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直木賞作家・角田光代が全力を注いで書き上げた、心ゆさぶる傑作長編。不倫相手の赤ん坊を誘拐し、東京から名古屋、小豆島へ、女たちにかくまわれながら逃亡生活を送る希和子と、その娘として育てられた薫。偽りの母子の逃亡生活に光はさすのか、そして、薫のその後は――!? 極限の母性を描く、ノンストップ・サスペンス。第2回中央公論文芸賞受賞作。
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。逆に映画もドラマも通らずにいててよかった。そのどれよりも駆け抜けて読みました。 深く考えない、疑問を持たない、主張がない。自分を持っていないから、悪意や憎しみといった負の感情が薄い。これは僕のことかもしれない。反省。 不妊の恨みは強すぎる、産婦人科としての身が引き締まる想...続きを読むいです。
皆さんは、人が持つ愛や誠実さについて、真剣に考えた経験が一度はあるのではないだろうか。 そしてそれらを成就することは、社会的・倫理的な正しさと、果たしてどこまで合致するものなのだろうか。 この作品は、そのようなことに興味のある方には、最適の小説の一つだと言えるだろう。 特定の状況や出来事の前後にお...続きを読むける、個人個人の成長や変化と、人間模様の移り変わりを観察することが好きな方にも、向いているといえそうだ。 表向きは母性愛をテーマにしたこの作品。しかし同時に僕には"誠実さ"が陰のテーマとして宿っている気がしてならない。 実在の事件をヒントに描かれた作品なので、全体的に悲壮な雰囲気が漂っている。だが読後には仄かな温もりと幸せの予感を汲み取ることができるのではないだろうか。 以下ネタバレを含むので、これから読む方、読みたい方にはブラウザバックをお勧めする。 主人公・希和子の悲劇的かつ絶望的な母性愛は、確かに歪んでいたかもしれない。だけど、歪んでいてもそこにはれっきとした愛のかたちがあった。 たとえば"薫"に初めての歯が生えた時の、希和子の喜びの描写を振り返ってみよう。 そこに確実に本物の愛があると、読者にも読み取れるがゆえに、この物語は冒頭から涙ぐましくも健気な美しさを湛えている。 その模様はショパンの『葬送行進曲』における、あの悲しさと優しさの同居する旋律のようだ。 さらに深いことに、希和子の"薫"によせる愛の強さは、恵理奈(=薫)のじつの両親の、"恵理奈"への形式ばった愛情を明らかに上回っているのだ。 もう一人の主人公、恵理奈が希和子のことを憎みながらも、彼女や、彼女と過ごした土地をどこか懐かしく感じてしまうのは、まさにこの点に由来すると、僕は思う。 これに気づくことは、この物語を理解する上での重要な鍵になってくるのではないだろうか。 恵理奈は全体的に威圧的な雰囲気を纏った女性に成長する。経緯を考えれば、それもやむを得なかっただろう。 だがかつてマロンと呼ばれた女性、千草と、その好奇心溢れる姿勢に触れることにより、その厳つさは徐々に解けていったように見える。 歴史は繰り返す。それは家庭内においても当てはまる。 だが恵理奈の、希和子とは異なる最終的な決断からは、彼女と同じ過ちを繰り返すまいとする強い意志が感じられないだろうか。 とはいえ、この物語で最も誠実を一貫した人物は、実は希和子ではないかと、僕は思うのだ。 手記に日記形式で丁寧に日付を書く様子からも、それが伺える。また彼女の"薫"に対する愛の深さは、まさにこの誠実さに由来している気がしてならない。 おそらく不誠実な人物は男性陣二人と、恵理奈の母・恵津子である。 その言動もさることながら、度々描かれる、乱雑に散らかった彼らの部屋は、その誠実味のなさを象徴的に物語っているのではないだろうか。 誠実な人が生涯苦しみ、不誠実な人が大手を振って堂々と生きる。逆説的ではあるが、この作品はそんな社会の本質を、僕たちに密かに、しかし鋭く突きつけてくる。 最後に、希和子の愛は、読者にも乗り移るほどの強さを持っている。 たとえば僕は、恵理奈が成長を通じて好ましくなさそうな男性と関係をもっていくことに、不意にいわば嫌悪感を覚えたのである。 これは、希和子の"薫"への母性愛が父性愛となって、僕に感得されたことに他ならないのではないか。 結婚もしていなければ子どももいない僕だが、その自分にも父性愛は確かにあるのだ。 展開を通じて読者の内面さえも照射してくれたこの作品は、紛れもなく僕の中で名作である。 ショパンの楽曲『葬送行進曲』は、絶望的な曲調から始まり、優しい光が射してきたと思うまもなく、再び暗澹とした曲調に戻って終わる。 だがこの作品はそうではない。最後に温かくきらめく光を見せてくれるのだ。 『誠実な人が生涯苦しむ』と先に書いたが、希和子も今後、心穏やかに暮らしていくことができるのではないだろうか。何となくそんな感じがした。ふたりの女性のこれからの幸せを願うばかりである。
犯罪者をこんなに応援したくなるなんて。 営利目的ではないからか? 母性に訴えかけるからか? 心情にシンパシーを感じるからか? 希和子と薫に「早く逃げて!逃げて!」と叫ぶ。 逃亡劇は中盤でガラッと反転する。 出てくる男性はみんなクズ!…池澤夏樹氏の解説は良かった! 角田光代氏の長編は2冊目。短編...続きを読むより長編の方がやっぱり好み♡ 頭の中の小豆島に憧れる。 映画もドラマも観てないが、再放送されたドラマはダビングしてあるので、小豆島のロケを期待しながら近々観てみよう。 たぶん泣くな(TT) ひとりで観るわ。
描写力が凄まじい作家の一人。 角田さんの書く文からは、その情景がありありと目に浮かんできます。 タイトル回収も秀逸。 狂気であっても、引き込まれ、いつか応援してしまう...そんな物語でした。
女性であることの苦しみと共に、母親であることの喜びや生きる実感を感じられた作品でした 小豆島に行ってみたくなりました
とにかく幸せになってほしいと願ってしまう物語だった。 悪いことをしているはずなのに何故か願ってしまうのは、巻末の解説にもある通り母子には手を差し伸べたくなってしまう力があるのだと実感した。 ただの読者である私も、母子を助ける作中の女性たちの気持ちが分かる気がしてしまう。 先の展開を知るのが怖くなるく...続きを読むらいドキドキしながら読み進めていたが、いざ決定的な場面になると不思議なくらい冷静になる。 人というものを俯瞰できる何とも言えない感覚だった。 物語の進み方が映画を見ているような感じで、そこも大きな魅力だと思う。 少しずつ色々なことが判明していく流れも、何となく自分を登場人物に投影できて面白かった。 ドラマや映画として実写化もされているらしいので、見てみたい。
誘拐犯なんかに感情移入するはずがないと最初は思っていた。けれど、親と子の掛け合いが丁寧に描かれていて、そこから関係の良さも滲み出ていて、この先明るい未来はないんだろうなと想像すると自然と涙が溢れた。自身も3歳になる子を持つ身なので、自分の子どもと重なった。希和子を憎みきれないと言う恵理菜の一文を見て...続きを読む少しホッとしてしまう自分がいた。
本を読んで号泣したのは初めて。誘拐というテーマは現実離れしてみえるかもしれないが、あまりに生々しい書き振りに日常の延長線に思える。登場人物が良い人でもなく悪い人でもなく、どこかにでもいそうな人だからだと思う。普通の人が織り成す悲劇。 実母が一番可哀想なのに、可哀想と思えなくさせる描写が憎い。印象で簡...続きを読む単に覆る世間の目そのものだ。 この作品は、誰が悪いと犯人探しをすることに意味はないと繰り返し言っているのに、実父も実母もクズと断じる感想になるのは残念。希和子がこんなことになるとは思ってなかったように、誰の身にも起こりうることだと身を引き締めることしかできないだろう。 角田光代さんの小説は、重くて苦しいのに最後は前向きに集約されるので安心できる。読んでいて、何でそうなるの?今のどういう意味?となることが一瞬もなく、ノンストレス。そういう意味では娯楽作品としても完成度が高いし、社会派小説としても楽しめる。 映画もすごくいいので、よかったら観てください。
親子の様な血縁同士でも、互いの命を簡単に終焉へ運んでしまうのに、 物語の主人公、希和子は法律や倫理観念といった人間が組み上げた枠を力強く超え、愛する者守り抜く。 本当の親子とは、愛とは何か、、囲うコトのない素直な描写に感動し、何回も読み返しました。
半分あたりから、完全に希和子に感情移入してしまい、1日でも長く一緒にいられますように、、!と願ってしまった。 切ないのに読後感は爽やか。ラストがキラキラ色鮮やかで好きだった。
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