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舞台の夢をあきらめた過去の舞姫波子と、まだプリマドンナにならない未来の舞姫品子の母子。もとは妻の家庭教師であり、妻にたかって生きてきた無気力なエゴイストの夫矢木と両親に否定的な息子高男。たがいに嫌悪から結びついているような家族の姿の中に、敗戦後、徐々に崩壊過程をたどる日本の“家”と、無気力な現代人の悲劇とを描きだして異様な現実感をもつ作品。
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Posted by ブクログ
戦後日本の家庭の物語。登場人物それぞれが無力感を抱え、悩みながら生きている。最終的に各人の苦しみが解消される場面は描かれず、この先どうなったのか気になる終わり方。戦後日本の価値観、男女の葛藤、経済的転落が描かれる。 波子さんは綺麗な人なんだろうな。矢木は嫌な感じのする男だが、その背景には結婚生活で...続きを読むの彼なりの葛藤があったのだろう。
まず舞姫というタイトルが良い。物語は、舞台の夢を諦めた波子とその娘の品子を中心に描かれているが、時に冷たく、時に切なく、様々な苦悩が入り混じった読み応えのある作品だと思う。
戦後の日本では貴族(華族)制度が撤廃されたため かつての貴族たちは、世襲財産保護の特権を失うことになった 中でも、芸術などに夢を見て まともな生活能力を身につけなかった者たちは 贅沢に慣れた身ゆえ、浪費をあらためることもできず とりあえずは家財道具を売り払って食っていくしかなかった こういう没落貴族...続きを読むを題材にした小説には 太宰治の「斜陽」や、三島由紀夫の初期作品のほかに この、川端康成の「舞姫」などがあげられるだろう 芸術評論家の矢木元夫と、舞踏家の矢木波子は夫婦である しかし戦争が終わってからというもの、その関係は冷え込む一方だった 上流家庭に生まれ、贅沢が当たり前になってる妻と もともと書生あがりの入り婿で、ケチな性格をしてる夫では まあ合わないのも当然なんだけど それであんがい、日本が戦争に負けるまで 黙ってさえいれば家庭内のバランスは上手くとれていた 戦後、家計が苦しくなるにつれ 互いに抱えた夫婦の不満も、徐々に噴出してくるのだが そこでまず明らかになったのは、家族観の違いである たとえバラバラになっても、家族は家族だという夫に対して 妻は嫌悪感をつのらせることしかできなかった そこに露呈されたのは 自由平等を建前とする社会に隠蔽されてなお存在する階級意識であり また、異なる階級の考え方をけして認めない人間というものの ひとつの原理であった そういう現実にひざまづき、受け入れることを仏の道と呼ぶならば それに逆らうことはたしかに魔道と呼べるわけだ
少しずつ少しずつ変わってゆく、歪みが明らかになる、広がっていく家族模様を静かに描いている。 最後の、三島由紀夫の「解説」まで、じっくり丁寧に噛み締めて読めた一冊。
本作品のテーマを敢えて見い出せば、家族という緊結する者同士の無気力化や無関心化であり、在る面でこの後の高度経済成長期に迎える核家族化による関係性の変質を予見している。作中でも語られるように、バレエが西洋的な外の動きであるのに対し、日本舞踊が包み込むような内に向けた動作であり、日本女性へのバレエの流行...続きを読むは戦前戦後の女性像の変容ともいえよう。プリマドンナを「舞姫」と題した意図に川端康成氏の感性を感じさせる。
波子は言う。 「結婚はみんな、一つ一つ非凡のようですわ。・・・・平凡な人が二人寄っても、結婚は非凡なものになりますのよ」 気怠く鬱々とした物語だった。 戦争が終わった平和な世界で、一つの家庭がキシキシと音を立てながら崩れてゆく。 波子も、娘の品子も、想う人がありながら踏み出せずにいる。無心...続きを読むに舞うことができない。 矢木は不気味だ。妻のことも娘のことも見下している。プライドだけが無駄に高い生活力のない男。 家族に毛嫌いされている沼田は、それほど嫌な人物だとは思えなかった。 「雪国」や「古都」よりも、現実的で生々しい。 生々しく、それでいて淡々としていて、心の奥底に沈殿していく。 余韻が長引きそうだ。
川端作品らしく艶っぽくもあり、むなしさもありという作品で、戦後の社会を実感できると思う。文章は会話が多くて読みやすく、「俳優なら誰かな?」と想定しても楽しめる。三島由紀夫が解説を書いているところもなかなか面白かった。
「舞姫」は、プリマドンナを目指す品子、もとバレエをやっていた波子を題材にした家庭の不協和音を川端節で描いた物語。 物語の最初から不倫など、家庭の歪みで始まり、波子の夫である矢木の甲斐性なさを物語ながら、じりじりと深みに陥っていく。そんな作品。 文章の壮麗は、さすがとしか言えません。 無力、虚脱、諦念...続きを読むなどを、女目線で描きながら、それを否定し美を求める。 解説では、みずうみとおなじく三島由紀夫ですので、二度楽しめるような作品です。
雪国より、伊豆の踊子より、好き。 登場する女性に、しずしずと文章が寄り添っている感じ。 「抒情歌」に通じる幻想的なところがあって、 ひやりとする冷たさもあって、 ひりひりと引き込まれた。
夫、矢木の無力さに抗えず、かといって恋人の竹原のもとに行くこともしない波子。 この波子の持つ、2人への微妙な距離感は、川端の描く人物に共通してあるもののように思う。 家族であっても伝えきれない、それぞれの持つ孤独が、美しい描写の中でグッと迫ってきます。
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