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第二十回松本清張賞受賞。スキャンダルを逆手にとり人気画家にのしあがった財閥令嬢・八島多江子。謀略渦巻く戦時下の上海で、多江子が愛する運命の男たち。
昭和17年10月、八島財閥令嬢にして当代の人気画家・八島多江子は、戦時統制化の日本を離れ、上海にやってきた。そこで、招聘元である中日文化協会に潜入していた憲兵大尉・槙庸平から、民族資本家・夏方震に接近し、重慶に逃れた蒋介石政権と通じている証拠を探すように強要される。
「協力を断れば、8年前の事件の真相をマスコミに公表する」
8年前、多江子が夫・瑠偉とその愛人によって殺されかける有名な事件が起きた。愛人は取り調べ中に自殺し、瑠偉は証拠不十分で釈放されたものの、親元の伯爵家から除籍され、満州へ追われた。そして奇跡的に一命を取り留めた多江子は、スキャンダルを武器に人気画家へのし上がった。だが、その真相は、愛人と外地へ駆け落ちしようとした瑠偉を許せなかった多江子が、他殺に見せかけて自殺を図ったのだった。槙は何故か、その秘密を嗅ぎつけていた――。
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Posted by ブクログ
物語の舞台は、19世紀半ばに上海に設定された外国人居留地、即ち租界が舞台となっています。
上海租界では様々な様式のモダンなビル群が並び、最先端の文化を享受することが可能な衛星都市で、ファッションの面でも大胆な最先端モードが発信されていました。
『月下上海』で描かれている上海租界は、当時の雰囲気がとてもリアルに描かれ、まるで私は彼の地の風景を眺めているような感覚を抱いてしまいました。
主人公の八島多江子は財閥の美しい令嬢であり、愛する夫との破局を機に、画家を目指して昭和17年に上海に赴きます。
多江子は持前の美貌と才能に加え、物事に動じない性格が相まって、上海租界で画家としての社会的地位を確立します。
当然多江子の才と美しさに惹きつけられる男性も登場し、租界を舞台に戦時中の複雑な社会変化の中で、多江子は辛苦を味わう事となります。
圧倒的な男性社会の時代、ましてや海外である上海租界で、多江子は財閥令嬢の立場をフルに利用し、そして男達の視線を一同に集める美貌を武器に、雑多な様相を呈す上海の地で埋没する事なく堂々と生きて行く姿は、まるでハードボイルドな劇画的な女性の雰囲気を醸し出していました。
そんな多江子に、中国人の実力ある実業家に接近して情報を得るようにとのスパイ行為を強要され、波乱の物語が展開する事になります。
Posted by ブクログ
一万円選書の中の一冊。
読み始める前は「上海の話かあ。なんか地名とか読めない漢字ばっかとかで、読みにくそう」と思ってましたが、そんな心配ご無用、でした。読めなくたってどうでもよい。話がおもしろい。
菊池寛が出てきたので、え、八島多江子って実在した人物?と調べたりしてしまいました。
お金持ちはたとえ戦時中でも優雅なのねえ。東京編が面白かったです。瑠偉よお……。
ただ、夏のところに潜入するのがあまりにあっさりすぎて、しかもそのエピソードがそんなにこの本の中では重要じゃない感じで、やや拍子抜けでした。
選書でどうしてこの本を選んでくれたのかなあ?と考えました。私が戦時中の話が好きなことと、あともしかして私が給食のおばちゃんで、著者が食堂のおばちゃんだから?
Posted by ブクログ
戦時中の上海、過去にスキャンダルで時の人となった画家の主人公が、活動拠点を移して再発起を図るが、きなくさいトラブルに巻き込まれていく…、という物語。
装丁のイメージどおり、才色兼備の女性と一癖二癖ある男性陣との愛憎入れ混じる展開を混ぜつつ陰謀も匂わせて、スピーディに物語は展開します。
…のですが、「ん、あれ?」と思うほどあっけない幕切れだったような気がしました。もう一波乱あっても良いのに…ベタベタですが裏切りとかそういう厭らしさを含んだクライマックスがほしかったような。振り返って考えてみると、「ただただみんなにモテモテ」なお話だった気が…いや、もちろん主人公自身は凄くかっこよく描写されていて素敵ではあったんですが。
読み方が良くないのかもしれないと思いつつ、サスペンス風味がもっとあればな、と感じたのでした。
Posted by ブクログ
八島財閥の令嬢にして、美貌の人気女流画家・多江子は、画家としての新境地を切り開くべく、戦時下の上海にやって来た。
西欧諸国とアジアの文化が隣り合う租界で、過去のスキャンダルの真相を知る特高の工作員に、画家の立場を利用してある男に近づくよう脅された多江子は…
セットと衣装にめちゃくちゃ予算をかけたゴージャスな映画を観たような感じ。
面白くなかったわけではない…けれど、多江子をはじめ、純情と欲望を併せ持った登場人物たちにもうひとつ気持のピントが合わなかったような。
たまたま、つい最近原田マハの「#9」を読んだばかり。
同じ上海を舞台に、魅力的な女性を主人公にしながら、時代背景が違うだけでまるで味わいの違う物語だった。当たり前だけど。
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