佐竹昭広のレビュー一覧

  • 万葉集(一)

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    評価を5以上つけることはできないのだろうか。

    万葉集やそれ以降の歌集については、角川ソフィア文庫など、初学者向けに秀歌を抜粋して解説してくれているありがたい書籍が各社から出版されている。私も一番最初に手に取ったのはビギナーズクラシックのそれだったし、その後岩波新書の『万葉秀歌』を読んで学んだ。しかし和歌というものは、すべての歌を参照し、なぜそれぞれの歌がその巻にその順番で配置されているのかを考えなければ、その真の価値を理解できないのだ。本書を読んでその必要性を痛感した。また、人の鑑賞眼によらず自らの感性に従って歌を評価することの重要性をも改めて感じた。

    「紫草のにほへる妹を憎くあらば 人妻

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    2025年11月05日
  • 万葉集(三)

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    『万葉集』の七夕の歌から『新古今和歌集』の七夕の歌を読むとギャップが面白い。

    我が待ちし秋は来たりぬ妹と我れと何事あれそ紐解かずあらむ
    (私の待っていた秋はきた。妻と私とは、何があればとて着物の紐を解かないことがあろうか)

    しばしばも相見ぬ君を天の川舟出はやせよ夜のふけぬ間に
    (たびたびは逢えないあなたなのに。天の川に早く舟出をなさい。夜が更けないうちに)

    天の川棚橋渡せ織女のい渡らさむに棚橋渡せ
    (天の川に棚橋渡せ!織姫が渡るための棚橋だ!)

    『新古今』入選歌
    ながむれば衣手涼し久方の天の河原の秋の夕暮れ 式子内親王
    星合の夕べ涼しき天の川もみぢの橋を渡る秋風 権中納言公経
    七夕の天

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    2025年02月27日
  • 万葉集(一)

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    感情を率直に歌い上げるという評価の通り、歌に迫力があります。
    但馬皇女の116番の歌や、大伯皇女の105番、106番、大津皇子の107番の歌など緊張と臨場感が伝わってくる。
    また大岡信氏が高く評価した笠郎女の歌も、多くがこの岩波文庫版(一)に収録されている。
    第4巻に彼女が家持に贈った歌が24首一気に載せてあるが、とんでもない才能だなと。

    本文庫の特徴は、学校の教科書に載るぐらい定着していた解読を一部改めたこと。
    例えば
    柿本人麻呂の「ひむがしの」の歌、炎(かぎろひ→けぶり)
    志貴皇子の「さわらび」の歌、石激(いはばしる→いはそそく)
    どちらも納得いく改定でした。ここから分かるのは、『万葉集

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    2024年05月27日
  • 万葉集(三)

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     高橋虫麻呂 (生没年未詳) は奈良初期から中期の歌人で、伝説を詠じた点に特色がある。下級官吏として常陸国 (茨城県、福島県に一部) に赴任、「常陸国風土記」の撰にもあずかったと伝えられている。
     『万葉集』(759年以後) は、虫麻呂の歌として、筑波山にかつて次のような群婚の習俗があったことを伝えている。

    鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津(もはきつ)の その津の上に 率(あとも)ひて 未通女(をとめ)壮士(をとこ)の 往(ゆ)き集ひ かがふ嬥歌(かがひ)に 他妻(ひとづま)に 吾も交(まじ)らむ 我が妻に 他(ひと)も言問(ことど)へ この山を領(うしは)く神の昔より 禁(いさ)めぬ行事(わ

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    2021年05月28日
  • 万葉集(一)

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     小五のときに小倉百人一首を丸暗記(母親相手に毎日二回、かるた取りをして覚えた)したのが幸いし、古典が読めなくて困った、という記憶がなかったりするのだけど、万葉集をきちんと読んだのは、やっぱり大学に入ってからだった。

     ―――そして後悔。これ、なんて面白いんだろう!
     どうしても注目されるのは歴代天皇や、女性歌人の詠んだ秀歌であるのだけど、いわゆる「庶民」の詠んだ、日々の生活の呟きのような歌が本当に面白い。
     別れた男に対しての
    「お前みたいな冷たい恋人なんか、冬の川に浮かぶ鴨にでもなっちまえ(そしたら少しは私の気持ちもわかるでしょうよ)」だの、
    「あんたなんか厠の下を泳ぐ魚でも食って、食あ

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    2011年07月28日
  • 万葉集(一)

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    佐々木信綱編の上下巻です。私が持っているのは誰の校訂だったかな? 日本には昔から「歌」がありました。嬉しい時、哀しい時、切ない時、淋しい時、恋している時、「歌」で心や自然を表現する伝統を持っているなんて、なんて素敵なんでしょう。

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    2009年10月04日
  • 万葉集(一)

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    学生時代の教科書を未だに読んでます。国王(天皇)の恋の歌が収められた歌集は世界を見渡しても万葉集くらいしかないのだそうです。貴賎を問わず良い歌が幅広く収録されているところも感動です。ただ、この本には現代訳がついていないので自分で調べないと読めません。よって星四つ。

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    2009年10月04日