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非線形科学──それは近代科学が久しく避け続けてきた「自然の生きた姿の記述」に挑む新しい科学だ。例えばホタルたちの明滅が揃う同期現象や、物質の濃淡が形作る自己組織化のしくみはこの科学によって解き明かされる。本書では、非線形科学を一つの切り口としつつ、この分野の第一人者がより豊かでみずみずしい科学の可能性を探る。そして、科学知をも超えた新しい時代の知のあり方にまで思考の翼を広げる。
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Posted by ブクログ
科学観の修正を迫った論。 理解が平易なのが本書の最大の特徴だ。 平易さは、数学的に深く入らないことが一つ。これは私としては物足りないが。しかし、非線形科学がどのような現象かは分かる程度に踏み込んでいる。 もう一つは、私たちの時代と生の営みに即して語っていることからもたらされている。 様々な意味で...続きを読む、科学的であることにこだわりが強い人は一読の価値があるだろう。
買ったのは5年前で、ずいぶん積読になっていた。著者である蔵本由紀先生の本としては2冊目である。数式を使わずに言葉だけで記述しているためか、文章が難しいと感じた。おそらく文章の書き方が私とは違うためだろう。哲学的な議論は若干「言い過ぎ」の感がなきにしもあらずだが、ご専門の物理学の立場から考えるとこのよ...続きを読むうな言い方になるのだろう。たとえば「ロボットは果たして意識(心)を持ちうるか」という議論が二元論だとして懐疑的な意見を述べておられる。これはAI研究者として見た場合、「意識(心)の働きと呼ばれるものを人工的に作りうるか」という意味だと捉えれば、決して二元論だとは思えないのである。
物理学者である著者が、科学的視点や自然観とは何かを問い直すという、壮大で根源的な問題に取り組んだ書物。 三部に分かれ、最初と最後の方は比較的平易だが、肝心の「非線形科学」に触れられている第2部が、物理学の素養のない私にはちょっと難しかった。 「非線形科学」についても、非常に簡潔に述べられており、素人...続きを読むの私には把握しきれない。たぶん本書は、広く一般人のために書かれたというよりも、自然科学をある程度以上学んできた学徒に向けて書かれたものと位置づけるべきだろう。 リズム現象など興味深いエピソードもあったが、とにかく把握しきれないために頭に残らなかった。残念。
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