作品一覧
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-2014年11月末現在、原油価格が急落している。背景には米国のシェールオイルの生産急増とサウジアラビアが減産を渋ることによる需給緩和がある。一方で中東では、イスラム国の勢力拡大など地政学リスクがくすぶっている。原油価格や中東の政治経済はどうなるのか。本書は、週刊エコノミスト2014年11月11日号の特集「原油急落と中東情勢」を電子書籍化しました。 主な内容は以下のとおり Part1 今なぜ原油急落か ・下値は1バレル70ドル台 世界経済減速と供給過剰 ・産油国の思惑 価格下げてもシェア防衛のサウジ ・「在来型」から「非在来型」へ 石油が簡単に掘れる時代の終焉 ・「イスラム国」とは何か イスラム法統治の国家を目指す ・イスラム国の勢力拡大を生む米国と中東諸国間の溝 ・中東諸国の経済 格差拡大、資源と人口で明暗 ・290兆円の中東オイルマネー 欧米離れ、アジア市場に照準 ・トルコ・イラン・エジプト経済需要3カ国を見る Part2 歴史と宗教早わかり ・イスラム成立とオスマン帝国崩壊 影響与え続ける「初期イスラム」現代を決定づけたオスマン崩壊 ・オスマン帝国崩壊後~現在 台頭するイスラム主義運動 中東政治の行方を左右 ・イスラム教とはどんな宗教? 五つの信仰行為を義務づけ ・混乱と暴力が続く理由 中東混乱の本質は階級闘争 ・ソーシャルメディア 反政府、テロ活動に巧みに利用
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
高橋新書ガイドから。不勉強だけに、かなりの労力を要した読書だったけど、充足感も大きかった。何よりも、中東・北アフリカを見るにあたり、ポイントとなる視点の端緒を得られたのは大きい。すなわち、本書の章立てでもある、国家、独裁、紛争、石油、宗教。ごく当たり前にも見えるけど、その当たり前に止まらない、一歩進んだ論点にこそ、本書の独自性がある。論旨の展開についても、前章で触れられたことが、次章で深堀りされるって感じで、理解が容易になるよう、丁寧に重層的に語られていく。独裁の章に感じる既視感のように、ジェンダー指数や国民満足度において、同国家群とどっこいどっこいの自国の体たらくに、暗澹たる気持ちになる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ20190527-0618 バランスよく解説された良書。2010年の「アラブの春」をきっかけに。長い封印から解き放たれた政治と宗教の関係、という古くて新しい問いに、イスラム諸国(主に中東・北アフリカか)は向き合っている。その問いに対する答えの一つが、イスラームの教えを政治に反映させるという「イスラーム主義」だった。と筆者は説く。オスマン帝国崩壊後、「あるべき秩序」の模索が今も続く中東で、イスラム主義が果たしてきた役割について、社会科学・人文科学双方のアプローチから、わかりやすく解説している。「イスラーム主義」について、前近代的なものと切り捨てるのではなく現代思想の一つとして読み解いていきたいな