小説・文芸 - 東京創元社作品一覧

  • 誰もわたしを愛さない 柚木草平シリーズ6
    3.8
    1巻715円 (税込)
    桜の花びらが散りさわぐ春。月刊EYESから、新担当の美女・小高直海の紹介と新たなルポの依頼を受けた柚木草平は、行きずりの犯行と思われる女子高校生殺人事件に気乗りがしないものの、原稿料のアップを約束されてしぶしぶと依頼を受けることに。被害者の同級生である女子高校生に圧倒されつつ調査を進める柚木は、事件が怨恨によって引き起こされた事実に気づく。哀しくも、周到に仕組まれた事件のからくりとは何か――?メガネ美女の新担当、美人エッセイスト、そしておなじみ吉島冴子や娘の加奈子にふりまわされる、人気私立探偵シリーズ第六弾。

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  • 幻詩狩り
    3.6
    1948年。戦後のパリで、シュルレアリスムの巨星アンドレ・ブルトンが再会を約した、名もない若き天才。彼の創りだす詩は麻薬にも似て、人間を異界に導く途方もない力をそなえていた……。時を経て、その詩が昭和末期の日本で翻訳される。そして、ひとりまたひとりと、読む者たちは詩に冒されていく。言葉の持つ魔力を描いて読者を翻弄する、川又言語SFの粋。日本SF大賞受賞。

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  • 不確定世界の探偵物語
    3.7
    ただ1人の富豪が所有する、この世に1台きりのタイムマシン――“ワンダーマシン”という名の装置が、世界をすっかり変えてしまった。過去に干渉することで突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ・・・・・・。おれは私立探偵。だが、常に歴史が変わる──つまり現在が変わりつづけるこの世界で、探偵に何ができるというのだろう? ある日おれはワンダーマシンの持ち主である“神”同然の富豪ブライスから、直々に依頼を受けたのだった。奴の正体とは? “伝説の巨人”鏡明が描く、かつてない時間SF。

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  • サニーサイドエッグ
    3.5
    1巻715円 (税込)
    私は最上俊平、私立探偵である。ハードボイルド小説を愛する、根っからの私立探偵である。ペット専門の探偵ではないのだ、決して。ある日、若く着物姿も麗しい女性が事務所を訪れた。ペット捜しなら、もう――「うちの猫を捜してほしいんです」はい喜んで。1カ月ぶりの仕事ではないか。そうこうするうち、「ブロンドで青い目の若い」秘書まで雇えることに。私が独自に習得した、猫捜しの極意「サニーサイドを捜せ」を伝授し、愛しの依頼主のための捜査は順調に進むはずが……。あの名作『ハードボイルド・エッグ』の続編、いよいよ登場!

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  • レンズの子供たち レンズマン・シリーズ4
    5.0
    ボスコーンとの死闘から20年。銀河調整官キニスンのもとに両銀河系で続発する非道な事件の報が届く――おびただしい数の宇宙船乗組員を狂わせる“宇宙の地獄穴”、各星系の惑星大統領を襲う失踪事件や流血事件――殲滅したはずのボスコーンが再興したのだ。キニスンは、かつて共に戦った3人の第二段階レンズマンを招集し、自らも出陣する。彼を支えるのは両親を凌ぐ驚くべき能力を持つ、第三段階レンズマンに成長した5人の子供たち。遠大な銀河未来史と人類進化のビジョンが語られる、スペース・オペラの到達点、完全新訳版。

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  • 第二段階レンズマン
    5.0
    百万隻の大艦隊を編成し、ボスコーンの本拠地を撃滅したキニスンたち。だが凱旋の喜びもつかのま、敵は意外にも超空間チューブを通って地球に大攻撃をかけてきた! 再び敵の追及にかかったキニスンは、奇妙な女性支配惑星を発見するが……。初の女性レンズマンとなった恋人クラリッサの助けを借りて、彼は第二銀河の奥深く潜入した。スペースオペラの至高作、完全新訳版。

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  • グレー・レンズマン
    4.3
    宇宙海賊ボスコーンの首領ヘルマスの拠点が撃滅される瞬間、一本の通信ビームが発せられていた。ビームが向けられた先は、はるか前人未踏の第二銀河系、ランドマーク星雲。さらなる上位機関の存在を察知した独立レンズマン、キニスンは、巨艦〈ドーントレス〉号を率いて勇躍第二銀河系へ乗り込むが!? 前作を凌ぐ圧倒的なスケールで展開する、スペース・オペラの最高峰第2弾を新訳決定版で登場!

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  • 銀河パトロール隊
    4.1
    銀河系に跳梁する正体不明の宇宙海賊ボスコーン。超兵器を操り襲撃を繰り返す彼らに立ち向かうは、銀河文明を守るパトロール隊とその精鋭、レンズマンである。新人レンズマン、キムボール・キニスンは決戦に赴くべく、新兵器“Q砲”を搭載した最新鋭艦〈ブリタニア〉号で出撃する!横溢する超科学アイデアと銀河系さえ瞬時に越える壮大なスケール。スペース・オペラの金字塔を完全新訳版で贈る!

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  • 臨床探偵と消えた脳病変
    4.2
    医科大学の脳外科臨床講義初日、初老の講師は意外な課題を学生たちに投げかけた。ある患者の脳にあった病変が消えてしまった、その理由を考えてみろ、正解者には今期の試験においてプラス50点を進呈する、というのだ。学生たちは推論を重ねていくが、一向に正解に辿り着けない。しかし、西丸豊という学生ただ一人が真相を導き出す――。選考委員が絶賛した第11回ミステリーズ!新人賞受賞作「消えた脳病変」他、臨床医師として活躍する後の西丸の姿を描いた連作ミステリ集。現役医師がソリッドな謎解きで贈る、“臨床探偵”西丸豊の推理。/【収録作】「血の行方」/「幻覚パズル」/「消えた脳病変」/「開眼」/「片翼の折鶴」/解説=米澤穂信
  • 福家警部補の再訪 福家警部補シリーズ2
    3.9
    しがない探偵から転身し上昇気流に乗った警備会社社長、一世一代の大芝居を自作自演する脚本家、天才肌の相棒と袂を分かち再出発を目論む漫才師、フィギュア造型力がもたらす禍福に翻弄される玩具企画会社社長――犯人側から語られる犯行の経緯と実際。対するは、善意の第三者をして「あんなんに狙われたら、犯人もたまらんで」と言わしめる福家警部補。百戦不殆のシリーズ第2集。著者が刑事コロンボに寄せる熱い想いに溢れた、4編を収録。

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  • もろこし紅游録
    3.6
    三皇五帝のひとり黄帝が造った銀牌は何千年も受け継がれてきた天下御免の証、これを持つ侠客の前には皇帝の勅命とて無力である。仙人めいた老人かと思えば若き豪傑であったり、はたまた美しい少女であったりする“銀牌侠”は、明晰な頭脳と無敵の武術を具えた謎の存在として、今日も旅の空で弱気を助け強きを挫く。蘇州では饅頭の売り上げを奪われかけた十歳の少年を助けてやり、お礼をしたいからと家に誘われたところが……。第3回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」に始まった“銀牌侠”伝説、戦国から民国時代の中国を舞台に描く第2集。

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  • やさしい死神 落語シリーズ3
    3.9
    落語専門誌「季刊落語」の編集部に配属された当初は大いに困惑した間宮緑だったが、徐々に馴染み、牧大路編集長との掛け合いも板についてきた。前座を卒業、そろそろ二つ目編集者というところか。総員二名の編集部には、なぜかしら校了前の忙しい時を狙ったように落語がらみの騒動が持ち込まれる。過去幾度も名探偵の横顔を見せてきた牧だが、平素は携帯電話の電源も入れずに寄席を回るばかり、仕事はそっちのけで全く当てにならない。そのあおりで緑のサービス残業と休日出勤は着実に増えていく。そして、山と積まれたゲラを前にした今日も……。

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  • 少女の鏡
    3.3
    「おまえ一昨日、旧校舎に行ったりしてないよな?」クラスメイトに言われて驚いた。美弥は旧校舎に足を踏み入れたことはない。学校の七不思議では旧校舎の鏡に姿を映すと、鏡の中の自分が抜け出て襲いに来るらしい。その後も覚えのない場所で彼女を見たという目撃者が続出、ついに美弥自身も出会ってしまった。そのとき、助けてくれたのは大きな犬と、その犬を兄と呼ぶ少年朱鷺だった。朱鷺は各地を旅して呪物を集めているらしい。半信半疑のまま美弥は自分に起きている奇妙な出来事を彼に打ち明けるが……。『魔導の系譜』の著者の新シリーズ開幕。
  • 弥助、命を狙われる
    4.2
    「近いうちにおまえの愛しいその子を奪ってやるわ、白嵐」妖怪奉行所の牢獄から脱獄した女妖は、そう告げて姿を消した。以来、太鼓長屋に住む弥助は、養い親である千弥の過保護ぶりに息が詰まりそうだった。自分の命が狙われているのだ、弥助だって怖くないわけはない。だが、あんな女のせいで怯えて暮らすなんていやだ。意地でも普通に暮らし、妖怪の子預かり屋の役目も果たしたい。月夜公の強力な結界が張られた長屋の領域から出ないことを条件に、しぶしぶ千弥も弥助の願いを聞き入れたものの……。大人気のお江戸妖怪ファンタジイ第8弾。
  • 綺譚集
    4.1
    散策の途上で出合った少女が美しく解剖されるまでを素描する「天使解体」、白痴の姉とその弟が企てる祖父殺し「サイレン」、陵辱された書家の女弟子の屍体が語る「玄い森の底から」等、妖美と戦慄が彩る幻想小説や、兎派と犬派に分かれた住民たちの仁義なき闘争を綴る「聖戦の記録」の黒い笑い、失われた女の片脚を巡る「脛骨」の郷愁、ゴッホの絵画を再現した園に溺れゆく男たちの物語「ドービニィの庭で」の技巧等々。文体を極限まで磨き上げた十五の精華を収める。孤高の鬼才による短篇小説の精髄。※紙書籍版とはカバー画像が異なります。/【収録作】「天使解体」/「サイレン」/「夜のジャミラ」/「赤假面傳」/「玄い森の底から」/「アクアポリス」/「脛骨」/「聖戦の記録」/「黄昏抜歯」/「約束」/「安珠の水」/「アルバトロス」/「古傷と太陽」/「ドービニィの庭で」/「隣のマキノさん」/解説=石堂 藍
  • 奇商クラブ
    3.0
    優れた法曹家でありながら法廷で発狂し、今は隠棲しているバジル・グラントと友人たちは、善良な大佐を見舞う恐ろしい陰謀や、奇妙な拉致事件の被害者となった牧師が語る信じ難い体験談などに接するうちに、あるクラブの会員たちと出会う。会員は既存のいかなる商売のバリエーションにもあたらない「完全に新しい商売」を発明し、それによって生活を支えなければならない――この一風変わった結社は「奇商クラブ」と呼ばれていた。チェスタトンが〈ブラウン神父〉シリーズに先駆けて発表した六篇を新訳で贈る。/解説=小森収
  • ひとめあなたに…
    3.9
    昨日、女子大生の圭子は最愛の恋人・朗から、突然の別れを告げられた。自分は癌にかかっていて余命いくばくもない、というのだ。茫然自失する彼女の耳に、同時にこんなニュースもとどく。“1週間後、地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない”。――圭子は決意した。もういちどだけ、別れていった朗に会いに行こう。そして練馬の家から、彼の住む鎌倉をめざし、彼女は徒歩で旅をはじめたのだった。道中で圭子が出会う4人の物語を織りこんで紡がれる名作破滅SF。――来週、地球が滅びるとしたら、あなたはどうやって過ごしますか?/解説=東浩紀
  • シャーロック・ホームズの蒐集
    4.0
    1927年、アーサー・コナン・ドイルによる最後のシャーロック・ホームズ活躍譚「〈ショスコム・オールド・プレース〉」が《ストランド・マガジン》に掲載されて以降も、この不滅の人気を誇る名探偵の贋作は、数多くの作家によって書かれてきた。本書はそれらに連なる至高の傑作である。大英帝国を縦横無尽に駆け巡るシャーロック・ホームズと相棒ワトスン博士の〈語られざる事件〉を、世界有数のホームズ・ファンが愛と敬意を込めて作品化した、最高水準のパスティーシュ。「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」など6編を収録。【収録作】「遅刻しがちな荷馬車の事件」「結ばれた黄色いスカーフの事件」「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」「憂慮する令嬢の事件」「曲馬団の醜聞の事件」/単行本版あとがき/単行本版解説=日暮雅通
  • 闇の虹水晶
    4.7
    その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう。それが創石師ナイトゥルにかけられた呪い。人の感情から石を創るたぐい稀な才をもつがゆえに、故国を滅ぼし家族や許婚を殺した憎い敵に、ひとり仕えることになったナイトゥル。憎しみすら失い、生きる気力もなくしていた彼は、言われるまま自らの命を削る創石師の仕事をしていた。そんなある日、怪我人の傷から取り出した黒い水晶が、彼に不思議な幻を見せる。見知らぬ国の見知らぬ人々、そこには有翼獅子(グリフォリス)が……。〈オーリエラントの魔道師〉シリーズで人気の著者が描く、壮大なファンタジー。/解説=卯月鮎
  • ビリヤード・ハナブサへようこそ
    4.0
    変わった名前をもつ大学院生、中央(あたり・あきら)。彼はちょっとレトロな撞球場「ビリヤード・ハナブサ」でアルバイトをしている。ビリヤードの腕前は一流、経営手腕は三流の英雄一郎(はなぶさ・ゆういちろう)先生がオーナーの店には、個性的な常連客たちが集う。おしゃべり好きな彼らは、仲間内の誰かが事件に巻き込まれると、プレーそっちのけで推理談議を始め、みな素人探偵となって謎を解こうとするのだ。けれど結局事件の真相を言い当てるのは、アルバイトの中央の役割で?! そして今日もまた不思議な事件が持ち込まれ――。現代の『黒後家蜘蛛の会』登場。第24回鮎川賞受賞作。/解説=福井健太
  • 人魚と金魚鉢
    4.0
    個性豊かなメンバーが集う、T大学芸術学部文芸サークル第三部〈ザ・フール〉。聴き屋体質にして名探偵の柏木君をはじめ、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生など、愉快な仲間達が遭遇する事件の数々。音楽学科の学生選抜コンサートの会場となるはずだった、大ホールのステージを泡だらけにした犯人は誰か? そしてその理由とは? 爽やかな余韻が残る表題作ほか、〈ザ・フール〉メンバーの熾烈なかくれんぼを描くシリーズ・キャラクター大活躍の「愚者は春に隠れる」など、全5編を収録。軽やかな連作ミステリ第2弾!/解説=宇田川拓也
  • 田舎の刑事の好敵手
    4.0
    県警本部より首席監察官が視察にやって来る。監察官とは警察内部の警察だ。この知らせに問題だらけの田舎の刑事たちは大慌て。しかもこの監察官、黒川鈴木の高校時代のライバルだったのだが、警察官としては致命的な欠点があったのだ……。はた迷惑な来訪者のせいで署内がパニックに陥るなか、小劇団事務所荒らしの捜査に駆り出された黒川。無能な部下・白石や恐るべき黒川夫人、そして暴走するライバルに頭を抱えながら捜査を進めるが、小さな事件はやがて殺人事件に発展する!? 田舎でだってやっぱり難事件は起こる。鬼刑事・黒川鈴木に暇はなし! 大好評コミカルミステリ第三弾。
  • 製鉄天使
    4.1
    辺境の地、東海道を西へ西へ、山を分け入った先の寂しい土地、鳥取県赤珠村。その地に根を下ろす製鉄会社の長女として生まれた赤緑豆小豆は、鉄を支配し自在に操るという不思議な能力を持っていた。荒ぶる魂に突き動かされるように、彼女はやがてレディース〈製鉄天使〉の初代総長として中国地方全土の制圧に乗り出す――あたしら暴走女愚連隊は、走ることでしか命の花、燃やせねぇ! 中国地方にその名を轟かせた伝説の少女の、唖然呆然の一代記。『赤朽葉家の伝説』から三年、遂に全貌を現した仰天の快作――一九八×年、灼熱の魂が駆け抜ける。/解説=大森望
  • ゴーストフォビア
    3.1
    いつもの憂鬱な朝、急に「サイキック探偵になる」と言い出した姉・芙二子に振り回される三紅。行方不明の女性の調査をすることになった二人は、事故物件を扱う不動産屋の神凪怜と出会う。三紅の心酔する霊能者に似たクールな印象の男性だが、どこか胡散臭い。しかし、偶然に三紅が神凪に触れた瞬間、聴力を失ったはずの右耳から、不思議な声が聞こえてくる。その一方、神凪も見えないはずのモノが見えているらしい――。デビュー作『強欲な羊』で度肝を抜いた新鋭が、様々な恐怖症をテーマにした四つの不可思議な事件で、貴方の心をえぐります。
  • ミハスの落日
    3.6
    スペインはミハスに住まう大富豪に突如呼び寄せられた青年、ジュアン。面識もない老紳士が語るのはジュアンの亡き母との苦い記憶だった。三十年の月日を隔てて密室殺人の謎が明かされる表題作の他、青年と警察の視点で綴るストックホルムの悲劇的な殺人、疑惑の未亡人を探るサンフランシスコの保険調査員、ジャカルタで発生した連続娼婦殺人事件、カイロを訪れたアメリカ人美女の秘密など、ストーリーテリングの名手が異国を舞台にその土地で生きる人々の悲痛な叫びをすくい取る。あまねく襲う衝撃の結末が深い余韻を残す、至高のミステリ全5編。/解説=村上貴史
  • 星読島に星は流れた
    3.6
    天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。それほど天文に興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎年驚くべき倍率になるのには、ある理由があった。孤島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ――奇蹟の島で起きた殺人事件を描く、俊英会心の長編推理!
  • ドミノ倒し
    3.3
    地方都市・月影市で探偵業を営む十村は、亡くなった元恋人の妹から「殺人事件の容疑者となっている男の無実を証明して欲しい」と依頼される。久しぶりの依頼に、十村は旧友の警察署長も巻き込んで、癖のある月影市の住人たちを相手に早速調査に着手する。しかし調査を進めていくうちに、過去に月影市で起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、さらに別の殺人事件との繋がりも浮かび上がる。ドミノ倒しのように真実を追えば追うほど異様に広がっていく事件。その真相に探偵が迫るとき、恐るべき結末が待ち受ける――。人間の歪みと捩れを浮き彫りにする、衝撃の長編ミステリ。/解説=三島政幸
  • 僕の探偵
    4.0
    宗介とは半年前、街で偶然再会した。学生時代の友人で、ひとから見下されるような仕事をしている僕とは違い、将来を嘱望された秀才だ。その彼が勤めていた大手コンサルタントを辞めて、行くあてもないと言う。仕方なく一晩だけ泊めるつもりが、その後も居着いて、今ではうちの居候。普段は暢気にヨガの修行をして過ごしている。そんな彼は、僕が仕事で遭遇した事件を持ち帰ると、瞬く間に解決していく探偵へと姿を変えるのだ。だけど、僕は知っている。宗介自身が誰より深い悩みを抱えていることを……。暗い過去を持つふたりの青年が、五つの事件を通して経験していく出会いと別れ。爽やかな余韻を残す連作短編集。/解説=千街晶之
  • 穢れた手
    3.5
    大学と登山の街、松城市、その松城警察署の刑事一課の警部補・桐谷光次は、収賄で逮捕された同期で親友の刑事・高坂拓の無実を確信していた。そして、今日、彼は処分保留のまま釈放された。贈賄側の男も釈放。しかし、逮捕された時点で既に高坂の解雇は決まっていた。処分の撤回はできないのか? 親友の名誉を回復するべく桐谷はひとり行動を開始する。しかし、思いもよらぬ殺人事件に巻き込まれ、事態は意外な方向に……。警察組織の深部に、いったい何が潜むのか? 組織の闇と、刑事たちの友情のかたちを見事に描き上げた傑作。/解説=若林踏
  • ナンシーの謎の手紙
    4.0
    寒さで凍えそうな老いた郵便配達夫を見かねて、自宅であたたかいココアをふるまったナンシー。ところが親切があだとなり、玄関先に置いた配達中の手紙がまるごと盗まれてしまった。中にはロンドンからの謎の手紙や、父のカーソンあての書留も入っていた。ナンシーは手紙を取り戻すべく調査を開始する。一方盗まれた中にあった謎の手紙が、ナンシーと同姓同名の別人を捜しているとの内容だったことが判明。ふたつの謎をめぐり、おなじみベスとジョージの親友ふたりにボーイフレンドのネッドも加わって、ますます好調、少女探偵シリーズ第8弾。
  • 青春探偵ハルヤ
    4.2
    【2015年10月より、Kis-My-Ft2の玉森裕太さん主演で連続ドラマ化!(読売テレビ・日本テレビ系全国ネット)】浅木晴也は、アルバイトで生活費を稼ぎながら大学に通う貧乏青年。彼の許にある日、悪友の和臣が報酬付きの相談事を持ちかけてくる。仕方なく引き受けたストーカー撃退の依頼だったが、いざ待ち伏せして捕えた不審者は人違い。事情を聞くと、一人暮らしの妹と連絡がつかなくて、心配で様子を見にきていたらしい。妹思いの男が放っておけず、晴也は女の子の捜索も請け負うことに。脅迫者との交渉、女子寮の盗撮犯捜しと、次から次へと芋づる式に厄介事は増えていく……。トラブル解決に奔走する青年の慌ただしい日々を、軽快な筆致で描いた青春小説。
  • サムソンの犯罪
    4.0
    肥満漢の弁護士が持ち込む仕事は「わたし」の生命線だから、蹴るわけにはいかない。土つかずの戦績を見て私立探偵としての腕を買ってくれているのはわかるが、難事件揃いなのには全く閉口する。捏造テープと換気扇の問題「中国屏風」や麻雀狂に捧げるエレジー「走れ俊平」、無名作家のとんだ有名税「サムソンの犯罪」等々、二進も三進も行かなくなると「わたし」はバー〈三番館〉へ足を運ぶ。ここでグラスを磨いているバーテンに知恵を借りて解決しなかった例はないのだから――。本格ミステリの泰斗が物した安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ第2集。/解説=霞流一
  • ボールパークの神様
    4.3
    留学先のニューヨークで目的意識もないまま過ごしていた恭平と篤郎のもとを、意外な人物が訪ねてきた。メッツの日本人ピッチャー、進藤だ。チームメイトにかけられた窃盗の疑いを晴らすために、クラブハウスボーイのアルバイトとして潜入しろという。さっそくメッツのホームスタジアムで働きはじめた二人は、選手の世話で大忙し。大量のユニホームの洗濯と食事の準備に追われている間に、またもや盗難事件が――。海外で奮闘しながら成長していく若者の姿を、活き活きと描いた青春連作ミステリ。文庫化に際して書き下ろしを1編加えた決定版。解説=吉井理人
  • 無伴奏
    -
    ある晩秋の日曜日、父危篤の報せを受けて、二十二年ぶりに実家に足を踏み入れた元警官の介護士・阿南。父との反目から家族とはほぼ絶縁状態だった彼は、老いて日常生活も覚束なくなった父の姿を見て、強い衝撃を受ける。翌朝父は、すでに死亡した母の名前を呼びながら、突如「わしが、殺した」と阿南に告げて泣き出した。二歳のときに死に別れた母。知ろうとしなかった父の人生。自らの家族にかつて何が起きたのか? ごく普通の人びとが抱える孤独と哀しみから浮かび上がる過去の謎を、鮮やかな筆致で綴って忘れがたい余韻を残す傑作ミステリ。
  • 体育館の殺人
    4.1
    風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部部長の少年が何者かに刺殺された。放課直後で激しい雨が降り、現場は密室状態だった!?早めに授業が終わり現場体育館にいた唯一の人物、女子卓球部の部長の犯行だと、警察は決めてかかるが……。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のために、学内随一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。内緒で校内に暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に――。しかしなぜ彼は校内に住んでいるのだろう?“平成のエラリー・クイーン”が単行本版より大幅改稿で読者に挑戦!第22回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻 真先
  • ロートケプシェン、こっちにおいで
    3.7
    酉乃初と心が通じ合ったはずのクリスマスのあの日。しかし痛恨なことに、彼女の連絡先を聞き忘れたまま、冬休みに突入してしまった。あの日の出来事は夢だったのではないかと、悶々と過ごす僕に、クラスメイトの織田さんからカラオケの誘いが。しかし、カラオケの後の食事の際に、急に泣きながら飛び出していってしまった織田さんにいったい何が? 僕は酉乃に力を借りるべく『サンドリヨン』へと向かうことを決意した……。バレンタインでの不思議な出来事をはじめ、友人関係に悩むとある生徒の事件など学園内外で巻き起こる謎をたおやかに解く、女子高生マジシャン・酉乃初の事件簿、第2集。
  • ルピナス探偵団の憂愁
    4.0
    高校時代「ルピナス探偵団」を称し様々な事件に遭遇してきた彩子、キリエ、摩耶、そして博学の少年・祀島。卒業から数年後、四人のうち、一人が不治の病で世を去った。久々に顔を合わせた三人に残されたのは、彼女が死を前にして百合樹の林に造らせた、奇妙な小路の謎だった。探偵団“最後の事件”を描く第1話「百合の木陰」から順に時を遡り、高校卒業式を目前に殺人が起きたルピナス学園で、彼らが授かった“祝福”を描く第4話「慈悲の花園」まで、物語は戻らぬ時間への郷愁を紡ぎ上げる。奇蹟のような輝きに満ちた少女探偵の“その後”を描く、〈ルピナス探偵団〉のシリーズ第2作。

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  • 赤い糸の呻き
    3.6
    白昼に新聞紙を鷲掴みにして死んでいた男性に何が起こったのか――。音無美紀警部のめくるめく、ぬいぐるみへの妄想と、事件の対比が秀逸な、犯人当てミステリ「お弁当ぐるぐる」。停電時のエレベータ内で起こった殺人事件。もっとも怪しいのは、手や服を血で汚した指名手配の男だが。不可能犯罪を劇的に描く「赤い糸の呻き」。都筑道夫の〈物部太郎シリーズ〉の傑作パスティーシュ「墓標の庭」など、バラエティー豊かな5編を収録。“西澤ワールド”全開ともいえる、著者入魂の傑作短編集。

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  • 少年検閲官
    3.7
    何人も書物の類を所有してはならない。もしもそれらを隠し持っていることが判明すれば、隠し場所もろともすべてが灰にされる。僕は書物がどんな形をしているのかさえ、よく知らない――。旅を続ける英国人の少年のクリスは、小さな町で奇怪な事件に遭遇する。町じゅうの家に十字架のような印が残され、首なし屍体の目撃情報がもたらされるなか、クリスはミステリを検閲するために育てられた少年エノに出会うが……。書物が駆逐されてゆく世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。メフィスト賞作家の野心作、《少年検閲官》連作第一の事件。

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  • 人形の部屋
    3.0
    ねえ、お父さん。この謎、解ける? きっかけはほんのちょっとした小さな謎。だが、八駒家の食卓にのぼると、それは一篇のミステリに姿を変える――家主の敬典は、旅行会社の有能なる社員から、専業主夫に転身。家事に追われながらも平和な日々を過ごしていたが、ある日、元先輩が可憐なフランス人形を持ちこんできた。それも、左足の先が粉々に砕けた人形を。なんとかしてくれと懇願され、持ち主まで怒鳴りこんできても、敬典はなぜか悠然とかまえている。そんな父に、中学生の娘つばさは憤慨するが、敬典の頭にはある推理が浮かんでいた……。父と娘が織りなす、温かなおうちミステリ。

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  • ロマネスク
    3.0
    讃大仁(サンドニ)の英雄バシリスクは盗まれた秘宝を捜す旅の途上、ケ・イキョー国に足を止めた。前王ヨードの崩御に始まる内紛と外敵の脅威に揺れるその国には三択の刑があり、重罪を犯した者は『胡戎魯(コジユール)の迷宮』『芽出臼(メデイウス)の回廊』『占犂牟(ウラリム)の坩堝(るつぼ)』から一つを選ばねばならない。暫定王位に就いているレツと、ヨードの子ライモスを推す老臣エゼカイオらとの確執に巻き込まれたバシリスクは三択の刑を科され、まず回廊に、次いで迷宮に挑む。自身の使命を全うできず焦りを募らせながらも、ケ・イキョーの行く末を案じて幾多の謎に立ち向かうバシリスク。秘宝は見つかるのか、そして王位は誰の手に?架空の国を舞台に展開する、ファンタスティック・ミステリ!解説=城平京

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  • うさぎ幻化行
    3.5
    飛行機事故で突然この世を去ってしまった、義兄・最上圭一。優秀な音響技術者だった彼は、遺書とは別に「うさぎ」宛に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられていたリツ子は、早速メッセージを聞くことに。環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われるが、どこか不自然なひっかかりを覚える。謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、リツ子は奇妙な矛盾に気づく――。横浜、札幌、山口、香川、岩手……、音風景を巡る謎を、旅情豊かに描いた連作長編。

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  • 大きな森の小さな密室
    3.2
    会社の書類を届けにきただけなのに……。森の奥深くの別荘で幸子が巻き込まれたのは密室殺人だった! 閉ざされた扉の奥で無惨に殺された別荘の主人、そしてそれぞれ被害者とトラブルを抱えた、一癖も二癖もある6人の客。犯人はこの中にいる──。犯人当ての「大きな森の小さな密室」。遺跡の発掘現場で発見されたのは、絞殺された若い女性の遺体。死亡推定時期は150万年前!? 抱腹絶倒の「更新世の殺人」。ミステリでお馴染みの7つの「お題」を天才殺人者やマッドサイエンティストなど一筋縄ではいかない探偵たちが解く。精密な論理が黒い笑いを構築する全7篇のミステリ連作集。

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  • 白野真澄はしょうがない
    4.0
    小学四年生の「白野真澄」は、強い刺激や予想できない出来事が苦手だ。横断歩道も黒いところを踏むと心に影が差すような気がして、いつも白いところだけを渡って歩いている。なるべく静かに日々を過ごしたいと思っているのだが、翔が転校してきてから、その生活は少しずつ変化していき……(表題作)。頼れる助産師、駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、恋人への不満を紛らわすように浮気をする女子大生。五人の不器用な「白野真澄」たちが抱える五者五様の生きづらさを、曇りのない眼差しでまっすぐに見つめた傑作短編集。/【目次】名前をつけてやる/両性花の咲くところ/ラストシューズ/砂に、足跡/白野真澄はしょうがない/解説=大矢博子
  • 滑らかな虹 上
    -
    1~2巻740~799円 (税込)
    柿埼先生に、手紙を書こうと思う。中学三年になる春、山坂百音は、かつて通っていた小学校の元教員・田児あやめにそう伝えた。その言葉通り百音は、三年半前に起きたできごとについて、五年三組の担任だった柿埼に向け当時の思い出を綴ってゆく。すべては彼の謎めいた提案から始まったのだ。「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」――『ニンテイ』と名づけられた、柿埼の考案した奇妙なゲーム。それが彼らの未来を大きく左右することを、このときは誰も予想していなかった。
  • 探偵は友人ではない
    3.4
    わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)はなぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。歩の許に次々と新たな謎――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――を持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。ただ、わたしは謎がなくても、友人らしい理由で歩に会いたいと思っているのに。シリーズ第2弾!
  • 金閣寺は燃えているか? 文豪たちの怪しい宴
    3.5
    文京区の長い路地を抜けるとバーだった。大学教授の曽根原は、ふと気づくとバー〈スリーバレー〉に足が向いている。女性バーテンダー・ミサキの魅力なのか、文学談義のせいなのかは判らない。ある晩、まだ客の少ない時間にミサキが繰り出した質問は、川端康成の『雪国』についてだった。登場人物の行動から『雪国』はミステリではないか、というミサキの疑問に、途中からまたしても入店してきた宮田が、珍妙な説を披露し始めて……。『雪国』に加え、田山花袋『蒲団』、梶井基次郎『檸檬』、三島由紀夫『金閣寺』と、日本文学界の名作の新解釈で贈る、鯨統一郎最新作。
  • 文豪たちの怪しい宴
    3.4
    討論会の帰り道、ふと立ち寄ったバー〈スリーバレー〉。そこでの女性バーテンダーとの会話から、彼女が以前から感じていた夏目漱石の『こころ』に関する疑問点に答える羽目に。文学部教授である私が、こんな場末のバーで講義することになるとは。しかも、途中からやってきた宮田という男が、あろうことか『こころ』を百合小説と断言したことで議論は白熱し……。太宰治『走れメロス』はセリヌンティウスの夢だった? 『銀河鉄道の夜』は宮沢賢治と父親の物語? 芥川龍之介『籔の中』の真犯人は誰? 文学談義4編で贈る、『邪馬台国はどこですか?』シリーズ第5弾!
  • 妖たちの祝いの品は
    4.3
    危ういところを助かったものの、なかなか体力が戻らない弥助を心配した兎の妖怪、玉雪は、弥助に食べさせる雪を探すうちに、鈴白山に棲む冬のあやかし、細雪丸に出会う。そこで玉雪が聞いた子守唄は……「玉雪の子守唄」。鈴白山をさまよう幼い姉妹の死霊が子供を守る妖怪、うぶめに出会う「うぶめの夜」。久蔵の女房、初音姫の出産を前に、心づくしの祝いの品を贈ろうと奔走するあやかしたち。萩乃が、津弓が、右京と左京が、王蜜の君が、そして弥助が考えに考えた末に選んだ贈り物は……「祝いの品」。全6編を収録した大人気シリーズ第9弾。
  • 真実の10メートル手前
    3.9
    高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める。太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、土砂崩れの現場から救出された老夫婦との会話を通して太刀洗のジャーナリストとしての姿勢を描く「綱渡りの成功例」など粒揃いの6編。第155回直木賞候補作。/解説=宇田川拓也 ※本作品は 2018年3月22日まで販売しておりました単行本電子版『真実の10メートル手前』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。
  • 憧れの少年探偵団
    3.6
    ここは多摩川のほとり、桃霞市。江戸川乱歩の少年ものに憧れる小学生が探偵団を結成した。自称探偵長のスレンダー美少女鳥居未菜美が幼なじみの歌川時雄を従え、転校生の月岡芳人を巻き込み、体格に恵まれた勝川章、パソコン使いの司馬遷太郎を加えて、メンバー五人で活動中。たかが子供の遊びと侮るなかれ、広大な桃霞市、推理力を駆使しなければ迷い犬の捜索だって不可能だ。それにしてもクリスマスに起こった尾形家の騒動は半端じゃなかった。何しろ御隠居さんが密室でこときれていたというのだから……。桃霞少年探偵団、活動開始!

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  • 卒業したら教室で
    3.9
    伊神さんの卒業から丸一年、市立高校にまた卒業の季節がやってきた。今年は柳瀬さんをはじめ、仲のよかったひとつ年上の先輩たちが学校を巣立っていく。そんな、しんみりとしたある日の放課後、秋野麻衣が、おずおずと相談にやってきた。鍵のかかった真っ暗なCAI室で、不可解なものを見たらしい。書道室や山岳部の部室などでも謎の人物の出現と消失があったという情報が寄せられ、卒業生によるとそれは「兼坂(んねさか)さん」という市立高校「八番目の七不思議」らしいが……。トリックメーカーである似鳥鶏が贈る、予測不能の〈市立高校シリーズ〉最新作。
  • サーチライトと誘蛾灯
    3.6
    ホームレスを強制退去させた公園の治安を守るため、ボランティアで見回り隊が結成された。ある夜、見回り中の吉森は、公園にいた奇妙な来訪者たちを追いだす。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見された! 事件が気になる吉森に、公園で出会った昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢が、真相を解き明かす。観光地化に失敗した高原での密かな計画、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎。5つの事件の構図は、エリ沢の名推理で鮮やかに反転する! 第10回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を含む、軽快な筆致で描くミステリ連作集。/【収録作】「サーチライトと誘蛾灯」/「ホバリング・バタフライ」/「ナナフシの夜」/「火事と標本」/「アドベントの繭」/あとがき/解説=宇田川拓也
  • 屍人荘の殺人
    4.1
    【ミステリランキング驚異の4冠! シリーズ累計50万部!!】《映画原作 2019年12月13日(金)全国東宝系にて公開 監督:木村ひさし 脚本:蒔田光治 出演:神木隆之介 浜辺美波 中村倫也ほか》神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通う探偵少女、剣崎比留子とともに曰くつきの映画研究部の夏合宿に参加することに。合宿初日の夜、彼らは想像だにしなかった事態に遭遇し、宿泊先の紫湛荘に立て籠りを余儀なくされる。全員が死ぬか生きるかの極限状況のもと、映研の一人が密室で惨殺死体となって発見されるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。――たった一時間半で世界は一変した。究極の絶望の淵で、探偵たちは生き残り謎を解き明かせるのか?! 予測不可能な奇想と破格の謎解きが見事に融合する、第27回鮎川哲也賞受賞作。/解説=有栖川有栖
  • 有栖川有栖の密室大図鑑
    3.6
    本格ミステリの魅力的な要素のひとつ、密室トリック。犯行状況を思い浮かべたり、作品に挿入されている図版に心躍らせたりする読者の方も多いはず。本書は、1892年~1998年に発表された国内外の名短編、名長編、中でも魅惑的な密室が登場する作品を有栖川有栖がセレクトし、磯田和一の詳細なイラストとともに贈るブックガイドである。発表順に“世界最初の長編密室ミステリ”といわれるイズレイル・ザングウィル『ビッグ・ボウの殺人』をはじめとした海外20作、横溝正史『本陣殺人事件』など国内20作、さらに有栖川作品から磯田がセレクトした『スウェーデン館の謎』を加えた全41作を紹介する。密室ファン必携の書。/【目次】/はじめに/新潮文庫版まえがき/ビッグ・ボウの殺人/十三号独房の問題/黄色い部屋の謎/急行列車内の謎/八点鐘/犬のお告げ/密室の行者/エンジェル家の殺人/三つの棺/帽子から飛び出した死/チベットから来た男/妖魔の森の家/北イタリア物語/51番目の密室/帝王死す/はだかの太陽/ジェミニー・クリケット事件/そして死の鐘が鳴る/投票ブースの謎/見えないグリーン/D坂の殺人事件/蜘蛛/完全犯罪/燈台鬼/本陣殺人事件/刺青殺人事件/高天原の犯罪/赤罠/赤い密室/名探偵が多すぎる/花の棺/ホロボの神/求婚の密室/天外消失事件/人形はテントで推理する/緑の扉は危険/哲学者の密室/ローウェル城の密室/すべてがFになる/人狼城の恐怖/スウェーデン館の謎/あとがきに代えて……=磯田和一/参考文献/創元推理文庫のためのはしがき/創元推理文庫版解説=松浦正人
  • 京都東山 美術館と夜のアート
    3.0
    神戸静河は学芸員志望だったものの、縁あって採用されたのはイチビこと、地元の市立美術館の常駐警備員。警備システムの解除や正面玄関の開錠など、展覧会スタッフたちを迎えるためにいち早く出勤しなければならない。これが施設常駐の警備員のオシゴトである――。深夜に美術館裏の庭園で遭遇した不審な男の正体は? 巡回中の展示室で見た浮世絵が新発見の写楽? 展示物のブログ紹介がきっかけで神社の失われた御神刀が発見されたが……などなど、地道な警備のオシゴトと美術ミステリのコラボレーション! ミステリーズ!新人賞受賞作家が、京都の町と美術館を舞台に描く、連作短編集。
  • こめぐら
    3.5
    【倉知淳ノンシリーズ作品集成第二弾】必要か不必要かはどうでもいいのだ。したいからする。着けたいからつける。これは信念なのだ――密やかなオフ会でとんでもない事態が発生、一本の鍵を必死に探し求める男たちを描く「Aカップの男たち」をはじめ、うそつきキツネ殺害事件の犯人を巡ってどうぶつたちが動機のあげつらいと推理を繰り広げる非本格推理童話「どうぶつの森殺人(獣?)事件」、B級時代劇におけるあまりにも意外な犯人消失の真相を描いた「さむらい探偵血風録」など5編に加え、猫丸先輩探偵譚「毒と饗宴の殺人」を特別収録。【収録作】「Aカップの男たち」「「真犯人を探せ(仮題)」」「さむらい探偵血風録 風雲立志編」「遍在」「どうぶつの森殺人(獣?)事件」「毒と饗宴の殺人」/単行本版あとがき
  • 花野に眠る
    4.0
    れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館。ゆったりした時間が流れるのどかなこの図書館でも、季節はうつろい、新人司書・文子の仕事ぶりも板についてきた。そんななか、図書館のお隣の日向山から驚くようなものが発見され、大騒ぎになる。なんでここに埋められていたの? 気になって仕方ない文子は、真相究明に乗り出す。だけど、謎はそればかりではない。図書館の利用者が持ち込むちょっとした謎は、絵本にお菓子に料理に……と実にさまざま。本の力、そして頼もしい先輩司書たちの力を借りて、文子はすっきり解決! となるのやら。すべての本好き、図書館好きに捧げるやさしいミステリ。/解説=青井夏海
  • バイバイ、エンジェル
    3.9
    ピレネーの旧家デュ・ラブナン家のイヴォンは、スペイン戦争の際レジスタンスに参加し、失踪する。同家の小作人、ジョゼフ・ラルースはイヴォンと行動を共にするが、単独で帰国後、イヴォンから山を贈与されたと主張し、そこに鉱脈が発見されたため裕福となった。二十年後、死んだはずのイヴォンから手紙が届き、裁きが行なわれるだろうと無気味な予告をしてくる。それが現実となって、ジョゼフの次女オデットの首を切り取られた惨殺死体が発見される……。司法警察のモガール警視の娘ナディアと不思議な日本人青年矢吹駆は真相究明を競い合う。日本の推理文壇に新しい一ページを書き加えた笠井潔の華麗なるデビュー長編。
  • 妖たちの四季
    4.3
    太鼓長屋に住む弥助のもとには、今日も妖怪たちがやってきて大賑わい。妖怪に季節外れの花見に誘われた弥助と千弥だが、ふたりのあとをこっそりつけていた久蔵までもが紛れ込んでしまい……。(「春の巻」) 心配性の叔父、月夜公に屋敷に閉じ込められてしまった津弓。ふてくされた甥をなぐさめようと月夜公は弥助をさらってくるが……。(「夏の巻」) 小妖怪の身でなぜ玉雪は立派な栗林をもっているのか?(「秋の巻」) 千弥と月夜公の過去の物語。(「冬の巻」) 妖怪の子預かり屋の弥助と妖怪たちの心温まる四季の交流を描く、人気シリーズ第3弾。
  • いつもが消えた日
    4.2
    中学三年生の滝本望は祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前でお蔦さんと呼ばれる祖母は、気が強く面倒くさがりだけれど、ご近所衆から頼られる人気者だ。ある日、望の幼なじみの洋平と同級生の彰彦、後輩の有斗が滝本家を訪れていた。夕飯をお腹いっぱい食べ、サッカー談議に花を咲かせたにぎやかな夜。しかしその夜、息子ひとりを残して有斗の家族は姿を消した。神楽坂一家三人行方不明事件は大きく報道され、一家が抱える秘密が明らかに――。神楽坂で起きた事件にお蔦さんが立ち上がる! 粋と人情、望が作る美味しい料理がたっぷり堪能できるシリーズ第2弾。/解説=宇田川拓也
  • 七つの棺
    3.2
    町内相撲の横綱は体育館の中で、引退した大富豪は書斎の中で、やくざの組長は核シェルターの中で、一本柳家の新郎は離れの中で、女性デザイナーはカプセルリフトの中で、それぞれ殺されていた。しかも現場は、どれもこれも密室状態!? 続発する不可能犯罪に挑むのは、関東平野の一隅にある町の警察署に勤務する黒星光、三十八歳、独身。密室の魅力に取り憑かれ、人生を踏み外しかけている迷警部は、いかに難事件、怪事件を解決するのか……? 奇才折原一の出発点となった記念すべき第一作品集の改訂増補版。/解説=山前譲
  • 密室の鎮魂歌
    3.0
    世界的に成功した、ある女流画家の個展会場で、『汝、レクイエムを聴け』という作品を見た女が、悲鳴をあげて失神した。失踪した自分の夫の居場所をこの画家が知っているにちがいない、というのが彼女の不可解な主張だった。しかし、画家と失踪した男に接点はなかった。五年前の失踪事件は謎に満ちていた。そして五年後の今、ふたたびその失踪事件の現場だった家で事件が起きる。今度は密室殺人事件。さらに密室殺人は続く。問題の絵に隠された驚くべき真実! 魅力的な謎といくつもの密室に彩られた第14回鮎川哲也賞受賞の傑作本格ミステリ。/解説=村上貴史
  • この世にひとつの本
    3.5
    「ユーレイが消えた!」――著名な書家の幽嶺が、山奥の庵から忽然と姿を消した。後援していた大塔印刷では、御曹司の三郎に捜索をまかせることに。だが、工場でもあいついで病死者が出るという異常な事態が起こっていた。これは会社存亡の危機だ! いささか頼りない三郎は、有能な社長秘書の南知子と、切れ者ながら史上最速で窓際族になった社史編纂室の建彦の助けを借り、事件を探りはじめる。病死はただの偶然か、それとも無版印刷をめぐる陰謀なのか? そして、一見まったく関係がなさそうなそれぞれの事件は、世界に一冊しかないある書物へと、つながっていき――。「文字」を愛する活字中毒者に贈る傑作ミステリ。/解説=古山裕樹
  • 星のダンスを見においで 地球戦闘編
    3.8
    西銀河じゅうにその悪名を轟かせた伝説の宇宙海賊ジャンピング・ジャック・フラッシュが姿を消して18年が過ぎた。かつて副官だったアレックスは、ジャックの足取りを追ううち、辺鄙な後進惑星にたどり着いた――地球である。それも、時は現代。横須賀のどぶ板通りで、戦場帰りを装って奇妙な骨董品屋を営んでいたジャックは、かつての部下たちから所構わぬ大攻撃を喰らい、横須賀沖に沈めてあった宇宙艇で再び宇宙へ飛び立った――事情を知るよしもない、女子高生の唯佳を乗せて。著者の真骨頂たるスペース・オペレーションSFを二分冊で贈る。/解説=堺光保
  • 太陽の石
    4.1
    かつて繁栄を誇ったコンスル帝国の最北西に位置する霧岬。そんな霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日父と衝突し、怒りにまかせてゴルツ山に登った彼は、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、〈太陽の石〉と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟った。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになるとは……。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第3弾。/解説=金原瑞人
  • ご近所美術館
    3.4
    国道沿いのビル群の間にひっそりと建つペンシル・ビル。その二階に“美術館”はあります。のんびり寛げるラウンジは憩いの場として親しまれ、老館長が淹れるコーヒーを目当てに訪れるお客もちらほら。しかし、この度館長が引退することに……。後任としてきたのは、稀に見る美貌を持つ川原董子さん。そんな彼女に、常連の海老野くんは一目惚れしてしまいます。董子さんを振り向かせたい一心で、彼女の妹あかねさんの助けを借りつつ、来館者が持ちこむ謎を解決していく海老野くん。果たして、彼の恋の行方は? 恋する青年が美術館専属の探偵となって奮闘する、ほんわか連作ミステリ。/解説=大矢博子
  • 松谷警部と三鷹の石
    3.3
    三鷹の堀越俊介殺害事件は無理心中の様相を呈し、松谷警部も当初捜査が難航するとは考えなかった。しかし白石巡査は納得しない。堀越の本命らしき女性の線から、次第に河口湖とカーリングに絡む諸々の事情が判明。堀越は長野オリンピック有力候補の木屋沢を事故に巻き込み、将来の芽を摘んでいた。カーリング場開設とクラブ結成の話が持ち上がった際に木屋沢はコーチに招かれ、土建屋&スポーツ用品店主の兄弟が一儲け企み……事実を積み上げても明確な方向性は見えなかったが、地道に聞き込みを続けた白石巡査はついに真相を看破する。ど真ん中の本格ミステリ、好評シリーズ第2作。
  • 太陽が死んだ夜
    4.0
    ニュージーランドの全寮制女子校に、親友のバーニィと共に編入してきたジュリアン。彼女は同校を卒業した祖母が遺した手記と、古い手紙を携えていた。手記には、第二次大戦中に同校の教会堂で起こった残虐な殺人事件が、手紙には復讐をにおわせる不吉な一文が書かれていた。教会堂にお籠もりするという伝統行事の夜、ジュリアンと6人の同級生に、過去の事件と酷似した状況で悲劇がふりかかる……。これは41年前の事件の再現なのか? 少女たちを脅かす封印された謎とは? 第20回鮎川哲也賞受賞作。

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  • うつくしが丘の不幸の家
    4.1
    海を見下ろす住宅地『うつくしが丘』に建つ、築 21 年の三階建て一軒家を購入した美保理と譲。一階を念願の美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々が始まるはずだった。だが開店二日前、偶然通りがかった住民から「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われてしまい……。わたしが不幸かどうかを決めるのは、家でも他人でもない。わたしたち、この家で暮らして本当によかった──。「不幸の家」で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の物語。本屋大賞受賞作家による、心温まる傑作小説。/【目次】第一章 おわりの家――美容室開業に選んだ家を「不幸の家」と言われた女性。/第二章 ままごとの家――不仲の夫、家でした娘、反抗的な息子、迷える妻。/第三章 さなぎの家――男に騙された女性と、幼い娘を抱えたシングルマザー。/第四章 夢喰いの家――不妊治療がうまくいかず、離婚届を書いた年の差夫婦。/第五章 しあわせの家――恋人が置いていった子供と、かつて父に捨てられた私。/エピローグ/解説=瀧井朝世
  • 放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー
    3.7
    大好評を博したアンソロジー『放課後探偵団』が10年の時を経て復活! 第22回鮎川哲也賞受賞『体育館の殺人』にはじまる〈裏染天馬〉シリーズが大人気の若き平成のエラリー・クイーンこと青崎有吾、『楽園とは探偵の不在なり』で注目を集める斜線堂有紀、〈響け!ユーフォニアム〉シリーズが大ヒットし話題を呼んだ武田綾乃、『あの日の交換日記』がスマッシュヒットした辻堂ゆめ、『タスキメシ』などのスポーツものから吹奏楽など幅広い形の青春ドラマを描き続ける額賀澪。以上1990年代生まれの俊英5人が描く、学園探偵たちの推理と青春。【収録作】武田綾乃「その爪先を彩る赤」/斜線堂有紀「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」/辻堂ゆめ「黒塗り楽譜と転校生」/額賀澪「願わくば海の底で」/青崎有吾「あるいは紙の」
  • 手のひらアストラル
    3.6
    高校二年生の夏、私は自身の進むべき道が決められず悩んでいた。将来を見定め進路を決める友人たちの姿にますます焦る私の前に、次々と謎が現れる。三年生の生徒手帳を持ち歩く同級生。追試でもないのに一人だけ試験を受ける先輩。少年の言う「全部黄色い駅」とは? 真相に辿り着けない私が相談するのは、ひょんなことから知り合ったQ大大学院生の飛木さんだ。彼はその知識と論理的思考でどんな謎も解き明かしてみせる不思議な人だ。やがて夏が終わり、秋になる頃、私が見つけた進路の答えは――。福岡を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。
  • マカロンはマカロン
    3.9
    下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルはカウンター七席、テーブル五つ。フランスで料理修業をしてきた変人シェフ三舟さんの気取らない料理が大人気。実はこのシェフ、客たちの持ち込む不可解な謎を鮮やかに解いてくれる名探偵でもあるのです。消えたパティシエが残したことば「マカロンはマカロン」の意味するものは? 蝶ネクタイが似合う素敵な大学教師が経験した悲しい別れの秘密とは? 豚足をめぐる少年と母親の再婚相手との物語等々、胸を打つ話ばかり。メインディッシュもデセールも絶品揃い。きっとご満足いただけます。【収録作】「コウノトリが運ぶもの」/「青い果実のタルト」/「共犯のピエ・ド・コション」/「追憶のブーダン・ノワール」/「ムッシュ・パピヨンに伝言を」/「マカロンはマカロン」/「タルタルステーキの罠」/「ヴィンテージワインと友情」/解説=若林踏
  • シトロン坂を登ったら
    3.8
    わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の3年生。うちの学校はちょっと変わっていて、実は魔女学校なの。創立者のマダム・デルジュモンが魔女で、おかげでわたしたち女学生はマダムの母国語フランス語だけでなく、薬草学や占い、ダンス(箒で空を飛ぶことを、そう呼ぶ)も学んでいる。本当はもうひとつ大きな秘密があるんだけど、それはおいおい話すとして。そんなわたしのもとに、新聞記者の甥っ子が奇妙な噂話を持ち込んできた。横濱に巨大な化け猫が出没しているんですって。しかも学校の近くに……。大正時代を舞台にした魔女学校3部作開幕!
  • 太鼓叩きはなぜ笑う
    3.9
    数寄屋橋近くの三番館ビル六階にバー〈三番館〉がある。落ち着いた雰囲気の、いい店だ。少し早い時間に行くと、達磨大師然としたバーテンがひとりグラスを磨いている。常連の私立探偵は、依頼された仕事を持て余すたび、雑学の大家であるこのバーテンに知恵を借りに来る。どんな事件も、たちどころに解き明かしてくれるのだから!本格ミステリの巨匠が生んだ安楽椅子探偵、ここに登場。最終行の切れ味が素晴らしい「竜王氏の不吉な旅」など5編を収録。収録作品=春の驟雨/新ファントム・レディ/竜王氏の不吉な旅/白い手黒い手/太鼓叩きはなぜ笑う/解説=白峰良介
  • あがり
    3.4
    舞台は、〈北の街〉にある蛸足型の古い総合大学。語り手の女子学生と同じ生命科学研究所に所属する幼馴染みの男子学生が、ある日、一心不乱に奇妙な実験を始めた。亡くなった心の師を追悼するためだ、と彼はいうのだが……。夏休みの閑散とした研究室で密かに行われた、世界を左右する実験の顛末とは? 少しだけ浮世離れした、しかしあくまでも日常的な空間――研究室を舞台に起こるSF事件。第1回創元SF短編賞を受賞した表題作に始まる、理系女子ならではの大胆にして繊細なアイデアSF連作全6編。

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  • パイド・パイパー 自由への越境
    4.3
    時は1940年夏。現役を退いた老弁護士ジョン・ハワードは、傷心を癒やすためジュラの山村へ釣り竿一本下げて出かけた。しかし、懸念されていた戦局がにわかに緊迫度を高め、突然の帰国を余儀なくされたばかりか、ジュネーヴの国際連盟に勤めるイギリス人の子供二人を預かって帰る破目に陥った。だが、ハワードの運命はそれだけにとどまらなかった。途中で世話になったホテルのメイドの姪や二親を失った孤児など、次々と同行者の数は増えていく。戦火の中を、ひたすらイギリスを目差す老人と子供たち。英国冒険小説の雄ネヴィル・シュートの代表作。/解説=北上次郎
  • 深い穴に落ちてしまった
    3.3
    深い森のまん中にある、深い深い穴の底。兄弟は空を見上げ、脱出の方法を思案している。土壁に階段をつくる。弟を肩にかつぎ上げる。どれほど見込みがなくとも、ふたりは生きなければならない。虫や木の根を食べ、泥水を飲む日々が綴られるなか、やがて物語は不可思議な幻覚と、めくるめく謎で満たされていく――。なぜ章番号は素数だけなのか。幻覚に隠された暗号とはなにか。そもそも兄弟はなぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕とともに力強い感動をもたらす。現代版『星の王子さま』であり、“深い穴”で生きるあなたに捧げる寓話。/解説=西崎憲
  • 仮題・中学殺人事件
    4.0
    推理小説の歴史をひもとけば、『黄色い部屋の謎』や『アクロイド殺害事件』のように、犯人の意外性で売り出した名作があまた存在する。ところがこれまで、どんな物語にも不可欠な人物であるのに、かつてこれを犯人に仕立てた推理小説というのは、ただの一編もなかった。読者=犯人である。そのことに気づいた、推理作家たらんと志すかけだしのぼくは、犯人を読者に求めようとしたのだ。そう、この推理小説中に伏在する真犯人は、きみなんです!――推理小説の仕掛け人・辻真先の出発点となった名作登場。/解説=桂真佐喜
  • 千吉と双子、修業をする
    3.9
    千吉は大好きな兄、弥助を守るための力がほしいと、共に育った半妖の双子と一緒に妖怪奉行所西の天宮の奉行、朔ノ宮に弟子入りした。ところが仕事は雑用ばかりで一向に術らしい術を教えてくれない。ようやくひとつだけ教えてくれた術もなんの役に立つのかわからぬ始末。楽しそうな双子とは対照的に、千吉の苛立ちはつのるばかり。そんなある日、弥助に子妖を預けた化け獺が、期日を過ぎても迎えにこない。兄との時間を邪魔されて腹が立った千吉は、双子を巻き込んで化け獺を捜す決心をした。大人気の〈妖怪の子、育てます〉シリーズ第2弾!
  • 流浪の月 シナリオブック
    3.5
    ある地方都市に暮らす家内更紗は、かつて事件に巻き込まれた過去を持つ。15年前、小学生だった更紗が、家での居づらさから19歳の少年佐伯文の家に自ら足を運び、社会的な事件となってしまったのだ。それ以来更紗は、自分を押し殺し静かに生きてきた。だが、アルバイト先の友人とふらりと立ち寄ったコーヒー店『calico』で再会してしまう、あの文と。この出会いは二人に何をもたらすのか――。更紗と文、二人の再会とその後を、『フラガール』『悪人』『怒り』を手がけた李相日による監督・脚本で映像化。原作者・凪良ゆうと李相日監督の対談も収録した、ファン待望のシナリオブック。
  • たまさか人形堂ものがたり
    4.4
    会社をリストラされ突如無職となった澪(みお)は、祖母が遺した小さな人形店を継ぐことにした。人形マニアの青年・冨永と謎多き職人・師村の助けを得て、いまでは人形修復を主軸にどうにか店を営んでいる──自分がモデルになったという、顔を粉々に砕かれた創作人形の修復を希望する美しい女性。だが、その人形が創られたのは、彼女が生まれた頃と思しい三十年以上前のことだと判明する(「毀す理由」)。ほか、伝統的な雛人形を有する旧家の不審死、チェコの偉大な人形劇団の秘密など、名手が人形を通して人の心の謎を描く珠玉の短編を収める。書き下ろし短編「回想ジャンクション」を収録。/解説=紅玉いづき
  • 妖怪の子、育てます
    4.0
    江戸の片隅で妖怪の子預かり屋を営む一人の若者がいた。その名は弥助。妖怪に育てられたのだが、ある事件で育ての親を失い、かわりに授かった赤ん坊千吉を、今度は懸命に育てている。顔なじみの妖怪達は遊びにくるし、入れ替わり立ち替わり子供を預けに来る妖怪もいるしで、騒ぎの絶えない毎日だ。そんなある日、弥助の大家、久蔵の双子の娘が、不気味な黒い影にさらわれた。だがさらったのは妖怪ではないらしい。双子の捜索は、妖怪奉行所西の天宮の奉行で、犬神の長、朔ノ宮の手に託されることに……。大人気〈妖怪の子預かります〉第2部開幕。
  • 千弥の秋、弥助の冬
    4.2
    千弥の様子がおかしい。もともと弥助に対しては過保護だったが、最近度が過ぎるのだ。ぼうっとすることも多く、物忘れも激しい。心配する弥助に対し、千弥は何でもないの一点張り。互いを思いやる心がすれ違い、ふたりは初めて大喧嘩をしてしまう。以前千弥は月夜公に執着する紅珠の魔手から弥助を守りきるために、妖怪の誓いを破って力の源である目玉を取り戻したことがあった。ほんの一時のことだったが、誓いを破ったことに変わりはない、その報いは確実に千弥を蝕んでいた。そしてついに……。大人気妖怪シリーズ、第一部クライマックス。
  • 赤朽葉家の伝説
    4.2
    「辺境の人」に置き去られた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女らを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。第60回日本推理作家協会賞受賞作。ようこそ、ビューティフル・ワールドへ。

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  • 女王国の城 上
    3.8
    舞台は、めざましい成長を遂げる宗教団体〈人類協会〉の聖地、神倉。大学に姿を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。とかく噂の神倉へ、何故? 様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、4人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。紆余曲折を経て〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認できたものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。第8回本格ミステリ大賞に輝いた、江神シリーズ第4作。

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  • 再びラストホープ パリと悪党たち
    3.7
    東堂のフライがコンテストに入賞したのを機に、いざ世界進出と、パリへと向かった国分寺の釣具店《ラストホープ》の面々。東堂と刈部、そして李の三人は、海外の釣り師や釣具店に、入賞したフライを卸して“世界進出”を、と目論んだものの・・・。同時期、フランスの片田舎で役場の出納係が不慮の死を遂げる。村の裏金の行方を知る人物の死に、困惑する村長たち。そこで、蛇の道は蛇と、パリでスカウトした《ラストホープ》の面々に、裏金の奪還を依頼することになるが――。愛すべき三人組のフランスでの活躍を描く、クライム・コメディ第2弾!

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  • 暗い海 深い霧 高城高全集3 
    4.5
    1巻770円 (税込)
    スパイとして国後島に潜入し、ソ連の警備隊に拘束された男。日本に帰還した男を待っていた真実とは――「暗い海 深い霧」。海岸で女の死体が発見された。痴情のもつれが原因と思われた事件に、なぜか公安調査官の影が――「微かなる弔鐘」。ある作戦に召集された米諜報機関の日本人工作員たち。諜略の果てに彼らが見たものは――「海坊主作戦」。東西冷戦の時代、謀略の最前線となった国境の海で繰り広げられる諜報戦に運命を翻弄される者たちを、非情かつ詩情豊かに描く作品群と、荒涼たる原野から地の底の炭鉱まで、北の大地に生きる男たち女たちの事件簿。昭和30年代前半に発表された高城作品の精華13編を収録。

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  • 風の岬 高城高全集4
    4.0
    1巻770円 (税込)
    麻薬密売にからむ轢死事件を追う捜査官が、製紙工場の廃液がにおう町で見た人間模様とは――「踏切」。ススキノに生きる男たち女たちが巻き込まれた交通事故の真相に新聞記者が迫る――「飛べない天使」。嵐の中、岬へ向かう男たちを待っていた運命とは――「風の岬」。新聞記者、麻薬捜査官、国境の海の謀略に巻き込まれた男たちや、歓楽街にうごめく若者群像。そして、北へ向かう追跡者たちに、戦後の闇をひきずる男の軌跡……。1960年から1970年にかけて、北の都・札幌を舞台とした作品を中心に、北海道で繰り広げられる人間ドラマを活写した作品群! 高城高全集、第4弾。

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  • 漂流巌流島
    3.4
    1巻770円 (税込)
    宮本武蔵は決闘に遅れなかった!? 赤穂浪士は浅野内匠頭が殿中刃傷に及んだ理由を知らなかった!? 近藤勇は池田屋事件を無理矢理起こしていた!? 鍵屋ノ辻の仇討ちは上手くことが運びすぎた!? 人使いの荒い監督に引きずり込まれて、チャンバラ映画のプロットだてを手伝う破目になった主人公。居酒屋で額を寄せ合い、あーでもない、こーでもないと集めた史料を検討すると、巌流島の決闘や池田屋事件など、よく知られる歴史的事件の目から鱗の真相が明らかに……! 第二回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む四編収録の、歴史ミステリ短編集。

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  • バビロニア・ウェーブ
    3.9
    銀河面を垂直に貫く、直径1200万キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束――バビロニア・ウェーブ。いて座α(アルフア)方向、太陽系から3光日の距離に発見されたこの光束が、いつから、なぜ存在するのかはわからない。ただ、そこに反射鏡を45度角で差し入れれば人類は厖大なエネルギーを手に入れられる。この想像を超えた光束の傍らに、送電基地が建造された。基地との連絡船運航にあたっていた操縦士マキタは、あるとき緊急事態発生の報を受け一人の重要人物と謎の積荷とを運ぶよう命じられた。だが到着した基地には誰の姿もない。そしてここでは極秘裏に、ある計画が進行していたのだ。日本ハードSFを代表する傑作。星雲賞受賞。

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  • 凍った太陽 高城高全集2
    4.0
    1巻770円 (税込)
    入院中、同室となった男に、盛り場で雀荘を経営する妹の安否を確かめてほしいと頼まれた大学生の〈私〉は、戦後の焼け跡が広がる仙台の街を、彼女の影を追ってひたすらにさまよう。米兵相手の特飲街に、彼女はいた。だが、そこには危険な男たちの影がうごめいていた――。米兵が闊歩する戦後の仙台を舞台に、日本ハードボイルドの黎明を飾った「X橋付近」ほか、日本人娼婦と米兵の炎熱の夏の悲劇を乾いた筆致で活写した「ラ・クカラチャ」、北海道の原野に消えた友の追跡行を描く「淋しい草原に」、そしてひとりの〈運命の女〉を追う連作「由利」シリーズなど11作品に、エッセーも収録した、高城高、珠玉の短編集!

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  • ボーナス・トラック
    4.2
    某大手ハンバーガーチェーンに勤める草野哲也は、雨降る深夜の帰り道、轢き逃げ事故を目撃する。あわてた様子で黒っぽいスポーツカーが走り去り、道路に小柄な青年が倒れている! 疲れた体に鞭打って人工呼吸までしたのに、青年は息を吹き返さなかった。しかも雨に曝されてずぶ濡れの服のまま明け方まで警察の事情聴取を受けた草野は、みごとに風邪をひき熱まで出てきた。死んだ青年の姿が見えるなんて、かなりの重症だ・・・・・・。轢き逃げ犯捜しの顛末を、主人公・草野と幽霊のふたつの視点から瑞々しい筆致で描いた著者デビュー作。

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  • フレンチ警部と毒蛇の謎
    4.0
    ジョージ・サリッジは英国第二の動物園で園長を務めている。申し分ない地位に就いてはいるが、博打で首は回らず、夫婦仲は崩壊寸前、ふと愛人に走る始末で、老い先短い叔母の財産に起死回生の望みを託す。その叔母がいよいよ他界し、遺言状の検認がすめば晴れて遺産は我が手に、と思いきや……。目算の狂ったジョージは、しょうことなく悪事に加担する道を選ぶ。自分たちに疑いは向けられない、万一の場合もジョージが泥をかぶることはない、と相手は言う。そう、良心の呵責を別にすれば事はうまく運んでいた。フレンチというスコットランドヤードの首席警部が横槍を入れるまでは――。

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  • 三惑星連合 レンズマン・シリーズ6
    -
    人類にレンズがもたらされ銀河パトロール隊が創設される以前、人類は地球を中心に三惑星連合を組織していた。その彼らを危機が襲う。エッドア人があやつる、かつてない超兵器をそなえた海賊艦の攻撃を受けたのだ。その戦いのさなか、人類はさらに、太陽系外の両棲生物ネヴィア人の宇宙艦と初めて遭遇する。三つどもえの戦いの行方は? さらに本巻では、宇宙を二分してきた善と悪の闘いが、はるかアトランティスの時代にまで遡って明かされる。そして、のちに人類を代表するレンズマンとなるキニスン家の歴史は、当時から連綿とつづいていたのだ! スペース・オペラの集大成、完全新訳版。

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  • ファースト・レンズマン レンズマン・シリーズ5
    -
    恒星間航行が可能になるとともに、犯罪のスケールも拡大の一途をたどった。これに対処するために、太陽系評議会議長ヴァージル・サムズと公安委員長ロデリック・キニスンは三惑星連合部隊を再編し、銀河パトロール隊を創設しようと企図する。そして謎の惑星アリシアへ赴いたサムズは、人知を超えた働きをもつレンズを授かり、銀河系史上初のレンズマンとなった!これまでの4巻から時代を遡り、銀河パトロール隊黎明期に人類を襲った最大の危機が語り明かされる。

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  • 予告状ブラック・オア・ホワイト
    3.2
    真面目さが取り柄の会社員・渡会透子は、ひょんなことから名探偵・九条清春の秘書になる。かつて九条は全国を股にかけ、多くの難事件を解決した素人探偵だったが、今は地元・川崎市内というご近所でのささやかな謎にしか興味を持たない、自称“ご当地探偵”になっていた。そんなモットーを掲げ、極めてマイペースで普段はぐうたらに過ごす九条の尻を叩きつつ、透子は奇妙な謎と向き合う。ご当地アイドルに届いた予告状、川崎市出身のオリンピック選手の行方不明事件など全5編。ものぐさ探偵と生真面目秘書が依頼人の悩みを晴らす、連作ミステリ。
  • 恋牡丹
    3.0
    北町奉行所に勤め、若き日より『八丁堀の鷹』と称される同心戸田惣左衛門と息子清之介が出合う謎の数々。神田八軒町の長屋で絞殺されていたお貞。化粧の最中の凶行で、鍋には豆腐が煮えていた。長屋の者は皆花見に出かけており……「花狂い」。七夕の夜、吉原で用心棒を頼まれた惣左衛門の目の前で、見世の主が殺害された。衝立と惣左衛門の見張りによって密室状態だったはずなのだが……「願い笹」。惣左衛門と清之介親子を主人公に描く、滋味溢れる時代ミステリ連作集。移りゆく江戸末期の混乱を丁寧に活写した、第27回鮎川哲也賞最終候補作。
  • 翼をください
    3.5
    愛らしい笑顔と親身な気遣いで、周囲の男たちから好意を寄せられる女子大生・石元陽菜。だがその本性はきわめて自己中心的なものだった。最近ストーカーの無言電話に悩んでいた陽菜は、受話器に罵詈雑言をぶつける中で憂さ晴らしに、周囲の人びとから聞き出した「秘密」を暴露するようになる。一方電話の向こうでは、信頼して打ち明けた自分の秘密を軽々しく漏らされたストーカーが怒りに震えていた。この秘密を守り抜くためには、彼女を殺さなければならない――あまりに意外な犯人の正体、そして戦慄の真相。濃密な人間関係に仕掛けられた大胆なトリックをあなたは見抜けるか?
  • 星を拾う男たち
    3.5
    1963年に第2長編『死の内幕』を上梓した天藤真は、第3長編『鈍い球音』が刊行される71年までの8年間、中短編のみを発表することになる。4時起きで仕事に向かう勤勉な拾い屋コンビが出くわした朝一番の収穫は、二階屋の窓から落ちてきた死体だった――表題作「星を拾う男たち」のほか、旧〈宝石〉終刊号を飾った“史上最も完全な予告殺人”を描く「極楽案内」や、シリーズキャラクターのひとり、中央探偵社の仙石達子部長が登場する「密告者」「重ねて四つ」など、短編集成2巻目となる本書には、63年~66年発表の11編を収める。【収録作】「天然色アリバイ」「共謀者」「目撃者」「誘拐者」「白い火のゆくえ」「極楽案内」「星を拾う男たち」「日本KKK始末」「密告者」「重ねて四つ」「三匹の虻」

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