末近浩太のレビュー一覧
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中東政治を歴史的背景から国家、紛争、石油、政治など様々な視点から紐解く良書。
国家、民族、宗教に深く根ざしている。民族としてはサウジアラビアを始め主要を占めるアラブ民族、イランのペルシア、それとトルコの3つに分かれる。そもそも20世紀初頭にオスマントルコ帝国をイギリスやフランスが帝国主義によって分割したところから始まる。そのためとても人工的な国家。石油の力、これはとても国民を治めやすくなる一方工業化は遅れる。石油のない国は工業化は進むが統治力がないため長続きせずソ連になびき、社会主義化がすすむ。イスラムは宗教上政治と結びつく.これらが複雑に絡み合って中東政治をわかりにくくしている。さらにイスラエル。
国家、民族、宗教にアメリカ、ロシア、中国、欧州の思惑が付加されている。 -
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タイトルにあるように中東政治への「入門」書ではあるものの、著者があとがきでいうように「ソフトすぎる概説書」と「ハードすぎる専門書」の間の橋渡しと言える本。確かに「門を入った向こう側に広がる知の世界へと読者を誘うための本」に間違いない。
イギリスの三枚舌外交で語られるような西欧の影響や石油、宗教など中東を特徴づけると思われる軸を踏まえながらそれだけではない中東の地域研究と社会科学の間を噛んで含めるように読者の思考のスピードに合わせて説明してくれる良書。
昔イエメンやモロッコを旅して仕事でサウジアラビアやドバイとも少しは関係した身としてとても興味深く読めたし知識としてもっと深く知りたいと思わせてくれる本だった。
著者は最近ニュース番組でイスラエルのガザ侵攻について解説を行なっていた。その名前を聞いて小学校と高校の同級生だと気づいたのがこの本を読むきっかけでした。素晴らしい本をありがとう。 -
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高橋新書ガイドから。不勉強だけに、かなりの労力を要した読書だったけど、充足感も大きかった。何よりも、中東・北アフリカを見るにあたり、ポイントとなる視点の端緒を得られたのは大きい。すなわち、本書の章立てでもある、国家、独裁、紛争、石油、宗教。ごく当たり前にも見えるけど、その当たり前に止まらない、一歩進んだ論点にこそ、本書の独自性がある。論旨の展開についても、前章で触れられたことが、次章で深堀りされるって感じで、理解が容易になるよう、丁寧に重層的に語られていく。独裁の章に感じる既視感のように、ジェンダー指数や国民満足度において、同国家群とどっこいどっこいの自国の体たらくに、暗澹たる気持ちになる。
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ネタバレ20190527-0618 バランスよく解説された良書。2010年の「アラブの春」をきっかけに。長い封印から解き放たれた政治と宗教の関係、という古くて新しい問いに、イスラム諸国(主に中東・北アフリカか)は向き合っている。その問いに対する答えの一つが、イスラームの教えを政治に反映させるという「イスラーム主義」だった。と筆者は説く。オスマン帝国崩壊後、「あるべき秩序」の模索が今も続く中東で、イスラム主義が果たしてきた役割について、社会科学・人文科学双方のアプローチから、わかりやすく解説している。「イスラーム主義」について、前近代的なものと切り捨てるのではなく現代思想の一つとして読み解いていきたいな、と思った。
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【「もう1つ」の解答と見なされて】近代に入り中東世界が揺さぶられる中で芽吹き,政治にイスラームを反映させることを試みてきたイスラーム主義。この考え方を様々な形を取るものとして捉え,その変遷をたどった作品です。著者は,比較政治学についての共著作品も手がけている末近浩太。
著者自身も記していますが,イスラームまたは中東政治についての日本語の書籍が数多くある一方,イスラーム主義については手に取ることができる作品の数が限られていたため,その入門として非常に魅力的な一冊でした。聞き知った歴史や出来事も,イスラーム主義の窓を通して見ると,また異なった意味合いが浮かび上がることが再確認できるかと。
〜中東の民主化,あるいはイスラームと民主主義の関係をめぐる「最適解」は最初から決まっているわけではなく,そこで暮らす人びとが主体となって時間と労力をかけて見つけていく必要がある。〜
抵抗感なく読める分量も魅力的☆5つ -
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複雑怪奇と思われがちな中東政治について、地域研究と政治学の両方の要素を持つ中東政治学のエッセンスを紹介しながら、「何が」起こっているかを「知る」だけではなく、「なぜ」起こったのかを「理解する」ための考え方を論じる。国家、独裁、紛争、石油、宗教という5つのテーマ別の構成となっている。
アラブの春、イスラム国の台頭、そして最近のパレスチナ(ハマース)とイスラエルの戦争など、度々深刻な問題が生起し混迷する中東政治について、「理解する」ための基本的視座を提供してくれる良書。
イスラム教の影響力が強いなど、中東は特殊な地域だとのイメージが先行しがちだが、本書はそのような中東例外論を排し、中東地域の固有性にも配意しつつ、他の地域にも適用可能な政治学の理論等を参照して、中東政治における様々な「なぜ」を読み解いており、とても参考になった。 -
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もともとは中東のある1カ国について学べる本を探していたのだがなかなか見つからず、半ば仕方なく手に取った。だったが、「中東」「イスラム」というベールに覆われて見えにくくなっているその世界の中に政治一般理論があるのかどうかを探るような、興味深い切り口の本で、初心者にはやや難しいところもあったものの満足な読後感である。
読み通して感じたことは、そもそもの「中東」の多様性 …政体から宗教との関わり方まで、本当に様々であること。その一方で、オスマン帝国という歴史を共有し、イスラームとの関係が国家のあり方に影響を与えているという共通点がやはりあるということ。これらの切り口を通すことで各国のあり方もわかりやすくなるのかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレたいへん意欲的な仕上がりになっていて目からウロコの一冊だ。
「中東」については、普段新聞で何らかの事件などをきっかけに、断片的に「宗教」や「政治・政体」について知る機会があるがどうもすっーと頭に入らない。本著のように中東を包括的に宗教や政治・政体、経済をつなげて解説していただくと理解が深まる、というか中東というものをとりあえず頭のなかで整理できる。
本著で紹介されている「石油の呪い」が大変興味深い。なぜ産油国は莫大な収益がありながら独自の先端産業が発展しないのだろうと思っていた。その理油が3つの呪いだ。
1 経済成長が不安定になる
石油価格の乱高下の影響やオランダ病が原因で国内の 工業化が思うように進まない。
2 紛争が発生するリスクが高まる
大きな富を生み出す石油産業だが、限定された地域や 雇用者に富が偏ることにより、持たざるものが武力で 利得を追求する。
3 家父長制が持続しやすくなる
国内産業が伸びないこと(オランダ病)や石油輸出収 入の国民への分配が増えることにより、女性の就労の 機会や意欲が低下してしまう。