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Posted by ブクログ
生活のにおいがする、というか生活そのものを切り取った短編集である。ハレかケか、過去か現在か、諧謔かシリアスかの違いはあれど、そのすべてが生活そのものなのだ。
どれも良質な短編であり、あえて言えば「冬の散歩道」がややくどいだろうか。どの作品が好みかは人それぞれだろうが、個人的には毛色の違う「バレンタイン・デビュー」を推したいところ。
にしてもこれだけ幅広く老若男女を描けるのだから、作家というのはすさまじいものである。
一つ、あえて述べるなら、これは連載で読みたい内容だったかな。濃厚な世界を一つ一つ楽しみたい。これを毎週読めただなんて……産経夕刊か、当時の自分に教えてやりたいところだ。
Posted by ブクログ
■サマリー
・冬をテーマにした12個の短編小説
・切なかったり、ホッコリしたりを感じられる
・フィクションなのにリアルな人間像がある
■所感
作者・重松さんの好きな季節は、「冬」だという。
天気も「曇り」が好きらしい。
これが、「晴天」、「真夏」が大好きな作家であれば、
ここまで切なかったり、ホッコリした内容の小説を
書けないのではないかと思われる。
どこか暗くて、ひねくれていて、一筋縄では
いかないような人だからこそ(勝手な予想であるが)、人の気持ちを理解した小説が書けるのだろうと思う。
冬がテーマであるため、やはりどこか切ない
気持ちになる内容が多かったように感じられる。
これで、春、夏、秋、冬の四冊の小説を読破した
ことになる。
どの季節の小説にも、味わい深いものがあり、心に
染みる短編がいくつもあった。
重松清さんは、この春夏秋冬の小説が等身大の
自分であるという。
作家の縮図である季節シリーズは、永久保存版である。
■心に残る箇所
【ごまめ】から引用
昔ーまだ香奈が小学生で、敏記は両親を「パパ、ママ」と呼んでいた頃、正月を家族で過ごすのはあたりまえのことだった。
あたりまえすぎて、それがいつかは終わってしまうのだとは考えもしなかった。
初もうでから帰ったあと、サッカーの天皇杯決勝戦をテレビで観ながら、ばたばたと走り回る敏記を「うるさいよ、テレビの音が聞こえないだろ」と叱ったり、「バドミントンしようよ」と香奈に誘われても「また今度な」と面倒くさそうに断ったり、元旦はまだしも、二日や三日になると「朝から晩まで子どもたちと一緒ってのも疲れるよなあ」と奥さんにぼやいたり…・・…・・。
ぜいたくなこと言うなよ。あの頃の自分に会えたら、たしなめてやりたい。
香奈と敏記も、いつか気づいてくれるだろうか。親にとって子どもと過ごす時間が貴重なように、子どもにとっても、親と一緒におしゃべりしたり出かけたりする時間は、やり直しがきかないからこそ貴重で、かけがえがなくて…・・・・・。
◾️学び
親も人間である。
1人でゆっくりしたい、1人趣味を楽しみたいと
思う時はある。
でも、子どもの「おとうさん、見て見て」、
「おとうさん、遊ぼうよ」などのように、
父親の自分に喋りかけてくれるのは今だけである。
だから、呼ばれた時は「何、何?」、「よし、遊ぼう、何する?」と極力応じるようにしている(トイレ中などは別だが…)。
それでも週末に子どもたちが寝た後、もっと遊んだら良かったかなとか、叱りすぎたかなと独り後悔したり落ち込むことがある。
12篇の中で【ごまめ】は、私が感じる部分に刺さった短編である。
やり直しがきかないから、そのときのベストを尽くす。
それでも、あとあと振り返ってみたら、やっぱりあの時、〇〇しとけば良かったかなとか思うかもしれないが、それはそれとして、である。
未来の自分が振り返ってみたとき、あの時はやれるだけのことはした、と思えるようにしなければと改めて感じた。
Posted by ブクログ
季節風4作品読み終わりました。
冬はイベントが多いので、日常の中にある特別感や、イベントだからこそ生まれる感情の動きが散りばめられていました。
この中でのお気に入りは、「火の用心」です。違う環境に進んだ友達同士の距離感の難しさに共感しました。仲良くしていたいだけなのに、触れてはいけないところがあるのではないか、何を話せば良いかわからないと、もどかしさがじわじわ伝わってきました。
シリーズ通して、単純な季節ものではなく、一編ごとに時期が少しずつ進んでいく形式は、季節感をより繊細に感じられる体験でした。週に一つの短編というような読み方をしていたら、もっと沁みるものがあったのかもしれないです。
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