アーサー・ケストラーの作品一覧

「アーサー・ケストラー」の「日蝕」「真昼の暗黒」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 真昼の暗黒

    真昼の暗黒

    小説・文芸

    3.8
    1巻1,221円 (税込)
    独房No.404に収監された元人民委員ルバショフ.覚えのない罪への三回の審問と獄中の回想,壁越しの囚人同士の交信に浮かぶ古参党員の運命.No.1とは誰か.なぜ自白は行われたか.スターリン時代の粛清の論理と戦慄のモスクワ裁判を描いて世界を震撼させたベストセラー.心理小説の傑作(1940年刊).【解説=岡田久雄】

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  • 日蝕

    日蝕

    小説・文芸

    4.0
    1巻2,750円 (税込)
    ジョージ・オーウェルが「傑出した小説」と絶賛。75年ぶりに発見されたドイツ語原本からの初翻訳。 かつて革命の英雄であった主人公ルバショウは、絶対的な権力者「ナンバー・ワン」による粛清の標的にされ、でっち上げられた容疑で逮捕・投獄される。隣の独房の囚人と壁を叩いた音によって会話を交わし、これまでの半生を追想するうちに、革命家としての自分の行動の正当性に対する確信が揺らぎ始める。取り調べを受ける中でルバショウは、でっち上げられたグロテスクな罪を自らの意志で自白していく。 アンチ・ユートピア小説であり、ザミャーチンの『われら』、ハクスレーの『うるわしき新世界』、オーウェルの『一九八四年』、そしてブラッドベリの『華氏四五一度』と比較し得る。残念なことに、これらはいずれも、今日に至るまでその現実性を少しも失っていない二十世紀からの警告の声である。(ドイツ語版序文、マイケル・スキャメル) スターリン専制下のソビエト連邦で一九三〇年代後半に行われたモスクワ裁判の犠牲者をモデルとした政治小説である。それと同時に、ドストエフスキーの『罪と罰』や『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』の系譜を受け継ぎ、政治と倫理の問題をめぐる議論の交わされる観念小説でもある。さらには、全体主義的な体制下の監獄で、一人で戦わねばならなかった孤独な人間の心の動きを丹念に追ったサスペンスタッチの心理小説でもある。(「訳者あとがき」より)

ユーザーレビュー

  • 真昼の暗黒

    真昼の暗黒

    小説・文芸

    Posted by ブクログ

    話全体がグロテスクな茶番だ、とルバショフは思った。根底で「革命哲学」を使ったこの詐欺は、所詮、独裁体制を固めるための手段にすぎず、気の重くなるような現象ではあったが、歴史の必然性を示すものであった。茶番を真面目に受け取り、舞台上で起こったことしか見ず、舞台裏の仕掛けを見なかったイサコヴィッチには不運だった。以前は、革命の諸政策は会議で決められたものだが、今では舞台裏で決められてしまう。これもまた、大衆の相対的成熟の法則の論理的帰結である……。

    0
    2026年02月21日
  • 真昼の暗黒

    真昼の暗黒

    小説・文芸

    Posted by ブクログ

    スターリン政権下の粛清裁判「モスクワ裁判」の、特にブハーリンをモデルにした政治/心理小説。

    スターリンは自らの政権の正当性を誇示するために、かつての党古参メンバーに次々と反革命的陰謀の疑いを着せて処分していった。そして奇妙なことに、これらの古参党員は皆、起訴内容を全面的に認めて処刑されていった。
    彼らは何故、公には弁明をせずに罪を受け入れたのか。
    それをテーマにした小説である。

    テーマが上記の通りなので、作品は最初から終わりまで独房のなかでの、主人公ルバショフの思索と、現政権の尖兵たる審問官との対話を中心に繰り広げられる。
    本書を読む限り、共産党の政治信念は、道徳的・感情的な判断を排除し徹底的に論理的に物事を考えること、そして「一人称単数」を否定し「われわれ」を主語として物事を考え社会の発展を何よりも是とすることから成り立っているようだ。
    ルバショフは、初めこそ自身の信念に自信を持ち、いまの政権は党が本来目指す未来に対し誤りを犯していると考え、行動していたと思われる。目指している方向は同じはずなのに、論理的に導き出した政策方針は党と食い違っていたのである。
    しかし、思索と対話を重ねるなかで、どのような政策が論理的に正しかったかは将来において決定するものであり現在それを特定することはできないことに気づく。また、信念を実現するべく生き延びるために、自らの周囲の関係者を犠牲にしてきた己の行動は、本質的に党の論理と何一つとして変わらないことに気づいたのかもしれない。
    自分の方針と党の方針のどちらが正解とも特定できないのであれば、与党である現政権の方策に従い一枚岩で将来に突き進むのが論理的に正しい、つまり「われわれ」の論理に立ち返ることが正しいこととなる。
    ルバショフに向けられた見せしめ効果を高めるためにでっち上げられた起訴の内容(要人暗殺や海外勢力との結託)は全く正しくないとしても、党に反する考えを抱いたことは反革命的だと認めざるを得ず、結局は殆どの細部も含めルバショフは自らの罪を認め、処刑を受け入れることになる…。
    私の理解した限りでは上記のような流れであった。(自信はない)

    また、作中で主人公が思案した「独裁が成立する条件」(相対的な政治成熟度の低下……ある大きな技術革新があると、それに馴染み、市民がついていけるようになるまで、世の中の動きに対して相対的に無知になり、そこに独裁が割り込む余地ができる。逆に市民の理解度が高まった時に民主的な政治が成り立つ…。いまは過渡期なので共産党による独裁による導きが必要である…。という理屈も興味深かった。

    最後は、目的があらゆる手段を正当化する、というそもそもの基本スタンスが誤っていたことに気づくのではあるが…

    もはや歴史のなかに縮小しつつある共産主義政党の論理や、意外にも身体的な拷問は(表向きには)禁止されていたことなど、本書で初めてじっくり触れ、歴史の教科書の文字面だけでは知り得ない内側を臨場感を持って覗きみることができた。そういう意味で、今なお貴重な存在感のある作品のように思う(他にもあるのかもしれないけども)。

    0
    2026年07月21日
  • 日蝕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    イデオロギーのためなら人の命を奪うことすら意味があると考えて行動した主人公が、「考えて行動したから」という理由で処刑される…。共産主義の実態がこれでもかと書き綴られています。

    投獄され尋問される主人公の心理描写が見事で、傑作と称される理由もよく分かりました。

    ただ、何だろう。この本を客観視すると大変よくできた見事な本だと賞賛するほかないのだけど、読後感はあまりよくないのです。作者のケストラー自身が主人公ルバショウ同様に最後まで考え抜くタイプなのでしょうが、過ぎたるは及ばざるが如しで、作者の精神的な不健康さが行間から滲み出てくるような違和感を感じるようになり、最後まで読むのが辛かったのです。

    1
    2025年06月10日
  • 真昼の暗黒

    真昼の暗黒

    小説・文芸

    Posted by ブクログ

    アーサー・ケストラーの『真昼の暗黒』は、スターリン時代の全体主義体制における思想と良心の破壊を、当事者の内面から克明に描いた作品である。かつて革命に命を捧げ「党」の高位にあった主人公ルバショフは、自身が粛清の対象となったことで長年信じてきた理念の矛盾と向き合うことになる。彼は支配の論理と操作の手法を知り尽くしており、自らも「銃殺されるだろう」と語るほどに、その運命を静かに受け入れている。『1984』の主人公ウィンストン・スミスのように抵抗を試みる市民とは異なり、ルバショフの姿勢は冷徹かつ自省的であり、まさにスターリン体制を支持していた当時の知識人の懊悩を象徴しているように感じられた。特に終盤、隣室(402号室)の囚人から「何をしたい?」と問われたルバショフが、幼い頃の夢であった天文学を研究したいと語る場面には胸を打たれた。作中で語られる〈文法的虚構〉や〈大衆の相対的成熟の法則〉といった概念は政治的レトリックや革命理論の冷酷さを示し、読者に深い思索を促すだろう。ドラマチックな展開こそ乏しいものの、その静かな語り口の奥に全体主義の本質が静かに浮かび上がる点が印象的。思想的にも文学的にも極めて高い完成度を誇る作品ではあるが、元々ドイツ語で書かれたものをアマチュアの女学生が英語に訳したものが底本となっており、文章が少々ぎごちないのが難点か(とはいえ訳者のおかげでほとんど気にならないが。また成立年代や主題の関連から、どうしてもオーウェルとの比較になってしまうのが惜しい。わかりやすい起伏に富んだサスペンス……というわけにはいかないが、人間の尊厳について深く考えさせられる良作である。

    0
    2025年05月17日
  • 日蝕

    Posted by ブクログ

    80年前に書かれたというが全く色あせない政治や経済、革命や人間性その心理に深く踏み込んだ傑作。ディストピア小説と言われるが、それより哲学書のような趣もあって、いろいろ考えさせられた。

    0
    2024年06月15日

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