岩波文庫作品一覧

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  • 暗闇に戯れて 白さと文学的想像力
    NEW
    4.7
    現代アメリカ文学を牽引し,その構図を一変させた稀有の作家による,革新的な批評の書.ウィラ・キャザー『サファイラと奴隷娘』,ポー,トウェイン,ヘミングウェイらの作品を通じて,アメリカ文学史の根底に「白人男性を中心とした思考」があることを明るみに出し,構造を鮮やかに分析すると共に,その限界を指摘する.

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  • シャドウ・ワーク
    NEW
    3.0
    家事などの人間の本来的な諸活動は,市場経済を支える無払いの労働〈シャドウ・ワーク〉へと変質している.人間がシステムの従属変数となっている危機を,経済,社会,政治,知的活動などさまざまな切り口から論じ,自立・自存した生の回復を唱える.文明批評家イリイチによる現代産業社会への挑戦と警告.

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  • ダライ・ラマ六世恋愛詩集
    4.0
    ダライ・ラマ6世(1683-1706)ツァンヤン・ギャンツォは,ダライ・ラマの化身とされながら,自ら還俗して,恋に明け暮れ詩を詠う若者となった.23歳で数奇な生涯を終える.彼の残した六音節四行のリズム感溢れる詩は,今もチベットの人々に広く愛唱され親しまれている.慕情,逢瀬,再会の誓い…,様々な恋愛詩から100篇を精選した.

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  • 海の沈黙・星への歩み
    3.9
    ナチ占領下のフランス国民は,人間の尊さと自由を守るためにレジスタンス運動を起こした.ヴェルコールはこうした抵抗の中から生まれた作家である.ナチとペタン政府の非人間性をあばいたこの二編は抵抗文学の白眉であり,祖国を強制的につつんだ深い沈黙の中であらがいつづけ,解放に生命を賭けたフランス人民を記念する.

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  • ローマ皇帝伝 上
    4.0
    カエサル(シーザー)からドミティアヌス帝まで,帝政ローマに君臨した元首十二人の伝記集.著者(七〇頃―一三〇頃)は皇帝付きの秘書官.公文書のみならず,同時代の世評・諷刺・落書の類まで細大もらさず渉猟し,ふんだんに散りばめられた逸話は皇帝の知られざる個人生活にまで及ぶ.本邦初の完訳版.

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  • 説経節 俊徳丸・小栗判官 他三篇
    3.0
    1巻1,210円 (税込)
    ササラを摺りつつ語る大道・門付けの乞食芸として行われた説経節.今に伝わる演目から,後世の文学・芸能に特に大きな影響を与えた五作品を編む.語りの文体は臨場感に満ち,〈病〉を得た俊徳丸をかつぎ歩く乙姫,冥途から蘇った小栗判官を乗せた土車を引く照手姫など,力強い女主人公たちのすがたは印象深い.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 無垢の時代
    5.0
    一八七〇年代初頭,ある一月の宵.純真で貞淑なメイとの婚約発表を間近に控えたニューランドは,社交界の人々が集う歌劇場で,幼なじみのエレンに再会する――.二人の女性の間で揺れ惑う青年の姿を通じて,伝統と変化の対立の只中にある〈オールド・ニューヨーク〉の社会を鮮やかに描き出す.ピューリッツァー賞受賞.

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  • 紫式部集 付 大弐三位集・藤原惟規集
    -
    『源氏物語』の作者として名高い紫式部も,実名や伝記など詳しいことは知られていない.しかし,この集に収められた彼女のほぼ全生涯にわたる歌と詞書は,その勝気で聡明な少女時代から晩年までの生活や心情・人柄などを,細かく感じとらせてくれる.娘・大弐三位,兄・惟規の集も併せ,紫式部研究に不可欠の一冊.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • サラゴサ手稿(上)
    4.6
    1~3巻1,177~1,254円 (税込)
    ポーランドの大貴族ポトツキ(一七六一—一八一五)が仏語で著した大伽藍のような小説.フェリペ五世治下,シエラ・モレナの山中をさまようワロン人衛兵隊長アルフォンソの六十一日間の手記によって,彼が出会った謎めいた人々とその数奇な運命が語られる.作者没後,原稿が四散し,二十一世紀に全容が復元された幻の長篇,初の全訳.(全三冊)

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  • モイラ
    4.0
    「君ほどは白からず……」──ジョゼフは白い肌に赤毛の十八歳.人の心を騒がす美貌ながら,極度の潔癖さと信仰心ゆえに学生らしい気軽な会話を嫌悪し,好意を示す人たちと事あるたびに衝突する.孤独の中で,夢想にふける彼の前に運命の少女モイラが現れ…….一九二〇年のヴァージニアを舞台に,端正な文章で綴るグリーンの代表作.

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  • 大いなる遺産 上
    3.7
    1~2巻1,188~1,254円 (税込)
    両親と死別して孤児になったピップは,姉とその夫・鍛冶屋のジョーと暮らしていた.ある日.墓地で脱走囚と出会い頼まれた食料を家から持ちだした.成長して鍛冶屋修業を始めたピップに,匿名の人物から巨額の遺産が贈られるという知らせが届き,紳士修業のためロンドンに旅立つ.晩年の代表作.アメリカ版の挿絵を収録.(全2冊)

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  • 左川ちか詩集
    4.5
    左川ちか(1911-36)は昭和初期のモダニズムを駆け抜けた女性詩人.日本近代詩の隠された奇蹟とされた.「緑」「植物」「太陽」「海」から喚起する奔放自在なイメージ,「生」「性」「死」をめぐる意識は,清新で全く独自の詩として結実した.爽快な言葉のキーセンテンスは,読む者を捉えて離さない.初の文庫化.

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  • 万葉集(一)
    4.7
    日本の詩歌の源,最古の歌集.奈良時代末に編まれて以降,読み継がれてきた二十巻四千五百余首には,宮廷歌人から無名の男女に至る人々の心が映される.本冊には巻一―巻四,雄略天皇・額田王・柿本人麻呂・大伴旅人らの雑歌・相聞・挽歌・譬喩歌を収録.新日本古典文学大系に基づき,86年ぶりに全面刷新した文庫版.(全五冊)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 源氏物語(一) 桐壺―末摘花
    4.5
    皇子に生まれ,幼くして母を亡くし,位人臣を極めた光源氏.その数多の恋愛を軸に,平安貴族の華やかで翳りある世界を描き尽くした,世界最古の長編物語の一つ.新日本古典文学大系版の厳密な考証に基づく全五四帖の原文に,最新の学術成果を盛り込んだ注解・補訳を付す.本冊には,桐壺から末摘花までの六帖を収録.(全九冊)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 俺の自叙伝
    5.0
    ロシア人を父に持ち,若くしてロシア,ヨーロッパを彷徨いトルストイの謦咳に接した.革命から逃れて日本に帰国,その後,東京の下層社会で極貧生活を送りながら旺盛な執筆活動を始める.才能を妬まれ虚言の作家と貶められ,文壇から追放された大正期のコスモポリタン作家が,生まれからデビューまで,数奇な人生を綴る.

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  • ラ・カテドラルでの対話 (上)
    4.5
    1~2巻1,386~1,452円 (税込)
    独裁者批判,ブルジョアジー批判,父と子の確執,同性愛――.居酒屋ラ・カテドラルにおける二人の人物の会話をとおして,独裁政権下ペルーの腐敗しきった社会の現実を描く初期の代表作.「これまでに書いたすべての作品の中から一冊だけ,火事場から救い出せるのだとしたら,私はこの作品を救い出すだろう」(バルガス=リョサ).(全二冊)

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  • 太平記 一
    5.0
    1~6巻1,111~1,518円 (税込)
    鎌倉幕府の滅亡に始まる南北朝の動乱.北条一族の終焉,楠正成らの知勇が支える後醍醐天皇の新政権,足利尊氏の離反と南朝北朝の分離,室町幕府の成立…….数十年にわたって列島を揺るがした巨大な戦乱を記す『太平記』全四十巻.後世に深甚な影響を与えた書の古態を伝える室町初期の「西源院本」に,初の校注を加える.(第一─八巻を収録)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 真昼の暗黒
    3.3
    独房No.404に収監された元人民委員ルバショフ.覚えのない罪への三回の審問と獄中の回想,壁越しの囚人同士の交信に浮かぶ古参党員の運命.No.1とは誰か.なぜ自白は行われたか.スターリン時代の粛清の論理と戦慄のモスクワ裁判を描いて世界を震撼させたベストセラー.心理小説の傑作(1940年刊).【解説=岡田久雄】

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  • 英国古典推理小説集
    4.3
    「殺人があったのは二十二年前の今日――」.ディケンズ『バーナビー・ラッジ』とポーによるその書評,英国最初の長篇推理小説と言える「ノッティング・ヒルの謎」を含む,古典的傑作八篇を収録(本邦初訳を含む).読み進むにつれて,推理小説という形式の洗練されていく過程がおのずと浮かび上がる,画期的な選集.

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  • 物質と記憶
    5.0
    精神と物質,こころと身体の関係.アポリアと化した〈心身問題〉にベルクソンが挑む.実在論や観念論の枠組みを離れて最初から考え直してみること.そのためには問題の立て方じたいの変更が求められる.身体は生きるために知覚し,精神は純粋記憶のなかで夢みている.生の哲学から見られたときに現れる新たな世界像とは.新訳

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  • 史的システムとしての資本主義
    3.8
    壮大な〈世界システム論〉を唱えたウォーラーステイン(1930-2019).資本主義をひとつの歴史的な社会システムとみなし,「中核/周辺」「ヘゲモニー」「帝国」「反システム運動」などの概念を用いて,その成立・機能・問題点を鋭く描き出す.現代世界を批判的に検討し,未来を展望するうえで示唆に富む一冊.

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  • 根をもつこと 上
    4.3
    根をもつこと,それは魂のもっとも切実な欲求であり,もっとも無視されてきた欲求である.職業・言語・郷土など複数の根をもつことを人間は必要とする──数世紀にわたる社会的絆の破砕のプロセスを異色の文明観歴史観で辿り,占領下の祖国再建のために起草した私的憲法案.亡命先で34歳の生涯を閉じたヴェイユ渾身の遺著.(全2冊)

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  • 終戦日記一九四五
    4.2
    大人は子どもよりも愚かではないか? 『エーミールと探偵たち』などで知られる児童文学作家ケストナー(1899-1974)が第三帝国末期から終戦直後にかけて右往左往する大人たちの姿を活写する.皮肉とユーモアたっぷりの日記から見えてくるのは,いまなお繰り返される戦争の愚劣さにほかならない.「1945年を銘記せよ」.

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  • キーツ詩集
    -
    25年あまりの短い生涯の間にきわめて感覚的で豊かな詩情をうたったイギリス・ロマン派を代表する詩人ジョン・キーツ(1795―1821).その主要な二詩集に,生前には詩集に収録されなかった拾遺詩篇を精選して収録.長篇物語詩,ソネット,オードなど,〈美の詩人〉キーツの様々なジャンルの詩の魅力にふれる一冊.

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  • 原爆の子 広島の少年少女のうったえ 上
    -
    1~2巻858~990円 (税込)
    一九四五年八月,広島・長崎に投下された原爆による災害は,史上かつてない惨事として,四十五年たった今日もなお深い爪あとをのこしている.自らも広島で被爆した編者が平和教育のために編集した広島の少年少女達の真率な原爆体験記は,エスペラントをはじめ十数カ国語に翻訳され,全世界に感銘をよんだ.希有の記録.

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  • ウンベルト・エーコ 小説の森散策
    4.0
    作家であり記号論学者である著者が,読者は小説をいかに読むべきか,作者は読者にどうよんでほしいと願っているのかを,記号論の概念を駆使してユーモアをまじえつつ解説する,ハーヴァード大学ノートン詩学講義(1992─93)の記録.フィクションとは一体何なのか? 虚構の森(=小説)を散策する楽しみはどこにあるのか?

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  • ワシントン・スクエア
    4.0
    「父には,弱いといえるところが一つもないんですの」完璧な父を敬愛する,内向的で平凡な容姿のキャサリン.彼女の前に現れた,美貌で言葉たくみな求婚者――19世紀半ばのニューヨークを舞台に,鋭く繊細な会話と描写が,人間心理の交錯と陰影を映し出す.『ある婦人の肖像』とならぶ,ジェイムズ(1843-1916)初期の佳作.

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  • 開高健短篇選
    4.0
    1巻1,166円 (税込)
    ノンフィクションや釣魚紀行など様々な分野に多芸多才ぶりを発揮した作家,開高健(1930―89).その創作の原点である短篇を,文庫としてはこれまでにない規模で精選・収録.デビュー作,芥川賞受賞作から,ヴェトナムでの戦場体験や阿片吸引をモチーフにした中期の傑作をへて,死の直前に書き遺された絶筆まで,作家の生涯を一望する全十一篇.

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  • 大江健三郎自選短篇
    4.4
    「奇妙な仕事」「飼育」「セヴンティーン」「「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち」など,デビュー作から中期の連作を経て後期まで,全二三篇を収録.作家自選のベスト版であると同時に,本書刊行にあたり全収録作品に加筆修訂をほどこした最終定本.性・政治・祈り・赦し・救済など,大江文学の主題が燦めく,ノーベル賞作家大江健三郎のエッセンス.

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  • 石垣りん詩集
    4.5
    14歳で銀行に事務見習として就職し,定年まで家族の生活を一人で支えつづけた詩人,石垣りん.家と職場,生活と仕事の描写のうちに根源的な雄々しい力を潜ませた詩を書きつづけ,戦後の女性詩をリードした詩人のすべての詩業から,手書き原稿としてのみ遺された未発表詩や単行詩集未収録作品を含む,120篇を精選.

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  • シェフチェンコ詩集
    4.0
    「静けさにみちた世界 愛するふるさと/わたしのウクライナよ./母よ,あなたはなぜ/破壊され,滅びゆくのか.」理不尽な民族的抑圧への怒りと嘆きをうたい,ウクライナの国民的詩人と呼ばれるタラス・シェフチェンコ(1814-61).帝国ロシアに対する痛烈な批判,同郷人への訴え,弱者に寄せる限りない慈しみが胸に迫る一〇篇.

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  • 仰臥漫録
    -
    「子規は死ぬ時に糸瓜の句を詠んで死んだ男である」.畏友の死について漱石はそう書いた.病の床から見える糸瓜棚.子規はその風情に己を重ね,昵懇の想いを寄せる.子規が死の直前まで折々に書きとめた日録.喜怒哀楽を筆に込め,命旦夕に迫る心境が誇張も虚飾もなく綴られる.直筆の素描画を天然色で掲載する改版/カラー版.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • パサージュ論 一
    4.0
    パリにナチスが迫る間際まで書き綴られた膨大なメモ群はバタイユらに託され,かろうじて生き残った.一九世紀パリに現れたパサージュをはじめとする物質文化に目を凝らし,人間の欲望や夢,ユートピアへの可能性を考察したベンヤミンの畢生の労作.(全五冊)

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  • 重力と恩寵
    4.5
    たとえこの身が汚泥となりはてようと,なにひとつ穢さずにいたい──絶え間なく人間を襲う不幸=重力と,重力によって自らの魂を低めざるをえない人間.善・美・意味から引きはがされた真空状態で,恩寵のみが穢れを免れる道を示す.戦火の中でも,究極の純粋さを志向したヴェイユの深い内省の書.その生の声を伝える雑記帳(カイエ)からの新校訂版.

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  • 日蓮文集
    -
    日本仏教史上の巨峰日蓮.彼の妥協のない剛毅不抜の布教の姿は,様々な法難の物語によって人々の脳裡に強く灼きついている.その,彼の教えそのものがいかに培われいかに発展し深められていったか.また彼の人となりは…….日蓮主要書(三大部)と主な消息文(手紙)の一つ一つに解説を付し一冊にまとめた.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 黄金の壺
    4.3
    ドイツ・ロマン派の異才ホフマン(一七七六―一八二二)自らが会心の作と称した一篇.緑がかった黄金色の小蛇ゼルペンティーナと,純情な大学生アンゼルムスとの不思議な恋の物語は,読者を夢幻と現実の織りなす妖艶な詩の世界へと誘いこんでゆく.芸術的完成度も高く,作家の思想と表現力のすべてはこの作品に注ぎこまれている.

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  • ビアス短篇集
    4.3
    『悪魔の辞典』のビアス(1842-1914)はまた,芥川龍之介が「短編小説を組み立てさせれば彼ほど鋭い技巧家は少ない」と評した短篇小説の名手である.北軍の義勇兵として南北戦争の激戦地を転戦したビアスは,そこで人間の生死をつぶさに眺め,人間をみつめ,社会を知った.短篇集『いのちの半ばに』他から秀作15篇を収録.

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  • 小説の技法
    4.0
    セルバンテス,カフカ,プルーストなど,誰もが知っている名著名作の作者たちとその作品に言及しながら,「小説とは何か」「小説はどうあるべきか」を論じるクンデラ独自の小説論.2011年刊行の改訂版を底本とした新訳決定版.存命の,世界で最も著名な作家の一人,クンデラ(1929- )による知的刺激に満ちた文学入門.

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  • 北條民雄集
    4.8
    北條民雄(1914-37)は19歳でハンセン病の宣告を受け全生病院に入院してから僅か三年半で夭折した.隔離された療養所で様々な差別・偏見に抗しつつ身を刻むようにして記された彼の言葉は絶望の底から復活する生命への切望を証しする文学であった.川端康成によって見出されたこの稀有の作家の文章を,小説,童話,随筆,書簡,日記から精選する.

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  • 独裁と民主政治の社会的起源 近代世界形成過程における領主と農民 上
    3.5
    なぜイギリス・フランス・アメリカでは自由民主主義が成立し,日本やドイツではファシズムを招来したのか.ロシアと中国で共産主義革命が起きた理由はなにか.各国が経験した近代化の異なる道筋を,社会経済構造の差に注目して説明した比較近代化論の名著(一九六六年刊).上巻ではイギリス・フランス・アメリカ・中国を分析する.

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  • 回想のブライズヘッド 上
    3.3
    第2次大戦中,物語の語り手ライダーはブライズヘッドという広大な邸宅の敷地に駐屯する.「ここは前に来たことがある」.この侯爵邸の次男でライダーの大学時代の友セバスチアンをめぐる,華麗で,しかし精神的苦悩に満ちた青春の回想のドラマが始まる.20世紀イギリスの作家ウォー(1903-66)の代表作.(全2冊)

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  • 完訳 カンタベリー物語 上
    3.6
    1~3巻924~1,177円 (税込)
    花ほころび,そよ風吹きそめる四月のある日,身分も職業もさまざまな二九人の巡礼がサザークの旅籠に顔を合せた.当時のイギリス社会の縮図というべき顔ぶれが,カンタベリーへの道中,順番に話をすることになって…….中世イギリス最大の詩人チョーサー(一三四〇頃―一四〇〇)の代表作.バーン=ジョーンズの端整な挿画を収載.

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  • 伊藤野枝集
    4.0
    「吹けよ あれよ 風よ あらしよ」.一七歳で故郷を出奔,東京へ.辻潤と結婚,『青鞜』に参加,女性解放を求める活動のさなか,大杉栄と出会い──嵐のごとく生を駆け抜けた伊藤野枝は,二八歳で憲兵隊に虐殺された.まっすぐな視線と率直な共感をもって書かれた野枝の力強い文章は,当時の社会を生々しく描いて魅力に富む.

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  • 冗談
    4.5
    絵葉書に冗談で書いた文章が,前途有望な青年の人生を狂わせる.十数年後,苦しみに耐え抜いたすえ,男は復讐をもくろむが…….政治によって歪められた1人の男の流転の人生と愛の悲喜劇を軸にして,4人の男女の独白が重層的に綾をなす,ミラン・クンデラ(1929-)の最高傑作.作家自らが全面的に改訂した決定版からの新訳.

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  • バウドリーノ 上
    3.5
    時は中世,十字軍の時代――.神聖ローマ皇帝フリードリヒの養子となった農民の子バウドリーノが語る数奇な生涯.驚異に満ちた東方世界で出会う一本足の俊足スキアポデス,一角獣を連れた美女,胸に顔があるブレミエス族,大耳を広げて滑空するパノッティ族など,史実と伝説とファンタジーを織りまぜて紡ぎだす破天荒な冒険ロマン.(全二冊)

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  • ロシア・インテリゲンツィヤの誕生 他五篇
    4.0
    バーリンは,伝統主義を拒否し個人の自由を擁護したインテリゲンツィヤたちの言説を丁寧に読み解く作品を残している.それは,十九世紀のロシアがはらんでいた複数の可能性,そこに潜む普遍性を探りあてる試みでもあった.こよなく愛したゲルツェンをはじめ,ベリンスキーやトゥルゲーネフらの人物像を,深い共感をこめて描きだした論集.

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  • まど・みちお詩集
    3.8
    だれもが知ってる「ぞうさん」「やぎさん ゆうびん」「ドロップスの うた」――.子どもの世界,自然の不思議,すべてのものや生きものがそのものとして在ること,生かされてここにいることを,生まれて初めて世界をみたような驚きをもってうたいつづけた詩人まど・みちお(1909-2014)のエッセンス.エッセイをふくめた172篇を精選.

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  • 恋愛論 上
    -
    1~2巻1,056~1,122円 (税込)
    「この本は恋愛と呼ばれる情熱を構成するすべての感情の詳細で綿密な記述なのである.」理論書か,批評か,告白か,創作か――「結晶作用」の喩えでも知られ,古今東西にわたる引用,そして作家自身の恋愛体験が織りなす無類の書物.上巻には第二巻第五十三章までを収録,詳細な訳注を付す.新訳.(全2冊)

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  • パロマー
    4.0
    中年男性,職業不詳,妻と娘1人,パリとローマにアパートを所有.それがパロマー氏だ.彼は世界にじっと目を凝らす.観察に徹しようとする彼は,しかし….視覚的・文化的・思索的経験という3種の主題領域がそれぞれ記述的・物語風・瞑想的に書きあらわされ,三層に三重に積み重なって27の短篇が響き合う,不連続な連作小説.

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  • プレヴェール詩集
    4.2
    「天井桟敷の人々」「霧の波止場」など恋愛映画の名脚本家であり,シャンソン「枯葉」の作詞家でもある,フランスの国民詩人ジャック・プレヴェール(1900―77).恋人たちの歓喜と悲哀のみならず,戦争や日々の労働のありさまを,ユーモアと諷刺につつんでうたいあげた,ことばの魔術師のエッセンス.(解説=小笠原豊樹・谷川俊太郎)

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  • 民主体制の崩壊 危機・崩壊・再均衡
    4.0
    デモクラシーはある日突然,死に至るのではない.危機を昂進させていく政治過程を経て崩壊する.そこにおける体制維持派と様々な反対派の間のせめぎあいや中立的権力の動向などを分析する枠組みを提示した政治学者フアン・リンス(1926-2013)の古典的研究.デモクラシーの運命に関心を抱くすべての人々にとっての必読書である.

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  • 功利主義
    4.4
    最大多数の最大幸福をめざす功利主義は,目先の快楽追求に満足しないソクラテスの有徳な生き方と両立する.人間生活全般の根本原理として,個人や社会が正義とともに個性や人類愛を尊重するよう後押しする功利主義のあり方を追究したJ..S.ミルの円熟期の著作(初版一八六三年).『論理学体系』の関連部分も併せて収録.

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  • モナドロジー 他二篇
    4.1
    「モナドには窓がない」という言葉で知られる単純な実体モナド.その定義に始まり,モナドが織りなす表象,予定調和の原理,神の存在と最善な可能世界の創造,物体の有機的構造,神と精神の関係まで,広範な領域を扱うライプニッツの代表作.「理性に基づく自然と恩寵の原理」ほか,関連する論文と書簡などを併収.新訳.

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  • マキアヴェッリの独創性 他三篇
    4.0
    人間の求める価値は多様であり,相容れることのない複数の価値が並び立つ状況を受け入れるべきである――.二〇世紀の悲劇を経験したバーリンが生涯をかけて擁護しようとした多元主義.マキアヴェッリ,ヴィーコ,モンテスキューを独自に読み直すことによって,その思想的起源をさぐった作品群を編む.円熟期の「理想の追求」も収録.

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  • エピクテトス 人生談義 上
    4.5
    1~2巻1,243~1,386円 (税込)
    「君は私の足を縛るだろう.だが,私の意志はゼウスだって支配することはできない」.ローマ帝国に生きた奴隷出身の哲人エピクテトスは,精神の自由を求め,何ものにも動じない強い生き方を貫いた.幸福に生きる条件を真摯に探るストア派哲学者の姿が,弟子による筆録から浮かび上がる.上巻は『語録』第一・二巻を収録.(全二冊)

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  • まっくら 女坑夫からの聞き書き
    4.3
    「女も男と同じごと仕事しよったですばい」「どんなことにでも堂々とむかってやる,こい」.筑豊の炭鉱で働いた女性たちの声を聞き取り,その生き様を記録した一九六一年のデビュー作.意志と誇りを失わず,真っ暗な地の底で過酷な採炭労働に従事した彼女たちの逞しさが,生き生きと描かれている.(解説=水溜真由美)

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  • 久保田万太郎俳句集
    -
    芥川龍之介は万太郎の俳句を「「嘆かひ」の発句」と喝破した.万太郎は「俳句は余技」とした.その無防備を装って詠み上げられた余技は,日本語での詠嘆の美しさ,表現の自在さにおいて,他の俳句の追随を許さない.国民に広く愛唱されてきた.明治末年より亡くなる昭和38年までの半世紀間の全句8000句から900句を精選した.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 自由論
    4.2
    「本人の意向に反して権力を行使しても正当でありうるのは,他の人々への危害を防止するという目的での権力行使だけである」.大衆の画一的な世論やエリートの専制によって個人が圧殺される事態を憂慮したJ.S.ミル(一八〇六―一八七三)は,自由に対する干渉を限界づける原理を提示した.自由について考える際の最重要文献の明快な翻訳.

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  • ティラン・ロ・ブラン 1
    -
    セルバンテスが『ドン・キホーテ』の中で,「世界一の本」と絶讃する,騎士道小説の最高傑作.騎士ティラン・ロ・ブランの地中海を巡る冒険と,絶世の美姫との愛の日々が,絢爛豪華な宮廷生活を背景に驚くほど生き生きと描写される.『ドン・キホーテ』『アーサー王物語』『デカメロン』などと同列と評される,世界文学の大古典.バルガス=リョサによる〈日本語版への序文〉を付す.(全四冊)

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  • 紫式部日記
    4.0
    紫式部が中宮彰子に仕えた期間のうち寛弘五(一○○八)年七月から約一年半にわたる日記と消息文から成る.道長邸の生活,彰子の出産,正月の節会など大小の見聞が,式部独特の鋭敏な感覚を通して記録されている.自他の人間を見すえてたじろぐことのなかった『源氏物語』の作者の複雑な内面生活をうかがい知るうえからも貴重な文献.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 芥川竜之介書簡集
    4.6
    1巻1,045円 (税込)
    芥川竜之介の残した全書簡から,代表的な書簡180通余を収録.芥川の書簡は,その生涯,文学,交遊を知るための第一級の資料であるとともに,芥川文学の「詩と真実」を最もいきいきと伝える作品の一つである.日本近代文学での書簡文学の名品に挙げられる.詳細な注解を付した.(解説=近藤信行)

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  • キリストはエボリで止まった
    4.0
    反ファシズム活動の罪で政治囚として一僻村に流刑に処された作者=主人公カルロ・レーヴィ(1902―75)が目のあたりにした,南イタリアの苛烈な現実.現代文明から隔絶した,キリスト以前から変わることのない,呪術や神話が息づく寒村での生活を透徹した視線で描きだす,戦後のイタリア文学を代表する傑作.

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  • 侏儒の言葉 文芸的な,余りに文芸的な
    4.2
    「打ち下ろすハンマアのリズムを聞け」-芸術の永遠に滅びざることをこう表現した芥川は,死の前の4年間アフォリズムの刃を研ぎ澄まし「侏儒の言葉」を書きついだ.一方,谷崎との2度の論争に底深く覗いた文学の「極北」とは何であったか.死への傾斜をはらんだ,最晩年の双竜ともいうべき箴言集と文芸評論集.(解説=平出隆)

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  • 一寸法師・さるかに合戦・ 浦島太郎 日本の昔ばなしIII
    3.0
    1巻858円 (税込)
    日本各地で古くから語りつがれてきた昔ばなしの中から,『一寸法師』『うばすて山』『さるかに合戦』『兎と亀』『浦島太郎』『彦市ばなし』など,百数篇を選んでここに収める.すべて,私たちの幼いときから親しんできたなじみの深い話ばかりである.前二著と併せ,三冊で日本の代表的な「昔ばなし」が全部集録されている.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 反啓蒙思想 他二篇
    4.0
    啓蒙の合理主義や科学信仰に対する批判を検討した思想史的作品を収める.ヴィーコ,ハーマン,ヘルダーなど反啓蒙の系譜をさぐる表題作の他,冷徹な反革命思想家を鮮やかに描いたド・メストル論,政治的振幅の大きい人物に迫ったソレル論.自らの論敵ともいえる思想家を深く読み解き,その魅力を引き出すことを得意としたバーリンの珠玉の論集.

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  • 法華経 上 全三冊
    3.7
    数多い大乗仏典中「法華経」は特にその強い個性と庶民的性格によって,我が国仏教の歴史に大きな影響を及ぼし信仰の柱としてあがめられ,唱えられて来た.また,経中の美しい譬喩,巧みな説話の数々は文学・芸術の世界にも豊かなものをもたらした.本書では,漢訳・読み下しに原典の現代語訳を対置,味読の便を計っている.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 和泉式部日記
    4.3
    ものおもへば沢の蛍もわが身よりあくがれいづる魂かとぞみる――愛する男を失った式部が,神の力によって悩める魂を鎮めるべく貴船神社に詣でた折の歌である.この日記は,多くの男性遍歴の中で,とりわけ深い愛情を捧げた帥の宮との恋愛生活を,宮との贈答歌を中心に叙述したもの.式部研究第一人者による新校注.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 桃太郎・舌きり雀・花さか爺 日本の昔ばなしII
    3.3
    1巻792円 (税込)
    編者は,永年にわたって日本全国の村々を歩きまわり,民衆のあいだに古くから語り伝えられてきた昔ばなしの採集につとめてきた.その昔ばなしの中から,『桃太郎』『舌きり雀』『花さか爺』『三年寝太郎』『文福茶釜』『百合若大臣』『雪女房』など,七十数篇を選んでここにおさめる.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • サラマンカの学生 他六篇
    -
    冷酷非情で,神の掟にも従わないドン・フェリックスは,スペイン文学史上,もっとも残忍非道,大胆不敵なドン・フアンである.陰鬱で不気味な霊界を舞台に,ドン・フェリックス=ドン・フアンの凄絶な死後の世界を描く長篇物語詩「サラマンカの学生」ほか,スペイン・ロマン主義を代表する詩人エスプロンセーダ(1808―42)の絶唱六篇を収録.

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  • 第二のデモクラテス 戦争の正当原因についての対話
    3.5
    インディオの擁護者ラス・カサス最大の論敵が披瀝する,征服戦争是認論の精髄.布教への途を掃ききよめ,〈文明〉を持ちこむための征服戦争は是認さるべしとの彼の主張を支えたのは,インディオを憎悪・蔑視する同時代の新世界植民者の眼差しであり,先天的奴隷の存在を認めるアリストテレスの理論であった.果たして,征服戦争は是か非か?

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  • 芥川竜之介紀行文集
    -
    芥川の国内の旅行記と中国紀行をまとめる.1921年に,『大阪毎日新聞』視察員として中国各地を訪れた芥川は,ロマン的な中国像をいだきながらも,現実の中国の実情,中国の対日観を冷静に見つめ,自身の思いを刻々と伝えている.芥川の作品中でも,特異なルポルタージュである.

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  • A.O.バルナブース全集 上
    -
    旅と書物をこよなく愛したフランスの作家ラルボー(1881―1957)の代表作.短篇小説と詩と日記から成る〈全集〉という風変りなこの作品は,いわば〈逆向きの教養小説〉だ.幼くして両親を失い,莫大な遺産を相続した主人公は,億万長者というばかげた境遇を捨て去り,一個の人間として生きるために世界各地を放浪する.(全2冊)

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  • ローマ諷刺詩集
    4.0
    「諷刺詩」と訳される「サトゥラ」は,もともと「ごた混ぜ」「寄せ集め」を意味したとされる.エンニウス,ルーキーリウス,ホラーティウスを経て,ペルシウス(34-62)とユウェナーリス(67?-138?)によって,このローマ文学固有のジャンルは豊かな結実を見た.ローマ帝政期・白銀時代の二大諷刺詩人の詩全篇を収録.

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  • 精神と自然 生きた世界の認識論
    4.5
    私たちこの世の生き物すべてを,片やアメーバへ,片や統合失調症患者へ結びつけるパターンとは? 日常の思考の前提を問い直し,二重記述,論理階型,散乱選択といった道具立てによって,発生も進化も学習も病理も包み込むマインドの科学を探究したベイトソン(1904-80).そのエコロジカルな認識論の到達点を自ら語った入門書.

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  • こぶとり爺さん・かちかち山 日本の昔ばなしI
    3.3
    北は青森から南は鹿児島に至る広い地域を歩いて,各地に語りつがれてきた昔話を採集して代表的なもの五十篇を選び出した.しかもそれぞれの地方の方言と話され方を生かして標準語化を試みた点で,これは新しい昔話集といえよう.本巻には『かちかち山』をはじめ民話劇で有名になった『夕鶴』や『絵姿女房』も収められている.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 祭の夜
    4.0
    裏切りと復讐,自殺と自由,不条理な争い,暴力,弾圧,階級の差異――.均斉のとれた構造のうちに複雑な内容が秘められた,パヴェーゼ文学の原質をなす《詩・物語》全十篇.当時エイナウディ社で働いていたカルヴィーノが遺稿から編み上げた生前未発表の短篇集で,いずれの作品も詩的想像力に満ち溢れ,完成度がきわめて高い.

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  • 新訂 新訂新古今和歌集
    3.7
    全二十巻.万葉調・古今調と並んで,三歌風の一典型を作った勅撰和歌集.俊成は余韻・余情の世界を統合して幽玄の世界をうちたて,定家は幽玄の世界を分析して有心を設定した.現実の暗さから逃れるために自然観照へと集中しその技巧は極限にまで達した.連歌や,芭蕉に多くの影響を与え,芭蕉の「わび」もこれを起点としている.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 転回期の政治
    4.0
    民主政治が,なぜどのようにナチ独裁にとって代わられたのか.憲法学の泰斗・宮沢俊義(1899―1976)は,1930年代初めフランス,ドイツに留学.ナチスの台頭,ヴァイマル憲法の「死滅」をその同時代に目にし,独裁政治の手法を見抜いた論考を立て続けに発表した.民主主義,立憲主義を果敢に説いた宮沢の,戦前における注目の書.(解説=高見勝利)

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  • 蘭学事始
    4.6
    福沢諭吉は友人とともに繰り返し『蘭学事始』を読んだが,『ターヘル・アナトミア』の原書を前にした玄白たちが「艫舵なき船の大海に乗り出だせしが如く」ただただ呆然とするばかりだったとある条に至るや,常に感涙し無言に終ったという.蘭学創始にあずかった先人たちの苦闘の記録は今も鮮烈な感動をよぶ.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 高村光太郎詩集
    4.2
    世俗的なものとの妥協を排し,不断の情熱をたぎらせて人生の意味を追求し続けた光太郎の詩は,美しいもの,真実なものに対する善意と愛に満ちている.その歩みの中から九十三の詩篇を精選し,「道程」より・「道程」以後・「智恵子抄」より,の三部に編んだ.作者が生前自ら校閲した最後の詩集である. (解説 奥平英雄)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 哲学の三つの伝統 他十二篇
    -
    哲学は前6世紀頃,ギリシア・インド・中国でほぼ同時に誕生した――.京都大学で哲学を講じた野田又夫(1910―2004)は,これを哲学の三つの伝統と捉え,哲学の大胆な世界史的通覧を試みた.そのほか西田幾多郎・田辺元・九鬼周造ら恩師の哲学の本質を述べた簡潔かつ含蓄に富む諸論考等を収録.(解説=伊藤邦武)

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  • ブレイスブリッジ邸
    3.0
    『スケッチ・ブック』『アルハンブラ物語』とならぶ,W.アーヴィング(1783-1859)の傑作.ブレイスブリッジ邸での婚儀に招かれた語り手が,邸に集う人びとの様々な姿や悲喜こもごもの出来事を丹念に見聞きして語る.英国の牧歌的な風景と伝統的な風俗風習を背景に展開する秀逸な作品.本邦初訳.(イラスト=R.コールデコット)

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  • スペイン文学案内
    3.0
    1巻1,122円 (税込)
    日本ではあまり知られてこなかったスペイン文学の豊饒な世界を案内するハンディーな文庫版文学史.全体を二部構成とし,I「スペイン文学の動向」では文学史の流れを簡潔に概説し,II「主要な作家と作品」では,セルバンテス,ケベード,カルデロン,ガルシア・ロルカその他にスポットを当て,それぞれの特色と魅力をわかりやすく伝える.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • ビヒモス
    4.5
    主著『リヴァイアサン』で知られるホッブズ(1588-1679)の政治論はいかに構築されたのか.本書は著者晩年の代表作.世代の異なる2人の対話形式で,1640―50年代のイングランド内戦の勃発から王政復古までをたどった同時代史である.主権解体の原因と経過,その後の無秩序の分析に著者の歴史観がうかがえる.本邦初訳.

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  • 新島襄自伝 手記・紀行文・日記
    -
    日本初の私立大学設立を目指した新島襄(1843―90)は,青年時代に鎖国令を犯して函館から密出国し,19世紀後半のアメリカを中心に異文化の清新な空気にふれて,文明開化期の日本に帰国した.その後,病気と闘いながら,教育とキリスト教伝道を通じて日本の近代化に挺身した新島の波瀾に富んだ生涯を,残された自筆の記録により跡づける.

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  • 真夜中の子供たち 上
    3.8
    一九四七年八月一五日,インド独立の日の真夜中に,不思議な能力とともに生まれた子供たち.なかでも〇時ちょうどに生まれたサリームの運命は,革命,戦争,そして古い物語と魔法が絡みあう祖国の歴史と分かちがたく結びつき──.刊行当時「『百年の孤独』以来の衝撃」とも言われた,二〇世紀小説を代表する一作.

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  • ムハンマドのことば ハディース
    -
    イスラームの開祖ムハンマドは,生死をともにした高弟である「教友」たちに何を伝え,語ったのか.聖典「クルアーン」に継ぐ典拠として読まれている,膨大な「ハディース」=ムハンマドのことばを精選.預言者の人となりや日常生活からイスラームの教えの根幹まで,信仰の源流のあり方を,預言者の肉声から知る.

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  • 更級日記
    4.0
    一地方官の娘として育った作者が,父につれられ京へ上る時の紀行から始まり,『源氏物語』を手にして「后の位も何にかはせむ」と,几帳の蔭で読み耽った夢みがちの少女時代,そして恋愛,結婚,夫との死別,五十代の侘しい一人住いを綴って日記は終る.平安時代が次第に翳りをおびてくる,そうした社会に生きた一人の女性の記録.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • ポオ評論集
    -
    短篇小説の名手,詩人としても知られるポオ(1809-1849)だが,彼はすぐれた理論家・批評家としての顔も持っていた.その明確な方法意識を示す「詩作の哲学」「詩の原理」等の著名な評論,クーパー,ホーソーン,ロングフェロー,ディケンズ等を論じた同時代評を収録.ポオ一流の筆法で書かれた9篇から成るアンソロジー.

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  • 相対論の意味
    -
    相対論の創始者アインシュタイン自らがおこなった講義をまとめた本.特殊相対論から一般相対論までを解説.付録は,重力を含めた場の理論の統一に挑戦し,死の直前まで改訂を重ねていたアインシュタイン本人の思考過程の記録である.この講義の翌年ノーベル賞を受賞した.一般相対論の発表100年を機に文庫化.(解説=江沢洋)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 新島襄 教育宗教論集
    3.0
    「自由教育,自治教会,両者併行,国家万歳」――.教育活動と併行して,教会の設立やキリスト者の育成に渾身の情熱を注いだ新島襄(1843-90).キリスト教をベースとする教育と教会という二つの要素を起爆剤として,封建日本を打破し精神的な近代化を成し遂げようとした新島独自の教育および宗教思想を知るうえで不可欠の資料42点.

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  • 西田幾多郎講演集
    4.0
    西田幾多郎は,難解な論文を書き継いだ書斎の学者のイメージが強い.然し,西田は壇上に立ち,聴衆に熱く問い掛ける古代ギリシアの先哲の如き人でもあった.晦渋と評される自身の思想を解説し,何より哲学することの意義を知ってほしいの思いを込めた講演は,優れた西田哲学入門となった.「語る哲学者」西田の講演集をまとめる.

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  • 放浪記
    3.9
    1巻1,166円 (税込)
    私は宿命的に放浪者である――若き日の日記をもとに記された林芙美子(1903―51)の生涯の代表作.舞台は第一次大戦後の東京.地方出身者の「私」は,震災を経て変わりゆく都市の底辺で,貧窮にあえぎ,職を転々としながらも,逆境にめげることなくひたすらに文学に向かってまっすぐに生きる.全三部を収録.(解説=今川英子)

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  • 新訂 徒然草
    4.1
    『徒然草』の面白さはモンテーニュの『エセー』に似ている.そしてその味わいは簡潔で的確だ.一見無造作に書かれているが,いずれも人生の達人による達意の文章と呼ぶに足る.時の流れに耐えて連綿と読みつがれてきたこのような書物こそ,本当の古典というのであろう.懇切丁寧な注釈を新たに加え,読みやすいテキストとした.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 白い病
    4.2
    戦争目前の世界で,突如「雪崩のように」流行り始めた未知の疫病.大理石のような白い斑点が体のどこかにできたが最後,人は生きながら腐敗してゆく.そこへ特効薬を発見したという貧しい町医者が現れたのだが――.死に至る病を前に,人びとは何を選ぶのか? 一九三七年刊行の名作SF戯曲が,現代の我々に鋭く問いかける.

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  • 随筆 女ひと
    4.5
    「夏になると女の人の声にひびきがはいり,張りを帯びてうつくしくなる」.声,二の腕,あくび,死顔,そして蛇.齢六十を超えた作家が抱き続ける「女ひと」への尽きぬ思い.美男というにはほど遠い自分が女性の麗しさから離れられぬ哀しみとおかしみを軽やかに綴る.晩年の犀星ブームを導いた豊潤なエッセイ集.(解説=小島千加子)

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  • 芭蕉 おくのほそ道 付 曾良旅日記 奥細道菅菰抄
    4.2
    人生を「旅」と観じ,自己の生活をそのまま芸術と化した「風狂」の姿.紀行文の形をとりながら芭蕉はこの一書に自らの俳諧の到達点を示そうとした.美しく味わい深い文章,構成の巧み,磨き抜かれた芸術精神,それらが生み出した「幻術」の世界がここにはある.旅の実録『曾良旅日記』,秀れた古注釈書『奥細道菅菰抄』を併収.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 日本の中世国家
    4.5
    「知識人社会の抜きがたい(…)仲間意識の源流を探りたいという現実的欲求が,本書の執筆を支えた,と言ったら,読者は笑うだろうか?」(「自歴略譜」より).律令国家解体のあとに生まれた王朝国家と,東国に新たに生まれた武家政権.中世国家の「二つの型」の構造と特質を,権力の二元性を軸に読み解く.(他一篇)

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  • 復活 上
    4.0
    1~2巻1,177~1,188円 (税込)
    『復活』は人間の復活とは何かを問う長篇で,後期トルストイ(1828-1910)の問題意識や到達点が最も多面的に示されている.殺人事件の陪審員として法廷に出たネフリュードフは,容疑者の娼婦が,10年前に自分が誘惑して捨て去った叔母の家の小間使いカチューシャであることに気づき,激しい良心の呵責にさいなまれる.(全2冊)

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  • タキトゥス 年代記 上 ティベリウス帝からネロ帝へ
    4.7
    1~2巻1,177~1,243円 (税込)
    『年代記』はローマ帝国初代の皇帝アウグストゥスの死(紀元一四年)から筆をおこし,以下ティベリウス帝からネロ帝の死(六八年)に至る四代五十五年の治世を物語る.人間の本性に肉迫してやまぬ洞察力,類まれな描写力.――この史書をひもとく者は,あたかも一篇の秀抜な歴史小説に接するかのごとき感を深くする.

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