あらすじ
妻に離婚を切り出され取り乱す夫と、その心に甦る幼い日の記憶(「月が笑う」)。人気料理研究家になったかつての親友・春花が、訪れた火災現場跡で主婦の紀美子にした意外な頼みごと(「平凡」)。飼い猫探しに親身に付き添うおばさんが、庭子に語った息子とおにぎりの話(「どこかべつのところで」)。人生のわかれ道をゆき過ぎてなお、選ばなかった「もし」に心揺れる人々を見つめる六つの物語。(解説・佐久間文子)
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Posted by ブクログ
「あの時こうしていれば、今頃はこうだったのかも」
全くの他人事には思えないテーマで、生きていればきっとこんな後悔もするんだろうなと自分に当てはめながら読み進めていた。
人生は選択の連続で、あっちを選んでいた方が思い描いていた未来を手に入れられたのにと思うことも少なくない。生きていれば一回は絶対に考えることだろう。だけど私はクヨクヨしたくないと思っている。その選択を正解にするのは他の誰でもなく自分自身だから。その道を「正しかったんだ」と結論づけることができるような努力を怠りたくないなと、改めて心に誓った。すごく良い本だった。
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もしあのときああでなかったら、今ごろ私はどんな人生を送っていただろう。そんな「あのとき」という一点や、ありえたかもしれないパラレルワールドに思いを馳せてしまう、我ら凡人たちの短編集。
とても良かった。最後の話は泣いた。
以下、心に残ったフレーズ。といっても適当に縮めたりしているので正確な引用ではありません。
■もうひとつ
「もうひとつの人生なんかないよ」
■月が笑う
「許さないことはこわい、と感覚的に思った」
■こともなし
「だって、幸せじゃないと困るじゃない。…今まで『もし』で別れた幾人もの私がよ。」
■いつかの一歩
「人生って最初からあるのかしら。できていくものだとしたら、いつのどの一歩がその後を決めていくんだろう」
■平凡
「ど平凡に生きていてほしいっていうのは、呪いっていうより願いに近いよね」
■どこかべつのところで
「かなしみも後悔も、一ミリグラムも減ることはぜったいにないけれど、ただ、それを背負ってしまったという一点で、こんなふうに見知らぬ人と共鳴し合える」
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「あのときこうしていたら」なんて何度も思ったし、今だったらあんな選択しないって思うけど、きっとどんな選択をしても、こんなはずじゃなかったって「もう一つの人生」を想像してしまうんだろうな。そんなもんだよな。
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久々の読書。非常に読みやすかった。今の生活は
自身の選択の繰り返しの中で生み出されたもの。もし別の選択をしていたら、どのような今の生活と違った世界が見れるのかよく私も考えている。そのこと自体無駄な行為であると思っていたが、決してそんなことはないのかなと、この本を読んで感じたところ。
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生きてるとどうしても、他人の人生が羨ましく思えたり、憎んだ相手の不幸を願ってしまったりする。
他人の人生ばかり気にして、目の前にある自分の人生を疎かにしてないだろうか。
もしあの時、違う道を選んでいたら、自分の人生はどうなっていたか……なんて、もしもの人生に縋っていないだろうか。
でも、自分にあるのは、自分の人生だけ。
そんな当たり前だけど忘れてしまいがちなことを教えてくれた本でした。
自分の人生をしっかりと歩んでいこう。
Posted by ブクログ
1つ目の話
人生の責任を持てる相手は少ない、だから責任を持てない相手に対して、安易な短期的な手助けをすることは何もしないよりはその人のためになるのかもしれない、自分はそうはできないけど
2つ目の話
自分を裏切った相手、害した相手に対して、恨んだり攻撃したりするより、許したほうが自分の幸せには繋がるのだろうと思った。許すのはすごく辛いことかもしれないけど
残り
平凡なことを何か変えようとすることは悪くないけど、必要以上に平凡を攻める必要はないのだろうと思った
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「もし…」
そんなことを考えたことがあるひとにぴったりの1冊。
とても面白く読ませていたぢきましたが、私自身は「もし…」をあまり考えたことのない人間だったので★をひとつ、下げました…!
Posted by ブクログ
読んでいると、時に心に刺さるし、時に心に染みる、そんな作品でした。
刺さるのは、グサって感じではなくて、とても細い長い針でチョンチョンって刺されている感じ。
普段は隠れている、というか見ないようにしている自分の影の部分が描かれている。
染みるのは、そんな影の自分もそれでもいいんだって思えるところ。
また、誰しもそんな影の部分を抱えていて、その人なりに向き合っているんだとわかるところ。決して全員が全員そうではないけど、それでも、自分ひとりではないってことはホッ安心できるところ。
平凡に生きているというのは、大変に幸せなことなのでした。
Posted by ブクログ
私事だけど、コロナに感染してしまい
しばらく本が読めなくてゆっくりゆっくり読んだ
(何をするにも倦怠感がすごくて内容が入ってこなかった)
でも、そんな時に読みやすい1冊だった
タイトルの通り平凡さが心地良い
Posted by ブクログ
これから先、何かを選択する場面がきて、選ぶのが怖くなったときに読みたいかも。
「選択しなかった方の人生」がテーマの6つの短編集。
選択するとき、どっちかにしか幸福はない!って思ってたけど、
多分どっちもそこそこ幸福で、そこそこ大変。って「どこかべつのところで」を読んで思った。
それに、どちらかを選択したことで、得られるものや、つながる次のものがあるんだなって、「いつかの一歩」を読んで思えたので、
なんというか、選ぶことに勇気をもらった感ある。
Posted by ブクログ
もしって考えちゃうのわかる。
あのときああしてなかったら今の自分どうなってるんだろうとか、今の自分を作ったのはいつどこでしたどの選択なんだろうとか、よく考えちゃう。
けど、「選ばなかった自分もどこかべつのところで生きてる」って思ったら今まで選んだ選択が正解か不正解かに悩まなくてもいいのかなという気持ちになれた。
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naonaonao16gさんのレビューを拝見して、気になった本。
誰しも、人生の岐路がある。そこで、もし選んでいたら
歩んでいたであろうもう一つの人生。
その「もう一つの人生」を想像する人々を描いた6つの短編。
今の自分が辛かったり不満だったりすれば、「もう一つの人生」を羨むのだろう。
僕にもそんな時期があったな…と。
(決して、今の結婚生活に不満があるわけではありません…念のため。)
ただ、この小説を読んで思った。
もう一つの人生を歩む、もう1人の自分と今の自分はきっと必ずどこかで出会う。
その時、もう1人の自分を祝福できるようになれば素敵だな、と。
さらに言えば、もう1人の自分に羨まれる自分になることだって、決して不可能ではない、と。
そんな希望を感じる短編集です。
Posted by ブクログ
もう、何度も何度も考えたことのある「もしもあの時こうしていたら」、「もしもあの時もう一方を選んでいたら」をテーマにした短編集。登場人物達は当たり前だけど全然違う性格で、人生も、選択も違うけど全員がふとした瞬間にもしもを考えて、自分の選択を振り返りながら何かに気づき、後悔し、諦め、悩み、受け入れて生きていた。
私も読みながら、ひとつでも欠けていたら今がない。ああ、本当にそうだな、辛くて二度と経験したくない、出来ればしたくなかったあの出来事があったから今がある。と思ったかと思えば、いや、あれがなくても結局こうなってたんじゃないのか。と、思ったり。
読みながら自分も振り返っていたので勝手に忙しかったです。
もうそもそも選ばなかった方の人生なんてこの自分には経験しようがないんだから考えたって仕方ない事なのに、きっとこれからも私は何度も考えてしまうのだろうなあ…。と、一人一人の主人公のストーリーを覗きながらぼんやり考えた。
もう1人の自分よりもいい人生を送っていると思われたいと思っている自分に気づく、というシーンがあった。確かに、そうなのかもしれない。それと同時に選ばなかった自分にもちゃんと平凡な日々を送っていてほしいと、この小説を読みながら祈った。
平凡に生きていて欲しいとかつての恋人に呪いをかけていたが、それは何年も経つと呪いから祈りへと変わる。平凡を恐れていたあの頃の私は、今の平凡に生きている私を見てどう思うのだろう。
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これまでの人生に、わたしたちは「もし」を重ねてしまう。「もし」のほうの自分に希望を見出し、現実を雑に持て余すのだが、「もし」は「もし」なのだ。
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もしもあ〜していたら!あ〜していなかったら!と思い悩む人たちの短篇集。
一番すきなのは、猫を捜す「どこかべつのところで」
あ〜わかる〜って思ったのは、必死でブログを更新する「こともなし」
ですが、どのお話も面白かったです。
大きい小さいに関係なく、日々何かを選択しながら生きているので、とても共感できました。
Posted by ブクログ
選ばなかった方の人生。もしあのときああしていたら。人生の帰路。どっちを選んでも側から見たら同じくらい平凡で、本人からしたら同じくらい辛かったり苦しかったり後悔があったり、でもときどき素敵なことがあったりするのかも。自分もそう。どれも実際にありそうな、自分と同じような、平凡な人間たちの短編集。
Posted by ブクログ
良い。良いんだなあ。いつの間に、角田光代さんはこんなにもしなやかに強くなったんだろう?と、いつも驚く。この作品も、見事に強かった。美しかった。正しく、誰かを勇気づける作品だな、とね、思いましたね。いやあ。良い。
だがしかし、誰かを勇気づけない、惑わすだけの角田さんの作品も、間違いなく知っている。だからこそ、尚の事、この作品の角田さんが好きになる、という感じ。うーむ。この思いを、誰かに伝えたいんだけど、伝わるのかなあ?どうかなあ?わからないなあ。
「あの時、ああしなければ。あの時、ああしていれば。今の私の人生は、もっと別の(より良い)ものになっていたはずなのに」
ってね、思わない人は、いないと思うんですよ。ある程度、人生を経てきたら。人生とは後悔の積み重ねなのです。でも、それでもなお、
「この人生で良かった、とはとても言えないが、コレが今の自分なのであって、それはもう、そうなのだ。受け入れるしかないのだ。だって、そうなんだもん」
という境地に、如何に達することができるか?
今、そう思っても、また、きっと、後悔するんだろう。「なんで俺の人生、こんなんやねん、、、」と。だが、それすらも、それすらも、受け入れて行きたい。たまにはね、「あの時ああすればもっと、今より幸せだったのか?」とどこまでもどこまでも問いかけてくる、ブルーハーツのマーシーの作品「ラインを越えて」を聴きかえしながらね。あと、ハイロウズでの、ヒロト作の「No.1」で、机に向かってブツブツと「とても平凡だ」と呟く人も、思い出しちゃうな。
「平凡」という題名通り、とても平凡な人々の、基本とても平凡な日々が語られます。そう。どこをどう切り取っても平凡。だがしかし。
全ての平凡は、全ての当事者にとっては平凡ではなく特別にして唯一のものだ、という相反した真理も、ちゃんと描いている、と思いました。原田宗典さんのエッセイ「平凡なんてありえない」と、通じてるなあ、とね、思った次第です。
「全ての平凡は平凡でないという意味で平凡なんてありえないのであり、平凡なんてありえないということこそが全ての平凡に繋がるのである」
みたいな感じ?うーむ。ウロボロスの蛇。卵が先か鶏が先か。
ちなみに、単行本、文庫本、それぞれの表紙も、凄く良いんですよ。後藤美月さん、という方のイラストのようです。「牛乳石鹸」の赤箱、青箱のデザインのパロディーだと思うんですが、ああ、あのデザインこそが、日本における「平凡」の象徴なのだなあ、素晴らしいことだなあ、ってね、シミジミきちゃうんですよね。牛乳石鹸で身体を丁寧に洗いたくなっちゃうなあ。そしてあったかい布団で、ゆっくりと眠りたいなあ。ってね、思いますね。
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いろんなことでバタバタして、
とにかく読み終わるまで時間がかかってる。
角田先生の短編はライトで相変わらず読みやすい。
本作もどこかでありそうすぎる日常の5編。
他人から見たら充分に見えても、
自分なりの不満というのは誰もが抱えているよな。
みんなそれぞれに納得したラストだったけど、
果たして次の日にも同じことが思えるだろうか。
物語のように一度納得したって、
次の日には考えが戻っていることだって、
現実にはさらさらある。
そうやって生活していくことが生きていくということなんだろうけれど。
月が笑う、こともなし、どこかべつのところでが好きだった。
Posted by ブクログ
「もし、あの時」と考えた事は皆無ではないが、それを考えたところで何の意味もない。と考えて生きてきたし、それより今置かれている状況をいかに上向かせるか。と考えて生きてきたけど、たまには「もし、あの時」を深く考えて、考える事で今の自分を奮い立たせたり、感謝したりするのも悪くはないと思った。
とはいえ、過去や未来に囚われてる様な生き方はしたくはない。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれた。
後悔しないでいい人生を送りたいが、難しい。もしあの時こうしていたら、、、
別の人生があったのでは、、、
を描いた短編集。
あの時の選択に後悔し、悩んでモヤモヤした先に見える前を向く終わりが良い。
Posted by ブクログ
想像はしているが現実では起こらないことの妄想を膨らませ生活を変えたいとどこかで思っている人々。もう少し年を取ったり結婚したりしてから読むと感じ方が変わるのかも。
Posted by ブクログ
もしあのとき〜していたら…。
もしあのとき〜しなかったら…。
だれにでもあるそんなわかれみちをテーマにした短編集。平凡な自分の人生も振り返って、もし…を色々想像してみたくなった。
Posted by ブクログ
表紙の絵が可愛くて好きです。
あの時、選ばなかった選択肢を選べば、選んでいたら、何かが変わっていたのではないか。と思うことはありますよね。平凡、なるほど、とゆったり自分のことも考えながら読める小説でした。最初のお話の友人不倫カップルと旅行の話だけはちょっと違いがあったと思いますが、後のお話はだいたい似たようなお話だったなと思います。だいたい不倫、離婚がある話。
Posted by ブクログ
平凡ってなんだろうなと思って読んだ。みんな平凡なようでいて人にオープンにできない悩みや苦しみをそれなりに抱えている。本書では普通の人はそれらに対してどう向き合うかということが描かれていると感じた。
Posted by ブクログ
ジャケ買い!文庫のデザインもここまで来たかと感無量。内容は結婚離婚にまつわる「もしあの時、」別の選択をしていたら、の妄想短編集。第1話のサントリーニ島への夫婦と不倫カップル旅行の設定が面白い。
Posted by ブクログ
「こともなし」と「平凡」が好きだった。
私は、別れた恋人のことは呪って呪って、そのあとは幸せでいてほしいと思えるようになって、いつかは思い出さなくなる。その人の不幸じゃなくて、一緒になっていた自分の不幸を願うの、なんとなくわかる。