あらすじ
出産のために離れて暮らす母親のことを想う5歳の女の子の素敵なクリスマスを描いた「サンタ・エクスプレス」ほか、<ひとの“想い”を信じていなければ小説は書けない気がする>という著者が、普通の人々の小さくて大きな世界を季節ごとに描き出す短篇集「季節風」シリーズの冬篇。寒い季節を暖かくしてくれる、冬の物語12篇を収録。
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遂にシリーズ最終巻。春から始まり、もうそろそろ1年が経とうとしているなんて。物悲しくも心が温かくなるような話が多かった冬編。『あっつあつの、ほっくほく』『コーヒーもう一杯』『サンタ・エクスプレス』『その年の初雪』『じゅんちゃんの北斗七星』がお気に入り。クリスマスにお正月、節分、バレンタインなど元々イベントが多い季節のため、他の季節に比べ分かりやすくバラエティに富んでいる。日常のちょっとした出来事に季節の彩りを添え、様々な人の心に寄り添ってくれた季節風シリーズ。1年を通して楽しませてくれ、これからも折に触れ読んでいきたい。
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何気なさが良い。普通が優しい。そして冬が好きだ。
どの話も何か解決するわけではないのに、いやに心が暖かくなって前に進む力をもらえる。
焼き芋も散歩道も鬼は外も日常の1ページだが、人にはそれだけで立ち上がる力になることがある。
重松清は私と同い年で同じ大学だが、こんな小説を書き続ける彼に賛辞を送りたい。
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日本人と中国人の大きな違いというのは、日本人が地縁集団であるのに対して、中国人は血縁集団であり、ファミリーの結束は中国人のほうがより強いのだ、という理論を読んだことを想い出した。本書(今回は合本で春夏秋冬を通して読んだ)掲載の短編のテーマの殆どは家族、或いは故郷、もしくはその両方なのだが、地縁集団というのは比較の問題であって、やはり家族というのは個人にとってとても大きな存在であることを再認識した。
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生活のにおいがする、というか生活そのものを切り取った短編集である。ハレかケか、過去か現在か、諧謔かシリアスかの違いはあれど、そのすべてが生活そのものなのだ。
どれも良質な短編であり、あえて言えば「冬の散歩道」がややくどいだろうか。どの作品が好みかは人それぞれだろうが、個人的には毛色の違う「バレンタイン・デビュー」を推したいところ。
にしてもこれだけ幅広く老若男女を描けるのだから、作家というのはすさまじいものである。
一つ、あえて述べるなら、これは連載で読みたい内容だったかな。濃厚な世界を一つ一つ楽しみたい。これを毎週読めただなんて……産経夕刊か、当時の自分に教えてやりたいところだ。
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”家族の作家”重松さんらしい作品です。最近は色々なことに手を出しているけれど、やっぱり重松さんの本領はここでしょう。
ホッとしたり、シンミリしたり。
俗と言われるかもしれないけれど、私はこの手の話が大好きです。
子を想う父親、うざく思いつつもどこか残る親への想い。友への想い。本当にさまざまな想いが詰まっています。
ホッとする暖かさがあります。
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■サマリー
・冬をテーマにした12個の短編小説
・切なかったり、ホッコリしたりを感じられる
・フィクションなのにリアルな人間像がある
■所感
作者・重松さんの好きな季節は、「冬」だという。
天気も「曇り」が好きらしい。
これが、「晴天」、「真夏」が大好きな作家であれば、
ここまで切なかったり、ホッコリした内容の小説を
書けないのではないかと思われる。
どこか暗くて、ひねくれていて、一筋縄では
いかないような人だからこそ(勝手な予想であるが)、人の気持ちを理解した小説が書けるのだろうと思う。
冬がテーマであるため、やはりどこか切ない
気持ちになる内容が多かったように感じられる。
これで、春、夏、秋、冬の四冊の小説を読破した
ことになる。
どの季節の小説にも、味わい深いものがあり、心に
染みる短編がいくつもあった。
重松清さんは、この春夏秋冬の小説が等身大の
自分であるという。
作家の縮図である季節シリーズは、永久保存版である。
■心に残る箇所
【ごまめ】から引用
昔ーまだ香奈が小学生で、敏記は両親を「パパ、ママ」と呼んでいた頃、正月を家族で過ごすのはあたりまえのことだった。
あたりまえすぎて、それがいつかは終わってしまうのだとは考えもしなかった。
初もうでから帰ったあと、サッカーの天皇杯決勝戦をテレビで観ながら、ばたばたと走り回る敏記を「うるさいよ、テレビの音が聞こえないだろ」と叱ったり、「バドミントンしようよ」と香奈に誘われても「また今度な」と面倒くさそうに断ったり、元旦はまだしも、二日や三日になると「朝から晩まで子どもたちと一緒ってのも疲れるよなあ」と奥さんにぼやいたり…・・…・・。
ぜいたくなこと言うなよ。あの頃の自分に会えたら、たしなめてやりたい。
香奈と敏記も、いつか気づいてくれるだろうか。親にとって子どもと過ごす時間が貴重なように、子どもにとっても、親と一緒におしゃべりしたり出かけたりする時間は、やり直しがきかないからこそ貴重で、かけがえがなくて…・・・・・。
◾️学び
親も人間である。
1人でゆっくりしたい、1人趣味を楽しみたいと
思う時はある。
でも、子どもの「おとうさん、見て見て」、
「おとうさん、遊ぼうよ」などのように、
父親の自分に喋りかけてくれるのは今だけである。
だから、呼ばれた時は「何、何?」、「よし、遊ぼう、何する?」と極力応じるようにしている(トイレ中などは別だが…)。
それでも週末に子どもたちが寝た後、もっと遊んだら良かったかなとか、叱りすぎたかなと独り後悔したり落ち込むことがある。
12篇の中で【ごまめ】は、私が感じる部分に刺さった短編である。
やり直しがきかないから、そのときのベストを尽くす。
それでも、あとあと振り返ってみたら、やっぱりあの時、〇〇しとけば良かったかなとか思うかもしれないが、それはそれとして、である。
未来の自分が振り返ってみたとき、あの時はやれるだけのことはした、と思えるようにしなければと改めて感じた。
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季節風4作品読み終わりました。
冬はイベントが多いので、日常の中にある特別感や、イベントだからこそ生まれる感情の動きが散りばめられていました。
この中でのお気に入りは、「火の用心」です。違う環境に進んだ友達同士の距離感の難しさに共感しました。仲良くしていたいだけなのに、触れてはいけないところがあるのではないか、何を話せば良いかわからないと、もどかしさがじわじわ伝わってきました。
シリーズ通して、単純な季節ものではなく、一編ごとに時期が少しずつ進んでいく形式は、季節感をより繊細に感じられる体験でした。週に一つの短編というような読み方をしていたら、もっと沁みるものがあったのかもしれないです。
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十二編の冬の物語がどれも濃やかで、短いのに詰まっていて、ほろ苦さもありつつも絶対的に温かくてほっこりする。美味しそうな焼き芋や珈琲、列車で出会う子供の為のサンタとトナカイの若者、火の用心の夜回りや、普通学級では難しかった相棒の友人や、大学の合格発表の場での一回五十円のバンザイ隊等どれも引き込まれた。
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ほくほくと温かなお話が多かったように思う。
特に 印象的なのが 「じゅんちゃんの北斗七星」
軽く読めるけど、色々と考えさせられて、
ひとつひとつの話に テーマがある。
湯船につかって 1日1篇読むのに ちょうどいい。
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重松清の作品ってどうしてこんなに心に響くんだろう。12の短編は、年齢によって響く箇所が違うといえる。これが、重松清が様々な年齢の人に受け入れられる理由だといえる。
今回一番共感したのは、子どもが成長して一緒に初詣にいけなくなった父の思いを綴った作品。
家族の歴史は終わっていないけど、前期は終わった。
弟が結婚して家を離れた時に、なんとなく抱いた気持ちと同じだと感じた。
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それぞれ色が違うけど、どれも深みがある作品ほっこりさせるのがうまい作家さんだなー。その年の初雪、じゅんちゃんの北斗七星、バレンタインデビューがすごく好き。北斗七星のは号泣!
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季節風シリーズの「冬」編。焼き芋、サンタ、初詣、初雪、節分、バレンタイン、合格発表など冬のキーワードを巧く人生ドラマに組み入れた流石の重松さん。
お気に入りは「冬の散歩道」。何がきっかけで人の歩む道が変わるのかわからない。人生は不思議だ。だからこそ面白い。
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冬を背景にした心あったまる。そして、少し、切ない自然なお話。
子どもたちも大学を卒業し、それぞれに巣立っていった今。
(ごまめ)は、心に静かに奥深く響くお話でした。
あんまり、連絡なくても・・・
元気にがんばっていればそれでいい。
きっと、我が家の心が、息子と娘のふとした行動に表れていると信じて・・・
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季節風シリーズ1冊目は、1番好きな季節でもある「冬」を選びました。(たまたま読みたい時期が冬だったというのもあるのだけれど)
冬にちなんだ短編12編。
全体的に静かで少し切なくて、あったかい話が多く、読んでいてほっこりした気持ちになりました。
気に入ったのをいくつか。
1番切なかったのは「コーヒーもう一杯」
離れても自分の中にずっと息づいて残っているものがあるの、共感できます。その積み重ねで今の自分ができているような。
切ないけどほっとしたのは「ネコはコタツで」
何事も自分で折り合いをつけて前向きにやっていこうと思いました。女性は強いしね~。
文句なく心あったまったのは「サンタエクスプレス」
私も長女だからこの子の少し気持ちが分かる。こんな風に娘を思いやってあげられる母親になれたらいいなぁ。
心がぎゅっとなったのは「じゅんちゃんの北斗七星」
じゅんちゃんみたいな子、いたなぁ。私はうまく付き合えていたのだろうか?大人になるほど切ないや。「あいぼー」にうるっとしてしまいます。
「あっつあつの、ほっくほく」
「冬の散歩道」
「ごまめ」
「火の用心」
「その年の初雪」
「一陽来復」
「バレンタイン・デビュー」
「サクラ、イツカ、サク」
季節風 春・夏・秋もそれぞれの季節に楽しみたいと思います。
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意外と共感できたのが「冬の散歩道」だった。
疲れきった主人公が、散歩道で人々を観察し、
そして何人かの人と予想外の触れ合いで、
その疲れが少し解消されたような話。
28歳のとき、多忙の仕事を辞め、
ワーキングホリデーで日本へ旅立った最初のごろ、
京都の鴨川に沿って散歩したときの気持ちを思い出すのだ。
また、「コーヒーもう一杯」の巻も、
北海道の喫茶店”森の時計”に行ったことが懐かしく思った。
そして、印象的な言葉。
”やり直せないもんな、人生は”
”八年間意識を失って眠り続けてました、って思うしかないよな”(P268)
30歳を迎える直前の私のココロに刺し込んだような言葉だった。
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こころ温まるいい話の連続ですね。
涙することはないですが、涙が内側に浸透し細胞を浄化するような感じでしょうか。
レビューから逸れますが・・・
私は歳柄か、自分の親を若しくは親になった自分を「パパ」「ママ」という人は、自分がそう呼ぶよう育ってないためか、どことなく甘やかされて育てられた軟弱な人物に映ってしまいます。
重松さんの作品は結構この表現が多いので、折角いい話も斜に構えた見方になるのは、私自身損をしているところです。
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切なかったり、悲しかったりするけれど、最後はじーんと心が暖まって自然と微笑んでしまう話たちが詰まってる。お気に入りは「コーヒーもう一杯」「ネコはコタツで」「サクラ、イツカ、サク」
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「じゅんちゃんの北斗七星」に興味を引かれ、この本を手にしたのだった…かな?
もちろんこの作品も良かったが、感想を書くとなると真っ先に浮かんだのは「火の用心」の小野さんだった。
あのデリカシーのなさ。
偉そうな物言い。
自分のものさしでしか測れない視野。
あぁ本当に私の知ってるある人によく似ている。最悪だ。
そして私もこのところ、そのある人に似てきている。最悪だ。
似たくないところが似てしまうのは何なんだ。勘弁してくれDNA。
そんな訳で身悶えしながら小野さんの痛々しさを胸に刻んだ一冊となりました。ツラい。
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重松さんの季節風シリーズの冬。
親子、友人などのヒューマンストーリーが12編の短編集。
年頃の娘との関係に心悩ます父親の心情を描いた「ごまめ」
小学生の友情を描いた「その年の初雪」
今でいう発達障がいの友人との交流を描いた「じゅんちゃんの北斗七星」が心に刺さった。
ちょっぴり切なくて、それでも温かく心をほぐしてくれる作品でした。
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あっつあつの、ほっくほく と
その年の初雪 が特に好きかな。
ホッとする感じと、キュッってなる感じ。
サクラ、イツカ、サク も良かった。
いろんな考えの人がいるって事だけど、今の自分の現状に気付いてる時点で一歩進んでると思う。見て見ぬふりは今は痛くないかもしれないけど、傷にはなってる。向き合うことは大事、考える事をやめたらもったいないのかも。
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冬らしい少し切ない、でもちょこっと心が温まるお話が盛り込まれていました。
なかでも、バレンタイン・デビューが少しクスッと笑顔になれるほんわりあったかいお話でした。
冬の散歩道も、
何気ない日常でも受け取る側(おかれている状況)によって、とても意味のあることや生きる力になったり違う意味をもつのがとてもおもしろいなと。
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【あらすじ】
出産のために離れて暮らす母親のことを想う5歳の女の子の素敵なクリスマスを描いた『サンタ・エクスプレス』ほか、「ひとの“想い”を信じていなければ、小説は書けない気がする」という著者が、普通の人々の小さくて大きな世界を季節ごとに描き出す「季節風」シリーズの「冬」物語。寒い季節を暖かくしてくれる12篇を収録。
【感想】
Posted by ブクログ
著者の『季節風』シリーズの一冊。冬を舞台に、過ぎ去った過去の思い出、あるいは現在の家族にまつわる出来事を、一筆書のように描写した12の物語。
いずれも読後感の心地よい作品。
「サンタ・エクスプレス」の最後、シールのサンタが笑った、の個所は、いかにもクリスマスファンタジー。
「ネコはコタツで」は、親の介護が問題となる世代には身近な話。
「ごまめ」は、娘を持つ父親には、”あるある”と思わず声が出る話。
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重松さん大好き。
重松さんらしい短編集。
どれも良かったけど、じゅんちゃんの北斗七星が良かったかな。
バレンタインデビューはほのぼのと笑えてしまった。
春と夏も楽しみです