【感想・ネタバレ】万葉集(三)のレビュー

あらすじ

ひさかたの天(あめ)の香具山(かぐやま)この夕(ゆふへ)霞(かすみ)たなびく春(はる)立(た)つらしも──雄大清新な叙景,流麗繊細な恋の心,遠き世の物語.万葉集の多彩な世界.本冊には旅の歌,浦島や入水した乙女たちの伝説の歌(巻九)から,四季に寄せた雑歌と相聞(巻十),古今の相聞歌(巻十一・十二)まで,千五百余首の歌を掲載.全歌,現代語訳・注釈付.(全五冊)※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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Posted by ブクログ

『万葉集』の七夕の歌から『新古今和歌集』の七夕の歌を読むとギャップが面白い。

我が待ちし秋は来たりぬ妹と我れと何事あれそ紐解かずあらむ
(私の待っていた秋はきた。妻と私とは、何があればとて着物の紐を解かないことがあろうか)

しばしばも相見ぬ君を天の川舟出はやせよ夜のふけぬ間に
(たびたびは逢えないあなたなのに。天の川に早く舟出をなさい。夜が更けないうちに)

天の川棚橋渡せ織女のい渡らさむに棚橋渡せ
(天の川に棚橋渡せ!織姫が渡るための棚橋だ!)

『新古今』入選歌
ながむれば衣手涼し久方の天の河原の秋の夕暮れ 式子内親王
星合の夕べ涼しき天の川もみぢの橋を渡る秋風 権中納言公経
七夕の天の羽衣うち重ね寝る夜涼しき秋風ぞ吹く 高遠

400年の時を経て滅茶苦茶繊細になってる七夕の歌

というか『万葉集』巻の第十の秋雑歌の七夕歌はかなり量が多い。奈良時代における漢籍からの七夕神話受容の有り方を示す重要な資料らしい(巻頭の概説)。となると、七夕は和歌の題材として好まれ、その後七夕が国家的行事にまで組み込まれたことも鑑みるに、七夕は日本人にかなりうけたと言えるのではないでしょうか。

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2025年02月27日

Posted by ブクログ

 高橋虫麻呂 (生没年未詳) は奈良初期から中期の歌人で、伝説を詠じた点に特色がある。下級官吏として常陸国 (茨城県、福島県に一部) に赴任、「常陸国風土記」の撰にもあずかったと伝えられている。
 『万葉集』(759年以後) は、虫麻呂の歌として、筑波山にかつて次のような群婚の習俗があったことを伝えている。

鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津(もはきつ)の その津の上に 率(あとも)ひて 未通女(をとめ)壮士(をとこ)の 往(ゆ)き集ひ かがふ嬥歌(かがひ)に 他妻(ひとづま)に 吾も交(まじ)らむ 我が妻に 他(ひと)も言問(ことど)へ この山を領(うしは)く神の昔より 禁(いさ)めぬ行事(わざ)ぞ 今日のみは めぐしもな見そ 言も咎(とが)むな

鷲の住む筑波山の裳羽服津(もはきつ)の津に、若い男女が行き集まって楽しむ嬥歌(かがい)で、人の妻と私も交わるつもりだ、他の人も私の妻に言い寄ればよい。この山を治める神が、古来禁じてはいない行事である。今日だけは、見ないことにして咎めだてをすることはない。

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2021年05月28日

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