敗戦復興から高度経済まで。マッカーサー統治下での日米思惑の衝突と支持、「もはや戦後ではない」と55年体制成立というターニングポイントである1955年、その後の高度経済成長と沖縄返還。そして経済大国へ。
本書の優れている点は、結果としての歴史だけではなく、そこに至る財界動向や与野党政局などにも詳述さ
...続きを読むれている点であろう。一方、下巻の後半は急に学生運動や庶民生活、文学批評が登場し、上巻の硬派な内容からすると多少違和感はあった。
吉田茂から脈流する池田内閣そして佐藤内閣。昭和中~後期の勃興を支えた政治家たちの強烈な思想に基づく個性を感じた。マスメディアでは田中角栄がよく取り上げられるが、オイルショックの対応に追われ、施策の肝であった日本列島改造はわずか9ヶ月程度しか着手できなかったのは意外だ。
学校教育では、縄文弥生から始まり江戸幕府成立くらいまでで息切れ、逆に高校大学で政治経済として高度経済成長前後を授業するので、明治後期~昭和初期までがすっぽり抜けていることが多い。しかし歴史とは出来事の積み重ねと連続であることを考えると、こういう本はより多くの方に読んでいただきたいと思う。