作品一覧
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4.8
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
感情を率直に歌い上げるという評価の通り、歌に迫力があります。
但馬皇女の116番の歌や、大伯皇女の105番、106番、大津皇子の107番の歌など緊張と臨場感が伝わってくる。
また大岡信氏が高く評価した笠郎女の歌も、多くがこの岩波文庫版(一)に収録されている。
第4巻に彼女が家持に贈った歌が24首一気に載せてあるが、とんでもない才能だなと。
本文庫の特徴は、学校の教科書に載るぐらい定着していた解読を一部改めたこと。
例えば
柿本人麻呂の「ひむがしの」の歌、炎(かぎろひ→けぶり)
志貴皇子の「さわらび」の歌、石激(いはばしる→いはそそく)
どちらも納得いく改定でした。ここから分かるのは、『万葉集 -
Posted by ブクログ
高橋虫麻呂 (生没年未詳) は奈良初期から中期の歌人で、伝説を詠じた点に特色がある。下級官吏として常陸国 (茨城県、福島県に一部) に赴任、「常陸国風土記」の撰にもあずかったと伝えられている。
『万葉集』(759年以後) は、虫麻呂の歌として、筑波山にかつて次のような群婚の習俗があったことを伝えている。
鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津(もはきつ)の その津の上に 率(あとも)ひて 未通女(をとめ)壮士(をとこ)の 往(ゆ)き集ひ かがふ嬥歌(かがひ)に 他妻(ひとづま)に 吾も交(まじ)らむ 我が妻に 他(ひと)も言問(ことど)へ この山を領(うしは)く神の昔より 禁(いさ)めぬ行事(わ -
Posted by ブクログ
小五のときに小倉百人一首を丸暗記(母親相手に毎日二回、かるた取りをして覚えた)したのが幸いし、古典が読めなくて困った、という記憶がなかったりするのだけど、万葉集をきちんと読んだのは、やっぱり大学に入ってからだった。
―――そして後悔。これ、なんて面白いんだろう!
どうしても注目されるのは歴代天皇や、女性歌人の詠んだ秀歌であるのだけど、いわゆる「庶民」の詠んだ、日々の生活の呟きのような歌が本当に面白い。
別れた男に対しての
「お前みたいな冷たい恋人なんか、冬の川に浮かぶ鴨にでもなっちまえ(そしたら少しは私の気持ちもわかるでしょうよ)」だの、
「あんたなんか厠の下を泳ぐ魚でも食って、食あ