元祖 民主主義・社会契約論である
イングランドのホッブズ著の『リヴァイアサン』
1651年に刊行。
まず言えることは、
この古典がなければ恐らく、
ジョン・ロック『市民政府論』、トーマス・ペイン『コモンセンス』、ルソー『人間不平等起源論』などの、民主主義を振興した古典達は生まれなかったであろうと
...続きを読むいうこと。
ということは、
名誉革命も、アメリカ独立戦争も、フランス革命もあの時期にあのように起こりはしなかっただろう。
歴史に「If」はないというのはもはや陳腐な言い方かもしれないが、このホッブズの『リヴァイアサン』に関してはそれほどのインパクトを与えた、今の世界を構成している民主主義国家の礎となる概念、自然法や人権というものを生み出していくきっかけとなった本だ。
人間というのは、自然状態、つまり原始の状態では、互いに争いを行うということが、ホッブズの論理の前提となっており、
それを表す著名な言葉が「万人の万人に対する闘争」
それが故に、人間は国家で法律を決めてきちんと管理されなきゃならんと言う。
ホッブズは、
なぜ自然状態では万人の万人に対する闘争になるのかというメカニズムを、
国家を構成する人間の本性にまでさかのぼって論じている。
この光文社のリヴァイアサンは2巻あるが、この1巻はほぼ全てをその論証に使って、緻密に論理を組み立てていっている。
この緻密さがまた、この古典を古典たらしめた所以だろう。
人は論理的に説明されるからこそ、
ちゃんと腹に落ち、深く腑に落ちるからこそ、
その論理は残るのだから。