Posted by ブクログ
2021年09月30日
読むのを止められなくなって、一気に読んでしまいました。最後にこれが、作者の体験した実話だと知りました。
弟の凄絶な癌との闘いの様子に、正直ほぼ恐ろしさだけを感じて読み終わったくらいです。
たくさん兄弟がいる中の、末の2人である作者と弟。上の兄弟とは歳が離れていることもあり、2人の結び付きは幼い...続きを読む頃から強く、作者は弟のためにずっと傍に寄り添います。弟に「癌」という病名を隠して…。
癌であることを本人に知らせないこと、モルヒネの取り扱い方など、医療に関してど素人の私でも、
かなり違和感を感じたのですが、1980年代前半の話であったことに深く納得しました。
そして、この40年間でものすごく進化し、癌が絶対的な不治の病ではなくなったことや、緩和ケアもすごく良くなってきていることに、心から喜びを感じます。
当時から本人に告知をしていた欧米と、まだ本人に隠すのが主流だった日本の、死生観の違いについて作中で書かれていたのですが、とても興味深く感じました。
作者にも興味を持ち、経歴を調べていたら、作者本人も2006年に癌で亡くなられているのですが、その最期の死に方に衝撃を受けてしまいました…。
めざましい進化を遂げているがん治療ですが、更に研究が進んで、がんで亡くなる人がいなくなるといいのにと思います。