小説 - 新潮社作品一覧

  • 天国旅行
    3.8
    現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、一家心中で生き残った男の決意──。出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。すべての心に希望が灯る傑作短編集。(解説・角田光代)
  • 豪華特急トワイライト殺人事件
    3.2
    闇夜を疾走する密室同然の寝台特急で、大胆不敵な予告殺人が……。十津川警部の携帯電話にわざわざ殺人を知らせる犯人の狙いは!?
  • 怖ろしい場所
    5.0
    厄年の小説家・羽山圭一郎はこわい夢をよくみる。のっぺらぼうの女、眉の女、声の女、額の女、唇の女たちの様々な反応を想起する。現実世界では友人の女性秘書秋岡カオルと逢瀬をかさねるが、やがて別れてパリへ旅立つ。現実と回想と夢が微妙なリアリティーを醸し出す雰囲気の中に、中年男性の心理の襞を浮彫りにする。散らかしながら纏めていく技巧冴えわたる長編小説。
  • 少年・あかね雲
    -
    1巻605円 (税込)
    子供はただ遊びほうけるだけの素朴な存在ではない。獣にも似た鋭い嗅覚を持ち、大人もおよばない豊かな感性を内に秘めている。――本書は、はるか彼方に過ぎ去った少年時代の懐かしい情景を、幼い魂に映じた大人の世界を、自伝風にあるいはフィクションをまじえて描いた珠玉作18編を収録する。少年の心の機微を見事に浮き彫りにし、清冽な詩情とさわやかな郷愁のあふれる一巻。
  • 花のれん
    3.9
    船場に嫁いだ多加は頼りない夫を立ててよく働くが、夫は寄席道楽に耽って店を潰す。いっそ道楽を本業にという多加の勧めで場末の寄席を買った夫は、借財を残したまま妾宅で死亡する。多加のなりふりかまわぬ金儲けが始まった。金貸しの老婆に取入り、師匠たちの背中まで拭い、ライバルの寄席のお茶子頭を引抜く──。大阪商人のど根性に徹した女興業師の生涯を描く直木賞受賞作。
  • パルムの僧院(上)
    3.8
    1~2巻605~737円 (税込)
    イタリアの大貴族デル・ドンゴ家の次男ファブリスは“幸福の追求”に生命を賭ける情熱的な青年である。ナポレオンを崇敬してウァテルローの戦場に駆けつけ、恋のために殺人を犯して投獄され、獄中で牢獄の長官の娘クレリア・コンチと激しい恋におちる……。小公国の専制君主制度とその裏に展開される政治的陰謀を克明に描き、痛烈な諷刺的批判を加えるリアリズム文学の傑作である。
  • 原色の街・驟雨
    3.6
    見知らぬ女がやすやすと体を開く奇怪な街。空襲で両親を失いこの街に流れついた女学校出の娼婦あけみと汽船会社の社員元木との交わりをとおし、肉体という確かなものと精神という不確かなものとの相関をさぐった「原色の街」。散文としての処女作「薔薇販売人」、芥川賞受賞の「驟雨」など全5編。性を通じて、人間の生を追究した吉行文学の出発点をつぶさにつたえる初期傑作集。
  • 個人的な体験
    4.0
    わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥(バード)は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々……。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか? 暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長編。
  • 死者の奢り・飼育
    4.0
    死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。
  • あの歌がきこえる
    3.9
    1巻605円 (税込)
    意地っ張りだけどマジメなシュウ、お調子者で優しいヤスオ、クールで苦労人のコウジは、中学からの友だち同士。コウジの母親が家出したときも、シュウがカノジョに振られたときも、互いの道を歩き始めた卒業の日にも、三人の胸にはいつも、同じメロディーが響いていた。サザン、RC、かぐや姫、ジョン・レノン……色あせない名曲たちに託し、カッコ悪くも懐かしい日々を描く青春小説。
  • 禁猟区
    3.5
    ホストにいれあげている中年女・若山直子の資金源は、ホストクラブで借金がかさみ、身動きのとれなくなった少女たちだった。経営者を脅して得た顧客情報から、未成年者の親に当たり、「解決してやる」とカネを要求する。直子の職業は、警察官だった──。犯罪に手を染めた警察官を捜査する組織、警視庁警務部人事一課調査二係。女性監察官沼尻いくみの活躍を描く傑作警察小説四編。
  • 新釈遠野物語
    4.0
    東京の或る交響楽団の主席トランペット奏者だったという犬伏太吉老人は、現在、岩手県は遠野山中の岩屋に住まっており、入学したばかりの大学を休学して、遠野近在の国立療養所でアルバイトをしている“ぼく”に、腹の皮がよじれるほど奇天烈な話を語ってきかせた……。“遠野”に限りない愛着を寄せる鬼才が、柳田国男の名著『遠野物語』の世界に挑戦する、現代の怪異譚9話。
  • 細雪(上)
    4.3
    1~3巻605~781円 (税込)
    大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだに独身でいる。幸子夫婦は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく。

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  • 吉野葛・盲目物語
    3.9
    大和の吉野を旅する男の口を通して、失われた古きものへの愛惜と、谷崎生涯のテーマ、永遠の理想の女性たる母への思慕の情を謳った随筆的小説『吉野葛』。夫浅井長政を兄織田信長のために滅ぼされるお市の方の悲劇的生涯を中心に、戦国時代を生きた人間の喜怒哀楽を美しく描き出した『盲目物語』。ともに、日本的なものへの傾斜を深めた谷崎中期の代表作である。

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  • エミリーの求めるもの
    3.8
    平和で旧時代的なニュー・ムーンの世界から、ボーイフレンドのテディも、親友のイルゼも、都会へと旅立っていった。孤独に耐えながら、ひたすら創作に没頭するエミリー。野心に燃える彼女にも、時として眠れぬ「夜中の三時」が訪れる。いわゆる適齢期を迎えた女性の、微妙な乙女心が求めるものは何か――エミリー・シリーズ完結編。

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  • 千羽鶴
    3.9
    鎌倉円覚寺の茶会で、今は亡き情人の面影をとどめるその息子、菊治と出会った太田夫人は、お互いに誘惑したとも抵抗したとも覚えはなしに夜を共にする……。志野茶碗がよびおこす感触と幻想を地模様に、一種の背徳の世界を扱いつつ、人間の愛欲の世界と名器の世界、そして死の世界とが微妙に重なりあう美の絶対境を現出した名作である。他に「波千鳥」(続千羽鶴)を収録する。

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  • 舞姫
    3.7
    舞台の夢をあきらめた過去の舞姫波子と、まだプリマドンナにならない未来の舞姫品子の母子。もとは妻の家庭教師であり、妻にたかって生きてきた無気力なエゴイストの夫矢木と両親に否定的な息子高男。たがいに嫌悪から結びついているような家族の姿の中に、敗戦後、徐々に崩壊過程をたどる日本の“家”と、無気力な現代人の悲劇とを描きだして異様な現実感をもつ作品。

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  • モオツァルト・無常という事
    4.2
    小林批評美学の集大成であり、批評という形式にひそむあらゆる可能性を提示する「モオツァルト」、自らの宿命のかなしい主調音を奏でて近代日本の散文中最高の達成をなした戦時中の連作「無常という事」など6編、骨董という常にそれを玩弄するものを全人的に験さずにはおかない狂気と平常心の入りまじった世界の機微にふれた「真贋」など8編、ほか「蘇我馬子の墓」を収録する。

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  • さまざまな迷路
    3.9
    1巻605円 (税込)
    ある日とつぜん、おとぎ話の主人公になりたいと、とんでもないことを言い出した〈王女〉、なぜか、鬼が見えるという患者で繁盛する〈神経科の医師〉、街頭で通行人相手にキャンディーを売る〈ロボット〉etc.未来・現代・過去を一つの次元にとらえ、迷路のように入り組んだ人間生活のさまざまな世界を32のチャンネルに写し出し、文明社会を痛撃する傑作ショート・ショート。
  • 俺俺
    3.5
    なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎて、もう何が何だかわからない。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて――。他人との違いが消えた100%の単一世界から、同調圧力が充満するストレスフルな現代社会を笑う、戦慄の「俺」小説! 大江健三郎賞受賞作。

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  • 素直な戦士たち
    -
    頭の良い男の子を生むには25、6歳、だから24歳の時に見合いをする。相手は知能指数さえ高ければ、むしろ自分の出世をあきらめたような男がいい。――これが千枝が、わが子を東大に合格させるために立てた遠大な計画の第一段階だった。あらゆるものを犠牲にして計画を実行する妻と、それに疑問を感じながらも従わされるサラリーマンの夫を通し、現代の教育と親子関係の断面を抉る。

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  • 生命なき街
    -
    焦熱と砂漠の街、外国人たちから“ライフレス・シティ”と呼ばれるワジバにただ一人で駐在する商社員の、同胞をも敵とした孤独で苛烈な日々を描いた表題作。ほかに『神武崩れ』『挑戦』『老人の眼』『鍵守り男』『白い闇』など、日本経済の高度成長の本当の担い手でありながら、組織や金に裏切られ、むくわれることなく追われてゆく男たちに光をあてた、初期の力作6編を収録する。

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  • ある倒産
    -
    定年を二年後にひかえた調査部長原口は、下請会社へ専務として出向を命じられる。突然の辞令にとまどいながらもはりきる原口。だが、その会社はすでに再建不能の状態であった。倒産の裏面で展開される男たちの息づまる格闘を描いた表題作。ほかに、『絶叫の街』『魔の同伴』『楽天地へ』など、複雑なビジネスの世界に生きる人間の哀歓をリアルに描き出した作品八編を収録する。

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  • 未来いそっぷ
    4.1
    1巻605円 (税込)
    〈アリとキリギリス〉〈北風と太陽〉〈ウサギとカメ〉など、幼いころから誰もが親しんできた寓話の世界。長年語りつがれてきた物語も星新一の手にかかると、驚きの大革命! 時代が変われば価値観も変わるとはいえ、古典をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、ちょっぴり気にはなりますが――。愉しい笑いと痛烈な風刺で、あなたを新たな世界へとご案内するショートショート33編!
  • 満潮の時刻
    4.1
    突然の喀血により結核に冒されていることを知った明石。四十代の働き盛りで療養生活を余儀なくされ消沈する明石が入院先で出会ったのは、自分よりもさらに死に近い病人たちと、その儚い命の終焉だった。結核がまだ致命的な病であった時代、死の淵を彷徨い絶望と虚無に陥った男の心はどこへ向かったのか。生と死、信仰と救済。遠藤文学を貫くすべてのテーマが凝縮された感動の長編。

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  • 砂の城
    3.7
    青春の浜辺で若者が砂の城を築こうとする。押し寄せる波がそれを砕き、流してゆく……。西は過激派グループに入って射殺され、トシは詐欺漢に身を捧げて刑務所に送られた。しかしふたりとも美しいものを求めて懸命に生きたのだ――スチュワーデスになった泰子は三人いっしょだった島原の碧い海と白い浜を思い浮べる。幸福を夢み、愛を願ってひたむきに生きた若者たちの青春の軌跡。

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  • 沈黙
    4.4
    島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

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  • ファーストレディ(上)
    -
    1~2巻605円 (税込)
    戦争末期、空襲下の東京で、女学生の百合子と愛子は二人の大学生と出会った。その一人、渋谷と戦後再会した百合子は、もう一人の大学生、辻を慕いながら、渋谷の求婚を受け入れる。議員の家系に繋がる百合子との結婚によって、渋谷は政治家としての第一歩を踏み出した。一方、シベリア抑留から病んで帰った辻は、医者を目指す愛子と結ばれる。かくて二組の夫婦の戦後が始まった……。

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  • 月光のドミナ
    -
    暗い波間から現われた全裸の金髪女性に頬を打たれ、自己のマゾヒストとしての運命を確認する画学生千曲の暗い欲望に迫る「月光のドミナ」。外国旅行中、結核が再発した夫に南仏見物を同意させる妻のわがままを描く「再発」。ほか「シラノ・ド・ベルジュラック」「あまりに碧い空」「パロディ」「寄港地」「宦官」「松葉杖の男」「地なり」「イヤな奴」「葡萄」を収録。作中人物の心に潜む暗い衝動やエゴイズムや恐怖を、そのまま描き出す誠実な筆致と明確な構成を持つ初期短編11作。

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  • 渡された場面
    4.1
    四国の県警捜査一課長香春(かわら)銀作は、文芸雑誌の同人誌評に引用された小説の一場面に目をとめた。九州在住の下坂一夫が書いたというその描写は、香春が担当している“未亡人強盗強姦殺人事件”の被害者宅付近の様子と酷似しすぎていたのだ。再捜査により、九州の旅館女中の失踪事件と結びついたとき、予期せぬ真相が浮び上がる――中央文壇志向の青年の盗作した小説が鍵となる推理長編。

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  • すれ違う背中を
    3.7
    パン職人を目指して日々精進する綾香に対して、芭子はアルバイトにもなかなか採用されない。そんなある日、ビッグニュースが! 綾香が商店会の福引きで一等「大阪旅行」を当てたのだ。USJ、道頓堀、生の大阪弁、たこ焼き等々初めての土地で解放感に浸っていた彼女たちの前に、なんと綾香の過去を知る男が現れた……。健気な女二人のサスペンスフルな日常を描く人気シリーズ第二弾。

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  • 妄想銀行
    4.0
    1巻605円 (税込)
    人間のさまざまな妄想を取り扱うエフ博士の妄想銀行は連日大繁盛。しかし博士が、彼に思いを寄せる女から吸いとった妄想を自分の愛する女性に利用しようとしたのが誤ちのもとだった――奇想天外なユーモアのあふれる表題作。ほかに、道で拾った風変りな鍵に合う鍵穴を探すことに情熱を傾ける男の物語『鍵』、人生修行に出て説教癖のついたロボットの話『人間的』などS・S32編。
  • 薔薇盗人
    3.9
    「親愛なるダディと、ぼくの大好きなメイ・プリンセス号へ」──豪華客船船長の父と少年をつなぐ寄港地への手紙。父の大切な薔薇を守る少年が告げた出来事とは──「薔薇盗人」。リストラされたカメラマンと場末のストリッパーのつかの間の、そして深い哀情「あじさい心中」。親友の死を前にして老経営者に起きた死生への惑い「死に賃」。人間の哀歓を巧みな筆致で描く、愛と涙の6短編。

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  • 夢魔の標的
    3.8
    1巻605円 (税込)
    異変はある日突然起った。腹話術師の人形クルコちゃんが、まるで生きた人間のように勝手に喋りはじめたのだ。人形の反逆!? 叱っても、ご機嫌をとっても一向に効き目はなく、彼女はますます横暴になるばかり。腹話術師の狂気が作り上げた妄想か? それとも、異次元の世界からの秘密の指令によって人形が何かを企んでいるのか? ショート・ショートの名手が贈る、異色の長編SF。
  • ぬばたま(新潮文庫)
    3.4
    ときどき、こんな人がいるのです。山に入ったまま、帰って来られなくなってしまった人が──。仕事も家族も失い、絶望のうちに山を彷徨う男が見た恐ろしい幻影。少女の頃に恋した少年を山で失った女の、凄絶な復讐。山で見たおぞましい光景が狂わせた、幼なじみ三人の運命。死者の姿が見える男女の、不思議な出会い。闇と光、生と死、恐怖と陶酔が混じり合う、四つの幻想的な物語。
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
    4.0
    中国から久しぶりに戻った俺を出迎えた友の死。東京、雑司ヶ谷。大都会に隣接するこの下町で俺は歪んだ青春を送った。町を支配する宗教団体、中国マフィア、耳のない男……。狂いきったこのファックな人生に、天誅を喰らわせてやる。エロスとバイオレンスが炸裂し、タランティーノを彷彿とさせる引用に満ちた21世紀最強の問題作。脳天、撃ち抜かれます。
  • 君はこの国を好きか(新潮文庫)
    4.0
    1巻594円 (税込)
    わたしはハングルに感電した―。アメリカで出会った友人に影響され、雅美は韓国語に魅せられて、ついに留学を決意する。ところが文化の違いから、いらだちと挫折感を味わうようになって……。東京とソウルを行き来する青春の日々を新しい感性で描く『君はこの国を好きか』に、ふとしたことから、在日であることを自覚させられる男子大学生を主人公にした『ほんとうの夏』を併録。
  • 駱駝の夢 上巻
    -
    1~2巻594~638円 (税込)
    いつも信じあって生きてきたはずの妻が、突如、得体の知れない存在に変貌するとき、夫は……。心の歯車が微妙にくるってゆく夫婦の危機を描く1200枚。上巻。昭和47年~48年、日本経済新聞夕刊連載。
  • 夢のように日は過ぎて
    3.5
    会社勤めのデザイナーとしてキャリアを積んだ芦村タヨリさんは、今が娘盛り。日本酒で作った自家製化粧水でお肌はピカピカ、相手の男次第でハタチから三十五まで幅広く年齢のサバも読めます。ちょっぴり落ち込んだりしても、「アラヨッ」の掛け声もろとも、優雅に軽やかにピンチを乗りこえてしまう、その素敵に元気な独身生活の秘訣とは? ハイミスの魅力あふれる連作長編小説。
  • 二十歳の原点ノート
    4.0
    自己、家族、友だちについて語る断面からは、明るく多感で利発な少女の素顔がうかがえる。高校へ進学し、バスケットクラブと受験勉強の両立に苦悩しながら、精一杯に努力し真剣に生きた姿は、同じ悩みを知る多くの人々の心に深く刻まれるであろう。
  • 夜あけのさよなら
    3.8
    「人に取られたくない」という独占欲が、愛のかたち―やわらかに耳を打つ、心を撫でられそうな篠崎サンの声。安心してよりかかれる気がするけど、どうしてそうやさしくするの?田辺聖子の恋愛小説。
  • 思い出コロッケ
    3.6
    美人でもなく、賢そうでも若くもない女に惹かれ、家を出た夫。あの人となら温かい家庭を築けると思ったのに、なぜ──。知人の電話から、夫婦関係の冷たさを思い知る(「コロッケ」)。不倫に疲れ、帰省した先で出会った事件から、まっとうな家族の温かさと女の独り身の侘びしさに気づかされる(「黒豆」)。昭和を舞台に大人の恋、男女の情愛、そして家族の真実を描いた静謐な七篇。
  • 美しい心臓
    4.0
    DVに憑かれた冷酷な夫から逃げ出したわたしが、職場で偶然知り合った既婚者の彼。その導きで始まった密会のたわむれは、わたしを絶望の淵から救った。甘い官能に溺れるふたつの魂は、秘密の部屋を抜け、やがて緑滴る中米の地を目指す。生命が躍動する新世界で、わたしが望んだのは、しかし、欲して止まない彼の死だった。悪魔的に美しく、愛と見まごうほどに純粋な感情の行方。
  • クレーヴの奥方
    3.0
    16世紀、アンリ2世の王宮を舞台に、実在の人物が数多く登場。夫クレーヴ公に詰問された奥方は、他の男への想いを打ち明ける――。17世紀末に匿名で発表されるやベストセラーになった、フランス文学初期の小説にして最初の恋愛心理小説。
  • 新選組おじゃる
    3.3
    沖田総司の命を狙う、新政府一のワルの正体は、岩倉具視だった! 総司と徳川家を守るため、岩倉が潜む江戸城に乱入する新選組。敵方率いる抜刀隊に負けそう……な危機を助けてくれたのは、ご先祖様のぬらりひょん! 江戸妖怪の総大将と共にオカマのお歯黒べったり、九尾の狐、ろくろっ首や唐傘小僧も参戦。城内で火を吹き剣を操り大騒ぎ。新人隊士・市村鉄之助の戦い、ついに完結。
  • 持ち重りする薔薇の花
    -
    薔薇の花束を四人で持つのは、面倒だぞ、厄介だぞ、持ちにくいぞ――世界的弦楽四重奏団(クヮルテット)の愛憎半ばする人間模様を、彼らの友人である財界の重鎮が語り始める。互いの妻との恋愛あり、嫉妬あり、裏切りあり……。クヮルテットが奏でる深く美しい音楽の裏側で起きるさまざまなできごと、人生の味わいを、細密なディテールで描き尽くした著者最後の長編小説。
  • ミカドの淑女
    3.7
    その女の名は下田歌子。女官として宮廷に出仕するや、その才気によって皇后の寵愛を一身に集め、ついには華族子女憧れの的、学習院女学部長となった女。ところが平民新聞で、色恋沙汰を暴露する連載記事が始まり、突然の醜聞に襲われる。ここに登場するのは、伊藤博文、乃木希典、そして明治天皇……。明治の異様な宮廷風俗を描きつつ、その奇怪なスキャンダルの真相を暴く異色の長編。
  • ビッチマグネット
    3.7
    すべてを分かち合う仲が良すぎ? な香緒里と友徳の姉弟。夫の浮気と家出のせいで、沈み込みがちな母・由起子。その張本人である父・和志は愛人・佐々木花とのんびり暮らしている。葛藤や矛盾を抱えながらもバランスを保っていた彼らの世界を、友徳のガールフレンド・三輪あかりが揺さぶりはじめて――。あなた自身の「物語」っていったい何? 優しくて逞しい、ネオ青春×家族小説。
  • 夜離れ
    3.8
    甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは……「祝辞」。銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした〈私〉を襲った突然の不幸……「夜離れ」。結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは? ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。微妙な女心を描く6つのサスペンス。
  • 岐阜羽島駅25時
    -
    東京、横浜と、相次いで起こった高齢資産家の殺人事件。唯一の手掛りは、被害者の書斎に残された、『あなたは百五十歳まで生きられる そして不老不死へ』という、謎の医師ドクター朝倉の著書だった。十津川警部と亀井刑事は、江戸時代から不老不死の探究が続けられ、現在はドクター朝倉の研究所がある岐阜羽島に向かう……。十津川警部が禁断の研究に挑む、長編トラベルミステリー。
  • 宮島・伝説の愛と死
    2.7
    癌で余命三ヶ月と宣告された一乗寺多恵子が殺された。必死の捜査にもかかわらず、手掛かりは得られない。十津川警部は、多恵子が死に際して最期の旅行を計画していた宮島に事件解決の鍵が隠されていると睨んだ。そして、厳島神社の大鳥居をくぐる夜間の遊覧船で、偶然にも発生した転落事故。それが、多恵子の身に起きた21年前の忌わしい過去を呼び覚ました。十津川警部、渾身の捜査!
  • きよしこ
    4.2
    1巻594円 (税込)
    少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。伝わるよ、きっと──。大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。
  • 浅草鳥越あずま床
    -
    下町浅草鳥越に、生れ育って六十年、幼なじみの六人の、いずれ劣らぬ老悪童、寄ればたちまち持ち上がる、思いもかけぬ珍事件。色と欲には目もくらみ、甘い話に乗せられて、いつも騙されコケにされ、それでも懲りないくじけない。恥も喜びも分ちあい、清く正しく生きて……いるかどうかは知らないが、情あふれるこの男たち、笑ってやって下さい、しめて八編連作滑稽譚。
  • 道元の冒険
    -
    お互いの夢の中の存在である禁欲の仏教者道元と現代の色情狂患者。夢の二重構造をみごとに劇化しつつ、日本の精神風土を痛烈に笑いとばした表題作。人間に頼るよりも自由気ままに生きようと放浪する野良猫たちが、自分たちの楽園を築くまでとその行きつくさきを描く『十一ぴきのネコ』――ことばのもつ生命力を十二分に駆使して、日本語に新しい響きを甦らせた抱腹絶倒の喜劇2編。
  • 妻の超然
    3.8
    結婚して十年。夫婦関係はとうに冷めていた。夫の浮気に気づいても理津子は超然としていられるはずだった(「妻の超然」)。九州男児なのに下戸の僕は、NPO活動を強要する酒好きの彼女に罵倒される(「下戸の超然」)。腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴。「文学の終焉」を予兆する凶悪な問題作(「作家の超然」)。三つの都市を舞台に「超然」とは何かを問う傑作中編集。

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  • 自縄自縛の私
    3.9
    どうしてそんなことを? と訊かれたならば、魔がさしたから、としか答えようがない。縄はどんな抱擁よりもきつく、私の躰と心を抱きとめる──。仕事に追われる日々の合間、自分を縛ることを密かな楽しみにしている「私」を描いてR-18文学賞大賞を受賞した表題作、女子高校生の初恋が瑞々しい「渡瀬はいい子だよ」など、“不器用”さすら愛おしい女の子たちをめぐる、全6編。

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  • ここだけの女の話
    3.5
    恋はどうして、いつも期待や望みを裏切って思いがけない方向へ転がっていくのだろう。そして人はどうして、そんなままならぬ恋から逃れられないのだろう――。なぜか手放せない想いに逆にからめ取られて、身動きできなくなってしまった男と女のデリケートな哀歓を、なめらかな大阪言葉にのせてしみじみと綴る。読むほどに人恋しさが募ってくる、恋愛小説ならではの情趣溢れる10篇。
  • 姥ときめき
    4.0
    ときめく心を持ち続ければ、年とることなど怖くない! 若き日に苦労した分思いきり楽しまなけりゃ、いったい何の人生か。年寄りは年寄りらしくの声にもめげず、思う存分老後をエンジョイする77歳歌子サン。一人マンションで優雅に暮す歌子サンの周りには、今日も様々な出来事が持ち上る……。いつまでもときめきを忘れずに生きる歌子サンの大活躍を描いた連作短編シリーズ第2弾!
  • 着物の悦び きもの七転び八起き
    3.6
    成人式以来、着物には縁がなかったマリコさんが、いつしか着物を好きで好きでたまらなくなってしまった。着物友だちと「細雪ごっこ」をしたり、展示会に出かけたり……。時には失敗もして恥をかきつつ、身も心も着物にのめり込んでいったマリコさんの七転び八起きのストーリー。着物を愛するあなたも、まだこれからの人も、魔力を秘めた着物の世界に足を踏み出すと人生変わります!※新潮文庫版に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
  • あなた(上)
    3.7
    1~2巻583円 (税込)
    秀明はやや軽めの明るい浪人生。明るいといっても二浪目に突入したのだから、多少の屈託もないわけではない。しかし、女子大生の彼女もちゃんといて、携帯メールを間断なくやりとりして、にやけてみたり、ふて腐れてみたり……。受験の年の元日の未明、秀明の身体を異変が襲った。胃を握り潰されるかのような激しい吐き気、強烈な圧迫感。それは底なしの恐怖の序章に過ぎなかった。
  • 悪魔の羽根
    3.5
    日本の銀行マンと結婚したフィリピン女性が転勤で、九州から新潟へ移った途端に経験した、雪国という未知の空間。ふさいだ気分が周囲への憎悪に変わる様子を描いた表題作「悪魔の羽根」。早春、恋愛中の女性が突然、姿を消した謎に季節特有の悩みを絡めた「はなの便り」など、四季の風景を織りまぜながら、男女の心模様、友人同士の心のズレを浮き彫りにする。ちょっぴり恐い7つの物語。
  • ヴァンサンカンまでに
    3.6
    アパレルメーカーに勤める仲江翠は入社一年目。そつなく仕事をこなしていたが、彼女には秘密があった。仕入れ部の課長と不倫恋愛していたのだ。さらに同期の男性とも恋人として付き合い、ゲームのような恋愛を続けた。ところが、同僚女性が上司と無理心中する事件が発生。二人の一途さを理解できない翠だったが、やがて彼女にもつらい出来事が舞い込む。本当の愛に気付くまでの物語。
  • 家族趣味
    3.7
    人生は楽しく、充実していなければ。そこそこ出世した旦那に、健康な息子。私の仕事も順調だ。そして、恋も……。次々に年下の男性との不倫関係を重ねてゆく奔放な主人公を待ち構えていた運命は? 表題作をはじめ、宝石にとり憑かれた女の破滅的生活を追う「魅惑の輝き」、少年の底知れぬ不可解さを描いた「デジ・ボウイ」など、日常に潜む狂気を抉った直木賞作家の傑作短編5編。
  • 左手首
    3.7
    美人局のはずだった。だが、頭の弱い女が誘い込んだのはヤクザで、相棒の男が凄んでも脅しが効かない。逆ギレするヤクザ。女は消火器を振り下ろした。バラバラにした死体をいざ埋めようとするが……「左手首」。解体業者と組んで事故車で稼いでいた損保・車両鑑定人(アジャスター)の悪どい手口……「解体」。一攫千金か奈落の底か、欲の皮の突っ張った奴らが放つ最後のキツイ一発! なにわ犯罪小説七篇。
  • 知床 望郷の殺意
    2.5
    元刑事・水木和俊は、大都会東京で挫折し、老母の待つ故郷の知床に帰ろうとしていた。だが、羽田空港で、十津川警部に拘束されてしまう。かつて水木に痴漢の汚名を着せ、その警察官人生を葬り去った女性を殺害した容疑者として……。世界自然遺産に選ばれた美しき知床と、真夜中に目を覚ます欲望の街新宿。対照的なふたつの土地を舞台に、人びとの愛、欲望、そして死が絡みあう。
  • 京都 恋と裏切りの嵯峨野
    2.5
    「私は、彼を殺します」嵯峨野の尼寺でそう記し、姿を消した女=ゆみ。京都で休暇中の、十津川警部が見かけた彼女の横顔は美しく、寂しかった。女の哀しい殺意と十津川のとぎ澄まされた勘が交わるとき、事件は静かに幕を開ける――。竹林で死んでいた、ゆみの姿。次第に明らかになってゆく、新興宗教団体の狂気と闇。貴船、清水、祇園祭。古都をあざやかに描く、旅情豊かな長編推理小説。
  • 酸素
    -
    神戸の〈日仏酸素株式会社〉は海軍と結びついて造船用の酸素を納入していた。その会社にひとりの青年が翻訳係として採用されたが、彼は非合法活動のために特高に追われる身だった……。日ごとに緊迫の度を増す開戦前夜の暗い時代相の中に、実業家、軍人、地下活動家、女流画家などさまざまに入り乱れる多彩な人物群像、幾重にもからまり合う恋愛心理を冷徹な筆に描く長編。
  • かきつばた・無心状
    -
    著者は知人の家で池の中にかきつばたの狂い咲きを見た。が、見たものはそれだけではなかった。水面には女の死体が浮いていたのだ―終戦時の混乱を描いて鬼気迫る「かきつばた」。早稲田の貧乏学生の著者は田舎の兄に送るつもりだった無心状を、あろうことかレポートと取り違えて敬愛する師・吉田絃二郎に提出してしまった―ほのぼのと心なごむ青春回想記「無心状」。名品全15編。
  • 美っつい庵主さん
    -
    五人の尼がひっそりと暮す尼寺に、突然舞いこんだ女子学生とそのボーイフレンドが巻きおこす珍騒動の中に、新旧世代の自由のありかたを対照させた表題作。丸ノ内の近代的なオフィスに勤務する国際電話オペレーターの日常に潜む鬱屈感を探った『線と空間』など六短編を収録する。厳しい現実に揉まれ男女や親子の確執に悩みながらもささやかな幸せを求めて生きる人々を描く初期作品集。
  • 薬菜飯店
    4.0
    1巻583円 (税込)
    あなたをこれまで決して味わった事のない爽快な体験に案内する、究極の料理小説「薬菜飯店」。不思議な味わいの川端賞受賞作「ヨッパ谷への降下」や懐かしい味わいの「秒読み」、ファミコンの悪魔が子供に憑依する「偽魔王」など傑作短編6編。それに「サラダ記念日」を本歌どりした過激なパロディ短歌「カラダ記念日」を収録。鬼才が腕によりをかけた短編特別メニュー。
  • 藪原検校
    5.0
    東北の片田舎に生まれた盲人が、根深い差別の中で晴眼者に伍して生きて行こうとした時、彼にとっての武器は何だったか。殺人、脅し、強盗、強姦、数々の悪事を重ねて盲人にとっての最高の権力の座、検校位に登りながら、ついに三段斬りの極刑に処せられた杉の市=二代目藪原検校の非道の生涯を深い慈しみを込めて描く傑作戯曲。ほかに新作文楽「金壺親父恋達引」を収録。
  • 珍訳聖書
    -
    花の浅草ドッグ座の犬芝居、人気ストリッパーのマリアの発作は何と狂犬病。弟の刑事犬も、医学博士犬も真っ青で感染経路の大捜査が始まった。ところが実はこの芝居、南方帰還兵が仕組んだ恐怖の復讐劇だったのでありました。と思ったら、またまた逆転、実は……。エロと笑いと風刺満載の逆転につぐ大逆転劇。この世の真実はどこにある。浅草の救世主はどこにいる。
  • 怪盗ジバコ
    4.0
    1巻583円 (税込)
    史上最強の怪盗が現れた! 全世界を股にかけ、これまでに盗んだ額は一国の国家予算をはるかに超える。南海の孤島のヤシの実から共産圏の金の延棒まで、盗めるものは何でも盗む。48を越える国語を自由にあやつり、老若男女どんな人間にも姿を変え、その正体を誰も知らない――ジェームズ・ボンドや明智小五郎もお手上げの、「怪盗ジバコ」のユーモアあふれる活躍を描く連作8編。
  • たくさんのタブー
    3.9
    1巻583円 (税込)
    幽霊にささやかれ、自分が自分でなくなって、あの世とこの世がつながった。日常生活の背後にひそむ異次元に誘うショートショート20編。
  • 筒井康隆劇場 スイート・ホームズ探偵
    -
    1巻583円 (税込)
    閑静な住宅街で発生した連続幼女殺人事件! 幸せな家庭の美しく優しい母親の前歴は? そして変質者でいっぱいの登場人物たちのうち、いったい誰が犯人なのか? 謎と笑いに満ちた傑作推理劇の表題作。時空を飛び越え、人類永遠のテーマ母子相姦を描く怪作「俊徳丸の逆襲」。ほかに「ひとり」「部長刑事―刑事たちのロンド」「若くなるまで待って」をおさめるバラエティー編。

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  • 検事 霞夕子 風極の岬
    -
    夕子は北海道釧路地検に転勤になった。東京とはすべてスケールの違う生活に戸惑うなか、事件が発生した。廃業したリゾートホテルで、白骨死体が見つかったという。そして現場に残る酒盛りのあと。捜査に加わる夕子の目が光る――「札幌は遠すぎる」ほか3編収録。北の大地に渦巻く人間関係のあやを、かすかな違和感、些細な痕跡を手がかりに解きほぐす、検事・霞夕子シリーズ第3作。

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  • 冷い夏、熱い夏
    3.9
    1巻583円 (税込)
    何の自覚症状もなく発見された胸部の白い影――強い絆で結ばれた働き盛りの弟を突然襲った癌にたじろぐ「私」。それが最悪のものであり、手術後一年以上の延命例が皆無なことを知らされた。「私」は、どんなことがあっても弟に隠し通すことを決意する。激痛にもだえ人間としての矜持を失っていく弟……。ゆるぎない眼でその死を見つめ、深い鎮魂に至る感動の長編小説。毎日芸術賞受賞。

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  • 光る壁画
    3.7
    1巻583円 (税込)
    胃潰瘍や早期癌の発見に絶大な威力を発揮する胃カメラは、戦後まもない日本で、世界に先駆けて発明された。わずか14ミリの咽喉を通過させる管、その中に入れるカメラとフィルム、ランプはどうするのか……。幾多の失敗をのりこえ、手さぐりの中で研究はすすむ。そして遂にはカラー写真の撮影による検診が可能となった。技術開発に賭けた男たちのロマンと情熱を追求した長編小説。

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  • 真昼の悪魔
    2.5
    患者の謎の失踪、寝たきり老人への劇薬入り点滴……大学生・難波が入院した関東女子医大付属病院では、奇怪な事件が続発した。その背後には、無邪気な微笑の裏で陰湿な悪を執拗に求める女医の黒い影があった。めだたぬ埃のようにそっと忍びこんだ〈悪魔〉に憑かれ、どんな悪を犯しても痛みを覚えぬ白けた虚ろな心を持つ美貌の女――その内面の神秘を探る推理長編小説。

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  • だれかさんの悪夢
    3.9
    1巻583円 (税込)
    大金持ちになりたい。魅力的な女と結婚したい。おもしろおかしく毎日をすごしたい。超能力を身につけたい。国家元首になりたい。宇宙を征服したい。早く刑務所から出たい。――平凡なことから途方もないことまで、ああもしたい、こうもしたいと限りなく広がる人間の夢。だが、その夢が実現してみると……。欲望多き人間たちがひきおこす悲劇喜劇を軽妙に描く傑作ショートショート集。
  • キリストの誕生
    4.1
    愛だけを語り、愛だけに生き、十字架上でみじめに死んでいったイエス。だが彼は、死後、弱き弟子たちを信念の使徒に変え、人々から“神の子”“救い主(キリスト)”と呼ばれ始める。何故か?――無力に死んだイエスが“キリスト”として生き始める足跡を追いかけ、残された人々の心の痕跡をさぐり、人間の魂の深奥のドラマを明らかにする。名作『イエスの生涯』に続く遠藤文学の根幹をなす作品。

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  • 留学
    3.9
    カトリック神学生の工藤、日本最初のヨーロッパ留学生である十七世紀の荒木トマス、仏文学者の田中の三人を主人公とした『ルーアンの夏』『留学生』『爾も、また』の三章から成る。時代は違っても、三人の留学生の悩みは共通であり、それぞれにヨーロッパ文明の壁に挑んで懸命に生きるが、宗教や文化その他の精神風土の絶対的な相違によって空しく挫折してゆく姿を描く力作。

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  • 葬送 第一部(上)
    4.0
    1~4巻583~704円 (税込)
    ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。

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  • ごんぎつね でんでんむしのかなしみ―新美南吉傑作選―(新潮文庫)
    NEW
    -
    わずか29歳で夭逝した新美南吉は、美智子上皇后の胸に刻まれた「でんでんむしのかなしみ」や「手袋を買いに」など、多くの心優しい童話と詩を残した。不遇な幼年時代だったが18歳で「ごんぎつね」を発表。その後結核に苦しみながらも、創作の情熱は最期まで衰えなかった。生きることの淋しさを抱えつつ、それでも歩もうとする勇気を、繊細な感性で描いた傑作童話11編と数編の詩を収録した。
  • 安土往還記(新潮文庫)
    4.3
    1巻572円 (税込)
    争乱渦巻く戦国時代、宣教師を送りとどけるために渡来した外国の船員を語り手とし、争乱のさ中にあっても、純粋にこの世の道理を求め、自己に課した掟に一貫して忠実であろうとする“尾張の大殿(シニョーレ)”織田信長の心と行動を描く。ゆたかな想像力と抑制のきいたストイックな文体で信長一代の栄華を鮮やかに定着させ、生の高貴さを追究した長編。文部省芸術選奨新人賞を受けた力作。(解説・饗庭孝男)
  • デッドライン(新潮文庫)
    3.8
    2001年の春、僕は大学院に進んだ。専門はフランス現代思想。友人の映画制作を手伝い、親友と深夜にドライブし、行きずりの相手とセックスをする日々を送りながら、修士論文の執筆が始まる。テーマはドゥルーズ――世界は差異からできていると唱えた哲学者だ。だが、途中までしか書けないまま修論の締め切り(デッドライン)が迫ってきて……。気鋭の哲学者が描く青春小説。芥川賞候補、野間文芸新人賞受賞作。(解説・町屋良平)
  • 秘密の花園(新潮文庫)
    3.5
    私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう? カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靭な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは――。記念碑的青春小説。(解説・穂村弘)
  • おやすみ、こわい夢を見ないように(新潮文庫)
    3.4
    「あたしこれから殺人計画をたてる」。我慢をかさね、やっと受かった高校で待っていたのは、元カレ剛太の「抹殺」宣言と執拗な嫌がらせ。すべての友に去られた沙織は、不登校の弟をコーチに復讐の肉体改造を決意するが……。理不尽に壊された心のゆくえを鮮烈に描く表題作をはじめ、ひそかに芽ばえ、打ち消すほどに深く根を張る薄暗い感情のなかに、私たちの「いま」を刻む7つの風景。
  • マリアージュ・マリアージュ(新潮文庫)
    3.7
    キスをして抱きしめられ、初めて普通の状態になれたあの頃。今の私は年下の彼に、昔の自分を重ねてしまう(「試着室」)。私の性を抑圧し続けてきた、私に対して1ミリも動かなくなった彼の性器に、今、私は復讐をした(「ポラロイド」)。他の男と寝て、気づく。私はただ唯一夫と愛し合いたかった(「献身」)。幸福も不幸も与え、男と女を変え得る愛と結婚の、後先を巡る六つの短篇。
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)
    完結
    3.8
    全5巻572~781円 (税込)
    高校教師・巣藤浚介は、恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。馬見原光毅刑事は、ある母子との旅の終わりに、心の疼きを抱いた。児童心理に携わる氷崎游子は、虐待される女児に胸を痛めていた。女子高生による傷害事件が運命の出会いを生み、悲劇の奥底につづく長き階段が姿を現す。山本賞受賞作の構想をもとに、歳月をかけて書き下ろされた入魂の巨編が、いま幕を開ける。
  • 東京奇譚集(新潮文庫)
    4.0
    肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。
  • 神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫)
    3.8
    1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる……。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた――。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。
  • 椰子・椰子(新潮文庫)
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 妊娠中のもぐらと一緒に写真をとったり、町内の縄文人街を散歩したり、子供たちを折りたたんで押入れにしまったり、中くらいの災難に見舞われ一時乳房等の数が二倍になったり。奇想天外でヘンテコで不気味な出来ごとが、次々と繰りだされる日常を、ごく淡々と送る女性の、ユーモラスな春夏秋冬。一足踏みいれたらきっととりこになる、とっぷりと心地よい「椰子・椰子」ワンダーランド。
  • 息子と狩猟に(新潮文庫)
    4.1
    小学生の息子を連れて鹿を追う週末ハンターの倉内と、トラブルで死体を抱えた詐欺集団のリーダー加藤。獲物を狙う狩猟者と死体遺棄を図る犯罪者が山中で出くわしてしまった――。息もつかせぬ展開と圧倒的リアリティに痺れる表題作。世界最難関の雪山で飢えと寒さに蝕まれていく極限の状況下、人の倫理観の矛盾を鋭く問う短編「K2」。サバイバル登山家が実体験を基に描く唯一無二の犯罪小説。(解説・杉江松恋)
  • カエルの楽園(新潮文庫)
    4.4
    1~2巻572円 (税込)
    国を追われた二匹のアマガエルは、辛い放浪の末に夢の楽園にたどり着く。その国は「三戒」と呼ばれる戒律と、「謝りソング」という奇妙な歌によって守られていた。だが、南の沼に棲む凶暴なウシガエルの魔の手が迫り、楽園の本当の姿が明らかになる……。単行本刊行後、物語の内容を思わせる出来事が現実に起こり、一部では「予言書」とも言われた現代の寓話にして、国家の意味を問う警世の書。(解説・櫻井よしこ)
  • ミーツ・ガール(新潮文庫)
    3.0
    1巻572円 (税込)
    この肉女を、なんとかしてくれ! 大学一年のワタベは、巨体で激臭漂う熊堀サトミと隣の席に。すぐアパートに居座られ、コンビニのホットスナック「マンガ肉」を日夜買いに走らされる。そんな生活が三ヶ月続き、遂に熊堀を追い出したワタベ。だが十年後、彼女がバーの店長をしていると知り……。R-18文学賞大賞受賞作を含む、不器用な男女の激しく切ない恋愛小説集。『マンガ肉と僕』改題。(解説・杉野希妃)
  • 平凡(新潮文庫)
    3.9
    妻に離婚を切り出され取り乱す夫と、その心に甦る幼い日の記憶(「月が笑う」)。人気料理研究家になったかつての親友・春花が、訪れた火災現場跡で主婦の紀美子にした意外な頼みごと(「平凡」)。飼い猫探しに親身に付き添うおばさんが、庭子に語った息子とおにぎりの話(「どこかべつのところで」)。人生のわかれ道をゆき過ぎてなお、選ばなかった「もし」に心揺れる人々を見つめる六つの物語。(解説・佐久間文子)
  • アカペラ(新潮文庫)
    3.8
    身勝手な両親を尻目に、前向きに育った中学三年生のタマコ。だが、大好きな祖父が老人ホームに入れられそうになり、彼女は祖父との“駆け落ち”を決意する。一方、タマコを心配する若い担任教師は、二人に振り回されて――。奇妙で優しい表題作のほか、ダメな男の二十年ぶりの帰郷を描く「ソリチュード」、独身の中年姉弟の絆を見つめた「ネロリ」を収録。温かくて切ない傑作小説集。
  • 五つ星をつけてよ(新潮文庫)
    3.8
    PC上で輝く星(レビュー)だけが、進むべき道を照らしてくれる――。離婚して実家に戻った恵美は、母の介護を頼んでいるホームヘルパー・依田の悪い噂を耳にする。細やかで明るい彼女を信頼していたが、見る目がなかったのだろうか。動揺する恵美に、母が転んで怪我をしたと依田から連絡が入り……。ネットのレビュー、ブログ、SNS。評価し、評価されながら生きる私たちの心を鮮やかに描き出す6編。(解説・彩瀬まる)
  • 私の裸(新潮文庫)
    3.5
    1巻572円 (税込)
    女は皆、平和を装っているだけ。ライターの天音は、妻としても職業人としても自己不全感を抱いていた。ある日、友人の紹介で俳優の朔也と出会う。人とは違う肉体を生かして役者になった朔也を取材するうち、彼の周りの女性たちが変貌した瞬間を知る。いい子の呪いに苦しむ鈴美、男性経験のない冬美恵、朔也の妻・理都子、そして天音自身も――。未知の私が現れる5編。『幸福なハダカ』改題。(解説・寺地はるな)

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