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大学入学共通テストへの英語民間試験導入が突然、延期となった。政治には無関心と言われる10代の若者はなぜ立ち上がったのか? SNSや国会前でのデモなど、大きな役割を担った三人に取材し、大学入試改革とは何か、英語教育はどうあるべきなのかを解き明かす。
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Posted by ブクログ
10代と語る英語教育 ─民間試験導入延期までの道のり。鳥飼 玖美子先生の著書。これだけ学校で英語教育が行われているのに日本人の英語力は低いまま。英語教育にこれだけの時間とお金をかけているのにこのような状態なのは日本の英語教育が悪いからと結論付けるのは自然なこと。政治家が悪いのかお役所が悪いのか学校が...続きを読む悪いのか教師が悪いのか保護者が悪いのか生徒が悪いのかそれはわからないけれど。世界から見たら笑いもの。鳥飼 玖美子先生のように情熱をもって英語教育を考えている人が少なすぎるのかも。
丁寧に大学入試改革のことについて、時系列を追って書かれている。あの時の混乱を振り返ると、ああ、そうだった、とよく思い出せる。改革反対をした若者3人へのインタビューがちょうど良い割合で入っており、若者の危機感もよく分析し、また彼らの持っている力をしっかりと見極めている。 まだ大学入試改革は終わったわけ...続きを読むではない。これからも注視しなければいけない。
英語のスピーキング力を測るために利用されようとしていた民間試験の導入が中止に追い込まれた直接的な働きかけについてよくわかった。10代の当事者は、この問題をとても冷静に分析していて、粘り強く反対を訴えていたのだということを知った。私も、導入断念はあまりにも準備不足で当たり前だと思ったが、彼らの粘り強い...続きを読む反対がなかったら、準備不足のまま導入されていたのかもしれない。
大学入試に関する英語民間試験導入の1番の被害者であった高校生の視点を中心に、民間試験導入延期までの過程が鮮明に描かれていた。この本から学んだことは、大学入試改革についてはもちろん、おかしいと感じたものには声を上げて行動することだ。高校生の発言にあった「もやもやしたものを明瞭にしないでいると『あき...続きを読むらめてうまくつき合う』ようになり(中略)」という指摘は、自分の教員としての意識を強くさせてくれたものだった。 上から差し出される仕事やタスクを流れ作業のように大人がこなしていては、生徒が勉強を受け身のものだと感じてしまうの仕方がない。「何のためにやるのか」「何故やるのか」という目的意識を持って生きることが何においても重要で、大学入試という数値評価のものがゴールに待ち構えていたとしても、批判的思考や自律性を育むのが学校教育ですべきことだと痛感した。 また、3人の学生が各々の学校で孤軍奮闘していた事実も見逃せない。多くの高校生もきっと、この政策の被害者だと分かっていつつも、政治に声を上げることができないのだろう。それが政治への無関心から来るものなのか、もしくは無謀なことだと諦めているのかは分からないが、マイノリティをくすくす笑って見過ごす風潮はなんとしても変えていくべきものである。英語の発音が良すぎると教室でかえって笑われるという事実も同じように言える。 大人になって社会で生きていると、昔大切にしたいと思ったことや、こうなりたいという理想が風化してしまいそうになることがある。そんな自分を立ち止まらせて、振り替えらせてくれるのはいつだって生徒の素直な意見である。自分の生徒でなくても、こうやって本を通してでもハッと気付かせてくれる生徒のパワーは本当に強い。教員はそんな生徒の近くで生きることができる素晴らしい仕事なんだと改めて感じた。
英語民間試験の導入が昨年見送られた。その背景について詳述されている。中でも声を上げた3人の高校生と対話形式に議論が進み、今後のあるべき姿を考える構成。この高校生の「主体性」に頭が上がらない。このことが歴史になるときに大切な資料になるだろう。
最初は読みにくかったが、読み進めるうちに引き込まれた。特に3人の若者の生育歴や考えが書かれているところ。終章の大学入試についての課題のまとめも良かった。
NHKでは温厚に喋られる著者が熱く語られる教育書。 今の学生達のなかにもしっかり問題意識を持って行動に移していることがはっきりと読み取れます。 「教育にいってるのがああいう人たちですから」は衝撃的な一言です。
2019年の大学入試改革/高大接続改革反対運動は、多くの静かなスピーカーとアクティヴィストを生みだした。本書は、中でもとくに注目され、重要な役割を果たした3人の大学生と高校生それぞれに著者が行ったインタビューをまとめたもの。インタビュイーの3人がとてもクレバーなのは当然として、著者の問いかけから、...続きを読むその人となりというか、魅力的な個性とバックグラウンドが伝わってくる。個人的には、音晴君が高校現代文でソシュールやバルトを読むことで、「言葉を紡ぎながら思考を考える」「言葉に運ばれている」という認識を実感をこめて語っているところが、まさに「我が意を得たり」という感じだった。 ただ、これはむしろ編集側の問題と思うが、著者が個別に行ったインタビューにコメントを加えながらまとめていくというスタイルを取ったことで、3人のコメントを著者が「意味づけている」ように見えてしまうのは、とてももったいない。そうした印象を薄めるためにも、著者抜きの3人による鼎談を付ける、という行き方もあったように思う。 しかし、本書で一番重要なのは、じつは最終章で紹介されている「大学入試のあり方検討会議」の記録ではないか。一年間限定ということで、当初からその意義に疑問符が付けられた会議体ではあったが、著者のまとめを読むかぎり、本質的な検証の必要性がしっかりと提起され、2020年高大接続改革の限界と不当性、政治的圧力による無理押しという線は、基本的な認識として共有されているように見える。改めて「検討会議」の議事録を確認しておかねば。
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