あらすじ
同窓会で久しぶりに再会した中年5人が始めた秘密基地の集まりに、1人が息子を連れてきたいと言い出した……「秘密基地に午後七時」、男の子と、離婚する両親との最後の外食を描いた「少しだけ欠けた月」など、美しい四季と移りゆくひとの心をテーマにした短篇集「季節風」シリーズの秋篇。ひと恋しい季節にそっと寄り添うような、秋の物語12篇を収録。
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やっぱりいいや、重松さん。
40代だからこそ、響くのかな。どこか寂しさを感じる季節、悲哀を感じる季節。いや、眩い夏を乗り越えた成熟した季節だからこそ、今だからこそ、また原点回帰が求められるのかな?と思わせてくれた作品。でも、抜群の安定感でいつもどおりほっこりさせてもらえました。
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1年間かけて少しずつ『季節風』シリーズを読んでいます。
私のお気に入りは「おばあちゃんのギンナン」です。
「何か話さないと!」と思わずに、沈黙が心地よい関係、すごく良いなと思います。
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季節風の最後のこの一冊は購入してから長い事積んでしまった。
十二の短編で描かれる重松清ワールドの秋は、少し切なくなるお話しばかり。
その中でも、ウイニングボールは身につまされる思いだった。
真面目に仕事をするのと、必死に仕事をするのでは全く違う。
前は必死にやっていた事が、どんどん必死とは遠くなり、真面目であれば良いやと、必死になるタネを見つける事も諦めて「ふらふら」としているなぁと気付かされた。
ウイニングボールも他のお話も、もっと言えば季節風の全四十八話は最後の最後が描かれていないのがとても良い。
読者の想像で「きっとこの先はこうなっただろう」と思わせる余地がある。
あとがきに
「ああ、ここにはオレのすべてがあるんだなあ」
と書かれているように、重松清ワールドに足を踏み入れる第一歩には季節風をお奨めしたい。
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冬から始まった季節風シリーズの最後の一冊。
秋はとっても地味。でも優しい。秋だなあ。
「とりあえずビール」
の台詞ひとつに色々考えます。
最後まで良い短編集でした。
毎年、季節毎に読もうっと。
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重松清さんとほぼ同じ歳のせいか、すべての作品がとても身近で懐かしく、もの悲しく、身につまされるました。
ぴ〜んとこない皆さんには、最低45才を過ぎて読んで頂きたい。
この震える感動を作者に伝えたい
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秋なので、読んでみました。
個人的には、「田中さんの休日」が好き。
田中さんの休日に出てくる朋子さんみたいな周りをちゃんとみつつお茶目な奥さんになりたい☆
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季節風シリーズ最終巻です。
実は前巻「夏」は少し期待外れだったのですが、これは良かったです。
重松さんにとっても思いの深いシリーズの様で、後書きに「おまえはどんなものを書いているんだ?」と聞かれたら「これを読んでくれればわかります」とこのシリーズを差し出すだろうと書いています。
確かに、いかにも重松さんらしい作品です。
しかし、どこからこれだけの数のストーリーを思い付くのでしょう。文学性の評価はともかく、これほどの多作でありながら、エンターテインメントの視点で、ほとんど常に高品質の作品を出しつづける重松さんは凄いと思います。
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季節風シリーズ「秋」
秋という季節に似合うしっとりとした話に心が温かくなった。
「ヨコヅナ大ちゃん」で
大ちゃんの「人間って、なんでお腹が空いちゃうの?」の問に
「明日、がんばるためだ」と答えるおじいちゃんと
「明日の自分を、今日より元気で幸せにするためよ」と答えるおばあちゃんが素敵だった。
また、おじいちゃんの「カッコいいとか悪いとか、他人が勝手に決めることにびくびくするな」
「カッコいいっていうのは、自分で自分が好きになる瞬間のことだ」の言葉には私自身も力をもらった。
難しい年頃の娘を持つ父親の不器用な心情を描いた「田中さんの休日」は、ラストのほっこり感が印象的だった。
刊行順では、この「秋」が締めくくりのようだが、読む順番にはあまりこだわらずに楽しめそう。
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個人的には、オニババと三人の盗賊が好きだった。どの話も必ずハッピーエンドで終わるわけではないが、その先のことは読者のイメージに委ねてくれるような終わり方が好き。人生にはさまざまなフェーズがあるけれども、いつの時も今が一番だと思えるような生き方ができれば良いなと思った。
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季節風、最後の「秋」。
ホロっとくる回数は冬春夏に比べて少なかったが、中年以上の人には刺さる話が多かった。
忙しさに紛れて、今しか生きられない多くの人々。しかし、心の奥底には自分の幼少期を形作っている原風景が必ずある。その記憶に触れられれば、今より少し優しくなれるはず。そんな話が詰まった最終巻「秋」。ありがとう!
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季節風シリーズもこれで残すところあと1冊。秋というイメージから物悲しい話が多いかと思っていたが、さほどでもなく相変わらずバランスの良い作品。『オニババと三人の盗賊』『ヨコヅナ大ちゃん』『おばあちゃんのギンナン』『ウイニングボール』『田中さんの休日』が特に好きだが、今回は(も?)甲乙つけがたい。ヨコヅナとウイニングであえて勝敗を書かなかったのも、全体的な読後感の統一に一役買っている。あと1冊で終わってしまうという悲しさはあるが、また期間を空けての再読も楽しみだ。
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何故か何回も寝落ちしてしまって繰り返し聞いた部分の多かった本。息子が不良でおやじ狩りに合ってしまう、秘密基地の話、どうもなんとなくしっくりこなくて???ってなった。どんな感情になるべきなのかわからない話もあるけどそれもまた自分の気持ちに正直になることだからいいとしよう。
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季節風四部作の「秋」編。
あとがきを読むと、この「秋」編が季節風シリーズの完結編とか。稀しくも、著者の書いた順番に読んでいたことになる。
家族関係の話、友達関係の話等12編。
いずれも読後、心に灯りがともるような、「夕暮れ時に読んでいただくのが似合いそう」な掌小説。
「風速四十米」とか「少しだけ欠けた月」や「キンモクセイ」には、思わず涙腺が緩んでしまいそうになった。
それにしても、このシリーズ全部で48編、それぞれ多彩なシチュエーションの物語を綴れる著者の才能に、改めて畏敬の念をいだいてしまう。
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秋に再読
やはり、泣けてしまう
キンモクセイ 老いる両親と東京にいる自分 子どもの頃の想い出 実家をひきはらう時に庭のキンモクセイが別れを知っているかのように香る
温かく 何とも言えない気持ちになる作品達
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季節風シリーズのラストを飾る秋編。
今回も重松さんの巧みなストーリーと、季節ならではの小道具の使い方に参りました。
お気に入りは、「水飲み鳥」。あったあった、子供の頃に。ブームになった訳ではないのに、不思議といろいろなところで見かけた。ずっと見ていて飽きない奇妙な動作を覚えている。そんな玩具を物語の小道具に用いる重松さんは、匠の作家である。
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春と夏をすっとばして、うっかり秋を読んでしまったら、これがシリーズ最後だったんですね。
その季節に読みたいけれど、来年まで待つのは・・・
作者もあとがきの中で、どんなものを書いているのかと尋ねられたらこの四冊を差し出す・・・と言っているとおり、とても“らしい”作品が並んでいて、どれも懐かしく、ちょっと身につまされたり、温かくなったり切なかったり。
“秋”のなかでは『ヨコヅナ大ちゃん』が一番好きかな?
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重松 清氏の季節風シリーズ最後の「秋」を読みました。
もともと産経新聞の週一回の連載から始まった「季節風シリーズ」。
重松氏が大学入学のため上京し生活をしはじめた「春」から、東京で暮らしていると実感した「秋」。
秋の夕暮れを眺めながら読みたい12編。
人生のせつなさが詰まっています。
物語はハッピーエンドで終わるわけではないけれど、でも読後感はすごく爽やか。
重松氏の作品は大好きです。
あとがきでは、季節風シリーズの48編の物語が重松氏のすべて。
少しずつ違う色の作品たちに気に入った作品があれば、とのこと。
でも、すべての作品が好きです。
これからも重松氏の作品は読み続けたいと思います。
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季節風シリーズ完結編。
ちょうどいい季節に読んだ。金木犀の香りを感じながら。
あとがきで重松先生がおっしゃっていた通り「四十八色の絵の具セット」と言うのがぴったりなシリーズでした。
重松先生の短編はぐっと感動させられた後、次の話への気持ちの切り替えが難しくて私は読むペースが落ちがち。
でもやはり重松先生は短編が巧いと思う。
親の老後と向き合う年代、考えさせられるし共感も。
オニババと三人の盗賊が良かったかな
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◾️サマリー
・物哀しい気持ちになる12の短編集
・別れ、悲しみ、虚しさを表現
・年齢を重ねて読むことで分かる味わい
◾️所感
12個も短編があれば、どれか1つか2つくらいは、この話いいなぁと感じる。
私は、「少しだけ欠けた月」が、なんとも秋の切ない感じと相まって胸にグッとくるものがある。
両親が離婚について話し合う場面から始まる。
小学三年生のアキラくんは、両親に離婚してほしくないのである。子どもは皆、父と母にそばにいて欲しい。それが叶わない本作品。子供の目線に立った展開がさらに切なさを感じる。
そして、本小説全体に言えることは、毎度のことながら、人が心の中で考えることを言語化して、うまく表現されている。
◾️心に残る箇所
「つかまえたーっ」
お父さんは息をはずませて、アキラを抱きしめた。
「つかまえたぞお、お父さん、アキラをつかまえちゃったぞお!」アキラはお父さんに髪の毛をくしゃくしゃにされながら、「違うよ、つかまえるのは鬼のほうなんだよお」とふくれっつらで言った。
でも、お父さんは笑って、さらに強くアキラを抱きしめる。お母さんも走るのをやめて、アキラの背中にゆっくりと近づいていく。
月が三人を照らす。もうすぐ終わってしまう家族を静かに照らす。
やがて、影は一つになって、小刻みに揺れはじめた。
*****
子どもたちは、これからの長い人生を、勝ったり負けたりを繰り返して生きていく。
運動会のようなさっぱりした勝負は、そう多くないだろう。やり場のない悔しさや、後ろめたさを背負った喜びを味わうことも、きっとあるはずだ。
Posted by ブクログ
秋の夕暮れに読みたくなる12編。
重松さんの著作はまだ短編集しか読んだことがないのだけれど、どれも沁みます。
好きな話を3つ挙げるとするなら「サンマの煙」「キンモクセイ」「ウイニングボール」。
しんみり切なさと苦さが残りつつ、すーっと冷たい風が宥めてくれるような雰囲気が良かった。
Posted by ブクログ
実りの季節でありつつもどこかもの悲しさを感じる秋にぴったりの一冊。
特に印象に残ったのは「少しだけ欠けた月」。どうしたらいいのか分からない子供の心の葛藤は自分にも経験があるが、アキラくんみたいには振る舞えなかった、だからアキラくんは十分にお母さんを守れる立派な男の子だなぁと思う。