下巻では、1945年から89年までの歴史が語られています。
上巻と同様興味深く読みました。ただ、終戦を境に上巻と下巻に分かれているためにそうした印象を受けただけなのかもしれませんが、戦前および戦時期と戦後との連続性に関して、若干説明が手薄になっているような気がします。経済にかんしては、近年野口悠紀
...続きを読む雄が『戦後日本経済史』(新潮選書)で戦時経済体制が戦後の日本経済におよぼした影響について立ち入った考察を展開していますし、科学史の分野では廣重徹が早くからそうした問題について鋭い分析をおこなっていたことはつとに知られているとおりです。
また、朝鮮戦争やオイル・ショックなどの大きな振幅を孕みつつも順調に経済成長を遂げてきた戦後日本における文化や人びとの意識における大きな変化についても、もうすこし立ち入った説明がほしかったようにも思います。もっともこれは、ないものねだりに類する不満なのかもしれません。