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放っておいて欲しい。それが僕が他人に求める唯一のこと――
ファッション誌編集者の羽野は、花と緑を偏愛する独身男性。帰国子女だが、そのことをことさらに言われるのを嫌い、隠している。女性にはもてはやされるが、深い関係を築くことはない。
羽野と、彼をとりまく女性たちとの関係性を描きながら、著者がテーマとしてきた「異質」であることに正面から取り組んだ意欲作。
匂い立つ植物の描写、そして、それぞれに異なる顔を見せる女性たち。美しく強き生物に囲まれた主人公は、どのような人生を選び取るのか――。
※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
Posted by ブクログ 2022年05月07日
最初から最後まで一つひとつの言葉が繊細で綺麗な一冊でした。また、登場人物の言葉の所々に伏線が散りばめられているのもとても面白かったです。私は同じ性ということもあるのか、本書に登場する女性キャラクター達が何故このシーンでこんな事を言ったのか、その後になんて言ってほしかったのかをなんとなくぼんやり考えな...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月09日
自分を隠すことでしか自分を守れないのだろうか。
他人の心に踏み込まないことでしか他人を傷つけず生きられないのだろうか。
自分が傷つかないこと、他人を傷つけないことに
腐心をしてひどく大人びた子供のような主人公だった(主人公は30代くらいの男性だけど)
主人公は極端なように描かれているが、
自分を...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月12日
主人公が帰国子女ということを知って、自分も帰国子女なので、これはぜひ読んでみたい!と思った本。
大切な人を亡くしたとかではないけど、前まで住んでいた場所を離れて、感じる喪失感を誰かに説明するのは難しいっていうところはすごい分かる。
今まで当たり前のように、悪目立ちすることなく使っていた言語も、環境が...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月07日
「この人(あの人)が理解できない」と話題に上がるときに、この人は他人が理解できると思ってるのか?と不思議な気持ちになります。
自分自身のことも理解できているとは到底思えないのに、他人のことなんて理解できない。理解できずとも、「そういうこともあるか…」と許容するくらいで良いのではないかと思います。
レ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月05日
あなたは彼に『部屋の植物たちが心配なので、僕は滅多に旅行には行かない。出張もなるべく日帰りにする』と言われたらどう思うでしょうか?
私たちは会社で、学校で、そして街中で、日々数多くの人と接しています。親しい関係から、単なる行きすがりの人までその関係性はさまざまです。ただ、一見関係が深いからといっ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月18日
うまく言葉にできないけど心の中に漠然とあるものを掴み言葉で表現することができる作者。
「自分のためだけに生きること、足りないものを自分で埋めていくことって時々虚しく思えてくることがある。」
「結婚の目的が存在の肯定なのだとしたら…自分が丸ごと肯定される居場所は欲しい。でも誰かとペアにならなくてはい...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月22日
他人との距離感を考えた1冊。場面が映像として容易に思い浮かびました。
他人と深く関わらないことで、他人を傷つけず、自分のテリトリー(ガーデン)も汚されない。そんな主人公の心情は、私自身にも通ずるところがあるので分かる。卑怯かもしれないけど、知らなければよかったってことを自分から知って傷つくならいっそ...続きを読む
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