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Posted by ブクログ
人生に対して、もういかほども抗うことができなくなり、諦念を持ってしまってからでさえも、人はふりかえり、あのときあんなことしなければ、とか、ここをこうしとけば、とか、そんな生産性のないことをついつい考えてしまうものだと思います。
『当たり前の、普通の、平凡な人生を送ってくればよかった。なんのことはないそれが一番だったんだ』
僕はふりかえってそんなふうに
思ったりするんです。
『平凡』ってなかなかに
難しくないですか?
『平凡に生きてる』って
案外非凡なことなのかもしれません。
『平凡』って幸せと同義なのではないだろうか、と還暦をこえてからそう思うようになりました。
当たり前に日々を健康で過ごせること、
それって実は大きな祝福ではないかと。
そんなあたりをうまく書いてあると思う表題作だけでも読んでみて欲しいし『月が笑う』とかも心に残るし、みな粒揃いなので、できれば是非手にとってみていただきたいと思います。
Posted by ブクログ
もしあのときああでなかったら、今ごろ私はどんな人生を送っていただろう。そんな「あのとき」という一点や、ありえたかもしれないパラレルワールドに思いを馳せてしまう、我ら凡人たちの短編集。
とても良かった。最後の話は泣いた。
以下、心に残ったフレーズ。といっても適当に縮めたりしているので正確な引用ではありません。
■もうひとつ
「もうひとつの人生なんかないよ」
■月が笑う
「許さないことはこわい、と感覚的に思った」
■こともなし
「だって、幸せじゃないと困るじゃない。…今まで『もし』で別れた幾人もの私がよ。」
■いつかの一歩
「人生って最初からあるのかしら。できていくものだとしたら、いつのどの一歩がその後を決めていくんだろう」
■平凡
「ど平凡に生きていてほしいっていうのは、呪いっていうより願いに近いよね」
■どこかべつのところで
「かなしみも後悔も、一ミリグラムも減ることはぜったいにないけれど、ただ、それを背負ってしまったという一点で、こんなふうに見知らぬ人と共鳴し合える」
Posted by ブクログ
面白かった。
死ぬときは絶対幸せにならざるを得ないというか、 自らのこれまでを受容せざるを得ないはずで。
死ぬ瞬間はきっと平穏が訪れるであろう、という確信のようなものをぼんやり抱えながら生きている私は自分の選択に疑いを持ったことが少ない。
こう書くと自信過剰っぽくて我ながらすごく嫌な感じだけど、この考えは自分の人生経験の浅さや思考の幼さからくるものだと思う。
本書は短編集であり、その登場人物どれもが成熟した大人である。
様々な分岐点を経て、当人なりの"平凡"に辿り着いた人間が過去を振り返るとき、それぞれの物語、そして新たな発見が生まれるのが面白かった。
あのとき、ああしていれば。
あのとき、という明確な点が思い浮かばなくても、本書が扱うテーマは生きていれば誰しもが考えるものだと思う。
もしも、について想像を膨らませることは、とても勇気のいる行為だ。
想像することで現状に満足出来ず不満を抱くこともあるだろう。
(「月が笑う」で主人公の元から去っていった妻は正にそうだったんじゃないか)
想像力がマイナスに働くなんて!
そんな寂しく辛い行為に勤しめるのは人生の酸いも甘いも一通り味わった大人に限る。
この本は様々な人との出会いや別れを通じてから読んだ本が面白いんだろうな〜と思った。
またいつか、ゆっくり読み返したい。
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小説・文芸
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