アーサー・ケストラーの作品一覧

「アーサー・ケストラー」の「日蝕」「真昼の暗黒」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 日蝕
    4.0
    1巻2,750円 (税込)
    ジョージ・オーウェルが「傑出した小説」と絶賛。75年ぶりに発見されたドイツ語原本からの初翻訳。 かつて革命の英雄であった主人公ルバショウは、絶対的な権力者「ナンバー・ワン」による粛清の標的にされ、でっち上げられた容疑で逮捕・投獄される。隣の独房の囚人と壁を叩いた音によって会話を交わし、これまでの半生を追想するうちに、革命家としての自分の行動の正当性に対する確信が揺らぎ始める。取り調べを受ける中でルバショウは、でっち上げられたグロテスクな罪を自らの意志で自白していく。 アンチ・ユートピア小説であり、ザミャーチンの『われら』、ハクスレーの『うるわしき新世界』、オーウェルの『一九八四年』、そしてブラッドベリの『華氏四五一度』と比較し得る。残念なことに、これらはいずれも、今日に至るまでその現実性を少しも失っていない二十世紀からの警告の声である。(ドイツ語版序文、マイケル・スキャメル) スターリン専制下のソビエト連邦で一九三〇年代後半に行われたモスクワ裁判の犠牲者をモデルとした政治小説である。それと同時に、ドストエフスキーの『罪と罰』や『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』の系譜を受け継ぎ、政治と倫理の問題をめぐる議論の交わされる観念小説でもある。さらには、全体主義的な体制下の監獄で、一人で戦わねばならなかった孤独な人間の心の動きを丹念に追ったサスペンスタッチの心理小説でもある。(「訳者あとがき」より)
  • 真昼の暗黒
    3.5
    1巻1,221円 (税込)
    独房No.404に収監された元人民委員ルバショフ.覚えのない罪への三回の審問と獄中の回想,壁越しの囚人同士の交信に浮かぶ古参党員の運命.No.1とは誰か.なぜ自白は行われたか.スターリン時代の粛清の論理と戦慄のモスクワ裁判を描いて世界を震撼させたベストセラー.心理小説の傑作(1940年刊).【解説=岡田久雄】

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ユーザーレビュー

  • 日蝕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    イデオロギーのためなら人の命を奪うことすら意味があると考えて行動した主人公が、「考えて行動したから」という理由で処刑される…。共産主義の実態がこれでもかと書き綴られています。

    投獄され尋問される主人公の心理描写が見事で、傑作と称される理由もよく分かりました。

    ただ、何だろう。この本を客観視すると大変よくできた見事な本だと賞賛するほかないのだけど、読後感はあまりよくないのです。作者のケストラー自身が主人公ルバショウ同様に最後まで考え抜くタイプなのでしょうが、過ぎたるは及ばざるが如しで、作者の精神的な不健康さが行間から滲み出てくるような違和感を感じるようになり、最後まで読むのが辛かったのです。

    1
    2025年06月10日
  • 真昼の暗黒

    Posted by ブクログ

    アーサー・ケストラーの『真昼の暗黒』は、スターリン時代の全体主義体制における思想と良心の破壊を、当事者の内面から克明に描いた作品である。かつて革命に命を捧げ「党」の高位にあった主人公ルバショフは、自身が粛清の対象となったことで長年信じてきた理念の矛盾と向き合うことになる。彼は支配の論理と操作の手法を知り尽くしており、自らも「銃殺されるだろう」と語るほどに、その運命を静かに受け入れている。『1984』の主人公ウィンストン・スミスのように抵抗を試みる市民とは異なり、ルバショフの姿勢は冷徹かつ自省的であり、まさにスターリン体制を支持していた当時の知識人の懊悩を象徴しているように感じられた。特に終盤、

    0
    2025年05月17日
  • 日蝕

    Posted by ブクログ

    80年前に書かれたというが全く色あせない政治や経済、革命や人間性その心理に深く踏み込んだ傑作。ディストピア小説と言われるが、それより哲学書のような趣もあって、いろいろ考えさせられた。

    0
    2024年06月15日
  • 真昼の暗黒

    Posted by ブクログ

    ニコライ・ブハーリンが肅清されるに至る第3回モスクワ裁判をモデルに書かれた小説。発表当時センセイションを巻き起こしベストセラーになったそうだが、さもありなん。単なるソヴィエト社会主義体制の暴露小説としてのみならず、イデオロギー論としても、思想小説としても、恐怖小説としても、エンターテインメントとしても読み応えのある作品。主人公ルバショフの最期はブハーリンよりも思弁的だ。

    0
    2011年12月31日
  • 真昼の暗黒

    Posted by ブクログ

    スターリン体制時の時代を舞台として、幹部クラスのポジションにいた一人の党員が粛清されるまでを描いた作品。
    当時の社会情勢を知らずとも、尋問のシーンの執拗さには真綿で首を絞められるような陰湿さを感じて楽しめる。
    ジョージ・オーウェルの「1984年」の尋問シーンは本書から大きく影響を受けたらしいが、読んでいて納得した。
    「党は個人の自由意思を否定したが、同時に自らの意思による自己犠牲を強要した。党は二者間の選択をする個人の能力を認めなかったが、絶えず正しい選択をすることを要求した。党は善と悪とを区別する個人の能力を認めなかったが、罪と裏切りについて躍起となって語った」
    ヒトラーもまだ生きている19

    0
    2016年12月13日

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