不確定世界の探偵物語

不確定世界の探偵物語

小説・文芸
950円 (税込)

4pt

ただ1人の富豪が所有する、この世に1台きりのタイムマシン――“ワンダーマシン”という名の装置が、世界をすっかり変えてしまった。過去に干渉することで突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ・・・・・・。おれは私立探偵。だが、常に歴史が変わる──つまり現在が変わりつづけるこの世界で、探偵に何ができるというのだろう? ある日おれはワンダーマシンの持ち主である“神”同然の富豪ブライスから、直々に依頼を受けたのだった。奴の正体とは? “伝説の巨人”鏡明が描く、かつてない時間SF。

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不確定世界の探偵物語 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     この連作短編型の長編が書かれた1980年代初めは、伝説のSFファン鏡明が小説をものし始めた時期で、私も大いなる期待を持ってSFマガジン連載の『我らが安息の日々』を読んだりしたけれど(いまだに単行本化されていないのだ)、『不確定世界の探偵物語』のほうは新書で出版されてもなぜだか読まずじまいだった。タイムマシンの実用化によって過去が改編され続けて現在が不確定になってしまった世界における探偵物語という設定には大いに魅力を感じた(赤川次郎への皮肉?)が、しかし、そんな世界で探偵は不可能ではないか。
     そこで設定ではタイムマシンはただ1台だけ、しかも世界一の大富豪ブライスが所有し、世界の改良のためだけに使っているという設定になっている。世界の変化は起こりうるが、常時起こっているわけでもなく、世界が変わっても変わる前の世界の記憶はおぼろに残っている。主人公の探偵ノーマン・ギブスン(『ニューロマンサー』のギブスンへのオマージュ?)は、日本人の孤児で養子のためこんな名前。彼の故国は既に『日本沈没』している。などと、いろいろとくすぐりがある。各短編は独立しているものの、ブライスの正体は何か、ブライスにとってギブスンは何か意味がある存在なのか、ブライスに敵対する者たちは何者か、といった謎がばらまかれ、他方、ブライスのもとから派遣され、探偵助手に収まるジェニファーとのロマンスが横糸を張り、読者を引っ張っていく。
     ハードボイルド探偵ものの体裁だが、ギブスンはまったく腕っ節が弱い(でも、打たれ強い)。その代わりジェニファーが滅法強い。ハードボイルドのお約束で、彼はひどく感傷的でもある。そのあたりの味わいがいい。
     20年を超えて古びていない作品である。

    0
    2016年02月04日

    Posted by ブクログ

    久々におもしろいSF小説を読んだ。ワンダーマシン、探偵、改変モノ。と聞いただけで涎が…。アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(ディック)や猶予の月(神林長平)が好きな人にお薦めです。

    0
    2011年10月15日

    Posted by ブクログ

    こんな凄い作家さんがいたとは…!
    解説によると鏡さんは〈日本SF界最大の巨人〉だそうです。…巨人!?
    *
    タイムマシンで過去を変えたら未来が変わる、というのはバックトゥザフューチャーでもおなじみですが、
    もしも誰かが過去をいじることで、現実が不確定に変わり続ける世界に生きているとしたら…??
    本書はそんなややこしい世界でさらにややこしい職業、探偵をしている男の物語です。
    不確定に変わる世界で昨日や証拠に何の意味があるのか…。
    作者はそんなややこしい設定をあえて行い、ラストは見事に回収するという離れ技を行います。

    *
    日本SF界最大の巨人…

    単純に一番長身の星新一さんよりも背が高かったから、だそうです。なるほど。

    0
    2024年10月27日

    Posted by ブクログ

    タイムマシンによる過去の改変が当たり前となった世界を舞台にしたハードボイルド風味の連作時間SF。過去への干渉により変化を続ける現在、さらにその変化が人々に認識されているという設定が面白い。
    提示される謎も魅力的でミステリ読みとしても楽しめる。
    「凍った炎」、「復讐の女神」がお気に入り。

    0
    2011年02月26日

    Posted by ブクログ

    特にSFが好きでも、ハードボイルドが好きでもない。

    でも、これはおもしろい!とゆーかイイネ!!!
    最後はハッピーエンドな感じもまた

    スルッと読めるし、短編が何編かだから、本を読み慣れない人にもオススメ出来ます

    期待が少なかった分この点数で

    0
    2010年11月28日

    Posted by ブクログ

    タイムパラドクス上等、な世界での探偵物語。
    過去が堂々と変わる上に、変わった自覚が存在する世界っていう設定は紛れもなく SF なのですが、実際に読むとあまり SF っぽさを感じませんでした。
    どちらかというと、できの悪いハードボイルドを読んでいるって感じ?(^^;
    オチの話が割と好みだったのであまり評価を下げないことにしましたが、なにが面白いのかわからないって人もある程度いるかもしれませんね。

    0
    2019年01月19日

    Posted by ブクログ

    そういえば鏡明の本を読んだのは初めてかもしれない。訳書は別にして。
    ここの所昔のSFを読み返している流れで手に取った。タイムトラベル物として鏡明らしい捻くり具合が楽しめる。もっとサービスシーン入れてくれても良かったかな。
    この流れだと次は広瀬正に行かざるを得ないな(^^;)

    0
    2017年06月02日

    Posted by ブクログ

    105.初、並、小傷み、帯なし。
    2011.7/5.桑名BF。
    2007年7月27日、初、並、帯無
    2012.8/26.伊勢BF

    0
    2015年09月20日

    Posted by ブクログ

     まったく,人間と言うやつの順応性には,感嘆するよりない。ワンダーマシンが作動しはじめてから,世の中は,以前の世界とは似ても似つかぬものになってしまった。確実なもの,絶対的なものなど存在しないということを,現実に経験することになったからだ。
     たとえば,見なれた町並みが突如として変わったり,目の前で話していた男が,見知らぬ人間に変わってしまうことだって,現実に起きた。もちろん,街が姿を変えるなんて凄まじいことは,滅多にない。おれの記憶では一度あっただけだ。ま,その記憶というやつも,まるであてにはならないわけだが,一回だけというのは定説になっている。そして,それは不用意に過去に手を触れることがいかに危険かという実例として,残っている。
    (本文p.18)

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とてもハードボイルドだった。現在過去と起こったはずの事象ががんがん変わっていきその理由が明かされる過程など時間ものとして嫌いなタイプの話ではないのだけど、"おれ"という一人称の語り口調など、私が苦手な文体でした。

    0
    2012年01月13日

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