行してきた著者。懐かしの大食堂、小さな台所での工夫、郊外のコーヒーショップ、都会の片隅にある畑……。日常のささやかな変化を感じながら、さまざまな食べもの・飲みものとの出合いを綴る。おいしい話満載の一冊。文庫オリジナル *目次より抜粋 【食堂】 蕎麦屋のカレー/マルカンビル大食堂/福島第一原発大型休憩所内食堂 【コーヒー・おやつ】 東京らしい喫茶店 南千住『カフェ・バッハ』/『ツバメコーヒー』の話 【台所】 海老の尻尾/ひとり暮らしのおでん/「おにぎり」と「おむすび」 【畑】 畑日記三年分 【酒場】 プロ野球中継と晩酌/大衆酒場のチーズ考現学 -
西郷隆盛 維新の功臣 明治の逆賊
明治維新を実現した最大の「功臣」でありながら、なぜ西郷隆盛は明治政府に叛き、無謀な西南戦争を起こして「逆賊」の汚名を負ったのか……? 西郷の生涯は、彼を育んだ薩摩国と藩主島津家を抜きにしては語れない。本書はまず島津家の歴史を紐解き、激動の時代をともに生きた大久保利通・島津久光・勝海舟・坂本龍馬らの証言を織り交ぜながら、西郷の考え方や行動の「成功と失敗」要因を分析して、西南戦争に至るまでの「全軌跡」を詳述する。 そのプロセスを経ることで、維新と明治期の西郷の落差、知られざるリアルな人物像を浮き彫りにし、併せて複雑な幕末維新史を分かりやすく解説する書き下ろし歴史評伝。 〈目次〉 序章 西郷隆盛の生涯 第一章 薩摩藩の歴史 第二章 薩摩藩士西郷隆盛 第三章 激動する幕末京都 第四章 王政復古の実現 第五章 戊辰戦争の勃発 第六章 明治政府と西郷隆盛 第七章 最後の内乱・西南戦争 -
大貧帳
無心者や押売りが悪態をついて、これだけの構えに二円や三円の金がないと云う筈はないなどと云い出すと、蔭で聞いていても可笑しくなる。そう云う俗物にはそんな気がするかも知れないが、無いとなったら洗った様になくなる(本文より)。質屋、借金、原稿料……飄然としたなかに笑いが滲みでる。お金にまつわる三八篇。 目次 夏の鼻風邪 俸給 質屋 秋宵鬼哭 百鬼園旧套 風燭記 炉前散語 御時勢 売り喰い 志道山人夜話 金の縁 砂利場大将 錬金術 書物の差押 胸算用 揚足取り 布哇の弗 鬼苑道話 雑木林 百円札 二銭紀 他生の縁 濡れ衣 大晦日 歳末無題 吸い殻 払い残り 年頭の債鬼 迎春の辞 大人片伝 続のんびりした話 無恒債者無恒心 百鬼園新装 黄牛 可可貧の記 貪凍の記 櫛風沐雨 高利貸に就いて 鬼の冥福 -
マレーの感傷 金子光晴初期紀行拾遺
どの村落にも村落のどの小さい家にも世界の波動はうちつけ、衝撃しているのだ。ただ私は旅行者なので、通り過ぎるものなので、それに気づかずにすませるのだ――妻・三千代の不倫を清算するため二人で旅立った中国、欧州、南洋。旅の記録を当時の雑誌掲載作や手帳からオリジナル編集。自伝三部作の原石ともいえる貴重な作品集。詩人本人による挿画収録〈解説〉鈴村和成 目次 I 西湖舟遊 春の半淞園 北京雑景 香港・広東・マカオ II 好色の都 フランドル遊記 北欧ブラバン ブルッセル III 馬来の感傷 蘭印の旅から 蘭印紀行 金子光晴の旅 略年譜 解説――源泉としての『マレーの感傷』 -
南沙艦隊殲滅
中国軍が南沙に建設していた滑走路が、一晩で消滅した。 当初は台風被害だと思われたが、偶然海から発見された映像から、 何者かに襲撃された事実が浮かびあがる。 怒る中国はフィリピン軍、その背後に米軍の関与を疑うが、 映像には驚くべきものもが映し出されていた。 それは、日本人なら誰もが知る有名な戦艦―― 絶対に《存在しない》日本の戦艦の姿だった。 その情報を得た日本政府は、自国に火の粉がふりかかる前に調査を命じる。 乗り込んだのは司馬光二佐と《サイレント・コア》の姜小隊。 南沙を訪れた彼らは、謎の敵を追うことになったのだが――? 下巻に文庫版あとがきを収録。 -
十六夜荘ノート
英国でこの世を去った大伯母・玉青から、高級住宅街にある屋敷「十六夜荘」を遺された雄哉。思わぬ遺産に飛びつくが、大伯母は面識のない自分に、なぜこの屋敷を託したのか? 遺産を受け取るため、親族の中で異端視されていた大伯母について調べるうちに、「十六夜荘」にこめられた大伯母の想いと、そして「遺産」の真の姿を知ることになり――。誰も信じず仕事だけをしてきた雄哉に託された「想い」とは――? 文庫化を望む声多数! 古内一絵の人気作が登場! -
天盆
「誰かのために戦う奴に勝てるわけがない」 蓋の国を動かすのは、盤戯「天盆」を制した者。人々は立身を目指し研鑽に励むが、長い間、平民から征陣者は出ていない。 そんな中、貧しい十三人きょうだいの末子・凡天が激戦を勝ち進み――少年が歴史に挑む時、国の運命もまた動き始める。 圧倒的疾走感で描き出す放熱ファンタジー! -
最後の帝国海軍 軍令部総長の証言
山本五十六戦死後に連合艦隊司令長官をつとめ、最後の軍令部総長として戦艦大和の水上特攻など断末魔の帝国海軍の各作戦を命令した海軍大将が語った貴重な記録。そこに描かれた海軍内部の生々しいやりとりから見えてくる「海軍の失敗の本質」とは何か。 -
宇宙軍陸戦隊 地球連邦の興亡
「いらっしゃい。地獄へようこそ。ここはなにもかもが楽しくなってくるほど腐ってますよ」 開発途上の植民惑星に降り立った学術調査団が、内戦激化を理由に保護を要請してきた。地球連邦宇宙軍は、近傍にいた嚮導駆逐艦〈島風〉から国場大尉率いる陸戦隊を救出に派遣する。だが、その惑星には想像を絶する〈人類〉の姿が。そして、正統人類連合と自由生態党との間で、恐るべき異形の“戦い”が繰り広げられていた……。 後に連邦首相となる国場の若き日の“血塗られた歴史”を描く、待望の新作。『地球連邦の興亡1』所収の短篇「救難任務/泥森の罠」を全面改稿・大幅加筆した衝撃の長篇! 書き下ろし短篇「攻撃目標G」を併録。 -
おかず指南
日々の経験から作り出される、家庭それぞれの「おかず」は、余分がそぎおとされ、重厚なおいしさが光る宝ものです――。肉じゃが、きんぴらごぼうから、気転の効いた小皿まで。人気料理番組で〈鉄人〉と呼ばれた和食界の長老が、味の決め手となる基本の煮もののだしを紹介し、毎日の「おかず」を語る。 肉じゃが/ひじきの煮もの/きんぴらごぼう/大根と厚揚げの煮もの/ムール貝バター蒸し/鯖味噌煮/あら炊き/小あじ南蛮漬け/鯛の潮/ぶり大根/鶏皮ポン酢/ポテトサラダ/トマトサラダ/あらがね豆腐/今出川豆腐//切り干し大根の煮もの/ピータンピーマン/カレー豆腐/ロールキャベツ/揚げだしなす/若竹煮/沢煮椀/若竹吸い/茶碗蒸し/船場汁/めばる煮つけ/穴子当座煮/キャベツ芥子酢/干瓢たまじめ/小田巻き蒸し/鶏わさとろろ巻き/鯛素麺/鮭茶漬け/白菜甘酢漬け/なすときゅうりの即席漬け…(本文で紹介された料理より) -
魚釣島奪還作戦
日中台の係争地・尖閣諸島の魚釣島が過激な中国系武装集団に占拠された。海上保安庁や中国大使館による説得も徒労に終わり、陸上自衛隊の特殊部隊「サイレント・コア」が派遣される。岩礁とジャングルに覆われた無人島で、両者の決死の戦闘が始まった! -
よすが横丁修理店 迷子の持ち主、お探しします
人に大切にされた道具には心が宿り、人との縁が切れると道具は迷子になる――。ぼくは、古道具修理店「ゆかりや」で店長代理のエンさん(ちょっと意地悪)と一緒に、人と道具の「縁」を結んだり断ち切ったりしている。でもある日、横丁で不思議な事件が続いたと思ったら、ぼくの体にも異変が起こり始めて? 愛された道具と人を結ぶ「ゆかりや」。その不思議なお店で頑張る「ぼく」の秘密とは……? -
古代史疑 増補新版
邪馬台国をめぐる論争点を詳述し、独創的推理によって大胆な仮説を提示した清張古代史の記念碑的著作。牧健二、上田正昭、佐原眞、井上光貞との貴重なシンポジウムを初収録。 -
おいしいものは田舎にある 日本ふーど記
食の先覚者・薩摩鹿児島から、馬肉・昆虫食の木曽信濃、山鍋と海鍋が併存する秋田へ。風土と歴史が生み出す郷土食はどう形成され、どう変貌したのか。日本全国、見て飲んで食べ尽くして考える旅のエッセイ。 『日本ふーど記』を改題し、〈改版にあたって〉を付しました。 《目次》 薩摩鹿児島――幸あり南方より来たる 群馬下仁田――コンニャク・エネルギー不変の法則 瀬戸内讃岐――パスタ文化食べ歩きリサーチ 若狭近江――頽廃の美味は古きワインで 北海道――国境演歌味覚変幻 土佐高知――初鰹たたく気分は“いごっそう” 岩手三陸――日本ホヤスピタリティー考 木曾信濃――何でも食べてやろう 秋田金沢日本海――山と里なべもの裏オモテ 博多長崎――ちゃんぽんと唐様で書く三代目 松阪熊野――ふだらく赴粥飯法 エピローグ/東京――二〇〇年前のファースト・フード 文庫版あとがき 改版にあたって -
増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち
ラッセル・カークから始まる、現代アメリカを形作ってきた思想家たちを訪ねる“旅” 。彼らの思索の中核には何があるのか。保守、リベラルといった概念の真の意味とは――。著者の精緻な読み解きが、アメリカ文化の複雑さと奥深さ、そしてパラドクスをも浮かび上がらせる。文庫化にあたり〈「トランプ現象」とラディカル・ポリティクス〉を収録。 目次 プロローグ メコスタ村へ 第一章 戦後保守思想の源流――ラッセル・カーク 第二章 ネオコンの始祖――ノーマン・ポドレッツ 第三章 キリスト教原理主義――J・グレシャム・メイチェン 第四章 南部農本主義――リチャード・ウィーバー 第五章 ネオコンが利用した思想――レオ・シュトラウス 第六章 ジャーナリズムの思想と機能――H・L・メンケン 第七章 リベラリズム――ジョン・ロールズ 第八章 リバタリアン――ロバート・ノジック 第九章 共同体主義――ロバート・ニスベット 第十章 保守論壇の創設者――ウィリアム・バックリー 第十一章 「近代」への飽くなき執念――フランシス・フクヤマ 第十二章 「歴史の終わり」から「歴史の始まり」へ――フランシス・フクヤマ(続)第十三章 「トランプ現象」とラディカル・ポリティクス エピローグ 戦後アメリカ思想史を貫いた漱石の『こころ』 -
カクメイ
生放送のバラエティー番組収録中に、お笑い芸人が予定外のネタを始めた。大スポンサーの商品を貶める内容に、スタジオは騒然となる。怒り心頭のプロデューサー、対応に走る広告営業マン。芸人は、家族の命をたてに脅迫されたとうなだれた。一体誰が、何のために? 再発防止策がとられるものの、同様の事件が相次ぎ、現場は混乱を極めた。しかしこれは、さらに大がかりな脅迫事件への序章に過ぎなかったのだ……。 かつてない好景気に浮かれ騒いでいたバブル期の日本。なかでも隆盛を極めていたテレビ界を襲う驚愕の脅迫殺人事件と、時代に翻弄され、生き迷う若者たちのドラマが交差する、著者渾身の長篇サスペンス。 -
新版 イスラームとアメリカ
「湾岸戦争からソ連解体にかけてアメリカを理解せずに現代の中東・中央アジアを考える限界を痛感した」。多民族他文化国家アメリカと、世界各地に浸透するイスラーム世界とは共存しえるか。劇的に変化したアメリカとサウジアラビアの関係変化など最新研究を盛り込んだ増補版。 「イスラームとアメリカとの複雑な関係を多面的に考えることは、新しい世紀における日本とイスラームとの相互関係を測る上でも重要な準備作業となる。もちろん私としても、このささやかな書物が大きな課題に正面から取り組んだとは考えていない。しかし今はただ、本書の公刊がイスラームを軸としながら日米関係と日本中東関係を考える試みにもつながれば、と念じるのみである」(はじめに――ラシュディー事件によせて、より) 【目 次】 第一章 イスラームとテロリズム――アメリカと中東を横断する新しい社会運動 第二章 イスラームとアメリカ――自由と民主主義をめぐる非対称 1 イスラームと「歴史の終わり」 2 イスラーム主義におけるプルーラリズム 3 神の民主主義―対―市民の民主主義 4 アメリカのイスラーム政策 5「新・東西対立」と政治的リアリズム 第三章 アメリカの多文化主義と民族・人種問題――ロサンゼルス暴動の背景 第四章 アメリカ人のイスラーム――ブラック・ムスリム運動を中心に 1 アメリカ史の中のイスラーム 2 イスラーム神秘主義教団の台頭 第五章 日米関係とイスラーム――ハンチントン「文明の衝突」をめぐって 第六章 「歴史の終わり」に挑戦するイスラーム――フランシス・フクヤマ再考 1「最後の人間」のアイロニー 2 さまざまな民主主義 第七章 イスラームとトクヴィル――宗教と自由主義との緊張関係 1 近代ヨーロッパのイスラーム発見 2 トクヴィルの民主主義論と植民地征服――イスラームからの視点 第八章 大川周明による回教徒問題攷究――日本人の見た近代の危機 第九章 日本人のイスラーム観――中村廣治郎『イスラム』によせて 第十章 ウサーマ・ビン・ラーディンとアメリカ――アメリカ同時テロル多発事件の背景 -
神やぶれたまはず 昭和二十年八月十五日正午
昭和二十年八月十五日、終戦の玉音放送を拝したラジオの前の人びとは、一瞬の静寂のうちに、何を聞きとったのだろうか。太宰治、三島由紀夫、吉本隆明らによる、その日の言説を繙きながら、歴史の彼方に忘れ去られた至高の瞬間をさぐる、精神史の試み。 *目次から 第一章 折口信夫「神 やぶれたまふ」 第二章 橋川文三「『戦争体験』論の意味」 第三章 桶谷秀昭『昭和精神史』 第四章 太宰治「トカトントン」 第五章 伊東静雄の日記 第六章 磯田光一『戦後史の空間』 第七章 吉本隆明『高村光太郎』 第八章 三島由紀夫『英霊の聲』 第九章 「イサク奉献」(旧約聖書『創世記』) 第十章 昭和天皇御製「身はいかになるとも」 *著者紹介 長谷川三千子 1946年東京生まれ。祖母は作家・野上弥生子。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程中退。東京大学文学部助手などを経て、埼玉大学教授。2011年退官、同大学名誉教授。2013年よりNHK経営委員。著書に『からごころ――日本精神の逆説』(中公叢書・中公文庫)、『バベルの謎――ヤハウィストの冒険』(中公文庫、和辻哲郎文化賞)、『民主主義とは何なのか』(文春新書)、『日本語の哲学へ』(ちくま新書)、『九条を読もう!』(幻冬舎新書)など。
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