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ぼくを忘れないで
ぼくには仲良しの兄・サイモンがいた。でも死んでしまった。ぼくはサイモンに会いたくてたまらない。19歳になったマシュー・ホームズは、統合失調症の治療の一環として、自分自身について書いている。大好きだった兄サイモン、ダウン症だった彼の死は、幼かったマシューの思いつきがもたらしたようなものだった。罪の意識に苛まれるマシュー。彼には「ぼくを忘れないで」というサイモンの声がいつも聞こえている。精神科病棟の看護師だった著者だからこそ書ける、病める青年の苦しみ、不安、喜び、そして家族のこと。サイモンとマシューの兄弟を、あなたは忘れることができないだろう。コスタ賞の新人賞と大賞を同時受賞した傑作小説! -
合本 麻雀放浪記【文春e-Books】
純文学作家「色川武大」=阿佐田哲也が戦後の焼け野原を舞台に描く、本邦ギャンブル小説の最高峰! 全四篇を集めた合本版です。 【収録作品】 『麻雀放浪記1 青春篇』 終戦直後の焼け野原で、「坊や哲」が「ドサ健」「出目徳」「女衒の達」ら仕事師たちと渡り合う。(解説・先崎学) 『麻雀放浪記2 風雲篇』 いかさまがばれて関西に逃れた「坊や哲」。京都の博打寺でブウ麻雀の鬼たちと激闘を繰り広げる。(解説・立川談志) 『麻雀放浪記3 激闘篇』 肘を壊し、いかさまができなくなった「坊や哲」。闇の組織から高利の金を借りて窮地に陥る。(解説・小沢昭一) 『麻雀放浪記4 番外篇』 無頼の生活から足を洗い、勤め人となった「坊や哲」の前に、ふたたび“あの男”が現れた!(解説・柳美里) -
サタンタンゴ
2025年度ノーベル文学賞を受賞したクラスナホルカイ・ラースローのデビュー作にして代表作。 ハンガリーのある寂れた農場で、住人たちはかつての村のリーダーが戻ってくるという知らせを受ける。彼らは居酒屋に集い、酔って踊ったり、牽制しあいながら男の帰還を待つ。ある人妻はこの来訪を不遇からの救いとみなし、ある男はこの英雄に疑いのまなざしを向ける。 泥濘に沈む村を舞台に、死んだはずの男の帰還が見捨てられた人々を狂乱の渦へと突き動かす。 永遠に続くかという雨の中、裏切りと救済、陰謀と悲劇が交錯する。 終わりのない強靭な文体が描く、絶望の果ての世界とは。 タル・ベーラ監督により7時間の叙事詩的映画に変容された、空前絶後の傑作。 2014年ベスト・トランスレイテッド・ブック・アワード、2015年マン・ブッカー国際賞受賞。 【書評の一部】 「終末的な恐怖の渦中で芸術の力を再確認させる」——ノーベル文学賞選考委員会 「現代ハンガリーの黙示録的な巨匠」—— スーザン・ソンタグ 「クラスナホルカイのビジョンの普遍性は、現代文学の小さな関心事をはるかに上回っている」——W・G・ゼーバルト 「その時、私は思ったのです。何かを書かねばならない。もっと深い層における「世界」そのものについて書かねばならないと」 ——クラスナホルカイ・ラースロー(2012年8月24日、『ガーディアン』紙) 装丁:松本久木 -
終りに見た街/男たちの旅路 スペシャル〈戦場は遙かになりて〉
山田太一の戦争にまつわる珠玉シナリオを集成!(すべて初活字化) 戦時中にタイムスリップしてしまう家族を描く衝撃作『終りに見た街』(2005年リメイク版)、 今まで活字化を許可されていなかった 『男たちの旅路 スペシャル〈戦場は遙かになりて〉』、 その他映画のための未発表シナリオなど全4篇+掌篇・講演を収録。 『ふぞろいの林檎たちV/男たちの旅路〈オートバイ〉』に続く 山田太一未発表・未活字化シナリオ集第2弾。 *ある日突然、戦時中の昭和19年にタイムスリップしてしまう平凡な家族。彼らは敗戦間近の食糧不足・国家総動員そして大空襲の時代を生き残ることができるのか……衝撃的な結末が話題となった『終りに見た街』は1981年に小説として発表され、翌年ドラマ化、さらに2005年にリメイクするほど山田太一自身思い入れのある作品である。今回リメイク版を初の活字化。 *鶴田浩二主演の名作ドラマ『男たちの旅路』シリーズの掉尾を飾るスペシャル版〈戦場は遙かになりて〉は、今まで待望されながらも山田太一が活字化を許可していなかった。今回初の単行本収録となる。 *中国残留孤児問題を取り上げた映画シナリオ『唐津湾夕景』(1975年)、アラブ紛争地域に住む日本人を描く舞台作品『砂の上のダンス』の映画化シナリオ(2000年代)はともに未発表作品。 *附録として掌篇「叔父さんの下町」(単行本未収録)、戦争体験を語る貴重な講演(抜粋)を収録。 編・解説 頭木弘樹 はじめに(頭木弘樹) 叔父さんの下町 終りに見た街 男たちの旅路 スペシャル〈戦場は遙かになりて〉 砂の上のダンス 唐津湾夕景 少年期の飢餓体験ーー講演「テレビとわたしーーわたしの作品を通してーー」より 収録作品について(頭木弘樹) -
ドードー鳥と孤独鳥
『ドードーをめぐる堂々めぐり』著者川端裕人が贈る、スリリングで感動的な「絶滅動物小説」! 科学記者の「タマキ」は、ゲノム研究者になった幼馴染「ケイナ」と二十年ぶりに再会した。 ステラーカイギュウ、リョコウバト、オオウミガラス、そして、ドードー鳥と孤独鳥……自然豊かな房総半島南部の町で過ごした小学生の頃から、絶滅動物を偏愛してきたふたり。 カリフォルニアで最先端のゲノム研究「脱絶滅」に取り組むケイナに触発されたタマキは、江戸時代に日本の長崎に来ていたという「ドードー鳥」の謎と行方を追う旅へと乗り出した。 〈もっと知りたいと願った。 ドードー鳥と孤独鳥の秘密を、ケイナちゃんとわたしを結びつける秘密を。〉 日本、アメリカ、欧州、そしてドードーの故郷モーリシャスへ。 やがてふたりの前に、生命科学と進化の歴史を塗り替える、驚愕の事件が待ち受けていた―― 会いに行こう! もう会えない「幻の鳥」に―― 忖度なしの〈堂々たるドードー小説〉 『ドードー鳥と孤独鳥』、堂々刊行! *美麗函入 *挿絵多数収録 ◎装幀・本文設計=山田英春 ◎装画=Dodo/Solitaire, Extinct Birds, Walter Rothschild, 1907, William Frohawk del. より -
水棲生物 水の底のアフリカ
アカデミー・フランセーズ賞フランス語文学賞、全アフリカ文学賞、アマドゥ・クルマ文学賞……カメルーン出身のドキュメンタリー監督による、賞総なめの衝撃作! ジェンダーをめぐる差別が根強く抑圧的な社会で「自分」を生きるために闘う人を映しとる! 貧富の格差、女性差別、性的マイノリティへの弾圧。 家父長制と因習に縛られ、権力闘争が渦巻く国ザンブエナ。かつて教師として働いていたカトメは、野心的な政治家の妻として夫を支えるかたわら、親友のアーティスト、サミーの創作活動を支援していた。反体制的な表現者、そして同性愛者であるサミーの個展の幕開け、それは二人の運命の新たな扉でもあった。 私たちは皆、水の底で生きている。 -
インディゴ
オーストリア・シュタイアーマルク州北部に、ヘリアナウという全寮制の学校がある。インディゴ症候群を患う子供たちのための学園だ。この子供たちに接近するものはみな、吐き気、めまい、ひどい頭痛に襲われることになる。新米の数学教師クレメンス・ゼッツはこの学園で教鞭をとるうちに、奇妙な事象に気づく。独特の仮装をした子供たちが次々と、車でどこかに連れ去られていくのだ。ゼッツはこの謎を探りはじめるが、進展のないまますぐに解雇されてしまう。その15年後、新聞はセンセーショナルな刑事裁判を報じる。動物虐待者を残虐な方法で殺害した容疑で逮捕されていた元数学教師が、釈放されたというのだ。その新聞記事を目にした画家のロベルト・テッツェルはかつての教え子として、ゼッツが手を染めたかもしれない犯罪の真相を追いかけていく──軽快な語り口と不気味さが全篇を覆い、独特な仕掛けがさまざまな読みを可能にする。既存の小説の枠組みを破壊して新しい文学の創造を目指した、神童クレメンス・J・ゼッツの野心溢れる傑作長篇。 ◆円城塔氏 ナイフのような思考回路に指を滑らせていく これは人が読んでよい類いの書物であるのか ◆山本貴光氏 私はなにを読んでいるのか? デジタルゲームで遊ぶときのように、 つぎつぎと現れる多様な断片の組み合わせから、名状しがたい意識が創発する これは、近づく者を狂わせる複合現実小説(Mixed Reality Fiction)だ -
星なき王冠(クラウン)【上下合本版】
灼熱の世界と氷の世界―― 人が住めるのはその2つの世界の境界線のみ。 破滅の迫る中、世界を救うための危険な旅が始まる――。 構想十年――〈シグマフォース〉のジェームズ・ロリンズによる大型ファンタジー・シリーズ、遂に日本上陸! 自転が止まった惑星〈アース〉――片側は灼熱の世界、もう片側は暗闇に閉ざされた氷の世界。 生命を維持できる環境はその2つの世界の境界線――星を帯状に取り巻く「クラウン(王冠)」と呼ばれる細長い地域のみ。 そんなクラウンに暮らす盲目の少女が、月が落下して世界が滅ぶ夢を見る。 しかし、戦争の足音が忍び寄りつつある世界では、誰も破滅の前兆の話など聞きたいとは思わない。 彼女の予言が現実のものになるのか――より重要なのは、どうすれば破滅を阻止できるのか…… それを突き止めるのは彼女とその仲間たちの手に委ねられる。 ◉著者――ジェームズ・ロリンズからのメッセージ 「構想に10年、執筆に数年、そして読者の皆さんに長らく辛抱していただいた末に、本書をようやく出版できた。 この壮大な物語を誇りに思うとともに、それが皆さんの手元に届くと考えると胸が高鳴る。 このシリーズの誕生に関して、科学スリラーの作者がどんな経緯で叙事詩的なファンタジーの執筆に手を出したのかを説明しておこう。 この物語は私のルーツへの回帰に当たる。 創作活動を始めてまだ間もない頃、私はジェームズ・ロリンズとしてスリラーを書く一方で、ジェームズ・クレメンスの名前でファンタジー作品も書いていた。 『星なき王冠』はこの2つの人格を融合させたもので、ジャンルにまたがる「科学ファンタジー」とでも呼ぶべき作品だ。 さあ、『星なき王冠』にようこそ。私と一緒に皆さんも新しい世界への第一歩を踏み出してくれることを願う。」 〈あらすじ〉 自転が止まった惑星〈アース〉では、常に太陽の光を浴びる灼熱の世界と永遠の夜が続く氷の世界に二分され、人間はアースを環状に取り巻くその狭間の「クラウン」という地域で暮らしている。ハレンディ王国のブレイク修道院学校で学ぶ盲目の少女ニックスは、ある事件をきっかけに目が見えるようになり、同時に不思議な力を手にする。その力が彼女に見せたのは「ムーンフォール」――月の落下によるアースの破滅という未来。隣国との戦争を控えた王国では、ニックスの予言を巡って国王や側近の思惑がうごめき、軍を派遣して彼女を宮殿に連れてくることに決まる。そんなある日、ニックスは修道院学校に迫る危機を予知する。自らの新たな能力に戸惑いつつ、ニックスは学校と町を脅威から救おうと試みる。 -
願うのは私に禁じられたこと
だから私は、彼を監禁する──。 韓国で累計150万部。 20代30代の女性読者に支持され続け、 破壊力では『82年生まれ、キム・ジヨン』を超える と評される韓国女性文学最大の問題作。 女性のための電話相談員を務める大学院生カン・そんな彼女には大きな計画があった。男に対する幻想を女に抱かせる男に復讐するために、人気男優ペク・スンハを拉致し、監禁する。それは男たちが女たちにやってきたことであり、知性に秀でる自分が挑むに足る完全犯罪だから。そう彼女は信じる。 そして周到な準備が完了したある日、カン・ミンジュはペク・スンハを誘拐する。ソウルの集合住宅の一室で、奇妙な監禁生活がはじまって……。 1992年に発表されるや、韓国で激烈な賛否両論を引き起こした本書は、刊行以来、韓国の若い女性読者の支持を受けて版を重ね、現在では累計150万部を達成。韓国女性文学最大の問題作、ついに日本解禁です。 -
長安のライチ
「このミス」1位のエンタメ王の映画化原作 映画化! 中国で興収150億円突破の大ヒット! 『両京十五日』で「このミス」1位となった中国のエンタメ王、 いまもっとも注目されるエンタメ作家・馬伯庸の最新作。 『三体』を手がけた訳者が太鼓判を押し、 『超高速!参勤交代』の原作者・脚本家、土橋章宏氏も感嘆、 誰が読んでも面白いノンストップ不可能任務エンタメ! 長安の下級官吏・李善徳に大出世のチャンスが舞い込んだ。近々おこなわれる楊貴妃の誕生を祝う宴に合わせて、妃の大好物であるライチの蜜漬(レイ枝煎)を調達し、長安の王宮に届ければよいだけ。簡単なプロジェクトだ。だが命令を受託した李は、おそるべき事実に気づく。 命令書が改竄されていたのである。届けねばならないのは「レイ枝鮮」、すなわち生のライチ。ライチは1日で変色、2日で香りが変じ、3日で腐るという。産地から長安まで2500km。こんな命令を実行するのは、神にも仙人にも不可能ッ――! 刻々と迫る楊貴妃の誕生日。李善徳は産地に出張し、輸送ルートを踏破し、地方官僚の妨害に苦しめられながらも、知恵と努力を振り絞る李善徳。任務に失敗したら文字通り首が飛ぶ。 そしてついに、プロジェクト決行の時が来た! だが計画を裏切るアクシデントが次々に襲いかかる! 唐代の社畜が挑む長安までの2500kmライチ急送作戦。 このインポッシブル・ミッション、果たして成るか? -
ビリー・サマーズ
作家デビュー50周年に放つ、至高のクライム・ノヴェル 狙いは決して外さない凄腕の殺し屋、ビリー・サマーズ。依頼人たちには、銃撃しか能がないちょっと抜けた男を装っているが、真の顔はエミール・ゾラを愛読する思慮深い人間であり、標的が悪人である殺ししか請け負わない。 そんなビリーが、引退を決意して「最後の仕事」を受けた。収監されているターゲットを狙撃するには、やつが裁判所へ移送される一瞬を待つしかない。狙撃地点となる街に潜伏するための偽装身分は、なんと小説家。街に溶け込むべくご近所づきあいをし、事務所に通って執筆用パソコンに向かううち、ビリーは本当に小説を書き始めてしまう。 だが、この仕事は何かがおかしい……。ビリーは安全策として、依頼人にも知られぬようさらに別の身分を用意し、奇妙な三重生活をはじめた。そしてついに、運命の実行日が訪れる――。 -
異能機関
【恐怖の帝王、作家50周年を前に王道のSF巨弾が待望の邦訳!】 異能の少年少女を拉致する謎の機関〈研究所〉。 彼らは子供たちの超能力を利用して何を企図しているのか。 冷酷なるくびきから逃れるため、少年は知恵をめぐらせる。 ------------------------ ミネソタ州ミネアポリスに暮らす12歳の少年ルークは、両親こそごく平凡だが、優秀な子供の特待校に通う神童だ。彼にはちょっとした特殊能力があった。ふとしたときに、周りのごく小さな物品をふれることなく動かしてしまうのだ。と言っても、それは他人が気づくほどのことでもない。 一流大学MITの入学内定を勝ち取ったルークだが、ある夜、3人の不審な男女が眠る彼をかどわかす。目覚めたルークが見たのは、自分の部屋そっくりにしつらえられているが、何かが違う一室だった。扉の外は自宅とは似ても似つかぬ、古びた大きな施設。そこには様々な少年少女が拉致され、自室と似た部屋を与えられて戸惑いながら暮らしていた。 目的も知れぬこの〈研究所〉で、残忍なスタッフや医師に、気分の悪くなる注射や暴力的な検査を繰り返される少年少女たち。彼らの共通点は「テレキネシス」か「テレパシー」の超能力を持っていることだった。 ルークは黒人少女カリーシャ、反抗的な少年ニック、幼く泣き虫だが強いテレパシーをもつ男の子エイヴァリーらと知り合うが、一定期間検査を受けた子供はひとり、またひとりと〈研究所〉の別棟〈バックハーフ〉へ連れ去られ、決して帰ってこないのだった。ルークはこの不穏な施設からの逃亡計画を温めはじめる――。 -
モンスター・パニック!
『WORLD WAR Z』で世界のホラー・ファンを唸らせた才人ブルックスの新作モンスター・スリラー 映画製作進行中! 作家マックス・ブルックスのもとに届いた手記。それはレーニア山噴火後、廃墟となって発見されたエココミュニティの住人が残したものだった。未だ原因が明かされていない集落全滅の真相とは? 武器も食糧もないひとびと。地面に刻まれた人間そっくりの巨大な足跡。闇にひびく咆哮。森の中に散乱した動物の死骸。そして牙を剥いて襲い来る凶暴な群れ。傷だらけになった人間たちの反撃、果たして成るか? 偽ドキュメンタリー形式の衝撃作。 -
リンカーン・ライム
わが名は〈解錠師〉。 いかなる鍵も錠前も僕の敵ではない。 名探偵ライム、3年ぶりの新作。 ボーン・コレクター、コフィン・ダンサー、ウォッチメイカー、スキン・コレクター、そして……。 名探偵ライムに頭脳戦を挑むのは、密室に煙のように忍び込む怪人〈解錠師/ロックスミス〉。 怪人VS名探偵の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。 〈ロックスミス〉と名乗る男が夜のニューヨークに跳梁していた。厳重に鍵のかかった部屋に侵入し、住人に危害を加えることもなく、破った新聞紙に書いたメッセージを残して去った。犯人はいかにして短時間で錠を破ったのか。犯行は無差別なのか、それとも被害者を結ぶ線があるのか。この奇怪な犯人の真の目的は何か。ニューヨーク市警からの依頼で、四肢麻痺の科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査に乗り出した。だがライムは警察内部の政争にまきこまれ、別件の裁判での失態を機に契約を解除されてしまった。このまま捜査を続行すれば逮捕される危険すら……。 密室を破る怪人〈ロックスミス〉VS現代の名探偵リンカーン・ライム。警察も敵に回り、犯罪組織に命を狙われながらも、名探偵はあくまで知力で戦いに挑む。そしていくつもの事件と謎と犯罪がより合わさったとき、多重ドンデン返しが華麗に発動する! ――ウォッチメイカーを思い出してるでしょ。 ――この二人は似た者同士だ。どちらも利口で、戦術に優れている。いわば闇の芸術家と呼べる点も似ている。それにどちらも機械式の装置に妄執を抱いている……。 “怪人VS名探偵”の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。 -
ドストエフスキーの預言
ドストエフスキー生誕200年記念出版。 かつて外務省でモスクワ大使館に勤務した著者は、ソ連邦の崩壊に立ち会うことになった。宗教を否定する社会主義の理想が潰え、ふたたび神を求める時代が始まった。 そうした事態を19世紀にすでに預言していたと著者が考えたのが、文豪・ドストエフスキーである。 『カラマーゾフの兄弟』のかの有名な「大審問官」は、はたして何を示しているのか? 『罪と罰』でラスコーリニコフはなぜ回心したのか? 外交官としての仕事のかたわら、ドストエフスキーを解読する日々が始まった。 尊敬するチェコの神学者・フロマートカや、同じくチェコの哲学者・政治家のマサリクの著作が大いなる手助けとなる。 そして、モスクワとプラハを往還する著者の思索の旅は、ついに終わりの日を迎える?? 現代史の現場から生み出された、これまでにないドストエフスキー論。 -
羽族の国―思草(佐々木信綱歌集)評釈
敗戦直後の、精神的、物質的貧困の中で、却て高揚した精神によって書かれたもの。鶏、百舌、雲雀、千鳥…長年作句の対象にした山禽野鳥の姿を、歌、散文で描く書。 (※本書は1994/7/1に発売し、2022/6/9に電子化をいたしました) -
黄金の軍鶏
賭けに飛び込め! 運命を挑発しろ! ガルシア=マルケスをはじめ数多の作家に影響を与えたラテンアメリカ文学ブームの先駆者にして、メキシコの国民的作家フアン・ルルフォ。 デビュー作『燃える平原』、不朽の名作『ペドロ・パラモ』に続く、その文学的終着点が、本邦初訳でついに登場!! メキシコのとある田舎町。片腕の不自由なディオニシオ・ピンソンは、町の知らせを大声で触れ回るお触れ屋をささやかな生業として、病身の母と貧しく暮らしている。 ある夜、闘鶏で深手を負った一羽の軍鶏を譲り受けたところから、彼の人生は思いもよらぬ方向へと転がりはじめることとなる。 やがて息を吹き返した"黄金の軍鶏"は、闘鶏で勝ち続け、富と名声を彼にもたらす。 こうして町から町へと渡り歩き、賭けと歓声の中に生きる道を見出したディオニシオは、ある日、妖艶で抜け目のない巡業歌手ラ・カポネーラと出会う。世知に長け、男たちの欲と金のにおいを嗅ぎ分ける彼女と行動をともにして、彼は勝負の世界の裏側を知り、ますます運に身を委ねてゆくのであった。 欲望と勝利の陶酔、目に見えぬ運命の鎖に引きずられ、孤独な男が行き着く先は……。 巨星が放つ最後の閃光! ガルシア=マルケスとカルロス・フエンテスの脚本によって映画化もされた、欲望と宿命の物語。 -
実存と人生[新装版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 カフカ、没後100年 カフカの世界、それは名状しがたい不安の告白であり、日常生活における〈ある闘い〉の記録である。深い実存の寓意は、あらゆる解釈を受け入れると同時に鋭く拒否する。それは一面では、難解さを表わすものかもしれないが、汲めどもつきぬ豊かさ、魅惑の証でもある。 本書はブロート版全集の『田舎の婚礼準備』と『日記』の巻から、アフォリズムのすべてと、比喩、そして生活表明に関する文章を訳者によるオリジナル編集でおくる。カフカのテクストは、長いものにせよ短いものにせよそれぞれが独自の振幅と強度を有すると同時に、それらすべてに「カフカ的」としか言いようのない何かが通底している。本書に収められた小さなことばの群れもまた、そうした「カフカ的」なものの結晶である。生きることと書くこととが相即不離のカフカにとって、本書はいわば、「彼自身によるカフカ」であり、その箴言と比喩の迷宮へとわたしたちをいざなう。 一六 籠が鳥をさがしに出かけた 二二 おまえはやらなければならない宿題そのものなのだ。あたりにはどこにも生徒はいない。(本文より) -
小さくも重要ないくつもの場面
いくつもの秘密は家族をどこへ連れていくのか 『マグヌス』で知られるフランスの著名な小説家が、互いの関係を模索する再構成家族の姿と秘密を詩的に描いた中篇小説。 幼い頃から母のいないリリは、赤ん坊の頃の自分の写真を見て、自分はいったいどこから来たのか、母はどこへなぜ行ってしまったのかと疑問を抱いてきた。父の再婚により、新たに四人の兄姉ができるが、継母ヴィヴィアンや異母兄姉との関係を模索しながらも心からは馴染めずにいた。 ある日、家族そろって出かけたピクニックで写真を撮るため、子どもたちはぎゅうぎゅうに身を寄せ合った。それが悲劇につながるとは知らずに……。 やがて兄姉たちがそれぞれの道に進んでいく一方、リリはどこへ向かえばいいのかわからず、左翼グループと共同生活をしてみたり彫刻に打ち込んでみたりするものの、どれも長続きせずさまよう。 タイトルが示すとおり、小さいがひとつひとつが何らかの働きや意味をもつ多くの出来事の連なりで構成されている。リリは愛する人を見つけ、自分の居場所にたどり着けるのか。知りたかった秘密は明らかになるのか。喪失を抱えながらも、時の重なりを感じ、自己や他者と向き合うことの尊さを静謐に描く。 -
氷上旅日記[新装版]:ミュンヘン―パリを歩いて
「あのひとを死なせるわけにはいかない。ぼくが自分の足で歩いていけば助かるんだ」――重病の親友の快復を願かけて、ミュンヘンからパリへ向かい、雪と氷のなかを彷徨し、魂に呼応するような風景と忘れられたような人びとに出会う……。ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才が綴る孤高の幻視行。 最新作『歩いて見た世界』の監督による孤高の幻視行 鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督は、人間と自然の壮大なドラマをテーマにした映画で広く知られる。『アギーレ・神の怒り』『フィツカラルド』など初期の代表作から最新作『歩いて見た世界』まで、野心的な作品は高い評価を受け、数々の映画賞を受賞している。 一九七四年十一月、ヘルツォークはパリにいる友人の映画評論家ロッテ・アイスナーが重篤と知らされる。自分の足でパリまで歩いていけば、アイスナーの病は治る……と願をかけ、真冬のミュンヘンを発つところからこの日記は始まる。 痛む足をひきずりながら、死んだような小さな村をいくつも通り過ぎ、空き家に泊まり、田舎道を彷徨する。あるときは、自分がまだ人間の姿をしているのを確かめようとガソリンスタンドのトイレに駆け込む。やがて寒さに凍えるカラスを兄弟のような感情を抱くようになり、リンゴの実がすべて落ちるまで木を揺さぶった直後の静寂に、孤独と疲労が頂点に達する…… 研ぎ澄まされた感覚で、魂を震わすような自然に身を投じるヘルツォークならではの眼差し。極寒のなかをひたすら歩く真摯な姿と、狂おしいまでの思いが読者の心を打つだろう。 -
平原のモーセ
中国東北部発世界文学行き。 中国現代工業の一大拠点だった瀋陽市鉄西区は、90年代の改革開放の波に乗れず経営破綻が相次いだ。地元出身の著者が土地に息づく5つの物語を掬った初の邦訳短編集。新文芸誌「GOAT meets」掲載で大反響! 文革の記憶を引き摺る家族と、工場にリストラされた父娘。 連続殺人事件を機に運命は交わる。(「平原のモーセ」) 貧民街に暮らす少年はある日、非行少女と石炭工場に忍び込む。(「グラードを出る」) その冬、僕は父と離れて街外れの教会に住む叔母のもとへ向かった。(「光明堂」) 亡き父の言葉を残し、伯父は闇夜に飛び立った。(「飛行家」) 小説家は、他人の未発表原稿に、自分しか知らぬはずの真実を見た。(「北方は無に帰す」) -
ブリス・モンタージュ
全米批評家協会賞受賞作品 本書は、中国出身の米国作家リン・マーの長篇『断絶』に続く第一短篇集。前作は、移民の女性が米国のミレニアル世代の一員として根無し草的な生活を送るなか、パンデミックとゾンビという物語形式を借りて、グローバル資本主義の制度に組み込まれた人生の虚無感、今世紀の米国社会の空気を巧みに切り取ってみせた。 同様に若い女性を主人公とする本書においても、移民にとっての「ホーム」はどこなのかという問いや、醒めた距離感を保つ一人称の語り口など、マーの作風は前作から連続している。ただし本書では、人間関係における暴力や、存在の孤独という、マーの中核的主題がより前景化され、人と時代に対する鋭い観察眼と、物語を組み立てていく手腕の凄みが際立っている。 本書の評価は非常に高く、〈全米批評家協会賞〉と〈ストーリー・プライズ〉を受賞、『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』では、「予測不可能な展開を見せ、読了後も心に残る」と評され、短篇の名手としてもマーの才能を確かなものとしている。「ロサンゼルス」「オフィスアワー」「明日」ほか、不可思議な語り口と冷徹な観察眼が冴える8編を収録。 [目次] ロサンゼルス オレンジ G イエティの愛の交わし方 戻ること オフィスアワー 北京ダック 明日 謝辞 訳者あとがき -
彼女はマリウポリからやってきた
半世紀以上を経て娘が探し当てた亡き母の生 ロシアとウクライナの血を引くドイツ語作家が、亡き母の痕跡と自らのルーツを見いだす瞠目の書。 母エウゲニアは、著者が10歳のとき若くして世を去った。幼い娘が知っていたのは、母がマリウポリで生まれたこと、第二次世界大戦中、両親が強制労働者としてウクライナからドイツに連行されたこと、曾祖父が石炭商人、祖母がイタリア人だったらしいことくらい。母の運命を辿ろうとこれまで何度か試みたが、成果はなかった。ところが、2013年のある夏の夜、ふと思い立ってロシア語の検索サイトに母の名前を打ち込んでみたところ、思いがけずヒットする。ここから手探りの調査と驚くべき物語が始まる。 「ここ一年ほど悲しい姿ばかりが報道されたウクライナのマリウポリだが、その多文化都市としての輝かしい歴史と、そこに生きた作者の親族の運命が、この小説には知的なユーモアと息苦しいほどの好奇心をもって描かれている」(多和田葉子氏) ウクライナの船主、バルト・ドイツの貴族、裕福なイタリア商人、学者、オペラ歌手など、存在すら知らなかった親類縁者の過去が次々と顕わになり、その思いもよらぬ光景に著者は息を呑み、読者もそれを追体験する。忘却に抗い、沈黙に耳をすませ、失われた家族の歴史(ファミリーストーリー)を永遠にとどめる世紀の小説。ライプツィヒ書籍見本市賞受賞作。 -
レーモン・クノー 〈与太郎〉的叡智
与太郎は、ほんとうに馬鹿なのか? 馬鹿げた話やデタラメな話を「与太話(噺)」というが、これは古典落語にしばしば登場する〈与太郎〉から来ている。与太郎とは、定職にもつかずブラブラしていつも失敗ばかりの粗忽者、なのになぜかのんきで楽天的なお調子者といったところか。 フランスにも、この与太郎キャラを描くのが抜群に巧い作家がいる。レーモン・クノー(1903-76)である。代表作は映画化もされたスラップスティック・コメディ『地下鉄のザジ』や、たった一つの出来事を99通りの文体で書き分けた『文体練習』など。実験的文学集団「ウリポ」の中心的メンバーとしても知られ、ガリマールの『プレイヤード百科事典』の監修責任も務めた。 深刻ぶったり難解ぶったりするのが大好きなフランス現代小説において、しかも第二次世界大戦前後という切実な時代に、知の巨人のようなクノーは『わが友ピエロ』、『ルイユから遠くはなれて』、『人生の日曜日』といった作品で、「世の中ついでに生きている」ようなのんきな男たちを次々に創り出した。それはいったいなぜか──。クノー小説における愛すべき〈与太郎〉たちを通し、我々の通念を揺さぶる「知」や「真実」を問う。 -
禅と浪漫の哲学者・前田利鎌:大正時代にみる愛と宗教
荘子をひもとく、新宗教と自由恋愛の時代! 夏目漱石の「最後の弟子」が愛したのは、平塚らいてうの姉だった──。自由を欣求した前田利鎌の遺稿をもとに、近代日本の思潮をさぐる評伝。 東工大教授になってまもなく32歳で夭折した前田利鎌は、東京帝大哲学科卒。スピノザやニーチェなど西洋哲学、荘子や禅などの仏教哲学を幅広く研究した宗教哲学者だった。 〈利鎌は漱石の門に最年少で入り、学び、書き、淪落の恋を識り、座禅に我を忘れ、生に身を焦がし、燃え盛りながら死んでいった。/孝子とらいてうも同様だ。大正の爛熟したデカダンスの徒花というなかれ。3人は旧弊な社会風紀や硬直した倫理、常識に抗った。自らに由って立つ近代人の肖像、自由と解放、照応と合一、天才と超人、各々がそれらを希求した〉(諏訪哲史「推薦者の言」より)。 らいてふの姉・孝子、漱石ら知識人─日本のフェミニズムと近代文学のはじまりとが画されたところで懊悩した人々を、貴重な資料をもとに書き上げたノンフィクション。 -
ハムレット! ハムレット!!
花やかな文豪達による<新>ハムレット競演。 収録作品は以下の通り。 巻頭8ページ口絵(4色)「ハムレット」をテーマにした銅版画=描き下ろし 巻頭詩 谷川俊太郎「初夏のハムレット」=書き下ろし * 太宰治「新ハムレット」(長篇小説) 芥川比呂志「ハムレット役者」(「タイツ」「三度目の正直」「太宰治とともに」エッセイ三篇) 志賀直哉「クローディアスの日記」(短篇小説) 小林秀雄「おふえりや遺文」(短篇小説) * ランボオ(小林秀雄訳)「オフェリヤ」*詩 (ランボオの同じ詩を二人の訳者で収録) ランボオ(中原中也訳)「オフェリア」*詩 * 大岡昇平「オフィーリアの埋葬」(短篇小説) ラフォルグ(吉田健一訳)「ハムレット――或る親孝行の話」(中篇小説) 福田恆存「ホレイショー日記」(中篇小説) * 小栗虫太郎「オフェリヤ殺し」(最後に異色ミステリ二作=中篇小説) 久生十蘭「ハムレット」 ※この作品はカラーが含まれます。 -
まんが 星の王子さま
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 「まんが」で読み直す世界的ベストセラー。 世界的ベストセラー『星の王子さま』の翻訳まんがです。 原文を読み解き、その作品世界を「まんが」として表現しました。 翻訳・文は、長年この企画をあたためていた奥本大三郎。『ファーブル昆虫記』の完訳でおなじみのフランス文学者です。今回のまんが化にあたり一般に流布されている表現をあらため、より物語世界がわかりやすい自然なニュアンスにしました。 「まんが」は、絵本作家でありイラストレーター、そして本書のデザインも担当した、やましたこうへいです。関連資料にあたっては細部の正確さにこだわり、詩情豊かな珠玉の作品となりました。 文章では読み飛ばされがちな場面も、絵があればこそ、原作者の想いに気づくことがあります。たとえば王子さまは夕陽を見ることが好きで、パイロットと砂漠の夕陽を見に行くという短い章があります。このシーンの美しさや、夕陽を浴びた王子さまの寂しさは、まんがだからこそより伝わり、理解されます。 そのほかにキツネとの哲学的な会話、砂漠から帰ってきたパイロットの日常など、文章ではなかなか想像できない、美しくも切ない新たな「星の王子さま」をお届けします。 ※この作品はカラー版です。 -
レディ・ムラサキのラブレター 「源氏物語」女たちの和歌と人生
哀しみも喜びも、すべて和歌(うた)に込められていた―― 「源氏物語」の作中歌795首からたどる、女性たち14人の生涯。運命に翻弄されながら自分の人生をつかんでいく彼女たちの姿は、時を超えて今と響きあう。『源氏物語 A・ウェイリー版』の訳者二人が描く魅力の和歌エッセイ! 愛と立場に翻弄され、懸命に生きてゆく女君14人の人生の物語。 桐壺更衣 「心の闇」に放つ別れの絶唱 葵の上 うた詠まぬ姫君 六条御息所 空に乱るるわがたましい 空蝉 逃げ去る女、デズデモーナ 朧月夜 宴の夜のうたと恋 夕顔 荒れ館に散る白い花 藤壺 月へと帰る輝く妃の宮 紫の上 鏡に閉じ込められし愛 花散里 はつ夏のオレンジの香り 明石の君 運命の輪を回す海神の娘 玉鬘 物語をわたる瑠璃姫 朝顔 露にしおれるウェスタの巫女 女三宮 はかなく絶える淡雪 末摘花 眠れる森の唐衣 -
こんなにも多くの人が、マリアナ
20世紀後半のポルトガルを代表する女性作家が容赦なく突きつける、虐げられた者たちの孤独と諦念 「ポルトガル文学界の慎ましい花」と称された文豪マリア・ジュディッテ・デ・カルヴァーリョ(1921-1998)。 没後20年の2018年に本国で全集が復刊されたところたちまち話題となった。 独裁政権とカトリックによる家父長制に虐げられた女たちの孤独や怒り、希望と諦念が、卓越した観察眼と力強い内面描写によってまざまざと表れる。 日本版では短篇集『こんなにも多くの人が、マリアナ』(1959)と中編『空(から)の戸棚』(1966)を合本して収録。今なお新しい文芸作品集。 「これらの物語に触れると、取るに足りない“生”などないと思える」――小川公代さん 【目次】 こんなにも多くの人が、マリアナ 人生と夢 カンディダおばあちゃま 母親 アルミンダ嬢さん クリスマスの夜 すれ違い 日曜日の散歩 空の戸棚 訳者あとがき 【著者プロフィール】 マリア・ジュディッテ・デ・カルヴァーリョ MARIA JUDITE DE CARVALHO 1921年リスボンに生まれる。夫は作家のウルバノ・タヴァレス・ロドリゲスであり、娘がひとりいる。1949年から1955年にかけて夫妻でフランスに移住。その後リスボンに戻り、雑誌社を経て「ディアリオ・デ・リスボア」紙などの新聞社にて編集者として働く。職務の傍ら短編や中編、エッセイなどを執筆し、グランデ・カミーロ・カステロ・ブランコ短篇文学賞、ポルトガル文芸批評家協会批評賞、ポルトガルP.E.N.クラブ賞、ヴェルジリオ・フェレイラ賞など数々の文学賞を受けた。1998年死去。 【訳者プロフィール】 木下眞穂(きのした・まほ) ポルトガル語翻訳家。上智大学を卒業。ジョゼ・ルイス・ペイショット『ガルヴェイアスの犬』(新潮社)で第5回日本翻訳大賞を受賞した。訳書に、ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ『忘却についての一般論』『過去を売る男』(ともに白水社)、ゴンサロ・M・タヴァレス『エルサレム』(河出書房新社)、ジョゼ・サラマーゴ『象の旅』(書肆侃侃房)、同『修道院覚書 バルタザールとブリムンダ』(河出書房新社)、リカルド・アドルフォ『死んでから俺にはいろんなことがあった』(書肆侃侃房)、パウロ・コエーリョ『マクトゥーブ』(KADOKAWA)など多数。
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