アートファンの方ならきっと一度は訪れたことがあるだろう有名な美術ブログ「青い日記帳」。管理人の名前はTak(タケ)さん。ご本人は美術系の大学出身ではありませんが、年間300以上もの展覧会に足を運び、そのレポートを日々、活字にされています。
本書は美術鑑賞の初心者に向けて、西洋美術7章、日本美術8章と
...続きを読むして「しっかり味わう15の秘訣」が満載しています。ここで紹介されている15作品は、いずれも日本国内に所蔵先があります。年中展示されているわけではありませんが、見る機会は恵まれているでしょう。
美術鑑賞を趣味にする最初の一歩は人それぞれです。年数を重ねるうちに、好きなジャンルが幅広くなっていくこともあれば、気に入った美術分野をどんどん掘り下げていく人もいるでしょう。私自身は地方に住んでいるので、なかなか大型企画展に足を運ぶことができません。そのため狭く深くではなく、広く浅くの美術鑑賞になっています。でも、どうしても難しく考えてしまうジャンルがあって困っていました。工芸作品です。
これまで、日本伝統工芸展や柳宗理展、北大路魯山人の展覧会などに行っていますが、自分なりに楽しめているのか疑問を感じています。もっと技術的な凄さが理解できれば良いのではないかと、勝手に思ったりしています。
そんな不安定な気分のときに本書を読んでみました。本書では3つの工芸作品が紹介されています。
1、《蜻蛉文脚付杯》エミール・ガレ(サントリー美術館)
2、《曜変天目》(静嘉堂文庫美術館)
3、《藤花菊唐草文飾壺》並河靖之(清水三年坂美術館)
こまかく内容を書くとネタバレになってしまうので控えますが、なるほど工芸作品を見るポイントや楽しめるコツが書いてあります。一言だけ言うと、工芸品は絵画よりも暮らしに身近な道具であることです。壺であれ、器であれ、置き場所と設置する部分を高台と呼ぶそうですが、その高台が大好きな人もいるらしいです。車好きのタイヤマニアとか、城好きの石垣マニアみたいな感じでしょうか?無理して全体を論じようとするのではなく、まずは小さな部分、パーツを好きになってみるという方法も知りました。
もう一歩、踏み込めない美術分野があるならば、本書を読むことできっといいヒントを得られると思います。