国内小説 - 文藝春秋作品一覧

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  • 合本 キャプテンサンダーボルト
    4.5
    「俺とおまえで世界を救いに行こうじゃないか」 現代を代表する人気作家ふたりが合作、その化学反応が生み出した問答無用のノンストップ・サスペンス。 世界を揺るがす秘密は蔵王に隠されている! 大陰謀に巻き込まれた小学校以来の友人コンビ。 異常に強い謎の殺し屋と警察に追われるふたり(と犬一匹)は逃げ切れるか。 女友達を助けたばかりに多額の借金を背負う羽目になった相葉の手にひょんなことから転がり込んだ「五色沼水」。それを狙う不死身の(ように見える)冷酷非情な銀髪の白人が、死体の山を築きながら彼を追ってくる。 五色沼といえ通称「御釜」と呼ばれる蔵王の火口湖、そこは戦後にパンデミックを起こしかけた「村上病」のウィルスで汚染されていて、立ち入り禁止地域になっていた。この水はいったい何なのか。すべての背後にあるのは「村上病」をめぐる秘密らしかった。 ウィルスの発生源とされる「お釜」に何があるのか? そして主演男優のスキャンダルを理由に封印された戦隊ヒーロー映画に何が映っていたのか? 相葉は逃亡の途中で中学時代の野球部の悪友・井ノ原と再会。ふたりは、太平洋戦争末期に蔵王山中に墜落した米軍機の謎を追う女性・桃沢瞳の助けも借りて謎に挑む。 だが事態を解決するためには、あの銀髪の破壊者との直接対決は避けられない―― 平凡な男ふたりが世界を救うために命をかける。その胸にあるのは少年時代の思い出。 ちりばめられた伏線が収束し、破滅へのカウントダウンが点滅する中で、白熱のクライマックスに突入する! 文庫用に本編の前日譚と後日譚となる書き下ろし掌編小説を、ボーナストラックとして収録! 解説・佐々木敦 ※この電子書籍は、『キャプテンサンダーボルト 上』と『キャプテンサンダーボルト 下』を一冊にまとめた合本版です。
  • 合本 棄霊島(きれいじま)【文春e-Books】
    -
    1巻1,222円 (税込)
    浅見光彦は「旅と歴史」の依頼で、長崎県五島列島へ教会堂の取材に行くことになった。飛行機嫌いの浅見がフェリーで九州へ向かっていると、船中で元刑事の後口と出会い意気投合する。彼は浅見を案内しながら、軍艦島で起きた未解決の連続変死事件について語る。だが、後口は娘が住むという長野県へと向かう途中で、静岡県御前崎の海岸で遺体となって発見された。現地で浅見は、後口と意外な人物との接点に気づいたのだが――。 浅見光彦シリーズの快作が合本化!
  • 合本 ケッヘル
    5.0
    1巻1,527円 (税込)
    モーツァルトの無数の旋律が狂気の愛と死を招きよせる。 中山可穂渾身の長編『ケッヘル』が合本に。 その音楽は神のものか、悪魔のものか――。カレーの海辺でひとりの熱狂的なモーツァルティアンと出会った伽椰は、情事の果ての長い逃亡生活に終止符を打ち、日本へと舞い戻った。そこで待っていたのは、ケッヘル番号を会員番号とする会員制旅行代理店の奇妙なツアーであり、依頼人の失踪に始まる恐るべき復讐劇の幕開きだった。 ※この電子書籍は、『ケッヘル』(文春文庫)上・下巻を一冊にまとめた合本です。
  • 合本 大地の子(一)~(四)【文春e-Books】
    4.9
    1巻1,760円 (税込)
    NHKでドラマ化された山崎豊子の感動巨篇「大地の子」全4巻が電子書籍の合本として登場。 松本勝男は、敗戦直後に祖父と母を喪い、妹と生き別れた。戦争孤児となった少年は、死線をさまよう苦難を経て、中国人教師に拾われ、中国人「陸一心」として育てられる。しかし、成人した一心を文化大革命の波が襲う。日本人の出自ゆえにリンチを受け、スパイの罪状で労働改造所送りに。終わりのない単調な重労働に明け暮れる日々、一心が思い起こすのは、養父・陸徳志の温情と、重病の自分を助けた看護婦・江月梅のことだった。 労働改造所から釈放された陸一心は、恩人である江月梅と結婚。中国と日本共同のプロジェクト「宝華製鉄」建設チームに抜擢された。一方、プロジェクトに協力することになった日本の「東洋製鉄」からは、松本耕次が上海事務所長として派遣される。松本は戦前、開拓団の一員として満州にわたった。しかし敗戦時妻子の生死も不明となり、傷心のまま生きてきた。戦後三十年を経て、両国で残留孤児探しが始まる──。 「あつ子、すまなかった、探し出すのが遅過ぎた」──陸一心こと松本勝男は、三十六年ぶりにめぐりあった妹・あつ子に泣いて詫びた。妹は張玉花という名で、寒村での過酷な労働の果てに、重い病いの床にあった。その頃、兄妹の実父・松本耕次は、生き別れた子どもたちの消息をつかめぬまま、奇しくも陸一心のたずさわる製鉄所建設に参加し、中国で苦労を重ねていた。 実の妹の臨終を看取り、悲嘆にくれる一心の前に、東洋製鉄の松本耕次が現れた。松本は、娘の消息がわかって駆けつけたのだ。あまりに唐突な父子の再会。一方で、宝華製鉄建設は大詰めをむかえていた。頭角を現す一心に、更なる悪意が襲いかかる……。最後に選ぶのは祖国日本か中国か。血と汗と涙の傑作巨篇!

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  • 合本 ダブル・ファンタジー【文春e-Books】
    2.7
    奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ――。 もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためなら――、そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。 「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」
  • 合本 贄門島(にえもんじま)【文春e-Books】
    -
    房総の海に浮かぶ小島・美瀬島。浅見光彦の父・秀一は21年前、当地で海難事故に遭った。生贄送りの因習があるこの島で九死に一生を得た彼は、朦朧とした意識のなか「こんなに続けて何人も送ることはない」「そうだな、来年に回すか」と囁く声を聞き、その翌年、心臓発作で落命した。光彦は父の死の謎に興味を抱き、現地へと向かった。そこで接触してきた男は、風光明媚なこの地で起きた連続失踪事件の究明を浅見に託し、姿を消した――。 大人気の浅見光彦シリーズの名作が合本となって登場!
  • 合本 半分、青い。【文春e-Books】
    -
    心は、空を飛ぶ。 片耳を失聴したヒロイン、スズメの愛と勇気の物語――。 高度成長期の終わり、岐阜県の小さな食堂に生まれたスズメ。 小学生の時に病気で左耳を失聴してしまうが、我が子を愛してやまない両親と、 同じ日に同じ病院で生まれた幼馴染のリツに支えられ健やかに成長する。 高校を卒業したスズメは少女漫画家を目指し上京し、 人気漫画家・秋風羽織のもとで仲間と修業に打ち込むが……。 最注目の「連続テレビ小説」ノベライズ版が上下合本になって登場。
  • 合本 晩鐘 【文春e-Books】
    -
    1巻1,324円 (税込)
    佐藤愛子九十歳・奇跡の話題作、待望の文庫化! 老作家・藤田杉のもとにある日届いた訃報――それは青春の日々を共に過ごし、十五年間は夫であった畑中辰彦のものだった。 「究極の悲劇は喜劇だよ」 辰彦はそういった。 それにしても、どうして普通じゃ滅多にないことばかり起るのか。 当時の文学仲間たちはもう誰もいない。 共に文学を志し、夫婦となり、離婚の後は背負わずともよい辰彦の借金を抱え、必死に働き生きた杉は、思う……。 あの歳月はいったい何だったのか? 私は辰彦にとってどういう存在だったのか? 杉は戦前・戦中・そして戦後のさまざまな出来事を回想しながら、辰彦は何者であったのかと繰り返し問い、「わからない」その人間像をあらためて模索する。 枯淡の境地で、杉が得た答えとは。 『戦いすんで日が暮れて』『血脈』の系譜に連なる、かつて夫であった男と過ぎし日々を透徹した筆で描く、佐藤愛子畢生の傑作長編小説。
  • 合本 麻雀放浪記【文春e-Books】
    5.0
    純文学作家「色川武大」=阿佐田哲也が戦後の焼け野原を舞台に描く、本邦ギャンブル小説の最高峰! 全四篇を集めた合本版です。 【収録作品】 『麻雀放浪記1 青春篇』 終戦直後の焼け野原で、「坊や哲」が「ドサ健」「出目徳」「女衒の達」ら仕事師たちと渡り合う。(解説・先崎学) 『麻雀放浪記2 風雲篇』 いかさまがばれて関西に逃れた「坊や哲」。京都の博打寺でブウ麻雀の鬼たちと激闘を繰り広げる。(解説・立川談志) 『麻雀放浪記3 激闘篇』 肘を壊し、いかさまができなくなった「坊や哲」。闇の組織から高利の金を借りて窮地に陥る。(解説・小沢昭一) 『麻雀放浪記4 番外篇』 無頼の生活から足を洗い、勤め人となった「坊や哲」の前に、ふたたび“あの男”が現れた!(解説・柳美里)
  • 合本 幽霊シリーズ(1)~(9)【文春e-Books】
    4.0
    1~2巻3,666~4,888円 (税込)
    第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞した赤川次郎のデビュー作「幽霊列車」に始まる、大人気シリーズが合本化! 文春文庫の「幽霊シリーズ」のうち、第一巻『幽霊列車』から第九巻『幽霊劇場』までの9冊を収録。 女子大生・永井夕子と、捜査一課の宇野警部のコンビが活躍する大人気シリーズ。
  • ガモウ戦記
    3.0
    戦争で家も家族も失った、紙芝居屋の蒲生(がもう)太郎。かつての戦友の誘いに応じて秋田にやってきたら、そこは人生観がくるりと変わる別世界だった! 温厚な金木医師、マタギ免許皆伝のイワオ、色っぽい敏子、そして悪戯ばかりの悪ガキども。秋田で暮らす決意をした太郎は、戸惑いながらも田舎の暮らしに溶け込んでいく。終戦直後の秋田の山奥にあったパラダイス的な生活を、いきいきとユーモアたっぷりに描く。読めば心が豊かになる、ふるさと賛歌!
  • ガリヴァーの帽子
    3.3
    もういちど、ガリヴァーを呼び戻すために――。 名手・吉田篤弘が贈る、おかしく哀しく奇妙で美しい、色とりどりのおもちゃ箱のような短編集。 それは、「テントン」と名乗る男から来た一本の電話が事の起こりだった。男の誘いに乗り、新聞記者のSはある島へ向かう。出迎えたのはミニチュアの家が連なる街と、赤児ほどの背丈しかない男。「ようこそ我らの王国、リリパットへ……奇妙な味わいの表題作「ガリヴァーの帽子」 元作家と元シェフが暮らし始めた洋館に現れた王子の奇妙な顛末を描く「孔雀パイ」 奇妙な夢の中で、川を下りながら鰻屋を経巡る「ご両人、鰻川下り」 シャンパンの泡たちの短い一生を描いたおかしな寓話「かくかくしかじか」 ほかに、コーヒーカップを持つと手がなぜか震えてしまう「手の震えるギャルソンの話」、彼女の残していったトースターをめぐる奇妙な出来事を描いた「トースターの話のつづき」など。 読む人々を、不思議な世界へといざなってくれる、物語好きの大人のための8編。
  • 甘苦上海(がんくうしゃんはい)
    3.0
    上海でエステサロンを経営する51歳の紅子のもとに、39歳の美しい男が現れる。彼は初対面の彼女に、大金を都合してほしいと頼んだ。「都合してほしい」とはどういうことなのか。紅子はその問いを胸にもう一度彼に会いにいく──。欲望を肯定する街・上海を舞台に、人生最後の甘く、苦しく、激しい恋が幕を開ける。高樹文学の新たな到達点。
  • 贋作ゲーム
    5.0
    謎の画家といわれるオイレングラス、コンピューター管理の貨物列車で運ばれるこの画家の作品を奪うために、綿密な計画と果敢な行動力で“作戦”を成功させる男たちのドラマ「贋作ゲーム」をはじめ、爆発物処理のスペシャリストが撤去不可能といわれる機雷の除去に取り組む「スエズに死す」、ハイジャック犯をいかにして逃がすかに映画屋が立ち上がった「エアーポート・81」など、いずれも実行不可能な作戦を遂行するために命がけで挑む男たちの姿を描く“泥棒小説”の傑作短篇集。
  • 癌だましい
    4.0
    生きることは食べること――治療を一切受けず、食べる欲求だけで病気に立向かう主人公の壮絶な生き方。自ら末期癌と闘いつつ、最期まで創作を続けた著者の作品集。第112回(2011年)文學界新人賞受賞作。食道癌を患う中年女性の食への執着を壮絶に描いた表題作と、受賞後に自ら癌で死去する直前まで推敲していた絶筆「癌ふるい」を収録。凄まじいエネルギーが読む者を圧倒する、新たなる闘病小説の誕生。
  • ガンルージュ
    3.7
    「あたしたち、最強の相棒。」 韓国最凶の特殊部隊が日本に潜入。迎え撃つは、元公安のシングルマザー&女性体育教師!? ・あらすじ 韓国の大物工作員キル・ホグン率いる最精鋭特殊部隊が日本で韓国要人の拉致作戦を実行した。 事件に巻き込まれ、人質となってしまった中学1年生の祐太朗。 日本政府と警察は事件の隠蔽を決定した。 祐太朗の母親で、かつて最愛の夫をキルに殺された元公安の秋来律子は、ワケあり担任教師の渋矢美晴とバディを組み、息子の救出に挑む。 因縁の関係にある律子とキルの死闘の行方は。そして絶体絶命の母子の運命は――。 ・著者コメント 「(アクションorサスペンスor興奮に)手に汗を握りつつ、泣いて笑ってしんみりと。 私の持てる技術をありったけ投入した、あなたのためのエンターテインメントです」 解説・大矢博子
  • ガーデン
    3.5
    1巻690円 (税込)
    放っておいて欲しい。それが僕が他人に求める唯一のこと―― ファッション誌編集者の羽野は、花と緑を偏愛する独身男性。帰国子女だが、そのことをことさらに言われるのを嫌い、隠している。女性にはもてはやされるが、深い関係を築くことはない。 羽野と、彼をとりまく女性たちとの関係性を描きながら、著者がテーマとしてきた「異質」であることに正面から取り組んだ意欲作。 匂い立つ植物の描写、そして、それぞれに異なる顔を見せる女性たち。美しく強き生物に囲まれた主人公は、どのような人生を選び取るのか――。 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ガールズ・ブルー
    4.0
    1~2巻519~590円 (税込)
    「けどさ、あたし、夢とかないし。特になりたいものとかないし、就職とか言われても困るよね。あたし、ずっと稲野原の生徒でいたいなあ」落ちこぼれ高校に通う理穂、美咲、如月。17歳の誕生日を目前に、理穂は失恋。身体が弱く入院を繰り返す美咲は、同情されるのが大嫌い。授業中も寝てばかりの如月は、天才野球選手の兄・睦月と何かと比較される。それでもお構いなしに、夏は輝いていた。『バッテリー』のあさのあつこによる、切なくて透明な青春群像小説!
  • 消えたなでしこ 十津川警部シリーズ
    4.0
    選手は全て実名で登場! 壮大なる誘拐劇 米国遠征から帰国したなでしこジャパン21人が消えた――。十津川警部は一人難を免れた澤穂希選手と協力しながら捜査を進めていく。
  • 帰郷
    4.5
    エンジンが大好きな組立工がいた。故郷の自動車エンジン工場勤務から、ある日、F1チームのエンジン組み立てメンバーに選ばれた。サーキットを転戦して世界を回る毎日。すばらしい日々だ。帰国休暇にはガールフレンドに土産をやり、土産話をするのも、その栄光の一部だった。3年の出向期間が終わり、故郷に戻った男を待っていたのは、しかし味気ない、退屈な生活だった──喜びのあとに訪れる悲しさ、“成熟と喪失”を描いた第111回直木賞受賞作ほか、傑作短篇が全6篇。
  • 菊池寛が落語になる日
    4.0
    文藝春秋百周年記念作品 春風亭小朝の「菊池寛落語」九作が、書き下ろし「落語小説」になった。 圧倒的な人間観察眼と超斬新なシチュエーション! 菊池寛の原作小説と浅田次郎との対談などを収録した豪華版! 「入れ札」「予感」「うばすて山」「お見舞い」「時の氏神」「好色成道」「龍」「ある理由」「マスク」
  • キサトア
    3.9
    世界的アーティストだが病気で色がわからないアーチ、朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る不思議な妹キサとトア。不便な事もあるけれど、<風のエキスパート>である父と海辺の町の愉快な仲間と共に楽しく暮らしている。だが父の仕事が原因で一家は少し困ったことに……。日の入りと日の出を眺める丘の上の家に越してきた一家と元気いっぱいの友人たち。風変わりな町の住人たちの物語。
  • 岸辺の旅
    3.6
    あまりにも美しく、哀しくつよい傑作長篇小説 なにものも分かつことのできない愛がある。時も、死さえも――ミリオンセラー『夏の庭』、名作絵本『くまとやまねこ』の著者が描く珠玉の物語
  • 傷(上) 邦銀崩壊

    3.5
    1~2巻559円 (税込)
    邦銀ニューヨーク支店の花形ディーラーが、高層ホテルから身を投げた。その死の直前、彼は、「N.U.H.」という謎のメッセージを、高校時代の友人、芹沢に残していた。芹沢は、自殺の真相を探るうち、ウォール街で世界の投資家相手に辣腕を振るうトップセールスウーマン、州波に出会う。「あんな銀行なんかつぶれればいい」。彼女は邦銀に深い恨みを抱いていた……。1980年代、世界を席捲した観があった日本の銀行は、なぜこんなにまで凋落したのか? 日本金融界の闇を抉る問題小説。
  • 傷痕
    3.1
    偉大なるスター、キング・オブ・ポップが51歳で急逝。子供時代、二人の兄、一人の姉と共にグループでデビュー後、独立して類稀な歌と踊りで世界の救世主となっていた。 遺されたのは11歳の娘、名前は“傷痕”。だがその出生は謎に包まれ、ポップスターの本当の子供なのかどうかさえ明らかではなかった。色めき立つイエロージャーナリズムの記者や、遺族を名乗る者たち。彼女は、世界は、カリスマの死をどう乗り越えるのか――。 解説・尾崎世界観
  • 輝跡
    3.8
    プロ野球をこよなく愛する著者が贈る、ひとりのプロ野球投手をめぐる女性たちの物語。 北澤宏太は野球の才能に恵まれ、中学校時代は「怪物」と呼ばれていた。 しかし家庭の事情で野球名門校の誘いを断り地元の高校に進学、一度はプロ野球選手の夢をあきらめたが、四国独立リーグから育成ドラフトを経て、プロ野球選手になった。 短い時間ながらも輝きを放った北澤の野球人生と、彼を取り巻く女性たちの人生の交錯を描く連作短篇集。 ・高校の同級生で、元恋人の穂波は、宏太がドラフトで東京の球団に指名されたときに、東京に呼ぶから待っていてほしいと言われる。(星霜) ・女性誌の看板編集長から左遷され廃刊寸前の野球雑誌に異動になった美潮は、キャンプの取材をして飲み屋で偶然北澤と知り合う。(手紙) ・チームの先輩選手・竜也の妻である雪菜は、かつて北澤と恋愛関係にあったが、竜也の引退後、居酒屋を営む。(菊姫) ・落ち目の歌手・マリアは沖縄のバーで出会った男と一夜をともにする。(ディーバ) ・女子アナの茉莉は北澤と結婚、ひとり娘をもうけるがやがて離婚へ。(洋紅葉) 合間に挿入される「ダーキニー」の章では北澤と同じチームの高橋信之を追い続けた慶の十年が描かれる。 解説・和田豊(前阪神タイガース監督)
  • 奇跡
    3.7
    1巻611円 (税込)
    2013年カンヌ国際映画祭において、『そして父になる』で審査員賞を受賞した是枝裕和監督。同監督の前作『奇跡』(11年公開)をノベライズした感動作が電子書籍で登場! 両親の別れにより、鹿児島と福岡で離れ離れに暮らしている小学生の兄弟。再び家族揃って暮らすことを願う兄・航一は、ある噂を耳にする。「近々開業する九州新幹線の一番列車が初めてすれ違うとき、そこに膨大なエネルギーが生じ、奇跡が起きる」。家族の絆を取り戻すために奇跡を信じた子どもたちと、彼らを温かく見守る大人たち。彼らの思いの終着駅は――?
  • 季節風 冬
    3.9
    1~4巻565~691円 (税込)
    出産のために離れて暮らす母親のことを想う5歳の女の子の素敵なクリスマスを描いた「サンタ・エクスプレス」ほか、<ひとの“想い”を信じていなければ小説は書けない気がする>という著者が、普通の人々の小さくて大きな世界を季節ごとに描き出す短篇集「季節風」シリーズの冬篇。寒い季節を暖かくしてくれる、冬の物語12篇を収録。
  • 木になった亜沙
    3.8
    奇妙で、不穏で、とびきり純粋な愛の物語 無垢で切実な願いが日常をいびつに変容させる。今村夏子の世界が炸裂する3篇に、単行本未収録エッセイと村田沙耶香による解説を付す。 ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 砧をうつ女
    -
    1巻440円 (税込)
    和服にパラソルをさして、日本から母は帰って来た。貧しいなかをおおらかに生きた母の生涯を清冽な文体で描く鎮魂の譜。ひろく共感を呼んだ芥川賞受賞作品。この表題作と表裏をなす「人面の大岩」は、喜怒哀楽ははげしかったがきわめて平凡な人生を送った父の肖像を感動的に綴った。ほか、在日朝鮮人の哀切な魂の唄を歌い上げ、著者の文学的基点を示す珠玉の短篇「半チョッパリ」「長寿島」「奇蹟の日」「水汲む幼児」の四篇を収録する名品集である。
  • きのうの神さま
    3.5
    長く外科医を務めた父が倒れた。家族の駆け付けた病院には兄の姿だけがなかった(ディア・ドクター)。医療をテーマに紡ぐ、ほのかな毒とユーモア――。著者の魅力が凝縮された傑作5篇。映画『ディア・ドクター』のアナザー・ストーリーにして直木賞候補作。書き下ろしのあとがきを加えた新装決定版。解説・笑福亭鶴瓶 ※この電子書籍は2009年4月にポプラ社より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 貴腐 みだらな迷宮
    4.0
    フランス革命の激動のなか、貴族社会で昼夜くりひろげられる性の宴。夫がいながら生娘のままでいる純真な令夫人ジュリエットは、その格好の生贄。策略家の侯爵夫人のシナリオ通り、悲劇と喜劇を味わうはめに──(表題作)。性愛遊戯に身をやつす淫蕩な14歳の未亡人と、その伯母で、老いてから性の悦楽を知った修道女。対照的な二人の運命は、冷酷な美男司祭リュシアンによる、エロティックな受難の儀式によって導かれる──(「夜食(スペ)」)。血の香り漂う官能二篇。
  • きみ去りしのち
    3.8
    1巻691円 (税込)
    満1歳の息子を喪った「私」は、休職届を出し、旅に出た。前妻のもとに残してきた娘とともに。かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原……“この世の彼岸”の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。決して消えることのない傷を抱えた時、いかにして人は人生を再開させるのか。鎮魂と再生への祈りを込めた、熱い傑作の誕生。
  • 君たちはしかし再び来い
    4.0
    1巻1,900円 (税込)
    腹が破裂して、緊急手術をすることになった。そこから連鎖するように、わたしのからだに不調が現れる。やがて世界には新型コロナウイルスが蔓延し始めた。 からだの痛みは、苦しみの歴史や数多の物語、宇宙の謎にまでわたしを導いていく。 恐るべき速度で世界が変化する分断と混乱の時代に、あらゆる束縛を小説で超越してきた山下澄人が投げかける、渾身の一冊。
  • きみだからさびしい
    3.6
    1巻1,500円 (税込)
    僕の愛する恋人には、もう一人恋人がいる―― 対等でありがたいともがき、傷つけませんようにと願う。 “恋がしづらい”この世の中で、20代から圧倒的支持を集める俊英、初の長編! 町枝圭吾、24歳。京都市内の観光ホテルで働いている。 圭吾は、恋愛をすることが怖い。自分の男性性が、相手を傷つけてしまうのではないかと思うから。 けれど圭吾には、好きな人がいる。二条城で毎日ランニングをしている、あやめさんだ。 想いを告げたら、あやめさんはこう言った。 「わたし、ポリアモリーなんだけど、それでもいい?」 ポリアモリーとは、複数の人とオープンな恋愛関係をもつこと。 あやめさんのことは丸ごと受け入れたい。だけど……
  • 君と放課後リスタート
    3.8
    僕は、どんな人間だったのか。どんな君を好きだったのか――。 「理想の三組」と呼ばれた高校のクラス全員が、ある日突然記憶喪失に。すべての人間関係についての記憶が失われた状態で生まれてきた謎を、主人公の「僕」は解き明かせるのか。「僕」・九瀬永一とクラスメートの叉桜澄は今は全く性格が合わないが、記憶を失う前は付き合っていたようで……。 残されたSNSや日記からふたたび理想の姿を取り戻せる日は来るのか――。 主人公自らも記憶喪失というハンデを抱えながら、さまざまな謎を、やはり記憶を失ったクラスメートで恋人(だったらしい)叉桜とともに解き明かしていく。 「謎好き乙女」シリーズや「今夜、君に殺されたとしても」で話題沸騰の著者による、待望の新シリーズ!
  • キャッシー
    3.0
    1巻1,800円 (税込)
    一人のアイドルの輝ける愛、そして復讐 さえない少女はいかにアイドルとして生まれ変わったのか。誰よりもアイドルの深奥を知る作者が放つ比類なきドラマ。装画・のん。
  • 捕手はまだか
    -
    福岡に住む遠山は東京からの手紙を受け取った。差出人は、昭和二十二年の夏、最後の旧制中等野球南九州大会の決勝戦を戦った相手校のキャプテン、木谷。三十三年目の敗戦記念日に再戦を挑んできたのだった。人生の明暗をそれぞれの過去に背負いながら、両校ナインは同じメンバーで試合に臨んだが……。人生の哀歓を野球に託す表題作ほか、終戦直後の草野球チームの友情、みずからのコールに野球の夢をかけた審判の心意気など、野球を愛する人々の人間模様を描く傑作二篇を収録。
  • キャピタル
    4.0
    1巻1,119円 (税込)
    スタイリッシュな文体で、世界の真実に触れる! 七年間の勤務後、一年間の休暇を取る権利を得た僕は 、肌寒いバンコクで、車椅子の彼女と会った。 世界の真実に触れる、芥川賞候補作! 資本(キャピタル)と個人の適切な距離ってなんだろう? 僕は一年間のサバティカルを取った。 誰もが権利を得られるわけではない。 コンサルティングファームで七年間生き残るのは難しい。海亀みたいなものだ。 卵から孵る、海にたどり着く、最初の餌を見つける、宿敵から逃れる…… 1/5000の確率であなたは生き延びて成亀になり、 同じく1/5000をくぐり抜けた恋人に愛を囁くことができる。 (本文より)
  • キャプテンサンダーボルト 上
    3.9
    1~2巻764~784円 (税込)
    「俺とおまえで世界を救いに行こうじゃないか」 現代を代表する人気作家ふたりが合作、その化学反応が生み出した問答無用のノンストップ・サスペンス。 世界を揺るがす秘密は蔵王に隠されている! 大陰謀に巻き込まれた小学校以来の友人コンビ。 異常に強い謎の殺し屋と警察に追われるふたり(と犬一匹)は逃げ切れるか。 女友達を助けたばかりに多額の借金を背負う羽目になった相葉の手にひょんなことから転がり込んだ「五色沼水」。それを狙う不死身の(ように見える)冷酷非情な銀髪の白人が、死体の山を築きながら彼を追ってくる。 五色沼といえ通称「御釜」と呼ばれる蔵王の火口湖、そこは戦後にパンデミックを起こしかけた「村上病」のウィルスで汚染されていて、立ち入り禁止地域になっていた。この水はいったい何なのか。すべての背後にあるのは「村上病」をめぐる秘密らしかった。 ウィルスの発生源とされる「御釜」に何があるのか? そして主演男優のスキャンダルを理由に封印された戦隊ヒーロー映画に何が映っていたのか? 相葉は逃亡の途中で中学時代の野球部の悪友・井ノ原と再会。ふたりは、太平洋戦争末期に蔵王山中に墜落した米軍機の謎を追う女性・桃沢瞳の助けも借りて謎に挑む。 だが事態を解決するためには、あの銀髪の破壊者との直接対決は避けられない―― 平凡な男ふたりが世界を救うために命をかける。その胸にあるのは少年時代の思い出。 ちりばめられた伏線が収束し、破滅へのカウントダウンが点滅する中で、白熱のクライマックスに突入する! 文庫用に本編の前日譚と後日譚となる書き下ろし掌編小説を、ボーナストラックとして収録!
  • 球界消滅
    4.5
    弱小球団、横浜ベイズの副GM大野は、独自のセイバーメトリクス理論で、チームを見事に立ち直らせる。だが、一方で、球界全体を揺るがす途方もない計画が進行していた。大野はその渦中に投げ込まれる。もし、プロ野球が4球団に統合されてMLBに吸収合併されたら――? 豊富なデータに裏打ちされた戦慄のシナリオ!
  • 強運の持ち主
    3.9
    ショッピングセンターの片隅で占い師を始めたルイーズ吉田は、元OL。かつて営業職で鍛えた話術と、もちまえの直感で、悩む人たちの背中を押してあげるのが身上だが、手に負えないお客も千客万来。「お父さんとお母さん、どっちにすればいいと思う?」という小学生。何度占いがはずれてもやって来る女子高生。「俺さ、物事のおしまいが見えるんよ」という大学生まであらわれて、ルイーズはついに自分の運勢が気になりだす…。ほっこり優しい気持ちになる連作短篇集。
  • 恐婚
    -
    「私たちはまず離婚し、いや、まず結婚してから離婚し、それでお互い気楽になって同棲をしましたが、現在はそれも打ち切って別居し、彼女は別の男のものになっているのですから。してみれば私とは全然無関係の女であるわけで、無関係な女と痴話喧嘩をするほどばかばかしいことはありません」……奇妙な元夫婦の“家庭”に不思議な縁で怪しい男女が集まって織りなす、なんとも風変わりな雑居生活。直木賞の名作「離婚」のその後をユーモアとペーソスで軽妙に描く出色の佳篇ほか、四篇。
  • 教授のお仕事
    3.5
    早稲田大学の名物教授が初めて描くキャンパス情報小説。日本のエジプト学の泰斗としてテレビ等でお馴染みの著者ですが、本業は大学の教授。21世紀の今日、大学のキャンパスでは何が起きているのか。教授たち、学生たちの素顔。事務方の官僚っぷり。モンスターペアレンツの実態や、派閥争いに走る先生たち――。架空の大学を舞台にして最高学府のトホホな舞台裏を描く痛快な小説!
  • 京洛の森のアリス
    3.8
    1~3巻693~713円 (税込)
    少女ありすが迷い込んだのはもう一つの京都 幼いころに両親を亡くし、引き取られた叔母の家でも身の置きどころのない少女ありすは、遠く離れた京都で舞妓修業を決意する。 彼女のもとにやってきた老紳士に連れられて訪れた京都は不思議な世界だった――。 ともに人間の言葉を話す、カエルとハチスとウサギのナツメと、ありすは京洛の森の謎に触れていく。 「京都寺町三条のホームズ」シリーズの著者による、書き下ろし小説。
  • 虚栄の肖像
    3.9
    1巻600円 (税込)
    『深淵のガランス』に続く、佐月恭壱シリーズ最後の作品 花師と絵画修復師の2つの顔を持つ佐月。絵画修復のため立ち寄った寺で昔の恋人に再会して……。著者急逝によるシリーズ最終作
  • 巨人伝 上
    3.0
    1~2巻479円 (税込)
    本邦の博物学、生物学の草分け、知の巨人にして奇人 南方熊楠の生涯を同郷の著者が描き切る! 南方熊楠は慶応三年、和歌山の金物商・南方弥兵衛の次男に生まれた。 日本一のエリート校であった大学予備門に入学したが、型破りの性格は大学になじまず退学。 以後、渡米、南米放浪、英国での学究生活を経て、郷里和歌山で独学で研究に没頭した。 奇行・博覧強記と背中合わせの孤独。 巨人の全体像に同郷の著者が迫った大河巨編。
  • 虚線の下絵
    3.8
    男はしがない肖像画家。一方、親友は画家として名声を得た。差は明白だが、男の妻にはその違いが分からない。愛する夫のため、肖像画の注文取りに奔走する妻は、次第に妖しい色気を増していく。疑心暗鬼にかられた男が陥った罠とは──。男女の業(ごう)をあぶり出す表題作ほか、2度の手術を耐えた男の「与えられた生」、英語通訳の心理を描く「通過する客」、見習い軍医の立場から二・二六事件を描く「首相官邸」、と鋭い人間観察が冴える全4篇の短篇集。
  • 巨船ベラス・レトラス
    4.4
    『大いなる助走』から四半世紀、巨匠・筒井康隆が再び文壇の内幕を鋭く描く! パソコンソフト会社で成功を収めた狭山銀次が創刊した、前衛的な文芸誌「ベラス・レトラス」。破格の原稿料に釣られ、常連執筆者となった作家たち。実験的な作風で知られる錣山兼光、ホラー小説の旗手・伊川谷幻麝、盲目の詩人・七尾霊兆、革新的な作品で派手に登場した笹川卯三郎……。そうした作家たちの成功を妬む同人誌作家が爆弾テロを起こすところから物語は始まる。小説世界の内と外は自在につながり、過激なメタフィクションが展開、ついには「筒井康隆」を名乗る人物が語り始める。現代の文学を取り巻く状況を風刺する、ブラックユーモアに満ちた快作。
  • 虚無のオペラ
    3.8
    セックスを抜きにしては考えられない恋だった。あなたはずっと、私の身体でピアノを弾いてた。私には淫蕩の血が流れているのか……。舞台は冬の京都。高名な日本画家の裸婦モデルをつとめる結子は、8歳年下のピアニスト島津正臣との恋を断ち切るため、ふたりきりで、雪に閉ざされた小さな宿に籠もる。この後は二度と会うことはない。別れのためだけにある4日間の逢瀬に、女と男の恋情と性愛の極みを艶やかに奏であげる、かくも美しき恋愛小説!
  • 霧の子孫たち
    3.0
    レンゲツツジの鮮やかな赤、ニッコウキスゲの目映い黄色、残雪のように輝くスズランの白。貴重な高層湿原植物が群生する霧ヶ峰高原に、突如として降りかかった有料道路建設計画。反対に立ち上がった地元有志は官権との闘いに傷つきながらも、自らの生を見つめなおす機会を得る――。自然と人間の関係を根源から問い質した意欲長篇。
  • 鬼龍院花子の生涯
    4.0
    五社英雄監督、仲代達矢・夏目雅子主演の映画でも名高い宮尾登美子の代表作。大正4年、鬼政こと鬼龍院政五郎は土佐高知の町に「男稼業」の看板を掲げ、相撲や飛行機の興行を打ったり労働争議に介入したりの華やかな活躍を見せる。鬼政をとりまく「男」を売る社会のしがらみ、そして娘・花子、養女・松恵を中心とした女たちの愛憎入り乱れた人生模様を艶冶の筆にのせた傑作長篇。
  • 棄霊島(きれいじま)上
    3.3
    1~2巻639円 (税込)
    九州へと向かうフェリーで、光彦と出会った元刑事の後口が、静岡の御前崎の海岸で死体となって発見された。彼は、30年前に、長崎・軍艦島で起きた連続変死事件を追っていた。光彦は、後口の足跡を辿るうち、娘が暮らす長野の松代で出会った人物に興味を抱いていたことを知った。浅見光彦、100番目の事件は、手ごわすぎる。
  • 金色の風
    4.0
    「たぶん、走ることは祈りに似ている。身体の隅々まで酸素を行き渡らせて、身体を透明にして、祈る」。フランス語を学ぶため、パリにやってきた夕(ゆう)。街角で出会った女性、アンナに影響され、夕は走り始めるが――。文春文庫『シティ・マラソンズ』収録の中編。
  • 緊急重役会
    3.0
    戦前から続く紡績会社。次期社長の呼び声が高い専務・恩地は検査入院中に社長らが仕組んだ緊急重役会によって平取締役に降格される。社長の椅子へ執念を燃やす恩地がはまった、さらなる組織の罠とは――(表題作)。 高度成長期を舞台にしながら、現在に通じる日本の組織人の欲望を描いた傑作企業小説集を復刊。 【目次】 緊急重役会 ある倒産 形式の中の男 前々夜祭 解説・楠木建(一橋大学教授)
  • 金星 相撲小説集
    -
    事故で急逝した相撲の親方と、残された金星(きんぼし=美人)のおかみさんのそれぞれに意外な秘密が……。表題作「金星」をはじめとして、定年退職したのに相撲部屋に通う元記者のせつない思いを描く「擦り足」、盛りを過ぎた関取が部屋にたったの一人、もうやめたいのだが後継者もなく……「十両十三枚目」、巨大な肉体のゆえの悲惨な晩年に耐え続けた出羽ケ嶽……「相撲の骨」など、相撲の世界に材をとって、人生の哀歓を浮き彫りにした出色の七篇。
  • ギッちょん
    5.0
    新芥川賞作家の傑作小説集! 「しんせかい」で第156回芥川賞を受賞。鮮烈なスタイルで現れた山下澄人の初期傑作集を待望の文庫化! 『ギッちょん』『コルバトントリ』二冊の単行本を一冊に。 〇収録作 ・ギッちょん 四十過ぎてホームレスになった男。目の前を往き来するのは幼馴染み“ギッちょん ”とひとりぼっちの父。(第147回芥川賞候補) ・水の音しかしない 毎朝同じ電車になる男が鬱陶しくて、時間をはやめてみたら、やはり男といっしょになった。適当に話を合わせているうちに「わたし」は窮地に陥る。 ・トゥンブクトゥ 第一部 街でゆきかう老若男女の様々な思惑、殺意。第二部 海辺のサバイバル。 ・コルバトントリ わしは死なへん。お前も死なへんねん。誰も死なへん。生者も死者も人間も動物も永遠を往還する――(第150回芥川賞候補) 〇小川洋子さんによる解説を収録。 「山下澄人さんの小説を読むと、語り手も登場人物たちも皆、魂だけになってしまった人々のようだ、と思う。魂というと普通、肉体の檻から解放された、純度の高い存在の源、のようなイメージがあるが、山下さんの場合は少し違う。」 「山下さんの小説に現れるのも、この“ 在り間”に近いものたちだと思われる。存在する、と明確に断言するだけの自信もなく、かと言って、存在しないのだな、と問われるといや、待ってくれと言いたくなる。どっちつかずの隙間、空洞、落とし穴、のような何か。ないけれどある。あるけれどない。」 「語り手たちは皆、迷ってばかりで、自信がなく、肝心なことをすぐに忘れる。生かされている世界に圧倒され、その前でちっぽけな自分を持て余している。そんな小さな人々にしか見えない真実の風景が、ここには描かれている」
  • ギフテッド
    3.5
    1巻1,599円 (税込)
    第167回芥川賞候補作にして、『「AV女優」の社会学』『体を売ったらサヨウナラ』などで知られる鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編。歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った女友達のことだった――「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。
  • ギブ・ミー・ア・チャンス
    3.6
    1巻754円 (税込)
    「人生やりなおしたい!」と思ったことありませんか。 人生の転機を迎えた人々の悲喜こもごもを掬いあげる、笑いと涙の「再チャレンジ」短篇集。 尾行しても、すぐに気づかれてしまう残念な元相撲取りの探偵。 (「探偵には向かない職業」) 超人気連載マンガのアシスタントを務めながら、連載の終了におびえるマンガアシスタントの苦悩。 (「夜明けはスクリーントーンの彼方」) テレビに出る夢をかなえたい……こどもの頃の夢に突き進む元柔道少女。 (「追いしれの国の女王様」) CAからグリーン車のキャビンアテンダントに転職した女性の奮闘。 (「アテンションプリーズ・ミー」) 小柄ゆえ不人気ゆるキャラ「たけぴよ」の""中の人""に決まった若手公務員の話。 (「たけピヨサイドストーリー」) 営業のドサ回りをする売れない演歌歌手の本当の夢。 (「冬燕ひとり旅」) 夫の殺害方法を考えながらミステリー新人賞に応募し続ける妻。 (「リリーベル殺人事件」) 相方を失っても、コンビニのバイト中にツッコミ練習を続けるお笑い芸人。 (「ギブ・ミー・ア・チャンス」) 短篇8編に著者書き下ろしの「あと描き」も特別収録!
  • 玉蘭
    3.7
    女の中で何が壊れ、何が生まれたのか 東京の生活に疲れ、仕事も恋人も捨てて上海留学した有子。ある日、大伯父の幽霊が突然現れ…。過去と現在が交錯する異色の恋愛小説。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された文庫本の新装版を底本としています。
  • 銀河の森、オーロラの合唱
    4.0
    優しい愛があふれる天体系日常ミステリー 地球へとやってきた愛にあふれる宇宙人モーンガータと、北海道陸別町でともに暮らす少年少女が出会うちょっとだけ不思議な日常の謎。 オーロラの見える町、北海道陸別町へやってきた宇宙人アウロラ。 自らに向けられる愛情を「糧」に生きるモーンガータ星人は、同じ星の仲間だけでなく、地球人にも優しい。 そんなアウロラは事情を抱える子どもの母代わりとなっている。 日常で出会う謎を、科学の力と「愛」で解きながら成長していく子どもたちを描く青春小説。
  • 銀行 男たちのサバイバル
    4.0
    長引く不況下、不良債権処理は進まず、苦悩する銀行界。三洋銀行の同期3人は、重役のイスを目指しながら、日夜山積する問題に分刻みで追いまくられている。ある日、同期トップといわれていた支店長が過労で突然死した。相前後して、強力なライバル・富桑銀行との合併話が持ち上がる。推進派、反対派に分かれての、情報戦に裏工作、そして正面突破の奇策。逆転につぐ逆転の末、いったい誰が最後に勝ち組に残れるのか? 男たちの熾烈なサバイバルが始まった。
  • 銀行 男たちの挑戦
    -
    三洋銀行名古屋支店に銃弾が撃ち込まれたのに続いて、横浜支店長が撃たれた! 動揺が走る行内。対応に苦慮する総合企画部長は、頭取から、銀行生き残りを賭け他行との合併を極秘に計画するよう命ぜられた。だが頭取はもともと合併反対論者で、合併推進派を排斥して、いまの椅子に座ったのではなかったのか。そんななか虎視眈々と巻き返しをねらう元の首脳陣たち……。金融ビッグバン、不良債権と、激震下にある銀行に生きる同期三人の男たちの姿をビビッドに描く、シリーズ第2弾。
  • 銀行 男たちの報酬
    4.0
    週刊誌の特集記事に「危ない銀行」として、三洋銀行の名前が! しかも頭取の実名入り。激怒する頭取に、内密に事態の収拾を厳命された総合企画部長の長谷部は、大学時代の伝手を頼って、記事の差し止めに奮闘する。一方、同期の松岡は総務部長となり、悲願の取締役の座を手にした。そんな2人は頭取から、ライバル行・富桑銀行の精密な調査を命じられた。その意図は何か? 激動の銀行業界でなんとか勝ち組になるために、男たちは走りつづける。銀行シリーズの第3弾!
  • 銀座千と一の物語
    3.5
    銀座は、すべてを教えてくれる―― だれもが憧れる街、銀座。そこには恋も、挫折も、野心も、生きがいもある。 なにかを期待するから、この街に男も女も引き寄せられ、なにかが起きるから、人生は彩られていく。 銀座は、何気ない日常の中の特別な舞台――。 「銀座百点」で好評連載された33のショートストーリーに、撮り下ろしの写真を多数収録。 宝石箱のような一冊。
  • 空中庭園
    3.6
    郊外のダンチで暮らす4人家族・京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。15歳の長女マナが“自分はどこで生を授かったか”を訊ねると、ママはラブホテルで、と教えてくれた。自分が仕込まれたのが近所の「ホテル野猿」だと知って、どうしても見てみたくなったマナは、同級生の森崎くんを誘って行ってみた……。家族ひとりひとりが、そのモットーとは裏腹に、閉ざしたドアの中に秘密を持ちながら、仲の良い「家族」を演じているさまを鮮やかに描く連作家族小説。
  • 空中ブランコ
    3.9
    跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り。刃物はおろか机の角まで怖い尖端恐怖症のやくざ。ダンディーで権力街道まっしぐら、の義父のカツラを剥がしたくてたまらない医者。伊良部総合病院地下の神経科には、今日もおかしな患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者を癒す名医なのか!? 直木賞受賞。『イン・ザ・プール』につづく絶好調のシリーズ第2弾!
  • くうねるところすむところ
    3.6
    梨央、30歳、弱小就職情報誌の編集者。目下、恋にも仕事にも行き詰まっている。ある日、酔っぱらった勢いで建設現場の足場によじ上った。上ったはいいが、腰がぬけて下りられなくなって、トビ職の徹男に助けられる。強い筋肉と温かい体。徹男に一目惚れした梨央は、勢いで工務店に飛び込んで就職。だがそこは、亭主に逃げられ、やむなく社長になった郷子がぶちキレる寸前で、大混乱の職場だった。女ふたりの行く末は、そして恋に超うしろ向きな徹男と梨央はどうなる?
  • 草にすわる
    3.5
    「五年間はなにもすまい」。大企業を辞めた洪治は無為な日々を過ごしているが ある日付き合っていた彼女から昔の不幸な出来事を聞かされる。 絶望に追われた二人の間には睡眠薬の山があった――(表題作)。 なぜ人間は生まれ、どこに行くのか。一度倒れた人間が一歩を踏みだす瞬間に触れる 美しい短編「草にすわる」「花束」「砂の城」「大切な人へ」「七月の真っ青な空に」を収録。 解説・瀧井朝世
  • 草の花 俳風三麗花
    3.0
    1巻804円 (税込)
    昭和10年春、女子医専を卒業した寿子は、満州・大連へ赴任する。帝大の科学者と祝言をあげたちゑ。六代目尾上菊五郎の妾となった芸者の松太郎。不穏な世相を背景に、三麗花はそれぞれの道を歩みだす。やがて訪れた再会の日、満州国皇帝の御前で彼女たちが詠んだ秀句とは――。永井荷風、高浜虚子、甘粕正彦、川島芳子、愛新覚羅溥儀ら、多彩な人士と交錯する、三麗花それぞれの人生。“句会小説”として話題となった直木賞候補作「俳風三麗花」、待望の続編。
  • 草笛の剣 上
    -
    1~2巻561円 (税込)
    「しい、しい、しいびびびい」 笛豆の音に思い出すのは、月見草の茂る故郷、紀伊の海辺……。秀吉に滅ぼされた傭兵隊・雑賀鉄砲衆の遺児、孫二郎は根来衆の頭領に育てられ逞しい若者に成長する。因縁をつけられた浅野家の家臣を斬った孫二郎は、追手を逃れ大阪から京へ。天涯孤独の若者の成長と友情を描いた剣豪ロマン小説。
  • 腐りゆく天使
    4.4
    1巻743円 (税込)
    せんちめんたるの詩人、萩原朔太郎。 記憶を失った埋められた屍体の魂。 美貌の神父。 それぞれの視点で語られる摩訶不思議な物語。 詩人・萩原朔太郎の私生活をモチーフにした、幻想的大正ロマン小説!
  • くちなし
    4.2
    直木賞候補&第五回高校生直木賞受賞の傑作短篇集 別れた男の片腕と暮らす女。運命で結ばれた恋人に会うと体に咲くという花。幻想的な世界がリアルに浮かび上がる繊細で鮮烈な短篇集。 解説・千早茜 ※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 口笛吹いて
    3.6
    1巻639円 (税込)
    偶然再会した少年の頃のヒーローは、その後、負けつづけの人生を歩んでいた。もう一度、口笛の吹き方を教えてくれたあの頃のように胸を張って笑って欲しい……。家庭に職場に重荷を抱え、もう若くない日々を必死に生きる人々を描く。さり気ない日常の中に人生の苦さをにじませる、著者会心の作品集。
  • クチュクチュバーン
    3.7
    ある日突然、世界のすべてが変わる。 蜘蛛女、巨女、シマウマ男に犬人間……地球規模で新たな「進化」が始まる。 小説界を震撼させた、芥川賞作家の驚異のデビュー作。 解説・椹木野衣
  • くっすん大黒
    3.8
    1巻550円 (税込)
    賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作 大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載。 三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈なデビュー作、待望の文庫化。 解説・三浦雅士
  • 雲を紡ぐ
    4.2
    壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるのか? 第8回高校生直木賞(2021)受賞作! 羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。 いじめが原因で学校に行けなくなった高校2年生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショール。 ところが、このショールをめぐって母と口論になり、美緒は岩手県盛岡市の祖父の元へ行ってしまう。 美緒は、祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。 一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。 「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。 その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語るように、読む人の心を優しく包んでくれる1冊。 文庫版特典として、スピンオフ短編「風切羽の色」(「いわてダ・ヴィンチ」掲載)を巻末に収録。 文庫解説・北上次郎 ※この電子書籍は2020年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 暗闇商人(上)
    4.0
    1~2巻611円 (税込)
    イギリスに子連れで留学中の元女優・佐久間浩美が突如、ベルリンで北朝鮮関係者に拉致された。ロンドン駐在の商社マン安原は事態の異常を察し、浩美の安否を確かめようとするが、すでに浩美は北朝鮮・平壌に移送された後だった。浩美は平壌の招待所に監禁され金正日のもとに連行される。そこで彼女が強要されたのは屈辱的な任務だった──。北朝鮮による日本人拉致事件と連合赤軍によるさまざまな国際事件を彷彿させる問題作。1990年当時、拉致の実態はここまでわかっていた!
  • 紅だ!
    3.5
    1巻1,500円 (税込)
    俺たち、久々の共闘になりそうなんだ 命を狙われる謎の少女を守る「紅」、全国を騒がす偽札事件を追う「橡」。新大久保を舞台に、探偵バディが繰り広げるアクション活劇。
  • クロコダイル・ティアーズ
    3.4
    1巻1,700円 (税込)
    美しい妻は、夫の殺害を依頼したのか。家族の間に疑心暗鬼が広がって―― 夫を殺した犯人は、かつての恋人だった。この男が裁判で「妻に殺害を依頼された」と証言。美しき未亡人は、悪女なのか、それとも。
  • クロワッサン学習塾
    3.7
    元教員のパン屋さんが無料塾を開く! 小学校の教員を辞め、実家のパン屋で働く三吾は、店でみかける少女が気にかかっていた。彼にはかつての教え子への後悔もあって……。
  • ぐるぐるまわるすべり台
    3.6
    1巻550円 (税込)
    僕は大学を辞め、塾講師をする傍ら、バンドのメンバーを募集した。<熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集>。そんなうたい文句に集まったちくわ好きなベースの尾崎、黄金旋律を求めるギター弾き・てつろー、板橋のジョン・ボーナムことチバ。4人の個性と人生が混じり合ったとき、「ヘルター・スケルター」は化学反応を起こして、新たなるバンドの伝説が始まる。Look Out! C/Wは、てつろーとチバのはじまりの物語「月に吠える」。
  • グレイスレス
    3.5
    1巻1,700円 (税込)
    デビュー小説『ギフテッド』に続き、芥川賞候補に選ばれた鈴木涼美の第二作。 主人公は、アダルトビデオ業界で化粧師(メイク)として働く聖月(みづき)。彼女が祖母と共に暮らすのは、森の中に佇む、意匠を凝らした西洋建築の家である。まさに「聖と俗」と言える対極の世界を舞台に、「性と生」のあわいを繊細に描いた新境地。
  • 群青の夜の羽毛布
    3.8
    丘の上の家でひっそり暮らす不思議な女性・さとるに出会い、惹かれる大学生の鉄男。しかし、彼女を知るほどに、鉄男の疑問はふくらんでいく。可憐な彼女はなぜそんなに実母に怯え、妹に遠慮し、他人とうまくつきあえないのか? 母娘3人の憎悪が噴出するときにあらわれる、戦慄の情景とは──。恋愛の先にある家族の濃い闇を描いて、読者の熱狂的支持を受けつづける傑作長編小説。山本文緒ならではの、ホラーよりも恐ろしく、猛烈に切ない人間関係の闇!
  • 桂花故事【文春e-Books】
    4.0
    1巻204円 (税込)
    2016年5月、『光ラズノナヨ竹』で作家デビューした壇蜜が送る短編、第2弾を電子書籍だけで発売! 僕の「想像を超えた運命」に影響した女性は二人いる。 一人は、僕が子どものころ、「兄弟は仲良く」と諭してくれた整体師の中国人女性。 そしてもう一人は高校三年生のときの同級生で、大人っぽくて端正な顔立ちのユエ。 エンジニアとして働いていたのに、いつの間にやら風俗店を運営することになった男は、いまも彼女を忘れることはなかった。おとぎ話「お菓子の家」をモチーフにした、甘くて、少し苦い青春の物語。 第1作『光ラズノナヨ竹』との意外な接点も楽しめます。
  • 傾国子女
    3.5
    奇跡の美貌を持つ女 vs. 世の中を悪くする男たち 常に男達の争いの的になる「災いの女」でありながら、貪欲に幸せを追い求めた白草千春――。絶妙の女一人語りによる現代版・好色一代女。
  • 警視庁草紙(上)
    3.0
    1~2巻770円 (税込)
    物情騒然たる明治初期。新政府は首府東京の治安を求めて西郷隆盛に抜擢された川路利良大警視を筆頭に邏卒六千の警視庁を作り、いまその体制を着々と固めつつあった。片や、その大警視をむこうにまわし、「ちょいとお上をからかって、田舎っぺえのポリス野郎の鼻をあかせてやろう」と、まことによからぬ一味がいる。旧幕時代に十手取り縄を預かっていた神田三河町の半七、その手先冷や酒かん八。元同心千羽兵四郎、そして黒幕に控えるのは、隅のご隠居こと元南町奉行の駒井相模守……。
  • 刑事の骨
    3.6
    連続幼児殺人事件の捜査本部を指揮する不破は、同期の落ちこぼれ警察官・田村の失敗で真犯人を取り逃す。17年後、不破を訪ねてきた田村が、その夜新宿歌舞伎町のビルの屋上から転落死する。不可解な死……。田村は定年後も単身、連続幼児殺人事件の捜査を続け、真犯人に迫っていた。当時、犯人の顔を見たのは田村だけと思われていたが、じつはもう一人目撃者がいたのだ。不破は田村の遺志を継ぎ、犯人捜査に乗り出す。時効を過ぎたにもかかわらず、なおも関係者を呪縛する事件の重さ。武骨、硬骨、気骨――刑事の生き様を余さず描いた骨太の警察小説。
  • 勁草の人 中山素平
    3.6
    1巻815円 (税込)
    天才・田中角栄がもっとも畏れた男とは? 「財界鞍馬天狗」の生涯を描き出す決定版! 日本興業銀行頭取、経済同友会代表幹事を歴任した中山素平。 新日鉄発足、NTT民営化、国鉄分割、東京ディズニーランド開園……。 時代を画する案件の向こうには、必ずこの男がいた。 格差社会が叫ばれる今日、つよく温かいリーダーの実像を描き出す。 「文藝春秋」連載時から話題沸騰、待望の文庫化! 【目次】 第一章 総理来たる 第二章 石油危機 第三章 二つの大事件 第四章 国鉄分割化異聞 第五章 アメリカから来た女性研修生 第六章 魔法の国への扉・こころの産業 第七章 中国プロジェクト 第八章 “興銀ますらお派出夫”たち 第九章 募金行脚 第十章 尾上縫事件 第十一章 さらば興銀特別顧問室 第十二章 大統合の行方 解説 加藤正文(神戸新聞姫路支社編集部長)
  • 消し屋A
    3.6
    消し屋──ターゲットを殺したあと、自分の生きてきた痕跡も消して、時代とともに進化するプロの殺し屋。恋人のオカマの蘭子とともに、福岡に流れてきた天才的消し屋・幸三が、昔なじみのヤクザからもちかけられた標的は、地元球団ホークスの名捕手・真壁。ただし、殺しはナシで、彼を一試合の間だけ消す、という奇妙な依頼。付け入る弱みが全くない、野球一筋で真面目な真壁を、幸三が追いつめてゆく──。ひと癖もふた癖もある登場人物満載の、痛快アウトロー小説!
  • ケッヘル 上
    4.0
    1~2巻815~876円 (税込)
    その音楽は神のものか、悪魔のものか――。カレーの海辺でひとりの熱狂的なモーツァルティアンと出会った伽椰は、情事の果ての長い逃亡生活に終止符を打ち、日本へと舞い戻った。そこで待っていたのは、ケッヘル番号を会員番号とする会員制旅行代理店の奇妙なツアーであり、依頼人の失踪に始まる恐るべき復讐劇の幕開きだった。 モーツァルトの無数の旋律が狂気の愛と死を招きよせる。中山可穂渾身の長編!
  • 血脈(上)
    4.1
    1~3巻865~896円 (税込)
    話題騒然の大河長篇、待望の文庫化! NHKTVドラマ化! それは佐藤紅緑が新進女優を狂おしく愛したことに始まった。大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くす……圧倒的迫力と感動
  • 剣樹抄
    4.2
    1~2巻850~880円 (税込)
    疾走感溢れる傑作時代エンターテインメント。 冲方節炸裂の、これぞ大江戸諜報劇! 父を旗本奴に殺され、育ての父も明暦の大火で喪った少年、六維了助。 火付けの一味に我流の剣法で襲いかかったところを若き水戸光國の目にとまり、捨て子を間諜として育てる幕府の隠密組織「捨人衆」に加わる。江戸を焼く盗賊に、妖しい美貌の惨殺犯も現れ――。 解説…佐野元彦(NHKドラマプロデューサー。制作作品「篤姫」「あさが来た」「ノースライト」など多数) ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 絢爛たる流離
    3.3
    3カラットのダイヤが引き起こす12の悲劇 戦前から戦後にかけて、豪華な指輪が次々と持ち主を変えながら 数奇な運命をたどる。欲望と愛憎の人間ドラマを描く傑作連作推理小説。 解題・藤井康栄/解説・佐野洋 ※この電子書籍は2009年に文春文庫「長篇ミステリー傑作選」の 一冊として刊行されたものの新装版を底本としています。 【目次】 第一話 土俗玩具 第二話 小町皷 第三話 百済の草 第四話 走路 第五話 雨の二階 第六話 夕日の城 第七話 灯 第八話 切符 第九話 代筆 第十話 安全率 第十一話 陰影 第十二話 消滅
  • K体掌説
    -
    1巻652円 (税込)
    謎の新人、その正体はなんと夢枕獏!! Kは小噺のK、簡潔のK、奇態のK。 つまりKなる体の掌編。これすなわち“K体掌説”なり。 21世紀の稲垣足穂か、はたまた星新一か。 ショートショートに驚異の新人現る。 刊行当時、一体この著者は何者?と話題を呼んだ驚異の短編集。
  • K+ICO
    3.4
    1巻1,700円 (税込)
    孤独な男女が出会う時、何かが起きる ウーバーイーツの配達員をしているK。TikTokerをしている女子大生のICO(イコ)。巨大な「システム」の中に生きる二人の人生が交錯する時、何かが動きはじめる。実力派作家がデビュー10周年に放つ、渾身作。 ラランド ニシダさん、金原ひとみさん、窪美澄さん絶賛! 「まだ見ぬ誰かとの数奇な巡り合わせはインターネットに操られる。ITは我々を孤独にさせてくれない」(ラランド ニシダさん) 「上田岳弘は、こんなにも抽象の世界から、具体の力を行使する」(金原ひとみさん) 「うんざりするような世界でも、私は誰かと繋がっていたい。そんな欲望を肯定してくれたこの小説は、限りなくせつなく、そしてやさしい」(窪美澄さん)
  • げいさい
    4.0
    1巻880円 (税込)
    気鋭の現代美術家が描く、美大青春物語! カオス化した美大の学園祭で、田舎出の藝大志望の青年は浪人生活を振り返る。心を打つ表現とは。揺れ動く青年期を鮮明に描いた傑作。 佐渡出身で藝大志望の僕は多摩美の学園祭を訪れ、カオス化した打ち上げに参加する。酒を飲み、芸術論を戦わせる中、僕は浪人生活を見つめ直す。表面的なテクニック重視の受験絵画は、個性や自由といった芸術の理想とはかけ離れていた。真に人の心を揺さぶる表現とは。気鋭の現代美術家が、揺れ動く青年期を鮮明に描いた傑作小説。 ※この電子書籍は2020年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 月下上海
    4.0
    第二十回松本清張賞受賞。スキャンダルを逆手にとり人気画家にのしあがった財閥令嬢・八島多江子。謀略渦巻く戦時下の上海で、多江子が愛する運命の男たち。 昭和17年10月、八島財閥令嬢にして当代の人気画家・八島多江子は、戦時統制化の日本を離れ、上海にやってきた。そこで、招聘元である中日文化協会に潜入していた憲兵大尉・槙庸平から、民族資本家・夏方震に接近し、重慶に逃れた蒋介石政権と通じている証拠を探すように強要される。 「協力を断れば、8年前の事件の真相をマスコミに公表する」 8年前、多江子が夫・瑠偉とその愛人によって殺されかける有名な事件が起きた。愛人は取り調べ中に自殺し、瑠偉は証拠不十分で釈放されたものの、親元の伯爵家から除籍され、満州へ追われた。そして奇跡的に一命を取り留めた多江子は、スキャンダルを武器に人気画家へのし上がった。だが、その真相は、愛人と外地へ駆け落ちしようとした瑠偉を許せなかった多江子が、他殺に見せかけて自殺を図ったのだった。槙は何故か、その秘密を嗅ぎつけていた――。
  • GETUP!GETLIVE!
    -
    1巻1,700円 (税込)
    話題の「声優×二次元芸人」プロジェクト! 発売即完売の1stLIVEを完全ノベル化。舞台では演じられなかった幻のエンディングも収録。 お笑いにかける青春 俺の相方が世界で一番面白い! 『俺ガイル』の渡航が描く、お笑いにかけた3組のコンビの涙と笑いと葛藤の青春物語! 東京は神田神保町のお笑い養成所SSS(スーパースタースクール)で、青春をお笑いにかける3組のコンビ。 日々学びオーディションを受け、バイトとネタ作りに追われている。コンビ間の衝突やライバルへの嫉妬など、きらびやかな世界の裏側に翻弄されながら、日本一、世界一のお笑い芸人を目指す青春ストーリーだ。 登場するのは―― 共感系幼馴染コンビ「スターダスト」上原淳也(cv:花江夏樹)・東沢楓(cv:西山宏太朗) ちぐはぐ凸凹コンビ「菊一文字」町田瀬那(cv:豊永利行)・大野虎之助(cv;石川界人) イマドキ関東芸人「6‐シックス‐」狛江一馬(cv:熊谷健太郎)・喜多見蓮(cv:阿座上洋平) LIVEは実際に3組がネタを演じ、会場の観客の投票でその後の展開が決まるマルチエンディング方式だった。本書もその形を踏襲しており、LIVEでは演じられなかったエンディングも収録されている。 イラストレーションは、由良が担当。書き下ろし表紙イラストと、挿絵3点を寄せている。 ※購入特典のキャストの手書きコメント付特製ポストカードは電子版には付いておりません。紙版のみの収録となりますので、ご注意ください。
  • 幻影の星
    3.2
    この世はすべて幻影? 震災後の生と死を鋭く問う、白石一文の問題作! 酒造メーカーに勤める熊沢武夫。彼が東京で買ったネーム入りのコートが、故郷・長崎で発見された。だが武夫の部屋のクローゼットには新品のコートがかかったまま――。なぜ、まったく同じコートがこの世に二つ存在するのか? 謎を追いかける武夫の前に、ある女性の存在が浮かび上がる。3・11後の世界を舞台に「生きること」の実相を描く。

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