ビジネス・実用 - 筑摩書房作品一覧

  • 思想史講義【明治篇Ⅰ】
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    四巻シリーズによる近代日本思想史の起点となる本書では、明治維新をめぐるさまざまな思想を考察する。文明開化は単なる「西洋化」だったのか。富国強兵は本当に維新当初からスローガンだったのか。最新の実証的研究に基づく16のテーマと8本のコラムにより、諸思想を掘り下げて検討。多彩な論点で歴史を行きつ戻りつたどることで、思想史の力を引き出し、従来の単線的な明治維新像を刷新する。過去を考える意味とおもしろさがわかる、これまでにない明治維新思想史入門。
  • 百姓の江戸時代
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    江戸時代の日本について、鎖国によって孤立し停滞した封建制社会であったと受け止める傾向がある。また、農民や町人は、厳しい身分制度でがんじがらめの支配を受けていたと信じられがちである。しかし村々に残る資料をみて歩くと、この時代の百姓たちは自ら所有する土地を耕しながら布や酒をつくって店をひらき、さらには寄合の協議で村の運営を動かすこともあったことなどが分かってくる。江戸時代はむしろ、元気な百姓が主役の、近代的な前期資本主義社会だったのだ。支配者史観を覆し、庶民の視点から江戸時代の歴史を読みなおす。
  • アスリート盗撮
    4.0
    2020年10月12日、アスリートの性的画像問題についての第一報が配信された。共同通信運動部の女性部員ふたりからはじまった一連の調査報道は、JOCや警察を動かし、社会的なうねりを巻き起こしていく。調査報道の舞台裏から、盗撮罪をめぐる法制度整備の動きや盗撮加害者の実態解明まで、これからのスポーツと盗撮の問題を考えるための一冊。
  • 対称性の数学 ――文様の幾何と群論
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    人体、鉱物や雪の結晶、建築の意匠、芸術・工芸作品……。対称性はミクロレベルにおいては分子構造から、マクロレベルでは特殊相対論で距離の定式化や銀河の形状に至るまであらゆるところに伏在している。ただ、この対称性のパターンは、意外にもその種類が多くない、という注目すべき事実がある。パターンを分類し、抽象し、一般化すると、そこに数学の概念“群”が現れてくる。本書の前半は“平面の結晶群”とも言うべき周期性をもった壁紙模様、モザイク模様が語られ、後半ではプラトンの正多面体の合同群についての考察がなされる。初学者のための群論的思考入門。
  • アインシュタイン回顧録
    -
    「想定外に当たっていたね」。アインシュタインの理論を、現代の物理学者はおおむねそう評価する。実験機器と実験法の進歩につれ、ただの予想かと見えた理論が次々に実証されてきたからだ。独創の極致ともいえる理論を彼は、いったいどうやって生み出したのか? 幼少期から執筆時までの約70年間を振り返り、何をどう考えてきたのかを語り尽くす、アインシュタイン唯一の自伝。生い立ちと哲学、19世紀物理学とその批判、量子論とブラウン運動、特殊相対論、一般相対論、量子力学に疑義を呈した真意、統一場理論への思いが浮き彫りになる。貴重な写真を多数収録。達意の新訳による文庫オリジナル。
  • 台湾流通革命 ──流通の父・徐重仁に学ぶビジネスのヒント
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    「流通」の概念すらない台湾で物流センターを建設し、IT、金融システムを整備するなどの近代化は、文字通り「革命」だった。台湾セブン‐イレブンを離島にまで広げ、約5000店展開。台湾の人々の暮らしを便利で豊かなものにした。さらに、多くの企業と提携し、小売・飲食・流通サービスの一大コングロマリットを築き上げた徐重仁のビジネスとは。
  • 建築家の解体
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    『建築の解体』の刊行から五〇年弱、後期近代の時代にあって、安藤忠雄や隈研吾に代表される従来の建築家のイメージは、見直しを迫られている。ブルデューの理論を用いて、建築家という職業がつくられていくプロセスを描写するとともに、解体していく建築家像の軌跡をたどる。フィールドワークの知見を盛り込み、「街場の建築家」という今後の可能性を最後に示す。
  • 明治史講義【グローバル研究篇】
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    かつて西洋文明の圏外にあった日本は、西洋に由来する価値観や制度を受容し、定着させ、近代化を成し遂げた。明治維新が稀有な人類の歴史的経験であることに疑いの余地はない。それはいかなる思想と条件の下、可能となったのか。明治維新は世界史においていかに語られ、そこにどんな意味が見出されているのか。世界各地域の第一線で活躍する日本研究者の知を結集し、定説とされる歴史観に囚われず、国際的に大きなインパクトを与えた明治維新の世界史的意義を多面的に検証する。
  • ルネサンス 情報革命の時代
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    新大陸やアジア諸国から流入する大量の珍花奇葉、珍獣奇鳥、玄怪な工芸品……。西欧のルネサンスは、情報の大洪水に見舞われ、中世までの伝統的な知のフレームが大きく揺らいだ時代であった。さらに「古代」という過去の発見、 新たな救済の道の発見(宗教改革)、宇宙や身体内部の発見(天文学や解剖学) ……まさに発見につぐ発見の時代相だ。この未曾有の知の大爆発に、果敢に立ち向かった人々がいた。膨大な言葉と物を集め、分類を工夫し、印刷メディアと人工記憶を駆使しながら、独創的な知のソフトウェアの開発をめざす挑戦が幕を開ける! 情報革命がもたらしたルネサンス文化を読み解く。
  • 荘園の人々
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    日本史の授業でいちばん教えにくいと言われる荘園。時代や場所により性質が様々で、関わり人々の利害関係が複雑なことがその理由だろう。しかし、古代から中世にいたるまで特産物によって日本の経済を支え、王家・摂関家を頂点とする重層的な社会構造を生み出したのは荘園に他ならない。加えて武士の発生や源平の争乱も荘園の支配権争いに端を発する。この制度を把握できなければ日本の歴史を真に理解することは出来ないだろう。本書はそんな荘園の実態を、荘園に生きた人々のドラマを通じて具体的に描いた画期的な入門書。この本を読めば荘園が面白い存在に見えてくる。
  • 野呂邦暢 古本屋写真集
    -
    夭折の芥川賞作家・野呂邦暢が密かに撮りためていた古本屋写真が存在する。岡崎武志氏が遺族から託されたこの貴重な写真をまとめた『野呂邦暢 古本屋写真集』を再編集の上、野呂邦暢の古本にまつわるエッセイ、編者対談を増補し奇跡の文庫化。神保町・早稲田などの古本屋写真に加え、野呂邦暢自宅本棚写真も収録する。拙く清冽で執拗なカメラアイが1970年代の都市と古本屋を駆け巡る。
  • 江戸衣装図絵 武士と町人
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    江戸の男たちの衣装は職業別の仕事服であった。そんな世の中で、男たちは、ときに歌舞伎の影響をうけながら、洒落を楽しみ、粋な装いを競い合った。武士から町人まで、その衣装、髪形、履物、旅姿などを紹介する。時代小説、歌舞伎、時代劇を楽しむために、デザインや創作の参考に、プロも一般読者も楽しめる、江戸の男たちの服飾カラー大全でもあり、職業案内でもある。
  • 江戸衣装図絵 奥方と町娘たち
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    徳川260年の間、江戸の女たちは装うために、チャレンジを続けた。江戸初期の武家婦人の晴れ着は重厚で豪華な衣装。一方、庶民は自分で手作りという時代。やがて、江戸中期になると色彩豊かで優美な世界が町方の富裕層のなかから生まれ出る。そして江戸後期は、「粋」で個性的な時代へと変化する。江戸の女たちの着物、髪形、化粧などを紹介する、服飾カラー大全。見て楽しい、読んで役に立つ。
  • ルポ 名門校 ──「進学校」との違いは何か?
    -
    「名門校」は単なる「進学校」と何が違うのか? 男女御三家、地方公立名門校など全国30校を丹念に取材。旧制中学、藩校、女学校、大学予科など系譜別に、名門校に棲みつく「家付き酵母」の正体に迫る。それぞれの名門校に受け継がれる文脈の壮大さ奥深さそして人間臭さを知ってしまうと、偏差値や進学実績といった瞬間的かつ一面的な基準で学校を論ずる無意味さや、場当たり的な教育改革議論に対する違和感あるいは嫌悪感から逃れられなくなってしまうだろう。
  • 日本美術の核心 ――周辺文化が生んだオリジナリティ
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    西欧や中国の美術はいわゆるファインアート、権力者による威圧的な造形を主流としているが、日本美術は違う。例えば鳥獣戯画や伊藤若冲の作品のように、遊び心にあふれ見る者を楽しませる造形によって鮮烈に彩られ、「真実」よりも「美しさ」を追求し発展してきた。「わび」「素朴さ」「デザイン性」「文字との融合」「多様性の競演」……世界に類のないそのオリジナリティを、本書では縦横無尽に読み解いていく。世界の周辺文化のトップランナーとしての日本美術の唯一無二性を解析する一冊。
  • 風水 ――中国哲学のランドスケープ
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    中国独特の自然学として発展した“風水”。著者は19世紀の西洋人としてこの奇妙な体系に出会った。風水は、「理」=自然の一般秩序、「数」=自然の数的比率、「気」=活力に満ちた微妙なエネルギー、「形」=自然の外形という四つの概念から成り立ち、人間の運命を左右する。風水の前提となる陰陽五行説の概要から、専用道具・羅盤の使い方、さらには中国人の居住地選びにどのような影響を及ぼしているかまでを説く。近代的風水研究の嚆矢となった一冊。
  • 日本的思考の原型 ──民俗学の視角
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    ふとした時に表れる日本人独特の感覚。自分の湯呑みを他人に使われてしまった時の気まずさなどはその一例といえるだろう。高取によればこの感覚は、自己の範囲を所有するモノや所属する集団にまで広げて認識していた近代以前の名残だという。また祖先としての神、他所から来る神という二種の神観念があるのも、定住だけでなく漂泊もまた少なくなかった前近代の暮らし方に由来するという。本書はそうしたわれわれの感覚や習慣を形作ってきたさまざまな事例を挙げ、近代的な自我と無意識下の前近代が交錯する日本人の精神構造を明らかにする。民俗学の傑作にして恰好の入門書。
  • 心とからだの倫理学 ──エンハンスメントから考える
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    整形で身体に手を入れてもよいのだろうか。能力や性格は薬によって変えてよいものか。変化によってあなたと社会はどうなるのか? 倫理学の観点から読者とともに考える。
  • 日本金融百年史
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    はじまりは、株式市場でどの銘柄も軒並み暴落した1920年。その後、関東大震災、昭和恐慌に直面し、戦争へと突き進む中、日本の株式市場、金融システムは様々な政策のもと、揺れ動いていくことになる。戦後復興、高度成長、バブル、「失われた30年」といま続く流れはどのように導かれていったのか。経済・金融政策と人々の思惑はいかに影響を与え合うのか。歴史の教訓を見誤らないためにこの百年を振り返る。
  • 私の憲法勉強 ──嵐の中に立つ日本の基本法
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    1950年代初頭、冷戦の激化を背景に起こった日本国憲法改正論。この動きに対し、シェイクスピアの翻訳で名高い英文学者が反応する。改憲派の主張は、アメリカによって押しつけられた憲法を廃し、日本人が自主的に憲法をつくることであった。しかし、かれらの主張は本当に妥当なのか。日本国憲法成立の事情を調べながら、浮かび上がった事実を平明率直にまとめたのが本書である。そこには国民がまたも騙され、個人の自由や権利が制約されることへの危機感があった。憲法という国民的利害の最も重大なものについて、われわれはどのように臨むべきなのか。著者の切実な訴えはいまも強く響く。
  • 美少女美術史 ──人々を惑わせる究極の美
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    この世でもっとも純粋で美しいもの――それは愛らしい少女たちの姿。なぜ、彼女たちは時代によって、エロスを漂わせた存在として表現されたり、性をそぎ落とされたけがれない姿で描かれたりと、変貌をくり返してきたのか? そこには人間のどのような理想と欲望が映し出されているのか? あらゆる女性の理想とされたあどけない聖母マリアから、突如挑発的な姿を露わにし始める現代の少女たちまで、200点の名画の裏に隠されたメッセージを読み解く。色鮮やかな図版が誘う究極の美の世界。
  • 美少年美術史 ──禁じられた欲望の歴史
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    神々が愛したかわいくエロティックなクピドたち。古代の英雄や皇帝たちを狂わせ、歴史の運命を大きく動かした少年愛のめくるめく世界。中世キリスト教社会で、激しい抑圧のなか密かに紡がれた同性愛的嗜好。そしてルネサンス期を迎え、ふたたび花開く男たちの肉体美――。西洋美術には美少年を描いた傑作が数多く存在する。彼らはなぜこれほどまでに芸術家たちを虜にし、その創造力をかきたててきたのか? ときに勇ましく、ときに儚げに描かれたその姿に、人類のどのような欲望が刻み込まれているのか? アート入門としても最適。カラーを含む200点以上の図版とともに辿るもうひとつの西洋史。
  • 現代語訳 藤氏家伝
    -
    『藤氏家伝』は、奈良時代後半(760~762年頃)に成立した藤原氏の家史。上・下巻から成り、上巻では始祖である藤原(中臣)鎌足とその子貞慧、下巻では藤原不比等の長男である武智麻呂の事績を伝える。『日本書紀』と『続日本紀』のあいだに編纂されたが、それら正史にはない独自の記述を含むことから史料的価値がきわめて高く、7~8世紀の歴史を理解する上で欠かせない史書である。本書はその初めての現代語訳。巻末には本文(漢文)と訳者による解説を付す。文庫オリジナル。
  • 残酷美術史 ──西洋世界の裏面をよみとく
    -
    西洋には残酷美術の名画が数多くある。なぜこれほど凄惨な場面がくりかえし描かれてきたのか? そこに人間のどんな欲望と残虐性を読みとることができるのか? 神話・聖書の怖いエピソードから、魔女狩り、子殺し、ペスト、拷問、処刑などの歴史上の事件まで、図版200点以上を収録。人間の裏面を抉り出す、衝撃の美術史。
  • 官能美術史 ──ヌードが語る名画の謎
    4.0
    恥じらいながら、生まれたばかりの透明な素肌を露にする愛の女神ヴィーナス、恍惚としてひとり横たわるマグダラのマリア、近代をとりこにした東洋の女奴隷たちの妖艶な姿態―西洋美術の世界を彩る美しいヌードが大集結。性のモラルの厳しいキリスト教社会で裸体を描くことがどうして可能だったのか? その多くが神話や聖書を題材とするのはなぜか? ボッティチェッリ描くヴィーナスのお腹が膨らんでいるわけは? いくつかの鍵を用いて読み解くと、魅惑的な姿に秘められた謎があざやかに浮かびあがる。カラー多数。200点以上の図版とともに楽しくアートの世界へ誘う極上の美術案内。
  • 「日本人」力 九つの型
    -
    極東の島国で資源にも乏しい日本にとって、教育こそが成功と発展の礎だった。ところが今日、事なかれ主義が横行し、いじめや学力崩壊などの現象は改善されず、「教育」は機能不全に陥っている。そもそも日本人を日本人たらしめたものとは何だったのだろうか。近代日本を果敢に生きた九人の生き方と工夫の中から、「教育力」の真髄を汲みとる。
  • 西洋美術とレイシズム
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    聖書のエピソードに登場する人物を西洋美術はどう描いてきただろう。2000年にわたるその歴史の中で培われてきた人種差別のイメージを考える。
  • 貿易の世界史 ――大航海時代から「一帯一路」まで
    -
    貿易は互いに利益をもたらすものと思われているが、その本質は奪い合いであり、近代以前の貿易は戦争そのものだった。現代でもTPPや米中摩擦に見られるように、貿易は各国の利害が対立する“戦場”となっている。加えて今日のグローバル経済下では、国家と多国籍企業が争う場ともなった。本書では国際貿易の始まった大航海時代までさかのぼり、貿易が資本主義経済を成り立たせ、覇権を握る手段として利用されてきた歴史を描いた。貿易は単なるビジネスなどではないのだ。
  • 新宗教を問う ──近代日本人と救いの信仰
    -
    創価学会、霊友会、大本、立正佼成会、PL教団、天理教――。日本ほど新宗教が大きな力をもつ国は世界に類例がないといわれるが、どうして日本で新宗教はこれほどの影響力をもつのか。近代に大発展した新宗教はなぜ現代において衰退しつつあるのか。救いの信仰に向けられた人々の心はどこへ向かっているのか。この三つの問いはそのまま日本の近代とは何かを問うことでもある。「宗教からスピリチュアリティへ」の転換期にある現代において、人間を救済できるのか。「新宗教」が明らかにする、時代の相貌と日本人の精神の根源に迫る。
  • メディア論の名著30
    -
    「歴史学」は現在から過去を解明しようとするのに対し、「メディア論」は現在から未来を展望しようとする――。メディア史研究の第一人者である著者が、社会心理から政治学まで、文明論的な視座をもつメディア論の「名著」30冊を精選。「大衆宣伝=マス・コミュニケーションの研究」「情報統制とシンボル操作」「情報社会とデジタル文化」など六章にわたって解説を加えてゆく。ウェブ時代にあってメディア論を深く知りたい人にとり最良のブックガイドである。
  • 水都 東京 ──地形と歴史で読みとく下町・山の手・郊外
    3.0
    川、海、濠、湧水、池、用水。東京は下町から郊外まで、豊かな水辺をもっている。この都市の象徴=隅田川、文明開化のモダンな建築群が水辺を飾った日本橋川、世界にも類を見ない豊かな自然環境を保有する皇居・外濠、凸凹地形と湧水が目白押しの山の手、水辺をたどれば古代の記憶に触れることができる武蔵野……本書は東京各地をめぐりながら、この魅力的な水都の姿を描き出す。『東京の空間人類学』から35年、著者の東京研究の集大成がついに刊行!
  • ロマネスクとは何か ──石とぶどうの精神史
    -
    教会堂を飾る奇怪な彫刻の群れ、異様な幻視に取り憑かれた修道士、黒いマリア像、戦いで浴びた血を浄め天を望む祈りの声……厳粛なキリスト教を笑うかのような大らかで過剰な表象に満ちたロマネスク。10世紀から12世紀半ばにかけて、豊かな自然を背景に新たな信仰を模索した人々は、天上に神を仰ぐ一神教を維持しつつ、自然界に神々の現れを見る異教を受け入れて、垂直と水平の両方の視界の「つながり」を求めた。近年の西洋中世研究の成果をふんだんに織り込み、ロマネスクの時代精神に光を当てる待望の書。
  • 中東政治入門
    -
    シリア内戦、「イスラーム国」、「アラブの春」、石油依存経済、パレスチナ問題……中東では今も多くの問題が起こっている。しかし報道や時事解説を通してこうした事実を「知る」ことはできても、「なぜ」起こったのか、その原因を「理解する」ことはなかなか難しい。本書は、中東政治学のエッセンスを紹介しながら、国家、独裁、紛争、石油、宗教という五つのテーマをめぐり、その「なぜ」を読み解いていく。中東という大きな課題に向きあっていくために必読の一冊。
  • オリンピア 遺跡・祭典・競技
    -
    オリンピック発祥の地・オリンピア。そこは、古代ギリシアを代表する体育競技の場であっただけでなく、広く古典古代史の結節点でもあった。ゼウス神へ献ずる宗教儀礼=オリンピア祭はいかにして始まり、そこでの競技とはどのようなものであったのか。本書は、オリンピアの発掘史と遺跡の概要を述べた後、興味深い逸話を交えつつ競技祭典の実像に迫る。碩学が明快な筆致で描いた古代ギリシア史の名著。
  • 10代と語る英語教育
    -
    大学入学共通テストへの英語民間試験導入が突然、延期となった。政治には無関心と言われる10代の若者はなぜ立ち上がったのか? SNSや国会前でのデモなど、大きな役割を担った三人に取材し、大学入試改革とは何か、英語教育はどうあるべきなのかを解き明かす。
  • 喫茶店の時代 あのとき こんな店があった
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    人々はなぜ喫茶店に引き寄せられたのか。その独自の空間に流れる時間は、作家・芸術家たちにとっての文学や美術の誕生の場となった。コーヒーや茶の歴史にはじまり、明治、大正、昭和の喫茶店の変遷を追う。いまやチェーン展開のカフェに押され、絶滅危惧種化しつつある喫茶店の魅力に迫る異色の文化史。単行本を大幅改稿文庫化。図版多数収録。
  • 平成政治史 ──政界再編とポスト冷戦型社会運動
    -
    冷戦の終焉とともに始まった平成政治。選挙制度改革による政権交代の実現と、自民党一党優位制打破が期待されたが、細川・村山政権や民主党政権に国民が失望する一方で、危機に立たされた自民党は自公連立、小泉改革、安倍政治によって政権の盤石化に成功した。なぜこのような結果になったのか。各政党の動きとその時々の内外の政治課題を巧みに織り交ぜて解説しつつ、SEALDsや脱原発運動、在特会など新しい社会運動の動向にも注目。激動の三〇年を俯瞰する政治史決定版。
  • 天皇と右翼・左翼 ──日本近現代史の隠された対立構造
    -
    近現代日本を動かしてきたのは、幕末以来の天皇家と伏見宮系皇族(旧宮家)の対立と裏社会の暗闘である。対米戦争へ主導したのは反英米的な軍・伏見宮系皇族・一部の長州閥有力者で、彼ら右派は昭和二十年八月十五日の宮城事件、三島事件など数多く事件を起こし、潜在的に反(昭和)天皇だった。昭和天皇・貞明皇后は左派勢力と個人的につながり、親天皇=保守=右翼ではなかったのだ。従来の右翼・左翼観を打ち破り、近現代日本の支配層における対立構造を天皇を軸に描き直す。
  • 風姿花伝
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    「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」。神・仏に邂逅した出来事を、神事・仏事として「花」をもたらすべく再現する儀礼“猿楽能”をどのように修するか。約二十年かけて増補改訂、推敲が重ねられた世阿弥の主著。有限・無常な修者は、生涯を通して「花」を体現すべく、しぐさ、舞、物まね、音曲をどのように習い学ぶか、台本である謡曲をどのように作るか、興行はどうあるべきかなどが論じられる。そこでは幽玄論の確立とともに、日本文化史上稀有な奥行きの深い思想を展開。本書は『風姿花伝』を日本思想史の文脈のなかに位置付け、捉え直した画期的訳注書。
  • 一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》
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    バロックを代表する画家カラヴァッジョの名画《聖マタイの召命》。この謎の多い絵画に込められた豊かなメッセージを受け取ろう。美術をみる目を助ける基礎的かつ普遍的な知識を紹介し西洋美術史の豊かな世界に誘う一冊。
  • 歴史人口学事始め ──記録と記憶の九〇年
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    若き日のヨーロッパ留学で歴史人口学と不意に出会い、やがて宗門改帳を使った人口動態調査や「勤勉革命」の提唱で世界的に評価されるまでに至った著者が、幼少期からの体験と日本の歴史人口学成立事情を振り返る。戦中の勤労動員、敗戦後の混乱、中東旅行での歴史観の転換、ヨーロッパの先端研究の導入、網野善彦や梅原猛との出会い、時刻表をヒントにしたデータシートの考案など、九〇年間の学問人生を回顧し、人口減少社会の未来を考察する。急逝した碩学の最後のメッセージ。
  • はじめての日本古代史
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    日本はいつどのようにして生まれたのか? 農耕がはじまり、国家が生まれ、政変が繰り返され、中世へと続く日本の原型がつくられる。その流れをトピックでおさえる一冊。
  • ゴッホとゴーギャン ──近代絵画の軌跡
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    ゴッホとゴーギャン。美術史のなかで燦然と輝く二つの巨星。ともに印象派絵画とジャポニスムから大きな影響を受け、西洋美術を超克した。なぜ、彼らの作品は後世の美術家を魅了しつづけるのか? 二人の数奇な人生をたどり、美術史的な観点から二十世紀の近代絵画へ架橋した芸術運動として「後期印象派」を総覧。狂気と理性がもたらした創作の秘密を解き明かす画期的な一冊。図版資料多数収載。
  • 失われたアートの謎を解く
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    名画の悲劇は美術史の知られざる裏の顔だ。修復不可能になったムンク《叫び》、2012年にアパートの一室から発見されたナチス御用画商の隠し絵画1万6000点、8万8000個の破片から再現されたマンテーニャのフレスコ画、フェルメール《合奏》を含む被害総額5億ドルの盗難事件……欲望と不運が綾なす黒歴史に詳細なビジュアルで迫る!
  • 柳宗悦 ──美の菩薩
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    なぜ美しいものを作ろうとも思っていない名もなき工人が、時として驚くべき美を生み出すのか。その理由を解き明かそうとした柳は、『無量寿経』にある「すべてが美しい世界をつくる」という阿弥陀仏の誓いに出会い、はたと気づく。ものの美しさは、この宗教的救済によってもたらされていたのだと。そして、美しいもの=救われたものを日本民藝館に陳列し、人もものも、すべてが救われる「浄土」が現に存在することを、人々に伝えようとした。阿弥陀仏の本願と美を結びつけ、仏教の再構築を構想した柳宗悦。この稀有な思想家の核心に迫った著者初期の代表作を、増補して文庫化。
  • 教育格差 ──階層・地域・学歴
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    出身家庭と地域という本人にはどうしようもない初期条件によって子供の最終学歴は異なり、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となる。つまり日本は、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。本書は、戦後から現在までの動向、就学前〜高校までの各教育段階、国際比較と、教育格差の実態を圧倒的なデータ量で検証。その上で、すべての人が自分の可能性を活かせる社会をつくるために、採るべき現実的な対策を提案する。
  • 武器としての世論調査 ──社会をとらえ、未来を変える
    -
    内閣支持率が高い地域では宗教信仰率が高い。野党支持は若年層で伸び悩み。世論調査の見方を知り、精緻に分析していけば、こんなことがわかります。この社会に窮屈さを感じている人も、あなた自身の考えが政治に反映されないことが不満で「世論調査は捏造だ」と考えている人も、この本を読んでみてください。世論調査は、社会をとらえ、未来を変えるための武器です。どの地域に住む、どんな人が、どの政党を支持しているのか、一緒に見ていきましょう。そして彼らに働きかけ、この社会を変える方法を考えてみませんか。
  • 神話学入門
    -
    神話は人類にとって普遍的であるが、同時に一見捉えどころのないものでもある。神々と人間の関係が疎遠になり、信仰が動揺してきたとき、神話ははじめて客観的・意識的に眺められるようになった。こうして「神話とは何か」という問いかけが、その没落とともに始まった。「神話学」の誕生である。本書はヨーロッパにおいて発達した神話学研究の系譜を丁寧に辿りつつ、定義と分類、様々な解釈を詳述し、重要な側面を余すところなく紹介する。神話とその背景としての民族・文化・社会、世界像や儀礼との関係を泰斗が解き明かす定評ある入門書。
  • きのこの話
    -
    大きさも形も色も様々なきのこたち。切り株や倒木、立ち枯れの木、落ち葉はもちろん、生木にも。そして地面からもにょきにょき。森を注意深く見渡して、「きのこ目」になって探してみよう! カラー写真多数。
  • 自公政権とは何か ──「連立」にみる強さの正体
    5.0
    自民党「一強」と言われて久しい。だが、実際には公明党との連立政権である。この政権には、政治学の理論では説明し難い謎がある。例えば両党の重点政策を比較すると、違いが少なくない。平和と福祉を重視する公明党は、民主党およびその後継政党の立場に近い。2016年の参院選以降、衆参両院で過半数を占める自民党は、単独政権を作ろうと思えば作れるのに、そうしない。なぜか? 本書は自公政権を中心に多角的な分析を行い、強さの理由を解き明かす。日本政治の“今”を深く理解し、今後を展望するための必読の書!
  • 不道徳的倫理学講義 ──人生にとって運とは何か
    -
    我々がこの世界で何をなし、何を受け取るかは、「運」というものに大きく左右されている。しかし、あるべき行為や人生をめぐって議論が交わされるとき、なぜかこの「運」という要素は無視されがちだ。特にその傾向は、道徳や倫理について学問的な探究を行う倫理学に顕著である。それはいったいなぜだろうか。本書では、運が主に倫理学の歴史のなかでどう扱われ、どのように肯定や否定をされてきたのか、古代ギリシアから現代に至る人々の思索の軌跡を追う。そしてその先に、人間のあるがままの生をとらえる道筋を探る。
  • ラーメンの誕生
    -
    日本の国民食ラーメン。そこには、中国伝来の製麺技術が吸収・同化されたうえで、日本料理ならではの伝統がいくつも盛り込まれている。明治維新までの肉食忌避が解消され、安くてうまくて栄養いっぱいの食べ物が求められるようになると、全国で爆発的に普及。インスタントラーメンの発明を経て、世界中に広まっていく。外来文化を取り入れては積極的なアレンジを繰返す、日本人の凄まじい情熱と知恵。本書は、膨大な史料を踏まえて描かれた壮大な歴史ドラマである。巷間のラーメン情報の底本となったラーメン通史の決定版。
  • 概説文語文法 改訂版
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    傑出した国語学者・言語学者であった著者による古典文法の概説書。文法がどのような組織を持っているか総体として受けとめ、たんに作品解釈のためだけではなく、それ自体、教養として学ぶことを提唱する。大きく「文」「語」「付属語」「表現」に分けて解説。
  • 数学基礎論
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    数学基礎論──それは20世紀とともに始まった、新しい数学の分野である。その黎明期には、カントルやラッセルによって相次いで見出された集合論のパラドックス、そして、ゲーデルの不完全性定理など、数学の根幹を揺るがす発見が続いた。しかし数学基礎論は、決して数学の息の根を止めてしまったのではない。「ミレニアム懸賞問題」として知られるP=NP問題(P≠NP予想)やファジー論理、さらには人工知能との関わりなど、数学の最先端を切り開く分野でもあるのだ。日本を代表する数学基礎論の大家がその歴史、および現代的なトピックについて平易に解説した入門書。
  • 感情天皇論
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    1959年、皇太子明仁のご成婚パレードの日、一人の少年が皇太子とその妻に石を投げた。三島由紀夫はその行為に「天皇と国民が個人として対話をする」というテロルを見て戦慄し、石原慎太郎はそれを隠蔽しようとした。そして即位した明仁天皇が行ってきたのは、かつて庵野秀明が描いた人類補完計画が成ったかの如き、統合の実践としての感情労働だった。『少女たちの「かわいい」天皇』から一時代を経て書かれた、「終わり」の平成天皇論。
  • インドの思想
    -
    長い歴史と多数の異なった民族から成り、広大な地域の中で様々な伝統文化を併存させている国インド。日本人には想像もできないほど人々の考え方の振幅は大きいが、その精神的豊かさには瞠目すべきものがある。多様でありながらインドの底流をなす思考方法とは何か。本書では、国名「インド」の由来やインダス文明の興隆から説き起こし、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教、『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』の二大叙事詩、論理学など、インドを特徴づける主要な思想のエッセンスを、仏教・インド哲学研究の泰斗が解説する。
  • 現代の初等幾何学
    5.0
    数学の理論の公理系にあらわれる基本的な用語は無定義なものであるべきだという公理主義の思想。この思想は、初等幾何学すなわちユークリッドの平面幾何学をめぐる考察のなかから生まれた。その意味で初等幾何学は現代数学の母であり、いまなお「生きた」数学の理論である。本書はヘルマン・ワイルの提唱した公理系にもとづいて、ユークリッドが展開した初等幾何学の再構成を試みる。平面を2次元の内積空間と捉えることで、数学の種々様々な理論と自然につながり合う「現代的な」幾何学が得られるのだ。幾何学が本来もつ証明の面白さを損なわないよう初学者への配慮も溢れる一冊。
  • 帝国の陰謀
    -
    純粋な「形式性」と起源なき「名前」の流通によって現実が作られる時代。それは、いかにして生まれたのか──。19世紀中葉、一組の義兄弟が陰謀を企てる。兄の名は、ルイ=ナポレオン。フランス皇帝ナポレオン1世の甥である。かたや父親を異にする弟の名は、ド・モルニー。「私生児」にして、のちの内務大臣・立法院議長である。権力奪取の計画は首尾よく運び、ここにフランス第二帝政の幕が上がることとなる。希薄で、シニカルな相貌をまとって……。ド・モルニーが遺した二つのテクストを読解し、マルクスが見落としたものを軽やかに描く、著者最初の書き下ろし作品。
  • 生きものとは何か ──世界と自分を知るための生物学
    -
    自分を知るには、まず生きもののことを理解しておく必要がある。生きものの形や時間にはどのような特徴があるのだろう? 何のために生きているのだろう? 生きものの本質を明らかにする冒険的な試み。
  • ヨーロッパ近代史
    -
    ルネサンスとともに幕を開け、第一次世界大戦によって終焉を迎えるヨーロッパの近代。アジアやイスラームに後れをとり、その形成期にはさほどの経済力・軍事力を備えていなかったヨーロッパが、20世紀初めには人類の半分以上を支配するに至った。なぜ、この時代に世界を席巻することができたのか? それを可能にした力の根底には「宗教と科学(の相剋)」がある。本書はこうした視座から、近代ヨーロッパが世界史を一変させた秘密をよみとく試みだ。時々の時代精神を体現した8名の歩みを糸口に、激動の500年を一望のもと描き出す。
  • 気流の鳴る音 ──交響するコミューン
    -
    「知者は“心のある道”を選ぶ。どんな道にせよ、知者は心のある道を旅する。」アメリカ原住民と諸大陸の民衆たちの、呼応する知の明晰と感性の豊饒と出会うことを通して、「近代」のあとの世界と生き方を構想する翼としての、“比較社会学”のモチーフとコンセプトとを確立する。
  • 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世
    -
    武士はいつ、どこで、生まれたのか? 七世紀ものあいだ日本を統治してきた彼らのはじまりについては、実ははっきりとした答えが出ていない。かつて教科書で教えられた「地方の富裕な農民が成長し、土地を自衛するために一族で武装し、武士となった」という説はでたらめで、都の武官から生まれたという説は確証がなく、学界は「諸説ある」とお茶を濁す。この日本史における長年の疑問を解消するために、古代と中世をまたにかけ、血統・都鄙・思想に着目し、武士の誕生の秘密を明らかにする。
  • 博徒の幕末維新
    -
    黒船来航後の動乱期、それまで歴史の裏に潜んでいたアウトローたちが表に躍り出てくる。なぜか? 博徒・侠客としてひと括りにされる彼らアウトローは、錦絵や講談・浪曲、大衆小説等で縦横無尽の活躍を演じていたが、それは虚実入り混じっての密着固結したイメージで、実像とはとても言い難い。著者は虚像を覆う危うい皮膜を一枚一枚剥ぎながら、島抜けをした甲州博徒の巨魁・竹居安五郎やおなじみの国定忠治、黒駒勝蔵、勢力富五郎らの実像に一歩一歩迫る。歴史学の手法にのっとって幕末維新史に博徒を位置づけ直した、記念碑的労作。
  • 立憲的改憲 ──憲法をリベラルに考える7つの対論
    5.0
    2018年3月、安倍晋三総裁率いる自民党は「九条二項を維持した上での自衛隊明記」という改憲案を発表した。戦後初の改憲発議が目前であるのに、中身はあまりにも短絡的でお粗末な構想と言わざるをえない。民意をないがしろに横暴を続ける政権への対案として、国民の意思で真に権力を縛るための憲法改正、2015年安保法制時に議論された立憲主義を取り戻す「立憲的改憲」を今リベラルの側から提起し、気鋭の論客とともに自衛権、安全保障、統治機構、違憲審査、改憲そのものの作法など多方面から吟味する。
  • 社会保障入門 【シリーズ】ケアを考える
    -
    本当に自分が老後に年金をもらえるのか。親に介護が必要になったら、行政は何をしてくれるのか。重い病気にかかったとき、どのくらい医療費がかかるのか。超高齢化時代のいま、将来の先行きがみえないため、誰もが社会保障に不安を感じている。さらに、その仕組みは複雑でわかりにくく、知らないことだらけ。そうした不安を解消すべく、年金、介護、医療だけでなく、労災や失業、もしものときの生活保護、子育て世代を支える仕組みなど、広範囲な社会保障を一冊まとめて解説する。
  • 西洋美術史入門
    5.0
    名画にこめられた豊かなメッセージを読み解き、絵画鑑賞をもっと楽しもう。ヨーロッパの中高生も学ぶ、確かなメソッドをベースにした新しい西洋美術史の教室へようこそ。
  • 論証のレトリック ──古代ギリシアの言論の技術
    -
    聞き手が思わず納得してしまう、説得力のある議論とはどのようなものか。ある主張の当否を見極めるためにはどんな点に着目すればよいのか。その手掛かりは古代ギリシアの思想家たちの「言論の技術」にある。本書では、アリストテレスを中心とした古代ギリシアのレトリック(レートリケー)理論、問答弁証術さらには論理学などを幅広く紹介。議論を組み立てる際の骨格となる、論証の基本的な型を整理していく。「どんな事柄に関してでも、可能な説得手段を見つける能力」(アリストテレス『弁論術』)としてのレトリックを磨く画期的入門書。
  • 英米哲学入門 ──「である」と「べき」の交差する世界
    -
    私が生まれる前にも世界は本当に存在していたのか? ものごとには原因と結果があるという確信は、実は思い込みにすぎないのではないか? この世界の当たり前のありようを疑い、立ち止まって問うてみること。それこそが哲学の入口であり核心である。ロック、バークリ、ヒューム、ラッセル、ウィトゲンシュタイン……「経験」や「言語」を足場に考え抜いた哲学者たちの議論を糸口に、素朴にして深遠な哲学の根本問題へといざなう。事実(である)と規範(べき)が織りなす世界の謎を読者とともに思考する、笑いあり涙あり(?)の入門講義。
  • 高校生のためのゲームで考える人工知能
    -
    今やデジタルゲームにかかせない「人工知能」。どう作るとプレイヤーを楽しませるゲームになるだろうか。人工知能を考えることは、「知性」とは何か、「人間」とは何か、を考えること。さあ一緒に人工知能の正体に迫る冒険にでかけよう。
  • バナナの皮はなぜすべるのか?
    3.0
    人類の誕生以来、最もポピュラーなギャグ=「バナナの皮すべり」は、いつ、どこで、誰によって、どうやって生みだされたのか? この素朴な疑問を解決するべく、マンガ、映画、文学作品、テレビ番組、ウェブサイトから、はては「実際にバナナの皮ですべった事件とその社会的背景」までを調べに調べつくす! 「バナナの皮」論のパイオニアにして決定版。
  • 明治史講義【テーマ篇】
    -
    幕末・維新期を例外として、明治史について、一般向けに専門研究が紹介されることは多くない。だが、学界においては、明治時代全般にわたる研究が近年も着実に進められている。そこで、信頼できる研究を積み重ねる若手・中堅の実証史家の知を結集。20のテーマで明治史研究の論点を提示し、旧態依然とした過去の歴史観に縛られず、また実証性のない偏った見方にも左右されない、歴史研究の確かな最前線を提示する。続刊『明治史講義【人物篇】』とあわせての明治150年記念出版。
  • 絶滅危惧の地味な虫たち ──失われる自然を求めて
    -
    日本には名前がついているものだけで3万種近く、推定上は10万種の昆虫がいるとされている。しかし、そのなかで、すでに滅んだもの、滅びの道を歩み始めているものがいる。その状況に対して、保護活動が行われているが、綺麗なチョウやトンボ、ホタルや大型の甲虫ばかりが重要視されており、小さくてとにかく地味な虫は、おざなりに扱われている。そこで、日本各地にそれらの虫を探しまわり、発見するまでの格闘、発見した時の喜び、そして虫への溢れる思いを綴っていく。電子書籍版では、写真をカラーで収録。
  • 世界がわかる地理学入門 ──気候・地形・動植物と人間生活
    -
    世界には、さまざまな場所があり、多様な人々が暮らしている。そして、そんな各地の人間の暮らしは気候、地形、植生など色々なものの影響を受けている。ふだんは気づかなくとも、私たちの生活は自然と密接に結びついているのだ。「世界一美しい」ナミブ砂漠はなぜ赤いのか? ヨーロッパでオープンカフェが好まれるのはなぜなのか? 本書では、気候区分ごとに世界各地の自然環境と人々の暮らしを解説。50か国以上を訪問した著者による楽しいエピソードや写真も満載で、世界を知る楽しさが沸き起こる一冊。電子書籍版では、写真をカラーで収録。
  • 現代語訳 応仁記
    -
    日本史上類を見ない泥沼の長期戦となり、京中を焼き尽くすに至った応仁の乱。『応仁記』は、乱が終結してほどなく書かれたとされる軍記物である。作者は現在も未詳だが、戦乱勃発の背景から文明5年(1473)の山名宗全の死に至るまでの過程を克明に描いたその筆致は、「あの戦いはいったい何であったのか」という、当時の人々が抱いたであろう虚無感を現代にまで伝えている。応仁の乱を知るうえで欠かせない、貴重な第一級史料。
  • 日本の外交 ──「戦後」を読みとく
    -
    戦後日本の驚異的な復興と経済成長を支えたのは、軽武装・日米基軸主義の基礎を築いた吉田茂の外交路線であった。だが、憲法九条を堅持したまま日米安保条約を結ぶことでねじれを抱えた吉田路線は、左右の政治勢力からの攻撃にさらされる。その様は、日本の国家像が左右に分裂したことを意味していた。そこに潜む「戦後」の呪縛を解き、外交戦略を再設計するには、吉田による「中庸」の選択の意味を深く問いなおすことが不可欠だ。こうした視座から戦後日本の歩みに新たな光をあて話題を呼んだ『日本の「ミドルパワー」外交』を、刊行後十余年の展開をふまえ全面改訂した決定版。
  • ナショナリズム ──その神話と論理
    -
    日本ナショナリズムは、なぜ第二次大戦という破局的帰結にいたったのか。それ以外の可能性は本当に存在しなかったのか。──これが、かつて自らも日本浪漫派に熱狂した青年であった橋川文三が生涯抱え込んだ難問であった。この問いに向き合うべく、橋川は明治維新前後の黎明期へと遡行し、その起源に肉薄する。水戸学から松陰へと至る士族の流れと中間層における国学の系譜との相克。その間隙を衝くように行われた明治政府の国民統合政策。「隠岐コミューン」に託したもう一つの可能性……。日本ナショナリズムの形成過程をダイナミックに描き出す、第一級の古典。
  • 記号論
    -
    文字、数字、音符、絵画、人の表情や動作、空に浮かぶ雲のたたずまい……人間にとって世界は膨大な記号の集積だ。世界を解読するのにも、表現するのにも、記号は不可欠のツールであり、われわれは日常においてそれを疑うことなく用いている。しかし記号の使用は、無制限にいつも成り立つものなのか? こう問い直すことで世界や人間の営みを解明する糸口が開ける。たとえば、心をめぐる謎を解く手がかりも、記号と心についての常識を疑ってみるところから得られるのだ。さまざまな領域における記号の構造を解説し、それを読み解く最強の技術、論理学の基礎へと、最小限の道具立てで易しく誘う。
  • 聖書の起源
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    キリスト教の正典、「聖書」──その奥にひそむのは、古代オリエントやギリシアのあらゆる神々の姿が織り込まれ、ユダヤ民族悠久の歴史が幾重にも積み重ねられた、多文化的な空間であった。異教のバァール神話の死と復活のドラマ。ギリシア神話のアドニスとアフロディテの出会いと別れの物語。エーゲ海であがめられた治療の神アスクレピオス。治癒神イエス登場の背後には、これら異端の神々の系譜を透かし見ることができる。従来の宗教学的解釈では光をあてられることのなかったこの歴史を、宗教人類学の視線から掘り起こし、のちの聖書の読みを決定づけた古典的名著。
  • にっぽん洋食物語大全
    -
    トンカツ、コロッケ、ライスカレーの発明、戦争が需要を増大させた牛肉・豚肉、白くて気味悪がられた西洋野菜・白菜、数々の文豪を虜にしたアイスクリーム、明治天皇と福沢諭吉がPRに一役買った牛乳──。素材・料理法からテーブルマナー、はては食堂車まで、日本人は如何にして西洋食を取り入れ、日本独自の食文化「洋食」として育て上げたのか。
  • 偉大な数学者たち
    -
    ガウスは50桁ぐらいの計算はものともしなかった。むしろ楽しみですらあった。しかも数字に異常な記憶力があり、いちど計算したことのある数は自在に取り出すことができた。整数の研究にも熱情を注ぎ、法則の発見のために独力で大きな数表をつくった。素数の表、二次剰余・非剰余の表、1000以下の素数の逆数の表……。このように数学の神に導かれたガウスもいたし、一生を数学に生きたオイラーもいた。狂熱に引きまわされ短い生涯を駆け抜けたアーベルやガロアもいた。他にアルキメデス、ニュートン、ライプニッツなど全20人が登場。天空を舞うような彼らの高揚感を熱くつづった「数学者物語」。
  • 日本の経済統制 ──戦時・戦後の経験と教訓
    -
    統制とは、市場の価格機構に何らかの方法で干渉し、その機能を制限することである。日本における経済統制は、世界恐慌による危機的状況への企業の自主対応から生まれた。やがて、日中戦争(日華事変)の勃発、太平洋戦争への突入と戦争が全面化するにつれ、性格を変貌させていく。国家による軍需生産への集中とそれ以外の生産物への介入拡大という、統制が統制を呼ぶ事態のなか、破局へと突き進む日本―。昭和12年(1937)から昭和25年(1950)までの国家統制時代を中心に、名著『昭和史』の著者が経済の動きについて全体像を提示する。戦後の出発を決定づけた戦時中の経験とは何であり、現代に何を教えるのか。
  • 点と線から面へ
    -
    芸術にも科学を──。20世紀はじめに“抽象絵画”の概念をいち早く提唱し、絵画作品の新局面を切り開いたカンディンスキーが試みたのは、絵画の構成要素を徹底的に分析し、理論的・科学的に吟味することだった。点や線がもつ本源的な力を把握すること。そうしてこそ、それらが平面の上に置かれたときに相互に共鳴し合い、生きた作品としての“コンポジション”が実現するのだ。絵画にとどまらず、さまざまな造形芸術に大きな影響を与えた古典的名著。
  • 増補 十字軍の思想
    -
    聖地エルサレムを異教徒たちから奪還すべく、中世ヨーロッパで構想された「十字軍」。それは神の名において行なわれる聖なる戦争であり、参加者に救済をもたらすとして、無数の人々を戦いに熱狂させ、ムスリムの大量虐殺をひきおこした。制度としての十字軍は16世紀末に終わりを迎えるが、9.11以降、現代まで続く一連のテロ事件と、それに対する欧米社会の反応は、「十字軍」が決して過去の歴史ではないことを明らかにしている。なぜ「聖戦」は繰り返すのか? 対立の根源にあるものとは? 十字軍の思想1700年の歴史を辿り、いまなお世界を脅かす確執の構造を解き明かす。
  • 数学的センス
    -
    「美しい数学とは、つまり詩なのです」いまから数学者になるつもりはないけれど、そんなふうに数学の美しさを楽しめたら……。しかし、わかりきったようなことを論証するのはなぜだろう。わからないとき、数学者はどうしているのだろう。わかったときの喜びってどんなものだろう。見えてないものをどうしてまるで実際にあるように扱えるのだろう。なぜ……。数学の美しさ、愉しみ方、考え方などを、具体的な事例を使い、ユーモアのある語り口で、ていねいに語りほぐします。コンプレックスを軽くしてくれる、心やさしい数学再入門エッセイ。
  • 柄谷行人講演集成1995‐2015 思想的地震
    -
    われわれは、もはや脱構築ではなく、建設をこそ語らねばならない──。あらゆるものが瓦解したこの20年間に、思想家・柄谷行人は、はたして何を考え、語ってきたか。本書は、その崩壊が誰の眼にも明らかとなった1995年以降の講演を著者みずから精選した、待望の講演集である。近代文学の使命とその盛衰を反照的に論じた「近代文学の終り」、日本にいつしか根づいた特異な民主主義観を、近代における個人化という根源から再考する「日本人はなぜデモをしないのか」など、計11本の講演を収録。その言葉には、いま最も必要とされる強靭な思想が確かに宿っている。学芸文庫オリジナル。
  • ロマン派の音楽家たち ──恋と友情と革命の青春譜
    -
    メンデルスゾーン(一八〇九年)、ショパン(一八一〇年)、シューマン(一八一〇年)、リスト(一八一一年)、ワーグナー(一八一三年)。国は別々だが、一八一〇年前後に生まれた彼らは、友人として緩やかなサークルをつくり刺激しあいながら、“新しい音楽”を創作した。溢れる才能と情熱を生み出したそのネットワークとはどのようなものだったか。恋愛や交流、時代の波は、大作曲家たちの作品にどのような影響を与えたか。同時代を生きた巨人たちの人生から、十九世紀に花開いたロマン派音楽の深奥に迫る!
  • 数学の好きな人のために ──続・数学をいかに使うか
    -
    数学好きの読者に贈る“使える数学”第2巻。前著『数学をいかに使うか』を読んでいなくても楽しめる。非ユークリッド幾何学、リー群のほかド・ラームの定理、p‐進体とハッセの原理など話題多数。有用さという視点から数学の広い世界を展望できる得難い入門書。書き下ろし文庫オリジナル。
  • 公理と証明 ──証明論への招待
    -
    数学は学問のなかでもっとも確実なもの、疑えないものと考えられている。数学の確かさは、出発点となる命題、つまり「公理」から、「証明」によって新しいことを導き出すという推論のしくみによって保証される。しかし公理や証明それ自体の確からしさは、いかにして基礎づけられるのだろうか? カントールの創りだした集合論が実は矛盾含みであることをラッセルが明らかにすると、数学者たちはこの問題に目を向けざるをえなくなったのだった。公理とは、証明とは何か? 本書はあらゆる数学の基礎となる公理系のしくみ、そして数学全体を見渡す理論である証明論の初歩を、具体例をもとに平易に解説した「数学の基礎」入門である。
  • 数学をいかに教えるか
    -
    日米両国で長年教えてきた著者が日本の教育を斬る。掛け算の順序、悪い証明と間違えやすい公式のことから外国語の教え方まで。文庫オリジナル書き下ろし第4巻。
  • 数学で何が重要か
    -
    数学愛好家のための書き下ろし第3巻。代数的整数論で何が重要か、2次形式の理論、強近似定理や数学オリンピック、外国数学者達との交流のことなど。巻末に前著への附録を付す。
  • 数学をいかに使うか
    -
    歴史的な発展を念頭に置きつつ、“どう使うか”という立場から書かれた入門書。在来の教科書が教えてくれない有用な定理や考え方を多数紹介。書き下ろし文庫オリジナル。
  • 空海入門 ──弘仁のモダニスト
    -
    真言宗の開祖であり、傑出した思想家・芸術家。唐代の新しさを日本へ移入し、「個人」と「自由」を発見した“モダニスト”。それが空海である。9世紀、弘仁時代の先鋭的表現ともいえるこの人物は、生涯にわたり自らの探求心につき動かされていた。高野山が空海にとって特別な地であり続けた理由も、そのことを無視しては理解できない。空海における自己探求とはどのようなものであったのか? 本書では、『性霊集』『三教指帰』『請来目録』など、空海自身の著作の読解と足跡の探訪を通して彼が生きたであろう時空を共有し、その実像に迫る。稀有な個性の魅力と同時代性を深い共感とともに伝える入門書。
  • 論語
    -
    「巧言令色、鮮し仁」「故きを温ねて、新しきを知る、以って師と為るべし」「今汝は画れり」―二千五百年もの間読み継がれ、多くの人々の「精神の基準」となった古典中の古典を、格調高い書き下ろし文で心に刻み、達意の現代語訳で味わう。温かく、刺激的で、ときには厳しく、ときにはユーモアが漂う孔子の言葉。いつでもどこでも、生き生きとした精神に出会うことができる新定番の一冊。
  • 日本文法体系
    -
    日本語文法を理解するには、日本語の起源から問いなおさねばならない。日本語の発展史に即した文法理論が必要であり、西洋語の文法を日本語に当てはめた現在の学校文法に代えて、新たな文法体系を打ち立てねばならないのだ。現在を示す「あり」(r)、過去の「き」(k)、推量の「む」(m)、形容の「あし」(s)の組み合わせで成り立つ時の助動辞をはじめ、日本語の隠れた構造を明らかにし、豊富な古文の実例をもとに、日本語文法の本質に迫る。まったく新しい理論体系。
  • 戦争がつくる女性像
    -
    第二次大戦中、日本の軍部は戦時体制の中で女性をどのように位置づけていたのだろうか。またその役割へと女性たちを動員するために、国家・メディアはどのようなプロパガンダを展開したか。本書は、戦時下において160万部の発行部数を誇った「主婦之友」をはじめとする婦人雑誌の表紙や口絵の絵画作品を徹底的に検証し、「戦時文化」のイメージが女性をどのように戦争へ誘導していったかを解き明かす。もの言わぬ「母」たちの体験した大戦はどのようなものであったのか、新たな戦争史の誕生。
  • 「論語」の話
    -
    政治が乱れ、人の世が荒み果てていた時代、現在の人間に失望しつつも未来の人類に対して期待を抱き、人間の可能性に大きな信頼を持ちつづけた孔子。「論語」全訳・注釈を手がけた中国文学の碩学が二十篇五百章を自在に読みこみ、孔子の生き方と思想をわかりやすく解き明かす。「子曰く、仁遠からんや、我れ仁を欲すれば斯ち仁至る」。伊藤仁斎や荻生徂徠ら江戸の学者をはじめとする人々は「論語」をどのように読んだか。また、孔子が説きたかった仁とは何だったのか。諸国を旅して味わった失望や、弟子や民との対話を通して、孔子を語り、吟味する最上の入門書。
  • 議論入門 ──負けないための5つの技術
    -
    人を納得させる議論には「型」がある。「定義」「類似」「譬え」「比較」「因果関係」──たった五つの論法さえきちんと使いこなせれば、誰だって自分の考えを的確に表現できるようになり、一見もっともらしい相手の主張の弱点も見えてくる。教育現場でディスカッションなどを指導する際の手引きとして書かれた本書には、議論に欠かせないこれらの技術の使い方と、それに対する反論の仕方といった、私たちが身につけておくべきイロハが明快に論じられている。豊富な実例を通して論証・反論の技術を磨く、確かな修辞学的知見に裏打ちされた入門書。『議論の技を学ぶ論法集』文庫版。
  • 右手の優越 ──宗教的両極性の研究
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    右手の名誉と特権に対して、左手は常に隷従の立場におかれている。この人類共通の謎に対するフランス社会学黄金期の著作。併録「死の宗教社会学」
  • カトリック入門 ──日本文化からのアプローチ
    -
    なぜカトリックは日本では受け入れられてこなかったか。それは日本文化の中核にある宗教性・霊性ゆえである。鈴木大拙や西田幾多郎は、神は世界ないし自己に内在することを徹底的に肯定するのが日本的霊性だとする。だが、こうした立場からも実はカトリシズム理解は可能だし、日本的知性が超越的なものに新たな見方を加え、より豊かにする可能性もある。超自然、創造、信仰と理性の問題などを日本的文脈から説明。中世哲学・カトリシズムの碩学による、待望のキリスト教入門。
  • 新しい自然学 ──非線形科学の可能性
    -
    非線形科学──それは近代科学が久しく避け続けてきた「自然の生きた姿の記述」に挑む新しい科学だ。例えばホタルたちの明滅が揃う同期現象や、物質の濃淡が形作る自己組織化のしくみはこの科学によって解き明かされる。本書では、非線形科学を一つの切り口としつつ、この分野の第一人者がより豊かでみずみずしい科学の可能性を探る。そして、科学知をも超えた新しい時代の知のあり方にまで思考の翼を広げる。

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